元スレ京子「お姫様の勇気」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
~ごらく部~
ちなつ「すっかり肌寒くなりましたね」
結衣「もう冬だからね」
京子「私はちなつちゃんがいてくれるなら無問題!」キラーン
ちなつ「はぁ、そうですか」
京子「うぅぅ、ちなつちゃんの反応が冷たい」シクシク
ちなつ「もう慣れましたから」
ちなつちゃんも入学当初はオドオドとしていて、可愛い反応が見られたのになぁ……。
今では軽くいなされてしまうのが落ちで、少しつまらない。
2 = 1 :
あかり「冬はお茶が美味しいねー」ニコニコ
ちなつ「お茶のおかわり、いる?」
あかり「うん、ありがと」エヘヘ
キャッキャッ
京子「むむむ」
面倒臭いので私をスルーするつもりのようだ。
のんびりとお茶を飲む姿に動揺は見られず、あかりと談笑を始める始末である。
京子「………」ソワソワ、ウズウズ
京子「ふふっ」ニタァ
ちなつ「」ビクッ
これは御仕置きが必要だろう。
今更慌てたって、許してあげないんだから。
3 = 1 :
京子「ちなつちゃーn」
結衣「おいこら」ガシッ
京子「ぐぇ、何をする!」プンスカ
結衣「それはこっちのセリフだ」
つい表情に出してしまったせいで、行動を阻止されてしまった。
せっかく可愛い後輩とスキンシップを図ろうとしたのに、結衣も野暮な奴だ。
チョット、ハナシテヨー ダメッ
ちなつ「まったく、京子先輩ときたら!」プンプン
あかり「京子ちゃんを見てるとこっちが元気になれるね」アハハ
ちなつ「……あかりちゃんは本当に純情ね」ハァ
4 = 1 :
ヒュー ヒュゥー
あかり「……っ」ビクッ
ちなつ「大丈夫?」
あかり「うぅぅ、さむいよぉ」ブルブル
ちなつ「隙間風だけでも、なんとかできたらいいのにね」
ハーナーセーヨー アッ、コラ
あかり「こたつが欲しいけど、難しいかな?」ブルブル
ちなつ「それ、いいかも!……でも電気使いすぎると、部室の無断使用が問題になるし」
あかり「ううぅ、どうにかして寒さ対策しないと凍死しちゃうよ……」ブルブル
5 = 1 :
ちなつ「あかりちゃんったら、仕方ないんだから」
フワッ
あかり「えっ」キョトン
ちなつ「私のカーディガン、貸してあげる」
あかり「ちなつちゃん、でも……」
ちなつ「私は平気だから、あかりちゃんが使って?」ネッ
あかり「……ありがとう」ニコッ
ちなつ「礼を言われるほどのことじゃないし」
あかり「ちなつちゃんは優しいね」ニコニコ
ちなつ「なっ、何言ってるの!」ウガー
あかり「照れなくてもいいのに」ニコニコ
ちなつ「うぅっ」
6 :
きたがたっ
7 = 1 :
ユイノバカー オイ、アブナイダロ
ちなつ「そっ、そういえば先輩、去年の冬をどうやって乗り越えたんですか?」
ドタドタ、ガッ
京子「えっ、私らが一年の時?」イタタ
結衣「……京子、上からどいて、重い」グタッ
揉み合いになった結果、気が付けば結衣に馬乗りになっていた。
結衣のお腹にまたがって、結衣を見下ろしている状態だ。
京子「重いとは失礼な、この妖精みたいな京子ちゃんに」プンプン
結衣「京子……」ハァ
痛みに濡れた瞳と着衣の乱れが扇情的で、思わず胸の鼓動が早まる。
8 = 1 :
ちなつ「ちょっと!きょ京子先輩、結衣先輩から離れてください!」アセアセ
京子「……ははーん」ニヤッ
結衣「おい、何を考えt」
京子「結衣にゃん、ちゅっちゅー」ガバッ
チュー
あらわになった結衣の白い首筋に、口付けを落とす。
何だかイケナイことをしているみたいで、ちょっと興奮する。
ちなつ「あぁ、結衣先輩が……」ガクッ
結衣「京子……」イラッ
京子「あっ、やば、って痛い痛い痛い!」バタバタ
あかり「」アワワ
まったく、結衣も冗談がわからない奴だ。
ちょっとした、単なるじゃれ合いじゃないか。
