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元スレ志々雄「たまには料理でも作ってみるか」
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方治「……は?」
方治「志々雄様──」
方治「今、なんとおっしゃられました……?」
志々雄「二度もいわせんじゃねェよ、方治」
志々雄「たまには料理でも作ってみるか、っていったんだよ」
方治「りょ、りょ、料理!? 志々雄様がですか!?」
志々雄「ああ」ニヤッ
方治「志々雄様──」
方治「今、なんとおっしゃられました……?」
志々雄「二度もいわせんじゃねェよ、方治」
志々雄「たまには料理でも作ってみるか、っていったんだよ」
方治「りょ、りょ、料理!? 志々雄様がですか!?」
志々雄「ああ」ニヤッ
志々雄「ほら、亀の姿焼き」ボロンッ
方治「宇水ぃいいいいいい!!!!」
方治「宇水ぃいいいいいい!!!!」
方治「しかし……何故いきなり……?」
志々雄「こうアジトでの生活が長引くと、さすがに退屈になってくるしな」
志々雄「まァ……国盗り前の余興みたいなもんだ」
方治(やはり、このお方は計り知れない……!)ゴクリ…
志々雄「そういや一週間後に、十本刀を集結させる手はずになっていたな?」
方治「はい。新たな指令を与えるため、宗次郎に命じて連絡は済ませております」
志々雄「よし……」
志々雄「その時、この俺自ら十本刀に手料理を馳走してやる」
志々雄「てめぇらの大将の手料理でも食えば、ちったぁ励みになるだろ」
志々雄「こうアジトでの生活が長引くと、さすがに退屈になってくるしな」
志々雄「まァ……国盗り前の余興みたいなもんだ」
方治(やはり、このお方は計り知れない……!)ゴクリ…
志々雄「そういや一週間後に、十本刀を集結させる手はずになっていたな?」
方治「はい。新たな指令を与えるため、宗次郎に命じて連絡は済ませております」
志々雄「よし……」
志々雄「その時、この俺自ら十本刀に手料理を馳走してやる」
志々雄「てめぇらの大将の手料理でも食えば、ちったぁ励みになるだろ」
方治「ところで、志々雄様」
方治「失礼ですが……料理をされたことはあるんですか?」
志々雄「不安か?」ニッ
方治「いえ、そういうわけでは……」
志々雄「心配すんな。もちろん板前のように、ってわけにゃいかねェが──」
志々雄「かつて逃亡生活をしてた頃は、当然自炊しなきゃならなかったからな」
志々雄「ま、あとで宗次郎に聞いてみろ。アイツが覚えてるかは知らねェが」
方治「は、はい……」
方治「失礼ですが……料理をされたことはあるんですか?」
志々雄「不安か?」ニッ
方治「いえ、そういうわけでは……」
志々雄「心配すんな。もちろん板前のように、ってわけにゃいかねェが──」
志々雄「かつて逃亡生活をしてた頃は、当然自炊しなきゃならなかったからな」
志々雄「ま、あとで宗次郎に聞いてみろ。アイツが覚えてるかは知らねェが」
方治「は、はい……」
志々雄「ほら、丸鷄の照り焼きだ!」
方治「ち、張ぉおおおおおおお!!」
方治「ち、張ぉおおおおおおお!!」
志々雄さんの食事シーンて酒と人肉と……おにぎりくらいだっけか?
