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元スレ登山家「さ、登山の始まりだ!」ハーピー「あら?」

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1 :

登山家(いい仕事が入ったなぁ)

登山家(大好きな山登りができて、しかもお金までもらえるなんて信じられないよ)

登山家(なにしろ頂上まで行って、この石を置いてくるだけでいいんだからな)

登山家(太っ腹な人もいたもんだ)

登山家(とはいえ、この山は世界でも有数の標高を誇り、
    今までに踏破できた者はだれもいない……)

登山家(登った者は、いつの間にか麓に戻されているという……。
    おそらくは、よほど道が複雑なんだろう)

登山家(そして──)

2 = 1 :

登山家(ウワサによればこの山の頂上には、魔物ハーピーが住んでいると聞く……)

登山家(腕には美しい羽根、足には鋭い爪を持つ絶世の美女だとか)

登山家(うらやましいなぁ)

登山家(こんな素晴らしい山の頂上で暮らすなんて、気分最高だろうなぁ)

登山家(もし本当にハーピーがいるとしたら、ぜひ色々話を聞いてみたいよ)

登山家(おっと、そろそろ出発するか)

登山家「さ、登山の始まりだ!」ザッ

3 = 1 :

バサッ…… バサッ……

ハーピー「あら?」

ハーピー「あれは人間……」

ハーピー(あの人間はこの山を登ろうとしているのかしら?)

ハーピー(たまに麓に下りてみると、珍しい光景に出会えるものね。
     何年ぶりかしら)

ハーピー(まあ、どうせ途中で力尽きるでしょうけど)

5 = 1 :

登山開始──

登山家(一歩一歩、この山の雄大さを噛み締めながら歩いていこう)ザッザッ

登山家(いい山だなぁ)ザッザッ

登山家(もっとも、俺が今まで登った山はみんないい山だったけどね)ザッザッ

ハーピー(ふぅん、ペースを乱さず……かなり山に慣れた人間ね)

ハーピー(でもいくら山に慣れてるといっても、
     この山を登り切れた人間はいないって知ってるでしょうに……
     ずいぶんリラックスしてるわね)

ハーピー(不思議な人間……)

6 :

なんか男がポケモンBWのやまおとこで再生された

7 :

また山においでよ!

8 = 1 :

登山家「ふぅ、ふぅ」ザッザッ

登山家(体力の消耗が激しい……)

登山家(やはり、人の手がまったく入ってないだけあって、
    今までに俺が経験した山に比べて段違いに険しいや)

登山家(でも──)

登山家(楽しい)

ハーピー(笑った!?)

ハーピー(いくら鍛えていても、人間にはキツイ道のハズよ)

ハーピー(まったく……頭がおかしいのかしら)

9 = 1 :

登山家(日が沈んできた……)

登山家「もうすぐ夜になるな……初めての山で夜間登山は危険すぎる。
    今日はこの辺でキャンプにしよう」

登山家「なにせ地図すらないんだ……慎重にいかないと」

登山家「手持ちの食糧も注意深く消費するようにしよう」

ハーピー(なにが慎重にいかないと、よ!)

ハーピー(この辺りはタイガーの縄張りに近いじゃない!)

ハーピー(まったく……世話が焼けるんだから!)

10 = 1 :

ハーピー「ねぇ」バッサバッサ

タイガー「おうハーピーの姉さん。
     こんな地上近くまで下りてきてるとは珍しいな」

ハーピー「今人間が山を登ってるんだけど……絶対手を出さないでよね」

タイガー「人間?」

タイガー「ああ心配しなくても、俺は人間なんて食いたくねえよ。
     ニオイからしてマズそうだ」

タイガー「ナワバリに入ってこなきゃ、なにもしねえさ」

ハーピー「ならいいけど」

11 = 1 :

タイガー「ていうか、この山で人間食う魔物はいないだろ」

タイガー「なんでいつも人間が来ると、こうやってわざわざ
     いいにくるんだ?」

ハーピー「え……そんなの決まってるじゃない」

ハーピー「人間がこの山の過酷さに音を上げるところが見たいからよ」

ハーピー「あなたたちに食べられたら、一瞬じゃない」

ハーピー「それじゃつまらないでしょ」

タイガー「ふうん……」

ハーピー「な、なによ?」

タイガー「ま、そういうことにしておこう」

12 = 1 :

翌日──

登山家「朝か……」

登山家(空気がいいからか、疲れがすっかり取れてるな)

登山家「さぁ、朝食を済ませたらさっそく出発しよう!」

ハーピー「んぁ……」ハッ

ハーピー「あ、あの人間も起きたみたいね」

ハーピー(さっそくこっそりついていこうっと)バサッ

13 = 1 :

登山家(昨日よりもさらに道が険しくなってきたな)ザッザッ

登山家(なるほど……たしかに生半可な覚悟では登れないな、これは)ザッザッ

登山家(ペースを乱さないようにしないと……)ザッザッ

ハーピー(ふうん、やるじゃない)コソッ

ハーピー(今までの人間とは一味ちがうみたいね)

