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元スレ岡部「未来へ……か」 鈴羽「リンリーン!」
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男「両手をあげろ……よし、ゆっくりこっちに来い」
鈴羽「何者……」
男「タイムマシンはSERNが回収する」
岡部(SERN──!?)
俺の脳裏にゼリーマンズレポートの画像が浮かんでくる。
岡部(SERN……Zプログラム……SERN……ディストピア!)
岡部(ダメだ、タイムマシンは絶対に渡してはならない)
鈴羽「何者……」
男「タイムマシンはSERNが回収する」
岡部(SERN──!?)
俺の脳裏にゼリーマンズレポートの画像が浮かんでくる。
岡部(SERN……Zプログラム……SERN……ディストピア!)
岡部(ダメだ、タイムマシンは絶対に渡してはならない)
男「すでにラジオ会館のどこかにあるというのは調べがついている、一緒にきてもらおう」
男「言っておくが、抵抗は無駄だ。この場所以外にも我々の仲間は散らばっている」
岡部(くそっ……何十年もの間、世界中の科学者を欺いてタイムマシン研究を行なってきた機関だ。単なる脅しではないだろう)
男「その前に」
銃口がゆっくりと俺の方へと向けられる。
男「そちらの男は必要ない」
あ……。
ヤバい、死ぬ。
あれ、でもここで俺が死んだら2036年の俺はどうなるんだ?
絶望的な状況だというのに、なぜかそんな疑問が浮かんだ。
男「言っておくが、抵抗は無駄だ。この場所以外にも我々の仲間は散らばっている」
岡部(くそっ……何十年もの間、世界中の科学者を欺いてタイムマシン研究を行なってきた機関だ。単なる脅しではないだろう)
男「その前に」
銃口がゆっくりと俺の方へと向けられる。
男「そちらの男は必要ない」
あ……。
ヤバい、死ぬ。
あれ、でもここで俺が死んだら2036年の俺はどうなるんだ?
絶望的な状況だというのに、なぜかそんな疑問が浮かんだ。
鈴羽「待って、君……どこかで」
男「……」 ピク
男「……俺が何者か、というのはどうでもいいことだ」
ピン
その時、横で何かが外れる音──
男の気が逸れる。
と同時に、鈴羽が髪に挟んであった何かを掴み、男に投げる。
男「なっ! 手榴……!?」
岡部「──!?」
男「……」 ピク
男「……俺が何者か、というのはどうでもいいことだ」
ピン
その時、横で何かが外れる音──
男の気が逸れる。
と同時に、鈴羽が髪に挟んであった何かを掴み、男に投げる。
男「なっ! 手榴……!?」
岡部「──!?」
岡部(おいいい!? こんな密閉空間で──)
ボォン
男「うおおっ!?」
頭も目の前も白、白、真っ白。
ああ、おかべよ、しんでしまうとはなさけない。
と思いきや──
鈴羽「今のうち!」 ガシッ
岡部「なぁぁっ!?」
すれ違いざまに鈴羽は男に対し──
鈴羽「でやーっ!」
ゴッ
痛烈なニーキック。
男「うっ……」
ボォン
男「うおおっ!?」
頭も目の前も白、白、真っ白。
ああ、おかべよ、しんでしまうとはなさけない。
と思いきや──
鈴羽「今のうち!」 ガシッ
岡部「なぁぁっ!?」
すれ違いざまに鈴羽は男に対し──
鈴羽「でやーっ!」
ゴッ
痛烈なニーキック。
男「うっ……」
────
───
──
タタタタタッ
岡部「あ、あの白い煙は一体……爆発は!? 手榴弾ではなかったのか!?」
鈴羽「モアッドスネーク2nd Edition Version2.51」
岡部「は?」
鈴羽「手榴弾を模して作られた小型の超瞬感加湿器だよ、レバーを外して3秒後に無数に散りばめられた穴からボン」
鈴羽「ちなみに水を入れてレバーを取り付ければ何度でも使用可能」
岡部「はっ……はっ……そ、そうだった、のか……」
鈴羽「思ったより湿度の制御が出来ないみたいで、随分前に開発中止になっちゃったんだけどね、役に立ったよ」
───
──
タタタタタッ
岡部「あ、あの白い煙は一体……爆発は!? 手榴弾ではなかったのか!?」
鈴羽「モアッドスネーク2nd Edition Version2.51」
岡部「は?」
鈴羽「手榴弾を模して作られた小型の超瞬感加湿器だよ、レバーを外して3秒後に無数に散りばめられた穴からボン」
