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元スレ魔王「お前の泣き顔が見てみたい」
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その数時間後、狼族部隊、龍族部隊と共に側近が到着
した。結果的に八岐大蛇による村の被害は東の一部分のみで誰も命を落とすことはなかった。
魔王「勇者、何と礼を申せばよいか・・・本来ならば
私自身がやらなければいけなかったものを」
勇者「ん~、でもあの状況で動けるのは僕だけでしたし」
側近「それにあの八岐大蛇が襲撃したにもかかわらず
民も兵も誰も命を落とさずにすんだなんて・・・どっちが化け物なのかわかりませんね」
勇者「側近さんの精神攻撃にはどんな防御魔法も効きそうにないです・・・」
した。結果的に八岐大蛇による村の被害は東の一部分のみで誰も命を落とすことはなかった。
魔王「勇者、何と礼を申せばよいか・・・本来ならば
私自身がやらなければいけなかったものを」
勇者「ん~、でもあの状況で動けるのは僕だけでしたし」
側近「それにあの八岐大蛇が襲撃したにもかかわらず
民も兵も誰も命を落とさずにすんだなんて・・・どっちが化け物なのかわかりませんね」
勇者「側近さんの精神攻撃にはどんな防御魔法も効きそうにないです・・・」
こほん、と魔王は咳をする。その顔は少し赤い。
魔王「で、だな勇者よ。これだけの功績をあげたお前に
だな、こほん。わ、私から何かしてやれる事があるならばやってやってもよいぞ?」
側近は何か得心したかのように手をポンと叩いた。
側近「まぁ、誘惑ですか?」
魔王「違うわ阿呆っ!!」スパーン
魔王「・・・・で、何かしてほしいことはあるか?」チラッ
勇者「う~ん、そういうのはあまり考えた事がありませんからねぇ」
魔王「そ、そうか」
勇者「・・・・あっ、今一つ思いつきました!」
魔王「で、だな勇者よ。これだけの功績をあげたお前に
だな、こほん。わ、私から何かしてやれる事があるならばやってやってもよいぞ?」
側近は何か得心したかのように手をポンと叩いた。
側近「まぁ、誘惑ですか?」
魔王「違うわ阿呆っ!!」スパーン
魔王「・・・・で、何かしてほしいことはあるか?」チラッ
勇者「う~ん、そういうのはあまり考えた事がありませんからねぇ」
魔王「そ、そうか」
勇者「・・・・あっ、今一つ思いつきました!」
SS書くなら、どんなに批判されようが反応薄かろうが書き抜け
代々誰かが読んでるから
代々誰かが読んでるから
魔王「準備はまだか?」
その声は少し弾んでいる。
側近「もう少し待ってください。魔王が少しの間でも城を
離れるなんて特例中の特例なんですから・・・村がとても近い
から許可がなんとかとれたんですよ?」
魔王「それはそうだが・・・」ウズウズ
側近「魔王のこんな姿をあの人間が見たらどう思うか・・・」ハァ
魔王「なぜそこで勇者が出てくるのだ?・・・む、その前に勇者はどこに行ったのだ?」
側近「もう、さっき部屋を出て行ったのを見てなかったんですか
・・・。あの人間は一足先に村へ向かったそうですよ?」
その声は少し弾んでいる。
側近「もう少し待ってください。魔王が少しの間でも城を
離れるなんて特例中の特例なんですから・・・村がとても近い
から許可がなんとかとれたんですよ?」
魔王「それはそうだが・・・」ウズウズ
側近「魔王のこんな姿をあの人間が見たらどう思うか・・・」ハァ
魔王「なぜそこで勇者が出てくるのだ?・・・む、その前に勇者はどこに行ったのだ?」
側近「もう、さっき部屋を出て行ったのを見てなかったんですか
・・・。あの人間は一足先に村へ向かったそうですよ?」
魔王「勇者め、先に行くなんて卑怯な奴なんだ」
側近「・・・」
魔王「ええい、そんな目で私を見るでない!仕方ないだろう?
私が外に出るなんて一体何年ぶりだと思っている!」
側近「・・・たった8年ですが?」
魔王がクワッと目を見開く。
魔王「8年も、だ!今まで生きてきた時間の約半分だぞ?正直言って息がつまる!」
子供のように喚く魔王を横目に見ながら
側近「・・・本当ここにあの人間がいなくて良かったです」
とやるせなそうに呟いた。
・・・もしここに勇者がいたら魔王の尊厳が急激に降下
を始めていただろう。
側近「・・・」
魔王「ええい、そんな目で私を見るでない!仕方ないだろう?
私が外に出るなんて一体何年ぶりだと思っている!」
側近「・・・たった8年ですが?」
魔王がクワッと目を見開く。
魔王「8年も、だ!今まで生きてきた時間の約半分だぞ?正直言って息がつまる!」
子供のように喚く魔王を横目に見ながら
側近「・・・本当ここにあの人間がいなくて良かったです」
とやるせなそうに呟いた。
・・・もしここに勇者がいたら魔王の尊厳が急激に降下
を始めていただろう。
ーーーー辺境の村
勇者を満面の笑みで出迎えたのはエルフ少女だった。
エルフ少女「勇者様っ!来てくれたのですね!」ダッ
勇者「うん、今は何かと手が足りないんじゃないかと
思ってね。あとでまた城の者が来ると思う。魔王様も来るよ」ニコ
エルフ少女「ま、魔王様が来るって本当ですか!?」
勇者「うん、少し遅れてくるみたいだけどね」
エルフ少女「新しく就任なされた魔王様ってどんな御方なんですか?」
勇者「・・・すごく純粋な御方だよ」ニコ
エルフ少女「むっ!その笑みに何か危険な匂いを感じま
したよ!さては魔王様は女性ですね?」
勇者「おぉ、よくわかったね」
エルフ少女「ふぐぐぐ!権力なんかに私、負けません!
私まだ子供ですし!これからですし!うわーーーん!」ダッ
いきなり涙目になって走り去ってしまった・・・。
勇者「2年ぶりに会ったからまだたくさん話したい事あったのになぁ・・・」
勇者を満面の笑みで出迎えたのはエルフ少女だった。
エルフ少女「勇者様っ!来てくれたのですね!」ダッ
勇者「うん、今は何かと手が足りないんじゃないかと
思ってね。あとでまた城の者が来ると思う。魔王様も来るよ」ニコ
エルフ少女「ま、魔王様が来るって本当ですか!?」
勇者「うん、少し遅れてくるみたいだけどね」
エルフ少女「新しく就任なされた魔王様ってどんな御方なんですか?」
勇者「・・・すごく純粋な御方だよ」ニコ
エルフ少女「むっ!その笑みに何か危険な匂いを感じま
したよ!さては魔王様は女性ですね?」
勇者「おぉ、よくわかったね」
エルフ少女「ふぐぐぐ!権力なんかに私、負けません!
