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元スレ照「はなせばわかる」

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照「うるさいうるさいうるさい!」バゴン
『本ぐらい大切に扱おうよ』
照「うるさいっ!!」
ピピピピピピピピ
照「和……じゃない、090-xxxx-xxxx?誰だ?」
ピピピピピピピピ
照「……」ピッ
照「もしもし」
???『もしもし』
照「誰?」
???『誰だかは大した問題じゃない』
照(変声機?)
照「イタズラなら切る」
???『別にいいけど。困るのはそっちだよ』
照「何が困る。今私はすごくイライラしているんだ。だからさっさと、」
???『原村和』
照「……和がどうした」
???『見ればわかるよ。とにかく早くみつけてあげて。場所は大塚駅の北口から一番近い女子トイレ』
照「おい!」
???『これ、善意だから。彼女が誰かに見つかる前に。あと警察頼らないほうがいいよ」プツッ ツーツー
照「……なんなんだよ、これ」
照「……大塚駅、北口」ピッピッ
照「――もしもし!?」
はやり『ど、どうしたの? 大きな声出すからびっくりしちゃった☆』
照「今から東京の大塚駅まで行けますか?」
はやり『ええっ、ミーティングまであと三十分しかないから、今は無理だよ。それより和ちゃんは?」
照「和がたぶんそこにいます」
はやり『??、もしかして男捕まえに行ってたとか☆?」
照「それは色々と間違ってます。……じゃなくて、たぶん良くないことに巻き込まれたんだと」
はやり『よくわからないけど、はやりは大塚駅へ行けばいいのね☆ その後は?』
照「北口に一番近い女子トイレだと言ってました」
はやり『言ってた?相手は誰?』
照「わかりません」
はやり『……、ミーティングは照が主導で進めて。私はそこへ向かう。何かあったら逐一連絡する。いいわね』
照「はい」
照(さっきの番号……非通知じゃなかった)
照「……」ピッピッ
照「……」プルルルルル
プルルルル プルルルル
照「でろ」
プルルルル
照「出ろ、」
???『もしもし』
照「和に何をした」
???『……賭けの代償を』
照「賭け? お前と和は何を賭けたんだ」
???『そんなことどうだっていいでしょ。それより見つかった?』
照「まだだ」
???『……そう』
照「和に何かあったら、」
???『……』
照「……お前を絶対に許さない」
???『変わんないね』
照「ああ?」
???『昔からずっとそう。あなたのそれは表だけのうすっぺらい信念。虚勢だけで、あとは空気を読むだけ』
照「おまえ……!」
???『久しぶりの会話がこれって……。まぁいっか』
???『……和ちゃんによろしく。……ごめんって』プツッ
照「……」
照「……咲? ……もしもし」
ツー ツー
照「咲、咲」ピッピッ
オカケニナッタデンワハ
照「咲、出てよ。お願いだよ。……咲」
◇◆◇◆◇◆
照「――であるから、明日のオーダーについては私が大将を務める。誰か質問は」
「あ、あの、オーダー変更については先ほども説明されましたよ?」
照「え゛、……すまない。じゃあ次に、」
「監督が不在……は、しょうがないかと思いますが、しかし原村さんは?」
「中堅がいない状態で進められてもしょうがないかと。どこにいるんですか?」
照「えっと、それは……」
ピピピピピピピピ
照「ごめん、少し失礼」
照「監督、和は、」
はやり『急いで病院来て』
照「病院?」ビクッ
はやり『うん××病院。そっからタクシー拾って三十分でつくから』
照「何があったんです」
はやり『今はだめ。みんなには解散を伝えて。監督命令としてね。じゃあ切るよ』
照「……」
照「……いかなきゃ」
二年前のインハイ決勝を今でも思い出す。
あの年は例年にも増して実力者が多く、大会全体で見れば過去最高のハイレベルな戦いだった。
決勝の解説を任され、無難に、時には熱く、プロとして文句の言われない仕事をこなしていた。
「宮永プロは学生時代、どのような思い出がありますか?」