志々雄「──てなワケだ」
志々雄「さっそく食材を集めに、出かけてくるぜ」スクッ
方治「は!?」
方治「お待ち下さい、志々雄様!」
方治「料理はともかく、食材など部下に命じて集めさせればよいでしょう!」
志々雄「分かってねェな、方治」
志々雄「料理人にとって料理ってのは、剣客にとっての決闘だ」
志々雄「決闘の行方をモロに左右する要素を、他人任せにする馬鹿がどこにいる?」
方治「し、しかし……」
志々雄「さっそく食材を集めに、出かけてくるぜ」スクッ
方治「は!?」
方治「お待ち下さい、志々雄様!」
方治「料理はともかく、食材など部下に命じて集めさせればよいでしょう!」
志々雄「分かってねェな、方治」
志々雄「料理人にとって料理ってのは、剣客にとっての決闘だ」
志々雄「決闘の行方をモロに左右する要素を、他人任せにする馬鹿がどこにいる?」
方治「し、しかし……」
方治「ただでさえ、志々雄様は明治政府から狙われる身。しかも──」
志々雄「このナリじゃ目立ちすぎるってか?」ニィ…
方治「……おっしゃるとおりです」
志々雄「フッ、これでも元々暗殺稼業で食ってたんだ。隠密行動には長けてる」
志々雄「それに、今の明治政府に俺を殺ろうなんて気概がある奴はいやしねェよ」
志々雄「どいつもこいつも保身に精一杯の二流三流ばかりだからな」
志々雄「んじゃ、出かけてくる。十本刀集結の当日には戻る」
志々雄「留守は任せた」ザッ
方治「あっ、志々雄様!」
方治「ああ……行ってしまわれた」
志々雄「このナリじゃ目立ちすぎるってか?」ニィ…
方治「……おっしゃるとおりです」
志々雄「フッ、これでも元々暗殺稼業で食ってたんだ。隠密行動には長けてる」
志々雄「それに、今の明治政府に俺を殺ろうなんて気概がある奴はいやしねェよ」
志々雄「どいつもこいつも保身に精一杯の二流三流ばかりだからな」
志々雄「んじゃ、出かけてくる。十本刀集結の当日には戻る」
志々雄「留守は任せた」ザッ
方治「あっ、志々雄様!」
方治「ああ……行ってしまわれた」
由美「えぇ~っ!? 志々雄様お一人で!?」
宗次郎「相変わらず大胆な人だなぁ」
由美「なにやってんのよ、方治! なんで止めなかったの!?」
由美「もしも志々雄様の身になにかあったら、どうするつもりなの!?」
方治「しかしだな、どうやって止めろと……」
由美「アンタが志々雄様に料理されちゃえばよかったのよ!」
方治「生憎だが、人肉は不味いと文献で読んだことがある」
由美「なに真面目に答えてるのよ、バカ!」
方治「す、すまぬ」
宗次郎「アハハハ」
方治(これだから女は苦手だ……!)
宗次郎「相変わらず大胆な人だなぁ」
由美「なにやってんのよ、方治! なんで止めなかったの!?」
由美「もしも志々雄様の身になにかあったら、どうするつもりなの!?」
方治「しかしだな、どうやって止めろと……」
由美「アンタが志々雄様に料理されちゃえばよかったのよ!」
方治「生憎だが、人肉は不味いと文献で読んだことがある」
由美「なに真面目に答えてるのよ、バカ!」
方治「す、すまぬ」
宗次郎「アハハハ」
方治(これだから女は苦手だ……!)
方治「──ところで、宗次郎」
宗次郎「はい?」
方治「お前はかつて、志々雄様と放浪生活をしていた時期があったと聞いているが」
方治「その時、志々雄様が料理をしたことがあるというのは、まことか?」
宗次郎「ん~……ああ、ホントですよ。懐かしいなぁ」
宗次郎「ボクが食糧を盗んで、志々雄さんが刀でそれを斬ったりしてくれました」
方治「で、味は?」
宗次郎「あんまり覚えてませんけど……」
宗次郎「いつも空腹でヘトヘトだったんで、きっと美味しかったはずですよ」
方治(普通味ぐらい覚えているもんだろうが! まったくどいつもこいつも……!)
由美「羨ましいわぁ……志々雄様の手料理なんて……」
宗次郎「はい?」
方治「お前はかつて、志々雄様と放浪生活をしていた時期があったと聞いているが」
方治「その時、志々雄様が料理をしたことがあるというのは、まことか?」
宗次郎「ん~……ああ、ホントですよ。懐かしいなぁ」
宗次郎「ボクが食糧を盗んで、志々雄さんが刀でそれを斬ったりしてくれました」
方治「で、味は?」
宗次郎「あんまり覚えてませんけど……」
宗次郎「いつも空腹でヘトヘトだったんで、きっと美味しかったはずですよ」
方治(普通味ぐらい覚えているもんだろうが! まったくどいつもこいつも……!)
由美「羨ましいわぁ……志々雄様の手料理なんて……」
方治(志々雄様が作る料理……いったいどんなものなのか?)
方治(この“百識”の方治でも、まったく想像がつかん!)
方治(だが、信じるのだ!)
方治(主を信じるのは臣下として当然の務め!)