ハーピー(でもこの山はもっともっとキツくなるわよ……)

14 = 1 :

登山家「…………!」

登山家(オイオイ……)

登山家(こりゃあ、ほとんど崖じゃないか……。
    かといって迂回したら時間を食いすぎてしまう……)

登山家(指の力と体重移動だけを頼りに、登っていくしかないか……)ガシッ

登山家「よっ」ガッ

登山家「ほっ」ガッ

登山家「よっ」ガッ

ハーピー(へぇ……大抵ここで諦めて引き返すか、
     あるいは回り道しようとして迷っちゃうのに器用な人間がいたものね)

15 = 1 :

登山家「ふぅ……」ハァハァ

登山家(ようやく半分くらいか……)

登山家(落ちたらまちがいなくアウトだな)

パラパラ……

登山家(なんだ……小石……?)

登山家「!」

登山家(落石だっ!)

ゴロゴロ……

崖の上から、巨大な石が転がってきた。

登山家(まずい、アレに当たったら転落する!
    かといって、すばやい動きはできない!)

17 :

登山家「破ァ!!!」

18 :

栗城

19 = 1 :

ビュオッ!

登山家「うわぁっ!?(風っ!?)」

間一髪のところで、横からの突風が石を吹き飛ばし、登山家を救った。

登山家「あ、危なかった……!」

登山家「風に感謝しないとな」
   (食糧が入ってた袋を落としてしまったが……石に当たるよりはマシだ)

登山家(この山は自然が豊富だし、食べ物は調達できるだろう)

登山家「よし、登るか」ガッ

ハーピー(ふぅ、羽ばたきが間に合ったわ。
     あれぐらいかわせないなんて、ホントどん臭いんだから)

20 = 1 :

登山家「いよっと!」ガシッ

登山家「ふぅ~……」ハァハァ

登山家(どうにか崖を登りきったな……)ハァハァ

登山家「おや、今度は森が広がってるのか」
   
登山家(今日中に森を抜けるのは難しいだろうな……。
    日没前に森で食糧を集めて、ここでキャンプをするとしよう)

21 = 1 :

食糧を求め、森の中をさまよう登山家。

登山家(マズイ……)ガサガサ

登山家(全然食べ物が見つからない)ガサガサ

登山家(しかも知らない木ばかりだ……)ガサガサ

登山家(どうする……)

ガササッ

登山家「!?」

登山家「なんだ今の音は……」

登山家(ちょっと怖いが、様子を見てみるか……)スタスタ

22 = 1 :

すると──

登山家(たくさんの木の実……!)

登山家(しかも、鳥がついばんでる……ってことは毒ではないってことか。
    できれば少し分けてもらいたいな……)スッ

ピーピーピー バサバサ……

登山家(あ、飛んでいってしまった)

登山家(せっかくだ、食べさせてもらおう)

登山家「ん」
   (木の実の近くになにか落ちてる……)

登山家「これは……羽根?」
   (今の鳥たちの羽根にしては、少し大きいような……親鳥か?)

23 = 1 :

バサバサ…… ピーピーピー

ハーピー「ありがとね、あなたたち」

鳥A『いいえ、このくらいお安いご用でさ』ピーピー

鳥B『他ならぬ姐さんの頼みっすからね』ピー

ハーピー(これで、食糧は大丈夫かな?
     ──ったく、ホント人間って不器用よね)

24 :

ハーピーとは珍しい

25 :

三歩歩けば忘れる鶏頭でイエティに飼われてたりするのかと思ったのに

26 :

山と言うよりは山脈?

27 = 1 :

翌日──

登山家「今日で三日目か……」

登山家(あの木の実のおかげで、どうにか体力を回復できた……。
    メシ抜きじゃ、とてもこの山は登り切れないからな)

登山家(よし、今日はこの森を越えるぞ)

28 = 1 :

森の中──

登山家(特殊な磁場なのか、なんだか方向感覚が狂うな……。
    同じ所をグルグル回っているような気がする)

登山家(もしかして──迷ったか?)

登山家(マズイな、食糧については木の実が豊富だから心配ないけど……)

バサバサッ

登山家(なんだこの羽ばたき音は?)

登山家(このままじゃどっちみち遭難だ。音についてってみるか……)

30 = 1 :

バサバサッ

登山家(こっちか)ザッザッ

バサバサッ

登山家(今度はあっちか)ザッザッ

バサバサッ

登山家(お次は向こうか)ザッザッ

………

……

31 = 1 :

登山家「おおっ……!」

登山家(羽ばたき音に従ったら、ついに森を抜けられた……!)

登山家(なんとも不思議な森だったなぁ……)

登山家(今日はここでキャンプ、かな)

ハーピー(やれやれ、道案内までしてあげちゃった)バサッ

ハーピー(でも、ここまで来られた人間は初めてね)

ハーピー(さてここからはもう手助けしないわよ。
     頂上までたどり着けるかしら?)

