のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:126,332,083人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報
    VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。

    元スレ洋榎「宮永 照の便所飯を阻止する」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - すばら + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    1 2 3 4 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    1 :

    <東京 白糸台高校付近>

    洋榎「…………」

    洋榎「ここが白糸台か……」

    洋榎「よし…」ピッ..プルルルル....ガチャ

    洋榎「あ、もしもし絹?ありがとう。ちゃんと着いたわ。ホンマ助かった」

    洋榎「……え?ただ白糸台の強さの秘密を探れるかもしれんていうだけの事や」

    洋榎「学校の近くをぐるっと回ったら帰るから…………ん?せやけど調べてみな分からんやんか」

    洋榎「なんか見つけたらちゃんと絹にも教えるわ。期待しとき。ほなな」ピッ

    洋榎「ふー……」

    洋榎(絹も案外頭固いなぁ。環境っちゅうのはめっちゃ大事やないか)

    洋榎(普段歩いてる通学路とか地元に住んでる人の感じとか、部活帰りに商店街で買い食いするお惣菜とかがあいつらの強さの秘密を握っとるかもしれんのに)

    洋榎(こうして実際歩いてみる事で感じられるものもあるっちゅうもんや!)スタスタ

    2 = 1 :

    洋榎「お」

    洋榎(本屋がある……確か宮永 照は本好きやったな。次の瞬間店から出てきてバッタリ、なんてなったらオモロイけどなー)

    洋榎「ま、そうはイカの塩辛…」

    「…………」スッ..

    洋榎「おお!?」

    洋榎(ホンマに出てきた!なんちゅうタイミングや!)

    洋榎(……あっ!イカの塩辛と言うてすぐのタイミング……鯛、ミング!)

    洋榎(その鯛ミングで個人戦1位の宮永に会う……個人戦……人戦……新鮮!)

    洋榎(しかも宮永は白糸台高校。白糸台はこないだのインハイでシード。つまり1回戦免除……1回戦……回戦……海鮮!!)オォオ..

    「…………」テクテクテク

    洋榎「…………あ」ハッ!

    洋榎(あかん!余計な事考えとる場合やなかった!追いかけな!)タタッ!

    「…………」テクテク..

    3 = 1 :

    洋榎「っ!ちょい待ち!」タタタッ!

    「?」

    洋榎「よっ!」

    「…………愛宕さん?」

    洋榎「そや!愛宕 洋榎や!」

    「どうしてここに?」

    洋榎「親戚の家に泊まりに行っとってな。その帰りや」

    「そう……」

    洋榎「おう」

    「………それじゃまた」クルッ

    洋榎「はいはーい、車に気を付けるんやでぇ?あ、そや!お母ちゃん豆腐切らしてたわぁ……てる~!帰りに絹ごし豆腐買うてきてー!」

    「…………」テクテク

    洋榎「………あれ?のってけぇへんちゅう事は……ボケちゃうんか?」

    4 = 1 :

    「…………」テクテク

    洋榎「お、おーい!!待ち待ち!」ダダダ!

    「……?」クルッ

    洋榎「なんでもうお別れやねん!」

    「え?」

    洋榎「薄情すぎやろ。知らん仲やないやろが」

    「それは……そうだけど」

    洋榎「ボケたんや思ってのったのに手応え無いし、気付いたら背中しか見えへん。一瞬、客引きの気持ちとシンクロしたわ」

    「…………」

    洋榎「……冷たい目ぇしおってからに……ちょうどええ。前々から宮永に言いたい事があったんや。ええ機会やし言うたるわ」

    5 = 1 :

    「私に言いたい事?」

    洋榎「そや。それを………って立ち話やなくて座ってゆっくり話したいんやけど……お、あそこに喫茶店あるやん。寄るで」

    「え?」

    洋榎「ほれ、行こ行こ」テクテク

    「…………」

    洋榎「……どないしたん?用事あるんか?」

    「ううん」

    洋榎「ほなええやん。行くで」

    「分かった」

    6 = 1 :

