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    元スレ魔女「ケガァァァァァ!!!」剣士「!?」

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    1 :

    ~ 魔女の森 ~

    剣士(この森に住むという魔女……)

    剣士(ある者は、天使のように微笑む絶世の美女だったと陶酔し……)

    剣士(またある者は、悪魔のように恐ろしい形相をしていたと恐怖する……)

    剣士(森の近くにある町の人々ですら彼女を恐れ、正体をはっきり知る者はいない……)

    剣士(──面白い!)

    剣士(魔女の正体、この俺が暴いてやる!)

    剣士(悪い魔女なら退治すりゃいいし、いい魔女ならお知り合いになってやる!)

    3 = 1 :

    ガサガサ……

    剣士(疲れた……森歩きは慣れてねーからな……)

    剣士(もう一時間は歩いたが、魔女なんて影も形もないじゃんか)

    剣士(どうなってやがる……)

    剣士「あれ? この場所さっき通ったような……」

    剣士(あれ、もしかして俺迷った?)

    剣士(いやいやいや、ちゃんとマーキングしながら来てたし……)

    剣士「…………」キョロキョロ

    剣士(あ、どこにマーキングしたのか分からなくなっちゃった)

    剣士(──やべえ!)

    4 :

    迷った!

    5 = 1 :

    タッタッタ……

    剣士(やべえ、マジやべえ!)

    剣士(いくらなんでも適当に歩きすぎた! 森をナメてた!)

    剣士(道分かんなくなっちまった!)

    剣士(このままじゃマジで出られなくなる!)

    剣士(くそっ! どうしよっ!)ガッ

    ドダッ!

    剣士「あだだっ……!」

    剣士「くっそ、手ぇすりむいちまった……」

    剣士「大丈夫だとは思うが、一応消毒しとくか……」

    ドドド……

    剣士「──ん? なんだこの音」

    7 = 1 :

    ドドドド……

    剣士「ん?」

    ドドドドド……

    剣士(なんだ? このけたたましい足音は……?)

    ドドドドド……!

    剣士(イノシシかなんかか? いや、イノシシだってこんな音出さないだろ……)

    ドドドドド……!

    「ケガァァァァァ!!!」

    剣士「!?」

    8 :

    もうスレタイか
    糞作の予感

    9 = 6 :

    >>8
    心配すんなって
    ここから読者を翻弄する展開、意外な真相、そして感動の結末が俺たちを待ってるんだから

    10 = 1 :

    「シィィィィィ!!!」ドドド…

    剣士「お、女!?」

    剣士(すげえ形相だ!)

    剣士(まさか、あのすげぇ殺気の女が──魔女か!?)

    剣士「へ、へへ……面白え。この俺と戦うつもりか?」チャキッ

    剣士「俺はこれでも、こないだの王国剣術トーナメントで第四位の実力──」

    「テェェェェェ!!!」ドドド…

    剣士「…………」

    剣士(怖え!)

    剣士(逃げよう!)

    11 :

    >>10
    メダルもらえないやん

    12 = 1 :

    「ルゥアァァァァァッ!!!」

    ドドドドド……!

    剣士「うわぁぁっ!」

    タッタッタ……!

    「マァテェェェェェッ!!!」

    ドドドドド……!

    剣士「ひぃぃぃぃぃっ!」

    タッタッタ……!

    14 = 1 :

    タッタッタ……!

    剣士「ハァ……ハァ……ハァ……」チラッ

    剣士(あの魔女……なんつうスピードだよ!)

    剣士(森での走り方に慣れてるってだけじゃない!)

    剣士(純粋に速ええ!)

    剣士(俺も逃げ足──足の速さにゃ自信があるのに、みるみる追いついてきやがる!)

    剣士(でも、追いつかれたらまちがいなく殺られる!)

    剣士(あの殺気は尋常じゃねぇ!)

    剣士「うわぁぁぁっ! だれかぁぁぁっ!」

    15 = 1 :

    剣士「ハァ……! ハァ……! ハァ……!」ガクッ

    「…………」ザッ

    剣士「へっ……もう逃げられねえ……」ハァハァ…

    剣士「抵抗しようにも……剣を振るう体力も残ってねえや……」ハァハァ…

    剣士「煮るなり……焼くなり……好きにしてくれ……」ハァハァ…

    剣士「あ、やっぱ火系の殺し方はやめて……」ハァハァ…

    「お前、手を怪我してる」

    剣士「え……? ケガ?」

    剣士(殺気が消えて……普通の女に……)

    「だから、治す」スッ…

    剣士「え……? え……?」

    16 = 6 :

    2chのSSの形態だと説明台詞を()の中に入れちゃったりしないといけなくて大変だよね

    17 = 1 :

    「大丈夫、すぐ終わる」

    剣士「え?」

    「すぐ終わるッ!」ビキメキッ…

    剣士「ひっ!」

    剣士(またさっきの殺意丸出しの形相になった!)

