元スレ佐々木「ん?素直になる薬?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×4
951 = 937 :
名残惜しいな
952 = 942 :
>>951
全くだ
954 = 837 :
まだ残ってたのか、どうせなら誰かちょっとしたの書けばいいのに
955 :
確かに
956 :
言い出しっぺの法則
957 :
>>58のつづきとして、20レスほどいただきます。
残レスが少ないため、ご支援などは少な目にご協力頂けますと助かります。
また、さるさん回避のため、10分に1度の投下速度となりますことをご了承下さい。
958 = 957 :
「佐々木、どうかしたのか? 何だか昨日からおかしいぞ」
いつも冷静な佐々木がこれほどまでに取り乱すことなど、正直記憶にない。
そのきっかけとなった事象といえば、
「あの薬を飲んでからだよな。急に慌てだしたり、その……俺をからかうようなことを――」
「からかうだなんて、そんなこと……っ!」
そして佐々木は、発言者本人でさえも驚愕してしまうような言葉を言い放った。
どこまでも正気の瞳で――
「僕はキョンのことが好きなんだ。親友としてはなく、一人の男性として」
時が、止まったように感じられた。
佐々木の言葉を認識するのに十秒、理解するためさらに十秒、そして顔が燃え上がるのにコンマ一秒。
「え……? あっ……」
俺の顔色が劇的に変化する様を見て、ようやく自分が何を言ってしまったのか気付いたのだろう。
真向かいに鎮座する少女の顔からも炎が吹き出でた。
960 = 957 :
「ご、ごめんっ!」
「佐々木!」
走り去ろうとする佐々木へと伸ばされた手が、あと少しというところで停止してしまう。そのまま何の躊躇いもなく踏み込んでいれば、佐々木を受け止めることができただろう。
だが、親友の伏せられた瞳から零れ落ちるものを見てしまった俺は、金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。あいつを捕まえる権利が俺にあったのか、誰か教えて欲しい。
「………………」
備え付けの硬い椅子に、力なく腰を落とす。
気分によって引き摺り下ろされた視線の先には、半分ほど残されたハンバーガーが映っていた。
「くそっ!」
食欲など、とうの昔に消失してしまっていた。しかし俺は、冷めてしまったハンバーガーをしっかりと咀嚼する。
僅かばかりでも佐々木と繋がりのあるものを、捨て去ることなどできなかったからだろうか。
これを放り投げてしまえば、もう二度とあの親友に会えなくなるという予感が芽生えたからだろうか。
様々な感情が、口から吐き出してしまいたいほどに胸中を埋め尽くしていたが、それらさえもまとめて飲み下してやる。
冷静になれ。考えろ。俺はどうすべきだ? 何ができる?
……それだけじゃない。
俺は……、俺はどうしたいんだ? あいつとの、佐々木との繋がりを――
961 = 957 :
『もしもし』
「古泉か、今すぐ橘の連絡先を教えろ」
結局、この騒動の発端となった飴玉を用意した人物――つまり、橘を問い詰めるため、古泉に協力を仰ぐことにした。
俺もよほど混乱していたのだろう。普段なら一秒で浮かびそうな対応策を思いつくために、パサついたファーストフードをすっかり嚥下しなくてはならなかった。
油の切れた思考の歯車を、咀嚼することによって無理矢理動かしていたような感覚だ。
……それだけ冷静さを欠いていたということなのか。
『穏やかではありませんね。あなたらしくもない』
悪いがな、これでもかなり冷静になったつもりなんだよ。
これ以上落ち着けってんなら、液体ヘリウムでもぶっかけてくれ。
『まあいいでしょう。しかし、あなたへ回答する前に一つ尋ねたいことがあります――何があったのですか?』
大方予想はついてるんだろ? 俺から何か言うべきことなんて残っているのか?