9 = 1 :
京子「それで、何の話してたっけ?」グスッ
上手く話の前後を思い出せない。
涙ぐむまでヘッドロックを続けた結衣は鬼畜だ。
ちなつ「防寒の話ですよ」
京子「ああ、ここは暖房ないもんね」
秋には過ごしやすかった部室も、今では木枯らしが吹き抜けている始末だ。
ちょこまかと落ち着きのない私は、さほど寒さを感じることもないが。
ちなつ「結衣先輩、去年はどうしてたんですか?」
結衣「去年は確か、毛布を被って乗り切ったかな」
ちなつ「なるほど、毛布ですか」
あかり「お気に入りの毛布、持ってこようかなぁ」ワクワク
そういえば、そろそろ寒さ対策が必要かな。
去年はガムテープで風を止めようとして、結衣に怒られたっけ。
10 = 1 :
京子「……寒さを防げそうなもの、探すか」ヨシッ
結衣「そんなものあったか?」
京子「私物を漁れば、何かありそうじゃん?」
あかり「あっ、あかりも手伝うよ」
京子「それじゃいくか、あかり隊員!」
あかり「はーい!」
あかりは結構付き合いがいい子だ。
結衣やちなつちゃんは冷めているところがあるので、正直助けられている。
パタパタ パタン
ちなつ「………」
結衣「………」
ちなつ「急に、静かになりましたね」
結衣「賑やかなのもいいけど、のんびりできるのもいいね」
11 = 1 :
ちなつ「あの元気が、ある意味羨ましいです」
結衣「それが取り柄みたいになってるからね」
ちなつ「……お茶、おかわりはいかがですか?」
結衣「ありがとう」
ちなつ「私も丁度おかわり欲しかったので、お安い御用です」エヘヘ
結衣「ちなつちゃんのお茶は美味しいから、嬉しいよ」
結衣「あぁ、そうだ」ポンッ
ちなつ「どうかしました?」
結衣「お煎餅を持ってきてあるから、一緒に食べようか」
ちなつ「……京子先輩に怒られちゃいますよ?」
結衣「ばれたらあいつに食べ尽くされそうだから、こっそりね」
ちなつ「共犯ですね」フフッ
結衣「二人の秘密だよ?」
キャッキャッ
12 :
紫煙
13 = 1 :
~物置~
京子「あー、これ、こんなところにあったんだ」ガサゴソ
あかり「京子ちゃん、ここ埃臭いよぉ」ケホケホ
京子「あはは、何ヶ月もほったらかしだったからね」
部室から近いので、この部屋をごらく部の物置として利用している。
勿論、バレないように最低限のカモフラージュはしているけれど。
あかり「おまけに、寒い……」ブルブル
京子「ちなつちゃんのカーディガンしておいて、贅沢な悩みだな!」
あかり「こっ、これだけは渡せないよっ」ササッ
京子「いや、とらないから」ナイナイ
流石に、ちなつちゃんの好意を無下にするようなことはしない。
誰かが極端に悲しむ悪戯なんてしたくないし。
15 = 1 :
あかり「あかりはこっちを探すね」
京子「じゃあ私はこの辺りを見てみるよ」
ガタゴト……バサバサ……ドサッ……
京子「………」
京子「………」ガサ
京子「うーん、防寒に役立つものはないなぁ」ポィ
京子「これもいらないっと」ポィ
京子「あかりー、そっちに何かあった?」
あかり「えっと、まだ何も見つからないよ」
京子「大人しく毛布を持ち込むか……」ハァ
手分けして五分程探しているが、特に使えそうなものはない。
残念だが、諦めたほうがいいかもしれない。
16 = 1 :
京子「ん?」
ふと、古い絵本が目に入った。
京子「……これって」ガサッ
それを手に取った瞬間、古い思い出が私の頭を駆け巡った。
いつごらく部に持ってきたのか、記憶にはない。
ただ確かなことは、これが私の記憶のピースだったということだ。
いつの間にか私の意識は、過去に遡っていた。
17 = 1 :
~過去~
京子「………」
京子「………」トコトコ
幼い私は引っ込み思案な子供だった。
自己主張ができず、アクションがとれず鈍臭い、そんな子供だった。
ドンッ
京子「………ッ」