実況との会話が途切れたとき、温存しておいたであろうネタを出された。
予想できた質問である。
「団体戦三連覇の瞬間ですかね、あの日はすごい舞い上がっちゃって、まるで眠れませんでしたよ」
「おお~、意外ですねー。失礼ながら宮永プロの可愛い一面を見れて満足です」
本当は椅子でくずれ落ちていく咲の姿しか頭になかった。
水滴が落ちた。
「え、あれ、み、宮永プロ? 何か私まずいことを」
それだけで入社二年目の新人アナをパニック状態へと至らしめるには十分な効果があった。
「いえ、ごめんなさい。少し昔のことを。――あ、親がテンパイしましたよ」
「は、はい失礼いたしました。鹿児島の永水女子――」
あの日は少しだけ妹の話題が蒸し返された。といってもそこらの二流の麻雀誌の小話程度だ。
<宮永プロの実妹、未だ消息つかめず>
五年前はそれなりの騒ぎになったが、今では表紙にさえ見出しはない。
これでいいのだと思った。私には妹などいなかった。ひたすら嘘をつき続ければ、それが本当のことだと脳みそが勘違いしてくれる。
現状に不満はそれほどない。そんなつもりだった。
◇◆◇◆◇◆
××病院
照「っ、すいません!」
「え!? は、はい!」
照「ここで入院、いや、運ばれてきた、原村って人、どこですか?」
「運ばれきた? 救急車ですか? それとも自家用車で?」
照「えっと、わかんないです!」
「そうなると、こちらで把握するには、」
「あなた原村さんて言いました?」
照「はい」
「ほら、さっき、口外禁止でって」
「ああ、あの――、申し訳ありません、お名前よろしいでしょうか」
照「宮永です。宮永照」
「……少々お待ちください」
「…………」
「確認がとれました。こちらへ」
××病院
照「っ、すいません!」
「え!? は、はい!」
照「ここで入院、いや、運ばれてきた、原村って人、どこですか?」
「運ばれきた? 救急車ですか? それとも自家用車で?」
照「えっと、わかんないです!」
「そうなると、こちらで把握するには、」
「あなた原村さんて言いました?」
照「はい」
「ほら、さっき、口外禁止でって」
「ああ、あの――、申し訳ありません、お名前よろしいでしょうか」
照「宮永です。宮永照」
「……少々お待ちください」
「…………」
「確認がとれました。こちらへ」
照「監督」コンコン
はやり「一人で来た?」
照「、はい」
はやり「じゃあ鍵開けるよ。騒がないでね」
ガチャ
シュコー シュコー
和「……すぅ」
照「なんなんですかこれ。何で和が呼吸器つけてベッドで寝てるんですか?」
はやり「静かに」
照「なんで、何があったんですか!」
はやり「静かにして」
照「監督!」
はやり「黙れっづってっら!」
照「……っ」
はやり「ええがや? よー聞け。――和ちゃんね、……暴漢に襲われたのよ」
はやり「私が見つけたときは死体袋のようなものに入れられてて、薬で眠らされてた」
はやり「――顔、きれいでしょ? でも体、痣だらけで、」
はやり「……股から出血の後があって、太ももに精液がこびりついてた」
照「警察、……警察呼ばないと」
はやり「駄目」
照「早く、犯人を」
はやり「警察は駄目。この子が入れられていた袋にDVDが入ってたわ」
照「中身は、何が……あっ」
はやり「うん。和が二人の男に犯されているところをひたすら撮られていた。脅しね。警察に行けばネットでも流すとか」
はやり「そのためにここの病院に口外しないよう頼み込んだわ」
はやり「ねぇ、さっき電話で聞いたって言ったわよね?相手の声で誰かわからない?」
はやり「……照?」
照「咲だ……、咲が、ごめんって」
はやり「さき……? 妹さん?」
照「なんで、あいつは、和に、」
照「和が何したって言うんだ、何で、」
和「主将、」スルッ
はやり「和ちゃん! 良かった、意識が戻って」
和「――ご迷惑を、お掛けしました」
照「おい、体を起こすな。安静にしろ」
和「何言ってるんですか、明日は横浜との三連戦の初日ですよ? ここで寝てても、……ぐっ……」ガタ
照「……自分が何されたかわかっているのか?」
