私的良スレ書庫
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元スレ京太郎「清澄高校麻雀部員共」霞「9ン2といったところかしらね」
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ころたん 乙
それはそうと、>>234 タコスは吸うものじゃないぜ?
それはそうと、>>234 タコスは吸うものじゃないぜ?
美少女が吸ったタコスを京太郎に食わせ、擬似NTRか…流石は性人すばらの弟子。
こんばんは、今日はエロスや下ネタとはさっぱり関係ありません。
完全別世界でございます。余所にポイするには長すぎるのでこっち透華でー。
そのため今日は本編透華はありません。すんません。
完全別世界でございます。余所にポイするには長すぎるのでこっち透華でー。
そのため今日は本編透華はありません。すんません。
おかえりイッチ
本編再開でいっぱい出すためにも下ネタとエロスは溜めないとね
焦らしプレイもいいよね
本編再開でいっぱい出すためにも下ネタとエロスは溜めないとね
焦らしプレイもいいよね
夏休み、インターハイも終わってしばらくは麻雀もお休みだ。
咲達は家族で出掛けたり、友人はひたすらゲームに打ち込んだり。俺はと言えばちょこちょこバイトをしてたワケだが……
「あぶく銭、だよなあ」
気分で買ったロト6。なんとなく次の日に新聞見れば、200円が10万円に化けやがった。
ゲームなりに変えてしまうのもいいけれど、それはそれでという気さえする。いっそ、もっと自分のためになるようなことに使った方が良いんじゃないか?
「……そういや、祖父ちゃんが言ってたっけ」
思い出したのは、祖父ちゃんが小さい頃にそのまた祖父さんから聞いたというお話。
遠い岩手でのお話を、俺は思い出していた。
咲達は家族で出掛けたり、友人はひたすらゲームに打ち込んだり。俺はと言えばちょこちょこバイトをしてたワケだが……
「あぶく銭、だよなあ」
気分で買ったロト6。なんとなく次の日に新聞見れば、200円が10万円に化けやがった。
ゲームなりに変えてしまうのもいいけれど、それはそれでという気さえする。いっそ、もっと自分のためになるようなことに使った方が良いんじゃないか?
「……そういや、祖父ちゃんが言ってたっけ」
思い出したのは、祖父ちゃんが小さい頃にそのまた祖父さんから聞いたというお話。
遠い岩手でのお話を、俺は思い出していた。
「迷い家?」
空から寄せる夏の熱気。手持ちの棒アイスがどんどん溶けていく中で、小学生の俺に向かって祖父ちゃんが言ったのは、聞いたことも無い話。
薄い頭を撫でて、朗らかに笑いながら話してくれたのを覚えている。
「マヨイガ言ってな。俺の祖父さんが岩手まで行った時のことだ、なんでも飯がねえっつって、山菜を取りに行ったらしいんだがな。なにせ知らん山だ、あっちこっち行くうちに自分がどこに居るやら分からんくなって途方に暮れたままの山を彷徨ったらしい」
「へー、助かったの?」
そう、確かこの時は話半分だった。祖父ちゃんの話は面白いからしっかり聞いてたけど、ここに祖父ちゃんが居る以上はオチも十分わかってたんだから。
「助かることには助かったんだがなあ……祖父さん、そん時に立派な家に迷い込んだんだとさ。その家ときたら立派な門構え、まるっと太った牛や鶏が飼われとった。祖父さんは麓までの道を教えてもらおうと住人を探したんだが――」
空から寄せる夏の熱気。手持ちの棒アイスがどんどん溶けていく中で、小学生の俺に向かって祖父ちゃんが言ったのは、聞いたことも無い話。
薄い頭を撫でて、朗らかに笑いながら話してくれたのを覚えている。
「マヨイガ言ってな。俺の祖父さんが岩手まで行った時のことだ、なんでも飯がねえっつって、山菜を取りに行ったらしいんだがな。なにせ知らん山だ、あっちこっち行くうちに自分がどこに居るやら分からんくなって途方に暮れたままの山を彷徨ったらしい」
「へー、助かったの?」
そう、確かこの時は話半分だった。祖父ちゃんの話は面白いからしっかり聞いてたけど、ここに祖父ちゃんが居る以上はオチも十分わかってたんだから。
「助かることには助かったんだがなあ……祖父さん、そん時に立派な家に迷い込んだんだとさ。その家ときたら立派な門構え、まるっと太った牛や鶏が飼われとった。祖父さんは麓までの道を教えてもらおうと住人を探したんだが――」
――明治――
「参ったな……人っ子一人いないか」
家の外周を周ってみたが、どうも人のいる気配がしない。思わず汗まみれの髪を描きまわすと、南蛮人みたいな黄色を帯びた毛がはらりと落ちる。
「おっといかん、汚したりしたら申し訳がたたん……しかし、また綺麗な家だなあ」
そう。艶のある木目に落ちた髪、その汚れがなんとも目立つほど綺麗な床。調度品はどれも一級品でおいそれと触れないようなものばかりだ。
しかしなんとも妙ではある。確かに綺麗な家なのだが、ついぞさっきまで、誰かが居たような形跡はあるのだ。
「味噌汁か。また随分と温かいが……おおーい! 誰か、いないか!」
大声を上げてはみるものの、どうにも反応は無い。
大きな家だからまだまだ奥はあるのだが、果たして入って良いものか。万一家人が戻ってきたら、言い訳が立たんのではないか。
