元スレ恒一「お見舞いに来たよ、小椋さん」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
恒一「やあ、小椋さん」
小椋「………」
恒一「…体の調子はどう?」
小椋「………」
恒一「顔色はいいみたいだね」
小椋「………」
恒一「でもちょっと痩せたかな?ちゃんと食べてる?」
小椋「………」
2 = 1 :
恒一「今日は果物持ってきたよ」
小椋「………」
恒一「もうすっかり秋だし、色々売り出されててね」
小椋「………」
恒一「何にするか迷っちゃったよ」
小椋「………」
恒一「寒くない?空調の温度上げようか?」
小椋「………」
3 :
続けた前
4 = 1 :
恒一「あ、適当に雑誌買ってきたから置いとくね」
小椋「………」
恒一「中学生の女の子がどんな雑誌読むのか解らなくて、ほんと適当で悪いんだけど」
小椋「………」
恒一「何かリクエストがあるなら言ってね。次に来るときに持ってくるから」
小椋「………」
恒一「あ、いかん。花も買おうとしてたのに忘れてたな」
小椋「………」
恒一「ここの病室は殺風景だからね…景色はいいんだけど、さすがに見飽きるよね」
小椋「………」
恒一「………」
6 = 1 :
恒一「僕も転校する前はここでお世話になってたんだよ」
小椋「………」
恒一「この風景も懐かしいな…あれからもう半年か」
小椋「………」
恒一「いや、まだ半年…のほうが正しいかな」
小椋「………」
恒一「あの日、クラスを代表してお見舞いに来てくれたのが赤沢さ…」
小椋「………」
恒一「………」
小椋「………」
恒一「…花…次に来るときは買ってくるからね…どんなのがいいかな?」
小椋「………」
恒一「………ふぅ…」
7 :
抜いてんじゃねーよ
8 = 1 :
恒一「………」
小椋「………」
恒一「…こほん」
小椋「………」
恒一「んー…っ」ポキポキ
小椋「………」
恒一「ふぅ…」
小椋「………」
小椋「………」
小椋「はぁ……あんたも物好きよね…つっ立ってないで座ったら?」
恒一「うん、ありがとう」ガタ
10 = 1 :
恒一「何か剥くよ。リンゴでいいかな」
小椋「……うん」
恒一「信濃物産館やってたからふじりんご買っちゃった。これ美味しいんだよ」ショリショリ
小椋「……そう」
恒一「おや、ほら見てよ小椋さん、蜜がこんなに。アタリだね、これ」ショリショリ
小椋「………そう」
恒一「………」ショリショリ
小椋「………はぁ…」
11 = 1 :
小椋「ザマぁ無いわね…」
恒一「え?」
小椋「恒一くん、お見舞いに来てくれたの何回目だっけ…」
恒一「えーと、7…いや、6回目かな?確か先週はこれなかったから」
小椋「もうそんなにか……あたしさ…最初のときは殆ど喋らなかったじゃない」
恒一「うん、そうだったね」
小椋「何か変な意地張っちゃっててさ…恒一くん相手に突っ張ったトコで意味無いのにね」
恒一「………」
12 = 1 :
小椋「一応…悪いとは思ってたんだよ。でもなんか、言い方はアレだけどなかなか素直になれなくって」
小椋「でね、先週来なかったから、恒一くんもう来ないんじゃないかって思って……そしたらだんだん怖くなってきて…」
小椋「もし、また恒一くんがお見舞いに来てくれたら…次こそはちゃんと話そうって決めてたんだ」
小椋「でも、いざ来てくれたら……ふふ、あたしったら、今度はなかなか言葉が出てこないでやんの…」
恒一「……やっと調子を取り戻してくれたみたいだね。嬉しいよ」ショリショリ
小椋「まあねぇ、また布団の中で恒一くんの事考えて悶々するのもヤダし」
恒一「……」////
小椋「? どうかした?」
恒一「あ、いや…なんでもない」
13 = 1 :
小椋「はー…」
恒一「…体の調子は、どう?」ショリ
小椋「ん…相変わらず…まともに動くのは右手だけ」
恒一「…そっか」
小椋「先生はリハビリすれば、可能性はまだ十分にあるって言ってたけど…」
恒一「…左手も最近は動かせるようになったそうじゃないか」
小椋「ほんの少しだけ…ね」
恒一「一歩一歩、ゆっくりやろう」
小椋「そうね…」
恒一「僕も協力するからさ」
小椋「ふふ…別にいいのに…」
14 = 1 :
小椋「はぁ~あ…これはアレね。罰が当たったのかな」
恒一「ばち?」
小椋「だってそうじゃん…結局、見崎のヤツは死者じゃなかったんでしょ?それなのにあたし…」
小椋「あたし、あの時頭に血が上っちゃって、あんたたちをナイフで追い回して…」
恒一「お兄さんや綾野さんの事もあったからね…仕方ないよ」ショリショリ
小椋「グスッ、あんたたちは、みんなを救おうとしてたのに、あたし…何も知らないで…」
小椋「あたしが…あたしがあんな事…してなかったら…あたしは…こんな体には…」
小椋「それだけじゃないわ…もしかしたら…助かってた子もいたのかもって…」ジワ
小椋「それ考えるとあたし…罪悪感で夜も眠れなくって…ぐすっ」
小椋「笑っちゃうね…グス、きっと天罰なんだ…このままあたしは一生醜態晒しながら…」
恒一「あーん」
15 :
恒一と小椋さんが、家とかでセクロスするSSなんだっけ?
