元スレ囚人「懲役一ヶ月の刑?」ドクター「はい。」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
警察官「・・・五回目。」
囚人「・・・」
警察官「五回目の万引きだ。」
囚人「・・・はい。」
警察官「盗んだものはぁ?、少女向け雑誌、えんぴつ、ノート、筆箱。」
囚人「・・・」
警察官「前の犯行も似たような物だったな。」
囚人「・・・娘が、いるんです。」
警察官「あぁ、知ってるよ。」
警察官「六年前に奥さまと離婚。」
警察官「当時一歳だった娘さんを引き取り、男手一つで育てる」
囚人「・・・」
警察官「正直ね、同情はしないでもないよ?でも、犯罪は犯罪だ。」
囚人「・・・はい」
警察官「罰金30万。払える?」
囚人「」フルフル
警察官「じゃあ、実刑になる」
囚人「・・・どれくらいですか」
警察官「さぁ。五回目だし、被害額も少なくはない。」
囚人「・・・何ヵ月?」
警察官「何年。だろうな」
囚人「そんな・・・!娘は、娘はどうするんです!」
警察官「そればかりはぁ。まあ、何かしら配慮はするけど、どこまでできるか・・・」
囚人「今回は、今回だけは勘弁してください!もう二度とこんな真似は!」
警察官「俺に言われても困るんよ。」
囚人「しかし、娘が、娘が!」
警察官「執行猶予はつく。それまでに優秀な弁護士でも雇うんだな。」
囚人「・・・そんな金は」
警察官「・・・じゃあ大人しく罰をうけるだけだ。」
2 = 1 :
とある研究所
ドクター「・・・というわけで」
助手「・・・」
ドクター「私は、このことに非常に興味があるのです」
助手「しかし、ドクター。検証するには人間が必要では。」
ドクター「そう、そうなんだよ助手くん。」
ドクター「そこでだ、犯罪者を使ってはどうかね?」
助手「・・・犯罪者?」
ドクター「彼らの人権はあって無いようなものだ。どう使おうと私の勝手だろう」
助手「お言葉ですが、少なくとも日本では彼らにも・・・」
ドクター「無論、本人の同意の上さ。」
助手「・・・いやしかし、法的に不可能では?囚人をモルモットとして使うなど」
ドクター「治験だよ治験。法的な問題は別の者に任せよう。」
助手「うまくいくのかなぁ」
ドクター「ふっ、きっとうまくいくさ。浦島太郎計画。」
3 :
俺だけみてるよ
4 = 1 :
数日後
囚人「・・・あの。貴方は」
警察官「彼が、俺が個人的に紹介したい人物だ。」
ドクター「どうも。囚人さん」
囚人「ど、どうも」
警察官「彼は、名高い研究者でね。君に協力してほしいらしい」
囚人「はぁ?」
ドクター「一ヶ月間の治験を行って頂きたい。」
囚人「よく、話が読めないのですが」
警察官「彼の一ヶ月間の治験に協力すれば、実刑は懲役一ヶ月とする」
囚人「は、はぁ!?」
警察官「それだけ重要な研究なんだ。君も、何年も刑務所には入れられたくないだろう?」
囚人「なにがどうなっているんだ?治験ってなんです?」
ドクター「一ヶ月間、用意された部屋の中で暮らせば良いのです」
囚人「へや?」
ドクター「ええ、何もない部屋ですが、食事もトイレも用意されています」
囚人「そこで、何を?」
ドクター「なにもしません。ただ居るだけでいいのです」
5 :
見てる
6 = 1 :
警察官「悪くない条件だろう?」
囚人「いや、まぁ。」
ドクター「貴方の命に関わるようなこともしません。貴方はただその部屋にいればいいのです」
囚人「・・・それをやれば・・・」
警察官「一ヶ月の拘束で外に出られる」
囚人「・・・」
ドクター「協力して頂けませんか」
囚人「・・・わかりました」
警察官「ふん」
囚人「やりましょう」
ドクター「同意していただけて光栄です」ニタニタ
8 = 1 :
二日後
囚人「じゃあ、いい子にしてるんだぞ
」
娘「パパ、どこにいくの?」
囚人「・・・仕事さ」
警察官「娘さんは、こちらで見ておこう。一ヶ月、責任をもって。」
囚人「よろしく頼みます」
ドクター「では、行きましょうか。」
囚人「・・・はい」
娘「ぱぱ・・・」
囚人「・・・いってきます」
娘「・・・・」
ドクター「さぁ、車に乗ってください」
囚人「はい」
バタン
ブーーーーン
9 :
銀と金のあの部屋かな
11 :
世にも奇妙な物語
13 = 1 :
研究室
助手「まさか、本当にこの条件で実験ができるとは」
ドクター「彼は今控え室にいる。部屋と料理の準備を整えろ」
助手「これから、どうするんです」