32 = 1 :

翌日──

登山家「さぁ、出発だ!」

登山家(色々あったけど……ようやく頂上近くまでたどり着けた……)

登山家(ここからはもう迷うようなポイントはなさそうだ。
    なんとか今日中に頂上に到達してみせるぞ!)ザッザッ

登山家(頂上には本当にハーピーがいるのだろうか。
    楽しみだなぁ)ザッザッ

33 :

しえん

34 :

期待あげ

35 = 1 :

登山家(傾斜がきつくなってきた……でも頂上まであと少しだ!)ザッザッ

登山家(焦らず騒がず一歩ずつ! 山に感謝しつつ登っていこう)ザッザッ

登山家(ん、頂上が見えてきた!)ザッザッ

登山家(あと10歩!)ザッザッ

登山家(9、8、7、6、5……)ザッザッ

登山家(4、3、2、1……)ザッザッ

36 :

よくがんばった

38 = 1 :

登山家「着いたぁ……!」ハァハァ

登山家「やったぁ……!」ハァハァ

登山家「おおお……!」

登山家の目の前には、美しい景色が広がっていた。

登山家「なんて素晴らしい眺めなんだろう。
    雲と空と地上が絶妙なバランスで混ざり合っている……!
    まるで世界の果てまで見渡しているような気さえするよ」

すると──

バサバサッ

登山家(こ、この羽ばたき音は!?)

40 = 1 :

バサァッ!

登山家「うわぁっ!」ドサッ

ハーピー「ふふふ、無断で私の住処に侵入するとは感心しないわね、人間」バサッバサッ

登山家「あ、あなたは……まさか……!」

ハーピー「ご存じのようね」

ハーピー「この山の主、ハーピーよ」

ハーピー「この爪で八つ裂きにしてあげましょうか?
     それとも、羽根の弾丸で全身を蜂の巣にしてあげましょうか?
     風で切り裂いてあげるってのもアリかしらね」バサァッ

登山家「…………!」

ハーピー(ふふふ、怯えてる怯えてる。一度やってみたかったのよね)

41 = 24 :

きたああああああああああああああおああああああ

42 = 1 :

登山家「……じゃあ、全部で」

ハーピー「へ?」

登山家「この山は美しい……あなたがいることも知っていた。
    にもかかわらず、俺はこの足で無断で立ち入ってしまった……」

登山家「あなたの怒りはもっともだ……!」

登山家「俺は……登山家失格だ!」

44 = 1 :

ハーピー「ちょ、ちょっと待ってよ!」

登山家「はい?」

ハーピー「しないから!」

登山家「え?」

ハーピー「爪で引き裂いたりとかしないから!」

登山家「つまり……許してくれるってこと? どうもありがとう。
    じゃあこのまますみやかに下山させてもらうよ」

登山家「本当に申し訳なかった」スタスタ

ハーピー「すぐ帰ることないでしょう!
     やっとの思いでここまで来たんでしょう!?」バサッ

登山家「え?」

ハーピー「ちょっとゆっくりしていきなさいよ!」

登山家「は、はぁ……じゃあお言葉に甘えて」

45 = 1 :

ハーピーの家──

登山家「ずいぶん立派な家だね」

ハーピー「自分で木を切って作ったの。自信作よ」

登山家「へぇ~……ちょっとしたログハウスだよ、これは」

登山家「でもハーピーさん、クギとかはどうやって調達したの?」

ハーピー「地上に下りた時に、麓の町で買ったのよ。
     もちろん、人間の格好をしてね」

ハーピー「羽根と足の爪さえごまかせば、見かけは人間と同じだしね」

登山家「なるほど……」

47 = 1 :

ハーピー「料理はまだまだあるからね」

登山家「いや、こりゃうまい」ムシャムシャ

登山家「ところで、ハーピーさんは料理をいつも作りだめしてるの?」

ハーピー「どうして?」

登山家「だって俺が来たのはハーピーさんにとって予定外の事態だったハズなのに
    こんなに料理が用意してあったからさ」

登山家「もし俺のために用意してくれてたなら、ちょっと嬉しいかな、なんて……ハハ」

ハーピー「!」

ハーピー「た、たまたまよ! あなたが来るなんて予想もしてなかったわ!
     まして歓迎してあげようなんて気はこれっぽっちもないわ!」

登山家「す、すみません!」
   (しまった、怒らせたか……)

48 :

なにこれかわいい

49 = 1 :

ハーピー「──にしても、あなたってなんでこの山に登る気になったの?
     この山がどういう山か知らないワケじゃないでしょ?」
    (事実、私がいなきゃ死んでたかもしれないし)

登山家「今回は仕事ってのもあるんだけど……俺、山が好きなんだ」

ハーピー「山が? へぇ、変わってるのね」

登山家「よくいわれるよ」

登山家「俺には夢が二つあるんだ」

登山家「一つは世界中の山を登ること。
    もう一つは、登山の楽しさをみんなに知ってもらうことなんだ」

登山家「世間ではまだまだ登山は危険、通行の一手段に過ぎないという認識が強い」

登山家「俺はもっと登山を親しみやすいものにしていきたいんだ」

ハーピー「ふ~ん、なるほどねぇ」


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