元スレあぎり「ソーニャが、死んだ?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
101 = 29 :
EDのラストでただ一人寂しげに座っているあぎりさんを思い出すな
102 = 1 :
あぎり「……すみません、変なこと言っちゃいましたね」
やすな「…………」
あぎり「今日はもう遅いですから……帰ったほうが、いいと思いますよ」
私がそう言うと、彼女は何も言わずに教室を出ていった。
……
103 :
「殺し屋の女の子とその同級生の女の子の話」
いくらでも重くできる題材でキルミーダンスとか言ってる作者は人間の鑑
104 = 41 :
あの声で怒ってるのが想像できない
ここまで脳内再生が難しいのは初めてだ
105 = 1 :
――その日の夜、自宅。
私は制服のままで、布団の上に転がっていた。
当然明日も学校がある。 でも、行きたいとは思えなかった。
学校に行くなら、当然ソーニャとしてだ。
私ではなくソーニャとして、彼女と会い、話す。
今の私に、それが出来るだろうか?
これまで普通にやっていたことなのに、今は想像するだけで吐き気がする。
いや、前も同じだったに違いない。
無理をして、目をそらしていただけだ。
毎朝明るい笑顔で話しかけてくれるのも。
少し黙っていただけで、心配そうに顔を覗き込まれるのも。
すべてソーニャであって、私じゃない。
私が何を思って、何をしても、それは彼女には伝わらない。
わかっていたつもりなのに、それが嫌だった。
私自身が、彼女の友達でいたかった。
106 = 1 :
じゃあ、なんでこんなことを始めたんだろう?
その答えは、いつの間にか出ていた。
たぶん、知りたかったからだ。 彼女がどういう人間なのか。
組織で知り合った頃のソーニャは、冷徹で、人間味がなくて、殺すための機械のようだった。
それがいつしか、ただの人間に変わっていた。
変えたのは当然、彼女だ。
私はそれに興味を持った。
機械を人間にした彼女がどのような存在か、確かめてみたくなった。
そうして彼女と付き合っている内に、私は彼女が、ごく普通の、
少し馬鹿で寂しがり屋なだけの女の子であることを知った。
それなのに、私は彼女から離れられなくなった。
私もソーニャと同じように、ただの人間になっていた。
107 = 66 :
やっぱりシリアスなベイベーもいい
108 = 1 :
私は両手で、自分の顔を強く掴んだ。
口からは自然に嗚咽が漏れる。
私はどうすれば良い?
もう逃げることはできない。 明日ソーニャが登校しなければ、私との関係を疑われる。
そうなれば、彼女にソーニャの死がバレてしまうかもしれない。
いっそのこと、すべて話してしまおうか。
ソーニャが死んだことを伝えて、最初からやり直そうか。
でも、それはきっと、私自身が耐えられない。
こんなこと言える立場じゃないけど、これ以上彼女を悲しませたくない。
……どちらにしても、明日の朝までに決めなくてはならない。
あぎり「私はどうすれば、いいんでしょうか……」
あぎり「……やすなさん……」
――――――――――
109 = 11 :
キルミーベイベーっていうのはソーニャやあぎりみたいな殺し屋側からの訴えだった説
殺人サイボーグな私を殺して普通の女の子に、みたいな
110 :
あぎりさん・・・
111 = 1 :
――数週間後。 教室。
やすな「おはよう、ソーニャちゃん!」
ソーニャ「ああ、おはよう」
やすな「ふう……なんか暑いねえ」
ソーニャ「もうすぐ夏だからな」
やすな「あーあ、なんかかき氷食べたいなあ……」
ソーニャ「まだ流石に早すぎるだろ……」
やすな「そんなこと言って、去年は秋ギリギリに食べたじゃーん」
ソーニャ「……そういえばそうだったな」
112 = 1 :
やすな「そうだよ! もうあんな失敗はしたくないし、冷たいものは暑い時に食べたい!」
ソーニャ「そうは言っても、売ってないんだから仕方ないだろ?」
やすな「無いなら作れば良いじゃない! というわけで、帰りに氷買ってこ?」
ソーニャ「……まあいいけど、かき氷機まだ残ってるのか?」
やすな「おっ、珍しく乗り気だね? やっぱり暑いんだー」
ソーニャ「当然だろ? 私だって人間だ」
やすな「ふふん、大丈夫大丈夫、去年買ったのが……あ」
ソーニャ「どうした」
やすな「前にもう一回ドラアイス削ってみたら壊れたんだった……」
ソーニャ「…………」
やすな「どうしよう……」
ソーニャ「諦めろよ」
113 = 1 :
やすな「いや……あ! あ、でもなあ……」
ソーニャ「なんだ?」
やすな「その……あぎりさんが何か持ってないかな、って」
ソーニャ「ああ……まあ持ってるかもな」
やすな「…………」
ソーニャ「……どうした? あぎりと何かあったのか?」
やすな「え? う、うん……まあ、ちょっと」
114 = 1 :
ソーニャ「ふーん……でも、どっちにしろ無理だろ」
やすな「? 何が?」
ソーニャ「いや……聞いてないのか?」
ソーニャ「あいつ、もうこの街に居ないからな」
やすな「……え? 何で?」
ソーニャ「この前、仕事の都合で引っ越して行った」
やすな「そんな……何も知らされてないよ!」
ソーニャ「仕事が仕事だからな……私も住所は教えられてないし」
115 = 41 :
!?
