元スレ霧切「サンタさんが来るの楽しみね」 苗木「え?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 = 1 :
霧切「まどろみのなかに手招きをする眠気に抗いながら、私はサンタさんを待った」
霧切「その時不意に、三重奏はカルテットに装いを変えた」
霧切「廊下を歩く足音…ギィッ…ギィッ…とできる限り静かに歩こうとする足音」
霧切「一気に私は目を覚ました。心臓は早鐘を打ったようにドクドクドクドクと脈動をはやめた!」
霧切「カチャリ…とドアノブが回される音を耳にした」
霧切「スススーとゆっくりながらそれでいて確実に私の部屋のドアが開かれていくのを感じた」
霧切「暖房で程よく温まった部屋に廊下の冷たい空気が侵入してくるのを顔の肌で感じたの」
霧切「ついにこの時が来たんだわ!この心臓の音で起きてることがばれたりしないかしら」
霧切「寝言のようなものを発しながら寝相を変えるふりをして私は体のむきをドアが見えるように変えた」
52 = 1 :
霧切「そして!そこにいたのが!」
苗木「サンタさん…だった…ってわけだね」
霧切「…」
霧切「苗木君?私が話していたんだけど…なんで言っちゃうのかしら?」
苗木「あ…ご、ごめん…」
霧切「ふん!サンタさんを見たことがなくて私に嫉妬してってところ?」
苗木「えっと、そういうんじゃないんだけど」
霧切「はあ…まあ、いいわ…そう、そこにいたのは間違いなくサンタさんだった」
53 = 1 :
霧切「街中でアホ面さげたやつらが中途半端にしたコスプレなんかではなく、確かにサンタさんだったの」
霧切「赤い、例の服を身にまとって、白い髭をケーキの生クリームのようにこれでもかというくらい口元にたくわえ」
霧切「白い大きな、きっと中にこれからいろいろな人に配るプレゼントが入っているであろう袋を担いでいたわ」
霧切「何せ部屋は小さいベッドライトを弱く点灯していただけだし、外は小雨で月も出ていなかったし、私も薄目だった」
霧切「だからはっきりと見ることはできなかったけど、でも断言できる。あれは間違いなくサンタさんよ」
苗木「うん!それはサンタさんだね!」
霧切「背格好は…そうね、私の父と同じくらいだったかしら…」
苗木「あー、はい、学園長先生とね…うんそうだよねー」
54 = 1 :
霧切「サンタさんを生まれて初めて見てしまった私は歓喜のあまりに気を失ってしまったの」
苗木「そりゃ失うよ!サンタさん見ちゃったら気くらい失うよ!うん!」
霧切「気づいたら、朝」
霧切「カーテンの隙間から差し込む朝日がやけにまぶしいなと思ってカーテンを開けてみた」
霧切「あの小雨は雪に変わっていたのね、その時にはもうやんでいたけど、外にたっぷりと積もっていたわ」
霧切「そして期待に胸を膨らませつつ、いよいよ本命の靴下を手に取る。ずっしりとした感触…」
霧切「プレゼントの感触ね。ああやっぱりサンタさんだったんだ!夢じゃなかったのね!微笑みを禁じ得なかったわね」
霧切「開けてみるとお手紙で頼んだ通りのプレゼントが入っていたわ」
55 :
かわいい
56 = 1 :
霧切「私はそのプレゼントを胸にギュッと抱えて窓を開け、ハーっと息を吐いて、しばらくその息が白くなる現象を面白がった」
霧切「そうして、大地の白の上にコントラストを織りなして広がる大空の、目に刺さるほどどこまでも透き通った青を眺めた」
霧切「サンタさんは無事、この空を通ってお家へ帰れたかしら、そんなことを考えつつもう一度大きく息を吸って吐いた」
霧切「肺の中の暖かい空気が改めて換気され、息が白く拡散する…」
霧切「興奮で紅潮した頬が朝の空気で冷まされる」
霧切「プレゼントに軽く口づけをして、サンタさんありがと…とつぶやいてみた」
霧切「…」
苗木「…」
霧切「これが私のサンタさん目撃談ね」
57 = 1 :
苗木「あ…うん…うん!すごいね!なかなかできない体験だよ!うん!」
霧切「フフフ…私ったらいけない子ね…」
苗木「サンタさんに会えてすっごくうれしかったんだなって気持ちが伝わってきたよ!」
霧切「苗木君もちゃーんといい子にしていればサンタさん、来てくれるわよ」
苗木「はあ、うん」
霧切「ちゃんといい子にしていたかしら?いけないことをした子のところにはサンタさんって来てくれないのよ。知ってた?」
苗木「え?うん、それは知ってたけど」
霧切「あら、それならいいんだけど。…あれ…え…うそ…!?…ま、まさか…」
苗木「ちょ、いきなりどうしたの霧切さん!?」
58 :
霧切父は絶縁されてたんじゃないの
59 = 1 :
霧切「サンタさんは…いい子のところにしか…来ない…」
苗木「え…?」
霧切「でも、私は…寝たふりをしてサンタさんを見ようとしてしまった…」