16 :
ふむ
続けなさい
17 = 1 :
小椋「…っ?」
恒一「小椋さん、はいあーんして」
小椋「え…な、なによ」
恒一「ほら、リンゴ切れたよ。あーん」
小椋「あ…う…な…」
恒一「どうしたの?ほら、ウサギさんりんごだよ~」
小椋「こ、子ども扱いしないでよ…それともバカにしてるの…?」
恒一「…バカになんかしてないさ。…でも、君は子供だよ」
小椋「なんですって?」
18 = 1 :
恒一「僕達は…いつだって結果の中を生きてる」
小椋「はあ?」
恒一「結果の中で生きてる僕らは、いつだって思うんだ
恒一「現状は不本意だ、あの時ああしていれば、もっと他の方法が…てね」
小椋「当たり前じゃない…あたしだって、目を覚ましてから…何度も…何度も何度も…いつだって…今だって…」
恒一「いつだって…ね」
恒一「ほら、それが子供だってことさ」
小椋「―――ッ!?」
19 :
俺はガキだった…
20 = 1 :
恒一「過去を振り返る事、それ自体はいいよ。でも、過去を振り返るのと縛られているのは全く別だ」
小椋「だって…あんな目にあったのよ?そんな簡単に忘れられるわけない…っ」
恒一「そうだね、僕達は確かに手酷い過去を背負ってしまった。でもね、小椋さん。過去と向き合っている間、人は前に進めないよ」
恒一「過去を振り返るどころか、その場に座り込んで泣きべそかいてるようでは子供呼ばわりされたって仕方ないさ」
小椋「だって…そんな事言ったって…あたし…」ウルウル
恒一「僕達は前に進まなきゃならない。振り返ったら振り返った分だけ進まなきゃいけない」
恒一「僕達が背負った辛い過去も、泣きたくなるような後悔も、この先一生付き合っていくことになるだろうね。でも」
恒一「それでも前に進まなきゃいけないんだ。這い蹲ってでも、身を捩ってでも前に。…そうやって僕達は大人になっていくんだ」
恒一「それが残された僕らに課せられた義務だと思う。思い出の中から見守ってくれる、みんなの願いだと思う」
小椋「みんなの…願い…彩…お兄ちゃん…」
21 = 1 :
小椋「グスッ…う…うっ、ヒック、うえっ、うええっ」
恒一「大切な人がいなくなった気持ちは解る。でも僕らは生きているんだ。生きている者は、生きていかなきゃいけない」
恒一「さあ、食べるんだ小椋さん。食べて栄養を蓄えて、いつかその足で立って歩くんだよ!さあ、口をあけて」
恒一「ろくに食べてないんだろう?いつまでも甘ったれた事を言うのは僕が許さない、さあ、口を開けないなら僕は無理矢理にでも…」
小椋「ヒック…よ…余計なお世話よ…」
恒一「……」
小椋「あっ、あんたに…っ、ヒック、あんたに言われなくたって、わかっ、わ、わかってるわよ!!」
恒一「!」
小椋「貸しなさいっ!子ども扱いすんな!こんなの、ひ、一人で食べられるもんっ!ぐ…くぅ…」グググ
恒一「…うん、それでいいんだよ、小椋さん」
22 = 1 :
恒一「頑張れ、小椋さん。落とさないように気をつけて」
小椋「んぎぎ…んが…あががが…」グググググ
恒一「右手を使ったっていいんだよ。食べるときくらいは…」
小椋「う、うるさい!黙ってみてなさい!」
小椋「うぐぅ…ちくしょ…こんなモン…左手一本で…よ、よゆーでぇ…!」ググググ
恒一「もう少しだよ、頑張れ!」
小椋「うが…んががが…あ、あー」プルプルプル
小椋「はぐっ」シャコ
恒一「少しづつでいい、前に向かって進んでいこう」
小椋「~っ~っ」ガシュガシュ
小椋「うっ、うええぇ~~~っ、なによこのリンゴぉ~っ!おいひ、おいひぃじゃないのぉ~っ!」ブワッ
23 = 1 :
小椋「うえっ、うえええぇぇええぇ~~っおいしぃ、おいしいのぉ~っえええ~ん」ウェーン
恒一「ふふ…奮発した甲斐があったよ」