『あなたの親友が突如として店を飛び出したことは『機関』の連絡員より報告を受けています。ですが、僕からしてみれば犬も食わないやり取りがあったとしか思えないのですよ』
痴話喧嘩に見えたってんなら、そいつに眼科医を紹介してやることを勧めるぜ。
……まあいい。ここで問答をしていたところで何がが進展するわけでもないからな。
962 = 957 :
俺は、信号機の壊れた五叉路の交通整理を任された新米警察官のように混乱した思考のまま、これまであったことを伝達した。
古泉は、「ほう」だとか「ふうん」だとか相槌を打っていたが、十分ほど経過したところで、
『大まかな事態は把握しました』
佐々木が最後に漏らした発言をどう伝えればいいのか全くわからず、言葉に詰まってしまった俺を見かねただけなのかも知れんが。
『ですが、橘京子の連絡先はお教えすることが出来ません』
「俺の話を聞いてたのか? 古泉、お前まで俺の邪魔をしようってんなら――」
『そうではないのです。橘京子への連絡役は僕が買って出る、とご理解下さい。今のあなたでは情報伝達に時間が掛かってしまいそうですので』
ああ、そうだな。俺が直接問い詰めたくもあるんだが、あのエセ超能力者を泣かせずに解決策を白状させる方法が思いつかん。
まったく、俺はどうしちまったんだ。
無二の仲間である古泉にまで当り散らすなんて、本当にどうかしてやがるぜ……。
『橘に事実確認をしたあと、今後の対応策を練ることになるでしょう。一時間後にこちらから連絡します。それまでに帰宅されることをお勧めしますよ』
沈着冷静な古泉の言葉に対して、了承の返答ではなく「すまん」とだけ答えた。
『ではまた後ほど』
「古泉、待ってくれ。もう一つ頼みがある」
963 = 957 :
『おや? なんでしょうか』
「佐々木が無事に帰宅したか確認してくれ」
『ほぅ……』
俺の気分がこれほどまでに動転している原因は、まぎれもなく佐々木の様子にある。
二年ほど前の出会い以来、俺はあいつの笑顔しか見てこなかった。
佐々木は生まれてから一度たりとも泣いた事がない――そんな絵空事なんぞ信じる気にもならない。だが、この目に映った佐々木の涙は、想像以上の衝撃を俺の脳細胞に与えてしまったようだ。
『ご安心下さい。あなたの大切なご友人は無事ですよ。今現在も『機関』の者が注視しています。もちろん、女性のね』
頼んでおいてなんだが、プライベートもあったもんじゃないな。
家に帰ったら、コンセントのカバーを外して、妙な機械がついてないか確認したくなるぞ。
『そのような違法行為などしませんよ。ただ、あなた達が無用な事故に巻き込まれぬよう遠巻きに見守っているだけです。しかし――しかしなぜ、あなたはこれほどまでに佐々木さんを心配するのでしょうか』
「わからん」
それが嘘偽りない答えだ。
「…………だがな、気になるんだ」
しかし、これもまた正直な回答なのだ。あの後姿はどうしようもなく俺の脳裏にこびりつき、思考を混乱させる。あいつが今どうしているのか、堪らなく気になるのだ。
古泉は、納得したんだかしてないんだかわからないトーンで「なるほど」と漏らしたあと、「一時間後に連絡します」と残して電話を切った。
964 :
見てるよ
965 :
残り少ないからレスもしにくい
967 = 957 :
きっかり一時間後、古泉の携帯から連絡が入った。
『お待たせしました』
ずいぶん早かったな。帰宅して以来ずっと部屋を回り続けて、もう少しでバターになっちまうところだったぞ。
『なるほど。そのようなジョークを口にできるほどには回復されたようですね』
まあな、今さらこんなことを言うのもなんだが、さっきはすまなかった。
『別に構いませんよ。他ならぬSOS団の仲間から相談された事なんですから』
対象が佐々木だけに、世界を守る『機関』としての責務も少しくらいは混ざってるんだろ? まったく、お前も大変だな。
『今回は『機関』抜きでの行動ですよ。高校生同士の恋愛相談役として楽しませてもらっているくらいです。ふふ、こういったイベントもなかなか楽しいものですね』
やれやれ。俺が少しも楽しくないのは、お前の言葉がビタイチ理解できないせいだと思っておくさ。
『さて、本題に入りましょうか。あなたにお伝えすべきニュースが二つあります』
そうかい。だったら、当たり障りのない方を先に言ってくれ。
『いえ、そうではありません。今回のニュースは二者択一、どちから一方しかお伝えすることができないのです』
なんだそりゃ? 俺に運試しでもしろってのか?
