私的良スレ書庫
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元スレ憧「宥姉あの人のこと好きなんでしょ?」宥「ふぁ!?」
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宥(菫ちゃんのこと、だよね……)
憧「宥姉あの人のこと好きなんでしょ?」
宥「ふぁ!?」
憧(すっごい分かり易い反応……)
宥「ななな、何を言って……!?」
憧「今さら誤摩化さなくていいよ。ってか隠す気ゼロだったじゃん」アハハ
宥(わ、私ってそんなにも分かりやすいんだ……)
憧「あの人とはどういう関係なの? 私も詳しくは全然知らなくて……」
宥「ねえ憧ちゃん……この話、やめよ……?」
憧「やめない」ニコ
宥「あうぅ……」
憧「だって宥姉の初恋だよ? 詳しく聞かせてもらわないと夜も眠れないよ」
憧「宥姉あの人のこと好きなんでしょ?」
宥「ふぁ!?」
憧(すっごい分かり易い反応……)
宥「ななな、何を言って……!?」
憧「今さら誤摩化さなくていいよ。ってか隠す気ゼロだったじゃん」アハハ
宥(わ、私ってそんなにも分かりやすいんだ……)
憧「あの人とはどういう関係なの? 私も詳しくは全然知らなくて……」
宥「ねえ憧ちゃん……この話、やめよ……?」
憧「やめない」ニコ
宥「あうぅ……」
憧「だって宥姉の初恋だよ? 詳しく聞かせてもらわないと夜も眠れないよ」
宥「だ、だからその、恋とかじゃなくて……」
憧「あんなにもヤキモチ妬いといて好きじゃないとかおかしいって。恥ずかしがるのは分かるけどさ」アハハ
憧「で、あの人のどこを好きになったの? きっかけは? 告白とかは……」
宥「あ、憧ちゃ……」アワワ
菫(クソっ、ここからじゃよく見えないし何も聞こえない……)
菫(一体何の話をして……)ソワソワ
淡「スミレは何も頼まないの?」
菫「今はそれどころじゃない」
淡「勿体ないなぁ。すっごく美味しいのに」モグモグ
憧「あんなにもヤキモチ妬いといて好きじゃないとかおかしいって。恥ずかしがるのは分かるけどさ」アハハ
憧「で、あの人のどこを好きになったの? きっかけは? 告白とかは……」
宥「あ、憧ちゃ……」アワワ
菫(クソっ、ここからじゃよく見えないし何も聞こえない……)
菫(一体何の話をして……)ソワソワ
淡「スミレは何も頼まないの?」
菫「今はそれどころじゃない」
淡「勿体ないなぁ。すっごく美味しいのに」モグモグ
菫(なんとかして様子を伺って……)
淡「私はスミレが心配してるような関係じゃないと思うけどなぁ」モグモグ
菫「……ならどういう関係だって言うんだ」
菫「学年も違って校内での関わりも薄いだろうに、あんなにも仲良さげにしているんだぞ?」
菫「それも少し人見知りの気がある宥と……どう考えても普通の友人同士じゃない」
淡「確かに普通の友達同士ではないだろうけど、そこまで特別な関係でもないと思うよ?」
淡「例えるなら……私とスミレみたいな感じかと」
菫「……?」
淡「年の離れた幼馴染み。あの二人結構昔からの知り合いに見えるし、それが一番しっくり来るよ」
菫「……しかし」
淡「それにアコ、他にちゃんと好きな人いるよ?」
菫「は?」
淡「私はスミレが心配してるような関係じゃないと思うけどなぁ」モグモグ
菫「……ならどういう関係だって言うんだ」
菫「学年も違って校内での関わりも薄いだろうに、あんなにも仲良さげにしているんだぞ?」
菫「それも少し人見知りの気がある宥と……どう考えても普通の友人同士じゃない」
淡「確かに普通の友達同士ではないだろうけど、そこまで特別な関係でもないと思うよ?」
淡「例えるなら……私とスミレみたいな感じかと」
菫「……?」
淡「年の離れた幼馴染み。あの二人結構昔からの知り合いに見えるし、それが一番しっくり来るよ」
菫「……しかし」
淡「それにアコ、他にちゃんと好きな人いるよ?」
菫「は?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
憧「なるほど……まさしく文武両道才色兼備、って感じなんだね」
宥「うん、菫ちゃんは本当にすごいの……部活は麻雀部と弓道部を掛け持ちしてて、麻雀部では部長で……」
憧「麻雀部……ってことは和の先輩なんだ……」ボソ
宥「?」
