元スレ士郎「セイバー……好きだ」ギュッ セイバー「!?」
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101 = 6 :
藤ねえ「あー……じゃあ遠坂さんは?」
士郎「遠坂!? ないないもっとないって!! 遠坂とは絶対無理だって!」
士郎「いつも俺につっかかってくるし、アーチャーもやたら俺にきっついし……」
藤ねえ「アーチャーはさておき……それは……ねえ?」
士郎「あれ? でもだったらなんでうちに居座ってるんだ? 家もあるんだし別に出て行ったっておかしくないよな……」
藤ねえ「!! そうよ、そうなのよ!! その理由を考えなさい!!」
士郎「うーん……」
102 = 30 :
藤ねえって「アーチャーさん」じゃなかったっけ?
103 = 6 :
士郎「はっ!! そうか!!」
藤ねえ「おっ! やっとわかったのね!!」
士郎「メシだ!! メシのためだ!!」
藤ねえ「」
士郎「桜のメシは言うまでもなく美味いし、俺の作る料理だって、自分で言うのもなんだけど美味いはずだし」
士郎「セイバーだって美味いっていってくれてるんだ。結構自慢できるはずだよな」
士郎「そんなメシを毎日喰えるんなら、そりゃ居候するよなぁ。うん、なるほど!」
藤ねえ「士郎、さすがねぇ」
士郎「なんだよ藤ねえ。照れるじゃないか」
藤ねえ「褒めてないわよ」
104 = 6 :
藤ねえ「あー……じゃあそのセイバーさんは?」
士郎「セイバーは……どうだろう」
藤ねえ「ん?」
士郎「ちょっと、自分でもわからないな。なんて言うんだろう……」
藤ねえ「何が?」
士郎「なんか、アイツといると……落ち着く気がする」
藤ねえ「……ふぅん」
105 = 6 :
士郎「料理も美味い美味いっていっぱい食べてくれるし、剣も強いし」
藤ねえ「そうねぇ、私も歯が立たなかったし……あれは悔しかった……!!」
士郎「はは……しょうがいよ。藤ねえも強いけど、セイバーはもっと強い」
士郎「強く無きゃ、ダメだったんだ。だから出会った頃も、もっと堅くってさ」
藤ねえ「そうね、今みたいに『士郎、おかわりです!!』なんて言うようになるとは思えなかったわね」
士郎「うん、最初はおっかないとこもあった」
士郎「でも今はさ、いっぱい笑うようになった」
106 = 6 :
士郎「アイツの笑った顔見てるとさ、なんだか嬉しくなるんだ」
士郎「満面の笑みって訳じゃないんだけどさ、嬉しさが伝わってくる感じで」
士郎「……もっといっぱい、アイツのいろんな顔、見たいな」
藤ねえ「……そうね。そっかそっか」
士郎「うん?」
藤ねえ「やっぱりアンタは、セイバーさんが好きか!」
士郎「ええええ、なんでさ!!?」
107 = 6 :
藤ねえ「もー、士郎は自分のことにまで鈍いわねー!! そんなんじゃ婚期逃しちゃうゾ!!」
士郎「藤ねえに言われたくないよ!!」
藤ねえ「何よー!! 私はまだ20代よ!?」
士郎「わわっ、冗談だってば! でも、そうなのかな」
藤ねえ「ええ、そうよ。誰がどう見てもそうなんです!」
藤ねえ「士郎が気づいてないみたいだから言っちゃうけどさ、セイバーさんもあんたのこと。好きよ」
士郎「……えっ?」
108 = 6 :
藤ねえ「士郎も気づいてないしセイバーちゃんも自分の気持ちに気づけてないし……」
藤ねえ「このままあんたたち進みそうにないから言っちゃう!あんたたちは両思い!」
士郎「ええええ!!! いやでもそんな!! ……そうだったら、そりゃ嬉しいけどさ」
藤ねえ「でしょでしょ? あんた達さ、もうお似合いよ!」
士郎「そっか……」
藤ねえ「ねっ、だからさ、もうあんた達付き合いなさいな!セイバーちゃんなら私も許す!」
110 = 6 :
士郎「だけどさ……」
藤ねえ「何よ、もしかして不満なの!? お姉ちゃんはそんなわがままな子に育てた覚えはありません!!」
士郎「いやそうじゃなくって!! ……藤ねえさ、どうして泣いてるのさ」
藤ねえ「……えっ?」
士郎「ほら、涙が……」
藤ねえ「うそうそ、そんな……な、なんでかな? ははは……」
士郎「藤ねえ……」
111 = 6 :
「藤ねえ、もしかして……」
「言わないで!!」
「お願いだから、言わないで……」
藤ねえはそう言って俺に体を預けてきた。しおらしくなった藤ねえ。
今までこんなことが、なかったわけではない。
なかったわけではないが、その姿は初めて見るものだった。
疲れた、とか。辛い、とか。そういったものではない。
もっと別の何か。
それは、やっぱり。
112 :
なんてこった
113 = 6 :
「私から、言うから」
「……うん」
藤ねえが腕をそっと背中に回す。俺はそれを受け入れた。
自分の腕も、藤ねえの背中に回した。少し、力を込めた。
藤ねえも力を込めてきた。はじめは少し。そのまま少しずつ強く。
「私は、士郎のことが……好き」
そう言って、より力を込めてきた。
強く、強く。それでも、痛くはない。心地が良い。
ぬくもりが強く伝わる。それが、嬉しくて。
「……ありがとう」
口からこぼれたのはそんな言葉だった。素直な言葉。
114 = 6 :
俺も力をもう一度込めた。
ほんの少しの時間だった。きっと、数秒程度だろう。
でもそれが、長く感じられた。長い長いあいだ、そうしていた気がする。
それを終らせたのは自分の言葉だった。
「でも、ごめん」
それが彼女を傷つけることになるのはわかっていた。
わかっていたけれど、言わなきゃならなかった。
うやむやにしてはいけない。それぐらい、馬鹿な自分でもわかる。
だから、伝えた。彼女がそれに応える。
「……うん、わかってた」
短い言葉。彼女が言ったのはそれだけだった。
115 = 6 :
そのまましばらく抱き合っていた。お互い、何も言わず。
でもそれで良かった。お互いが交わすぬくもりで、全て伝わった。
──家族だって、思ってるからでしょ?