『いいえ、そうではないのです。僕がお伝えしたいことの一つは真実です。そして、またもう一方は、橘京子と相談し、でっちあげた偽りの真実です』
あなたはどちらを選択するのですか?――と、古泉は平素のふざけた様子など微塵も滲ませることなく、俺に選択を委ねた。
968 = 957 :
投下が遅れており、申し訳ございません。
多くの方がお気付きのことかとは存じますが、書き溜め分がなくなりペースが落ちております。
これ以降、20~30分程度、レス間隔が空くと思いますが、最後まで書く所存でございますので、どうぞよろしくお願い致します。
先ほど、忍法帖のリセットが行われ、スレッドが立ちにくい状況となっております。
このため、ゴールデンタイムでも30分程度は持つであろうと考えておりますので、
保守につきましても、なるべく自らの手で行うよう努める予定です。
また本レス以降、スレッドの降下状況が把握しやすいようageて投下致します。
969 = 957 :
「古泉、お前が俺に伝えたい方を話してくれ」
俺ははっきりとそう言った。
『おや、いいのですか? 僕は『機関』に属する人間なのですよ。春先の脅威は去ったとはいえ、あなたと佐々木さんの仲を邪魔すると思わないのですか?』
「確かにお前は『機関』の人間なんだろうよ。だがな、それ以前にSOS団副団長なんだろ? そして、それ以上に俺の友人なんだよな」
『ほぅ……』
古泉は虚を突かれたように溜息を漏らし、そしてしばらく無言でいた。
おい、何か話せ。お前がそんなリアクションをしていると、なんだか俺がとんでもないことを言っちまったような気分になるじゃねえか。
それにな、お前の挙げた前提はおかしいぞ。それじゃ、素直にどちらか一方を選べるはずもないだろ。
どちらかが真実で、どちらかが嘘だなんて前提があったら、いくら頭の悪い俺でも、真実なんてものは想像できちまうんだ。
『おっと、それもそうですね。はは、僕としたことがまったく間の抜けたことをしてしまったものです』
だからな、俺は『古泉が俺に伝えたい情報』を選択したんだ。どんな内容でも受け止めてやるよ。
俺の言いたいことを理解したのなら、さっさと何か言ってみろ。
そして古泉は、子供のように快活な笑い声をあげた。
『では、騒動の発端となった丸薬について、まず説明するとしましょう』
970 :
長寿だなしかし
971 = 957 :
『かの薬品は、特定部位の言語中枢を選択的に麻痺させ、また同時に製作者の意思を反映させた発言を強いるものだったのです』
「なんだそりゃ。どう考えても、今の地球じゃオーバーテクノロジーだろ」
『お察しの通り、この件には周防九曜が噛んでいます。おっと、この言い方は大袈裟でしたね。正鵠を射るならば、橘京子が周防九曜に”お願い”しただけなのです』
「お願いだなんて、ずいぶんと可愛らしい言い方だな」
『まさにその通りです。この事件の動機とも言うべき部分は、高校生同士のまさに他愛もない相談から始まっていたのですよ』
まったく、橘もやつも面倒なことをしてくれるもんだぜ。九曜が高校生と表現されていることと、どっちにツッコミを入れるべきか迷うほどだ。
『橘京子は、あなたと佐々木さんの仲が進展するよう画策していたようです。そして、周防九曜の協力を得て、件の飴玉を作成した――ということです』
「なぜ橘は、そんなけったいな野望なんぞ抱いていたんだ」
『あなたへの回答としては、彼女が佐々木氏の神格化を諦めていなかった、と申し上げておきます。まあ、彼女の気持ちもわからなくはないですからね』
「わかった。これからお前に奢られる時は注意しておくよ」
俺の軽口にも、律儀に微苦笑を漏らす古泉はどこか楽しげに感じられた。
『ご安心下さい。僕は、このような失策など採用しませんよ。はっきり言ってこれは間違っています。たとえ発案者の目論見どおり事が運んだとしてもね』
どのように事が運べば目論見どおりの展開になるのか想像もつかなかったが、一応の説明を受け、俺の混乱も収まってきたようだ。ウソかホントかなんて気にならないほどにな。
『橘京子も、これほどまでに大事になるとは予想していなかったのでしょう。ひどく反省していましたよ』
そうでなくては困るのですが、と古泉は締めくくった。
972 = 957 :
「それで、この騒動はどうやったら解決するんだ?」
『周防九曜の改変を取り下げればいいようです。そちらの依頼については、橘京子に任せてあります』
もうそろそろ佐々木さんの症状も快復したのではないでしょうか、と古泉は赴任したばかりの研修医のように生真面目な様子で話した。
この騒動もようやく解決するようだ。だが、もう一つ大事なことが残っている。
「佐々木には連絡しているのか?」
『いえ、まだですよ。事態がどちらに転ぶかわからなかったのでね。それに、僕も橘京子も馬に蹴られて死にたくないのです』
「意味がわからんぞ。もっとわかりやすく説明しろ」
『佐々木さんに伝える役目は、僕でも橘京子でもないということです。さて、僕はその人物の名を伝えなくてはならないのでしょうか』
俺は「いらん」とだけ答えて、通話を切った。
ああくそっ、古泉の野郎に礼を言うのを忘れちまったな。まあいい。明日の放課後にでもコーヒーを奢ってやるさ。
それよりも、今の俺にはやらねばならないことがある。
俺は、右手に納められた端末を繰り、この騒動の唯一にして最大の被害者へとダイヤルした。
佐々木に伝えるべき人物なんぞ知ったことか、別にそれが俺でなくとも関係ないのだ。俺は自らの意志で佐々木に連絡する。この役目は他の誰にも渡せないし、渡したくもない。
なぜかって? そんなの決まってるだろ。
あいつの涙を見てしまった――もしかすると、あいつを泣かせてしまったかもしれない人間として当然の責任なんだからな。
974 = 948 :
くまよけ
975 = 948 :
私怨
977 = 948 :
猿除け
978 = 948 :
猫除け
981 = 948 :
ほ
983 = 948 :
さ
984 = 948 :
ぴ
985 = 948 :
え
987 = 948 :
え?