私まだ子供ですし!これからですし!うわーーーん!」ダッ
いきなり涙目になって走り去ってしまった・・・。
勇者「2年ぶりに会ったからまだたくさん話したい事あったのになぁ・・・」
ーーー辺境の村・東
村長「勇者殿、お久しぶりですな~」ニコ
勇者「こちらこそどうも~、ご無事で何よりです」ニコ
一瞬にしてのんびりした空気が周辺を支配する。
村長「いやはや、もうこれで何度村を助けてもらったかわかりませんなぁ」
勇者「・・・東の一部に被害をだしてしまったのは申し訳ないですけどね。よっ」
角材を持ち上げ、肩に担いだ。民の一人が声を上げる。
「勇者さんこっちにその角材持ってきてくれ!」
勇者「今行きます~、あ、村長またあとで」タッ
村長「人間が皆勇者殿の様であれば、人と魔物が憎しみ合う
事は・・・・・・ふふ、意味のない事だとわかっていても
勇者殿を見ていると何度もそう思ってしまう」
村長「勇者殿、お久しぶりですな~」ニコ
勇者「こちらこそどうも~、ご無事で何よりです」ニコ
一瞬にしてのんびりした空気が周辺を支配する。
村長「いやはや、もうこれで何度村を助けてもらったかわかりませんなぁ」
勇者「・・・東の一部に被害をだしてしまったのは申し訳ないですけどね。よっ」
角材を持ち上げ、肩に担いだ。民の一人が声を上げる。
「勇者さんこっちにその角材持ってきてくれ!」
勇者「今行きます~、あ、村長またあとで」タッ
村長「人間が皆勇者殿の様であれば、人と魔物が憎しみ合う
事は・・・・・・ふふ、意味のない事だとわかっていても
勇者殿を見ていると何度もそう思ってしまう」
城の者が村に到着してからは修復速度は上がり、日が
落ちる前には村はほぼ元通りになった。・・・・当然魔王が着く頃には。
魔王「・・・私が来た意味はあったのだろうか」
側近「じゃあ戻りましょう」
魔王「待て」ガシッ
側近「ならそんな事を言ってないで民と城の者達に労いの言葉でもかけたらどうです?」
魔王「むむむ、最近私に対する口が悪すぎるのではないか?」
側近「だったらもう少し魔王らしく堂々としてください」
魔王は顔をしかめた。
魔王「むぅ、そう言われてはかなわんな」
村長「お目にかかれて光栄でございます魔王様」
魔王「うむ、此度の件はご苦労だったな」
民幼女「あっ、魔王様だ!」
元気な声を上げて子供が魔王のもとへ駆け寄ってくる。
村長「こら!魔王様の前でそんなはしたない!」
魔王「よい」
民幼女「わぁ!魔王様ってきれいなお姉さんなんだぁ!
私魔王様に初めて会っちゃった」
魔王「き、綺麗・・・?そういう事はよくわからないが礼を
言っておくべきなのだろうな・・・」ニコ
民幼女「うん!私の種族の中ではすっごく綺麗な方だよ!あ、あとね!魔王様にお礼が言いたいの!」
魔王「うむ、此度の件はご苦労だったな」
民幼女「あっ、魔王様だ!」
元気な声を上げて子供が魔王のもとへ駆け寄ってくる。
村長「こら!魔王様の前でそんなはしたない!」
魔王「よい」
民幼女「わぁ!魔王様ってきれいなお姉さんなんだぁ!
私魔王様に初めて会っちゃった」
魔王「き、綺麗・・・?そういう事はよくわからないが礼を
言っておくべきなのだろうな・・・」ニコ
民幼女「うん!私の種族の中ではすっごく綺麗な方だよ!あ、あとね!魔王様にお礼が言いたいの!」
魔王「お礼・・・?」
うん!と花が咲くような笑みを顔一杯に広げて幼女は魔王に言った。
民幼女「えっと、私達みんなを助けてくれて、ありがとうございました!」
魔王の瞳が見開かれた。そして顔に微笑みを浮かべて幼女の頭を撫でる。
魔王「・・・私は何もしていない。礼を言うなら城の者や・・・勇者に言えばいい」
民幼女「うん、もうみんなにお礼を言いにいったんだけどね!
みんな言ってたよ!お礼は魔王様に言ってくれ、って!」
魔王「・・・何?」
民幼女「だってね?確かに自分達はこの村を助けたけど、
それができたのも魔王様が素早く決断してくれた
からだって!この村を助ける事ができたのも、
元通りにできたのも魔王様のお陰だからって!」ニコッ
民幼女「やっぱりお母さんの言った通りだった!魔王様
は私達魔物の事をいつも考えてくれていて、いつも
助けてくれる凄い御方だって言ってたもん!」
うん!と花が咲くような笑みを顔一杯に広げて幼女は魔王に言った。
民幼女「えっと、私達みんなを助けてくれて、ありがとうございました!」
魔王の瞳が見開かれた。そして顔に微笑みを浮かべて幼女の頭を撫でる。
魔王「・・・私は何もしていない。礼を言うなら城の者や・・・勇者に言えばいい」
民幼女「うん、もうみんなにお礼を言いにいったんだけどね!
