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元スレ勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」
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きてたああああああ乙!
色々と過去が明らかになってきたなー楽しみすぎる
色々と過去が明らかになってきたなー楽しみすぎる
待っててよかったあああああああああああああああああああああああああああ
待ちかねたぞっ!
そして凄い分量と相変わらずのクオリティ!
感動した!
また期待してますっ!
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感動した!
また期待してますっ!
待っててよかったと心の底から思う
乙ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
乙ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
イシス勇者さん…カワイイ。
主体調は大丈夫なのか??無理するなよ!
主体調は大丈夫なのか??無理するなよ!
イシス勇者アッー!な暴漢に襲われたのかと思ったら
女子でしたか……
イシス勇者たんは俺の嫁
女子でしたか……
イシス勇者たんは俺の嫁
いつの間にか更新来てたー!
勇者が格好よくて可愛くて大好きです!!
勇者が格好よくて可愛くて大好きです!!
「おい、そこのお前。お前はこの国を憂うか」
憂国の情に身を抉られていた男に、背の高い屈強な男は言った。
「無論、憂う」
問われた男は、その華奢な体をテーブルに屈ませ、諦めたようにそう言った。
そしてそれ以上話を続けるつもりは無い、と言う様に酒を呷る。
「見たところ、荒れている様だが」
そのような態度にも気をくれずに屈強な男は質問を続ける。
華奢な男は顔を上げ、もう一度屈強な男を一瞥した。
巨漢。強健。精悍。威風堂々。
この男を評するのならばそんな言葉が似合う。そんな事を思った。
「そういうあんたは、まるで傭兵みたいだ。なかなかにいい働きをしそうだ。どれ、名前を聞かせてくれないか」
「俺か。俺は何でも、誰でもない。お前が傭兵と見るのなら、そう呼べば良い」
奇妙な男だった。
華奢な男は少なからずこの男を不審に思った。
寂れた酒場で昼間から酒をやる学生風の男に、傭兵などが興味深しと話しかけてくる訳など無い。
「俺に何の用だ傭兵」
華奢な男は傭兵らしき男に投げるように問いかける。
「そう呼ぶか。では俺は学生と呼ぼう」
傭兵は、どかりと学生と呼んだ男の向かいの席に腰を降ろした。
憂国の情に身を抉られていた男に、背の高い屈強な男は言った。
「無論、憂う」
問われた男は、その華奢な体をテーブルに屈ませ、諦めたようにそう言った。
そしてそれ以上話を続けるつもりは無い、と言う様に酒を呷る。
「見たところ、荒れている様だが」
そのような態度にも気をくれずに屈強な男は質問を続ける。
華奢な男は顔を上げ、もう一度屈強な男を一瞥した。
巨漢。強健。精悍。威風堂々。
この男を評するのならばそんな言葉が似合う。そんな事を思った。
「そういうあんたは、まるで傭兵みたいだ。なかなかにいい働きをしそうだ。どれ、名前を聞かせてくれないか」
「俺か。俺は何でも、誰でもない。お前が傭兵と見るのなら、そう呼べば良い」
奇妙な男だった。
華奢な男は少なからずこの男を不審に思った。
寂れた酒場で昼間から酒をやる学生風の男に、傭兵などが興味深しと話しかけてくる訳など無い。
「俺に何の用だ傭兵」
華奢な男は傭兵らしき男に投げるように問いかける。
「そう呼ぶか。では俺は学生と呼ぼう」
傭兵は、どかりと学生と呼んだ男の向かいの席に腰を降ろした。
「それで、俺に何か話でもあるのか」
学生は無作法な傭兵の行動に顔をしかめ、そう問いかけた。
傭兵はしばらく何かを考えるような素振りを見せ、テーブルを人差し指で何度もノックした。
そして、不意に顔を上げ、学生に向かってこう言い放った。
「お前、この国を俺と一緒に獲らないか」
沈黙が二人を包む。傭兵は彼の答えを待ち、学生は傭兵の言葉に絶句していた。
「国獲り?俺と、あんたがか?」
「無論」
学生の問いに短くそう答え、傭兵は続ける。
「実の事を言えば、お前の事は知っている」
「何」
「まぁ、聞け。学生、お前は士官学校での成績は中々に優秀だったそうじゃないか」
傭兵の言葉に多少苛立ちを覚えた学生は、相槌を打つこともなく虚空を睨め付ける。
そんな学生に傭兵は笑顔を作り、小さく息を吐いた。そして開口、
「だが、お前は除籍された。王のやり方を批判したからだ」
言い放つと。学生は乱暴にその場に立ち上がっていた。
「だから、何だ。笑いにでも来たのか。そんな落ちこぼれに、国が獲れるとでも思うかい?お前!」
学生は無作法な傭兵の行動に顔をしかめ、そう問いかけた。
傭兵はしばらく何かを考えるような素振りを見せ、テーブルを人差し指で何度もノックした。
そして、不意に顔を上げ、学生に向かってこう言い放った。
「お前、この国を俺と一緒に獲らないか」
沈黙が二人を包む。傭兵は彼の答えを待ち、学生は傭兵の言葉に絶句していた。
「国獲り?俺と、あんたがか?」
「無論」
学生の問いに短くそう答え、傭兵は続ける。
「実の事を言えば、お前の事は知っている」
「何」
「まぁ、聞け。学生、お前は士官学校での成績は中々に優秀だったそうじゃないか」
傭兵の言葉に多少苛立ちを覚えた学生は、相槌を打つこともなく虚空を睨め付ける。
そんな学生に傭兵は笑顔を作り、小さく息を吐いた。そして開口、
「だが、お前は除籍された。王のやり方を批判したからだ」
言い放つと。学生は乱暴にその場に立ち上がっていた。