鈴羽「ちなみに水を入れてレバーを取り付ければ何度でも使用可能」
岡部「はっ……はっ……そ、そうだった、のか……」
鈴羽「思ったより湿度の制御が出来ないみたいで、随分前に開発中止になっちゃったんだけどね、役に立ったよ」
岡部「はぁっ……はぁっ……や、やるときはやるのだな」
鈴羽「急ごう岡部倫太郎、こうなった以上はラジ館に行って奇襲を仕掛けるか……もしくは──」
──タイムトラベル。
だがそれは最後の手段として取っておきたい。
──タイムパラドックス。
想定不能の事態が起こる可能性。
さらに、飛べば全て解決かと問われればといえば、そうでもない。
とにかくここは鈴羽の言うとおり急がなくては。
SERNはすでにタイムマシンに──場所だけだが──近づいている。
鈴羽「急ごう岡部倫太郎、こうなった以上はラジ館に行って奇襲を仕掛けるか……もしくは──」
──タイムトラベル。
だがそれは最後の手段として取っておきたい。
──タイムパラドックス。
想定不能の事態が起こる可能性。
さらに、飛べば全て解決かと問われればといえば、そうでもない。
とにかくここは鈴羽の言うとおり急がなくては。
SERNはすでにタイムマシンに──場所だけだが──近づいている。
────
───
──
タタタタッ
岡部「はぁっ……ひぃっ……」
鈴羽「もうちょっとだから、頑張って……」
岡部「はぁっ! ふぅっ!」
タタタタタッ
岡部「先に……行って……状況を……」
岡部「すぐ……追いつくっ……」
鈴羽「わ、分かった。ラジ館の入り口前にいるから──」
岡部(体力の無さが恨めしい……)
───
──
タタタタッ
岡部「はぁっ……ひぃっ……」
鈴羽「もうちょっとだから、頑張って……」
岡部「はぁっ! ふぅっ!」
タタタタタッ
岡部「先に……行って……状況を……」
岡部「すぐ……追いつくっ……」
鈴羽「わ、分かった。ラジ館の入り口前にいるから──」
岡部(体力の無さが恨めしい……)
────
───
──
岡部「……はっ……はっ……」
岡部「はぁっ……ふぅーっ……」
岡部「ふぅっ……着いた……鈴羽はもうとっくに着いてるはず。ヤバい、足手まといにしかなってない」
岡部「鈴羽はどこだ……?」 キョロキョロ
岡部(いた──)
岡部「すず──」
声をかけようと思ったその瞬間、鈴羽の表情が強張る。
鈴羽「──!」
──「橋田鈴羽、一緒に来てもらう」
──「騒げば……分かっていると思う、二人がどうなるか」
───
──
岡部「……はっ……はっ……」
岡部「はぁっ……ふぅーっ……」
岡部「ふぅっ……着いた……鈴羽はもうとっくに着いてるはず。ヤバい、足手まといにしかなってない」
岡部「鈴羽はどこだ……?」 キョロキョロ
岡部(いた──)
岡部「すず──」
声をかけようと思ったその瞬間、鈴羽の表情が強張る。
鈴羽「──!」
──「橋田鈴羽、一緒に来てもらう」
──「騒げば……分かっていると思う、二人がどうなるか」
女の声。
先ほどの男と同様、堅気らしさを感じさせない冷徹な声。
鈴羽「……二人は無事なの?」
女「それはこれからのあなた次第」
非情な脅し文句。
距離はあったがかろうじて会話の内容も聞き取ることができる。
黒いフルフェイスヘルメットのような物を被っていて、女の顔を確認することはできない。
岡部(鈴羽の背後を取るとは、あいつもSERNのエージェントか!?)
岡部(どうする……迂闊に動けば俺も……)
先ほどの男と同様、堅気らしさを感じさせない冷徹な声。
鈴羽「……二人は無事なの?」
女「それはこれからのあなた次第」
非情な脅し文句。
距離はあったがかろうじて会話の内容も聞き取ることができる。
黒いフルフェイスヘルメットのような物を被っていて、女の顔を確認することはできない。
岡部(鈴羽の背後を取るとは、あいつもSERNのエージェントか!?)
岡部(どうする……迂闊に動けば俺も……)
鈴羽「分かった、どこに向かえば?」
女「ラジ館屋上、先行してもらう」
岡部(くそっ! 鈴羽っ……!)
岡部(どうする? 人質がこの付近にいる可能性はある)
岡部(しかしこのままでは鈴羽は……)
岡部(俺たちと世界の運命、どちらを取るか──そんな選択を迫られることに……)
岡部「いや──」
そんなこと──
岡部「そんなこと、させてたまるか!」
女「ラジ館屋上、先行してもらう」
岡部(くそっ! 鈴羽っ……!)
