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    元スレ許嫁「不束者ですが……」

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    51 = 1 :

    「……とは言ったもののデートスポットなんてしらねえよ俺」

    「まさかこんなところで彼女いない歴が祟るとはな」

    「許嫁はどこか行きたいところないのか?」

    許嫁「えーと……私はどこでも……」

    「……初めてあった時から思ってたけど主体性ないよね君」

    許嫁「えっ! お、男さんがそう言うなら主体性を持てるように……」

    「そういうのを主体性ないって言うんだよ!」

    許嫁「ひぇぇ……」

    52 = 1 :

    「じゃ、適当に映画でいいか?」

    許嫁「はいっ!」

    「今話題だしな、ベイ○ックス」

    許嫁「私も観てみたいです、○イマックス」

    「俺もそうだけど悪意あるよねその伏せ方」

    「じゃあ方向音痴の味方グーグルマップ大先生で検索検索ぅ~」

    53 = 1 :

    許嫁「あの……」

    「うん?」

    許嫁「……て……///」モジモジ

    「どうした」

    許嫁「て、つないでもいいですか?」カアッ

    「え……」

    許嫁「あのっ、ダメならいいんです……」

    「う、うーむ……」

    「じゃあ、腕組むくらいなら……」

    許嫁「わぁい♪」ギュッ

    「ぐほぉっ! あた、あたたたたたて」

    許嫁「?」ムニュン

    (くっ……失策だったか……)

    54 = 1 :

    「さて……着いたのだが……」

    『濃密! 乱れる人妻激情の一滴(ひとしずく)』

    「ああシネマってそういう」

    許嫁「あの男さんここって///」

    「いやさすがにここでは観ないようん」

    55 :

    みてるよ

    56 :

    面白い

    57 = 1 :

    ――映画館

    「ふぃーなんとか上映時間に間に合って良かったな」

    許嫁「はい……」ポーッ

    「まさかあそこで○イ○ックスが変形するなんてなー」

    許嫁「はあ……」ポーッ

    「……もしかして上映中ずっと銀幕じゃなくて俺見てた?」

    許嫁「へぁ!? いや、その……」

    「……色々と感服に値するよ」

    許嫁「いやあ」テレテレ

    「褒めてねーよ」

    58 = 1 :

    「……なあ、ずっと聞きたかったんだけどさ」

    許嫁「はい」

    「許嫁さ……どうしてそんなに俺のこと好きなんだ?」

    許嫁「……男さんは知らないかもしれないですけど、私、男さんと同じ高校に通っていたんですよ」

    「ええっ、でもその頃って……」

    許嫁「はい、その頃男さんは……その……」

    「いや別にオブラートに包まなくていいよ、あの頃俺めっちゃデブだったからな」

    59 :

    よく考えたらこれ許嫁じゃなくね?

    60 :

    ゲイセックス

    61 = 1 :

    「でもそれならなおさらわからんな」

    許嫁「確かに初めてみたときの男さんはとてもふくよかでした」

    許嫁「でもあるとき見ちゃったんです、放課後、運動部もいなくなってから、誰もいないグラウンドで走る男さんを」

    「…………」

    許嫁「一生懸命自分のコンプレックスを克服しようとする男さんはとてもかっこよくて」

    許嫁「いつしか私は男さんに憧れていました」

    62 = 1 :

    許嫁「えへへ、これでも私昔は不器用でお料理とかお掃除とか大の苦手だったんですよ?」

    許嫁「それでも、つまづきそうになる度男さんのことを思い出して頑張りました」

    許嫁「男さんがいたから、今の私はあるんです」

    「……だから、か」

    許嫁「……はい」

    「そう、だったのか」

    「……お、もうこんな時間か、帰って晩飯の準備をしなくちゃな」

    許嫁「あ、そうですね、今日はカレーにしましょう♪」

    64 = 1 :

    ――夜

    「……ふぅ」ゴロン

    コンコン

    許嫁「あの……今夜も一緒に寝てもいいですか」マクラカカエ

    「…………」

    「駄目だ」

    許嫁「!」

    65 :