「いってー」
京子「………」
「なにしてんだよ!」
廊下を走る子にぶつかって、頬をつねられた。
私はただ歩いていただけなのに。
18 :
地の文を特定の誰かの視点にする場合、
その人物がいない場面といる場面との切り替えには
相当な注意を要するのではなかろうか
19 = 1 :
京子「………」
世の中なんて不条理だと思った。
自己主張するものが得をして、それが出来ないものは淘汰されるのだ。
「なんだよ、その目は」
京子「………」
「……おまえなに持ってるの?ちょっとみせてよ」
京子「……いや」ギュ
部屋の片隅で絵を描いて、絵本を読んで、母親の訪れを待ち続ける、それが私の常だった。
そんな私のお気に入りのタイトルは茨姫。いつも肌身離さずに持ち歩いていた。
20 = 1 :
私は、お姫様みたいになりたかった。
誰に傷つけられることもなく、皆に構ってもらえて、最愛の人に愛してもらえる。
それはきっと、心穏やかなものなのだろう、そう思っていた。
「みせろよ!」
京子「………」ビクッ
私を拒むこの世界から、距離を置くことに夢中になっていた。
自分から遠ざけて、けれども構って欲しくて、そんな自己矛盾を抱えたままで。
でも……。
22 = 1 :
「おいお前、その子をいじめるな!」
「はぁ、お前だれ?」
「あっちいけ!」シッシ
「なんだよ、チッ」
「二度とちょっかいだすなよ!」
「うっせーな、わかったよ男女」フン
これまでの私を取り巻く環境はどこか少し冷たくって、私は独りだった。
自己の認識ができず、まるで決められた役割をプレイしているような、そんな感覚。
けれど、あの日、
君と出会ってから、私の世界は色付いた。
23 = 1 :
「もう大丈夫だよ」
京子「……うん」トコトコ
「………」ジィー
京子「………」カタン
「………」ジィー
京子「………」カキカキ
「……絵、上手だね!」
京子「……それくらいしか、することないから」カキカキ
「色水つくったりしないの?」
京子「……お花がかわいそう」カキカキ
「つみきとか、ブランコとか」
京子「ほかの子のじゃまになる」カキカキ
24 = 1 :
「うーん」
京子「………」カキカキ
「じゃあ、私と遊ぼうよ」
京子「……どうして?」
「お友達になりたいから!」
京子「……友達?」キョトン
「私、結衣!」
「君の名前は?」
京子「……京子」
結衣「よろしく、京子!」
自分を守るのに必死だった私に、歌うように軽い調子で君は笑いかけた。
知らない何かがこみ上げてきて、私はこの世界に産声を上げた。
結衣「えっ、あれ、大丈夫?」オロオロ
京子「……うん」グスッ
泣き出した私に、困り顔の君がおかしくて。
心配してくれる君の姿に、安心して。
25 = 1 :
「お待たせ、京子」
京子「お母さん!」パタパタ
「遅くなってごめんなさい」
京子「お母さん、あのね、今日は楽しかった」
「あら、それはいいことね」
京子「結衣ちゃんっていう子と、友達になったの」
「ひょっとして、苗字は船見さんじゃなかった?」
京子「……知ってるの?」キョトン
「お母さんの友達の子供さんなの」
26 = 1 :
京子「お母さんの友達の?」
「丁度紹介しようと思っていたけれど、自然と仲良くなったのね」
「あなたも物心つく前に、何度か会っているのよ?」
京子「ものごころ?」
「京子が覚えていないだけで、元々あの子と仲良しだったということ」
京子「ほんと?」
「だから結衣ちゃんは、きっと大事なお友達になるわね」
京子「…うん!」
結衣ちゃんは長いツインテールが可愛いのに、どこか男まさりでカッコイイ。
私を助けてくれたその姿は、まるで童話の王子様のようだった。
27 :
ふーん
28 = 21 :
しえん
29 = 1 :
京子「………」カキカキ
結衣「何の絵、描いてるの?」
京子「ひゃっ」ビクッ
結衣「王子様とお姫様?」