岡部(どうする? 人質がこの付近にいる可能性はある)
岡部(しかしこのままでは鈴羽は……)
岡部(俺たちと世界の運命、どちらを取るか──そんな選択を迫られることに……)
岡部「いや──」
そんなこと──
岡部「そんなこと、させてたまるか!」
~ラジ館内~
岡部「屋上……そう言ってたな」
~4階~
岡部「静かだな……全く人が居ない」
~8階~
岡部「はぁっ……はぁっ……やはり……」
岡部「階段を一気に登るのは……はぁっ……」
岡部「屋上……そう言ってたな」
~4階~
岡部「静かだな……全く人が居ない」
~8階~
岡部「はぁっ……はぁっ……やはり……」
岡部「階段を一気に登るのは……はぁっ……」
~ラジ館屋上~
屋上への階段を登り切ると、そこには二人の人間が対峙していた。
一人は鈴羽。
もう一人は変な仮面をつけている髪の長い女。
あれは確か、まゆりの好きなうーぱ。
うーぱの仮面をつけた、ふざけた女。
岡部「鈴羽っ!」
鈴羽「あっ!」
仮面の女「あら? お客さんですか」
岡部「そこの貴様! 観念するのだな!」
仮面の女「……いきなり現れて一体何なんです? 名前くらい名乗ってはいかがですか?」
岡部「ふぅん! いいだろう……」
屋上への階段を登り切ると、そこには二人の人間が対峙していた。
一人は鈴羽。
もう一人は変な仮面をつけている髪の長い女。
あれは確か、まゆりの好きなうーぱ。
うーぱの仮面をつけた、ふざけた女。
岡部「鈴羽っ!」
鈴羽「あっ!」
仮面の女「あら? お客さんですか」
岡部「そこの貴様! 観念するのだな!」
仮面の女「……いきなり現れて一体何なんです? 名前くらい名乗ってはいかがですか?」
岡部「ふぅん! いいだろう……」
岡部「我が名は……鳳凰院っ凶真! 貴様の野望を打ち砕くものだ!」
岡部「きけい! すでに人質は解放済みだ!」
鈴羽「う、うそ! ホントに!?」
仮面の女「……」
岡部「人質と引換にタイムマシンを横取りするつもりだったんだろうがそうはいかん!」
仮面の女「どうやったんですか?」
岡部「タイムマシンを使えばいくらでも可能だ! 時間を支配するとはそういうことだフゥーハハハ!!」
鈴羽「……」
仮面の女「…………」
岡部「フッ……」
岡部(サイズハング。効け……効いてくれ、騙されろ)
岡部「まさかあのような場所に監禁しているとはな、手間取ったぞ」
岡部「だぁが、時間を支配するこの狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に不可能はなぁい!!」
岡部「きけい! すでに人質は解放済みだ!」
鈴羽「う、うそ! ホントに!?」
仮面の女「……」
岡部「人質と引換にタイムマシンを横取りするつもりだったんだろうがそうはいかん!」
仮面の女「どうやったんですか?」
岡部「タイムマシンを使えばいくらでも可能だ! 時間を支配するとはそういうことだフゥーハハハ!!」
鈴羽「……」
仮面の女「…………」
岡部「フッ……」
岡部(サイズハング。効け……効いてくれ、騙されろ)
岡部「まさかあのような場所に監禁しているとはな、手間取ったぞ」
岡部「だぁが、時間を支配するこの狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に不可能はなぁい!!」
岡部「すでに警察も呼んである。もはやお前たちに勝ち目はない、観念するのだなっ」
岡部(どうだ? ボロを出してくれれば、そこからなんとか──)
仮面の女「ふむん」
仮面の女「つくならもうちょっとマシな嘘をついてください」
岡部「……っ!?」
岡部(バレた!?)
仮面の女「私知っていますから、タイムマシンで近い過去や未来に飛ぶのを禁止されていること」
鈴羽「くっ……」
仮面の女「人質が解放されていないこともです、部下に確認するまでもありません」
岡部(まずい。しくじった……か?)
仮面の女「それとあなた達が、随分昔からSERNにハッキングをしかけていたことも知っています」
岡部「なっ……」
岡部(どうする……)
岡部(どうだ? ボロを出してくれれば、そこからなんとか──)
仮面の女「ふむん」
仮面の女「つくならもうちょっとマシな嘘をついてください」
岡部「……っ!?」
岡部(バレた!?)
仮面の女「私知っていますから、タイムマシンで近い過去や未来に飛ぶのを禁止されていること」
鈴羽「くっ……」
仮面の女「人質が解放されていないこともです、部下に確認するまでもありません」
岡部(まずい。しくじった……か?)