小椋「うえっ、えっ、えっぐ、恒一くん、ありがと、ありがとう…」ポロポロ
恒一「いいんだ」
小椋「あたし、頑張るから…ヒック、頑張って…いつかきっと、絶対、立って、歩いて、うえっ、うええぇ~っ」
恒一「その調子だよ、小椋さん」
小椋「でも、うえっ、彩、彩に会いたいよぉ~っ!うえっ、えっぐ、彩にも、この、りんご、りんごぉ…うええぇ…」
24 :
セクロスはよ
25 = 1 :
恒一「…うっ」
小椋「彩、あのこっ、甘いのっ、好きでっ、ひぐ、ぶひっ、がっこ、帰り、喫茶て、よく一緒、一緒にっ」
小椋「夏は、彩んちでへぇっ、す、スイカ、お正月っ、う、うちのおこたで、ヒッ、み、みかん一緒にぃっ」
小椋「あれ…なんで今、こんな昔の事思い出して…なんで…あれ、あれぇ?」
小椋「も、あたし、なんかワケわかんない、思い出が、彩との思い出、止まんないよ、どうして、ああっ!」
小椋「こ、恒一くん…!お願い、ヤバイ、ごめん、ちょっとだけ、ちょっとだけだからギュってして!」
小椋「恒一くん、あああバラバラになりそうっ、お願い、ぶひっ、ひいぃ~ん」ポロポロポロ
恒一「小椋さん…」ギュ
小椋「ふぇっ、ふうえええ~っ、恒一くん、恒一くんん~っ!」ギュウウ
小椋「ふわぁああっ、ああああん!うわああああああん!!」
26 = 1 :
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
小椋「クスン…クスン…ズッ…ひっく、ひっく…うう…」
恒一「……」ポンポン
小椋「も…もういいわ…ごめん…ありがと…」
恒一「~♪」ナデナデ
小椋「ちょ、もういいってば…」
恒一「~~♪」ナデナデナデナデ
小椋「ちょ、調子に乗るなっ!もういいって言ってるでしょ!」
恒一「~~~~っ!」ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ
小椋「はっ、は、は、離せってーのぉ!」グイ
恒一「おおっぷ、右手は健在だね…別に遠慮しなくていいのに」
小椋「誰がするか!じゃなくて…へ、変な気起こされても困るしね!今のあたしじゃ抵抗できないし…」
恒一「し、信用ないなぁ…」
27 = 1 :
小椋「あう…それにしても、みっともないトコ見せちゃったわね…ゴメン」
恒一「なんのなんの、僕でよければまた胸を貸すよ」
小椋「調子に乗るんじゃないわよ…今のは…アレよ。なんつーか、魔がさしたっていうか…」
恒一「ふふふ、そういう事にしとこうか」
小椋「しとこうか、じゃなくて…!あ、あのね、この事は絶対、誰にも言っちゃダメだからね」
恒一「わかったよ…でも、あの小椋さんが『ギュってして』とはね…ふふふ」
小椋「~~~~~っ!」カァ~~~ッ
小椋「くのやろっ!」ヅン
恒一「…い、いだ!痛い!」
小椋「この馬鹿!アホ!最低!信じらんない!喰らえ!オラ!」ヅンヅン
恒一「ちょ、小椋さん爪楊枝はやめて!い、痛い!痛いって!」
28 = 1 :
恒一「いたたた…酷いや小椋さん、こんな時だけ右手使うんだもん…」サスサスリ
小椋「うっさい!あーあとね、お見舞いで思い出したんだけど、アンタよくもあの時あたしに膝蹴りお見舞いしてくれたわね!」
恒一「うわっ、憶えてたの?あれは、その…ゴメン」
小椋「あんたのせいであたしは人前でゲボ吐かされたのよ!いつか絶対仕返ししてやるからね!」
恒一「ええ~、そんなぁ…」
小椋「ああ~なるほどなるほど、アンタの顔見るたびに感じてたモヤモヤの正体はコレかぁ~♪ふふーん♪」
恒一「ひいぃ…」
小椋「見てなさい恒一くん!リハビリしまくって動けるようになったら、絶対渾身の膝蹴りをお見舞いしてやんだから!」