    小さい頃はこんな生活が当たり前なんだと思ってたよ…

    66 = 7 :

    許嫁欲しい…

    67 :

    こんな許嫁ほしい

    68 = 1 :

    「いいか、許嫁」

    「俺は今まで君のことを都合のいいメイドのように扱っていた」

    「向こうが好きでやってることだから、俺は結婚するつもりなんかないから、と」

    許嫁「…………」

    「でも、それじゃ駄目だって気付かされたんだ」

    「俺のことを本気で愛してくれてる君に対して」

    「いい加減に利用したり、適当に相手するんじゃ駄目なんだって」

    「だから俺はちゃんと最後の一日まで君と向き合う」

    「一人の女性として君と向き合う」

    「だから、この一ヶ月の間に、変に恋人ごっこのような真似はしたくないんだ」

    「言ってしまえばこれは君と俺との真剣勝負だ」

    「対等な、フェアな立場でやるべきなんだ、無駄に期待させたり悲しませたりはない」

    「だから君とは眠れない」

    「今日のことだって、あれは普段世話になってる君に対する慰労だ、それ以上の意味は無い」

    69 = 1 :

    許嫁「……わかりました」

    許嫁「男さんにくっつけないのは悲しいです、でも……」

    許嫁「その勝負受けて立ちます! きっと……ううん、絶対男さんを振り向かせてみせます!」

    許嫁「私、頑張りますから……!」ウルウル

    「……ふっ」

    「上等だ」 

    70 :

    それからも、俺と許嫁、二人の奇妙な生活は続いた

    互いを尊重し合い、それでいて踏み入りすぎない

    関係としては最高のものだっただろう

    許嫁はその間中ずっと俺に尽くしてくれたし、少しでも俺の気持ちを得ようと頑張ってくれていた

    俺としてもこの生活はとても楽しいものだった

    当初感じていた息苦しさもなくなり、彼女がいる日常が当たり前のように感じられた

    ……それでも俺の気持ちは変わらない

    それでも、俺は彼女と結婚する気にはなれなかった

    そうこうしているうちに、無情にも時間は去りゆく

    気づけば今日は約束の、最後の日

    でも、決して彼女が、許嫁が悪いんじゃない

    きっと、いや、わかりきっている

    悪いのは――

    71 :

    なんで書き溜めてないの?

    72 = 70 :

    ガチャ

    「……ん?」

    許嫁「…………」

    「どうした許嫁、言ったはずだぞ一緒には――」

    許嫁「…………」ボロボロ

    「ちょ、泣いてるのか?」

    許嫁「涙が、止まらないんです、これでもう男さんといられるのは最後なんじゃないか」

    許嫁「明日にはもうっ、二度と会えなくなるんじゃないかって……おもうとっ」ボロボロ

    「……『絶対振り向かせてみせます』って言ってた自信はどこいっちまったんだ?」

    許嫁「それでも不安なんです! 私、私……」グスッ

    許嫁「お願いします、これが私の最後のわがままです」

    許嫁「一晩だけ、私と一緒にいてください……」

    「…………」

    73 :

    しえん

    75 = 70 :

    (なんだかんだ言って甘いな、俺も)

    許嫁「…………」ギュッ

    (まあ、でもこれで最後、か)

    許嫁「男さん、起きてますか?」

    「ん、ああ起きてる」

    許嫁「最後に、言っておきたいことがあります」

    「なんだ?」

    許嫁「今ならわかります、どうして、不安なのか」

    許嫁「――私、自分が本当に男さんのことを好きなのか、わからなかったんです」

    76 = 70 :

