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元スレさやか「お見舞いにいこう」
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「恭介が事故にあって、バイオリンが弾けなくなったって聞いて」
「もうあの音色が聞けないんだ、って思ったら、すごい悲しくなった」
やっぱりな、と思う
上条恭介という人間からバイオリンを取り上げれば、もう何も残っていないのだから
「でもね、恭介が無事で、本当によかった」
「……さやか」
「確かに恭介のバイオリンを聞くことはもうできない、だけど恭介は生きてる。 あたしの側にいてくれる」
「バイオリンとか、そんなの関係なしに、あたしは恭介がいてくれればそれでいい」
酔っ払った詢子さんが適当に言った一言みたいな安価からいい話みたいになってきてる不思議
胸の中のわだかまりが、取り払われた気がした
バイオリンが弾けなくなった僕を必要としてくれる人が、こんなにも近くにいたなんて
「……バカなのは、僕の方だ」
「……え?」
「でも、さやかはどうして僕のことを……」
「……気づきなさいよ、バカ」
「えっ、と……幼馴染だから?」
その言葉に、さやかが嘆息を返す
「確かに……それもある」
でもね、と続ける
「幼馴染として、ずっとそばにいて、それが当たり前になって……ある日気付いたの」
「気付いたって、何に?」
「……ここまで言ってわからないの?」
「え? ご、ごめん……」
はあ、と溜息をつき、さやかが僕を真っ直ぐに見据える
「今日は特別、教えてあげる……なんと、見滝原中学の美樹さやかちゃんは……」
ひと呼吸置き、言葉を続ける
「幼馴染の上条恭介君のことが、好きになっちゃったのでしたー」
えへへ、とはにかむようにさやかが笑う
「……好き、って」
「じゃないと、こんなことしないよ……そこは、分かって欲しかったかな」
「あ、えっと、ごめん」
「だいじょーぶ、怒ってないよ」
「えっと……」
突然の告白に、戸惑いを隠せない
「あ、いいよいいよ! そんなに深く考えなくても……ほら、恭介ってもてるから! あたしなんかよりもっといい子を見つけたほうがいいよ!」
「仁美みたいなお嬢様とか、まどかみたいな可愛らしい子とか。 あ、転校生みたいな美人さんでもいいかな」
「さやか……」
「……迷惑、だよね、ごめん。 でも、どうしても伝えたくて」
「バイオリンが弾けなくても……あたしにとって恭介は恭介。 この気持ちは、変わらないよ」
「……ありがとう、さやか」
「うん……どういたしまして、かな? でも、いきなり変なこと言っちゃって……ごめんね」
「どうしてそう思うんだい?」
「……そりゃ恭介だって、あたしみたいのに告白されても、嬉しくないでしょ?」
どうして彼女は、そんなことを言うのだろうか
多分、彼女の気持ちにずっと気付けなかった間抜けのせいだろうけど
「……そんなことないよ」
「またまたー……あんまり優しすぎるのは、良くないとおもうぞー?」
「バイオリンが弾けない僕に、生きる意味があるのか……ずっと考えてたんだ」
「……ダメだよ、そんな風に考えちゃ」
「うん……本当に、自殺も考えたくらいなんだ」
「そっか……でも、恭介が死んじゃったら、あたしも後を追っちゃうかもしれないよ?」
「それは困るね……さやかが死んじゃったら、左手を治す意味がなくなっちゃう」
「……え?」
「さやかにバイオリンをもう一度聞いて欲しい、だから、僕は手を治したい」
「……あたしに聞かせてどうするのよ……もっと、聞かせる相手がいるんじゃない?」
「君がいたからこそ、バイオリンを続けてこれた」
「……」
「だからさやかに、もう一度僕の音を聞いて欲しかったんだ」
「……そっか、嬉しいな。 そんな風に思ってくれるなんて」
「そう、だから僕も、君のことをすごく大切に思ってる」
「……え、えへへ……」
「それで、さっきの返事だけどさ」
「ふぇっ!? あ、いや、無理に返事しなくていいよ! その、あれは……えと……」
「さやか」
「ひゃ、ひゃいっ!、」
「……上条恭介は、幼馴染である美樹さやかのことを、とても大切に思ってる」
「え、あ、う、うん……」
「そしてその気持ちは……恋愛感情であると言っても過言じゃない」
「……」
「僕も――好きだよ、さやか」
「……ほ、本当なの?」
「今更嘘をつくわけないじゃないか」
「そ、そうだよね……あはは……」
ぎこちなく笑うさやかの目から、一筋の涙が零れ落ちる
「……さやか?」
「あ、あれ……なんでだろ……ごめんね、ちょっと、止まらないや……」
小さな肩を震わせ、さやかがしゃくりあげる
「ここは、泣くところじゃ、ない、のに、ひっく、笑わなきゃ、いけないのに、ぐすっ」
「……」
自然と顔が緩む
泣き続けるさやかの頭を、優しく撫でる
――そういえば、昔からそうだった
無理をして、強がって、弱音を吐くようなことをしない子だった
そんな彼女に、僕はただ甘えていただけだったのかもしれない
「ありがとう、さやか」
今までそばにいてくれて、ありがとう
これからも、そばにいて欲しい
「……うん」
眩しいくらいの笑みで、さやかが応える
「でも、さやかこそ僕みたいなので良かったのかい?」
「いやいや、あたしに恭介はもったいないくらいだってば」
「……そうかなあ」
「すぐ近くで、夢に向かって頑張ってる姿を見せ続けられたら、好きにもなっちゃいますって」
「そういうものかい?」
「そうそう」
「そっか……」
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