──うん。
──私は、好きだって言えた。それで満足だから。
──そっか。
──そうなのよ。
──藤ねえのこと、本当の家族だって思ってるよ。とてもとても、大事な人だ。
──うん……うん。ありがとう。私は、幸せだよ。
116 = 6 :
どれだけの時間そうやって抱き合っていただろうか。
さっきとは違って、実際の時間すらも予想できない。
それぐらい抱き合っていた。とても充実した時間。
少し、彼女から離れた。
「あ……」
残念がる声が唇から漏れる。
俺はその唇に、自分の唇をそっと重ねた。
117 = 6 :
彼女は目を見開き、かなり驚いたようだった。
仕方が無い。自分だって驚いている。
そっと目を閉じ、彼女は自分に身を委ねてくれた。
そのまま唇を重ね続ける。舌を絡めることも無い、優しいキス。
やがて唇は離れ、再び強く抱きしめ合った。
「こんなこと、するようになったんだ」
藤ねえが少し照れた声で言う
「ふ、藤ねえが初めてだよ」
声がうわずった。恥ずかしい。
ここまでしておきながら今更、という感は拭えないが。
119 = 6 :
「そっかぁ、士郎の初めては私がもらっちゃったか!」
嬉しそうな顔で、彼女は笑った。
今まで見てきた表情の中でも、とびっきりの笑顔だった。
「ありがとう、士郎。……私、今日は帰るね」
そういって彼女は向こうを向いてしまった。
そのとき見えた最後の表情はとても魅力的だった。
いつか、あの表情をずっと見られる男がいるんだな、と思うとなんだか複雑な気持ちになった。
たった今フっておきながら何を身勝手な。我ながら情けない。
まあ、自分も男だったということか。
120 :
ずっと見ようと試みたある男は藤村組の暖かーいもてなしを受けました
121 :
藤ねえルート…だと…?
122 = 6 :
「じゃ、また明日。明日の朝ご飯、期待してるわよ! じゃーねー!」
そう言い残し、走り出した彼女を俺は見送った。
少し先の角を曲がって、姿が見えなくなってしまうまで見送った。
胸の中に、切ない気持ちが残った。切ないけれど、あたたかい。
決して嫌な気分ではない、心地よい気分。
明日からも藤ねえとはいつも通りでいられる。そんな気がした。
そして、勇気ももらえた。
帰ったら、自分の気持ちを伝えよう。
きっと今言わなきゃいけない気がする。
そうじゃなきゃ、藤ねえに悪いもんな。
そう心に決めて、俺は強く歩き出した。
──藤ねえ、ありがとう。
終わり。
123 = 120 :
乙
藤ねえマジ大人の女性
124 = 6 :
おわた。なんか冬木の虎が多かったのでそのまま書いてみた。
まだ見てくれてる人がいたので良かったです。
こっちは即興だったので時間かかって申し分けない。
みなさまよい週末になりますように。私は深夜に冷蔵庫を運ぶバイトへ行きます。
こんな時間までお疲れさまでした!ありがとう!
125 = 13 :
こういう場所で小説のスタイルをやると冗長がられる傾向があるけど、総じて良かったと思う
127 = 121 :
何かランサーが死んだと思ったらいきなり藤ねえルートが始まってた
乙
128 :
イリヤ…
129 = 6 :
>>125
ありがとう!私もあんまり好きじゃないんですが内容的にこっちのが良いとおもったんで切り替えました!
>>128
イリヤが一番好きなんだけど一切出番が無かったので自分でも絶望した。また今度書くときはイリヤ出してあげようと思うます。
130 :
おつ
131 :
乙
桜は何でいつもメインじゃないんだ
132 :
ほう
133 :
新しいコピペが生まれたな
134 = 132 :
読み終えた
よかった
136 :
やっぱり冬木の虎は最高のヒロインだわ
137 :
ネコカ「男だな……」
みんなの評価 : ☆
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