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    元スレ新ジャンル「鳩時計の精」

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    51 = 40 :

    「まあいいわ……とりあえずアレを何とかしましょう」

    「また口から出てきたらどうしよう……」 チラッ

    「初デートでいきなり彼女頼み?」 ジト

    「あらかじめ何かに書いておきます!」 キリッ

    「あら。あなたにしては冴えてるじゃない」

    「いかなる事態にも冷静に対応できる男をアピール!」

    「残念だけど、すでにアピール云々じゃなく、マイナスをどれだけ埋められるかの話になってるから」

    「!!!!!!!!!!!!!」

    52 = 40 :

    「時間ね」

    「一時間あるんだから、その間は普通にデートを続けててもよかったんじゃあ……」

    「ほかの女を変に増長させたままで? ふうん。そういう人だったんだ……」

    「ビシッと言ってやります!」

    「……来る!」

    モゾッ

    『くっくどぅどぅるどぅー!』

    モッコリ

    「いっ……」 タジッ

    「ハ……ハハハ……冗談きついぜリンダ!」

    「いやあああああああああああああ!」 ゲシッゲシッ

    「おうっ!? ちょっ、やめて! そこは蹴っちゃらめえええええええ!」

    53 = 40 :

    『なにここ暗い』

    「ど……どっから出てくるかあああああああ!」 ゴソゴソ

    「出すなっ!」 ゲシッ

    「おうっ……」

    『はうっ……』

    「そう! あなたたち、もうそういう仲なのね! そういうことでいいのね!」

    「ち、違います!」

    『なるほど。まずはこの人を納得させないとお付き合いできないということですか』

    「ちょっと黙っててえええええええええ!」

    54 = 1 :

    いいぞもっとやれ

    55 = 40 :

    「また一時間後、か」

    「う……ううぅ……初デートでなんか嫌われた挙げ句、タマちゃん蹴られまくった……」 メソメソ

    「初デートで女にそんなところを蹴らせるあなたがいけないのよ!」

    「だから! みんなあの鳩時計の精のせいで!」

    「あなたにはいいかげん呆れたけど、それ以上に未だあいつにぜんぜん話が通じてないことの方がもっと腹が立つわね」

    「えええええええええええええ!?」

    「とりあえず話が付くまでは付き合いなさい! いいわね!?」

    「じゃ、じゃあ、付かなかったら、ずっと……?」 チラッ

    女 くわっ

    「はいいいいいいい! 可及的速やかに話がまとまるよう、ぼくも努力させていただきますですぅ!」

    56 = 40 :

    「さあ、ホテルの中なら! どこから出てこようとその場でひん剥いて!」

    「デート一日目でホテルイン……なのにっ! なのにぃっ!」

    「あと出てこられてたじろぐような箇所はもうお尻ぐらいね。でもあらかじめ覚悟を決めておけば……!」

    「男と女、ホテルの一室でなにもできずただ睨まれたままなんて……」 ウジウジ

    「時間っ!」

    ニュルン

    『~前略~三波春夫でございまーす』

    「!!!!!!!!!」

    「き……きゃああああああああああああああああああああ!」

    57 = 40 :

    「あれれぇ~? どこぉ? みんな、どこいったのぉ~?」 ノソノソ

    「めめめめめめめ眼から! 眼から上半身とか半身がっ!」 ゾワワッ

    『でんでん虫~』

    「それはでんでん虫じゃなくでんでん虫に取り憑く寄生虫よ!」

    「ねぇ~? どうなってんのぉ~? ねええええぇ~?」 キョロキョロ

    「話はわたしが付けるから、あなたはしゃべらないで動かないで!」 ゴッ

    「はうぅっ!? ……わ、わかりました……」

    58 = 40 :

    「単刀直入に言うわ。この人は今日わたしとデートしてて、あなたはなにか別の時計に移り替わりなさい!」

    『……』

    「聞いてるの?」

    『妖精は、想いの強いところに顕れるのです』

    「やっぱり……やっぱりそういうことっ!」 ガシッ

    「え? え? えええええええええ?」

    『あなたが思っているのとは、たぶん、違いますよ』 クス

    「……え?」

    59 = 40 :