方治(明治政府のブタどもによって仕立て上げられた灼熱地獄をも乗り越えられた)
方治(志々雄様ならばきっと──)
方治(皆が驚嘆するような料理を作って下さるに違いない!)
方治(この“百識”の方治でも、まったく想像がつかん!)
方治(だが、信じるのだ!)
方治(主を信じるのは臣下として当然の務め!)
方治(明治政府のブタどもによって仕立て上げられた灼熱地獄をも乗り越えられた)
方治(志々雄様ならばきっと──)
方治(皆が驚嘆するような料理を作って下さるに違いない!)
一週間後──
方治「栄えある十本刀の精鋭たちよ!」
方治「各自、任務や修業で忙しい中、遠路はるばるよくぞ集まってくれた!」
張「ま、ワイは大阪やからほとんど小旅行気分やけどな」
鎌足「そりゃあ愛する志々雄様のためですもの~!」
由美「…………」イラッ
才槌「あいにく不二は外で待機じゃがのう。あやつはアジトに入れんからな」
才槌「ところで肝心の志々雄様がおらんようじゃが……どうされたのかな?」
方治「志々雄様は──」
方治「現在、諸君らのために厨房で手料理を作っておられる!」
ザワッ……!?
方治「栄えある十本刀の精鋭たちよ!」
方治「各自、任務や修業で忙しい中、遠路はるばるよくぞ集まってくれた!」
張「ま、ワイは大阪やからほとんど小旅行気分やけどな」
鎌足「そりゃあ愛する志々雄様のためですもの~!」
由美「…………」イラッ
才槌「あいにく不二は外で待機じゃがのう。あやつはアジトに入れんからな」
才槌「ところで肝心の志々雄様がおらんようじゃが……どうされたのかな?」
方治「志々雄様は──」
方治「現在、諸君らのために厨房で手料理を作っておられる!」
ザワッ……!?
蝙也「将来この日本を支配される方が、料理を?」
蝙也(……料理など将棋の盤上にすら上がれぬ女のすることだ)
蝙也(いったいどうされたのだ、志々雄様は)
夷腕坊「ぐふふ?」
宇水「フッ」
宇水「志々雄も落ちたもんだ」
宇水「これはそろそろ殺り時かもしれんな」ニィッ…
方治「口を慎め、宇水!」
安慈(志々雄殿の手料理、か。意外な一面もあったものだ)
宗次郎「まあまあ、皆さん」
宗次郎「ここはひとまず落ち着いて、志々雄さんを待ちましょうよ」
宗次郎「もし美味しくなかったら、不味いっていってあげればいいんですから」
鎌足「あらぁ~志々雄様が作ってくれた料理なら、なんでも美味しいわよぅ」
由美「ホホホ、そうね」イライラ…
宇水「ふん……」
蝙也(……料理など将棋の盤上にすら上がれぬ女のすることだ)
蝙也(いったいどうされたのだ、志々雄様は)
夷腕坊「ぐふふ?」
宇水「フッ」
宇水「志々雄も落ちたもんだ」
宇水「これはそろそろ殺り時かもしれんな」ニィッ…
方治「口を慎め、宇水!」
安慈(志々雄殿の手料理、か。意外な一面もあったものだ)
宗次郎「まあまあ、皆さん」
宗次郎「ここはひとまず落ち着いて、志々雄さんを待ちましょうよ」
宗次郎「もし美味しくなかったら、不味いっていってあげればいいんですから」
鎌足「あらぁ~志々雄様が作ってくれた料理なら、なんでも美味しいわよぅ」
由美「ホホホ、そうね」イライラ…
宇水「ふん……」
一時間後──
志々雄「待たせたな」ザッ
方治「おお、志々雄様!」
張「ワイ待ちくたびれて、もう腹ペコですわ」グゥゥ…
志々雄「悪ィな。久々だったんで、ちと手こずっちまってな」
志々雄「ここで俺から提案がある」
志々雄「三品作ったが、全部いっぺんに出すってのも芸に欠ける」
志々雄「ってなワケで、一品ずつ出すことにしたいがかまわねェよな?」
才槌「もちろん、かまいませんぞ」
鎌足「志々雄様ったら、じらし上手なんだから、もう!」
宇水「フッ、もったいぶりおって。酷評してやるから覚悟するといい」
志々雄「もちろん、遠慮はいらねェさ。不味かったら捨ててくれてもかまわねェ」