憧「いや、こっちの話」ニコ
憧「しかし、なんか聞けば聞くほど完璧超人だね。欠点とかあるの?」
宥「あるんだろうけど……私はまだ知らないかな」アハハ
憧「まだ知らない?」
宥「お友達になったのは最近のことだから……」
憧「そうなんだ……ってちょっと待って。3年間クラス一緒だったんだよね?」
宥「うん……」
憧「にも関わらず友達になったのは最近なの? それって今まですっごい勿体ない事してたんじゃ……」
宥「……」シュン
憧(あ……これ触っちゃダメなヤツだ……)
憧「なるほど……まさしく文武両道才色兼備、って感じなんだね」
宥「うん、菫ちゃんは本当にすごいの……部活は麻雀部と弓道部を掛け持ちしてて、麻雀部では部長で……」
憧「麻雀部……ってことは和の先輩なんだ……」ボソ
宥「?」
憧「いや、こっちの話」ニコ
憧「しかし、なんか聞けば聞くほど完璧超人だね。欠点とかあるの?」
宥「あるんだろうけど……私はまだ知らないかな」アハハ
憧「まだ知らない?」
宥「お友達になったのは最近のことだから……」
憧「そうなんだ……ってちょっと待って。3年間クラス一緒だったんだよね?」
宥「うん……」
憧「にも関わらず友達になったのは最近なの? それって今まですっごい勿体ない事してたんじゃ……」
宥「……」シュン
憧(あ……これ触っちゃダメなヤツだ……)
憧「と、ところで何をきっかけに好きになったの?」
憧「最近になるまで友達ですら無かったんだったら、一体どんな出来事があって……」
宥「えっと、3ヶ月くらい前に大きな地震があったのは覚えてる?」
憧「そりゃもちろん。あの地震が起こってから1週間はその話題で持ち切りだったからね」
憧「あ、そういえば宥姉知ってる? あの時3年生二人が体育倉庫に閉じ込められとかで、学校中大騒ぎになってさ」
宥「実はね、その時に閉じ込められた3年生っていうのが……私と菫ちゃんなの」
憧「え!? 本当に!?」
憧「あ、なるほど。ってことはその時に……」
宥「うん……この気持ちがそういうのだって気付いたのは、あの時がきっかけだと思う……」
憧「最近になるまで友達ですら無かったんだったら、一体どんな出来事があって……」
宥「えっと、3ヶ月くらい前に大きな地震があったのは覚えてる?」
憧「そりゃもちろん。あの地震が起こってから1週間はその話題で持ち切りだったからね」
憧「あ、そういえば宥姉知ってる? あの時3年生二人が体育倉庫に閉じ込められとかで、学校中大騒ぎになってさ」
宥「実はね、その時に閉じ込められた3年生っていうのが……私と菫ちゃんなの」
憧「え!? 本当に!?」
憧「あ、なるほど。ってことはその時に……」
宥「うん……この気持ちがそういうのだって気付いたのは、あの時がきっかけだと思う……」
宥「菫ちゃんのこと自体は、1年生の時からずっと気になってたんだけど……」
憧「そうなんだ」
宥「いつも私のことを気にかけてくれて、困った時はすぐに助けてくれて……」
憧(それって……)
宥「私がこんな性格だから、今までちゃんとお礼も言えなかったし、友達になってとも言えなかったんだけどね……」
憧「えっと、弘世さんは1年生の時からずっと優しくしてくれてるの?」
宥「うん。初対面の時は色々あったけど、それからはずっと」
憧「……脈アリだね」
宥「ふぇ?」
憧「もしかしたら弘世さんも宥姉のこと好きだったりして……」
宥「あ、あり得ないよそんなこと……」
憧「どうして?」
憧「そうなんだ」
宥「いつも私のことを気にかけてくれて、困った時はすぐに助けてくれて……」
憧(それって……)
宥「私がこんな性格だから、今までちゃんとお礼も言えなかったし、友達になってとも言えなかったんだけどね……」
憧「えっと、弘世さんは1年生の時からずっと優しくしてくれてるの?」
宥「うん。初対面の時は色々あったけど、それからはずっと」
憧「……脈アリだね」
宥「ふぇ?」
憧「もしかしたら弘世さんも宥姉のこと好きだったりして……」
宥「あ、あり得ないよそんなこと……」
憧「どうして?」
宥「私みたいなこたつ女、菫ちゃんが好きになるわけないから……」シュン
憧「もー、どうしてそういうこと言うの! 宥姉のそういう卑屈なところ良くないよ?」
憧「もっと自分に自信持たなきゃ。美人で可愛くてスタイル良くて……引っ込み思案な性格直せばモテモテに決まってるんだから」