ドクター「前にも話した通り」
ドクター「私がいま一番関心があるのは、老化と時間の関係だ」
助手「・・・」
ドクター「この世にあるものは必ず朽ち果てる運命にある」
ドクター「それは時間と共に進行するものだ。」
ドクター「では、精神的な影響はどのくらいある?」
助手「・・・」
ドクター「老化は、時間と共に進行するのか。」
助手「それとも・・・」
ドクター「私はこう仮定する。」
ドクター「人の体感時間は身体の老化に比例する」
14 = 1 :
囚人「この部屋に、入ればいいのか?」
ドクター「そうです、囚人さん。」
囚人「思ったより、狭いな」
ドクター「申し訳ない。」
ドクター「だが、刑務所の監獄よりは綺麗だろう。」
囚人「たしかに。壁も床も天井も真っ白だ。」
囚人(本当に、目がおかしくなるくらい真っ白な部屋だ。)
囚人(部屋にあるのは、机と、椅子と、時計。)
囚人(隅には小さなトイレが着いている)
ドクター「気に入って頂けたかな?」
囚人「一ヶ月で出られるのなら、我慢できる部屋ですね」
ドクター「ははは」ニタニタ
15 = 1 :
ドクター「君からは私の声がスピーカーから聞こえるだけだが」
囚人「ええ」
ドクター「私は角にあるカメラで君を観察している」
囚人「・・・」
囚人(天井の四隅にカメラが設置されている・・・)
ドクター「まあ、リラックスして過ごしてくれたまえ」
ドクター「腹がへっただろう。食事を用意した」
ウィーーーーン
囚人「おお、机の中から料理が」
ドクター「どうぞ、召し上がれ。最初の晩餐だ。」
囚人「いただきます・・・」モグモグ
ドクター「・・・」
16 = 1 :
囚人「ふぅ、なかなか美味しかった」
ドクター「それはよかった」
囚人「これで一ヶ月なら、余裕で、」
ドクター「」ニタニタ
囚人「がん、ば・・・れ・・・」クタァ
助手「眠りましたね。」
ドクター「こっからが本番だ」
助手「どうするんです?」
ドクター「十分後におこす。」
ドクター「部屋の時計は一時間進めておけ」
助手「承知しました」
17 = 1 :
十分後______
ピリリリリリ
囚人「ん、ん・・・ぁ」
ドクター「目が覚めたか囚人さん」
囚人「ん、ああ、ねてたのか」
ドクター「相当お疲れかね。一時間寝たままだったぞ」
囚人「ははは、気が張ってたのかもしれませんね」チラ
囚人(もうこんな時間か)
ドクター「まあ、ゆっくりしてくれ」
18 :
見てる
19 = 3 :
みてる
20 = 1 :
2時間後
ドクター「そろそろ私はおいとましよう」
囚人「え、ああ、はい」
ドクター「なにもない部屋だ。消灯したら君も寝るしかない」
囚人「・・・そのようですね」
ドクター「おやすみ、囚人さん。これからよろしく頼む」
囚人「ええ。」
カチン
シーン
囚人(本当に真っ暗だ)
プシューーーー
囚人(ん?なんの、音だ?)
囚人(なにか、吹き出るような・・・お・・・と、、が。)
助手「被験者、昏睡状態になりました」
ドクター「よろしい三十分後におこすぞ。」
ドクター「部屋の時計は8時間すすめとけ」
21 :
なにこれ
面白い
22 = 1 :
三十分後
ピリリリリリ
カチン
囚人「・・・う、んん」
ドクター「おはよう囚人さん」
囚人「・・・おはようございます」
ドクター「始めての夜はどうだったかね。よく眠れたか」
囚人「ええ、グッスリと眠れました」
ドクター「そうか、よかった。」
ドクター「朝食を用意した。食ってくれ」
ウィーーーーン
囚人「いただきます」
23 = 3 :
いくら体感時間狂ってても腹まで空くものなのかね
24 = 1 :
助手「思っていたよりも上手くいっていますね。」
助手「彼、完璧に8時間後の朝だと思いこんでいます」
ドクター「就寝というより昏睡状態だからな。」
ドクター「この部屋では外の時間に関係なく、彼の認識の時間の上で時が刻まれているんだ。」
助手「体感時間が全てということですね」
ドクター「左様。」
ドクター「それが彼の身体にどう影響するのか。」
25 :
みてる
26 :
消化は出来ない気がするが
27 :
左様とか言うからドクターが波平にしか見えなくなったじゃないか
どうしてくれるんだ
28 = 1 :
囚人(昔から枕が変わると寝られない人間だったが)
囚人(不思議とこの部屋ではグッスリと眠れた)
囚人(料理も質素ながらしっかりと栄養が取れる)
囚人(しかし不思議と腹は減らない。体を動かさないからだろうか。)