和「道端で男に捕まり暴行されました。それだけです。私はこんなことより明日のほうが大事なんです」フラッ
はやり「座れ」
和「」ビクッ
はやり「あんたはそれでいいかもしれないが、私は大事な教え子を傷つけられたんだ。犯人を本気で殺したいと思っている」
照「!!っ、……」
はやり「照、『咲』といったな」
照「は、はい」
はやり「なぜ妹の名が出た。答えろ」
照「それは……」
和「っ、主将はパニックに陥って、それでわけもわからず咲さんの名を呼んだのでしょう」
はやり「お前に聞いてない。今は照が答える番だ」
和「……咲さんは関係ないです」
はやり「照」
照「あの、その……」モゴモゴ
はやり「……わかった。何か答えられるようになったら、私に連絡しろ。今から寮へ行く」
和「私も行きます」
はやり「そんな状態で明日の試合に臨めるとでも?」
和「問題ありません」
はやり「明日は補欠と交代だ。監督命令。わかるよね」
和「……わかりました」
はやり「和――ちゃん」
和「はい」
はやり「無理はしないでほしいな」
バタン
和「……っ」
照「ごめん」ギュ
和「なんで主将が謝るんですかっ」
照「ごめんね」
和「やさし、しない、くださいっ」
照「私がいるから」
和「……った」
和「――怖かっ、た、ずっと殴ら、れて、あそこに、入れっ、」
照「もう怖くないから、」
和「咲さん、助けてくれなかっ……た」
照「……」
◇◆◇◆◇◆
照「コーヒー」
和「……ありがとうございます」
照「落ち着いた?」
和「さっきのあれ、油断しただけです。一つ貸しです」
照「はは、いつもの和だ」
和「……今日のこと全部話します。でも、その前に、」
照「なに?」
和「なぜ、咲さんが関係していると?」
照「電話があってな。和を見つけてくれって。その時に声は変えてあったけど、口調とか、あと昔を知っているそぶりがあったからかな」
和「そう、ですか」
照「今日何があった?」
和がレイプされるとか向こうでも大事件になってそうだな
全国の和ファンも怒り狂う
全国の和ファンも怒り狂う
和「見つけたんです」
照「?」
和「咲さんの居場所。日本に帰ってきていました」
照「……、咲、外国にいたってこと、だよね。どうやって知ったの?」
和「彼女がいなくなってからずっと探してました。父の弁護士の人脈も使ってやれることはやって、」
和「一週間前です。イタリア籍のアジア人が入国した際にトラブルがあったらしく、その筋の人間から顔写真をもらいました」
照「それが、」
和「はい、咲さんです。帽子を被っていましたが、すぐにわかりました」
和「そこからは簡単で、彼女の使用した交通ルートを洗い出して、一昨日の夜に居場所をつきとめました」
照「……」
和「国外マフィアと繋がりのある輸入業の事務所です。そこで彼女と会いました」
照「……、なんで和は襲われたんだ」
和「賭けに負けたからです」
照「咲も賭けが、って」
和「私は咲さんにそんな連中から手を引いて戻ってきてほしいと頼みました。だけど、無理だって言われ」
和「……、麻雀で勝ったら。それが条件で勝負をしました」
照「和が負けたら、お――犯されることを条件に?」
和「本当は、両腕の切断と貞操でした。無茶苦茶な提示をして身を引いて欲しかったんだと思います」
照「でも、両手は無事だった」
和「……この程度で許してくれるなんて、咲さんは本当に優しいです」
照「!!っ、和、本気で言っているのか?」
和「本気です。このぐらい、」
照「目を覚ませ! あいつは、咲は、親友が暴行されている間、助けようとしなかったんだろ!?」
和「助ければ、彼女自身に危害が及んだでしょう。当然の判断です」
照「……おかしいよ、そんなの」
照「これからどうするつもり?」
和「私はまだ諦めきれません」
照「次は本当に腕を取られるよ。もしかしたら命も」
和「それは、」
照「……和も私の前からいなくなっちゃうの?」
和「え?」
照「また、私の大切な人間が、せっかく仲良くなれたのに、」
和「て、照さん?」
照「あいつはまた奪うのか」
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