仮面の女「それとあなた達が、随分昔からSERNにハッキングをしかけていたことも知っています」
岡部「なっ……」
岡部(どうする……)
岡部(いや、まだだ、諦めるな。できれば犯罪者と同じ事はしたくないが、こいつを人質に取ればまだ勝ち目は……)
岡部「う、嘘だと思うのならば部下に電話して聞いてみるがいい!」
仮面の女「だから、確認するまでもないって言ったじゃないですか」
仮面の女「第一、過去に飛んだとしたらまず誘拐が起きないようにしますよね、はい論破」
岡部(くそ! やはりパラドックスが起きるのを覚悟で飛ぶべきだったか?)
岡部(こうなったら強引にでもこいつを人質にして──)
岡部(大丈夫だ、相手は細身の女……俺でもいける……!)
岡部「おぉぉっ──」
鈴羽「あっ! だめ!」
ガシッ
岡部「うぐぁっ」
岡部(なんだ? 何が起こった?)
岡部「う、嘘だと思うのならば部下に電話して聞いてみるがいい!」
仮面の女「だから、確認するまでもないって言ったじゃないですか」
仮面の女「第一、過去に飛んだとしたらまず誘拐が起きないようにしますよね、はい論破」
岡部(くそ! やはりパラドックスが起きるのを覚悟で飛ぶべきだったか?)
岡部(こうなったら強引にでもこいつを人質にして──)
岡部(大丈夫だ、相手は細身の女……俺でもいける……!)
岡部「おぉぉっ──」
鈴羽「あっ! だめ!」
ガシッ
岡部「うぐぁっ」
岡部(なんだ? 何が起こった?)
仮面の女に向かって走りだしたはずが、床に取り押さえられていた。
顔を起こして後ろを見ると、俺の背後の空間が歪んでいる。
似たような映像を見たことがあった。
透明なバケモノが一人ずつ人間を殺していき、最後には自爆する映画のワンシーン。
くそ、もう一人いやがった!
鈴羽「くっ!」
仮面の女「あなたはそこでじっとしていてください」
岡部「くそっ!」
仮面の女「さて、話を戻しましょう」
鈴羽「……っ」
仮面の女「タイムマシンはどこです?」
岡部「鈴羽! やめろ──うぐっ、もがが!」
仮面の女「黙っていてください」
顔を起こして後ろを見ると、俺の背後の空間が歪んでいる。
似たような映像を見たことがあった。
透明なバケモノが一人ずつ人間を殺していき、最後には自爆する映画のワンシーン。
くそ、もう一人いやがった!
鈴羽「くっ!」
仮面の女「あなたはそこでじっとしていてください」
岡部「くそっ!」
仮面の女「さて、話を戻しましょう」
鈴羽「……っ」
仮面の女「タイムマシンはどこです?」
岡部「鈴羽! やめろ──うぐっ、もがが!」
仮面の女「黙っていてください」
鈴羽「答えて、君たちは……タイムマシンを使って何をしようとしているの?」
仮面の女「さあ早く」
仮面の女「……言わなければ……わかりますよね?」
鈴羽「答えて!」
仮面の女「一人はあなたのパパなんでしょう? ダメですよ、パパは大事にしないと」
鈴羽「……くっ」
鈴羽「本当に……タイムマシンを渡せば解放してくれるの?」
ダメだ。
仮面の女「ええ、もちろんです、約束します」
やめろ。
仮面の女「ですが──」
仮面の女「さあ早く」
仮面の女「……言わなければ……わかりますよね?」
鈴羽「答えて!」
仮面の女「一人はあなたのパパなんでしょう? ダメですよ、パパは大事にしないと」
鈴羽「……くっ」
鈴羽「本当に……タイムマシンを渡せば解放してくれるの?」
ダメだ。
仮面の女「ええ、もちろんです、約束します」
やめろ。
仮面の女「ですが──」
仮面の女「解放するのは橋田至一人です」
鈴羽「なっ……!? そんな! 話が違う!」
仮面の女「悪く思わないでください。二人とも解放してしまっては、再びタイムマシンを開発されてしまう恐れがありますので」
鈴羽「そんなことさせない! させないから……」
仮面の女「だめです」
仮面の女「あぁ……でしたら、選んでください」
鈴羽「……え?」
仮面の女「橋田至か岡部倫太郎、どちらを解放するのか。あなたに選択権を差し上げます」
鈴羽「そんな……」
仮面の女「安心してください。命までは取りません。……二度と日本の土を踏むことはないでしょうが」
仮面の女「じっくり考えてくださって結構ですよ、それこそ時間はたっぷりありますから」
鈴羽「……っ」
鈴羽は顔をうつむかせ、拳を震わせている。
くそ、なんでだよ、なんでこんなことさせるんだよ。