989 = 957 :
>>986
そうですね。
そちらのお話も終わっていらっしゃるようですし、レス数が足りないようでしたら、跡地を使わせて頂こうかとと思います。
お待ちになって頂いております方々には、大変ご迷惑をお掛けしてしまい本当に申し訳ございません。
もう少々お付き合い頂けますようよろしくお願い致します。
990 = 948 :
え
991 :
>>989
>>986のスレは>>1が自分で立ててきちんと終わらせてるスレじゃん
そこでやるのはなんか違くね? 自分でスレ立てるとかしてやれば?
993 = 83 :
なぜSS速報にたてなかったんだ
994 :
ここは無理だろ
995 :
最終章「優しさと強さと勇気を未来へ」
「完全体となった草神様とヤプールの戦いが始まろうとしている……」
木山の表情には若干の焦りが見える。
無理も無い、これから起こる戦いは既に神すらも超えた物となるのだから。
「ねぇねぇ、私達って一体どうなっちゃうの?ってミサカはミサカは不安の声をあげてみる!」
「知らねェな……だが、俺達がついていける戦いじゃねェ事は確かだ」
これまでの戦いによって、心身共にボロボロとなった
一方通行達にできるのは見守る事だけだった。
「こんな時に何もできないだなんて……!!」
「糞ぉお!」
自らの不甲斐なさに絶望感した上条当麻は、
その神のいなくなった右腕で、大地を強く叩いた。
997 = 957 :
「やれやれ、まだ冷えるな」
すっかり陽の落ちた藍色の空をバックに、かつて通っていた中学の校門前で俺は一人ごちた。
古泉との通話の直後、佐々木への連絡を試みたのだが、当然というべきかあいつは出なかった。
留守電にメッセージを入れようかと頭を悩ませてみたのだが、「あー」だとか「うー」だとか唸っている間に、にべもなく録音終了の時間となる始末だ。
なんとも間の抜けた話なのだが、俺は古泉に連絡を入れ、SOS団の副団長殿に善後策を請うこととなった。
古泉のアイデアによる、まずメールで連絡するという善後策を即時採用し、ダメ出しを受けつつもなんとか佐々木に文面を送ることができた。
その苦労もあってか、その数分後には佐々木からの電話があり、そこでようやく今回の騒動の原因を説明したのだった。
……まったく、妙な労苦を払うはめになったもんだぜ。これじゃ古泉の言うとおり、高校生同士の恋愛相談みたいじゃねえか。
「やあ、キョン。すまない、待たせてしまったようだね」
「別に、待っちゃいねえよ」
家から学校までの距離は、俺の方がよほど近い。それに俺のすぐ傍には、かつて佐々木も利用した俺の愛車があるのだ。胸中には、ウソがバレてしまったあとのなんとも言い難い気恥ずかしさがよぎった。
「ふふ、ならばそういうことにしておくとするよ。キミの厚意を無にしないためにもね」
電話口で、今回の経緯を知ったためだろうか、佐々木は平素のような冷静さを取り戻しているようだった。
999 = 957 :
>>991
新しくスレッドを建てることがより良い解決策であると、私も思います。
しかし、先の忍法帖リセットによって、それができなくなってしまいました。
まったく違う内容のSSで跡地を利用することは、礼に欠く行為であると認識しておりますが、
他に方法もないため、そのような対応に頼らざるを得ない事態につきましては、どうぞお目溢しいただきますようお願い致します。
1000 = 948 :
てんてー
みんなの評価 : ★★★×4
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