宥「そ、そんなことないよ……」モジ…
憧「そんなことある! そう考えると宥姉に目を付けた弘世さんはかなり見る目あるね、うん」
宥「す、菫ちゃんは私のことなんか」
憧「何とも思ってない。宥姉本当にそう思ってるの?」
宥「……」
憧「いつも気にかけてくれたり、困ってる時は助けてくれたり……ただのクラスメイト相手に普通はそこまでしないって」
憧「それも1年の時から今までずっとなんて、好きじゃないって方がおかしいよ」
憧「もー、どうしてそういうこと言うの! 宥姉のそういう卑屈なところ良くないよ?」
憧「もっと自分に自信持たなきゃ。美人で可愛くてスタイル良くて……引っ込み思案な性格直せばモテモテに決まってるんだから」
宥「そ、そんなことないよ……」モジ…
憧「そんなことある! そう考えると宥姉に目を付けた弘世さんはかなり見る目あるね、うん」
宥「す、菫ちゃんは私のことなんか」
憧「何とも思ってない。宥姉本当にそう思ってるの?」
宥「……」
憧「いつも気にかけてくれたり、困ってる時は助けてくれたり……ただのクラスメイト相手に普通はそこまでしないって」
憧「それも1年の時から今までずっとなんて、好きじゃないって方がおかしいよ」
宥「……菫ちゃんの好きと私の好きは違うから」
憧「そんなの宥姉の思い込みで」
宥「私のことをどう思ってるのか、菫ちゃんに訊いたことがあるの」
憧「え……?」
宥「最初は好きだって言われたんだけどね……その後に念を押されたの。友達としてだって」
憧「……」
宥「だから、菫ちゃんが私と同じ気持ちって言うのは……あり得ないよ」
憧「……そんなこと訊ける勇気があるのに、どうして惚れさせてやろうっていう気持ちにはなれないの」
宥「私なんかとじゃ菫ちゃんに釣り合わないよ……」
憧「じゃあ弘世さんが他の誰かと付き合ったりしていいの?」
憧「見ず知らずの人と抱き合ったりキスしたり、その優しさが他の人に……」
宥「……」ウルウル
憧「ごめんなさい!」
憧「そんなの宥姉の思い込みで」
宥「私のことをどう思ってるのか、菫ちゃんに訊いたことがあるの」
憧「え……?」
宥「最初は好きだって言われたんだけどね……その後に念を押されたの。友達としてだって」
憧「……」
宥「だから、菫ちゃんが私と同じ気持ちって言うのは……あり得ないよ」
憧「……そんなこと訊ける勇気があるのに、どうして惚れさせてやろうっていう気持ちにはなれないの」
宥「私なんかとじゃ菫ちゃんに釣り合わないよ……」
憧「じゃあ弘世さんが他の誰かと付き合ったりしていいの?」
憧「見ず知らずの人と抱き合ったりキスしたり、その優しさが他の人に……」
宥「……」ウルウル
憧「ごめんなさい!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
菫「……」グデー
淡「どうしたのスミレ? そんなにぐったりして」
菫「気が抜けたんだよ……」
淡「ふふ、安心した?」
菫「心の底からな……ってどうして最初から言わなかった」ジト
淡「なんか面白そうだったから」ニコ
菫「おい」
淡「それに言ったって信じそうにない雰囲気だったし」
菫「その画像を見せれば良かっただけの話だろ……」
淡「スミレに証拠を出せって言われてから思い出したので」アハハ
菫「はぁ……」
菫「……」グデー
淡「どうしたのスミレ? そんなにぐったりして」
菫「気が抜けたんだよ……」
淡「ふふ、安心した?」
菫「心の底からな……ってどうして最初から言わなかった」ジト
淡「なんか面白そうだったから」ニコ
菫「おい」
淡「それに言ったって信じそうにない雰囲気だったし」
菫「その画像を見せれば良かっただけの話だろ……」
淡「スミレに証拠を出せって言われてから思い出したので」アハハ
菫「はぁ……」
淡「そんなにもあの人のこと好きなんだねー。ユウ、だっけ?」
菫「松実さんと呼べ」
淡「堅苦しいからユウでいいよ」
菫「……」ジトー
淡「もう、どうしてそんなことで突っかかって来るの」タハハ
淡「スミレの恋人か何かなの?」
菫「……クラスメイトで友人だ」
淡「あ、そうなんだ。告白とかは?」
菫「す、するわけないだろ!? なに言ってるんだお前!?」
淡「え? だって好きなんでしょ? じゃあ好きです、って言って付き合えばいいじゃん」