みんな言ってたよ!お礼は魔王様に言ってくれ、って!」
魔王「・・・何?」
民幼女「だってね?確かに自分達はこの村を助けたけど、
それができたのも魔王様が素早く決断してくれた
からだって!この村を助ける事ができたのも、
元通りにできたのも魔王様のお陰だからって!」ニコッ
民幼女「やっぱりお母さんの言った通りだった!魔王様
は私達魔物の事をいつも考えてくれていて、いつも
助けてくれる凄い御方だって言ってたもん!」
魔王「・・・っ!」
だめだ、泣くことは許されない。私はこの子の前では《魔王》なのだから。
民幼女「魔王様はこれからも私達が危ない時は助けてくれるんだよね!」
魔王「・・・ああ、そうだな」ニコ
あふれ出る想いを必死に抑えて笑みをつくる。
そして魔王は自分の首から首飾りを外し、その子の首にかけた。
側近「魔王様ったら・・・」ハァ
民幼女「わぁ~、きれー。これくれるの!?」
村長「ま、魔王様!?」
魔王「いいんだ、元々私はこういう物にあまり興味がないからな」ニコ
魔王はその子の頭をやさしく撫でた。
魔王「その首飾りにかけて誓おう。私は必ず皆を守ると」
魔王が勇者を倒し、また倒される存在だと誰が決めたのか。
そうではないのだ。今ならわかる、魔王とは民の事を
考え、守る存在なのだ。たとえ私がまだ魔王たるに未熟だとしても、もう私に迷いはない。
だめだ、泣くことは許されない。私はこの子の前では《魔王》なのだから。
民幼女「魔王様はこれからも私達が危ない時は助けてくれるんだよね!」
魔王「・・・ああ、そうだな」ニコ
あふれ出る想いを必死に抑えて笑みをつくる。
そして魔王は自分の首から首飾りを外し、その子の首にかけた。
側近「魔王様ったら・・・」ハァ
民幼女「わぁ~、きれー。これくれるの!?」
村長「ま、魔王様!?」
魔王「いいんだ、元々私はこういう物にあまり興味がないからな」ニコ
魔王はその子の頭をやさしく撫でた。
魔王「その首飾りにかけて誓おう。私は必ず皆を守ると」
魔王が勇者を倒し、また倒される存在だと誰が決めたのか。
そうではないのだ。今ならわかる、魔王とは民の事を
考え、守る存在なのだ。たとえ私がまだ魔王たるに未熟だとしても、もう私に迷いはない。
魔王「・・・あそこにいるのは勇者か」
村長は静かな声で答える。
村長「・・・はい。かれこれもう3時間は」
魔王「なぜあいつは墓の前で祈っているのだ?」
村長「あの墓には・・・歴代の勇者一行達の犠牲になった民達が眠っているのです」
魔王&側近「・・・・・・ッ!!」
昔を懐かしむように村長は言葉を続ける。
村長「・・・勇者様がこの村にいた頃は毎日ここで何時間も祈っていたものです」
側近「やはりあの人間はここに来たことがあるのですね?」
そうでなければ民の勇者へ対する態度の説明がつけられない。
魔王「城に来るにはこの村を通らなければならないからな。・・・勇者はどうやって村を通るこ
とができたのだ?」
村長「勇者様がわざわざ私の所へ来て頼んだのですよ。
やる事があるんです、ここを通させてもらえませんか、と」
村長は静かな声で答える。
村長「・・・はい。かれこれもう3時間は」
魔王「なぜあいつは墓の前で祈っているのだ?」
村長「あの墓には・・・歴代の勇者一行達の犠牲になった民達が眠っているのです」
魔王&側近「・・・・・・ッ!!」
昔を懐かしむように村長は言葉を続ける。
村長「・・・勇者様がこの村にいた頃は毎日ここで何時間も祈っていたものです」
側近「やはりあの人間はここに来たことがあるのですね?」
そうでなければ民の勇者へ対する態度の説明がつけられない。
魔王「城に来るにはこの村を通らなければならないからな。・・・勇者はどうやって村を通るこ
とができたのだ?」
村長「勇者様がわざわざ私の所へ来て頼んだのですよ。
やる事があるんです、ここを通させてもらえませんか、と」
魔王「貴方はそれを許可したのか?」
村長は困ったように笑う。
村長「まさか、そんな事を許可する筈がないでしょう?あの勇者ですよ?
そんな危険な存在を魔王様の城へ近づかせるなど考えただけで恐ろしい」
魔王「・・・それで?」
村長「ええ、本当ならすぐに村から追い出したかったのですが、村の外の森で
エルフ少女を助けられたという事もあったので少しだけ滞在を許可したんです」
村長「それに勇者ほどの力をもつならこの村を通るのは
力ずくでも容易な筈なのに何故私に許可を求めたのかが疑問でしたからね」
村長は困ったように笑う。
村長「まさか、そんな事を許可する筈がないでしょう?あの勇者ですよ?
そんな危険な存在を魔王様の城へ近づかせるなど考えただけで恐ろしい」
魔王「・・・それで?」
村長「ええ、本当ならすぐに村から追い出したかったのですが、村の外の森で
エルフ少女を助けられたという事もあったので少しだけ滞在を許可したんです」
村長「それに勇者ほどの力をもつならこの村を通るのは
力ずくでも容易な筈なのに何故私に許可を求めたのかが疑問でしたからね」
側近「・・・ですが民はあの人間の滞在なんて許せないのでは?」
村長「それは当たり前ですよ、なにせこの村はこれまで
幾度も勇者一行に苦しめられてきたのですから」
村長「勇者様の民の墓で祈りを捧げる行為も民の怒りの
琴線に触れたのかもしれません」
村長「民の勇者様に対する行動は私の目から見ても凄まじい
物でした。勇者様に対する罵倒、暴力、・・・魔法によ
る攻撃さえありました。おそらく食事をまともに
摂ることさえできなかったのではないでしょうか」
魔王「・・・」
村長「それは当たり前ですよ、なにせこの村はこれまで
幾度も勇者一行に苦しめられてきたのですから」
村長「勇者様の民の墓で祈りを捧げる行為も民の怒りの
琴線に触れたのかもしれません」
村長「民の勇者様に対する行動は私の目から見ても凄まじい
物でした。勇者様に対する罵倒、暴力、・・・魔法によ
る攻撃さえありました。おそらく食事をまともに
摂ることさえできなかったのではないでしょうか」
魔王「・・・」
村長「しかし勇者様は必ずそれに謝罪を返すだけで
反撃をする事は一度もありませんでした」
村長「・・・私にはその光景がまるでこの村に歴代の勇者達が
民に与えてきた恐怖、憎悪、怒り、悲しみの全てを勇者様
お一人で背負っているかのようにも見えました。」
村長「そのような状態が半年は続きました。しかし私は
こう思うようになりました。この勇者はこれまでの
勇者とは違うのではないか、と」
村長「森の主が村をいきなり襲ってきた時のことです。
