元スレ可奈「ち、千早さんが記憶喪失!?」
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P「大丈夫だ、何も心配はいらない。
違和感に気付けたってことは、多分『もうすぐ』だからな」
千早「……? どういうことですか?」
P「それもすぐに分かる。
それより、プロデューサーとしてアドバイスしたいことがあるんだが、いいか?」
千早「アドバイス、ですか? ええ、もちろんです。よろしくお願いします」
P「なら、一つだけ。
いいか千早、今日はその違和感を抱えたままステージに上がるんだ。
そうすればきっと良いステージになる」
千早「違和感を抱えたまま……? あの、それはどういう……」
P「答えはステージが出してくれるさ。
……さて、俺はそろそろ行くぞ。
まだ確認したいならしてもいいけど、遅れることのないようにな」
千早「……」
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静香「! プロデューサー……。あの、千早さんは?」
P「あと30分くらいで戻ってくる。それまでにみんなは準備をしておこう。
と、その前に、何か気になることはあるか?
聞けるとすればこのタイミングが最後になりそうだから、今のうちに言っておいてくれ」
志保「私は特に。千早さんの記憶が戻ってないのも想定のうちですし」
可奈「えっと、私も大丈夫だと思います!」
静香「……プロデューサー。それじゃあ一つ、いいですか?」
P「ん、なんだ?」
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狂犬ちーちゃんには苦労させられたよなぁ・・・(トオイメ
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舞台袖
P「もうすぐ時間だな……確認するぞ。
まずは一人ずつ順番にソロ曲を披露して、最後に4人全員で歌う。
最初は志保だが、準備は整ってるか?」
志保「はい、問題ありません」
可奈「志保ちゃん、がんばってね!」
静香「トップバッター、頼んだわよ!」
志保「ええ」
千早「……」
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P「じゃあそろそろ……って、志保?」
志保「千早さん……前に私があなたに言ったこと、覚えてますか?
アイドルとして、今のあなたには負ける気がしないって」
千早「……ええ、覚えているわ」
志保「だったらいいんです。それじゃ、行ってきます」
P「志保……。よし、行ってこい! お前の全部をぶつけてやれ!」
志保「もちろん……そのつもりです!」
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静香「――志保、すごいわね。いつもよりもずっと……」
可奈「なんだかこっちまで、ドキドキしてくるね……!」
P「見とれてる場合じゃないぞ、静香。もうすぐ志保の出番は終わりだ。準備はいいか?」
静香「別に見とれてなんか……。当然、準備はできてます。
志保に負けないよう、頑張りますから!」
可奈「がんばってね、静香ちゃん!」
静香「ありがとう、可奈。それから……千早さん」
千早「……」
静香「……見ててくださいね。じゃあ、行ってきます!」
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P「――うん、静香もいつにも増して気合が入ってる。すごくいい感じだ。
さて、次は可奈だけど準備は……って、聞くまでもなさそうだな」
可奈「はいっ! 志保ちゃんも静香ちゃんもいつもよりすごくて、
準備万端~、気合満タン~、やる気満々~♪ ですっ!」
志保「やる気があるのはいいことだけど、空回りしないようにね」
可奈「だいじょーぶ! ちゃんと私らしいステージにしてくるから!
だから……千早さん! 見ててください、私のステージ!」
千早「……矢吹さん……」
P「よし、静香の曲も終わったぞ。行ってこい、可奈!」
可奈「はいっ! 行ってきまーす!」
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P「――さて、いよいよ次が千早の番だけど……。
どうだ、初めて見る可奈のステージは。
前の二人のステージも、何か感想はあるか?」
千早「……」
可奈『飛び出せ! 全力パワーに込めたメロディーに乗せて♪
絶対大丈夫そばにいる♪ 優しい歌がある♪』
千早「……相変わらず、音程は外してて、テンポもリズムも崩れて……。
これではまだ、アイドルではない一般人の方が、ちゃんと歌えていると思います」
P「……」
千早「なのに……分かりません。
あんな歌なのに、どうして……。どうして、こんなに……」
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P「そうか、良かった。三人の気持ちはちゃんと、千早に届いてるみたいだな」
千早「……はい。三人の歌声から、三者三様の、強い思いのようなものを感じました。
きっと、私に向けた思いなんだろうということも分かりました……。
でも……私は、まだ何も……」
P「大丈夫。そこまでくればあと一歩だ」
千早「え……?」
P「あとはお前の歌が、ステージが、光をくれるはずだ。
そうなればもう、お前が自分の力で踏み出すだけだよ」
千早「プロデューサー……」
P「だから、行ってこい! アイドル如月千早のステージへ!」
千早「っ……はい、行ってきます……!」
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P(……よし、行ったな。ここからは千早、お前次第だ)
可奈「あ、あの、プロデューサーさん」
P「! 可奈……静香と志保も。どうかしたか?」
可奈「千早さん、何か言ってましたか? 私たちのステージのこと……」
静香「私と志保も、離れていたからプロデューサーとの会話は聞こえなくて……。
わ、私たちの気持ち、千早さんに伝わっていたでしょうか?」
志保「……」
P「ああ、しっかり伝わってたよ。
そのおかげで、千早が記憶を取り戻すまであと一歩ってところまで来てると思う」
静香「ほ、本当ですか!」
P「ああ。あとは千早次第……っと、曲が始まったぞ。みんなで見守ろう」
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千早(……すごい。これが765プロシアターのステージ……。
ファンの人達の熱が、想いが、こんなにも強く伝わってくるなんて……!)