そう考えた時。俺の耳に、小さな衣擦れの音が飛び込んできた。
「なんだ、誰かいるのか? ……ここか。おおい! 勝手に上がってしまってすまんが、道を尋ねたい!」
しゅるしゅると、小さな音が止まる。それから数秒程度してからだろうか。
襖越しに聞こえるのは、どこか弱弱しくも艶やかな声。
「……どうぞ、お入り下さいませ。そこに居られては話し辛くございます」
「む。いや、着替えの途中なら待たせて頂く」
その声はおそらく、20にもならない女性の声。こんな山奥の家にそんな女子が居るとは思わなんだが、まさか押し入る様な真似は出来ず。
たっぷり10分程。なぜか我慢比べの様相を呈してきたが、どうも観念したようで再び衣擦れの音が襖紙越しに響く。
更にそこから10分程度、音も少なく開いた襖の先には、なんとも言えぬ美女の姿。
「お、お」
思わず声も漏れるという物だ。老女とは違う艶のある白髪を短く、ざっくばらんに切り、眠たげな瞳にはなんとも無気力な色を滲ませている。しかし薄く羽織った浴衣の下では豊満な胸が布地を押し上げて、隠しきれない谷間が顔をのぞかせる。俺自身が随分と背が高いせいで、真上から見下ろす形になってなんとも言えん。
「まこと、お待たせいたしました……帰り道を聞きたいと、仰いましたか?」
「お、おお! そうだ、どうも外様から来た身では山を降りられん。麓への道を教えてもらいたいのだが」
「左様でございますか……されど、間もなく日暮れでございます……今日は当家に逗留されて、明日帰られては如何ですか?」
そう言って、ついと指した先は。
「……なんだって。もう、そんな時間なのか?」
夕暮れですらなかったはずの外界は、とっぷりと陽が落ちて。辺り一面一寸先は闇とばかりに、ただ木々のざわめきだけが恐ろしく響いていた。
「参ったな……人っ子一人いないか」
家の外周を周ってみたが、どうも人のいる気配がしない。思わず汗まみれの髪を描きまわすと、南蛮人みたいな黄色を帯びた毛がはらりと落ちる。
「おっといかん、汚したりしたら申し訳がたたん……しかし、また綺麗な家だなあ」
そう。艶のある木目に落ちた髪、その汚れがなんとも目立つほど綺麗な床。調度品はどれも一級品でおいそれと触れないようなものばかりだ。
しかしなんとも妙ではある。確かに綺麗な家なのだが、ついぞさっきまで、誰かが居たような形跡はあるのだ。
「味噌汁か。また随分と温かいが……おおーい! 誰か、いないか!」
大声を上げてはみるものの、どうにも反応は無い。
大きな家だからまだまだ奥はあるのだが、果たして入って良いものか。万一家人が戻ってきたら、言い訳が立たんのではないか。
そう考えた時。俺の耳に、小さな衣擦れの音が飛び込んできた。
「なんだ、誰かいるのか? ……ここか。おおい! 勝手に上がってしまってすまんが、道を尋ねたい!」
しゅるしゅると、小さな音が止まる。それから数秒程度してからだろうか。
襖越しに聞こえるのは、どこか弱弱しくも艶やかな声。
「……どうぞ、お入り下さいませ。そこに居られては話し辛くございます」
「む。いや、着替えの途中なら待たせて頂く」
その声はおそらく、20にもならない女性の声。こんな山奥の家にそんな女子が居るとは思わなんだが、まさか押し入る様な真似は出来ず。
たっぷり10分程。なぜか我慢比べの様相を呈してきたが、どうも観念したようで再び衣擦れの音が襖紙越しに響く。
更にそこから10分程度、音も少なく開いた襖の先には、なんとも言えぬ美女の姿。
「お、お」
思わず声も漏れるという物だ。老女とは違う艶のある白髪を短く、ざっくばらんに切り、眠たげな瞳にはなんとも無気力な色を滲ませている。しかし薄く羽織った浴衣の下では豊満な胸が布地を押し上げて、隠しきれない谷間が顔をのぞかせる。俺自身が随分と背が高いせいで、真上から見下ろす形になってなんとも言えん。
「まこと、お待たせいたしました……帰り道を聞きたいと、仰いましたか?」
「お、おお! そうだ、どうも外様から来た身では山を降りられん。麓への道を教えてもらいたいのだが」
「左様でございますか……されど、間もなく日暮れでございます……今日は当家に逗留されて、明日帰られては如何ですか?」
そう言って、ついと指した先は。
「……なんだって。もう、そんな時間なのか?」
夕暮れですらなかったはずの外界は、とっぷりと陽が落ちて。辺り一面一寸先は闇とばかりに、ただ木々のざわめきだけが恐ろしく響いていた。
迷い家からは必ず何か一つを持ち出さなくてはならない。
ここまで言えばあとはわかるな
ここまで言えばあとはわかるな
「……本当に、夕餉も水も要らないのですか」
「ああ、お気遣いはありがたいが、なにぶん口に合わん水を飲むと下すんでな」
闇はなんとも静かなもので、まったくと言っていいほど落ち着かん。そんな俺とは正反対に落ち着き払った女が蝋燭に灯を付けているのだが、これがまた色気のある仕草ときた。火をつけるため手を伸ばした時に見える白く細い腕が、どうも目を引き寄せる。
……だからこそ、ここでご相伴にあずかる訳にはいかないのだが。
「……あのう、聞こえていらっしゃらないので?」
「あ、ああ? すまん、呆けていた」
そこで、くすっと笑うのだから困る。片手を丸めて口元に添えて、困ったように笑うのだから。