その時は民のほとんどが狩りに出かけていて守りが
手薄だったのです。村への侵入を許してしまいまし
た」
側近「それをあの人間が・・・」
村長「はい。私は心から後悔していました。ああ、もし
最初から勇者様とちゃんと接していれば村を
主から守ってくれたかもしれないのに、と都合の
良いものですね。私達は勇者様にこれまで何を
してきたのかを考えれば希望などない筈なのに」
村長は自嘲的な笑みを浮かべる。
反撃をする事は一度もありませんでした」
村長「・・・私にはその光景がまるでこの村に歴代の勇者達が
民に与えてきた恐怖、憎悪、怒り、悲しみの全てを勇者様
お一人で背負っているかのようにも見えました。」
村長「そのような状態が半年は続きました。しかし私は
こう思うようになりました。この勇者はこれまでの
勇者とは違うのではないか、と」
村長「森の主が村をいきなり襲ってきた時のことです。
その時は民のほとんどが狩りに出かけていて守りが
手薄だったのです。村への侵入を許してしまいまし
た」
側近「それをあの人間が・・・」
村長「はい。私は心から後悔していました。ああ、もし
最初から勇者様とちゃんと接していれば村を
主から守ってくれたかもしれないのに、と都合の
良いものですね。私達は勇者様にこれまで何を
してきたのかを考えれば希望などない筈なのに」
村長は自嘲的な笑みを浮かべる。
村長「ですが勇者様は私達の村を助けてくださりました。
疾風の如き速さでその場に駆けつけ、主を打ち倒したのです。」
村長「私達は勇者様に言いました、そいつを殺してしまえ
、と。ですが勇者様は何と言ったと思いますか?」
村長「この魔物おいしそうじゃないですよね、と言ったんですよ」
くっく、と村長は堪えきれずに笑う。
疾風の如き速さでその場に駆けつけ、主を打ち倒したのです。」
村長「私達は勇者様に言いました、そいつを殺してしまえ
、と。ですが勇者様は何と言ったと思いますか?」
村長「この魔物おいしそうじゃないですよね、と言ったんですよ」
くっく、と村長は堪えきれずに笑う。
村長「つまり勇者様はこう言いたかったのでしょう。
生きる糧にする為に殺すのはかまわないが、私情の為に殺す事はできないと」
村長「その時からでしょうか。民の勇者様に対する態度
が徐々に徐々にゆっくりと和らいでいったのは」
村長「今から半年前にここを出る頃にはもうすっかり
私達の家族のようになりました。できれば
ずっと村にとどまってほしかったのですがね」
未だに祈りを続けている勇者に目を向ける。
村長「・・・このような事をあの方は何度繰り返して
きたのでしょうか・・・。どれだけの魔物の心
を救ってきたのでしょうか。私などでは想像もできません」
魔王「・・・」
村長「・・・さて私の長話もここまでです。お付き合い頂いて有難うございました。」
魔王「・・・いや、有意義な時間だったよ」
村長「ただ、これだけはわかっていただきたいのです」
魔王「・・・何だ?」
村長「勇者様は魔王様にとって危険な存在などでは決して
ありません。必ず貴方様のお力になるということを・・・」
生きる糧にする為に殺すのはかまわないが、私情の為に殺す事はできないと」
村長「その時からでしょうか。民の勇者様に対する態度
が徐々に徐々にゆっくりと和らいでいったのは」
村長「今から半年前にここを出る頃にはもうすっかり
私達の家族のようになりました。できれば
ずっと村にとどまってほしかったのですがね」
未だに祈りを続けている勇者に目を向ける。
村長「・・・このような事をあの方は何度繰り返して
きたのでしょうか・・・。どれだけの魔物の心
を救ってきたのでしょうか。私などでは想像もできません」
魔王「・・・」
村長「・・・さて私の長話もここまでです。お付き合い頂いて有難うございました。」
魔王「・・・いや、有意義な時間だったよ」
村長「ただ、これだけはわかっていただきたいのです」
魔王「・・・何だ?」
村長「勇者様は魔王様にとって危険な存在などでは決して
ありません。必ず貴方様のお力になるということを・・・」
ーーーー魔王城
勇者「いやぁ、本当申し訳ないです。遅くなっちゃって」
あはは、といつもの笑みを浮かべて勇者が戻ってきた。
側近「全くもってその通りですね。雑用という立場とちゃんと弁えて下さい」
勇者「うっ・・・、ご、ごめんなさい・・・」
側近「謝るだけなら誰でもできます。態度で示してください」
勇者が小さくなった。
勇者「いやぁ、本当申し訳ないです。遅くなっちゃって」
あはは、といつもの笑みを浮かべて勇者が戻ってきた。
側近「全くもってその通りですね。雑用という立場とちゃんと弁えて下さい」
勇者「うっ・・・、ご、ごめんなさい・・・」
側近「謝るだけなら誰でもできます。態度で示してください」
勇者が小さくなった。
魔王「まあ今日くらい良いではないか、何をイラついているんだ?」
側近「魔王様も魔王様ですよ!あの首飾りがどんなに
貴重なものがわかってるんですか!?」
魔王「ええと、マくやらなんとかだな」
側近「魔具ですよ!魔具!魔法が籠もっている装飾品な
んてそうそうないのに・・・!」
魔王「いいんだ、あれは私の誓いの証なのだからな」
その声は静かだが、確かに熱が篭っていた。
側近「・・・なんだか魔王様変わりましたね。この人間のせいですか?」
魔王「ち、違う」
勇者「・・・・何がですか?」
魔王「勇者!お前は雑用だろう!さっさと行け!」クワッ
勇者「は、はいぃ!」ダッ
側近「・・・」ジトー
魔王「・・・な、なんだその目は」
側近「魔王様も魔王様ですよ!あの首飾りがどんなに
貴重なものがわかってるんですか!?」
魔王「ええと、マくやらなんとかだな」
側近「魔具ですよ!魔具!魔法が籠もっている装飾品な
んてそうそうないのに・・・!」
魔王「いいんだ、あれは私の誓いの証なのだからな」
その声は静かだが、確かに熱が篭っていた。
側近「・・・なんだか魔王様変わりましたね。この人間のせいですか?」
魔王「ち、違う」
勇者「・・・・何がですか?」
魔王「勇者!お前は雑用だろう!さっさと行け!」クワッ
勇者「は、はいぃ!」ダッ
側近「・・・」ジトー
魔王「・・・な、なんだその目は」
「あいつが勇者か・・・」
「まさかあの雑用が勇者だとはな・・・」
「いますぐ殺してやりてぇが・・・」
「ああ、辺境の村を救ったらしいじゃないか」
「くそっ、敵なのか味方なのかハッキリしてほしいもんだな・・・」
勇者「な、なんかいつもより皆さんの視線が鋭いような・・・」
