元スレ照「淡と咲が一緒に歩いてる……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
101 :
淡咲って実際どんな感じなんだろうな
102 = 91 :
ほ
103 = 89 :
お前らも本当は書きたいんだろ?
ここ使ってかけよ
104 :
淡咲は良いね
乙
105 :
淡(一限目だる~…はやく放課後にならないかな)
教師「今日は皆さんに転校生を紹介します」
教師「はい、じゃあ自己紹介お願いします」
咲「転校生の宮永咲です。両親の都合で長野から引っ越してきました」
淡(…ミヤナガ?)
咲「私東京は初めてで、色々と慣れないんですが、よろしくお願いします(ペッコリン」
ザワザワザワ
106 :
ふむ
107 = 105 :
*「ねえ、宮永さんってさー」
*「もしかして、だけど宮永照の妹さん…だったりする?」
淡(そんな訳ないじゃん。苗字が宮永ってだけでミーハー丸出し。みっともない)
咲「あ、えーと…はい」
淡(!?)
*「きゃー!本当!?すっごい!」
*「お姉さんって家じゃどんな感じ!?」
*「宮永さんも麻雀やるの?」
ザワザワザワザワ
淡(…テルに、妹居たんだ)
何だろう、凄く、嫌な気分
108 = 91 :
ほう
109 = 105 :
人、人、人、人…
好奇心で出来てますって顔したクラスメイトに取り巻かれて
質問攻めに合う気の弱そうな転校生は、小声で何とか質問に答えている
どんなって…普通です。お姉ちゃん、あまり喋らないけどちょっと抜けたところがあって
麻雀はやってました。家族麻雀ですけど、お正月とかにお父さん達と一緒に…
転校生の一言ごとに教室に歓声が沸いて、次から次へと質問が飛ぶ
110 = 98 :
ほうほう
111 = 89 :
これは淡咲ですか?
112 = 105 :
いつもと同じ休み時間、何時もと違う教室を取り巻く異様な雰囲気が最高潮に達したのは
私のよく知る顔が教室に現れた時だったろう
赤い髪に赤い瞳、白糸台では、ううん多分日本全国で知らない人間を探す方が難しい
三年連続の全国優勝校のエースであり、高校生麻雀部員の頂点宮永照
あれだけざわついていた教室が、照の姿が現れた途端水を打ったように静まり返る
そして照は私の方に目もくれず、クラスメートに取り巻かれた転校生の方へ足を進めると
「学校に馴染めてるか心配できたんだけど、心配なさそうだね咲」
転校生の周りの人間に目をやって、それから転校生に目をやると凄く優しい笑顔でそういった
113 = 105 :
その予定です
おもしろくない、おもしろくない、おもしろくない
私は照のあんな笑顔は知らないし、あんな風に言葉をかけてもらったことは無い
なのにこの気の弱そうな転校生は、私が手に入れられないものを、あんなに簡単に手に入れた
何で?妹だから?妹だからって理由だけで、そんな理由で
きっと今の私は惨めな顔をしてる。机の上に突っ伏して、眠ったふりをして
いっそ眠れたらどんなにいいだろう。一限目の眠気が残っていたら
でも今の私は眠ることも出来ずに、狂ったように脈打つ心臓の音で頭がいっぱいになりながら
転校生の言葉に耳を澄ましている
114 = 89 :
どうぞ続けて
115 = 105 :
*「ねえ、宮永さんは麻雀部に入らないの?」
誰かが言った言葉に、すかさず別の誰かが相槌を入れる
麻雀部!宮永さんならきっとレギュラーに入れるわよ。だって宮永照の妹なんだもの
何て勝手な言葉だろう。どれだけの人間が、どんな思いをしてレギュラーになろうとしているのか分かってるんだろうか
私が、どんな思いをして、宮永照と一緒に居たくてレギュラーになったのか知らないくせに
宮永咲、宮永照の妹、だから麻雀部に入るべき
無神経な周りの声に押されて宮永咲が麻雀部への入部をほのめかさせられたのはそれから少ししての事
117 :
今から寝ようと思ったのに嫌がらせか
全力で支援する
118 = 105 :
許せないと思った
宮永咲が
照の妹だからって理由だけで、ずけずけ私の日常を踏み荒らしていったあの転校生が
今日学校に来るまでは、私は日本一幸せな学生だった
憧れの先輩と、日本一の麻雀部、そして全国
宮永照と一緒の部で、宮永照と一緒にすごして、一緒に得た成果
でも今の私には何も無い。例え一緒に全国に行っても、日本一になっても
妹じゃないって理由だけで与えられないものがあることを知ってしまった
妹だからって理由だけで与えられる人間を知ってしまった
だから宮永咲が嫌い。絶対に許せない
きっとこれは八つ当たり。でも、だからって私にどうすることが出来るんだろう
119 :
淡咲か、支援せざるを得ないな
120 = 105 :