「奥の部屋に、布団を敷いてございます……飲まず食わずというのなら、せめて体をお休め下さいませ……」
白の髪を揺らし、自然と俺の隣に腰を下ろす。そっともたれかかる体は軽いものだが、なにせ、腕をつつむ柔らかな2つの豊かな感触が重い。
「あ、ありがたい。早速寝させてもらうから、ではこれで」
立ち上がればスルリと抜けるモチモチとした感触。安堵のような、残念なような気持ちを抱いたまま奥の部屋へと急ぐ。
襖を閉めるその時。振り返った先の彼女の顔は、持ち上げた浴衣の裾に隠れて見ることが出来なかった。
「ああ、お気遣いはありがたいが、なにぶん口に合わん水を飲むと下すんでな」
闇はなんとも静かなもので、まったくと言っていいほど落ち着かん。そんな俺とは正反対に落ち着き払った女が蝋燭に灯を付けているのだが、これがまた色気のある仕草ときた。火をつけるため手を伸ばした時に見える白く細い腕が、どうも目を引き寄せる。
……だからこそ、ここでご相伴にあずかる訳にはいかないのだが。
「……あのう、聞こえていらっしゃらないので?」
「あ、ああ? すまん、呆けていた」
そこで、くすっと笑うのだから困る。片手を丸めて口元に添えて、困ったように笑うのだから。
「奥の部屋に、布団を敷いてございます……飲まず食わずというのなら、せめて体をお休め下さいませ……」
白の髪を揺らし、自然と俺の隣に腰を下ろす。そっともたれかかる体は軽いものだが、なにせ、腕をつつむ柔らかな2つの豊かな感触が重い。
「あ、ありがたい。早速寝させてもらうから、ではこれで」
立ち上がればスルリと抜けるモチモチとした感触。安堵のような、残念なような気持ちを抱いたまま奥の部屋へと急ぐ。
襖を閉めるその時。振り返った先の彼女の顔は、持ち上げた浴衣の裾に隠れて見ることが出来なかった。
「ふうん、でも祖父ちゃんの祖父ちゃん助かったんでしょ? なら別にいいじゃん」
「ったく……ここからが面白いっちゅうのに。まだお前には早かったか」
もうアイスも無い。放り投げた木の棒には蟻がたかって、猛暑の中を運ぼうと頑張っている。その姿を見るのも楽しい事は楽しいけれど、正直もう飽きた。
「そんなことより祖父ちゃん、五目並べしよーぜ! 俺が勝ったらスイカ食べたい!」
「ったく、そんなもん勝たんでも食わせたるわ……ま、それなら碁盤と石持って来い」
「おっしゃー!」
そう言ってはしゃいで、スイカを食べる頃には忘れた話。
なんてことは無い、夏の日の他愛もない雑談の中の一つにすぎないそれが、妙に俺の頭の中にこびりついて離れない。
「……あぶく銭、か」
金は天下の回りもの。可愛い子には旅させよ。更に言ってしまえばいくらでも自由がきく時間は、いまこの時しかない。
「行ってみるかな」
話自体は眉唾でも、どこか惹かれるものがあったのは事実。
必要なものを揃えてバッグの中へ。所詮は男の一人旅、最悪現地で調達すればいいだけの話だろ。
「うっし……目指すは岩手! 目標は、迷い家!」
そうと決まれば善は急げという奴で。次の日の朝、俺は車中の人となっていた。
流れる景色に身を委ね、去りゆく故郷に心を預ける…なんとも風流な感覚を心に宿しながら。
「……岩手って、どこだっけな……」
日本地図を頭の中に思い浮かべてみる。
そこにあるのは長野周辺と、北海道と、四国(4つの区別はつかない)、九州(なんかたくさん県がある)。あとはもう、県境も配置も全然分からないなんちゃって日本地図。
……まずは地図から買わないとダメっぽいな。
「ったく……ここからが面白いっちゅうのに。まだお前には早かったか」
もうアイスも無い。放り投げた木の棒には蟻がたかって、猛暑の中を運ぼうと頑張っている。その姿を見るのも楽しい事は楽しいけれど、正直もう飽きた。
「そんなことより祖父ちゃん、五目並べしよーぜ! 俺が勝ったらスイカ食べたい!」
「ったく、そんなもん勝たんでも食わせたるわ……ま、それなら碁盤と石持って来い」
「おっしゃー!」
そう言ってはしゃいで、スイカを食べる頃には忘れた話。
なんてことは無い、夏の日の他愛もない雑談の中の一つにすぎないそれが、妙に俺の頭の中にこびりついて離れない。
「……あぶく銭、か」
金は天下の回りもの。可愛い子には旅させよ。更に言ってしまえばいくらでも自由がきく時間は、いまこの時しかない。
「行ってみるかな」
話自体は眉唾でも、どこか惹かれるものがあったのは事実。
必要なものを揃えてバッグの中へ。所詮は男の一人旅、最悪現地で調達すればいいだけの話だろ。
「うっし……目指すは岩手! 目標は、迷い家!」
そうと決まれば善は急げという奴で。次の日の朝、俺は車中の人となっていた。
流れる景色に身を委ね、去りゆく故郷に心を預ける…なんとも風流な感覚を心に宿しながら。
「……岩手って、どこだっけな……」
日本地図を頭の中に思い浮かべてみる。
そこにあるのは長野周辺と、北海道と、四国(4つの区別はつかない)、九州(なんかたくさん県がある)。あとはもう、県境も配置も全然分からないなんちゃって日本地図。
……まずは地図から買わないとダメっぽいな。
「迷った」
切っ掛けはハイキングコースから。
祖父ちゃんの話では山が出てきたから、ここは山に登ってみるのが良い。そう思って手軽にハイキングできる場所を聞き、ちょいと登ってみました。