後ろから声がかかる
鳥族1「よう」
勇者「あっ、鳥族1さん!この前はどうも・・・」
鳥族1「前置きはいいからよ、ちょっと話そうぜ」
勇者「でも僕仕事が・・・」
鳥族1「こんな状況で仕事なんかできねぇよ。お前雑用
なんだから兵士に付き合うのも仕事の内だろ?」
「まさかあの雑用が勇者だとはな・・・」
「いますぐ殺してやりてぇが・・・」
「ああ、辺境の村を救ったらしいじゃないか」
「くそっ、敵なのか味方なのかハッキリしてほしいもんだな・・・」
勇者「な、なんかいつもより皆さんの視線が鋭いような・・・」
後ろから声がかかる
鳥族1「よう」
勇者「あっ、鳥族1さん!この前はどうも・・・」
鳥族1「前置きはいいからよ、ちょっと話そうぜ」
勇者「でも僕仕事が・・・」
鳥族1「こんな状況で仕事なんかできねぇよ。お前雑用
なんだから兵士に付き合うのも仕事の内だろ?」
勇者「そうですか・・・、ばれちゃいましたか・・・。
あっ、わざわざ伝えてくれてありがとうございます!」
鳥族1「ああ、別にかまわねぇ」
鳥族1「正直な所、荒れてるな。お前が敵なのか味方なのか判断もつかねぇ状態だ」
勇者「あはは、それは当たり前ですよね~」
鳥族1「見たところ余裕そうだが・・・お前これからどうするつもりだ?」
勇者「いや、どうもしませんけど・・・・」
鳥族1「・・・本気か?」
勇者「ええ、こういうのは慣れてますからね」ニコッ
鳥族1「はは・・・お前はそういう奴だったな」
鳥族1「・・・一ついいか」
あっ、わざわざ伝えてくれてありがとうございます!」
鳥族1「ああ、別にかまわねぇ」
鳥族1「正直な所、荒れてるな。お前が敵なのか味方なのか判断もつかねぇ状態だ」
勇者「あはは、それは当たり前ですよね~」
鳥族1「見たところ余裕そうだが・・・お前これからどうするつもりだ?」
勇者「いや、どうもしませんけど・・・・」
鳥族1「・・・本気か?」
勇者「ええ、こういうのは慣れてますからね」ニコッ
鳥族1「はは・・・お前はそういう奴だったな」
鳥族1「・・・一ついいか」
空気が少し張り詰める。
勇者「・・・なんなりとどうぞ?」ニコ
鳥族1「なんでお前はこの城の者達の中に知ってる奴が
何人もいることを隠してる。・・・お前が口止め
したんだろ?僕の事を知らない振りをしてくださいってな」
勇者「あはは・・・みなさんしゃべっちゃったんですか」
困ったように勇者は笑う
鳥族1「馬鹿が、俺は目を見れば大抵の事はわかるって
言っただろうが。あいつらは絶対に口を割らなかったぜ」
勇者「・・・貴方は怖いですね」
勇者「・・・なんなりとどうぞ?」ニコ
鳥族1「なんでお前はこの城の者達の中に知ってる奴が
何人もいることを隠してる。・・・お前が口止め
したんだろ?僕の事を知らない振りをしてくださいってな」
勇者「あはは・・・みなさんしゃべっちゃったんですか」
困ったように勇者は笑う
鳥族1「馬鹿が、俺は目を見れば大抵の事はわかるって
言っただろうが。あいつらは絶対に口を割らなかったぜ」
勇者「・・・貴方は怖いですね」
鳥族1「前から疑問に思うことがあった。たまにお前と
他の奴を見かけるとき明らかにお前の相手の目つきが
お前を嫌っている物じゃなかったからな。」
鳥族1「お前はここに来るまでに多くの村や集落を訪れた
んだろ?そんだけ知り合いが多くて城の中にはだれ
も僕の事を知りませんなんて事はありえねぇ」
勇者「・・・」
鳥族1「・・・そもそもこの状況も元からお前が城の者と知り合
いがいることを隠さなければ起きなかったんじゃねぇか?」
勇者「・・・それじゃ駄目なんですよ」
他の奴を見かけるとき明らかにお前の相手の目つきが
お前を嫌っている物じゃなかったからな。」
鳥族1「お前はここに来るまでに多くの村や集落を訪れた
んだろ?そんだけ知り合いが多くて城の中にはだれ
も僕の事を知りませんなんて事はありえねぇ」
勇者「・・・」
鳥族1「・・・そもそもこの状況も元からお前が城の者と知り合
いがいることを隠さなければ起きなかったんじゃねぇか?」
勇者「・・・それじゃ駄目なんですよ」
鳥族1「あ?」
勇者「確かに鳥族1さんの言う通りにしていたら城の方々
が僕を見る目は今ほど厳しくなかったかもしれません」
勇者は穏やかに言葉を続ける。
勇者「ですが城の友人が勇者は危険ではない、と
聞かせれても本当に納得できますかね?納得した
としてもそれは表面上だけで、心の底には僕に対する
不信感は消えない筈です」
鳥族1「・・・だったら初めからお前の事を知らない方が
いいってか」
確かに俺だったら聞いただけじゃ納得なんかできねぇ。
勇者「ええ、自分で感じた事以上に信じられるものはあり
ませんから」ニコ
勇者「確かに鳥族1さんの言う通りにしていたら城の方々
が僕を見る目は今ほど厳しくなかったかもしれません」
勇者は穏やかに言葉を続ける。
勇者「ですが城の友人が勇者は危険ではない、と
聞かせれても本当に納得できますかね?納得した
としてもそれは表面上だけで、心の底には僕に対する
不信感は消えない筈です」
鳥族1「・・・だったら初めからお前の事を知らない方が
いいってか」
確かに俺だったら聞いただけじゃ納得なんかできねぇ。
勇者「ええ、自分で感じた事以上に信じられるものはあり
ませんから」ニコ
鳥族1「・・・そりゃその通りだ」
勇者「僕が危険なのか危険じゃないのかは城の方達に
自分自身で判断してほしいんです。・・・危険かどうか
なんて事は僕にもわからないんですからね」
鳥族1「・・・そうかい、じゃぁせいぜい城の奴らにボコボコにされるこったな」
鳥族1が手を振りこの場を離れて歩き出す。
勇者「あっ、鳥族1さん!」
鳥族1「・・・何だ」
勇者「話してくれて、ありがとうございました。
やっぱり貴方は優しい方です」ニコ
鳥族1「・・・お前に言われたくねぇってんだ、ボケが」スタスタ
勇者はその後ろ姿を見送り、静かな声で呟いた。
勇者「・・・僕は優しくなんかない、ただの臆病者なんですよ」
勇者「僕が危険なのか危険じゃないのかは城の方達に
自分自身で判断してほしいんです。・・・危険かどうか
なんて事は僕にもわからないんですからね」
鳥族1「・・・そうかい、じゃぁせいぜい城の奴らにボコボコにされるこったな」
鳥族1が手を振りこの場を離れて歩き出す。
勇者「あっ、鳥族1さん!」
鳥族1「・・・何だ」
勇者「話してくれて、ありがとうございました。
やっぱり貴方は優しい方です」ニコ