恒一「そんな…待ってよ、確か小椋さんの蹴りって鍵の掛かったドアを数秒で破壊して…」
小椋「せいぜい今のうちにあたしのご機嫌取っとくことね!逃げるんじゃないわよ!わかった!?」
恒一「は、はいぃ…」
小椋「ふん、よろしい♪」
29 = 1 :
小椋「あーあ、なんか久しぶりに大声出したらスッキリしたなぁ~」
恒一「そ、そう…それはよかった」
小椋「ふっふっふ、恒一くん、あたしねぇ、ここの病院食もいい加減飽きてきててねぇ」
恒一「ああ、その気持ちは解るよ」
小椋「りんごもいいけど、次は駅前のケーキ屋さんのタルトが食べたいなぁ~♪」
恒一「うん、退院したら好きなだけ…」
小椋「次はいつ来てくれるの?」
恒一「え?あ~、いつになるのかなぁ?」
小椋「お花、買ってきてくれるんだよね?」ニコッ
恒一「ああ、そういえばそんな事言ったような…」
小椋「ケーキ屋の隣が花屋さんだったな~そういえば。ふふ、楽しみにしてるからね♪」
恒一「なんだかレクター博士みたいな…」
小椋「何か言った?」
恒一「いや、なんでも…」
30 :
タルトいいよね
31 = 1 :
恒一「さて、小椋さんの元気な顔も見れたし、今日は帰るね」
小椋「えっもう?」
恒一「うん、ちょっと用事があってね」
小椋「そ、そう…じゃあ、仕方ないわね」
(用事ってなによ!もう少しくらい居てくれたっていいじゃない…)
恒一「また来るよ」
小椋「や、約束だからね!花とケーキ忘れるんじゃないわよ!」
(いつ来てくれるの!?ねえ、あたし何日我慢すればいいの!?)
恒一「ふふふ、憶えておくよ」
小椋「ふっふっふ、憶えておいてくれたまえ」
(いらない!ケーキもお花もいらないから、だから恒一くん、もう少しだけ…)
恒一「じゃあまたね、小椋さん」ギシ
小椋(待ってぇ!動いて!動いてあたしの左手ぇえええっ!!)
33 = 1 :
クイッ
恒一「え?」
小椋「……っ」ググ…グググ…
恒一「小椋さん…左手…こんなに力強く僕の服掴んで…」
小椋「いかない…で…」グググ
恒一「え…」
小椋「行っちゃやだ…恒一くん…いかないで…」
小椋「やだよ…さびしいよぅ…恒一くん…一緒にいてぇ…いてよぉう…」
小椋「ケーキもお花もいらないからぁ、恒一くんがいてくれれば…それだけで…あたし…」
恒一「………わかったよ」
恒一「一緒にいる。ずっとここにいるよ」
小椋「ふぇ…?ほんと?」
恒一「うん」
34 :
ほ
36 = 1 :
小椋「ほんとに?ほんとにほんと?」
恒一「うん、ずっと一緒だよ」
小椋「恒一くん、もう一回ギュってして」
恒一「こう?」ギュ
小椋「…うん」
小椋「恒一くん」
恒一「ん?」
小椋「キスして」
恒一「いいよ、じゃあ、目を閉じて…」
小椋「ん…」
・・・・・・・
・・・・・
・・・
37 = 1 :
恒一「?」
恒一「…ん?あれ?」クルッ
小椋「………」
恒一「小椋さん、今僕の服の裾、引っ張った?」
小椋「んーん」フルフル
恒一「あれぇ?気のせいかな…今、微かに引っ張られたような気が…」
小椋「知らなーい。幽霊じゃないの?」
恒一「ちょ、やめてよ…もう」
小椋「ひひひ、びびってやんの」
恒一「そんなんじゃないよ…んん~?…まあいいか」
恒一「じゃあ、また来るからね」
小椋「うん、バイバイ」
バタン…
38 = 1 :
小椋「………」
小椋「ハァ……忌々しい左手め…もうちょっとだったのにな…」グググ
小椋「………」ポテ…
小椋「//////」ボッ
小椋「て、アホかあたしは…何考えてんのよ…いやらしい…」
小椋「……はぁ」
小椋「リハビリ…がんばろう」
小椋「そんで…次は…ちゃんと」
小椋「この手で…しっかり恒一くんn
ガチャ
恒一「ところで小椋さん」ヒョコ
小椋「にゃっほおぉうい!!」ビクーン!!