「だから、何だ。笑いにでも来たのか。そんな落ちこぼれに、国が獲れるとでも思うかい?お前!」
傭兵はその問いに長い間答えないでいた。
酒場の中は昼間だという事もあり、客は彼等以外に見当たらない。
そんな彼等二人を、店員が少し怯えた様子で見守っているだけだった。
暫くして、傭兵は答えた。
「お前は正しい」
「何」
傭兵の言葉を意外に思った学生は、自分の現状にすぐ気付き、気恥ずかしそうに席に着く。
「お前は正しい事を言った。他の学生達は、多くが貴族の倅だから、能無しだ。現状を壊すまいとして、口を出せずにいる」
傭兵は徐に学生の酒を手にし、ぐい、と全て自身の喉に流した。学生は微動だにせず、次の言葉を待った。
「そりゃ、現状は王族や貴族からしたら、安泰にも思えるものだ。だが、奴等は少し勘違いをしている」
「そうだ。このままの圧政、現法政を敷き続ければ、この国は近く崩壊する」
学生は傭兵の言葉を遮って自分の言葉で続けた。傭兵はそんな学生に頷き、笑いかける。
「やはりお前は先見の明がある。そうだ。現在の中枢の奴等は、近隣の村を見捨て、隣国との友交を蔑ろにし、あまつさえ併呑さえしようとしている」
「そして逆らえば重刑。しかし、それは王一人の意思では無い。そうだろう」
「そこまで理解しているのか。話は早い」
傭兵は満足そうに両頬を口端で持ち上げ、そしてすぐに険阻な表情を浮かべた。
「王の口添役に就いている怪僧。あれが、癌だ」
傭兵の言葉を、学生は生唾を飲みながら聞いていた。
今現在、王の傍には口添役として、ある僧が就任している。
王が悪政に走るようになったのは、その怪僧が就任してからの事である。
王は怪僧の邪教の教えに取り込まれており、正確な判断を下せない状況にあった。
それらが、学生が考えるこの国の悪の根源であり、それらは事実でもあった。
「そう、つまり実権はあの怪僧の手にある、という事だ」
酒場の中は昼間だという事もあり、客は彼等以外に見当たらない。
そんな彼等二人を、店員が少し怯えた様子で見守っているだけだった。
暫くして、傭兵は答えた。
「お前は正しい」
「何」
傭兵の言葉を意外に思った学生は、自分の現状にすぐ気付き、気恥ずかしそうに席に着く。
「お前は正しい事を言った。他の学生達は、多くが貴族の倅だから、能無しだ。現状を壊すまいとして、口を出せずにいる」
傭兵は徐に学生の酒を手にし、ぐい、と全て自身の喉に流した。学生は微動だにせず、次の言葉を待った。
「そりゃ、現状は王族や貴族からしたら、安泰にも思えるものだ。だが、奴等は少し勘違いをしている」
「そうだ。このままの圧政、現法政を敷き続ければ、この国は近く崩壊する」
学生は傭兵の言葉を遮って自分の言葉で続けた。傭兵はそんな学生に頷き、笑いかける。
「やはりお前は先見の明がある。そうだ。現在の中枢の奴等は、近隣の村を見捨て、隣国との友交を蔑ろにし、あまつさえ併呑さえしようとしている」
「そして逆らえば重刑。しかし、それは王一人の意思では無い。そうだろう」
「そこまで理解しているのか。話は早い」
傭兵は満足そうに両頬を口端で持ち上げ、そしてすぐに険阻な表情を浮かべた。
「王の口添役に就いている怪僧。あれが、癌だ」
傭兵の言葉を、学生は生唾を飲みながら聞いていた。
今現在、王の傍には口添役として、ある僧が就任している。
王が悪政に走るようになったのは、その怪僧が就任してからの事である。
王は怪僧の邪教の教えに取り込まれており、正確な判断を下せない状況にあった。
それらが、学生が考えるこの国の悪の根源であり、それらは事実でもあった。
「そう、つまり実権はあの怪僧の手にある、という事だ」
学生は高揚していた。
この話を理解してくれる同士などいなかったし、いたとしても皆、諦めた眼差しでその暴政に身を委ねるばかりであった。
しかし、今は違った。目の前に、その悪腫を取り除こうとせん同士が居た。
「しかし、少しいいか」
「なんだ」
「お前は、傭兵なのか。なぜお前は、この国が欲しい」
胸の高鳴りを抑え、まずは目先の疑問を少しづつ潰していく。
傭兵は少し困った様な顔を浮かべていたが、すぐにその問いに答えた。
「俺は、何者でもない。この国は、別段欲しくない」
「では、何故俺にこの話を持ちかけた」
すかさず、問う。
「王が、あの怪僧が気に喰わない。救いたい人がいる」
「私怨か。勝算はあるか、人手は」
問う。
「勝算は、お前が手を貸すのなら生まれる。人手は、お前と共に集める」
傭兵は真っ直ぐに学生の目を見つめ、言った。
学生は少し呆れもしたものの、多少の安堵と期待を覚えた。
(騙している風では無さそうである。そもそも、この一学生崩れを騙しこんだところで、金もメリットもたかが知れている)
足を組み直し、こめかみの辺りを撫で、少しだけ酒に呑まれた頭を正常に戻そうとする。
そして、傭兵に言い放つ。
「お前の、考えを全て聞かせて貰おう」
その日、この憂国の歴史が音を立て軋み始めた。
この話を理解してくれる同士などいなかったし、いたとしても皆、諦めた眼差しでその暴政に身を委ねるばかりであった。
しかし、今は違った。目の前に、その悪腫を取り除こうとせん同士が居た。
「しかし、少しいいか」
「なんだ」
「お前は、傭兵なのか。なぜお前は、この国が欲しい」
胸の高鳴りを抑え、まずは目先の疑問を少しづつ潰していく。
傭兵は少し困った様な顔を浮かべていたが、すぐにその問いに答えた。
「俺は、何者でもない。この国は、別段欲しくない」
「では、何故俺にこの話を持ちかけた」
すかさず、問う。
「王が、あの怪僧が気に喰わない。救いたい人がいる」
「私怨か。勝算はあるか、人手は」
問う。
「勝算は、お前が手を貸すのなら生まれる。人手は、お前と共に集める」
傭兵は真っ直ぐに学生の目を見つめ、言った。
学生は少し呆れもしたものの、多少の安堵と期待を覚えた。