    <喫茶店>

    洋榎「なかなかええ店やな~」

    「うん。静かだから結構来る」

    洋榎「そうなん?なんかオススメある?」

    「ホットケーキが美味しい」

    洋榎「おっ、ほな頼んでみよ!昼前にガッツリ食うのもなんやし、2人で分け分けしようや。飲みもんは何にする?」

    「メロ………アイスコーヒー」

    洋榎「よっしゃ、注文しよか。すんませーん!お姉さーん!」

    店員「はい」

    洋榎「ホットケーキとアイスコーヒー、あとメロンソーダください」

    「!」ピク

    店員「かしこまりました。少々お待ちください」テクテク

    7 = 1 :

    「…………」

    洋榎「……なんや、やっぱメロンソーダ飲みたかったんか?」

    「…………」フルフル

    洋榎「嘘つけ。インハイチャンプは強がりチャンプやなぁ」

    「そんな事ない」

    洋榎「高校生がメロンソーダ飲んでも別にええやん。うちは全然気にせえへんけど」

    「…………」

    洋榎「………注文変えるか?」

    「……………うん」

    洋榎「よっしゃ。あのー、すいませーん!!アイスコーヒーキャンセルでメロンソーダに変更お願いしますー!!」

    店員「あ、はい。かしこまりました」

    「………ごめん。ありがとう」

    8 :

    洋榎ちゃんは気遣いできる子かわいい

    9 = 1 :

    洋榎「別にええって。インハイチャンプ兼ドンマイチャンプや」

    「あの……インハイチャンプって言うのやめて」

    洋榎「え?」

    「その呼ばれ方、恥ずかしいから」

    洋榎「そう?分かった。ほなチャンプインハイって呼ぶわ」

    「……………………」

    洋榎「おお、ムッとしとる……冗談やんけ」

    「……………」フゥ

    洋榎「あっははは」

    「………それで、私に言いたい事って何?」

    洋榎「そんなん注文したんがきてからでええやん。話途中の大事なところで『お待たせしましたー』ってこられたら『むぅ……』ってなるし」

    「……そう?」

    洋榎「そうやで?分かりやすく説明するとな?家で推理もののドラマ観てて、主役の刑事が犯人を暴こうとす…」

    店員「メロンソーダお待たせしましたー」コト..

    洋榎「むぅ……」

    10 = 1 :

    店員「ごゆっくりどうぞ」テクテク

    洋榎「……めっちゃ適切な例え話やったのに……いいところで……」

    「………なるほど。確かに運ばれてきてからの方がいいね」

    洋榎「いや、今ので納得すな。ちゃんとビシッと説明したるから」

    「でも、もう……」

    洋榎「ええから!家で推理もののドラマ観てて、主役の刑事が犯人を暴こうとするその時!い」

    店員「ホットケーキお待たせしましたー」コトーン

    洋榎「むぅぅん……」ギリリリ..

    「……大体予測つくでしょ……」

    11 :

    大阪の人ってリアルでもこんなめんどくさいの?

    12 = 1 :

    洋榎「おかしい……やけに早いやんけ……ちゃんと焼いてるんかこれ……」ブー

    「焼いてるよ」

    洋榎「どれどれ………もぐ……もぐ」

    「…………」

    洋榎「!!な、なんやこれ!めっちゃ美味いやん!!東京やるなぁ!!」ウッマァァ!

    「……食べながら喋るから唾が……」フキフキ..

    洋榎「すまん!これ半分ずつやと損や!もいっこ注文するで!お姉さーん!!」

    「………」クス

    13 = 1 :

    10分後―――

    洋榎「ふぅ~……もう食えへん」ウェプ

    「…………」

    洋榎「しっかし、こんな美味いホットケーキ出す店教えてもうてホンマラッキーや!ありがとな!」

    「え?うん」

    洋榎「はぁ~……幸せやぁ……」ダラー

    「…………ねえ」

    洋榎「なんやぁ?」

    「私に言いたい事って?」

    洋榎「あ……」

    洋榎(完全に忘れてた!あかんあかん!)