39 = 34 :
ほ
40 = 1 :
恒一「にゃ…にゃっほい…?て何?」
小椋「なななななな、なーなー、何よ!! のの、ノックくらいしなさいよ!!」ドキドキドキ
恒一「あ、ごめん」
小椋「はぁ、はぁ、あぁビックリした…」
恒一「脅かすつもりは無かったんだけど…」
小椋「…聞いてた?」
恒一「え、何を?」
小椋「なな、なんでもないわよ!で、何の用よ!もう!」プンプン
恒一「小椋さん、どんな花が好みなのかなって思って」
43 = 1 :
小椋「はぁ…もう、そんなの適当でいいわよ」
恒一「そう?じゃあ、綺麗なの見繕って持って来るね」
小椋「ん」
恒一「じゃ、またね」
小椋「うん、また」
パタン…
小椋「あっ、待って!ちょっと待った!」
カチャ
恒一「どうかした?」ヒョコ
小椋「あたし、あれが欲しい。アネモネの花」
44 = 34 :
ほ
45 = 1 :
恒一「姉もね?」
小椋「うん、アネモネ」
恒一「どんな花なの?」
小椋「ええっと…牡丹みたいな花…だったかな?花自体はあんまりよく憶えてないんだけど」
恒一「え?憶えてないようなのを指定するの?」
小椋「い、いいのよ!ちゃんと言ったからね!アネモネだからね!」
恒一「わ、わかった…じゃあ、今度こそバイバイ、小椋さん」
小椋「うむ!気をつけて帰んなさいよ!じゃーね!バイバイ!」
恒一「うん、またね」
パタン
46 = 1 :
小椋「………」
小椋「はぁ~~~~…」
小椋「なんか疲れた…」
小椋「………」
小椋「…まだその辺に潜んでんじゃないでしょうね…恒一くん?」
小椋「そこにいるのは解ってんのよー出てきなさーい」
小椋「………」
小椋「……はぁ…なわけないか」
小椋「……」
小椋「ふふっ」
小椋「よいしょっと」カタ
小椋「よっ…彩…」
48 = 1 :
小椋「えへへ…恒一くん、あんたが言ってた通りのいいヤツだね…」
小椋「さっきね、あんたとの思い出が溢れ出て、涙が止まらなくなったんだ…」
小椋「頑張らなきゃ…って、強く想ったらね、彩がいなくなったこと、今になって初めて実感しちゃった…」
小椋「でもそれは、過去に縋って座り込んでたあたしが、やっと前に向かって歩き出すことが出来たからなのかな」
小椋「彩、あんた前に恒一くんに命を救われたんだよね」
小椋「あたしも今日…恒一くんに救われたよ…だから…」
小椋「あんたの所に行くのは、思ってたよりも、もっとずっと先になるかもね…」
小椋「ふふっ、でも最後のはちょっとだけ…らしくなかったかなぁ」
小椋「…笑っちゃうよね…あたしが花言葉なんて」
50 = 1 :
小椋「ねえ、彩…あたし、変わるよ。強くなる。もうあんたの写真見ても、淋しがって泣いたりしない」
小椋「…そりゃ、時々泣いちゃうこともあるだろうけど…てかすでに今もそうなんだけど…」
小椋「………グス…」
小椋「見守っててね、彩。あたしも、もう彩に心配かけないように強くなるから…」
小椋「………」
小椋「………」
小椋「彩……あたしね…」
小椋「今日、好きな人ができたよ」
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