(騙している風では無さそうである。そもそも、この一学生崩れを騙しこんだところで、金もメリットもたかが知れている)
足を組み直し、こめかみの辺りを撫で、少しだけ酒に呑まれた頭を正常に戻そうとする。
そして、傭兵に言い放つ。
「お前の、考えを全て聞かせて貰おう」
その日、この憂国の歴史が音を立て軋み始めた。
草木も眠る未明に、乙女が月を見ていた。
(きっと、私に、幸せは訪れないのだ)
ある城の離れた城郭の中に、彼女は居た。
彼女は隣国の姫であり、この国の第一王子の婚約者であった。
婚姻の日が来るまでにこの国の文化に慣れるようにと、食客としてこの城に招かれている。
しかし、その風貌は、姫というには余りに質素であり、そして事実彼女は幸せではなかった。
彼女自身、自分の境遇は痛いほどに理解していた。
事実上の、人質。
食客などといった名目を取り払えば、見えてくるのは狸達の黒い腹の探り合いである。
彼女の一番不幸な点は、そのような自分の存在価値に難なく気付いてしまう程には、賢い事にあった。
そして、近ごろ隣国の不況で、需要と供給が成り立たなくなる物資の流通トラブルが起こっていた事も全て把握していた。
もしこのまま隣国が不況を立て直せず、この国に利益をもたらさなくなったとすれば、彼女がどう処分されるか目に見えている。
「誰か、私を助けてください」
彼女のか細い声は、夜の風に乗って、虚空に捩れて消えた。
見下ろす街も、体を預けた窓枠の石煉瓦も、全てが彼女にとって敵に思えた。
婚約者の第一王子の事は、嫌いではなかった。
王も王族の者達も、彼女を丁重に扱ってくれた上に、愛してくれた。
彼女もまた、悪しきと憎むべきは彼らではなく、怪僧であると確信している一人である。
だが、第一王子を、愛することはできなかった。
第一王子は、丁重に扱ってくれはするものの、彼女を守ってはくれない。
我が身が、一番重守すべきものとしている、そのような男に心を寄せる程、彼女は弱くはなかった。
(私が、愛するのは――――……)
下方で音が鳴った。誰かの足音が遠く下の庭木の茂みを掻き分けている。
その足音の正体が姿を現した時、彼女の胸は早鐘を打った。
足音の主は遥か下方で彼女を見上げていた。見知らぬ顔では無かった。
(今日もいらっしゃった、末の王子様)
この国の第十六王位継承者が、そこに居た。
屈強な巨体に、凛とした顔。
数年前、城内を散歩していた際に、稽古と称した暴力を受けていた彼を救ったことがある。
彼は王位継承者とはいうものの、妾の子であり、末の子であるので、実質はあまり権力の無い貴族と変わらない。
そんな彼であるから、他の王位継承者や城内の貴族達にそういった暴力や迫害を受ける事は少なくなかった。
その憂き目にあっている所を、丁度通りすがった彼女が貴族を諫め、彼を救った。
(それだけの事なのに――――……)
それ以来、彼は度々夜中にこうして彼女に会いに来た。
最初は彼女も夜這いかと身構えたりもしたが、その末王子はその茂みの中からこちらを見ているだけであった。
そして毎回、
(あ。今日も)
彼は、足元に花の束を置いて帰っていく。
彼女は、そんな彼にいつしか惹かれていった。
彼女は、今では以前のように城内の散歩も禁じられ、この末王子に直に会えないままでいた。
それだけに、この深夜の、この邂逅が。この時間がとても愛しかった。
今日もまた、いつもと同じように茂みの中へ消え行く彼の背中を、見えなくなるまで見守ろうとしていた。
だが、今日は違った。
(あ)
隣国の姫は、小さく息を呑んだ。
末王子は、そのまま消える事無く、踵を翻し隣国の姫に向き直って剣を抜き、空に翳した。
その切先が月の光を集めて、力強い輝きを纏っている。
彼は何かに祈るように、目を瞑った。
そして彼は彼女に誓うように、顔を上げた。
その目は、とても力強く、とても愛しく。
彼女は、涙を流した。全てが、報われるような気がした。
彼が剣を鞘に収め、その場を立ち去っても、彼女は一人、暫く泣いていた。
その翌日、隣国との友交が決裂したという報せが、この憂国を纏った。
それだけに、この深夜の、この邂逅が。この時間がとても愛しかった。
今日もまた、いつもと同じように茂みの中へ消え行く彼の背中を、見えなくなるまで見守ろうとしていた。
だが、今日は違った。
(あ)
隣国の姫は、小さく息を呑んだ。
末王子は、そのまま消える事無く、踵を翻し隣国の姫に向き直って剣を抜き、空に翳した。
その切先が月の光を集めて、力強い輝きを纏っている。
彼は何かに祈るように、目を瞑った。
そして彼は彼女に誓うように、顔を上げた。
その目は、とても力強く、とても愛しく。
彼女は、涙を流した。全てが、報われるような気がした。
彼が剣を鞘に収め、その場を立ち去っても、彼女は一人、暫く泣いていた。
その翌日、隣国との友交が決裂したという報せが、この憂国を纏った。
死刑執行の場、というには、この場所は余りにも相応しくなかった。
城内のエントランス、この大きな空間で、今死刑が執行されようとしていた。
「皆さん、静粛に」
平手を打ち合わせ、小柄な禿頭の男が辺りに意を注ぐ。
この憂国の悪腫、怪僧であった。
「只今より、悪しき隣国への見せしめとして、逆賊の王家の一人である姫を処刑します」
大きな声で、エントランスを囲んだ貴族や、王位継承者達に事を淡々と伝える。
「おい、連れて来い」
その怪僧の声に、屈強な悪教徒――――この怪僧は、手下の教徒を幾人か従えていた――――が、乱暴に姫をエントランスに引き連れる。
手を縄で縛られ、裸足で歩くその美しい少女は、その唇を固く結び、強い眼差しで怪僧を睨めつけていた。
エントランスの中心に設置された高台の上に隣国の姫を立たせ、怪僧は口を開いた。
「この国がより栄えるには、この逆賊の首を刎ねねばなりません」
如何にも本意ではない、とでも言いたそうな面持ちで、わざとらしいまでに悲しい顔を彼女に向ける。
「少し、待ってはくれぬか」