    洋榎「よ、ようやく気付いたか!まったく、忘れてるんちゃうやろか思ってドキドキしたで」

    「…………………」

    洋榎「う……すまん、うちが忘れてた」

    「うん」

    14 = 1 :

    洋榎「………えとな、話っちゅうのは割とマジな内容やねん」

    「………」

    洋榎「宮永は……来年プロに行くんやろ?」

    「………うん」

    洋榎「その事でちょっと気になってな」

    「?」

    洋榎「正直…………苦労すると思うで」

    「………それは分かってる。プロになってすぐ通用するとは思ってない」

    洋榎「いや、そういう意味やないんや」

    「え?」

    洋榎「うちが言うてんのは、プロチームに入団した後の人間関係で苦労するって言うてんねん」

    「…………」

    洋榎「うちは前々から思っとったんや。宮永はマスコミの前やと明るく元気で礼儀正しいっちゅうキャラやけど、ホンマは全然ちゃうやん」

    「それは……」

    16 = 1 :

    洋榎「いや、悪いとは言わんで?ただ宮永本人があまりにもそのキャラとかけ離れてるやん?暗いっちゅうたら言いすぎかもしれんけど、なんかなぁ……」

    「……白糸台では上手くいってる」

    洋榎「それは分かんねん。せやけど高校の部活とプロは違う」

    「………」

    洋榎「プロはみんな年上やから若いやつに対するなんとも言えん感情があるらしいし」

    洋榎「あとプロ雀士ってグッズ売り上げとか人気商売の側面もあるやろ?それを考えると宮永みたいにめっちゃ可愛い子は特に嫉妬されるやろな」

    「えっ」

    洋榎「ん?どないしたん?」

    「あ、いや……今、かわ…………なんでもない」

    洋榎「?まぁええわ。それでな、チーム内できちんと人間関係を築けへんかったら辛いでぇ……ちゅうてな」

    「う………」

    洋榎「……ちなみに、宮永って友達おるん?」

    「………い、いるよ」

    洋榎「誰?」

    18 = 1 :

    「………菫」

    洋榎「すみれ?……ああ、弘世な。他は?」

    「……淡」

    洋榎「大星 淡か。でもあの子は友達やなくて後輩ちゃうん?」

    「こ、後輩で友達」

    洋榎「…………」

    「…………」

    洋榎「普段大星と遊んだりするん?」

    「す、する」

    洋榎「へぇ、どこ行くん?」

    「外……」

    洋榎「外のどこや?」

    「…た、楽しいところ」

    洋榎「楽しいところって?」

    20 = 1 :

    「…………ディズニーランドとか」

    洋榎「へぇー……よう行くん?」

    「う、うん……」

    洋榎「………チケット料金は?」

    「えっ?」

    洋榎「ディズニーランドの1日分のチケット料金。よう行くんなら知っとるやろ」

    「……………」

    洋榎「…………」

    「……………」

    洋榎「…………」

    「…………ホットケーキ食べる?」

    洋榎「いらん」

    21 = 1 :

    「……………」

    洋榎「…………」

    「……………」

    洋榎「ホンマは行かへんねやろ?」

    「……………うん。部活以外では全然会わない」

    洋榎「…………」

    「……………」ズーン

    洋榎「そない落ち込まんでも……うちは友達がおらん事を責めてるわけやないで?」

    「おらんわけじゃない。菫がいる」

    洋榎「……そこは譲れないんやな」

    「菫は友達……うん」

    洋榎「……あのな?友達が少ないのは別に構へん。多ければそれでええって事もないし」

    「?」

    22 = 1 :

    洋榎「ただ……今の宮永は圧倒的な強さで周りを引っ張っていっとるけども」

    洋榎「プロに入ったらそう上手い事いかんやろ。高校とはレベルがちゃうし、実力だけではなかなかやっていけへん」

    「…………」

    洋榎「今のままの宮永やと………鳴り物入りでプロになって活躍するものの、チームメイトと上手くいかず、次第に孤立していく」

    「………う」

    洋榎「試合終わりにチームメイトたちは仲良く飲み会。宮永は1人、昔のミステリー小説を読み続ける」

    「…………」ズーン..

    洋榎「所属チームなのに肩身が狭く居場所が無い。お昼休みはいつも便所飯や」

    「便所飯?」

    洋榎「…一緒に食べる相手がおらん。そんで1人で食べてるのを見られたないからトイレの個室でご飯を食べる。それが便所飯や」

    「寂しい……」ズズーン

    洋榎「そやろ?うちの予想やと宮永はホンマにこうなる可能性が高いと思うわ」

    「絶対嫌……」ズズズーン

    25 = 1 :

    洋榎「けどな、絶望するんは早いで!」

    「?」

    洋榎「宮永が便所飯生活にならへんように、うちが協力したる!」

    「え……?」

    洋榎「せやから大船に乗ったつもりでいてええでー!」

    「…………」

    洋榎「ん?どないしたん?」

    「どうして」

    洋榎「?」

    「……どうして協力なんて…」

    洋榎「……宮永は……うちが認めてるやつやからや。その宮永が人間関係でボロボロになるなんて気分悪いやろ」

    「…………」

    洋榎「そんなん………絶対嫌やねん」

    「愛宕さん……」

    27 :

    なんだ!ネキっていい奴じゃん!