鈴羽「なっ……!? そんな! 話が違う!」
仮面の女「悪く思わないでください。二人とも解放してしまっては、再びタイムマシンを開発されてしまう恐れがありますので」
鈴羽「そんなことさせない! させないから……」
仮面の女「だめです」
仮面の女「あぁ……でしたら、選んでください」
鈴羽「……え?」
仮面の女「橋田至か岡部倫太郎、どちらを解放するのか。あなたに選択権を差し上げます」
鈴羽「そんな……」
仮面の女「安心してください。命までは取りません。……二度と日本の土を踏むことはないでしょうが」
仮面の女「じっくり考えてくださって結構ですよ、それこそ時間はたっぷりありますから」
鈴羽「……っ」
鈴羽は顔をうつむかせ、拳を震わせている。
くそ、なんでだよ、なんでこんなことさせるんだよ。
鈴羽「……」
岡部「もがっ……!」
グググッ
岡部「うぐっ……!」
鈴羽「…………」 チラッ
岡部「むぐぐっ……!!」
鈴羽「ふー……」
仮面の女「決まりましたか?」
鈴羽「うん、決めた」
仮面の女「……どっちを……助けますか?」
鈴羽「あたしは……」
岡部「もがっ……!」
グググッ
岡部「うぐっ……!」
鈴羽「…………」 チラッ
岡部「むぐぐっ……!!」
鈴羽「ふー……」
仮面の女「決まりましたか?」
鈴羽「うん、決めた」
仮面の女「……どっちを……助けますか?」
鈴羽「あたしは……」
鈴羽「どっちも助けるよ」
仮面の女「……わがままが通じる状況だとでも?」
鈴羽「岡部倫太郎は大切な人。あたしの存在が消失してしまいそうになった時、あたしを信じて力を貸してくれた」
鈴羽「父さんはあたしを育ててくれて、愛してくれて……父さんのおかげで大切な人と巡りあうことができた」
鈴羽「どっちも見捨てるなんて、できない」
鈴羽「どちらか一人を選択するなんて、できない
鈴羽「あたしはどっちも助けてみせる。助けだしてみせる!」
仮面の女「……どうするつもり?」
鈴羽「実のところ少しだけ迷ってたんだー、でもおかげで吹っ切れたよ」
鈴羽「二人とも助けて、世界も君たちの好きにはさせない。迷ったら攻める! 戦士だからね!」
まさか──
鈴羽「世界線を変えることができれば……」
タイムマシンで──
仮面の女「……わがままが通じる状況だとでも?」
鈴羽「岡部倫太郎は大切な人。あたしの存在が消失してしまいそうになった時、あたしを信じて力を貸してくれた」
鈴羽「父さんはあたしを育ててくれて、愛してくれて……父さんのおかげで大切な人と巡りあうことができた」
鈴羽「どっちも見捨てるなんて、できない」
鈴羽「どちらか一人を選択するなんて、できない
鈴羽「あたしはどっちも助けてみせる。助けだしてみせる!」
仮面の女「……どうするつもり?」
鈴羽「実のところ少しだけ迷ってたんだー、でもおかげで吹っ切れたよ」
鈴羽「二人とも助けて、世界も君たちの好きにはさせない。迷ったら攻める! 戦士だからね!」
まさか──
鈴羽「世界線を変えることができれば……」
タイムマシンで──
鈴羽「……」 チラッ
鈴羽「ごめんね……岡部倫太郎、君を巻き込んじゃって。……励ましてくれたことすごく嬉しかったよ」
鈴羽「きっと変えてみせるから」
鈴羽「ちゃんと迎えに来るから」
鈴羽「見てて、岡部倫太郎!」
岡部「──っ」
そう言い終えた鈴羽は弾かれたように飛び出し、下の階へと姿を消した。
あのバカ。
肝心なところで抜けてるくせに、一人で戦おうとするな。
パラドックスが怖くないのかよ、自分が消えるかもしれないんだぞ。
何が巻き込んじゃってごめんだ、お前に振り回されるのは二度目だ、そんなのちっとも苦じゃない。
仮面の女「はー……やれやれ」
鈴羽「ごめんね……岡部倫太郎、君を巻き込んじゃって。……励ましてくれたことすごく嬉しかったよ」
鈴羽「きっと変えてみせるから」
鈴羽「ちゃんと迎えに来るから」
鈴羽「見てて、岡部倫太郎!」
岡部「──っ」
そう言い終えた鈴羽は弾かれたように飛び出し、下の階へと姿を消した。
あのバカ。
肝心なところで抜けてるくせに、一人で戦おうとするな。
パラドックスが怖くないのかよ、自分が消えるかもしれないんだぞ。
何が巻き込んじゃってごめんだ、お前に振り回されるのは二度目だ、そんなのちっとも苦じゃない。
仮面の女「はー……やれやれ」
仮面の女「……」
仮面の女「バカですねえ」
岡部(なに──?)