鳥族1「・・・お前に言われたくねぇってんだ、ボケが」スタスタ
勇者はその後ろ姿を見送り、静かな声で呟いた。
勇者「・・・僕は優しくなんかない、ただの臆病者なんですよ」
魔王「で、またそうなったか」
勇者「・・・ふぁい」
勇者の顔は約1,5倍に膨らんでいる。
側近「そんな馬鹿げた姿晒してないでさっさと回復魔法でも
使えば良いでしょうに」
勇者「へふれふぁほふぉおわつかへいたくないんえすよ」
側近「何を言っているのか全然わかりませんね」
それから勇者は話せるようになるまで30分ほど要した。
勇者「・・・ええと、何を言ってたんでしたっけ?」
側近「その腫れた顔をさらに倍の大きさにしますよ?」
勇者「そうでした!魔法の話でしたねっ!」キリッ
魔王「そういえば前から疑問に思っていたんだ・・・」
言葉を続ける。
魔王「どうしてお前は魔法をあまり使わないのだ?」
勇者「・・・ふぁい」
勇者の顔は約1,5倍に膨らんでいる。
側近「そんな馬鹿げた姿晒してないでさっさと回復魔法でも
使えば良いでしょうに」
勇者「へふれふぁほふぉおわつかへいたくないんえすよ」
側近「何を言っているのか全然わかりませんね」
それから勇者は話せるようになるまで30分ほど要した。
勇者「・・・ええと、何を言ってたんでしたっけ?」
側近「その腫れた顔をさらに倍の大きさにしますよ?」
勇者「そうでした!魔法の話でしたねっ!」キリッ
魔王「そういえば前から疑問に思っていたんだ・・・」
言葉を続ける。
魔王「どうしてお前は魔法をあまり使わないのだ?」
魔王「城から飛び降りた際の飛行する魔法といい
あの村で使って見せたという高度な回復魔法、
それだけではお前は並ならぬ魔法使いだろう?」
勇者「いやあ、照れますね~」テレテレ
側近「ふざけないでください」ガスガスガスガス
勇者「・・・ッ!!腿にヒザは勘弁してくださいよぉ!」
魔王「・・・こほん、だがお前はそれを日常で使う事はな
いな。自分の怪我の時、修復の為に村へ向かうときも徒歩だったではないか」
勇者「ああ、それは魔力がもったいないからですよ?」
魔王「・・・魔力なら休めば回復するではないか」
勇者「あれ、言ってませんでしたっけ?僕の魔力が回復する事はないって」
あの村で使って見せたという高度な回復魔法、
それだけではお前は並ならぬ魔法使いだろう?」
勇者「いやあ、照れますね~」テレテレ
側近「ふざけないでください」ガスガスガスガス
勇者「・・・ッ!!腿にヒザは勘弁してくださいよぉ!」
魔王「・・・こほん、だがお前はそれを日常で使う事はな
いな。自分の怪我の時、修復の為に村へ向かうときも徒歩だったではないか」
勇者「ああ、それは魔力がもったいないからですよ?」
魔王「・・・魔力なら休めば回復するではないか」
勇者「あれ、言ってませんでしたっけ?僕の魔力が回復する事はないって」
そんな事あるわけがない、と思ったが思い直す。
魔王「・・・お前に有り得ないなんて事は通用しないか」
勇者「あはは、そんなにすんなりわかってもらえるとは
思ってませんでしたけどね」
側近「・・・その首輪が原因ですか?」
側近は勇者の首につけられた黒い首輪に目を向ける
勇者「ぉお!流石側近さんです!ご名答ですよ!・・・なぜわかったんです?」
魔王「私はわからなかったのに・・・」
側近「首輪から幽かな違和感を感じられますから。」
まぁそこまで気にするほどではありませんが、と付け足す。
魔王「・・・お前に有り得ないなんて事は通用しないか」
勇者「あはは、そんなにすんなりわかってもらえるとは
思ってませんでしたけどね」
側近「・・・その首輪が原因ですか?」
側近は勇者の首につけられた黒い首輪に目を向ける
勇者「ぉお!流石側近さんです!ご名答ですよ!・・・なぜわかったんです?」
魔王「私はわからなかったのに・・・」
側近「首輪から幽かな違和感を感じられますから。」
まぁそこまで気にするほどではありませんが、と付け足す。
勇者「う~ん、じゃあこれでどうです?まだ違和感は感じますか?」
側近「・・・・!いえ、全く・・・」
先ほどの違和感は嘘のように掻き消えていた。
勇者「あはは、やっぱりまだ完璧には押さえ込めていな
かったんですね~。詰めが甘かったなぁ」
魔王「その首輪は何時から着けているんだ?」
勇者「う~ん、大体30年前ぐらいですかねぇ」
魔&側「・・・・・・ッ!!!」
側近「・・・・!いえ、全く・・・」
先ほどの違和感は嘘のように掻き消えていた。
勇者「あはは、やっぱりまだ完璧には押さえ込めていな
かったんですね~。詰めが甘かったなぁ」
魔王「その首輪は何時から着けているんだ?」
勇者「う~ん、大体30年前ぐらいですかねぇ」
魔&側「・・・・・・ッ!!!」
魔王「ど、どういう事だ?人間の寿命は100年と聞いていたが・・・・」
勇者の外見がおかしい。人間は20歳を超えたら肉体が衰え始
めると聞いていた。勇者はどう考えても30歳を超えていない
、肉体が全く衰えていないのだ。
勇者「それはすっごく前の事ですよね?」
側近「それは・・・そうですが」
確かに人間に関する情報ははるか昔から伝えられてきた
もので、確実に信憑性があるわけではない。
勇者「変わったんですよ、人も。今の人間の寿命は300歳を超えていますから」
魔王「3倍だと・・・・!?」
生物の寿命を決めるのはその肉体と魔力の許容量だ。
人間の肉体自体は今も変わっていない筈だ。
魔王「・・・それほどの魔力をもつようになったのか」
勇者「ええ、そうです」
勇者の外見がおかしい。人間は20歳を超えたら肉体が衰え始
めると聞いていた。勇者はどう考えても30歳を超えていない
、肉体が全く衰えていないのだ。
勇者「それはすっごく前の事ですよね?」
側近「それは・・・そうですが」
確かに人間に関する情報ははるか昔から伝えられてきた
もので、確実に信憑性があるわけではない。
勇者「変わったんですよ、人も。今の人間の寿命は300歳を超えていますから」
魔王「3倍だと・・・・!?」
生物の寿命を決めるのはその肉体と魔力の許容量だ。
人間の肉体自体は今も変わっていない筈だ。
魔王「・・・それほどの魔力をもつようになったのか」
勇者「ええ、そうです」
魔王「・・・なあ勇者よ」
勇者「・・・・なんですか?」
魔王「・・・何故そんなにお前は辛そうな顔をしている」
何故お前は辛くて、悲しくて、悔しくて、痛くてたまらないかの
ような顔をしているんだ。人間が力を持つようになった
んだ、お前は喜んでも良いのではないか?