    「……え?」

    許嫁「私は結局、高校のときに男さんに想いを伝えることはおろか、声をかけることすら出来ませんでした」

    許嫁「その、勇気がなかったんです」

    許嫁「そんな私は本当に男さんのことを愛しているのか? 愛する資格があるのか?」

    許嫁「だからこんな”一ヶ月だけの夫婦ごっこ”をして試したんだと思います」

    許嫁「男さんの気持ちじゃなく、自分の気持ちを知る、そんな自分勝手な理由だけで……」

    許嫁「事実、一ヶ月も一緒にいて私は直接想いを伝えることは出来なかった」

    「あ……」

    (そういえばそうだ、この一ヶ月間一度も彼女に”好き”だなんて言われたことは……)

    「じゃあ、それって……」

    77 :

    男が動くか

    78 = 70 :

    許嫁「でも!」

    許嫁「男さんのことを好きなのかわからなかっ”た”……もう、過去の話です」

    「!」ドクン

    許嫁「今なら言えます! 勇気を出して言えます!」

    許嫁「――私、男さんのことが大好きです」

    「…………」ゴクリ

    79 = 70 :

    (一ヶ月もかかった、ひどく、遠回りな告白)

    (それでも勇気を振り絞った、告白)

    (許嫁から、俺に対する愛の告白)

    (途端に、同僚の言葉が再び脳裏をかすめる)

    (『誠意』)

    (彼女は勇気を出した、それならば俺はどうだ?)

    (俺は結局、未だ言い訳を続けているだけなんじゃないか?)

    (自分が傷つくのが怖いから、逃げ続けているんじゃないか?)

    (それで本当に、許嫁に誠意を示したことになるのか?)

    (俺に……俺なんかのために勇気を振り絞ってくれた、そんな、許嫁に――)

    80 = 70 :

    ガシッ

    許嫁「男……さん……?」

    「許嫁……俺も、君に言わなくちゃいけないことがあるんだ」ギュッ

    許嫁「!」

    (そう、誰にも言ったことのない秘密)

    (それでも――許嫁には、伝えなくちゃいけない)

    「よく聞いてくれ許嫁、あのな――」

    「――俺、好きな人がいるんだ」

    81 :

    急展開

    82 = 70 :

    許嫁「え、え、それじゃあ、今まで頑なに結婚を拒んでいたのは……」

    「ああ……その人を忘れられなかったからだ」

    許嫁「そんな……それじゃあ私は……!」

    「……最後まで聞いてくれ許嫁」

    「俺は高校のとき、その人を好きになった」

    許嫁「!」

    「ああそうだ、少しでも彼女に近づきたくて死に物狂いで痩せたんだ」

    「それでも――体型は変えられても中身は変えられなかったよ」

    「結局俺は何も出来ずに卒業してしまったんだ」

    「そのあとも、何度も何度も彼女のことを忘れようとした」

    「でもできなかった、できなかったんだよ……」

    「俺には、告白する勇気も、諦める勇気もなかったんだ」

    83 = 73 :

    しえん

    84 = 70 :

    「それでこのザマさ、ずるずるその恋を引きずって、その人以外愛せなくて」

    「いや――その人以外の誰かを愛する勇気すらなくて、君を傷つけた」

    許嫁「……男さん……」

    「――でも君の告白で俺は変われそうな気がするんだ」

    許嫁「!」

    「君が俺を見て、変わろうと思ったように、今度は俺が、君を見て勇気を出したいと思う」

    「俺、その子に勇気を出して告白する、そして玉砕してきてやる」

    「そして、全部綺麗さっぱり終わらせたら――俺と、結婚して下さい」

    許嫁「――っ、ぁ、はいっ、う、うわあああああん!」ボロボロ

    「何泣いてるんだよ、まったく」

    許嫁「うっ、うれじぐで……うぅ、ぐすっ」

    「……ありがとう許嫁、俺に勇気をくれて、こんな俺を、愛してくれて」

    許嫁「うぅ、こちらこそ……」

    85 :

    なんだよ俺いつの間に自己紹介してんだよ

    86 = 70 :

    ――チュンチュン

    「……ん」

    許嫁「すぅすぅ……」

    「嬉し泣きで泣き寝入りとはね……まったく」ナデ

    「……さて」

    「次は――俺の番だ」

    『今度、高校のときのメンツで飲み会しないか?』

    87 = 70 :