王は、怪僧に問いかけた。怪僧は理由を言えと言わんばかりに王の次の言葉を待つ。
「何も、殺す事は」
「王、王よ。貴方様は優しすぎる。優しすぎるのです」
怪僧は王の言葉を遮って答えた。
「このまま隣国と現在の関係を保ち続ければ、王や貴族の方々は、暮らしを維持できなくなります」
隣国の姫の肩に、怪僧の手が置かれる。その手を隣国の姫は汚らわしく思った。怪僧は続ける。
「そして、いずれは隣国にこの国が滅ぼされてしまう。それは皆様にとっても本意では無い筈です」
その言葉に、エントランスを囲んだ高貴な観客が沸いた。そこには、正義など無く、ただ醜い欲があった。
「それは、そうなのだが」
王はその怪僧の言葉に気圧され、もう言葉を続ける事は無かった。
「それでは、只今より死刑を執行させていただきます」
隣国の姫は、騒ぐ観客を見渡していた。求める姿は、どこにも見当たらなかった。
怪僧はそんな姫の様子に気付いたのか、彼女に問いかけた。
「何か、最後に言い残すことはありますか?」
姫は、暫く何も答えなかった。
これ以上は無駄か、と執行人を呼ばれんとした時、彼女はその固く閉ざしていた唇を開いた。
「花」
「花?」
怪僧は思わず尋ね返した。
「花を。私が城外に意を焦がす身だと知って、城には咲かない花を、届けてくれた、貴方様」
今にも泣き出しそうな、それでいて凛とした調子で姫は続ける。
「この場に居ずとも、私は。貴方に、貴方にお会いしたいのです」
怪僧は、そんな姫を懐疑の目で睨めつけている。
「どうか、どうか、届かなくとも、請わせて下さい」
彼女は泣いていた。その様子に周りの王位継承者や貴族達も静まりかえっていた。
怪僧はその周りの様子に気付き、彼女の話を遮り、終わらせようとしたが、彼女は強く、弱く言い放った。
「どうか、助けてください」
「はい。必ずや」
答えがあった。
誰もが振り返った。誰もがその声の主を、その男を見た。
巨漢。強健。精悍。威風堂々。
そんな言葉が似合う男が、エントランスの入り口に立っていた。
第十六王位継承者が、そこに居た。
「何か、最後に言い残すことはありますか?」
姫は、暫く何も答えなかった。
これ以上は無駄か、と執行人を呼ばれんとした時、彼女はその固く閉ざしていた唇を開いた。
「花」
「花?」
怪僧は思わず尋ね返した。
「花を。私が城外に意を焦がす身だと知って、城には咲かない花を、届けてくれた、貴方様」
今にも泣き出しそうな、それでいて凛とした調子で姫は続ける。
「この場に居ずとも、私は。貴方に、貴方にお会いしたいのです」
怪僧は、そんな姫を懐疑の目で睨めつけている。
「どうか、どうか、届かなくとも、請わせて下さい」
彼女は泣いていた。その様子に周りの王位継承者や貴族達も静まりかえっていた。
怪僧はその周りの様子に気付き、彼女の話を遮り、終わらせようとしたが、彼女は強く、弱く言い放った。
「どうか、助けてください」
「はい。必ずや」
答えがあった。
誰もが振り返った。誰もがその声の主を、その男を見た。
巨漢。強健。精悍。威風堂々。
そんな言葉が似合う男が、エントランスの入り口に立っていた。
第十六王位継承者が、そこに居た。
怪僧は、少し間を置き、慌てた様子で捲し立てる。
「末の王子が何の用でしょうか」
「革命に、参りました」
そんな末王子の気迫に、誰もが脅えた。誰もが気圧された。
「王族の貴方が革命?面白い冗談を仰る方だ」
内心の隙を見せるものかと居丈夫を装い続ける怪僧に、末王子は言い放つ。
「冗談ではありません。私は、貴方に決闘をこの場で申し込みます」
決闘。その言葉の意味を、ここにいる誰もが理解していた。
辺りは騒然とした。この実質は王に近い実権を持つ怪僧に、全く権力を持たない末王子が決闘を申し込むなど、誰もが予想だにしていなかった。
「決闘?決闘は元服した男性しか申し込む事ができぬと、この国の款する法にありましたが」
「私は昨日で十六になり、元服致しました」
怪僧は、しまった。そうであった、と口内を乾かせた。
決闘とは、この国の法で定められた、有権者同士の争いの方法である。
決闘を申し込まれた人間は、如何なる状況にあろうとも、その場でそれに応じなくてはならない。
そして、敗者は、勝者に従わねばならない。
例え、敗者が屍に成り果てていたとしても。
そんな決闘を申し込まれるケースを恐れて、自分の敵に成り得そうな王族には、長い年月をかけて取り入って来た。
だが、この第十六王位継承者は完全にノーマークだった。
「よろしい。いいでしょう」
少し考えた末に怪僧は言葉を落す。
「ですが、私は身を病で摩り減らしております。代わりに、この私の教徒がお相手致しましょう」
そんな嘘を言って、姫の傍らにいる大男、死刑執行人を招いた。
死刑執行人は巨漢な末王子よりも一回り大きく、屈強そうな体をしていた。
怪僧には勝算があった。
この死刑執行人は以前訪れた監獄から引き連れた者で、彼は娑婆に居た頃はその身一つで、ある国の兵を三十人殺害していた。
監獄に容れる際も、大人十人掛りでなければ、縛った彼を制する事は出来なかったという。
「良いでしょう。こちらの方が、やり甲斐がありそうだ」
その言葉と同時に、末王子は剣を抜き、
「来い」
言い放つ。それが、決闘の合図になった。
「末の王子が何の用でしょうか」
「革命に、参りました」
そんな末王子の気迫に、誰もが脅えた。誰もが気圧された。
「王族の貴方が革命?面白い冗談を仰る方だ」
内心の隙を見せるものかと居丈夫を装い続ける怪僧に、末王子は言い放つ。
「冗談ではありません。私は、貴方に決闘をこの場で申し込みます」
決闘。その言葉の意味を、ここにいる誰もが理解していた。
辺りは騒然とした。この実質は王に近い実権を持つ怪僧に、全く権力を持たない末王子が決闘を申し込むなど、誰もが予想だにしていなかった。
「決闘?決闘は元服した男性しか申し込む事ができぬと、この国の款する法にありましたが」