勇者「えっ、今そんな顔してました?」ニコ
・・・その笑みの下に何を抱えているんだ?
魔王「まあいい、・・・で、お前もその影響でその若い姿のままなのか?」
勇者「・・・」
勇者の笑みがわずかに強張るのがわかった。
勇者「・・・・なんですか?」
魔王「・・・何故そんなにお前は辛そうな顔をしている」
何故お前は辛くて、悲しくて、悔しくて、痛くてたまらないかの
ような顔をしているんだ。人間が力を持つようになった
んだ、お前は喜んでも良いのではないか?
勇者「えっ、今そんな顔してました?」ニコ
・・・その笑みの下に何を抱えているんだ?
魔王「まあいい、・・・で、お前もその影響でその若い姿のままなのか?」
勇者「・・・」
勇者の笑みがわずかに強張るのがわかった。
>>1はまだか
遅くなってごめんなさい;
重くなって飛ばされてました
今から書きます
重くなって飛ばされてました
今から書きます
魔王「頼む、教えてくれ・・・」
お前の事が知りたい。
側近「魔王様・・・」
勇者「・・・・あはは、僕の事が知りたいなんて言われたのは
生まれて初めてですよ」
その笑い方は今までで見たことがなかった。その笑い方
は子供のように無邪気で、だがとてもぎごちない。
勇者「そうですね・・・、どこから話せば良いですかね。
一つ、昔話でもしましょうか?題名は・・・そうですね・・・」
勇者「加護と祝福を受けなかった勇者の誕生の物語」
お前の事が知りたい。
側近「魔王様・・・」
勇者「・・・・あはは、僕の事が知りたいなんて言われたのは
生まれて初めてですよ」
その笑い方は今までで見たことがなかった。その笑い方
は子供のように無邪気で、だがとてもぎごちない。
勇者「そうですね・・・、どこから話せば良いですかね。
一つ、昔話でもしましょうか?題名は・・・そうですね・・・」
勇者「加護と祝福を受けなかった勇者の誕生の物語」
勇者「ある王国のはずれの村にその子は生まれました」
勇者「そしてその親はその赤ん坊を恐ろしく思い
村の外の森の奥深くに捨てました」
勇者「その赤ん坊は化け物でした。長い間何も食べずに
そのままにされていても死ぬことはありませんでした」
勇者「そこにある男の人が通りかかりました。その男の
人はその赤子をかわいそうに思い、自分が育てることにしました。」
勇者「この国では子供が新しく生まれると必ず《神の祝福》
を受けさせる為に王国へ向かう義務がありました。
それは他の国でも同様でした。そうすることで
その子供は病なく健やかに生きることができます」
勇者「でもその男の人はその赤子を王国に連れて行く事は
ありませんでした。その男の人は王国を嫌っていたのです」
勇者「そしてその親はその赤ん坊を恐ろしく思い
村の外の森の奥深くに捨てました」
勇者「その赤ん坊は化け物でした。長い間何も食べずに
そのままにされていても死ぬことはありませんでした」
勇者「そこにある男の人が通りかかりました。その男の
人はその赤子をかわいそうに思い、自分が育てることにしました。」
勇者「この国では子供が新しく生まれると必ず《神の祝福》
を受けさせる為に王国へ向かう義務がありました。
それは他の国でも同様でした。そうすることで
その子供は病なく健やかに生きることができます」
勇者「でもその男の人はその赤子を王国に連れて行く事は
ありませんでした。その男の人は王国を嫌っていたのです」
勇者「それから数年が経ちました。村の子供は普通の
人間の3倍の速度で成長するその少年を気味が悪いと
執拗にいじめました。毎日毎日化け物、化け物と
呼ばれて過ごしました」
勇者「しかしその少年は絶対にやりかえしませんでした。
自分を拾ってくれた男の人、父の教えだからです。
その少年の体は傷ついてもすぐに治りました。
でも心はなかなか治りませんでした」
勇者「父だけはいつもその少年にとても優しくしてくれ
ました。少年もそんな父の事が大好きでした。
父だけが少年の味方でした」
勇者「10歳になる前日、少年は父に王国に行きたいと
お願いしました。10歳になると王国に行き、
<神の加護>を受けているかどうかを調べる
しきたりがあったからです。《神の加護》を
受けているとわかると、その子は勇者に
なる事ができます」
勇者「少年はもう皆から化け物と呼ばれるのは嫌でした。
勇者になれば皆も自分に優しくしてくれる、そう信じました」
人間の3倍の速度で成長するその少年を気味が悪いと
執拗にいじめました。毎日毎日化け物、化け物と
呼ばれて過ごしました」
勇者「しかしその少年は絶対にやりかえしませんでした。
自分を拾ってくれた男の人、父の教えだからです。
その少年の体は傷ついてもすぐに治りました。
でも心はなかなか治りませんでした」
勇者「父だけはいつもその少年にとても優しくしてくれ
ました。少年もそんな父の事が大好きでした。
父だけが少年の味方でした」
勇者「10歳になる前日、少年は父に王国に行きたいと
お願いしました。10歳になると王国に行き、
<神の加護>を受けているかどうかを調べる
しきたりがあったからです。《神の加護》を
受けているとわかると、その子は勇者に
なる事ができます」
勇者「少年はもう皆から化け物と呼ばれるのは嫌でした。
勇者になれば皆も自分に優しくしてくれる、そう信じました」
勇者「でも父は自分が王国に行くのを許してはくれません
でした。少年がどんなにお願いしても駄目でした。
少年は絶望しました。」
勇者「このまま化け物を呼ばれ続けるのなら、と少年は
死ぬことに決めました。そして崖から飛び降りたのです。」
勇者「少年は死にませんでした。全身がどんなにぐちゃ
ぐちゃになっていても、みるみるうちに体が
元に戻っていくのです」
勇者「少年は自分に恐怖しました。自分はなんて化け物