そこまでは良い……問題は、道順が間違っていたことだ。下山コースの標識従って進めば進むほど、藪と獣道が深くなっていく。そこで引き返しておけばまだ良かったものを、ズンドコ行ってしまった結果がコレだ。
「いや、これはヤバいだろ…どっち行けば麓なんだ?」
単純に下への斜面を下って行けばいいかと思いきやそんなことも無く。降りては上がり、昇っては下がりの繰り返しと来たもので。奇しくも祖父ちゃんの祖父ちゃんと同じ状況になってしまったのかもしれなかった。
辛うじて分かる物と言えば、太陽から方角を割り出すくらいか。問題は自分の現在地が分からないことなんだけどな。
「頼むぜマジで…誰でもいいから、助けてくれよ…お?」
弱音の吐いた先にある木々、その更に先。木々の合間に光る何かの色。
それは自然の色というにはあまりにも鮮やかで、輝いていた。
「せっ、せめて人の通る道なら…! いや、最悪川でもいい! とにかく…」
頬を切る枝。腹を撫でる蜘蛛の糸。足に絡む蔦を引きちぎり進み進んで数十分。
ひっかき傷をいくらでも作りつつ辿り着いた先にあったものは。
「……なんだよ、この屋敷」
絢爛豪華とは言わないまでも、重厚な構えの門。大きく開いたその内側には綺麗な造りのお屋敷が、デンと雄々しく建っている。
それはそう、まるで祖父ちゃんが話していた、祖父ちゃんの祖父ちゃんが迷い込んだその家のようで――。
「……ようこそ、おいでくださいました」
何時の間に現れたのか、軒先には一人の少女が佇んでいる。
「帰ってきてくださったのですね……お待ちして、おりました……」
駆け寄ってくる、薄手の浴衣を着た少女。
「あの日、行ってしまわれた事を、私は悔やんでおりました……」
白く、ボサボサの髪。眠たげな瞳には涙を浮かばせて。
「もう行かないで……私と共に、ここに居てください……」
俺を見上げて、囁いた。
「須賀様……須賀――」
昔話のついでに聞いたであろう、その名前。陶酔した表情で呟いたその名前は、俺には聞き取ることが出来なかった。
切っ掛けはハイキングコースから。
祖父ちゃんの話では山が出てきたから、ここは山に登ってみるのが良い。そう思って手軽にハイキングできる場所を聞き、ちょいと登ってみました。
そこまでは良い……問題は、道順が間違っていたことだ。下山コースの標識従って進めば進むほど、藪と獣道が深くなっていく。そこで引き返しておけばまだ良かったものを、ズンドコ行ってしまった結果がコレだ。
「いや、これはヤバいだろ…どっち行けば麓なんだ?」
単純に下への斜面を下って行けばいいかと思いきやそんなことも無く。降りては上がり、昇っては下がりの繰り返しと来たもので。奇しくも祖父ちゃんの祖父ちゃんと同じ状況になってしまったのかもしれなかった。
辛うじて分かる物と言えば、太陽から方角を割り出すくらいか。問題は自分の現在地が分からないことなんだけどな。
「頼むぜマジで…誰でもいいから、助けてくれよ…お?」
弱音の吐いた先にある木々、その更に先。木々の合間に光る何かの色。
それは自然の色というにはあまりにも鮮やかで、輝いていた。
「せっ、せめて人の通る道なら…! いや、最悪川でもいい! とにかく…」
頬を切る枝。腹を撫でる蜘蛛の糸。足に絡む蔦を引きちぎり進み進んで数十分。
ひっかき傷をいくらでも作りつつ辿り着いた先にあったものは。
「……なんだよ、この屋敷」
絢爛豪華とは言わないまでも、重厚な構えの門。大きく開いたその内側には綺麗な造りのお屋敷が、デンと雄々しく建っている。
それはそう、まるで祖父ちゃんが話していた、祖父ちゃんの祖父ちゃんが迷い込んだその家のようで――。
「……ようこそ、おいでくださいました」
何時の間に現れたのか、軒先には一人の少女が佇んでいる。
「帰ってきてくださったのですね……お待ちして、おりました……」
駆け寄ってくる、薄手の浴衣を着た少女。
「あの日、行ってしまわれた事を、私は悔やんでおりました……」
白く、ボサボサの髪。眠たげな瞳には涙を浮かばせて。
「もう行かないで……私と共に、ここに居てください……」
俺を見上げて、囁いた。
「須賀様……須賀――」
昔話のついでに聞いたであろう、その名前。陶酔した表情で呟いたその名前は、俺には聞き取ることが出来なかった。
「須賀様、随分とお召し物を変えられたのですね……」
しげしげと俺の服を眺める少女はなんとも無邪気に近寄ってくる。俺の右腕に、おもちを当てるようにするものだから、とにかく落ち着きやしない。せめて厚い着物なら……と思いつつ、薄くて良かったと思ってしまうのは男として仕方のないことだろう。
「かつてはこのようなお着物ではありませんでしたが……」
「え、ええまあ。だいぶ時間も経ってますし」
「……そうですね、如何ほどの時が過ぎたのか……お待ちする日々は、辛く厳しいものでしたが……再びこうしてお会いすることが出来て、私は幸せです……」
そっと、囲炉裏の前に座る俺に寄り添う白い少女。頬を染めて幸せそうに目をつむる彼女に、俺は多分貴方の待っていた人とは違うますよ、なんて言えるだろうか。
仮に言えたとして、だ。
「そろそろ夕餉に致しましょうか。すぐに用意しますので、少々お待ちくださいね……」
物静かに、けれど花咲く笑顔を浮かべるあの少女が、祖父ちゃんの祖父ちゃんをずっと待っていたんだとしたら。
それって明らかに人間じゃないだろ?