    『わたしが宿る予定の鳩時計は、この人が生まれる前から、いえ、もう何世代も前からこの人の家にありました』

    『そんな古時計が、どれほど家の人の想いを受け止めてきたか。わかるでしょう?』

    「そ、それは……うん……まあ」

    「でも! このあいだスクラップになったって……」

    『はい。残念ながら……』

    『でもあれは不慮の事故だったんです』

    『この人も、もうどうしても直らないわたしをなんとか直そうと、それはもうあちこちかけずり回ってくれました』

    「……」

    『でも、どうしようもなかったんですね』

    『ものは、どんなに大切に使っていても、いつかは、別れがk

    シュルン

    「……」

    「ちょっとぉ!? こういうクライマックスの時は最後まで話していくものでしょ!? なに途中で帰ってんのよ!」 ガッ

    「いたいいたいいたいいたい! お目々えぐらないでええええええ!」

    60 = 40 :

    「い、一時間……はあ、はあ……」

    「そ、そんなにいらいらしてるとよくないですよぉ?」 オロオロ

    女 ギロッ

    「ひいい生まれてきてすいませんでしたぁ!」

    「とりあえず今度はもう何もしゃべらないで。動かないで。一秒のロスも惜しいから」

    「はい!」 キリッ

    ニュルン

    「来たっ」

    『uるものです』

    「何事もなかったかのように続きから!?」



    「しかもいまさらお尻!? こんないいところで!?」

    61 = 40 :

    「……」

    「気の利かない人ね! 声が聞き取りにくいでしょう? こういう場合は言われるより先に脱ぐ!」

    「は、はいぃ! わかりましたぁ!」

    ヌギヌギ

    「初めて見る男の人のお尻が妖精さんとのお話だなんて……ああ、今はそれどころじゃないわ」

    『本当なら時計のない時点で帰ってもよかったのですが……』

    「じゃあなんで帰らなかったの」

    『なかったから』

    「……」

    『なかったから、わたしなんかででも、その、想い出のかわりになれるかなあって……』

    「……」

    『でも、もう、古時計なんかよりもっと大切なものを見つけていたみたいですね』 ジー

    「……え?」

    62 = 40 :

    『いろいろとおかしな場所から出てきてみても、あなたは嫌がらずに付き合ってあげているじゃないですか』

    「……! わ、わざとだったの!?」

    『そりゃあ、ねえ』 クス

    『家のものに憑く精ともなれば、家の人の惚れた相手のことぐらい、気になりますよ』

    「べ、別にわたしはそういうわけでここまで付き合ってるわけじゃ……!」

    精 にこっ

    「う……」

    63 = 40 :

    「そ、そうよ! 呆れたのなら、とっとと放っといて帰ってるわよ!」

    「!!!!!!!!」 パアァ

    「お尻から妖精出したまま半泣き顔で微笑まないで!」

    「すいません!」

    『そのことばを聞いて安心しました』

    『これで安心してこの人を離れられます……』

    「離れるの!?」

    『……おかしな人ですね。離れてほしくなかったんですか?』

    「で、でも……」

    「……」

    65 = 40 :

    『そんな顔をしないで。たかが、半日の付き合いじゃありませんか。さびしがるほどの付き合いじゃないですよ』

    「……」

    『あの古時計も、わたしも、居なくてもいいじゃないですか』

    「時計なんかとではなく、あなたは、これから、この人と時を刻んでいけばいいのです」

    「う……ん。うん……」

    「し、尻から突き出てる分際で、かっこいいこと言ってんじゃないわよっ」 フイッ

    『……』

    『では』

    66 = 40 :

    「……!」 バッ

    『……?』

    「あ、あなたはこれからどうなるの? どこにいくの!?」

    『そう……ですね。この人に宿るのをやめてしまえば』

    『この人の家の鳩時計の精としてのわたしは消えて無くなりますが』

    『また……どこかの、誰かの、大切な時計の精として、生まれてくるかも知れません』

    「ほかの時計に憑くのは駄目なの? 家にはほかにも時計が……」

    『ただの時計では駄目ですよ。それなりの、思い入れがないと』

    「……そう……だったわね」

    『では。お二人の前途に、幸あらんことを……』

    シュルン

    67 = 40 :