囚人(今は2日目の朝。あと30日で家に帰れる。)
29 = 1 :
ドクター「囚人さん。」
囚人「はい、なんでしょうか」
ドクター「すまないが私は講義があるから、90分ほど席を外す」
囚人「はあ、大変なんですね」
ドクター「これでも一応、教授という肩書きもあるのでな」
囚人「がんばってください」
ドクター「では、失礼。」
助手「教授ってw」
ドクター「なにか?」
助手「いいえ。なんでも。」
ドクター「時計を早めろ。三十分後に戻る」
30 :
結末まで見守る
32 = 1 :
かち、かち、かち
囚人(なにもやることがない)
囚人(ただ白い部屋に一人。)
囚人(考えるのは、娘のこと。別れた妻のこと、これからのこと・・・)
かち、かち、かち
囚人(きこえるのは、時計の音)
囚人(心臓の音。)
囚人(時計には秒針が付いていない。)
囚人(針が動いて、何秒たったか解らない)
33 = 1 :
20分後
囚人(・・・・そろそろ、ドクターが戻ってくる時間だが)
シーーーーーン
かち、かち、かち、かち
囚人(遅いな。さすがに90分は長いぞ)
かち、かち、かち、かち
34 :
面白いです
35 = 30 :
落ちるな
36 = 1 :
三十分後
ドクター「いやぁ、すまない。講義が長引いてしまって。」
囚人「ドクターぁ!」
ドクター「なにもない部屋で退屈だったろう」
囚人「いやー、もうほんと暇でしたよ!90分が三時間くらいに感じましたw」
ドクター「ははは、大袈裟な。」ニタニタ
37 :
体内時計は最大32時間まで伸びるらしいからな
39 = 30 :
1日を32時間って感じるのか
引きこもりだとそうなってるのかな
40 = 1 :
ドクター「少し小腹が空いただろう。」
囚人「いや、あまり腹は減っていない」
ドクター「そうか?食欲がないのか?」
囚人「いや、思えば昨日からトイレにも行ってないし、なんだか消化不良だ。」
ドクター「それは困った。被験者には健康体で居てもらわなければならない」
ドクター「これを飲んでくれ整腸剤だ」
ウィーーーーン
囚人「ああ、ありがとうございます」
ゴクゴク
41 = 1 :
囚人「なんか、青リンゴみたいな味ですね」
ドクター「飲みやすいだろう」
囚人「あはは・・・」
ドクター「・・・」
囚人「ち、ちょっとトイレへ行ってきます」
ドクター「どうぞ。安心して。トイレにカメラは付いていない」
囚人「あはは」
ガチャン
助手「一日のリズムを植え付けるために朝、昼、晩の食事は不可欠ですが」
ドクター「消化の方法も考えねばな。」
助手 「料理に下剤を混ぜさせますか」
ドクター「・・・・」
ドクター「容量を考えて入れるように」
助手「承知しました」
42 = 37 :
精神老いる前に身体壊して死にそう
43 = 1 :
囚人「ふぅ、スッキリしました」
ドクター「それはよかった」
囚人「・・・おなか空きました」
ドクター「はっはっは」
ウィーーーーン
囚人「おお、クッキーだ」
ドクター「遠慮なく食べてくれ」
囚人「いただきます」サクッ
囚人「うん、なかなかうまい」
ドクター「気に入ってくれてよかったよ」
囚人「」クタァ
44 = 1 :
30分後
ドクター「おきろ、昼飯の時間だ」
囚人「う、ううう」
ドクター「また寝ていたぞ。平気か?」
囚人「すこし疲れているようです」
45 = 1 :
~~~~5日後
助手「あれから、5日が経過しましたが」
ドクター「囚人にとっては25日目の朝だな」
囚人「・・・あと、6日で家に帰れるんですね」
ドクター「一ヶ月、長かったかね」
囚人「ええ、早く娘に会いたい」
46 = 30 :
どういう展開になるのか
47 :
バラして、正規の時間にすると見せ掛けて、もう一発同じことをするわけだ
48 = 30 :
結局半年で解放されるのか
49 :
時間は髭の伸び具合でわかる
50 = 1 :
さらに1日後
~~~~~
助手「彼の体感時間はどうなっているのでしょう」
ドクター「それは彼にしかわからんだろう」
助手「今では30分を半日と言っても疑問に思っていないようですね」
ドクター「あと、25日。」
ドクター「どこまで伸ばせるだろうか・・・」
囚人「出せぇ!話が違うぞ!もうとっくに一ヶ月だ!!」
囚人「早くかえらせろ!娘にあわせろぉぉ!!」
ダンっダンっ
みんなの評価 : ○
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