菫「あのなぁ、そんなことが出来れば誰も苦労は……」
淡「ふふ、やっぱりあの人のこと好きなんだー」
菫「っ……お、お前……!」
淡「ねえねえ、恋バナしようよ恋バナ。どうして好きになったの? 何がきっかけ? いつから片思いしてて……」
菫「ええい黙れ! お前とそんな浮ついた話できるか!」
菫「松実さんと呼べ」
淡「堅苦しいからユウでいいよ」
菫「……」ジトー
淡「もう、どうしてそんなことで突っかかって来るの」タハハ
淡「スミレの恋人か何かなの?」
菫「……クラスメイトで友人だ」
淡「あ、そうなんだ。告白とかは?」
菫「す、するわけないだろ!? なに言ってるんだお前!?」
淡「え? だって好きなんでしょ? じゃあ好きです、って言って付き合えばいいじゃん」
菫「あのなぁ、そんなことが出来れば誰も苦労は……」
淡「ふふ、やっぱりあの人のこと好きなんだー」
菫「っ……お、お前……!」
淡「ねえねえ、恋バナしようよ恋バナ。どうして好きになったの? 何がきっかけ? いつから片思いしてて……」
菫「ええい黙れ! お前とそんな浮ついた話できるか!」
淡「私のおかげで疑いが晴れたんだから、それくらいしてくれてもいいじゃん」ムス
菫「そもそもお前が最初から新子のことを話していればだな……」
淡「ねえ話してよー。堅物のスミレが恋に落ちる経緯なんて、詳しく訊かないと夜も眠れないよ」
菫「眠れない時間で勉強でもしてろ」
淡「うわ、そういうこと言うんだー……」
菫「こういう話は軽々しく口にするようなことじゃない」プイ
淡「スミレの頭でっかち! そうやっていじわるするなら私にも考えがあるから」スッ
菫「……おい、どこに行く」
淡「ユウのところ。スミレがストーカーしてたって言いつけてくる」テクテク
菫「はぁ!? っておいちょっと待て!!」ガタン
「「…………」」ジロ…
菫「うっ……」
淡「ふふふ……」
菫(こ、コイツ……!!)
菫「そもそもお前が最初から新子のことを話していればだな……」
淡「ねえ話してよー。堅物のスミレが恋に落ちる経緯なんて、詳しく訊かないと夜も眠れないよ」
菫「眠れない時間で勉強でもしてろ」
淡「うわ、そういうこと言うんだー……」
菫「こういう話は軽々しく口にするようなことじゃない」プイ
淡「スミレの頭でっかち! そうやっていじわるするなら私にも考えがあるから」スッ
菫「……おい、どこに行く」
淡「ユウのところ。スミレがストーカーしてたって言いつけてくる」テクテク
菫「はぁ!? っておいちょっと待て!!」ガタン
「「…………」」ジロ…
菫「うっ……」
淡「ふふふ……」
菫(こ、コイツ……!!)
淡「騒ぎすぎるのは良くないよ? さっきの声だって向こうに聞こえちゃってるかも」ニヤ
菫「お前後で覚えとけよ……!」
淡「これで話す気になってくれたよね? スミレ♪」
菫「はぁ……先に言っとくが、何も面白いことなんて無いぞ」
淡「面白いことなんて求めてないよ。甘酸っぱい話が聞きたい」ニコ
菫「甘酸っぱくもないと思うんだが……」
淡「いいからいいから♪ で、まず二人はどういう出会いを果たしたの?」
菫「そ、そんなところから話すのか?」
淡「もちろん! 素敵な出会いがあるからこそ恋は始まるんだよ!」
菫「少女漫画の読み過ぎだ……そもそも私と宥の初対面はロクなものじゃない」
淡「どういうこと?」
菫「……高校に入学、いや進学して1週間ほど経った日のことだったんだが―――」
菫「お前後で覚えとけよ……!」
淡「これで話す気になってくれたよね? スミレ♪」
菫「はぁ……先に言っとくが、何も面白いことなんて無いぞ」
淡「面白いことなんて求めてないよ。甘酸っぱい話が聞きたい」ニコ
菫「甘酸っぱくもないと思うんだが……」
淡「いいからいいから♪ で、まず二人はどういう出会いを果たしたの?」
菫「そ、そんなところから話すのか?」
淡「もちろん! 素敵な出会いがあるからこそ恋は始まるんだよ!」
菫「少女漫画の読み過ぎだ……そもそも私と宥の初対面はロクなものじゃない」
淡「どういうこと?」
菫「……高校に入学、いや進学して1週間ほど経った日のことだったんだが―――」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
菫『……』ボー
菫(高校生になって今日でちょうど1週間か……)