    「終わるンダァァァァァッ!!!」ビキビキッ

    剣士「あわわわわっ!」

    パァァァ……

    剣士「…………」

    剣士「すり傷が……一瞬で消えた……」

    「治った」ニコッ

    剣士(おお……いい笑顔)

    18 = 1 :

    「お前、なんで森に来た?」

    「もし迷い込んだのなら、森の外まで送るが」

    剣士「いや……俺は魔女に会いに来たんだ」

    「私に!?」ドキッ

    「サイン、あるぞ」スッ…

    剣士(サイン!? なんで!?)ギョッ

    剣士「いや……いらない、かな」

    「そう」シュン…

    剣士「ま……ぶっちゃけるとだ」

    剣士「この森の近くにある町の連中が……みんなアンタを恐れてる」

    剣士「それで、俺に依頼をしてきたんだ」

    剣士「アンタのことを調べてくれってな。場合によっては退治を、と」

    19 :

    ハゲ「毛ガァァァァァ!!!」
    剣士「!?」

    20 = 1 :

    「退治!?」ビクッ

    「退治するというのなら、私も戦うぞ!」ニコッ

    「さぁ、来い!」ニマァ…

    剣士(なんで満面のスマイルなんだよ)

    剣士「安心しな……危険がなきゃ、退治するつもりはねえから」

    剣士(つうか、どう考えても勝てねえし)

    「そ、そうか」ホッ…

    「ならとりあえず私の家、来るか?」

    剣士「いいのか?」

    「うん、怖がらせてしまった礼をしたい」

    21 = 1 :

    ~ 魔女の家 ~

    剣士「へえ、質素だけどけっこうキレイだな」

    「ありがとう!」

    「サイン、やるぞ!」

    剣士「結構です」

    「そうか」シュン…

    「じゃあ料理作るから、ちょっと待ってろ」

    剣士「お、ありがとう」

    剣士(とはいったものの、不安だ)

    剣士(魔女の作る料理ってどんなんだろうな……)

    剣士(デカイ鍋で、蛇やらトカゲやらをグツグツ煮るって感じなのかな……)

    剣士(あの笑顔にやられて来ちまったけど、やっぱ来るんじゃなかったな……)

    22 = 1 :

    「待たせた!」コトッ

    剣士(おお、キノコと野草料理か。ゲテモノじゃなくてよかった……)

    「まずかったら、遠慮なくいえ」

    剣士(魔女相手にそんなこといえるかよ……)

    剣士(どんなにクソ不味くても、スマイルしなきゃ──)モグッ…

    剣士「!」

    剣士「うん」

    「どう?」

    剣士「うん、うん、うん、うん、うん」モグモグ…

    「どう?」

    剣士「うん、うん、うん、うん、うん、うん、うん、うん、うん、うん」モグモグ…

    23 = 1 :

    「どう?」

    剣士「うるせえ! こんな美味い料理久々なんだ! 黙って味わわせてくれ!」

    剣士「────!」ハッ

    「…………」

    剣士「あ……いや、ごめんなさいっ! 今すぐ感想を申し上げるので──」

    「ううん、いい」

    「ありがとう!」ニコッ

    剣士(出た! いい笑顔!)

    24 :

    俺も食べたい

    25 = 1 :

    剣士「……ところでさ」

    「ん?」

    剣士「俺を追ってきた時や、俺を魔法で回復する時……」

    剣士「なんであんな、殺気に満ちた鬼のような形相をしてたんだ?」

    剣士「少なくともアレが、人から恐れられる要因の一つになってるはずだ」

    剣士「あれは正直いって怖い。怖すぎる」

    「ああ、あれか?」

    「あれはな──」

    27 = 1 :

    「魔法というのは、本来人を呪ったり、攻撃したり、負の効果をもたらすもの」

    「そういった魔法はどんな感情の時も使うことができるんだが」

    「傷を回復するといった、本来の性質じゃない正の性質を持った魔法を使う時は」

    「自分から殺気や怒りといった、負の感情を出さなければ使えないんだ」

    剣士「なるほどな~」

    剣士「ニコニコ笑顔のままじゃ、回復魔法みたいな明るい魔法は使えないのか」

    剣士「魔法ってのも便利なようで、けっこう面倒なんだな」

    剣士「でも、俺を追っかけてた時もあの形相だったのはなんでだ?」

    「あれはすぐにお前を治療してやりたかったから」

    「自分の脚力を魔法で強化していたんだ」

    剣士「どうりで、ドドドドと速かったわけだ……」

    28 :