京子「あっ、みちゃだめ」ワタワタ
絵を描くことに没頭していたようで、人影に気がつかなかった。
慌てて絵を隠そうとしたけれど、それは手遅れだった。
結衣「これってひょっとして私?」
京子「う、うん……」モジモジ
結衣「わぁ、かっこよく描いてくれてありがとう!」
あかり「すっごく上手だよ、京子ちゃん」
怒られないかと心配していたのに、褒められてしまった。
こんな時にどんな顔をしたらいいのか、私にはよく分からない。
30 = 1 :
京子「……そうかな」エヘヘ
それでも、嬉しくて、楽しくて、心が躍る。
友達というのは、こんなにも暖かなものだったんだ。
あかり「いいなぁ、結衣ちゃん……」ジィー
京子「その、次はあかりちゃんを描きたいんだけど、いいかな?」
あかり「ありがとう!可愛いのがいいなぁー」ワクワク
京子「がんばる」
私のモノクロの世界は、いつの間にか綺麗な色で満ちていた。
誰かと世界を共有できる、それはきっと幸せなことなんだ。
気が付けば、私は自然と笑顔になっていた。
32 = 1 :
~公園~
結衣「命拾いしたな!」フン
「こっちのセリフ!」ベー
今日は三人で楽しく遊ぶはずだったのに、変な子に絡まれてしまった。
京子「………」グスッ
突如現れた女の子は、嵐のように場を荒らして、あっさりと去った。
いきなりいじめられて、喧嘩になって、みっともなく泣き叫んでしまった。
結衣「ごめん京子、こわかった?」
京子「……だいじょうぶ」
楽しく公園で遊ぶ予定だったのに、お気に入りの服もボロボロだ。
それが悲しくて、楽しく遊べなかったことが悔しくて、また涙が込み上げてくる。
34 = 1 :
結衣「京子、もう大丈夫だから」
京子「……うん」ゴシゴシ
結衣「いい子、いい子」ナデナデ
チュッ
京子「ぁ……」
ファーストキスを、結衣に奪われてしまった。
それは王子様のためにとっておいたものだけど、それでも結衣が相手なら悪くない。
京子「……結衣、かっこよかった」
私はずっとお姫様を夢見ていた。
でも、そんなかっこいい王子様を見ていて、頑張りたい、そう思えた。
結衣「京子は私が守ってあげる!」
結衣の勇ましい言葉、それは今までの私がずっと望んでいたもので。
でも、守られているだけなんて、もう嫌なんだ。
36 = 1 :
~就寝中~
あかり「………」ムニャムニャ
結衣「………」クー
京子「………」スヤスヤ
パジャマの胸に抱きしめた、お気に入りになった絵本。
それは愛を探す旅に出た、小さな姫の冒険のストーリー。
天使に勝るあどけなさ、剣士に負けぬ剣捌き。
胸に勇気を、瞳に焔を、振りかざす剣は壁を切り裂いて。
旅の果てに剣は欠け、振り返れども城は遥か遠く。
それでも愛の歌を口ずさむ、小さな姫の勇敢なストーリー。
私も、そんなお姫様の勇気が持てたなら……。
原初の夢は叶わなかったけれど、それは形を変えて、私の心にそっと根付いた。
37 = 1 :
~現在 ごらく部~
あかり「京子ちゃん?大丈夫?」
京子「……いや、何でもないよ」
本を手にとったまま、過去に思いを馳せていたようだ。
二人との出会い、懐かしい思い出だった。
あかり「その古い絵本、確か京子ちゃんの……」
京子「ああ、持ってきてたみたいでさ」アハハ
京子「そんなことよりも、何か面白いもの探そっか!」パタン
あかり「えぇぇ、防寒は?」
京子「楽しいことがあれば、体もあったまるって」
あかり「あっ、それもそうかも!」ポン
京子「ほら、早く探すぞっ」
あかり「はーい!」
私の大好きだった、遠く古い国の御伽話。
今はこの場所に仕舞っておこう。
あの日の涙を笑い飛ばせるくらい、私が強くなれるまで。
38 = 1 :
~ごらく部~
あかり「おまたせー」
京子「愛と正義の魔女っ娘ミラクるん、華麗に登場!」キュピーン
ちなつ「先輩は本当にミラクるんが好きですね」