    28 = 1 :

    洋榎「あ……ちゃ、ちゃうで!?いつかけちょんけちょんにしたろ思てんのに自滅されたら困るやん!?そんな感じのノリや!」

    「それでも協力してくれるのは嬉しい」

    洋榎「うぅ……とにかく!うちの言う通りやれば上手くいくから、試してみぃや!」

    「……一体どうするの?」

    洋榎「うちが思うに、人間関係を上手く回すには………ツッコミが大切や!」

    「つっこみ?」

    洋榎「そや!漫才のツッコミやな!」

    「?……今いち見えてこないけど……どういう理屈なの?」

    洋榎「……ちょっと待ってな」

    洋榎(なんて言うてたっけ?えーと……)

    29 = 1 :

    ~~~~~~~~~~~~~~~

    <姫松高校 教室>

    洋榎「ツッコミ?」

    恭子「ええ。ちゃらんぽらんな主将が好かれる理由を考えているうちにその考えに辿り着きまして」

    洋榎「んんー……ツッコミが人間関係にええ、か……」

    恭子「主将、いつもガンガンつっこむやないですか?あれが案外大きいんやないかなーと」

    洋榎「ほお」

    恭子「なんでもかんでもつっこまれるのも結構めんどくさいですけど、コミュニケーションに違いありません」

    洋榎「めんどくさいんかい」

    恭子「実際、親近感って言うか……つっこまんと眺めてる人より話し掛けやすくはありますし」

    洋榎「ほう」

    30 = 24 :

    てるてると洋榎ネキの組み合わせって珍しいな

    31 = 1 :

    恭子「ツッコミによっては細かいところ見てるなぁと思う事もあって……たまに嬉しかったりします」

    洋榎「へえ」

    恭子「あと褒める事もありますよね?その時も素直に受け止められるんですよ」

    恭子「あまり話し掛けてこない人に急に褒められるとゴマスリっぽく感じますけど、普段つっこまれてると違和感ないんです」

    洋榎「ほうほう」

    恭子「別にお笑い的なツッコミやなくても相手から会話を引き出す手段になりますし。そうすれば自分に話題が無くても会話が成立します」

    恭子「ツッコミの度合いによっては嫌われますが、そこを上手く調節すれば人間関係を円滑にする方法として使えるんじゃないかと」

    洋榎「なるほど」

    恭子「主将みたいなリーダータイプ以外にも応用出来ますし、人付き合いが苦手な子に役立つかもしれへんと思いまして」

    洋榎「む!」

    33 = 1 :

    恭子「後輩に何人か人間関係で悩んでる子がいてますのでこれを…」

    洋榎「恭子!」

    恭子「なんですか?」

    洋榎「人付き合いが苦手なやつにはツッコミが必要なんか?」

    恭子「んー……必要というのは大げさですし、適性とか環境を考慮しないとあきませんけど……応用が利くので取っ掛かりとしてはいいかと」

    洋榎「分かった……恭子を信じる」

    恭子「はぁ……誰か悩んでる子がいてるんですか?」

    洋榎「ま、まあアレや……心配なやつがな」

    恭子「へえ……誰です?」

    洋榎「そ、そんなんどうでもええやんけ!」

    恭子「珍しい反応……気になりますわ」ジィー

    洋榎「うう……」

    ~~~~~~~~~~~~~~~

    34 = 1 :

    洋榎(そやったそやった)

    洋榎「あのな?つまり―――」

    (説明中)