    バーバ・ヤガー的な

    29 = 1 :

    剣士「魔女さん。だいたい君のことは分かった!」

    剣士「町の人には、君は危険がない魔女だって伝えておくよ」

    「ありがとう!」

    「そうなれば、町の人もっと森に来るか?」

    剣士「来るかもしれないな」

    「料理用意した方がいいか?」

    剣士「あの味なら、まちがいなくウケると思うよ」

    「サイン用意した方がいいか?」

    剣士「まあ……あってもいいかもしれない」

    「じゃあお前、第一号! やる!」バッ

    剣士「あ、ありがとう……」

    剣士(色紙かと思ったら銅板に書いてあるし……重いなコレ)ズシッ…

    30 = 24 :

    明日の粗大ごみですね

    31 = 1 :

    剣士「それじゃ」

    「もう行くのか!?」

    剣士「俺も、もっとゆっくりしていきたいけど……」

    剣士「あんまり帰りが遅いと、町の人も心配するしな」

    剣士「君は危険がない魔女だっていっても」

    剣士「洗脳かなんかされたんじゃって、思われるかもしれないし」

    「……そうだな。そうかもしれないな」

    「また来たくなった時のために、地図も渡しておく! もう迷うなよ!」

    剣士「お、サンキューな」

    32 = 1 :

    剣士「あ、あと魔女さん」

    剣士「殺気立ってる顔はちょっと怖いけど……」

    剣士「笑ってる顔はすげー可愛いよ!」

    「!」

    「あ、あ、あ……」

    剣士「?」

    「ありがとうな!」

    剣士「おう、じゃあな! また来るよ!」

    「絶対来い!」

    33 :

    みてる

    34 = 1 :

    ~ 町長の家 ~

    町長「ふむ、それが本当ならば、魔女に危険はなさそうじゃな」

    剣士「はい」

    剣士「むしろ、彼女も外の人間を歓迎したいといってました」

    剣士「一応、彼女からもらった地図を写しておいたので、お渡しします」

    町長「そうか、ご苦労だった」

    剣士「では、失礼します」

    剣士(また明日、会いに行こうっと)

    ギィィ…… バタン

    町長「…………」

    35 = 1 :

    町長「さて、と」

    町長「ちゃんと聞いておったな? ──三人とも」

    戦士「全て聞いた」

    闘士「案外チョロイ相手みてぇだな」

    剣豪「ぃよぉーしっ!」

    町長&戦士&闘士「!?」ビクッ

    剣豪「せっかくここに、剣術トーナメント一位から三位まで揃ってるんだ!」

    剣豪「明日、魔女をサクッと狩っちゃおう!」

    町長「よろしく頼むぞ」

    36 = 24 :

    まぁこうなる気はしてた…

    37 = 1 :

    翌日──

    ~ 魔女の森 ~

    剣士「フンフ~ン」

    剣士(今日は魔女さんともっと親しくなろうっと)

    剣士(大切にしてますアピールのために、昨日もらったサインも持ってきたし)

    剣士(もしかしたら、二人きりでいいムードになれたりして……)ムフッ

    剣士「──ん?」ササッ



    戦士「地図によると、この方角だな。直線距離は短いようだ」ザッザッ

    闘士「腕がなるぜ」ザッザッ

    剣豪「魔女狩り、一度やってみたかったんだ! ルンルン」ザッザッ



    剣士(剣豪! 戦士! 闘士!)

    剣士(剣術大会の上位三人じゃないか!)

    剣士(いったいなんでこんなところに……?)

    38 = 1 :

    剣士「あのう……」

    戦士「ん? 剣士か」

    闘士「おう」

    剣豪「やぁ! 四位君じゃないか!」

    剣士(順位で呼ぶなよ)

    剣士「剣術トーナメントの上位陣が、こんなところで揃って何してるんだ?」

    剣豪「決まってるだろう?」

    剣豪「魔女狩りさ!」キラッ

    剣士「!」

    39 = 1 :

    剣士「ちょっと待ってくれ!」

    剣士「なんでそんなことするんだ!」

    戦士「町長の依頼だ」

    闘士「そういうこった」

    剣士「いやいやいやいや、おかしいって!」

    剣士「だって俺は、町長さんに魔女に危険はないって、昨日伝えて──」

    剣豪「ハッハーッ!」

    剣豪「町長はね、君より前にすでにボクらを雇っていたんだねー!」

    剣豪「最初から町長に、魔女と和解する選択肢ナッスィング!」

    剣士「……え?」

    40 = 1 :