そんなの相手に、俺は貴方の待ってた人じゃないです、なんて言って無事でいられるだろうか。
しげしげと俺の服を眺める少女はなんとも無邪気に近寄ってくる。俺の右腕に、おもちを当てるようにするものだから、とにかく落ち着きやしない。せめて厚い着物なら……と思いつつ、薄くて良かったと思ってしまうのは男として仕方のないことだろう。
「かつてはこのようなお着物ではありませんでしたが……」
「え、ええまあ。だいぶ時間も経ってますし」
「……そうですね、如何ほどの時が過ぎたのか……お待ちする日々は、辛く厳しいものでしたが……再びこうしてお会いすることが出来て、私は幸せです……」
そっと、囲炉裏の前に座る俺に寄り添う白い少女。頬を染めて幸せそうに目をつむる彼女に、俺は多分貴方の待っていた人とは違うますよ、なんて言えるだろうか。
仮に言えたとして、だ。
「そろそろ夕餉に致しましょうか。すぐに用意しますので、少々お待ちくださいね……」
物静かに、けれど花咲く笑顔を浮かべるあの少女が、祖父ちゃんの祖父ちゃんをずっと待っていたんだとしたら。
それって明らかに人間じゃないだろ?
そんなの相手に、俺は貴方の待ってた人じゃないです、なんて言って無事でいられるだろうか。
「お待たせしました……うっかり須賀様のお好きなものを伺わなかったものですから、今日は私が拵えてみたのですが……」
音を鳴らして運ばれる調度品はまさしく一級品。漆の食器は輝くほどの黒塗りで、どれもこれも蓋を開けるのが勿体ないほどの完成度を持っている。
「……」
「須賀様……? どうなされました?」
「あ、いや。なんか開けたら勿体ないような気がして」
「ふふ、有難う御座います……そういう事でしたら、まずは先にお休みになられるのは如何でしょう?」
そっと。
俺の手に重なって添えられた手は、随分と小さく見える。それなのに、誘うように引かれる力にはどこか逆らいがたいものがあるんだから、不思議なものだ。
「ふふ……どうぞ、お召し物はお預かり致します」
「え」
「お邪魔でしょう……? 以前も、そうだったではありませんか」
「……それ、は」
そんなことは、知らない。
祖父ちゃんから聞いた話は途中までだったし…もしかしたら、あの時言っていた『ここからが面白い』ってのは『そういう話』だったのかもしれないけれど。小学生のガキに言うか?
押すこともできず、かといって引くこともできず。ただ突っ立っている俺に業を煮やした…と言うより、俺を気にすることなく少女は俺から離れて布団の上へと歩んでいく。
その顔がヤケに赤く染まって見えることに、なぜか、不安が心に滲み始めていた。
「え…」
「相も変わらず、須賀様は女に恥を……けれど、よろしゅう御座います……須賀様が、望むのであれば」
ほんの一つの音が、行燈の薄明りの中に奇妙に大きく響いた。衣擦れというにはあまりに脆く、あっけなかった。
「どうぞ……私めを」
蝋燭の色の中でさえ映える、白い肌。傷一つない柔らかな曲線はほっそりとした足から臀部に掛けて、丸みを帯びている。陰部は陰になってよく見えないけれど、整えられた毛がほんのりと闇に浮かぶのが酷くいやらしい。
たわわな胸は自重のためか、ふっくら下膨れになっている。乳輪は桜色に染まって、恥ずかしそうに小さく添えられていた。
「ご賞味くださいませ……」
そして、真っ赤に染まった顔。白い髪と対をなすようなその色と、俺に向けられた眼差しは。
底の無い沼のように、鈍い色に輝いていた。
音を鳴らして運ばれる調度品はまさしく一級品。漆の食器は輝くほどの黒塗りで、どれもこれも蓋を開けるのが勿体ないほどの完成度を持っている。
「……」
「須賀様……? どうなされました?」
「あ、いや。なんか開けたら勿体ないような気がして」
「ふふ、有難う御座います……そういう事でしたら、まずは先にお休みになられるのは如何でしょう?」
そっと。
俺の手に重なって添えられた手は、随分と小さく見える。それなのに、誘うように引かれる力にはどこか逆らいがたいものがあるんだから、不思議なものだ。
「ふふ……どうぞ、お召し物はお預かり致します」
「え」
「お邪魔でしょう……? 以前も、そうだったではありませんか」
「……それ、は」
そんなことは、知らない。
祖父ちゃんから聞いた話は途中までだったし…もしかしたら、あの時言っていた『ここからが面白い』ってのは『そういう話』だったのかもしれないけれど。小学生のガキに言うか?