116 = 1 :
やすな「…………」
ソーニャ「……一生会えないわけじゃ無いんだ、そう落ち込むことでも無いだろ」
やすな「……そんなことないよ」
ソーニャ「……あっそ」
やすな「…………」
ソーニャ「…………」
ソーニャ「……そういえば」
ソーニャ「あいつが出ていく前に、運びきれない荷物とか、結構押し付けられたな」
ソーニャ「ほとんどパーティーグッズだったけど……何かあるかもしれない」
やすな「……え?」
117 = 4 :
それでいいのかあぎりさん
118 = 1 :
ソーニャ「……探してみるか?」
やすな「……う、うん!」
ソーニャ「じゃあ、放課後私の家に寄るか」
やすな「えっ、いいの!?」
ソーニャ「目隠し耳栓付きでな」
やすな「ええー……」
ソーニャ「当然だろ? ああ、でも結構面倒なんだよな……」
やすな「じゃあ教えてよー、ソーニャちゃんの家」
ソーニャ「…………」
ソーニャ「まあそれくらい良いか……なんかあった時のために、な」
―――――
119 = 1 :
――放課後、ソーニャ宅。
あぎり「……ちゃんと、効いてますね」
私は彼女がすっかり眠っていることを確認して、顔のマスクを剥ぎとった。
薬の効き目は、もって10分ほど。
体に全く悪影響を残さないためには、これが限界の時間だった。
あぎり「こんなにかき氷食べて、お腹壊しますよ……?」
彼女の体を膝の上に乗せて、髪をすこし撫でてみる。
そこまで動かしても、寝言すら言わない。
薬のせいで、かなり深い眠りについているようだ。
それでいい。 今目を覚まされたら、私の姿を見られてしまう。
120 :
122 = 1 :
私は、彼女と二度と会わないことにした。
学校は転校扱いにして、町からも引っ越したという体にする。
家ももう、引き払ってしまった。 今ではここが私の家だ。
呉織あぎりが彼女の周りから消えれば、もう同僚に仕事を依頼する必要もない。
正体がばれる確率も、ずっと低くなる。
それが、私の出した結論だった。
124 = 11 :
そんなの悲しすぎる
125 = 1 :
彼女にとって、ソーニャがいなくなることはありえない。
だから、絶対に正体がばれてはいけない。
私がいなくなることで不安要素が消えるなら、それくらいお安い御用だ。
あぎり「でも……」
私は彼女を持ち上げて、そっと抱きしめた。
少し痩せ気味で小さな体は、想像よりも重く感じる。
……この10分間だけは、こうしていさせて欲しい。
ソーニャの代わりとしてではなく、私として彼女に触れていたい。
それくらいは、許されないだろうか。
126 = 1 :
あぎり「……ねえ、やすなさん」
あぎり「いつまで……こうして、二人で居られるんでしょうね?」
あぎり「やっぱりいつかは、バレちゃうんでしょうか……」
あぎり「変装はともかく、物真似は少し苦手ですし」
あぎり「……それとも」
あぎり「私も、ソーニャみたいに……」
あぎり「…………」
あぎり「……でも、それでも私は幸せですよ」
あぎり「だって、私はあなたを……」
……いや、やめよう。
127 = 1 :
あぎり「……本当の気持ちは、秘密にしておきますね?」
終わり
128 = 29 :
いちおつ
なんだよこの切ない話は…
130 :
ほんとのきもちはひみつだよ
秘密だよ
131 = 11 :
これは切ない
あぎりさんがいつか報われますように
132 = 41 :
>>1乙
さて寝るか
133 = 66 :
乙
見てたらキャラスレ落ちてらぁ
134 = 1 :
以上 読んでくれてありがとう
135 = 4 :
GW最後にいいもの読めた、乙!
136 = 83 :
乙
シリアスいいな
つーかマジでキャラスレ落ちてた…
137 = 79 :
乙
キルミー知ってたらもっと楽しめたんだろな
138 = 60 :
乙
こういうのもいいな
139 = 110 :
乙
あぎりさん・・・
141 = 73 :
ものまねすきるがみじゅく…
そういうのもあるのか!
にしても、おつ
142 :
これはいい作品だったじゃまいか
乙
143 :
乙!
切ない・・・・・・
切ないといえば昨日売ってたカヅホさんの同人誌も・・・・・・・
144 = 5 :
乙
良かった
145 :
ソーニャ 「なんだこの扱いーー!」
146 :
乙乙
また書いてくれ
147 = 64 :
おつおつ
雰囲気出てたし地の文良かったんじゃないかな
みんなの評価 : ☆
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