苗木「あ、はあ」
霧切「そんな…私は禁忌を犯してしまった…?」
霧切「サンタさんに会いたい一心でやったことが、結果としてサンタさんを遠ざけてしまうことだった…っていうの!?」
霧切「そ、そんな…そんな…」
苗木「き、霧切さん!?」
霧切「いや…いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
苗木「ちょ!霧切さん!大丈夫!?」
60 = 4 :
もう駄目だこいつ
61 :
苗木「サンタがいる?霧切さん、それは違うよ!」
62 = 1 :
霧切「やだやだやだやだあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
苗木「霧切さん!落ち着いて!」
霧切「いやあああああ!!はあ!ああ!おえっ…おへぇっ…」
苗木「大変だ!霧切さんがパニック状態に!」
霧切「コホッ!ポホォッ!」
苗木「落ち着いて!霧切さん、大丈夫だから落ち着いて!」
霧切「ホヒーッ!大丈夫って、コホォ、な、なにが、ポヒッ、大丈夫なのよ、オエッ」
苗木「いや、ほら!サンタさんはきっと霧切さんが寝たふりをしていたことには気が付いてないよ!」
霧切「え?ポヒーッ」
苗木「うん、だから、サンタさんにはわからないよ!だから今年もサンタさんは来てくれるよ!」
霧切「…はあはあ…う、うん…」
63 = 41 :
ポヒーはただ萎える
64 = 35 :
純粋だなぁ
65 = 61 :
ポヒーッ
66 = 1 :
苗木「よかった…落ち着いてきた…」
霧切「確かに…そうね…はあはあ…」
苗木「うん、ほら、ね?安心して?」
霧切「ええ…ありがとう…苗木君…」
苗木「うん、どういたしまして…」
霧切「でも、心配なことが…」
苗木「なにかあるの?」
霧切「あのね、苗木君。いい子、悪い子ってのは自覚の問題だと思うの…罪の自覚があるかどうか」
苗木「…」
霧切「私は…罪を自覚してしまった…その瞬間から私は悪い子になってしまった…」
霧切「違うかしら…?」
67 = 4 :
めんどくせえな霧切とかいうやつ
68 = 25 :
もう論破しちゃえよ
69 = 1 :
苗木「えっと…」
霧切「私には…ポヒィッ」
苗木「大変だ…また始まった…」
霧切「プレゼントをもらう資格なんて…プホォッ」
苗木「ど、どうしよ…っていうか、なんなんだよこの変な音…どこから出てるんだよ…」
霧切「私にはプレゼントをもらう資格なんてないのよ!!プヒョォォッ!!!」
苗木「それは違うよ!!!!」
霧切「!!!…え?パヒンッ!」
70 :
これは可愛くない
71 :
プヒョォォッ!!!
72 :
モノクマのサンタコスが頭に浮かんだ
73 = 1 :
苗木「…霧切さん、君にはサンタさんからプレゼントをもらう資格があるんだ!」
霧切「そ、そんなこと苗木君に決めることは…」
苗木「いや、でも推理することはできるんだ!」
霧切「…どういうことかしら?」
苗木「霧切さんの話はこういうことだよね?」
苗木「自分は去年、サンタさんに対してやってはいけないことを好奇心からやってしまった」
苗木「そしてそのことをやってはいけないと認識してしまっている自分は、悪い子だからサンタさんも来てくれない…」
苗木「こういうことでいいんだよね?」
霧切「ええ…その通りよ」
苗木「…だったらさ、よく考えてみてよ…」
霧切「え…?」
74 = 72 :
ロンパするとこそこじゃねーだろ
75 = 6 :
ソレハチガウヨ
76 = 41 :
苗木優しいな……
いや根本を否定するのが面倒臭いだけか……
77 = 1 :
苗木「霧切さんは、今年もお手紙を霧切さんのお父さんに…じゃなくてお父さん経由でサンタさんに書いたんだよね?」
霧切「ええ…そうだけど…」
苗木「だったらおかしくないかな?」
霧切「一体何が…」
苗木「もし霧切さんが悪い子で、プレゼントをもらう資格がないんだとしたら、手紙を受け取ったサンタさんもなにかしらリアクションするんじゃないのかな」
苗木「たとえば『君は悪い子だからプレゼントを上げられない。もう手紙をよこさないでくれ』…みたいな感じで」
霧切「!!!」
苗木「サンタさんだって、悪い子からの手紙なんか読みたくないし受け取りたくもないからきっと拒否することを伝えると思うんだ」
苗木「霧切さんはそういった手紙をサンタさんから受け取ったかな?」
霧切「もらってないわ…」
苗木「うん、それが答えだよ!これからもサンタさんは霧切さんから手紙をもらいたいんだ!」
苗木「つまり、霧切さんにはサンタさんからのプレゼントをもらう資格があるってことなんだよ!」
霧切「!!!」
78 :
これ本当にかわいいのは学園長だよね
79 = 28 :
ポヒー
80 = 1 :