押すこともできず、かといって引くこともできず。ただ突っ立っている俺に業を煮やした…と言うより、俺を気にすることなく少女は俺から離れて布団の上へと歩んでいく。
その顔がヤケに赤く染まって見えることに、なぜか、不安が心に滲み始めていた。
「え…」
「相も変わらず、須賀様は女に恥を……けれど、よろしゅう御座います……須賀様が、望むのであれば」
ほんの一つの音が、行燈の薄明りの中に奇妙に大きく響いた。衣擦れというにはあまりに脆く、あっけなかった。
「どうぞ……私めを」
蝋燭の色の中でさえ映える、白い肌。傷一つない柔らかな曲線はほっそりとした足から臀部に掛けて、丸みを帯びている。陰部は陰になってよく見えないけれど、整えられた毛がほんのりと闇に浮かぶのが酷くいやらしい。
たわわな胸は自重のためか、ふっくら下膨れになっている。乳輪は桜色に染まって、恥ずかしそうに小さく添えられていた。
「ご賞味くださいませ……」
そして、真っ赤に染まった顔。白い髪と対をなすようなその色と、俺に向けられた眼差しは。
底の無い沼のように、鈍い色に輝いていた。
据え膳食わぬは男の恥とは言っても、ここまで奇妙なものに手を出すなんてあり得ない。
たとえ相手が息をのむほどの美少女で、それが裸で誘ってくれてるのだとしても。これはきっと、マズイ。
「……須賀様。お願い申し上げます、私めに、これ以上の辱めはどうか……」
目の前からは喘ぐような息遣い…違う、喘いでるんだ。
行燈の灯りの中でもよく分かるほど、真っ白な肌が赤色に染まって。玉のような汗が絹肌に張り付いている。
恥じらうように開かれた足の間に映る繁み。その根元の濡れそぼった壺が、今か今かと僅かに口を開いて待っている。
「ああ……どうか、どうか。須賀様にしか見えぬとも、辛いので御座います……」
「他の者はおりませぬ……外は夕闇、さあ須賀様、お越しくださいませ……」
そう。
外はもう、真っ暗闇だ。俺が来てからどれくらい経った?
……30分は経ったかもしれないけれど、その程度のはずなのに。
「御慈悲を、賜りたく存じます……」
布団の上で乱れるように体を揺らす少女を見ると、そんなことさえどうでもよくなってしまう。
邪魔くさいベルトを投げ捨てて、鬱陶しいジーンズを脱ぎ捨てて。息を荒げて切なそうに手を伸ばす彼女を抱かないといけないんだと、その思いだけが俺の心の中で渦を巻く。
白磁に触れるように、そっと手を伸ばしてみる。まだ触れず、けれど熱を指先に感じるほど近づけてみれば、彼女がまた不満げな声を漏らす。
それが面白くてしばらく続けていると、痺れを切らした声が部屋に木霊した。
「あぁ……須賀さまぁ、どうか、子種を下さいまし……二度と、別離などしたくありません……」
苦しくなるほど息が荒くなっていくのを感じる。
本当に触れていいものか戸惑う心と、溺れようとする心。
その均衡が崩れて、柔らかそうな胸に手を伸ばそうとした、その時だった。
「――何してるの」
ドキリとするほど冷めきった、彼女の声。
「どうしてこんなとこに居るのか知らないけど」
思わず振り返ったその先には。
「……あんまり、だるいことさせないで」
目の前で悶えていた彼女と、寸分違わない顔形。
この夏、テレビ越しに何度も見た相手校の代表選手。宮守女子の小瀬川白望が、気怠そうに俺を見つめていた。
たとえ相手が息をのむほどの美少女で、それが裸で誘ってくれてるのだとしても。これはきっと、マズイ。
「……須賀様。お願い申し上げます、私めに、これ以上の辱めはどうか……」
目の前からは喘ぐような息遣い…違う、喘いでるんだ。
行燈の灯りの中でもよく分かるほど、真っ白な肌が赤色に染まって。玉のような汗が絹肌に張り付いている。
恥じらうように開かれた足の間に映る繁み。その根元の濡れそぼった壺が、今か今かと僅かに口を開いて待っている。
「ああ……どうか、どうか。須賀様にしか見えぬとも、辛いので御座います……」
「他の者はおりませぬ……外は夕闇、さあ須賀様、お越しくださいませ……」
そう。
外はもう、真っ暗闇だ。俺が来てからどれくらい経った?
……30分は経ったかもしれないけれど、その程度のはずなのに。
「御慈悲を、賜りたく存じます……」
布団の上で乱れるように体を揺らす少女を見ると、そんなことさえどうでもよくなってしまう。
邪魔くさいベルトを投げ捨てて、鬱陶しいジーンズを脱ぎ捨てて。息を荒げて切なそうに手を伸ばす彼女を抱かないといけないんだと、その思いだけが俺の心の中で渦を巻く。
白磁に触れるように、そっと手を伸ばしてみる。まだ触れず、けれど熱を指先に感じるほど近づけてみれば、彼女がまた不満げな声を漏らす。
それが面白くてしばらく続けていると、痺れを切らした声が部屋に木霊した。
「あぁ……須賀さまぁ、どうか、子種を下さいまし……二度と、別離などしたくありません……」
苦しくなるほど息が荒くなっていくのを感じる。
本当に触れていいものか戸惑う心と、溺れようとする心。
その均衡が崩れて、柔らかそうな胸に手を伸ばそうとした、その時だった。
「――何してるの」
ドキリとするほど冷めきった、彼女の声。
「どうしてこんなとこに居るのか知らないけど」
思わず振り返ったその先には。
「……あんまり、だるいことさせないで」
目の前で悶えていた彼女と、寸分違わない顔形。
この夏、テレビ越しに何度も見た相手校の代表選手。宮守女子の小瀬川白望が、気怠そうに俺を見つめていた。
「マヨヒガは欲が無くて、少し頭が鈍い人を誘う家……だからって全員が辿り着くわけじゃないけど」