仮面の女「あれじゃ今から”タイムマシンを使います”って言ってるようなものじゃないですか」
岡部(しまった、本当の狙いはそっちか! だとすると用済みになってしまえば鈴羽は──)
岡部「うおおっ!」 ググッ
──「う──っ!?」
体が勝手に動いていた。
俺を押し伏せていた奴は油断していたのだろう。拘束は意外にも簡単に解けた。
岡部(早くタイムマシンの元へ、鈴羽の元へ──!)
岡部「だめだ鈴羽……!!」
仮面の女「バカですねえ」
岡部(なに──?)
仮面の女「あれじゃ今から”タイムマシンを使います”って言ってるようなものじゃないですか」
岡部(しまった、本当の狙いはそっちか! だとすると用済みになってしまえば鈴羽は──)
岡部「うおおっ!」 ググッ
──「う──っ!?」
体が勝手に動いていた。
俺を押し伏せていた奴は油断していたのだろう。拘束は意外にも簡単に解けた。
岡部(早くタイムマシンの元へ、鈴羽の元へ──!)
岡部「だめだ鈴羽……!!」
~10階~
カツカツカツカツ
岡部「はっ……はっ……」
カツカツカツカツ
岡部(頼む、間に合ってくれ!!)
カツカツカツカツ
カツカツカツカツ
岡部「はっ……はっ……」
カツカツカツカツ
岡部(頼む、間に合ってくれ!!)
カツカツカツカツ
~9階~
カツカツカツ
パン
──銃声。
カツカツ ダッ
岡部「鈴──!」
まず視界に飛び込んできたのは先ほどのフルフェイスヘルメットを被った女の後ろ姿。
そして鈴羽。
左胸に赤い花を咲かせながらゆっくりと力なく倒れていく鈴羽。
その奥でタイムマシンが色を取り戻していた。
カツカツカツ
パン
──銃声。
カツカツ ダッ
岡部「鈴──!」
まず視界に飛び込んできたのは先ほどのフルフェイスヘルメットを被った女の後ろ姿。
そして鈴羽。
左胸に赤い花を咲かせながらゆっくりと力なく倒れていく鈴羽。
その奥でタイムマシンが色を取り戻していた。
岡部「鈴羽ぁ!」
女の横を素通りし鈴羽の元へ駆け寄る。
銃を持っていたがそんなもの関係ない。
ガシッ
岡部「おい、しっかりしろ!」
鈴羽「う……」
岡部「傷口は……」
岡部(ダメだ、血がどんどん溢れてきている)
岡部(これではもう……)
鈴羽「……」
岡部「おい、目を開けろよ……」
岡部「お前は戦士だろ?」
岡部「こんな所で眠っていたらだめだ……ろ」
女の横を素通りし鈴羽の元へ駆け寄る。
銃を持っていたがそんなもの関係ない。
ガシッ
岡部「おい、しっかりしろ!」
鈴羽「う……」
岡部「傷口は……」
岡部(ダメだ、血がどんどん溢れてきている)
岡部(これではもう……)
鈴羽「……」
岡部「おい、目を開けろよ……」
岡部「お前は戦士だろ?」
岡部「こんな所で眠っていたらだめだ……ろ」
女「ごめん……」
女はヘルメットに手をかけ、ゆっくりと持ち上げる。
ヘルメットに隠されていたその顔は──
岡部「桐生……萌郁!?」
26年の歳月が現れていたものの、面影はあった。
まとめられた金髪。
何を考えているか読めない表情。
岡部(こいつ……SERNとつながってたのかよ……バカだ……俺は)
鈴羽「ごめん……」
岡部「っ! 鈴羽!」
鈴羽「ご……ごめんね、失敗した……」
岡部「もういい喋るな!」
鈴羽「ホントに……ごめん……巻き……込んじゃって」
女はヘルメットに手をかけ、ゆっくりと持ち上げる。
ヘルメットに隠されていたその顔は──
岡部「桐生……萌郁!?」
26年の歳月が現れていたものの、面影はあった。
まとめられた金髪。
何を考えているか読めない表情。
岡部(こいつ……SERNとつながってたのかよ……バカだ……俺は)
鈴羽「ごめん……」
岡部「っ! 鈴羽!」
鈴羽「ご……ごめんね、失敗した……」
岡部「もういい喋るな!」
鈴羽「ホントに……ごめん……巻き……込んじゃって」
岡部「俺が助けてやる、必ず助けてやるから!」
岡部(タイムマシンを使って──!)
岡部「世界がどうなろうと……知ったこっちゃない」
岡部(パラドックス? そんなのどうだっていい──)
岡部「俺はお前を助ける……!」
そうだ、こんなことあっていいはずがない。
罰を受けるべきなのは俺の方だ。
SERNにハッキングを仕掛けなければよかった。
タイムマシンを作ろうなんて思わなければよかった。
悪いのは俺なのだからここで鈴羽が死んでいいはずがない。
岡部(タイムマシンを使って──!)