「私は昨日で十六になり、元服致しました」
怪僧は、しまった。そうであった、と口内を乾かせた。
決闘とは、この国の法で定められた、有権者同士の争いの方法である。
決闘を申し込まれた人間は、如何なる状況にあろうとも、その場でそれに応じなくてはならない。
そして、敗者は、勝者に従わねばならない。
例え、敗者が屍に成り果てていたとしても。
そんな決闘を申し込まれるケースを恐れて、自分の敵に成り得そうな王族には、長い年月をかけて取り入って来た。
だが、この第十六王位継承者は完全にノーマークだった。
「よろしい。いいでしょう」
少し考えた末に怪僧は言葉を落す。
「ですが、私は身を病で摩り減らしております。代わりに、この私の教徒がお相手致しましょう」
そんな嘘を言って、姫の傍らにいる大男、死刑執行人を招いた。
死刑執行人は巨漢な末王子よりも一回り大きく、屈強そうな体をしていた。
怪僧には勝算があった。
この死刑執行人は以前訪れた監獄から引き連れた者で、彼は娑婆に居た頃はその身一つで、ある国の兵を三十人殺害していた。
監獄に容れる際も、大人十人掛りでなければ、縛った彼を制する事は出来なかったという。
「良いでしょう。こちらの方が、やり甲斐がありそうだ」
その言葉と同時に、末王子は剣を抜き、
「来い」
言い放つ。それが、決闘の合図になった。
死刑執行人が、手に持つ斧を末王子の頭に振りかざした。
だがそれは末王子の髑髏を二つにする事無く、空を切る。
元に居た場所から半身をずらし、それをやり過ごした末王子は、死刑執行人の首を狙う。
その一撃も巨大な斧に遮られる。
火花が散る。両者も散り、距離を取る。
それを追う様に死刑執行人が足を踏み出した。そして再度斧を振りかざす。
末王子は思考を巡らせる。
斧という武器は厄介なもので、それには流派や決まった業が無い。
故に、その振り上げた凶器が、自分の体を縦に抉るか、横に薙ぐか、直ぐに判断しかねるのだ。
判断が多少でも遅れれば、それは命取りになる。
だが末王子の内心は冷静だった。
モーションが大きい。それが斧使いの欠点。
直ぐに意を決し、死刑執行人の懐に潜り込む。
「あ」
息を呑んだのか、それとも息は口から吐くことも無く、漏れ出でたのか。
死刑執行人はそれさえも分からなかった。理解し得る筈など無かった。
刹那だった。死刑執行人は既に死んでいた。
懐に潜り込んだ末王子は、一瞬で、その剣を死刑執行人の喉に突き立て、横に薙いでいた。
崩れ落ちる斧を持った巨体に、人々は目を凝らしている。
それは、彼等からすれば一瞬の出来事であったのだ。
末王子が、勝利していた。
だがそれは末王子の髑髏を二つにする事無く、空を切る。
元に居た場所から半身をずらし、それをやり過ごした末王子は、死刑執行人の首を狙う。
その一撃も巨大な斧に遮られる。
火花が散る。両者も散り、距離を取る。
それを追う様に死刑執行人が足を踏み出した。そして再度斧を振りかざす。
末王子は思考を巡らせる。
斧という武器は厄介なもので、それには流派や決まった業が無い。
故に、その振り上げた凶器が、自分の体を縦に抉るか、横に薙ぐか、直ぐに判断しかねるのだ。
判断が多少でも遅れれば、それは命取りになる。
だが末王子の内心は冷静だった。
モーションが大きい。それが斧使いの欠点。
直ぐに意を決し、死刑執行人の懐に潜り込む。
「あ」
息を呑んだのか、それとも息は口から吐くことも無く、漏れ出でたのか。
死刑執行人はそれさえも分からなかった。理解し得る筈など無かった。
刹那だった。死刑執行人は既に死んでいた。
懐に潜り込んだ末王子は、一瞬で、その剣を死刑執行人の喉に突き立て、横に薙いでいた。
崩れ落ちる斧を持った巨体に、人々は目を凝らしている。
それは、彼等からすれば一瞬の出来事であったのだ。
末王子が、勝利していた。
「何」
怪僧は焦り、恐れた。
予想だにしていない事が起きた。
誰もが、予想だにしていない事が起きていたのだ。
「さて」
その混沌の中心の人物は、剣を振るう。
切先を鈍く光らせていた赤い命の水が、絨毯に跡を刻む。
「これより、お前は。俺の言う事を聞いて貰おうか」
末王子は、怪僧に言い放つ。
喉の奥で妙な音が鳴る。右脳が軋み、左脳が乾く。
怪僧は、自分でも気付かずに、後方の部屋に向かって声を荒げていた。
「この逆賊を斬り払え!」
その言葉に、屈強な教徒が数十人ほど部屋から走り出でて、末王子を取り囲んだ。
「貴殿、王家に就属する身で王家の誇りを持たぬか!!」
決闘のシステムを無視し、無様な真似を見せる怪僧に末王子は怒りをぶつけ散らした。
「知らぬ!それに、周りを見るが良い!」
末王子は、自分を取り囲んだ教徒達を越して、エントランスの壁に円になり張り付いている貴族達を見た。
「ここに王家の意思があると思うのか」
怪僧の言葉を、末王子は聞いていなかった。
貴族達は皆、剣を抜き、王家の人間の近くにいる者は、その王家の人間の首筋に切先を当てていた。
「これは、何を」
王はその様子の異変に気付き、慌てて席を立つ。しかし直ぐに動きを止めた。
その首筋にも同様に、剣の切先が当てられていた。その剣を辿れば、怪僧がそこに居た。
「予定が少し早まりましたが、今日ここで王家は滅んで頂きます」
「貴様っ」
「動かないで下さい。貴方はここでは殺さず、隣国に無駄に攻め入った凶皇として、後に民衆の前で処刑するつもりなのですから」
王は戦慄した。そして怪僧の真意の全貌にそこで初めて気付き、己の愚かさを激しく悔やんだ。
怪僧は、王家を乗取るために、貴族達をも取り込んで、機が熟すのを待っていたのだ。
大義名分を得て革命を起こすつもりでいたのだろうが、まだ王権が健在のこの時に、末王子に力を奪われるのを恐れ、強攻策に乗り出したのである。
「そういう事です。末王子、貴方も――――……」
そう言って、振り返った怪僧は、自分の目を疑った。
怪僧は焦り、恐れた。