菫(中等部の頃からの面子がそのままいるから、高校生になった実感があまり涌かないな……)
菫(毎度の如くクラスにはアイツがいるし)
照『……』ペラ…
菫(変わったのなんて制服と教室くらいだ。別の中学から来た新しい顔もちらほら見かけるが……)
菫(今現在で一番印象に残っている、というより目に付くのは彼女だな……)
菫(もう晩春だって言うのにあんな格好……自己紹介の時に極度の寒がりだとか言っていたが、冗談にしか思えない……)
菫(マスクとセーターはまだしも、教室の中で手袋とマフラーは目に余る)
菫(学級委員長になったからには一度注意する必要が……)
ザワ…ザワ…
菫(……なんだ? さっきから妙に教室がざわついて……)チラ
菫『……』ボー
菫(高校生になって今日でちょうど1週間か……)
菫(中等部の頃からの面子がそのままいるから、高校生になった実感があまり涌かないな……)
菫(毎度の如くクラスにはアイツがいるし)
照『……』ペラ…
菫(変わったのなんて制服と教室くらいだ。別の中学から来た新しい顔もちらほら見かけるが……)
菫(今現在で一番印象に残っている、というより目に付くのは彼女だな……)
菫(もう晩春だって言うのにあんな格好……自己紹介の時に極度の寒がりだとか言っていたが、冗談にしか思えない……)
菫(マスクとセーターはまだしも、教室の中で手袋とマフラーは目に余る)
菫(学級委員長になったからには一度注意する必要が……)
ザワ…ザワ…
菫(……なんだ? さっきから妙に教室がざわついて……)チラ
菫『な……』
宥『……』テクテク…
菫(なんだあれは……コートにマスクに……ゴーグルって……)
ザワ…ザワ…
宥(うぅ、みんなすごく見てるよぉ……)カァァ
菫(あ、あれが噂の高校デビューってヤツなのか……?)
菫(いや、中学時代の彼女のことなんて何一つ知らないが……どう見たって変質者で……)
『なんか怖いね……』
『うん……近づくと何かされそう……』
菫(みんなが怯えている……)
宥『……』テクテク…
菫(なんだあれは……コートにマスクに……ゴーグルって……)
ザワ…ザワ…
宥(うぅ、みんなすごく見てるよぉ……)カァァ
菫(あ、あれが噂の高校デビューってヤツなのか……?)
菫(いや、中学時代の彼女のことなんて何一つ知らないが……どう見たって変質者で……)
『なんか怖いね……』
『うん……近づくと何かされそう……』
菫(みんなが怯えている……)
宥(やっぱり、こうなっちゃうよね……)
宥『はぁ……』
菫(私一人だけならまだしも……こうなると流石に見過ごす訳にはいかない)ガタ
宥(私、友達出来るのかなぁ……)
宥(中学に入学したときは、小さい時からの友達がいたから大丈夫だったけど……今は……)
菫『君、ちょっといいか』
宥『!』ビク
宥『は、はい……なんでしょうか……?』
菫『その格好は一体なんだ』
宥『え……?』
宥『はぁ……』
菫(私一人だけならまだしも……こうなると流石に見過ごす訳にはいかない)ガタ
宥(私、友達出来るのかなぁ……)
宥(中学に入学したときは、小さい時からの友達がいたから大丈夫だったけど……今は……)
菫『君、ちょっといいか』
宥『!』ビク
宥『は、はい……なんでしょうか……?』
菫『その格好は一体なんだ』
宥『え……?』
菫『強盗でもするつもりか。誰がどう見たって不審者だぞ』
宥『うっ……あ、あのっ。私……』
菫『まずはそのおかしなゴーグルとマスクを外したらどうだ』
菫『人と話をするときに顔を隠すなんて非常識だと思わないか?』
宥『ご、ごめんなさい……今外します……』
宥『……』」スッ
菫『!』
宥『……』モジ…
菫(こんな顔をしていて……)ボー
宥(ちょっと寒いかも……)ブル…
菫(な、何を見惚れているんだ私は。目的を思い出せ)
宥『うっ……あ、あのっ。私……』
菫『まずはそのおかしなゴーグルとマスクを外したらどうだ』
菫『人と話をするときに顔を隠すなんて非常識だと思わないか?』
宥『ご、ごめんなさい……今外します……』
宥『……』」スッ
菫『!』
宥『……』モジ…
菫(こんな顔をしていて……)ボー
宥(ちょっと寒いかも……)ブル…
菫(な、何を見惚れているんだ私は。目的を思い出せ)
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