岡部「世界がどうなろうと……知ったこっちゃない」
岡部(パラドックス? そんなのどうだっていい──)
岡部「俺はお前を助ける……!」
そうだ、こんなことあっていいはずがない。
罰を受けるべきなのは俺の方だ。
SERNにハッキングを仕掛けなければよかった。
タイムマシンを作ろうなんて思わなければよかった。
悪いのは俺なのだからここで鈴羽が死んでいいはずがない。
岡部「こんな結末……俺は……認めない!」
萌郁「……ごめんね、岡部くん」
岡部(何がごめんだ、謝るくらいならなんでこんなこと)
顔を上げ、萌郁の顔を睨みつける。
罪悪感からか、萌郁の眉がハの字になっていた。
俺の視点は萌郁の顔一点の集中する。
鈴羽を撃ちやがったこの憎い女の顔一点のみ。
だが──
ふと視界の端に──
萌郁「……ごめんね、岡部くん」
岡部(何がごめんだ、謝るくらいならなんでこんなこと)
顔を上げ、萌郁の顔を睨みつける。
罪悪感からか、萌郁の眉がハの字になっていた。
俺の視点は萌郁の顔一点の集中する。
鈴羽を撃ちやがったこの憎い女の顔一点のみ。
だが──
ふと視界の端に──
岡部「ん?」
よく見ると萌郁がプラカードを持っている。
リ……キ……ッ……ド
は? 液体?
いや、これは──
ドッキリ──
岡部「は?」
鈴羽「あ、あはは……」
岡部「す、鈴羽!? は!? え!?」
岡部(な、何が何だか分からない)
よく見ると萌郁がプラカードを持っている。
リ……キ……ッ……ド
は? 液体?
いや、これは──
ドッキリ──
岡部「は?」
鈴羽「あ、あはは……」
岡部「す、鈴羽!? は!? え!?」
岡部(な、何が何だか分からない)
鈴羽「ご、ごめんね岡部倫太郎、あたしにもよく分からないんだけど……」
岡部「おい、なんだよこれ」
萌郁「ドッキリ……」
「「「「大成功ーっ!!」」」」
と同時に物陰からわらわらと人が出てくる。
な。
な。
な。
岡部「なんだよこれぇ!!」
岡部「おい、なんだよこれ」
萌郁「ドッキリ……」
「「「「大成功ーっ!!」」」」
と同時に物陰からわらわらと人が出てくる。
な。
な。
な。
岡部「なんだよこれぇ!!」
仮面の女「あんたたち、騙されてたのよ」
仮面の女が部屋に入ってくる。
岡部(もしかして──)
紅莉栖「まったく、壁殴り代行お願いします、2時間1万円コースで」
まゆり「ふぅーっ。ごめんねー、オカリン。痛かった?」
──仮面を外した紅莉栖、多分。それと変なスーツを着た、まゆり。
仮面の女が部屋に入ってくる。
岡部(もしかして──)
紅莉栖「まったく、壁殴り代行お願いします、2時間1万円コースで」
まゆり「ふぅーっ。ごめんねー、オカリン。痛かった?」
──仮面を外した紅莉栖、多分。それと変なスーツを着た、まゆり。
留未穂「でも、二人とも情熱的だったよね、まるでドラマみたい♪」
るか「ええ、ちょ、ちょっとやりすぎだったような気がしますけど、とってもドキドキしました」
──フェイリスとルカ子、さん。
岡部「鈴羽、これは一体……」
鈴羽「それが、あたしがこの部屋に入ったらさ、父さんと萌姉さんがいて……」
鈴羽「”誘拐は狂言、撃たれたフリして倒れていろ、計画の最終段階だ”って言われて……」
鈴羽「すっごくびっくりしたんだけど、ドッキリのプラカード見せられて……あの……あはははは……」
ダル「鈴羽ぁ! 僕は嬉しい、嬉しいぞぉぉ! オカリンでFAって、即答されたらどうしようかとぉ!」
由季「でもこれで二人の想いが本物だって、分かったでしょ? だからあたしは最初からそうだって言ったのにー」
ダル「うん、これはもう……認めざるを得ないかもわからんね……つか若いころのオカリン懐ー! 思い出が蘇るお」
由季「お父さん、口調口調」
ダル「ふひひ、サーセン!」
──ダルと由季、さん。
るか「ええ、ちょ、ちょっとやりすぎだったような気がしますけど、とってもドキドキしました」
──フェイリスとルカ子、さん。
岡部「鈴羽、これは一体……」
鈴羽「それが、あたしがこの部屋に入ったらさ、父さんと萌姉さんがいて……」
鈴羽「”誘拐は狂言、撃たれたフリして倒れていろ、計画の最終段階だ”って言われて……」
鈴羽「すっごくびっくりしたんだけど、ドッキリのプラカード見せられて……あの……あはははは……」