    剣豪「でもなんの前情報もなしに、ボクらを投入して全滅したら大損だろ?」

    剣豪「だ、か、ら!」

    剣豪「ボクらに次ぐ実力者であり、お人好しそうな君でぇ?」

    剣豪「魔女の実力や性質を見定めようとしたんでーす!」

    剣豪「ドンドンパフパフー!」パチパチ…

    剣士(いちいちうざいな、コイツ)

    剣士(それより……ってことは、町長さんは最初から俺を捨て駒のつもりで……)

    剣士(魔女さんを殺すつもりで……)

    剣士(マジかよ……)

    剣豪「ま、君のおかげで魔女に危険はないって分かった!」

    剣豪「おかげでボクら三人、リラックスして狩りに行けるのさ! ありがとさん!」

    41 = 24 :

    剣豪うぜえ

    42 = 1 :

    剣士「ま、待てよ!」

    剣士「俺だって魔女さんに、今後は町の人と仲良くできるかもっていっちゃったんだ!」

    剣士「魔女狩りなんかやらせるかよ!」

    剣豪「ハッハーッ! 君、ナイス度胸! いいね、すっごいね!」

    戦士「一人で我々三人を食い止めるつもりか?」

    闘士「四位の分際で、笑わせてくれるぜ!」

    剣士(剣術トーナメントの時、俺は緊張して実力を出し切れなかった!)

    剣士(それを差し引いても剣豪には到底及ばないが──)

    剣士(二位三位の、戦士と闘士には勝てる自信がある!)

    剣士(コイツらも一人相手に複数で襲いかかるマネはしないはず!)

    剣士(一対一で戦士と闘士を倒して、剣豪にもなんとか手傷を負わせれば……)

    剣士(魔女さんが助かる可能性はグンと上がる!)

    43 :

    ハゲ「毛があああああ」

    45 = 1 :

    剣豪「ぃよぉーっし、ここは──」

    剣豪「ボクが相手しよう!」ビッ

    剣士「え」

    戦士「わざわざ優勝者たる剣豪殿が相手するまでもないと思うが」

    剣豪「まあまあ、いいからいいから」

    剣豪「戦士君と闘士君は先に魔女の家付近で、待っていてちょーだい!」

    剣豪「ボクは彼を片付けてから追いつく!」

    戦士「了解した」ザッザッ

    闘士「あいよっ!」ザッザッ

    剣士(ちょ、ちょ、ちょ、待て!)

    剣士(最悪の展開じゃねーか! これじゃ一人も減らせねーぞ!)

    46 = 1 :

    剣豪「じゃあ、レッツバトル!」ダッ

    ビュオンッ!

    剣士(ひいっ!)

    ビュオッ! ビュアッ! ビュンッ!

    剣士(速いっ! やっぱりコイツ、こんな性格だがメチャクチャ強え!)

    剣豪「おやおやー? 急に逃げ腰になっちゃったね!」

    剣豪「もしかして、戦士君か闘士君と戦うつもりでいたのかな~?」

    剣豪「二人のどちらか、あるいは両方を倒して、少しでも魔女をラクにしようと~?」

    剣士「ず、図星だ!」

    剣豪「ハッハーッ! やっぱりねぇ~」

    47 = 24 :

    素直すぎワラタ

    48 = 1 :

    剣士(作戦変更! みじめにへりくだって何とかしよう作戦だ!)

    剣士「ま、待って下さいっ! ──剣豪様!」

    剣豪「ん~?」

    剣士「なぜ魔女を狩るんですか!?」

    剣士「たしかに魔法を使えますが、性格は穏やかで危険はないんです!」

    剣士「こんな依頼、断ったっていいじゃありませんか!」

    剣豪「ハッハ、君はちょっちズレてるねえ」

    剣士「え?」

    剣豪「魔法は使えるが、危険はない? なんで君にいいきれる?」

    剣豪「町長のような力のない人間にとってはね、力のある奴はそれだけで怖いのさ」

    剣豪「ぶっちゃけ、いない方がいいのさ」

    49 = 19 :

    つまりこの三人も殺されるんだな

    50 = 1 :

    剣豪「それはボクや君も例外じゃあない」

    剣豪「もしその気になれば、ボクなら町の人間を楽勝で全滅できる」

    剣豪「先に向かった二人や、君でもうまくやれば半分以上殺せるだろう」

    剣士「そ、そんなことするか!」

    剣豪「だけどさ。できるってことは、やるかもしれないってことさ」

    剣豪「やるかもしれない、だけで弱い人は怖いんだよ」

    剣豪「怖くて夜も眠れなぁ~い」ブルブル…

    剣豪「あいにくボクは弱い人に怖がられて魔女みたく孤独に生きるよりは」

    剣豪「弱い人に頼られて地道に金を稼ぐような生き方をしたい」

    剣豪「そうするためには、この力で彼らの依頼を誠実にこなすしかないんだ」


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