京子「ミラクるんさえあれば、私は幸せなのさっ」フフン
ミラクるんは、要は私の目標とする姿なのだ。
挫けない、いつも明るく元気を振りまいて、それでいてお茶目、そういう人に私はなりたいのだ。
結衣「そんなにか」
京子「………」
結衣「京子?」
京子「………」
39 = 1 :
結衣「おい、京子」
京子「な、何?」
結衣「大丈夫か?急に動きを止めて」
京子「おうともよ」
結衣「熱でもあるんじゃないか?」ピトッ
京子「問題ない」
ふと思えば、結衣も昔に比べて落ち着いたものだ。
女たらしなところは変わっていないみたいだけど。
京子「ところでさ、結衣はどうして私の友達になってくれたの?」
結衣「……急にどうしたんだ?」
京子「いいから」
今まで、改まって聞いたことがなかったから。
予想はついているけれど、結衣の口から直接聞いてみたい。
40 = 6 :
追いついたよぉ
42 = 1 :
結衣「……ほっとけなかったからな」
京子「それだけ?」
結衣「やけに突っ込んでくるな、今日は」
京子「たまにはいいじゃん」
結衣「……私は昔の京子みたいな子に、憧れてたんだよ」
京子「ほほぅ、初耳ですなぁ」
結衣「からかわれそうだから、言わなかったんだよ」プィ
赤くなっちゃってまぁ、可愛いやつだ。
私たちはお互いに、無い物ねだりをしてきたのかもしれない。
43 = 1 :
京子「心配しないでも、結衣は可愛いよ?」
ちなつ「そうです、結衣先輩はとっても魅力的です!」
あかり「うんうん」ニコニコ
結衣「何か照れるからやめて」モジモジ
座布団を抱えるほどに照れなくてもいいと思うけど。
まぁ、そんな乙女なところも可愛いから、それでもいいか。
京子「あっ勿論、ちなつちゃんも可愛いよー」ガバッ
ちなつ「ひゃぁ」ビクッ
京子「にゃーちなつちゃーん」スリスリ
ちなつ「離してくださいよ、もぅぅ」バタバタ
結衣「こら」コツン
京子「あいたっ」
結衣「まったく、目を離すと直ぐにこうなんだから」
京子「えへへ」イヤー
45 = 33 :
しえんぬ
46 = 1 :
あかり「京子ちゃん、そろそろあれ、お披露目しようよ」コソコソ
京子「そうだな」
話が脱線して、本筋のことをすっかり忘れていた。
今回の搜索の成果を発表しないと。
京子「ほら、色々物色して、面白いもの見つけてきたぞ!」ジャーン
ちなつ「お姫様のドレス、ですか?」
京子「多分、演劇部の衣装が紛れ込んでたんだと思う」
結衣「防寒には全く関係ないな」
ちなつ「でも可愛いです、これ」ウフフ
京子「ちなつちゃん着てみなよ!」
ちなつ「そんな、恥ずかしいですし……」モジモジ
47 = 1 :
あかり「王子様の衣装もあるよー」ジャーン
京子「今なら、王子様の結衣もついてくるよ」ヒソヒソ
ちなつ「……ちょっと着てみようかな」ボソッ
京子「よしっ」グッ
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、有名で有効な兵法だ。
結衣は恥ずかしがって、素直に衣装を着てくれないだろうから。
あかり「結衣ちゃん、はい!」
結衣「私が、これ着るの?」
京子「まさか期待してる皆を裏切るようなこと、しないよね?」ウフフ
ちなつ「………」チラチラ
あかり「………」ワクワク
結衣「……分かったよ」ハァ
流石の結衣も、二人の期待する目を無視できなかったようだ。
渋々ながらも、同意を取り付けることに成功した。
48 = 33 :
なるほどあれか
支援
49 = 1 :
京子「お着替えいってらっしゃい」ニパッ
あかり「あかりも着てみようっと!」ルンルン
パタン
京子「………」
京子「……さて、皆がいない間にカメラを用意しないと」
重要なのはここからだ。
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