ダル「鈴羽ぁ! 僕は嬉しい、嬉しいぞぉぉ! オカリンでFAって、即答されたらどうしようかとぉ!」
由季「でもこれで二人の想いが本物だって、分かったでしょ? だからあたしは最初からそうだって言ったのにー」
ダル「うん、これはもう……認めざるを得ないかもわからんね……つか若いころのオカリン懐ー! 思い出が蘇るお」
由季「お父さん、口調口調」
ダル「ふひひ、サーセン!」
──ダルと由季、さん。
岡部「あが、あがが……」
萌郁「ちなみに、屋上の様子は、タケコプカメラー3rd Edition ver1.02で生中継だった」
萌郁「外の筒と内部のカメラは、それぞれ独立した動きが可能」
萌郁「つまり一つの物体としては高速回転してるものの、中のカメラ自体は回転しておらず、空中からの撮影が可能」
萌郁「ちなみに回転と同時に電極に高電圧が掛かり、イオンエンジンの上昇力で長時間の浮遊が可能、よ」
鈴羽「ちょ……みんな見てたってことぉ!?」
岡部「いや、そんなことよりもこれは……」
鈴羽「そうだよー! て、てゆーかなんなのさ! 説明を要求するーっ!」
岡部「そうだそうだっ!!」
由季「ごめんね鈴羽、岡部くん。お父さんがあなたたちの想いを確かめたいっていうから、二人が企画して……」
ダル「企画・僕、オカリン。脚本・ルカ氏。演出・オカリン。演技指導・フェイリスたん。衣装提供・まゆ氏。キャスト・他三名」
鈴羽「み、みんなグルだったってことーっ!?」
萌郁「ちなみに、屋上の様子は、タケコプカメラー3rd Edition ver1.02で生中継だった」
萌郁「外の筒と内部のカメラは、それぞれ独立した動きが可能」
萌郁「つまり一つの物体としては高速回転してるものの、中のカメラ自体は回転しておらず、空中からの撮影が可能」
萌郁「ちなみに回転と同時に電極に高電圧が掛かり、イオンエンジンの上昇力で長時間の浮遊が可能、よ」
鈴羽「ちょ……みんな見てたってことぉ!?」
岡部「いや、そんなことよりもこれは……」
鈴羽「そうだよー! て、てゆーかなんなのさ! 説明を要求するーっ!」
岡部「そうだそうだっ!!」
由季「ごめんね鈴羽、岡部くん。お父さんがあなたたちの想いを確かめたいっていうから、二人が企画して……」
ダル「企画・僕、オカリン。脚本・ルカ氏。演出・オカリン。演技指導・フェイリスたん。衣装提供・まゆ氏。キャスト・他三名」
鈴羽「み、みんなグルだったってことーっ!?」
未来オカリンはどこにいんの?
パラドックス起こさないために監禁でもされてんの?
パラドックス起こさないために監禁でもされてんの?
ダル「つかオカリンもオカリンだお」
ダル「一ヶ月くらい前だっけか。いきなり”鈴羽を嫁にもらっていくぞフゥーハハハ!”って──」
鈴羽「ちょっ!?」
岡部「はぁーん……?」
ダル「なんの冗談かと思ったら本気だったとかもうね」
由季「あはは……あの時は二人とも大げんかしちゃって大変だったよね」
ダル「いくらオカリンとはいえ──つかオカリンだからこそ許せない! 絶対にだ!」
ダル「……そう思ってた時期が僕にもありますた……」
紅莉栖「ってことは許すの? 結婚」
ダル「まぁ、あんだけラブチュッチュを見せつけられたらもうね……」
鈴羽「え、え!? ちょっ……ま、まだ早いってっ!」
由季「照れなくてもいいのよ?」
ダル「あぁ……あんなにパパとラブラブだった鈴羽が……」
紅莉栖「ちょ、橋田キモい」
ダル「一ヶ月くらい前だっけか。いきなり”鈴羽を嫁にもらっていくぞフゥーハハハ!”って──」
鈴羽「ちょっ!?」
岡部「はぁーん……?」
ダル「なんの冗談かと思ったら本気だったとかもうね」
由季「あはは……あの時は二人とも大げんかしちゃって大変だったよね」
ダル「いくらオカリンとはいえ──つかオカリンだからこそ許せない! 絶対にだ!」
ダル「……そう思ってた時期が僕にもありますた……」
紅莉栖「ってことは許すの? 結婚」
ダル「まぁ、あんだけラブチュッチュを見せつけられたらもうね……」
鈴羽「え、え!? ちょっ……ま、まだ早いってっ!」
由季「照れなくてもいいのよ?」
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