    洋榎「―――という感じやな」

    「なるほど……なんとなく分かったけど、具体的にはどうすれば?」

    洋榎「例えば……先輩と2人でお茶してるとするやん?そんで先輩がストローを吸おうとした時、よそ見してて空振ったとする」

    洋榎「ここで『ストロー扱えてませんやん』とかつっこめば『うっさいなぁ』って返ってくるやろ。その繰り返しで仲良うなってく」

    「……その先輩怒るんじゃない?」

    洋榎「それは言い方とか態度によるやろな。言葉だけ聞いたら馬鹿にしてるように感じるやろうけど、根っこに相手への好意があればそない怒られへん」

    「好意……」

    洋榎「そや。ホンマに馬鹿にして言うてるか、相手はなんとなく分かんねん」

    洋榎「同じ様な事言われても相手によって感じ方がちゃうやろ?あれって自分の機嫌も関係しとるけど、相手がこっちに好意を持ってるかがデカいんや」

    「なるほど……」

    洋榎「もちろん全員に当てはまるわけちゃうから怒る人もおるやろうけど、その場合はツッコミを休んで肯定しながら会話を…」

    35 = 1 :

    1時間後―――

    洋榎「で、ノリツッコミするもよし!あるいは一発ギャグで落とせば大爆笑の人気者や!」

    「すごい……」

    洋榎「せやろ?一緒におって楽しい人とは遊びたなるから誘われるようになるし、周りが楽しんでくれてると自分も嬉しなる。めっちゃ連鎖や!」

    「理想的…………でも」

    洋榎「うん?」

    「今から………間に合うかな?」

    洋榎「間に合う!心配すな!」

    「……ほんと?」

    洋榎「当然や!うちがついてるからな!」

    「愛宕さん……」

    洋榎「愛宕さんなんて呼び方はもうやめようや!今日こんだけ話したんや、うちらはもう友達やんけ!」

    「!!」

    36 = 1 :

    洋榎「せやから………?どないした?」

    「………しい」

    洋榎「?」

    「嬉しい……同学年の子にそんな事言われたの初めて……」

    洋榎「……ふ、ふーん……そうなんか………うちが初めてか……」フフッ

    「うん」

    洋榎「っと!それはともかく!愛宕さんなんて他人行儀な呼び方はやめや」

    「あ……うん……」

    洋榎「これからは………愛宕さん家の娘さんって呼んでや」

    「え?それだと今より……」

    洋榎「もぉぉ……そこは『なんでだよ!』みたいなオーソドックスなツッコミやんけ~」

    「ああ……しまった……」

    洋榎「分かりやすくベッタベタなボケやんかぁ……油断しとったらあかんよ?」

    「うん、気を付ける」

    37 = 1 :

    洋榎「んじゃ、うちの事は愛宕さんなんて他人行儀な呼び方やなくて、大阪で生まれた女って呼んでな?」

    「………友達を名曲のタイトルで呼びたくない……あと他人行儀度合いが増してるから」

    洋榎「おっ、ええやんか!飲み込み早いなぁ」

    「やった……」ホッ

    洋榎「そんな感じでやってけば問題なしや!」

    「うん。頑張る………最初はチームメイトで試してみるよ」

    洋榎「そやな、初対面でいきなりは辛いやろからな。身内を相手にして徐々に慣れていくんや!」

    プルルルル..

    「あ……電話……ちょっとごめん」

    洋榎「ん?おお」

    「………もしもし………うん………うん…………分かった………それじゃ」ピッ

    洋榎「?」

    39 :

    >>14
    可愛いから問題ない

    40 = 1 :

    「母親からで……ちょっと用事が出来ちゃった」

    洋榎「そっかー……残念やなぁ……」

    「うん……ごめん」

    洋榎「いや、謝らんでええって。しゃあないやん。それより」

    「?」

    洋榎「……け、携帯の番号とアドレス……交換せえへん?と、友達……やし……」

    「あ、うん。交換しよう」

    洋榎「おう!ほなら……―――」

    (登録中)

    「―――出来た」

    洋榎「うちもや」

    洋榎(うちの携帯に宮永 照の番号が……)フフ..

    41 :

    ネキめっちゃいい奴
    こんな友達ほしい

    42 = 1 :

    店員「ありがとうございましたー」

    「……それじゃあ私は……」

    洋榎「あ、おう。用事やもんな」

    「うん…………」

    洋榎「…………?どしたん?」

    「今日は……色々とありがとう」

    洋榎「う、うちは思ってた事を言っただけやから」

    「本当に嬉しかった……私のためにこんなに親身になってくれた人、初めてだったから……」

    洋榎「ふ、ふーん……」

    「早速明日から頑張ってみる………愛宕さんのためにも」

    洋榎「うぇっ!?う、うちのため!?それってどういう…」

    洋榎(ま、まさか……宮永もうちの事を好きに…)

    「あっ!その……協力してもらったからには頑張らないと、愛宕さんをガッカリさせちゃうだろうからって意味で…」

    洋榎「お、おお……そういう事か……ま、まぁ、なんか困った事あったらいつでも連絡しぃや」

    43 = 1 :

    「うん………それじゃ」

    洋榎「ん……」

    「ま、またね…………………洋榎」

    洋榎「!!」

    「…………」カァァア..