    ――某日某所

    「……大丈夫だって、そんなに心配すんなよ」

    「俺だって男だ、腹括ってるよ」

    「……え? いやいや、それはないって、ああ絶対にだ」

    「それじゃあ切るぞ、上手くいったらまた電話するから、ああ、またな」ピッ

    ガラガラ

    「あの、予約していた男ですが……」

    88 = 81 :

    いいぞ

    89 = 70 :

    ワイワイガヤガヤ

    「あーっやっときた!」

    「幹事が遅れちゃ仕様がねえな!」

    「はは、悪い悪い……みんな変わらんな」

    「えーっ、それではお待たせしましたみなさん!」

    「本日は急な呼びかけにもかかわらず――」

    「「「かんぱああああああい!!!」」」

    「最後まで聞けよオイイイイイ!」

    90 = 70 :

    ワッショイワッショイ

    「いやーお前がこんな激痩せするなんてなー」

    「ははは、まあな」

    「…………」グビ

    「…………」グッ

    91 = 70 :

    「よう女、久しぶり」ポン

    「ん、おー久しぶり」

    「相変わらずちっちゃいな、どこもかしこも」

    「うっさいデブ……ってもう今は違うよね」

    「ふふん、お前にもう言い返す隙は与えん」

    「うざ……まあ私は陽気なデブは嫌いじゃなかったけどね」

    「ははは、ところでさ女」

    「なによ」

    「ちょっとさ、えーと」

    「だからなに?」

    「……ええい、まどろっこしい、ちょっとこっち来てくれ」ガシッ

    「えっちょっ!」

    92 = 70 :

    「……なんなのさこんなところに連れてきて、愛の告白でもしようっての?」

    「…………」

    「なによ、気色悪いからなんか言ってよ」

    「……そうだ」

    「は?」

    「……今から俺はお前に告白する」

    「え、何言って――」

    「俺はずっと前からあなたのことが好きでした!」

    93 = 70 :

    「っ!」

    「好きで好きでしょうがなかった! 少しでもお前につりあいたくて大嫌いな走り込みを毎日やった!」

    「テストのたびに少しでも成績の良いお前といろいろ話がしたくて勉強を頑張った!」

    「興味なかったワックスとかにも手を出した! 結局前衛的な髪型になっただけだったけど!」

    「…………」

    「あと……これは言うべきじゃないってわかってる、わかってるけど言いたい」

    94 :

    おーあ

    95 = 70 :

    「俺には許嫁がいる!」

    「優しくて可愛くて料理が上手くておっぱいがでかい! 俺貧乳派だけど!」

    「ちなみに俺が貧乳派になったのはお前の影響だ!」

    「だけどそんなことはどうでもいい!」

    「そいつは――許嫁は俺を愛してくれてる、愛していると言ってくれた!」

    「俺はそんな許嫁と結婚したい!」

    「だから……俺はお前へ募らせたこの恋を終わらせなくちゃいけないんだ!」

    「世界一、いや宇宙一最低な告白だってことくらいわかってる!」

    「でも言わせてくれ!」

    「俺はあなたのことが好き”でした”!」フカブカッ

    96 :

    パンツ履いとくわ

    97 = 70 :

    「」アゼン

    「……して」

    「返事のほうはいかがで?」ニッ

    「――――」

    98 :

    >>96
    焦るな許嫁と1ヶ月のオナ禁を解放する夜が待ってる

    99 = 94 :

    フラグ

    100 = 70 :

    許嫁「……遅いです」ソワソワ

    許嫁「日付が変わる前に帰ってくるって言ってたのに……これはいくらなんでも」ソワソワ

    許嫁「ま、まさか! 同窓会で久しぶりに会ってお酒も入ってそのままアッフーンなことに……」ワナワナ

    許嫁「いえ、でも、そんなことはありません……男さんに限って……」

    許嫁「でも……うぅ……」

    バッターン!

    許嫁「ひぅっ!」

    「うひゃほへふほおほおおおおおおおうえええええええええ!!!」


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