「この子が新しく部に入った宮永咲」
放課後、クラスの人間に押し出される様にして入部した咲を、照が皆に紹介する
周りから向けられる視線が怖いのか、下を向いておどおどした様子の咲を背にかばい
仲良くやって欲しいと照が頭を下げる
私が入部した時も照はあんな顔で笑ったんだろうか。頭を下げたんだろうか
よく思い出せない
121 = 105 :
咲が入部して一ヶ月
周囲の期待の様に咲は部内で頭角を現すこともなく
地味といった方がいい存在になっていた
照が普通に接してくれと言った言葉のとおりに雑用を与えられ
本人も雑用を苦にした様子もなく、与えられた仕事をこなす
麻雀部は咲が来る前と何も変わらない
周囲の人間も、時が過ぎるにつれて飽きが来て今では咲を特別意識することもなくなったようだ
私を除いては
時間は一月、二月と過ぎて行き
季節は秋も終わりに近付いていた
『議題:卒業前の麻雀部での発表活動の演目について』
早い話が学校内で麻雀部の活動成果を見せる為に何をするかという奴だ
大方の流れは卒業生と在校生で試合をすると言うことで固まっていたけれど
「私に案があるんですけど」
挙手して立ち上がる
「卒業生と在校生の試合には賛成ですけど、目玉になる試合を組んだらどうでしょう」
「宮永照と、宮永咲さんの試合」
123 = 105 :
「きっと話題になりますよ。何てったって「宮永」姉妹の対戦だもん」
そうだ。話題になるに違いない。話題になって注目を浴びて
そして大恥でもかけばいい
「…卒業生と、在校生の残りの人選は?」
「卒業生はスミレさんが入ればいいし、在校生はこれから選べばいいじゃないですか」
私の提案でざわめく部室の中で、照は普段と何も変わらない
普段通りの顔で私を見、咲を見て
一言咲にどうする?と尋ねた
答えなんて分かりきってる。この気の弱いクラスメイトは周りの空気に酷く敏感で
124 = 105 :
かくして宮永照と宮永咲の試合が決まり
下火になっていた宮永咲の人気も再燃した
宮永さん、宮永さんと周囲の人間にせっつかれ
うつむく咲の姿を見て暗い喜びを覚える
麻雀部の私には、宮永咲と組みたいという人間が現れないと分かっていたから
誰が平凡な成績の咲と一緒に大舞台に上がりたいと思うだろう
今や試合は前項の注目を浴びていて、噂ではマスコミまで現れるのではないかと言われている
咲と一緒に恥をかきたい人間がいるはずもない
126 = 105 :
宮永咲のパートナーは見つからない。予定された日時だけが近付いてくる
日に日に落ち込んでいく咲をみて暗い喜びを覚える
「妹さん、お相手見つからないみたいですね」
タブレットに目を落とす照に話しかける
見ているのは咲の牌譜
私は何度も目をとしている
面白みの無い、どこにでもありそうなありふれたもの
「そうみたいだね」
「もう少し麻雀が上手ければ集まったんでしょうね」
128 :
ここからの淡咲は期待出来る
129 = 105 :
照「こんな打ち方をやめればね」
淡「打ち方?」
照「咲の牌譜、見た?」
淡「見ましたよ。平凡で、面白みが無くて…」
照「いつもプラスマイナスゼロ」
淡「…!」
思わず照が覗き込んでる牌譜に目を落とす
あれも、これも、全部
淡「…わざとやったって言いたいんですか?」
血が逆流するような感覚に襲われる
気付けば、駆け出していた
130 = 98 :
舐めプか
131 = 101 :
興奮してきた
132 = 105 :
淡「…宮永、咲!」
咲「あ、あの」
三軍用の部屋に駆け込んで、咲の手を取って引きずるように部屋を出る
咲の控え目な抗議の声も、周囲の視線もどうでもよかった
そのままずんずんと廊下を歩き続け
淡「ねえ!」
咲「は、はい」
淡「あんたがわざとプラマイゼロにしてるって聞いたんだけど!」
咲「あ、えっと」
淡「そうなの!?」
咲「はい…」
淡「何で?」
咲「え」
淡「何でそんなことするわけ?全っ然わかんない」
咲「昔から、人に勝つとかが嫌で…負けた人を見るのも嫌で」
淡「だから部でも手を抜いて打ってたわけ?」
133 = 105 :
淡「…あんたって」
咲「え…?」
淡「あんたって、どこまで人をいらつかせるわけ!?」
淡「悔しがらせたくないから勝ちを恵んで差し上げますって?何様のつもり?」
咲「あのっ…!」
淡「来なさいよ」
尭深「…どうも」
誠子「よろしく」
淡 「せーこちゃんとたかみちゃん。一緒に卓囲んでくれるように頼んだの」
134 = 105 :
咲「えっと、よく状況が…」
淡「本気で打って」
咲「え?」
淡「手加減とかプラスマイナスゼロだとか抜きで、勝とうとして打ちなさいよ」
淡「でないと私、照がやる気の無い人間の入部認めたって言うよ?」