予想だにしていない事が起きた。
誰もが、予想だにしていない事が起きていたのだ。
「さて」
その混沌の中心の人物は、剣を振るう。
切先を鈍く光らせていた赤い命の水が、絨毯に跡を刻む。
「これより、お前は。俺の言う事を聞いて貰おうか」
末王子は、怪僧に言い放つ。
喉の奥で妙な音が鳴る。右脳が軋み、左脳が乾く。
怪僧は、自分でも気付かずに、後方の部屋に向かって声を荒げていた。
「この逆賊を斬り払え!」
その言葉に、屈強な教徒が数十人ほど部屋から走り出でて、末王子を取り囲んだ。
「貴殿、王家に就属する身で王家の誇りを持たぬか!!」
決闘のシステムを無視し、無様な真似を見せる怪僧に末王子は怒りをぶつけ散らした。
「知らぬ!それに、周りを見るが良い!」
末王子は、自分を取り囲んだ教徒達を越して、エントランスの壁に円になり張り付いている貴族達を見た。
「ここに王家の意思があると思うのか」
怪僧の言葉を、末王子は聞いていなかった。
貴族達は皆、剣を抜き、王家の人間の近くにいる者は、その王家の人間の首筋に切先を当てていた。
「これは、何を」
王はその様子の異変に気付き、慌てて席を立つ。しかし直ぐに動きを止めた。
その首筋にも同様に、剣の切先が当てられていた。その剣を辿れば、怪僧がそこに居た。
「予定が少し早まりましたが、今日ここで王家は滅んで頂きます」
「貴様っ」
「動かないで下さい。貴方はここでは殺さず、隣国に無駄に攻め入った凶皇として、後に民衆の前で処刑するつもりなのですから」
王は戦慄した。そして怪僧の真意の全貌にそこで初めて気付き、己の愚かさを激しく悔やんだ。
怪僧は、王家を乗取るために、貴族達をも取り込んで、機が熟すのを待っていたのだ。
大義名分を得て革命を起こすつもりでいたのだろうが、まだ王権が健在のこの時に、末王子に力を奪われるのを恐れ、強攻策に乗り出したのである。
「そういう事です。末王子、貴方も――――……」
そう言って、振り返った怪僧は、自分の目を疑った。
踵鳴り、
一振りで、一人目の教徒の首横から横腹を裂き血の花を咲かせ、
踵鳴り、
二人目の教徒の剣を軽やかに避け、剣を握り直し
踵鳴り、
二振りで、二人目の目を潰し、その二人目の邪教徒を三人目、四人目に投げ、体制を崩させた
踵鳴り、
三振り、四振りで、横たわった三人目と四人目の眼球越しに脳を抉り、身を屈め
踵鳴り、
圧倒的な速さで、教徒の前に出で、剣を横に薙ぐ
踵鳴り、
降る剣を、斧を、槍を、まるで蝶の様に舞い、その身に触れさせず
踵鳴り、
蜂の様に、或いは雨粒の様に、邪教徒の指を、目を、足を、そして心の臓を。無駄なく穿ち、全ての悪意を殺戮していく。
踵鳴り。
その音に目を奪われ、その双眼に飛び入るのは。
全ての邪教徒の屍の上に立つ、一人の戦士であった。
「迎えに参りました。姫様」
彼らの屍を越え、隣国の姫の前に跪く末王子を、彼女は呆然と見つめていた。
そんな彼女の様子に気付き、彼は微笑を漏らし。
「今度は、わたくしが。貴女を救う番です」
いつもと変わらぬ、いつも夜中の邂逅の際に見る、力強い笑顔で彼は言った。
彼女は、気付けば彼の腕の中に飛び込んでいた。
彼女は、泣いていた。今は切れた緊張の糸を、その雫で湿らせた。
そして、そんな彼女を、末王子は抱きしめた。
今まで届かない距離で思いを抱きしめた分だけ、彼女を強く抱きしめていた。
「貴様!理解しているのか!」
怪僧が、我を取り戻し、焦りながら問う。
そんな声に、胸の中の少女を愛し気に見つめていた末王子は向き直る。
「今、貴様は!言わば背水の陣なのだ!」
その言葉に、貴族達は緩んでしまっていた手を握り締め、剣に意を込める。
黙ってしまった末王子に、怪僧はニタリと笑みを向け、
そして、怯えた。
末王子は、この状況に臆してなどいなかった。
笑っていた。怪僧の目を見据えて、力強い笑顔で。
「貴様」
怪僧が言葉を投げかけようとした瞬間、エントランスの入り口が開いた。
同時に、幾つかの足音がエントランス内を転がる。
皆がその扉を開いた男を見た。そして、後ろの数人の男達を見、絶句した。
「どうやら、間に合ったみたいですね」
学生の様な男が、数人の男を引き連れていた。
皆その学生の様な男に見覚えはなかったが、後ろの男達にはあった。
(なぜ、ここに隣国の王が……!!)
怪僧は混乱していた。
隣国の王だけではない。近隣の村の長や近国の重役達といった面々が揃っていた。
彼らの屍を越え、隣国の姫の前に跪く末王子を、彼女は呆然と見つめていた。
そんな彼女の様子に気付き、彼は微笑を漏らし。
「今度は、わたくしが。貴女を救う番です」
いつもと変わらぬ、いつも夜中の邂逅の際に見る、力強い笑顔で彼は言った。
彼女は、気付けば彼の腕の中に飛び込んでいた。
彼女は、泣いていた。今は切れた緊張の糸を、その雫で湿らせた。
そして、そんな彼女を、末王子は抱きしめた。
今まで届かない距離で思いを抱きしめた分だけ、彼女を強く抱きしめていた。
「貴様!理解しているのか!」
怪僧が、我を取り戻し、焦りながら問う。
そんな声に、胸の中の少女を愛し気に見つめていた末王子は向き直る。
「今、貴様は!言わば背水の陣なのだ!」
その言葉に、貴族達は緩んでしまっていた手を握り締め、剣に意を込める。
黙ってしまった末王子に、怪僧はニタリと笑みを向け、
そして、怯えた。
末王子は、この状況に臆してなどいなかった。
笑っていた。怪僧の目を見据えて、力強い笑顔で。
「貴様」
怪僧が言葉を投げかけようとした瞬間、エントランスの入り口が開いた。
同時に、幾つかの足音がエントランス内を転がる。
皆がその扉を開いた男を見た。そして、後ろの数人の男達を見、絶句した。
「どうやら、間に合ったみたいですね」
学生の様な男が、数人の男を引き連れていた。
皆その学生の様な男に見覚えはなかったが、後ろの男達にはあった。
(なぜ、ここに隣国の王が……!!)