    「……」

    「……いっちゃったね」

    「うん……」

    「……」

    「消えてくれたらくれたで……」 フウ

    「そうだね……もうちょっと、時計のこととか……」

    「あなたの昔のこととか、訊いてみてもよかったかも」

    「!」

    「仕方ないわね。あなたから直接聞くわ。これで落ち着いてお話できるわけだし」

    「う、うん……!」 ニパッ

    「と、その前に」 ジロ



    「いいかげんお尻仕舞いなさいっ!」 ゲシッ

    「す、すいませんでしたあああああああ!」 アセアセ

    68 = 40 :

    『鵺みたいな声で啼きながら出てきてみようかとも思ったのですが、鵺ってどんな声でしたっけ?』

    「……」

    「なんで……たった一時間で……」

    「……わたしの頭から出てくるのっ!?」

    『あれ? 言いませんでした? 思い入れの強い、時を刻むもののところに出てくると……』

    『共に生き、共に老い、共に時を刻む伴侶にまさる時計はありません』

    『でもこうもはやく出てこられるとは。ふふ。よほど、ずっと、好きだったんですね』

    「一目お見かけしたときからずっと一筋でした!」 キリッ

    「……妖精さん、ちょっと、話があるの」

    『では、また』

    シュルン

    「待ちなさ……ちょっと待ってて。恋人ごっこの再開はこいつを何とかしてからよっ!」

    「え……ええええええええええええええ!?」

    69 = 40 :

    って話じゃなかったのかよおおおおおお!?

    ふざけてんのかあああ>>1ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

    怒った! もう寝る! 帰って寝る! 寝るったら寝るんだから!

    70 = 23 :

    なにやってんだ……

    71 = 23 :

    あれ?
    ひょっとして俺たちが書いてきたのは
    鳩時計の精じゃなく
    鳩時計の鳩の精だったんじゃね?

    73 = 64 :

    >>69-70
    吹いた

    74 = 23 :

    「……に行ったとき」

    精 にこにこ

    「……なわけで」

    精 そわそわ

    「おっ。もう時間か」

    精 こくり

    「3、2、1……」

    「わたしも、こんど……」

    「そうだな。一緒に行くか」

    精 こくり



    物いわず 時刻む彼女は 鳩時計の精
    午後二時に 二文節だけ 話したあとは
    すこし かなしそうな 顔をして
    すこし おどるような 仕草をみせて
    ふるい オルゴールのような 声で
    ちいさく うたう

    75 = 23 :


     ↑

    >>1いたらこれで頼む

    76 = 23 :

    精 くいくい

    「なに?」

    精 ちょいちょい

    「ああ。髪が伸びてきたねえ」

    精 にこ

    「自分で引っ張りゃいいのに」

    精 いやいや

    「……しょうがないなあ」 ぎゅっ

    精 にこにこ



    物いわず 時刻む彼女は 鳩時計の精
    動力の錘が 変化したものらしき 髪を 
    八日に一度 中房の髪を ひっぱって 引き上げる
    彼女は また 八日間 
    ぼくのとなりで わらいつづける

    77 = 23 :


     ↑

    >>1でなくてもいいや。こういうの誰かプリーズ

    78 = 23 :

    「……なんだけどさ」

    精 うんうん

    「……ってなもんで」

    精 はっ

    「おっ一時か」

    精 そっ

    「……ん」

    「……好き」

    「……うん」



    物いわず 時刻む彼女は 鳩時計の精
    一文節だけ ことばにできる
    午前一時と 午後一時
    彼女が口にするのは きまって
    好き か 愛してる
    そのあと すこし てれたように くるりとまわり
    ふるい オルゴールのような 声で うたう
    おそらくは とおいむかしの 恋の うたを

    79 = 23 :


     ↑

    こういうのね、こういうの。>>1いないならもげろ

    80 :

    何やってんだおまへ

    嫌いじゃないぞもっとがんばれ


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