淡「宮永照は、大した事無い人間を、妹だから、贔屓して部に入れたって」
咲「!」
136 :
今北
とりあえず行間開けろよ
137 = 101 :
地の文もあるから別に気にならないけどな
138 = 105 :
誠子「……」
尭深「……」
淡 「……」
咲 「……」
尭深「半荘5回…一位は淡が三回、宮永さんが二回」
誠子「接線だったなー…二人で目一杯張り合って」
尭深「来た事を後悔した」
淡(ああ、宮永咲、この子本当に)
淡(本当に強いや)
咲「大星さん」
淡「ふぇ!?」
咲「凄いよ大星さん。こんなに強い人と打ったの私初めてだよ」
淡「あ、当たり前じゃん。日本最強校の大将だし!」
尭深「高校百年生だし?」
咲「え?」
淡「たかみちゃん!」
139 = 105 :
気がつけば宮永咲に抱いていたわだかまりも、憎しみに似た感情もどこかに消えていた
息の詰まるような戦いの中、お互いの一挙措にまで神経を張り詰めあって卓を囲み
相手の内面を読み合い、知能を絞り切った末にあったのは
全国の舞台でも見たことの無いような強敵と、力の限り、根限りにぶつかった先にあったのは
ただ純粋な感動で
ほんの数時間共に過ごしたこの相手の事がこの上なくいとおしかった
140 = 105 :
咲「あの、渋谷さん」
尭深「何?」
咲「大星さん、居ますか?」
尭深「…卒業生と在校生の試合の件?」
咲「はい。私大星さんと出たくて」
尭深「そう。でも淡はまだ来てない」
咲「そうですか…」
尭深「でも、多分脈はある」
咲「え?」
誠子「ずーっと牌譜と戦ってたもんな。誰かの為に」
咲「それは、どういう」
尭深「昨日はずっと百面相をしてた。多分、宮永さんの腕を認めるのが悔しくて」
141 = 105 :
「宮永咲!」
驚いた様に振り返った咲に、抱えていた紙束を押し付ける
今まで酷使した指が酷く痛い
咲「これは…牌譜?」
淡「テルとスミレの。今まで手抜きして打ってたんだから、必死に研究しないと勝てないでしょ」
淡「…いらないなら捨てなさいよ。どうせ大したものじゃないし?」
誠子「大したものじゃないものを、わざわざ手で書き起こすかね。注釈つきで」
尭深「圧倒的なひらがな率」
淡「うるさいなあ!」
142 :
淡ちゃんかわいい
144 = 105 :
淡「そ、それから!」
咲「?」
顔に血が上るのが自分でも分かる
多分今私の顔はほおずきのような色をしてる筈
馬鹿馬鹿しい。一人で恨んで、憎んで、大恥をかけばいいと思ってた相手なのに
ただ一度麻雀をしただけでこんなにも私は他愛も無く
淡「勝手に試合組んだりして悪かったって思ってる」
淡「咲が辞退したいなら、私が責任持って話をつけてくるし」
淡「もし出るつもりで居て、まだ相手が見つからないなら」
145 :
続きが気になるが眠い・・・こんな時間に困るじゃないか
しえん
146 = 105 :
「わたしと一緒に出てくれませんか」
一晩考え、断られる場面を思い浮かべ続けた言葉を
必死に口の外に押し出して、目をつぶった
一秒、二秒時間が経つのが凄く遅く感じる
今咲はどんな顔をしているのだろう
勝手に恨まれて勝手に陥れた人間がこんな事を言うのは酷く勝手なことだと分かっているし
きっと許されないことなのだろうけど
それでも私は祈ってしまう
この子ともっと打ちたいと、この子をもっと知りたいと
ああ、こんなに体が震えなければいいのに
147 = 105 :
随分と長い時間が経った気がするし
ほんの短い時間だった気もする
気付けば私は咲に手をとられ
「大星さん、私ね、初めて麻雀を打って楽しいと思った」
咲の顔がすぐ近くにあった
「始めたきっかけは凄く強引だったけど、私は大星さんと麻雀を打てて楽しいと思った」
「だから、これからも一緒に打ちたい」
「こちらこそよろしくお願いします」
150 = 105 :
時間が経つのは本当に早い
それから咲と私は毎日麻雀を打ち、一緒の時間をすごした
共に過ごす一秒ごとに互いの事を知り合って
そして気付けば卒業式の前日、卒業生と在校生が卓を囲む最後の日が来た
「咲」
「なに、淡ちゃん」
控え室の中で何をするとも無く時間を過ごす
手持ち無沙汰な私の手は咲の手と重なって出番を待っている
後少しすれば私達の出番
淡「私、宮永先輩の事好きだった」
淡「インターハイを見て一目惚れ。こんな人がいるんだって思った」
咲「うん」
淡「だからいきなり咲が転校して来て、宮永先輩の妹ですって言われて凄くショックだった」
咲「うん」
淡「咲には迷惑かけたよね」
咲「うん、何て怖い人だろうって思った」
どちらからとも無く笑いあう
みんなの評価 : ☆
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