怪僧は混乱していた。
隣国の王だけではない。近隣の村の長や近国の重役達といった面々が揃っていた。
「お父様!」
姫が、末王子の腕から離れ、隣国の王の元に駆け寄っていく。
それを微笑みながら見守った後、エントランス内の人間に向かって、
「背水の陣、とはお前らの事さ」
末王子は、扉の外の城前広場を顎で指した。
それを見て、エントランス内の誰もがまたもや絶句する。
国民が、隣国の兵が、近隣の村の農民が、大勢の人間がそこにいた。
手には剣や槍、鍬に鎌、果ては石礫を両手に抱えている者もいた。
そこに居る誰もが、闘志をその身の内で焦がしている。
それは、このエントランス内の愚かな人間達の退路が、もうどこにもない事を示していた。
「おう。間に合ったか。学生」
その声に、学生は彼の前に進み跪いた。
「王子。今までの失礼をお許し下さい」
「あぁ、やめてくれ。王子って事を隠していて悪かったが、話は今までのようにしてくれ」
「なりません」
学生はそう言うと、顔を上げ、末王子に話す。
「隣国の王や重役の方々には、私がデータを元に論じ、ご足労を頂きました」
「ご苦労。国民の皆は?」
「貴方様の名を出せば、誰もが一つ返事で立ち上がってくれました」
そうか。と満足気に喉を軽く鳴らし、広場にいる人間達に頭を下げた後、末王子は怪僧に語る。
「政治が下手な奴というのは、我が身や、高貴なる者が国であると勘違いし」
その言葉は怪僧には届かない。
怪僧の頭中が、全ての思考を放棄していた。
「何もかも、気に喰わない物を徹底的に壊そうとする」
姫は、その言葉に先程までの自分を重ね、怯え、父の体を強く抱きしめた。
末王子は続ける。
「だが、真の王は。政治にとって一番大事なのは、民だと、人であると理解している」
怪僧は、力なく膝を折り、頭を垂れた。
末王子は言った。
「王に君臨するのならば、必要なのは、腕の強さや権力の強さではなく」
「“何かと何かを繋ぐ事”なのだ」
広場の人間達は、遠くから見れば、一つの蠢く、醜い生き物に見えた。
しかし、間近でみれば、その誰もが呼吸をし、考え、そこに一人一人、存在していた。
高い場所から見下していた怪僧は、それを知り得なかった。
末王子は、近い場所で彼らを見ていた。故に知り得た。
憂国は、彼の手によって、怪僧と共に散った。
姫が、末王子の腕から離れ、隣国の王の元に駆け寄っていく。
それを微笑みながら見守った後、エントランス内の人間に向かって、
「背水の陣、とはお前らの事さ」
末王子は、扉の外の城前広場を顎で指した。
それを見て、エントランス内の誰もがまたもや絶句する。
国民が、隣国の兵が、近隣の村の農民が、大勢の人間がそこにいた。
手には剣や槍、鍬に鎌、果ては石礫を両手に抱えている者もいた。
そこに居る誰もが、闘志をその身の内で焦がしている。
それは、このエントランス内の愚かな人間達の退路が、もうどこにもない事を示していた。
「おう。間に合ったか。学生」
その声に、学生は彼の前に進み跪いた。
「王子。今までの失礼をお許し下さい」
「あぁ、やめてくれ。王子って事を隠していて悪かったが、話は今までのようにしてくれ」
「なりません」
学生はそう言うと、顔を上げ、末王子に話す。
「隣国の王や重役の方々には、私がデータを元に論じ、ご足労を頂きました」
「ご苦労。国民の皆は?」
「貴方様の名を出せば、誰もが一つ返事で立ち上がってくれました」
そうか。と満足気に喉を軽く鳴らし、広場にいる人間達に頭を下げた後、末王子は怪僧に語る。
「政治が下手な奴というのは、我が身や、高貴なる者が国であると勘違いし」
その言葉は怪僧には届かない。
怪僧の頭中が、全ての思考を放棄していた。
「何もかも、気に喰わない物を徹底的に壊そうとする」
姫は、その言葉に先程までの自分を重ね、怯え、父の体を強く抱きしめた。
末王子は続ける。
「だが、真の王は。政治にとって一番大事なのは、民だと、人であると理解している」
怪僧は、力なく膝を折り、頭を垂れた。
末王子は言った。
「王に君臨するのならば、必要なのは、腕の強さや権力の強さではなく」
「“何かと何かを繋ぐ事”なのだ」
広場の人間達は、遠くから見れば、一つの蠢く、醜い生き物に見えた。
しかし、間近でみれば、その誰もが呼吸をし、考え、そこに一人一人、存在していた。
高い場所から見下していた怪僧は、それを知り得なかった。
末王子は、近い場所で彼らを見ていた。故に知り得た。
憂国は、彼の手によって、怪僧と共に散った。
数ヵ月後。
歓声が広場を埋め尽くし、誰もが城の中央のバルコニーを見つめている。
そこには数ヶ月前の憂国の姿形など、どこにも見当たらなかった。
「王、そろそろご挨拶を」
学生の様なあどけさを顔に携えた、しかし今は大臣の様な出で立ちの男が、呼びかける。
その声に、美しい姫が、微笑を漏らす。
「貴方様、そろそろ、お時間ですわ」
「む、ううむ」
巨漢。強健。精悍。威風堂々。
そんな言葉が似合う男が、バルコニーに向かって歩みを進める。
男の様子を見た二人は少し笑い、その男の後を、見守りながら追う。
三人の姿が見えた瞬間、歓声が一際大きくなった。
誰もがその中心を見据え、そして笑顔で迎え入れた。
大臣の様な男が、声高らかに叫ぶ。
「これより!新たなる王の就任式を開始する!」
歓声が、渦を巻いた。誰もが幸せだった。
その男を、心から祝福していた。
「では、新たなる王に、挨拶をして頂きます。静粛に!」
大臣の様な男は、新たなる王に前を譲った。
王は、その場に立ち、ゆっくりと話しはじめた。
「私は、この国を欲しいとは思わない」
誰もが静まり返っていた。誰もが次の言葉を待っていた。
「私は、諸君らと、何ら変わりの無い、只の人間である」
「王族とは、国民であり、国民とは、王族である」
「私は、常にそう思っている」
「人とは、一人では何もできない、無力な生き物だ」
「私は、一人では何もできない。諸君らが、必要だ」
「どうか、力を貸して欲しい」
「私も、この国で生きさせてほしい」
観衆は皆、この男を心の底から肯定した。誰もが、この男で良かったと、震えた。
地面が震える程の祝福の声達が、このかつての憂国を包み、優しい色に変えていった。
大臣のような男は、後方でその様子を見つめ、内心で呟く。
(そうだ。俺は、この方のような王を求めていたのだ)
そして、暫くして。
王はこう言い放った。