山を下りがてら、先導する小瀬川さんはいくらか俺に話してくれた。あの家がマヨヒガなる場所であること。来た者は何でもいいので一つ持ち帰ること。
「えと、俺を誘ってきた人なんですけど」
「……君がマヨヒガに辿り着いてから、きっと『家』は君が一番欲しいものを感じ取ったんだと思う……」
「それって…えと」
嫌な予感しかしないわけだが。俺の欲を感じ取って美少女が出てきて、それが誘ってきたってことは、だ。
「男の子だし……そういうことも、あるんじゃないかな。家事をしていた女性の元には、米の計りが流れて行ったって話もある……」
「うぐっ!」
「私に似てたのは、多分……お祖父さんの話に出た白い髪の女っていうので、私が印象に残ってたのかな……インターハイで見てたみたいだから……」
なんというか、随分ケロっと言うな…次分と同じ顔の女の子が素っ裸で、俺と行為に及ぼうとしてたのを見たってのに。
「じゃあ、ものの30分で外が暗くなったのは?」
「それは……お祖父さんの話をなぞったから、かな……話と同じような状況だったから、須賀君が無意識に思い浮かべたのを読み取ってなぞったんだと思う……だから、須賀君の知らない部分は全部端折って夜になった……」
「そう言えば、祖父ちゃんの祖父ちゃんは名前聞こえなかったし…あれって俺が知らなかったからなのか」
道は変わらず獣道。小瀬川さんはジーンズに長袖という出で立ちがあんまり似合ってないけれど、こういう道を歩くには大事な格好だ。ご丁寧に軍手まで装備してる辺り、準備の良さが伺える。
「…そういえば、なんで俺を助けに来てくれたんですか?」
「助けに来なかったほうが良かった……?」
「いやいや、そんなこと全然ないしホントにありがたかったですけど…こんな山奥、偶然助けに入ったって訳じゃないですよね?」
「……行けって言われてたから。だるいけど……」
「言われてたって、誰にです?」
そう聞くと、今の今まで真っ直ぐこっちを見ていなかった小瀬川さんが、顔を向けた。
「……お祖母ちゃん。そのお祖母ちゃんが、今日この日に迷う子が居るから、迎えに行くようにって……なんか、一晩過ごした相手の子孫だって……だる」
「それって」
「君のお祖父さんのお祖父さんが会ったのは……君みたいな幻じゃなかったってことかな……」
それっきり、小瀬川さんは前を向いてしまった。
祖父ちゃん。面白い話って、マジで『そういう話』だったんじゃねーだろーな。
山を下りがてら、先導する小瀬川さんはいくらか俺に話してくれた。あの家がマヨヒガなる場所であること。来た者は何でもいいので一つ持ち帰ること。
「えと、俺を誘ってきた人なんですけど」
「……君がマヨヒガに辿り着いてから、きっと『家』は君が一番欲しいものを感じ取ったんだと思う……」
「それって…えと」
嫌な予感しかしないわけだが。俺の欲を感じ取って美少女が出てきて、それが誘ってきたってことは、だ。
「男の子だし……そういうことも、あるんじゃないかな。家事をしていた女性の元には、米の計りが流れて行ったって話もある……」
「うぐっ!」
「私に似てたのは、多分……お祖父さんの話に出た白い髪の女っていうので、私が印象に残ってたのかな……インターハイで見てたみたいだから……」
なんというか、随分ケロっと言うな…次分と同じ顔の女の子が素っ裸で、俺と行為に及ぼうとしてたのを見たってのに。
「じゃあ、ものの30分で外が暗くなったのは?」
「それは……お祖父さんの話をなぞったから、かな……話と同じような状況だったから、須賀君が無意識に思い浮かべたのを読み取ってなぞったんだと思う……だから、須賀君の知らない部分は全部端折って夜になった……」
「そう言えば、祖父ちゃんの祖父ちゃんは名前聞こえなかったし…あれって俺が知らなかったからなのか」
道は変わらず獣道。小瀬川さんはジーンズに長袖という出で立ちがあんまり似合ってないけれど、こういう道を歩くには大事な格好だ。ご丁寧に軍手まで装備してる辺り、準備の良さが伺える。
「…そういえば、なんで俺を助けに来てくれたんですか?」
「助けに来なかったほうが良かった……?」
「いやいや、そんなこと全然ないしホントにありがたかったですけど…こんな山奥、偶然助けに入ったって訳じゃないですよね?」
「……行けって言われてたから。だるいけど……」
「言われてたって、誰にです?」
そう聞くと、今の今まで真っ直ぐこっちを見ていなかった小瀬川さんが、顔を向けた。
「……お祖母ちゃん。そのお祖母ちゃんが、今日この日に迷う子が居るから、迎えに行くようにって……なんか、一晩過ごした相手の子孫だって……だる」
「それって」
「君のお祖父さんのお祖父さんが会ったのは……君みたいな幻じゃなかったってことかな……」
それっきり、小瀬川さんは前を向いてしまった。
祖父ちゃん。面白い話って、マジで『そういう話』だったんじゃねーだろーな。
「着いた……あっち行けば民宿があるから……後は好きにして」
「ありがとうございました!」
緑の山を抜けてついぞ辿り着いたのは、嬉しいことにコンクリートの道。とっぷり日が暮れているのに点在する街灯がヤケに明るくて、暗闇の恐怖を随分とやわらげてくれる。
降りてきた山を振り返れば…当たり前だけど、暗闇の中で見えるものは無い。仮にあの家があったとしても、灯篭や篝火の無い家を見つける事なんかできないだろうけど。
小瀬川さんは仕事は終わった、と言わんばかりにさっさと歩き去っていく。俺はそれを見送って…?