P「! 今の歌い出しは……」
志保「……ぎこちない、ですね」
静香「何か、探り探り歌っているような……。
あんなふうに歌う千早さん、初めて……」
可奈「千早さん……!」
千早(……いえ、違う……。
この熱も、伝わってくる想いも、ファンからのものだけじゃない。
これは……さっきまでここで歌っていた、三人のもの……)
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千早(まだ残ってるんだ……。
志保の、静香の、矢吹さんの……みんなの想いが、まだここに……!)
P(……そうだ、千早。『あとは自分の力で踏み出すだけ』と言ったが……お前は一人じゃない。
たとえステージに一人で立っていても、仲間の想いが支えてくれる。
繋がり続けてくれるんだ)
千早(そうか……やっと分かった。
やっぱり私は、この歌を完全に表現できていなかったんだ。
だって、何も知らなかったから。
でも、分かった……。私は……『今の私』は……!)
千早「――Just be myself!! 信じたい
手探りの勇気を 本当の自分を
全力で未完成な明日へ……なりたい私になる!」
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P「っ! 千早……!」
静香「この、歌……!」
志保「……さっきまでと、いえ……練習とも、全然違う……!」
可奈「千早、さんだ……私たちが知ってる、千早さんの歌だ!」
静香「プ、プロデューサー、私たちの思い込みじゃありませんよね……!?
だって練習とまるで違います!
今まで気付かなかったことが不思議なくらい……!」
P「慌てなくても、千早が戻ってきたら分かるよ。
だからそれまで、しっかり聞こう……! 千早の歌を、最後まで!」
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P(その後も千早は、笑顔で歌い続けた。
聴く者すべてを笑顔にするような、幸せそうな表情で。そして……)
静香「千早さん!!」
千早「!」
可奈「すごかったです……千早さん、すごかったです!
私、感動しちゃいました! 本当に、本当に……!」
志保「可奈、歌の感想はあとにして。今は先に確認しなきゃいけないことがあるでしょ」
可奈「あっ、そ、そっか! あの、千早さん!
えっと、私たちのこと……お、思い出してくれましたか!?」
千早「……ありがとう、矢吹さん、静香、志保。
色々と迷惑をかけて、本当にごめんなさい」
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可奈「あ、あ……!」
静香「そ、それじゃあ……」
千早「ええ……。全部、思い出したわ」
可奈「ち……千早ひゃぁあああぁあああん!! うえぇえええええええん!!」
千早「きゃっ……! 矢吹さん……その、あなたには特に、謝らなければいけないわ。
記憶がなかったとはいえ、私、酷いことを……」
可奈「良゛い゛んですぅううううう! 千早さんが思い出しでくれ゛ただけでぇええええ!!」
静香「ほ、本当に、よかったです……! ぐすっ……」
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志保「二人とも、感動する気持ちは分かるけどそろそろ切り替えないと。
まだ四人でのステージが残ってるんだから」
P「おっと、そうだぞ可奈、静香。あんまり泣きすぎるとメイクが崩れ……
って、もう手遅れな気もするが、とにかく歌の準備だ!」
可奈「は、はい……ひぐっ。ご、ごめんね志保ちゃん。
千早さんも、いきなり飛びついてごめんなさい……」
千早「いえ、いいのよ矢吹さん」
志保「ほら静香も早く涙拭いて、準備して」
静香「ええ……ふふっ」
志保「何……? 私、何かおかしなことを言った?」
静香「いいえ。すぐ準備するわ」
静香(志保ったら……自分だって、涙目になってるくせに)
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P(――四人でのステージは、もちろん大成功をおさめた。
そしてその日の夜……)
小鳥「公演大成功アーンド……」
美咲「千早ちゃん完全復活お祝いパーティ、開催ですっ!」
一同「かんぱーい!」
P「……って、まさか本当にパーティを開くとは……」
高木「何を言っとるんだね! 如月くんが復活したんだ、このくらい当然だろう!
今日は突然のことだから公演のメンバーと我々だけだが、
後日また改めてアイドル52人全員集めてのパーティを開くつもりだ!」
P「ええっ!?」
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静香「……今何か、すごいことが聞こえたような……」
可奈「52人全員だって! すごいね!