志々雄「一品目はこれだ」バッ
志々雄「待たせたな」ザッ
方治「おお、志々雄様!」
張「ワイ待ちくたびれて、もう腹ペコですわ」グゥゥ…
志々雄「悪ィな。久々だったんで、ちと手こずっちまってな」
志々雄「ここで俺から提案がある」
志々雄「三品作ったが、全部いっぺんに出すってのも芸に欠ける」
志々雄「ってなワケで、一品ずつ出すことにしたいがかまわねェよな?」
才槌「もちろん、かまいませんぞ」
鎌足「志々雄様ったら、じらし上手なんだから、もう!」
宇水「フッ、もったいぶりおって。酷評してやるから覚悟するといい」
志々雄「もちろん、遠慮はいらねェさ。不味かったら捨ててくれてもかまわねェ」
志々雄「一品目はこれだ」バッ
器用者だから要点だけ覚えてしまえば練習無しで普通に上手い料理作りそう
蝙也「これは──」
宇水(豆腐とネギと醤油と生姜の匂い……ということは──)クンクン
方治「冷奴!?」
安慈「ほう……」
宗次郎「へぇ~、豆腐がみずみずしくてキレイだなぁ」
才槌「ふひょひょ、年寄りには有難い一品じゃのう」
由美(本当に志々雄様の手料理が食べられるなんて、夢のようだわ)
宇水「まさか、あの志々雄が本当に料理を作るとはな」
宇水「しかしながら、志々雄よ」
宇水「こんなもの、はっきりいって誰にでも作れる。目の見えぬ私にもだ」
宇水「やはり剣客に料理はできんようだな?」ニィッ
志々雄「宇水、そいつは食ってから判断しても遅くねェぞ」ニィッ
宇水(豆腐とネギと醤油と生姜の匂い……ということは──)クンクン
方治「冷奴!?」
安慈「ほう……」
宗次郎「へぇ~、豆腐がみずみずしくてキレイだなぁ」
才槌「ふひょひょ、年寄りには有難い一品じゃのう」
由美(本当に志々雄様の手料理が食べられるなんて、夢のようだわ)
宇水「まさか、あの志々雄が本当に料理を作るとはな」
宇水「しかしながら、志々雄よ」
宇水「こんなもの、はっきりいって誰にでも作れる。目の見えぬ私にもだ」
宇水「やはり剣客に料理はできんようだな?」ニィッ
志々雄「宇水、そいつは食ってから判断しても遅くねェぞ」ニィッ
宇水「ふむ……」モグッ
宇水「──こ、これは!?」
宗次郎「さっぱりしてて、美味しいですね!」
由美「豆腐と薬味の配分が絶妙だわ!」
鎌足「剣では無敵を誇り、しかも料理までできるなんて……天は二物を与えるのねぇ~」
蝙也「今までに食べた冷奴で一番かもしれん……!」
才槌「ひょ~っひょっひょ! こりゃあたまらんわい!」
夷腕坊「うまい、うまい!」
安慈「……いい味をしている」
宇水「──こ、これは!?」
宗次郎「さっぱりしてて、美味しいですね!」
由美「豆腐と薬味の配分が絶妙だわ!」
鎌足「剣では無敵を誇り、しかも料理までできるなんて……天は二物を与えるのねぇ~」
蝙也「今までに食べた冷奴で一番かもしれん……!」
才槌「ひょ~っひょっひょ! こりゃあたまらんわい!」
夷腕坊「うまい、うまい!」
安慈「……いい味をしている」
張「これ、ごっつ美味いでぇ!」
張「この絹ごし豆腐のふんわりとした舌触りを──」
張「薬味である生姜とネギがピリリと引き締めとる! まさしく“まっち”しとるんや!」
張「ただ豆腐に薬味乗せただけじゃ、こうはならん!」
張「これはまさに──」
張「味の……」
張「味の大化の改新やでぇ~っ!」
志々雄「落ちつけ、張」
方治「…………」モグモグ…
張「この絹ごし豆腐のふんわりとした舌触りを──」
張「薬味である生姜とネギがピリリと引き締めとる! まさしく“まっち”しとるんや!」
張「ただ豆腐に薬味乗せただけじゃ、こうはならん!」
張「これはまさに──」
張「味の……」
張「味の大化の改新やでぇ~っ!」
志々雄「落ちつけ、張」
方治「…………」モグモグ…
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