「一つ、聞いてもいい?」
くるりとターン。戻ってきた小瀬川さんはダルそうな表情を変えることなく、俺に声を掛けてきた。
「あの家から何か持ってきた…?」
「あ、はい。これなんですけど」
懐から取り出したるは、一つのかんざし。金の串に玉をあしらった、まさに絢爛豪華ながらもケバくはない。そんな品だ。
…正直、俺自身何でこんなものを持ってきたやら分からない。だから小瀬川さんの疑問符を浮かべた顔への回答は、俺は一つも持ち合わせていないわけで。
「ちなみに、かんざしだとどういう恩恵があると思います?」
「さあ……米の計りなら米は減らないらしいけど……いいお嫁さんでも貰えるんじゃない?」
「あー、それならいいっすね」
「そうだね……それじゃ、私はこれで……」
将来的にはいいけれど。
小瀬川さんはどこか満足げに頷くと、再び踵を返して歩き去っていく。今度は振り返ることもなく、闇の中へと消えて行った。
「小瀬川さん、か」
イマイチ掴みどころのない人だったけど、それでも気になってしまうのは。やっぱり幻とはいえ、同じ顔の女の子の裸体をバッチリ見たからだろう。
それにしても…小瀬川さんが現れてからは露と消えてしまった裸体の子。もしも、万一あのまま小瀬川さんが現れず、無事にあの子を連れて帰ることが出来たとしたら…
「…ま、考えるだけ無駄か」
それよりも大事なのは、今夜民宿で上手い事寝れるかどうかと、長野までの帰り道を確かめる事だろう。
闇夜でも輝くかんざしを見つめながら、車も通らない道を歩き始めるのだった。
「ありがとうございました!」
緑の山を抜けてついぞ辿り着いたのは、嬉しいことにコンクリートの道。とっぷり日が暮れているのに点在する街灯がヤケに明るくて、暗闇の恐怖を随分とやわらげてくれる。
降りてきた山を振り返れば…当たり前だけど、暗闇の中で見えるものは無い。仮にあの家があったとしても、灯篭や篝火の無い家を見つける事なんかできないだろうけど。
小瀬川さんは仕事は終わった、と言わんばかりにさっさと歩き去っていく。俺はそれを見送って…?
「一つ、聞いてもいい?」
くるりとターン。戻ってきた小瀬川さんはダルそうな表情を変えることなく、俺に声を掛けてきた。
「あの家から何か持ってきた…?」
「あ、はい。これなんですけど」
懐から取り出したるは、一つのかんざし。金の串に玉をあしらった、まさに絢爛豪華ながらもケバくはない。そんな品だ。
…正直、俺自身何でこんなものを持ってきたやら分からない。だから小瀬川さんの疑問符を浮かべた顔への回答は、俺は一つも持ち合わせていないわけで。
「ちなみに、かんざしだとどういう恩恵があると思います?」
「さあ……米の計りなら米は減らないらしいけど……いいお嫁さんでも貰えるんじゃない?」
「あー、それならいいっすね」
「そうだね……それじゃ、私はこれで……」
将来的にはいいけれど。
小瀬川さんはどこか満足げに頷くと、再び踵を返して歩き去っていく。今度は振り返ることもなく、闇の中へと消えて行った。
「小瀬川さん、か」
イマイチ掴みどころのない人だったけど、それでも気になってしまうのは。やっぱり幻とはいえ、同じ顔の女の子の裸体をバッチリ見たからだろう。
それにしても…小瀬川さんが現れてからは露と消えてしまった裸体の子。もしも、万一あのまま小瀬川さんが現れず、無事にあの子を連れて帰ることが出来たとしたら…
「…ま、考えるだけ無駄か」
それよりも大事なのは、今夜民宿で上手い事寝れるかどうかと、長野までの帰り道を確かめる事だろう。
闇夜でも輝くかんざしを見つめながら、車も通らない道を歩き始めるのだった。
最後の露骨なやっつけ感。自己満足でした。いやあ満足。
今日はこれでおしまいでー。ありがとうございましたー。
今日はこれでおしまいでー。ありがとうございましたー。
乙
相変わらずの器用さ
そして部員共の京太郎やシロを慣れてるとなんか違和感がある不思議
相変わらずの器用さ
そして部員共の京太郎やシロを慣れてるとなんか違和感がある不思議
乙
ご先祖様ヤらずに帰ってきてたと思ってたから意外
というかどうして今日来ると分かったんだ小瀬川家のおばあさん
なんだか深読みしたくなってしまうなこれは
ご先祖様ヤらずに帰ってきてたと思ってたから意外
というかどうして今日来ると分かったんだ小瀬川家のおばあさん
なんだか深読みしたくなってしまうなこれは
乙
なんかすごく読後感いい
かんざしは誰にあげるんですかねぇ…(すっとぼけ)
なんかすごく読後感いい
かんざしは誰にあげるんですかねぇ…(すっとぼけ)
小瀬川家のご先祖はもののけの類いなのか、だとしたら白望ももののけなのか
もしそうだったら実は助けに来たのではなく白望の婿にするために仕組んでたのではないか
そもそも白望と件のご先祖さまは本当に別人なのか、実は同一人物で須賀家の人間と今度こそ結ばれるためにこんな芝居を打ったのではないか
……とか色々妄想しがいがあってステキだと思う
もしそうだったら実は助けに来たのではなく白望の婿にするために仕組んでたのではないか
そもそも白望と件のご先祖さまは本当に別人なのか、実は同一人物で須賀家の人間と今度こそ結ばれるためにこんな芝居を打ったのではないか
……とか色々妄想しがいがあってステキだと思う
京太郎パパが小瀬川祖母に京太郎が岩手に行くと連絡して(一夜妻云々だから親戚的な感じで連絡先交換してると推察して)、小瀬川祖母が多分目的は迷い家だとか推理したんじゃね?
また京豚によるヘイトスレの誕生ですか 突然ですがここで一句
京豚は 言っても分からぬ 馬鹿ばかり 痴呆を抱え お先真っ暗
ふんふむ 心の俳句
京豚は 言っても分からぬ 馬鹿ばかり 痴呆を抱え お先真っ暗
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