みんな一緒でとっても楽しい~♪ 千早さんも元通りでとっても嬉しい~♪」
千早「で、でも流石に全員でパーティは大袈裟じゃ……」
志保「いいんじゃないですか? きっとみんなもお祝いしたがってるでしょうし」
静香「あら、珍しいわね志保。あなたがこういうことに積極的だなんて」
志保「別に。めでたいことは祝ってもいいって思っただけよ」
千早「ふふっ……ありがとう、志保。
静香と、矢吹さんも……改めてお礼を言わせて。本当に、ありがとう」
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静香「い、いえ、そんな! 別にお礼を言われるようなことなんて、何も……」
千早「そんなことはないわ。みんなの想いのおかげで、私は記憶を取り戻せた。
それに、私が矢吹さんに酷いことをしようとした時……
静香、あなたが志保と一緒に私を止めてくれたこと、嬉しかったわ。
普段のあなたは、私の前ではあまり自分の意見を言おうとしないから」
静香「……千早さん……」
千早「だからこれからも、歌やステージついて、
時々は私に意見をぶつけてくれると嬉しいわ。
きっとそうすることで、お互いの歌はもっと大きく成長できると思うから」
静香「は、はい! 頑張ります!」
千早「それから……志保にも同じ理由で、すごく感謝してる。
真正面から意見をぶつけて、私を止めてくれて、ありがとう」
志保「いえ……」
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千早「『今のあなたにはアイドルとして負ける気がしない』という言葉……
すごく印象に残ったわ。
あんなふうに直接的に気持ちをぶつけてくる人は、あまり居なかったから」
志保「……でも私もあの時は少し感情的になっていたと、今は反省しています」
千早「気にしないで。経験もなく視野も狭かった頃の私より、
今の志保たちの方がアイドルの実力は上。それは多分、事実だから」
志保「そう、でしょうか」
千早「でも、もちろん今は、私も負けるつもりはないけれど」
志保「! ……そうでしょうね。
だけどすぐに追い越してみせますから」
千早「ええ。私も、追い抜かれないように頑張るわ」
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千早「それと、矢吹さんも……。
いえ、矢吹さんにお礼を言いたいと思ったのは、今回だけじゃないわね」
可奈「へっ?」
千早「あなたにはずっと、何度も感謝してるわ。本当に、ありがとう」
可奈「あの……な、なんのことですか?
私、そんなに千早さんにお礼を言われるようなことはしてないような……」
千早「あなたの歌は、いつも私に新しい世界を見せてくれてる。
同じ歌でも、全く違う表情を知ることができて……。
歌に対する姿勢も、表現の仕方も、いつも勉強させてもらっているわ」
可奈「ええええっ!? そ、そんな!
私の方こそいつも、千早さんの歌に勉強させてもらって、感動させてもらって……!
だから、わたしっ……ひぐっ……ぅええぇええん!」
静香「もう、可奈ったらまた泣いて……」
可奈「だっでぇえ……わたしうれしぐでぇええ……!」
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志保「ティッシュあげるから、鼻くらいかみなさい。酷い顔よ」
可奈「う゛ん……ごべんね志保ぢゃん……ぐすっ。
あ、あの、千早さん……! 私、まだまだ千早さんみたいに上手には歌えません……。
でもいつかは、千早さんみたいに、
たくさんの人に私の歌を届けられるようになりたいです!
だから、その……こ、これからも、たくさん勉強させてください! よろしくお願いします!」
千早「矢吹さん……。ええ、もちろん。
これからお互いに、学び合っていきましょう」
静香「あ、私も……! 私も、たくさん学ばせてもらいます!
それから、時々は千早さんと、歌について色々と言い合って……
一緒に成長させてもらえたら、嬉しいです!」
77 = 1 :
志保「……私は、一緒に成長なんてするつもりはありませんから。
千早さんより早く成長して、
少しでも早くあなたを追い越せるように、これからも努力するだけです」
千早「静香、志保……。ええ、そうね。
同じ事務所の仲間として、トップアイドルを目指すライバルとして。
関係のあり方は色々とあるでしょうけど……。みんな、これからもよろしくね」
可奈「は、はい! こちらこそ! あ……そ、そうだ、千早さん!
突然ですけど私、一つだけお願いが……! 聞いてもらっていいですか!」
千早「? え、ええ。何かしら、私にできることならいいのだけれど……」
可奈「そ、その、えっと……!
わ、私のこと、可奈って呼んでください!! お願いしますっ!!」
千早「えっ?」
おしまい
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付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした
79 :
おつ
81 :
おつ
82 :
おつ 懐かしの抜き身のナイフ千早厳しすぎ 良き話だった
83 :
乙
ありそうで見かけなかった話を書いてくれてありがてぇ
84 :
>>50で千早がおかしくなった!なんすってちーちゃんにいったい72が……
85 :
乙
ミリマスのちーちゃんはよく笑ってくれて大好き
87 :
ちはかなとさりげないかなしほが素晴らしかった
狂犬時代のちーちゃんはJbM歌えねーだろうなぁ
乙
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