    洋榎「……い、今……」

    「じゃ、じゃあ…本当に行くね」テクテクテクテク!

    洋榎「……………」

    洋榎(…………ひろえ……って)

    洋榎「ふふ……ふふふふふ…………おおおおおお!!!!」

    プルルルル...

    洋榎「なんやねんホンマ!」ピッ!

    洋榎「照れるやんけぇええ!!!」モシモーシ!

    恭子『っ!?ビックリした……どんな第一声ですかもう……』

    44 :

    洋榎ちゃん!

    45 = 1 :

    洋榎「恭子か!ちょうどええわ!」

    恭子『?ちょうどええって何がです?』

    洋榎「うちの名を言ってみろぉ!!」

    恭子『………はい?』

    洋榎「うちの名を言ってみろぉ!!」

    恭子『はぁ………めんどくさいなぁ、こいつ……』ボソ

    洋榎「言ってみろぉ!!」

    恭子『愛宕 洋榎主将です』

    洋榎「そや!うちは洋榎や!!あはははは!!」

    恭子『……落ち着いてから掛け直してください。それじゃ』ブツッ

    ツーッ..ツーッ..

    洋榎「宮永が………いや!……て……照がうちを下の名前で呼びよったーーーー!!」ガオォオ!

    46 = 39 :

    47 = 1 :

    翌日―――

    <白糸台高校 麻雀部部室(A室) 前>

    「…………よし」

    (今日のA室はチーム虎姫専用……他の部員はいない)

    (チャンスだ。菫たちを相手につっこんで練習しよう)

    (プロでご飯を食べていくつもりだったけど、トイレで食べるつもりはない。今が正念場……ちゃんとコミュニケーションをとれるようになるんだ)ヨシ..

    ガチャ

    「………おはよう」

    尭深・誠子「!」

    (亦野と渋谷だけ……これならいけそう)

    誠子「あ、お疲れ様サマです」

    「っ!」

    (ここだ!)

    「お疲れ様サマって……野菜マシマシじゃないんだから!」

    誠子・尭深「えっ」

    48 :

    しえんですのだ

    49 = 1 :

    「すごい疲れたがってるみたいだよ!」

    誠子・尭深「…………」

    「…………え、えっと……その……今のはラーメン二郎の野菜が…」

    誠子「あ、いえ!意味は分かります。ただ……ビックリしたと言いますか……な?」

    尭深「………」コクコク

    「う……」

    (ここで引いたらダメ!)

    「そ、そうなんだ?お………驚きロキなんだ?」

    誠子・尭深「……………」

    「…………」

    (うう……この空気……)ズーン

    誠子「あっ……そうです!驚きロキです!な!?」

    尭深「えっ?あ、うん」

    「亦野……」

    50 = 1 :

    誠子「そ、そうだ!宮永先輩、お茶飲みましょう!いいお茶葉ッパが手に入ったらしいので!」

    「あ……うん……ま、亦野もお茶飲むノム?」

    誠子「い、いえ、私は大丈夫ウブです」

    「そう……」

    尭深「えと……私が……じゅンビンビします……」

    「…………」

    誠子「…………」

    尭深「…………」コポ--..カチャ

    (なんか……先輩のノリに無理矢理付き合わせている感じが部室中に漂ってる……言い出したのは亦野なのに……)ズーン

    (……いや、最初だから戸惑ってるだけ……そう思おう。ここでくじけたら何も変わらない)グッ

    尭深「お茶です……どうぞ……」コト..スッ..コト..(一旦置いて再度持ち上げ、置く)

    「置く時まで繰り返さなくていいから!」ビシッ!

    尭深「ひっ!す、すみません……2回繰り返すルールなのかと……」

    「あ……うん……渋谷は悪くないよ……ごめんね怖がらせて」


    1 2 3 4 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - すばら + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について