霧切「確かに…それは合理的で論理的な推理ね…」
苗木「寝たふりをしてサンタさんのことを見ようとしてしまったのは、いけないことだったかもしれない」
苗木「でもそれはサンタさんに何か嫌がらせをしようとかして生まれた行為ではない」
苗木「サンタさんが大好きな霧切さんの純粋な行為だった」
苗木「だからサンタさんも、それくらいのことなら許してくれたんじゃないかな?」
霧切「なるほど…!そうね、うん、うんうん、そうね!」
苗木「…納得してくれたかな?」
霧切「ええ、ありがとう苗木君…安心したわ…」
苗木「ふう…それならよかったよ…」
霧切「ただ、どうしても納得できない点が一つある」
苗木「…え…?」
81 = 72 :
大神さくら「朝比奈 我の靴下を貸そうではないか」
朝比奈「? よくわからないけどありがとうさくらちゃん!」
82 = 41 :
鼻息とか口の端から息漏らしてポヒーとかプヒョーとかいってんの想像したらイライラしてきた
83 = 1 :
霧切「サンタさんのしゃべり方は苗木君のしゃべり方みたいに硬質なものではないわ」
苗木「えっと、ああ、そ、そうなんだ…」
霧切「『君はいけない子だからのぉ…プレゼントはダメじゃな。手紙もすまんがこれからは送らないでもらうとうれしいぞい』」
霧切「きっとこんな感じだと思う」
苗木「…う、うん!そうだよね!そんな感じだと思うよ!」
霧切「なんたって私はサンタさん、この目で見ちゃってくるから」
霧切「実際に見たことのない苗木君よりも、私のほうが詳しいのでしたー♪」
苗木「えっと、一気に安心したみたいで、こっちも安心したよ…」
84 :
???「ソリの先制攻撃だべ!」
85 = 1 :
霧切「でも、なんにせよ苗木君にはお礼を言っておくわ。ありがとう」
苗木「いや、いいんだよ。霧切さんがパニック起こさなくてよかったよ」
霧切「パニック?」
苗木「あ、ごめん、なんでもないんだ。自覚ないんだね」
霧切「???」
苗木「えっと!そうだ!うん!今年もサンタさん、楽しみだね!」
霧切「ふふふ、ええ、そうね。でもね、苗木君。そこまでテンション高いとさすがにこっちもひくわよ」
苗木「…」
霧切「私たちの学園の宿舎にもちゃーんとサンタさんは来てくれるから安心していいわ」
苗木「うん、そうだね。そういえば霧切さんは何をサンタさんにお願いしたの?」
霧切「それは言えないわ。サンタさんだけにしか教えないことにしてるの」
苗木「へぇ、そっかぁ」
86 = 4 :
しまじろうヘ・ソ・カ
87 :
貴様、さてはのんのんびよりのSSも書いていたな!
89 = 1 :
霧切「…そういえば…」
苗木「どうしたの?」
霧切「え、いや、その…今年は私の父の元にもサンタさん来てくれるのかしら…って」
苗木「え?なんで?そんな心配を…」
霧切「いえ、サンタさんって家族全員の元へ来てくれるでしょう?」
苗木「うん。そうだね、うん」
霧切「でも、今年は私と父は明日の夜、まったく別のところで過ごすから…それでもちゃんとプレゼント届けてくれるのかしら…って」
苗木「え…べ、別のところ?ああ、もしかしてお父さん、自宅のほうへ戻るからってこと…?」
霧切「いえ、違うわ…」
苗木「…」
霧切「出張よ。学園と国の都合で昨日から出発してて、帰国するのが年明けね」
90 :
普通に親だろ
93 = 6 :
>>90がなんか言ってるからみんな静かにして
94 = 1 :
苗木「えっと…一応聞きたいんだけど、いや聞きたくないこともないんだけど…どこへ…?こ、国内だよね?」
霧切「ブラジルよ」
苗木「…え…え…」
霧切「かなり忙しいスケジュールで日本にはその間一切戻ってこれないらしいわ」
霧切「そういえば…確かにサンタさんのことを心配するような発言もしていたわね…」
霧切「お前ももう高校生なんだからとか、サンタさんっていうのはだなとか…」
霧切「サンタさんへのお手紙を書くのに夢中で聞いてなかったけど…」
霧切「そうそう、毎年使っているサンタさん宛て専用の綴りになったはがきを使ってるの、よかったら苗木君にもあげるわよ」
苗木「う…うわあ…やばい…やばい…」
霧切「あのはがきを見ただけで私だってわかるはずだから、きっと私にはプレゼント届くと思うんだけど…」
霧切「うーん…でも、サンタさんのことだからきっと大丈夫よね、父にも届けてくれるわよね」
95 = 61 :
これは苗木がプレゼントを上げるしかないな
96 :
続けて
97 = 6 :
学園長が苗木にお願いするな
98 :
やっはろー
99 = 4 :
はやくバラせよ・・・
100 = 41 :
江ノ島さんに残酷に真実をバラして欲しい
みんなの評価 : ☆
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