なんだ、と。もう死ぬことができない少年に
残された道は王国に行く事だけでした」
勇者「少年は父には何も告げずに王国へ行きました。
教会の人は少年にきみを何年も待っていた、と
言いました。少年はもしかしたら勇者になれる
かもしれないと嬉しくなりました」
でした。少年がどんなにお願いしても駄目でした。
少年は絶望しました。」
勇者「このまま化け物を呼ばれ続けるのなら、と少年は
死ぬことに決めました。そして崖から飛び降りたのです。」
勇者「少年は死にませんでした。全身がどんなにぐちゃ
ぐちゃになっていても、みるみるうちに体が
元に戻っていくのです」
勇者「少年は自分に恐怖しました。自分はなんて化け物
なんだ、と。もう死ぬことができない少年に
残された道は王国に行く事だけでした」
勇者「少年は父には何も告げずに王国へ行きました。
教会の人は少年にきみを何年も待っていた、と
言いました。少年はもしかしたら勇者になれる
かもしれないと嬉しくなりました」
勇者「少年は<神の加護>を受けているかを調べるために
薬を飲まされました。そこで少年の意識は消えました。」
勇者「次に目を覚ました時に少年は絶叫しました。
辺り一面が血の海だったのです。周りをみると
たくさんの教会の人達が横たわっているのがわかりました」
勇者「ああ、自分がやったのだ、すぐにわかりました。
少年は泣きました。少年の心では複数の命を
奪った事に耐えることはできませんでした」
勇者「それからすぐに教会の人たちが少年の下に
やってました。君は何も悪くない、そう言われま
した。でもそんな言葉はもうその少年の心には届きませんでした」
薬を飲まされました。そこで少年の意識は消えました。」
勇者「次に目を覚ました時に少年は絶叫しました。
辺り一面が血の海だったのです。周りをみると
たくさんの教会の人達が横たわっているのがわかりました」
勇者「ああ、自分がやったのだ、すぐにわかりました。
少年は泣きました。少年の心では複数の命を
奪った事に耐えることはできませんでした」
勇者「それからすぐに教会の人たちが少年の下に
やってました。君は何も悪くない、そう言われま
した。でもそんな言葉はもうその少年の心には届きませんでした」
勇者「そして少年は王国の王の前に連れてこられました。
少年はとても信じられませんでした。自分なんかが
このような御方の前にいるなんて、と」
勇者「少年は懇願しました、自分を殺してくださいと。
少年は自分がどんな化け物なのかということ、
複数の命を奪ってしまった事を泣きながら訴えました。」
勇者「王様は少年にある黒い首輪をかけました。すると
驚くことに自分の内にある力が半減したのが感じ
とれたのです。しかしそれでも自分が化け物の
ような力を持っていることには変わりませんでした」
勇者「少年は自分が恐ろしいと言いました。
この自分の内にある力が恐ろしくてたまらないと」
少年はとても信じられませんでした。自分なんかが
このような御方の前にいるなんて、と」
勇者「少年は懇願しました、自分を殺してくださいと。
少年は自分がどんな化け物なのかということ、
複数の命を奪ってしまった事を泣きながら訴えました。」
勇者「王様は少年にある黒い首輪をかけました。すると
驚くことに自分の内にある力が半減したのが感じ
とれたのです。しかしそれでも自分が化け物の
ような力を持っていることには変わりませんでした」
勇者「少年は自分が恐ろしいと言いました。
この自分の内にある力が恐ろしくてたまらないと」
勇者「王様はやさしく言いました。その命を奪ってしまっ
たなら、その者達の分まできみは出来ることをする
義務がある、と。」
勇者「そして王様は言いました。きみは勇者になるのだ、と」
勇者「そうして世界に<神の加護>も<神の祝福>も
持たない勇者がこの世界に誕生したのでした」
勇者「・・・と話はここまでで終わりです」ニコ
魔&側「・・・・・・」
勇者「もうわかりますよね」
勇者「僕は勇者なんかじゃない・・・・」
勇者は笑う。
勇者「ただの化け物なんです」ニコ
たなら、その者達の分まできみは出来ることをする
義務がある、と。」
勇者「そして王様は言いました。きみは勇者になるのだ、と」
勇者「そうして世界に<神の加護>も<神の祝福>も
持たない勇者がこの世界に誕生したのでした」
勇者「・・・と話はここまでで終わりです」ニコ
魔&側「・・・・・・」
勇者「もうわかりますよね」
勇者「僕は勇者なんかじゃない・・・・」
勇者は笑う。
勇者「ただの化け物なんです」ニコ
魔王「・・・だがお前が他の人間と違って3倍の速度で成長
しているなら何故・・・」
勇者「ああ、僕の肉体年齢は昔の人間で言えば18歳ぐらい
で止まってるんですよ。僕の力が20歳から始まる
老化をダメージとして排除してるんですよ」
側近「でも顔の傷は・・・自動的に治らないんですか?」
勇者「それは意識的に止めてるんです。この老化を止める
魔法を止めるのは今もできないままなんですけどね」
魔力がもったいないです、と勇者は困ったように笑う。
勇者「老化と止めるのにも魔力を使いますからね」
しているなら何故・・・」
勇者「ああ、僕の肉体年齢は昔の人間で言えば18歳ぐらい
で止まってるんですよ。僕の力が20歳から始まる
老化をダメージとして排除してるんですよ」
側近「でも顔の傷は・・・自動的に治らないんですか?」
勇者「それは意識的に止めてるんです。この老化を止める
魔法を止めるのは今もできないままなんですけどね」
魔力がもったいないです、と勇者は困ったように笑う。
勇者「老化と止めるのにも魔力を使いますからね」
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