「でもやっぱり俺こういう王とかって向いてない気がする!!ちょっとタンマ!!」
絶句である。そりゃこんな事言われれば当然だと思う。
「ちょ、王!?」
「あ、大臣!!みなさーん!!今日からやっぱりこの人が王になります!!」
「おいっ!!ふざけんな!!アンタあれ程自信満々に国獲るって言ってたじゃんか!!」
「あ!!タメ語かよ!!みなさーん聴きました!!?今タメ語でしたよね!?しかるべき罰が必要ですよねっ!!」
「っっオ――――――――――――――イ!!!!ちょっと黙れや!!!!だから俺はあれ程傍でサポートするって言いましたよね!!!!」
「過去の事言うなよ!!!!女に嫌われるゾッ」プンプンッ
「っっぜえぇぇぇぇ!!!!!うっぜぇぇぇぇえぇえぇ!!!!王妃!!貴女からも何とか……!!」
「あはははははははっ!!!!」
「王妃!!?王妃何大爆笑してるんですかちょっと止めて!!!!このアホな王止めて!!!!」
「あ!!今アホって言った!!!!うわぁ――――!!!!カンバスィクナイ――――!!!!この子カンバスィクナイ!!!(芳しくない)」
「やめろおおおおおお!!!!!民衆の面前だぞ!!!!ほら見ろ……ておい民衆も何皆微笑ましく見守ってんだ!!!!止めてくれ!!一緒に!!!!」
「あ、さっきのボクチンのセリフぱくったネ!!!!王になりたいんだろ?YOU、成っちゃいなよ!!!!」
「くそがあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
…………
……
…
・
パタン
大臣「それが昔のロマリア誕生のエピソードです」
勇者「あははははは絶対嘘だあはははは」
大臣「本当です」
勇者「嘘だッ!!!!」
【踵鳴る】-完-
ここは、娯楽大国ロマリア。
勇者くんは、今この国の王様の代わりを勤めてる真っ最中です。
勇者「そんな過去があったなんて……あの王様が、そんな英雄だったなんて……」
大臣「いやぁ…………色々ありました」
勇者「未だにあんまし信じられません」
大臣「まぁ今のあのオッサンの現状からは…………そうでしょうな」
勇者「でも、よくそんな調子でやってこれましたね」
大臣「…………」
勇者「大臣?」
大臣「…………実は」
勇者「え?」
大臣「実は…………一度だけ私も王の代わりを勤めた事があるのです」
勇者「えぇ!!!?」
大臣「あれは…………しばらく前の事でした……」
…………
……
…
・
-十年ほど前・ロマリア-
ロマリア王「だーいじんっ」
大臣「え?」
ロマリア王「ヘイパース」
ぶんっ
大臣「えっ」
パシッ
大臣「…………」
大臣は金の冠を手に入れた!!
大臣「ちょっ」
ダダダダダダダダダダダ
ロマリア王「へっ!!!!ワシはせっかくだから少し休暇を頂くぜ!!!!アバヨ!!!」
大臣「おいいいいいいいいいいいい!!!!!!せっかくだからってなんだコラアァァァアァ!!!!」
―――――そんなこんなで、私が王の代わりを勤める事になりました
勇者「どんなだ」
―――――それは、地獄の始まりでした
-謁見の間-
大臣(まぁ、王も度重なる公務で忙しい身だからな……)
大臣(ここは私が踏ん張って王の身を休めてやらねば!)
大臣「次の者!入れ!」
スタスタ……
町人「あのぅ……相談があるのですが」
大臣「はい、なんでしょう」
…………
……
…
・
・
…
……
…………
大臣「ふぅ…………一段落着いたな」
スタスタ
大臣「あれ、まだいたのか」
大臣「次の者!入れ!」
ザッ
ロマリア王「ちゅぎのむぉぬぉーはいるぇー」
大臣「…………ロマリア王、何やってんですか」
ロマリア王「りょまりぁうぉぅ、ぬゎにやっとぅうぇんどぅぇすくゎ」
大臣「…………王」
ロマリア王「うぉぉぉぉぅん」
大臣「…………」
ロマリア王「ぷぅぇぇん。ちんちん痛いよぉ」
大臣「こいつっ」ダッ
ロマリア王「き、きゃあああああああ!!!!王が!!!!王がご乱心だわ!!!!誰か!!!いやあぁぁぁ!!!!」タッタッタッ
大臣「逃げんなぁぁぁぁああぁぁ!!!!!」
兵「大臣様!!!!抑えて下さい!!!!アレは野生の豚とでも思って下さい!!!!」
大臣「ぐぐぐぐぐぐぐぐぅ!!!!!」ギリギリ!!
―――――といった具合に、定期的に王が嫌がらせに来るのでした
勇者「地獄や」
―――――他にも……
-ロマリア・街中-
ザッ
大臣(見回りも大事な仕事だ)
町娘「あ!大臣さん……じゃなかった王様!こんにちわ!」
大臣「はいこんにちわ」
町娘「ねぇ、聞いて下さいよ。街の東の城壁なんですけど――――……」
大臣「うむうむ。なるほど」
大臣(国民の声を間近で聞くのも、大事な仕事だ。有意義だな)
?「ぁあ――――――――――――――!!!!!」
大臣「えっ?」ビクッ
女装したロマリア王「誰よその女ァ―――――!!!!」
大臣「…………う」
大臣「……うわ…」
大臣「ウワアアァァァアアァァァァァァアアアァァァァアアァァァァァアアアァァアァァァァアァァァ!!!!!」
ダッ
ガシッ
大臣「ひぃっ!!!」
ロマリア王「ねぇ!!どういう事なの!!!!私というものがありながらナイアガラ!!!!」
大臣「やめっ……離してください王!!」
ロマリア王「王!?王って誰……!!?まさかあのキャバクラの女なのね!!!?この白状しなさいよ!!このオタンコナス!!」
グイグイッ
大臣「やめっ……やめろ!!!!!」
バシィッ!!
ロマリア王「きゃっ…………ぶった。ぶったわ!今ぶった!!」
ロマリア王「いやあああああぁぁあ!!!!ドメスティック・ヴゥゥゥウァァァイオレンス!!!!!!!」
大臣「静かにしてください!!!!」
ロマリア王「いやよ!!!!激しいのはベッドの中だけにしてボブ!!!!ボォォォォブ!!!!!」
大臣「誰だボブって!!!!」
大臣「ま、町娘さん!!このアホ一緒に止めてくだs―――――……」
町娘「っ…く…!」プルプル
大臣「何で君笑ってんの!!!!」
ロマリア王「デヴィッドの馬鹿!!このポンコツ亭主!!!!ロボットポンコッツ!!!!いやあああぁぁぁあぁあぁ!!!!」
タッタッタッ……
大臣「お前本当にもう帰って来い!!!!」
大臣「…………」
大臣「あとボブどこ行った!!!!!」
…………
……
…
・
―――――なんだか思い出したらまた怒りが沸々と
勇者「煉獄や」
―――――極めつけは
-大臣の寝室-
大臣「はぁあぁぁ…………今日も疲れた…………」
大臣「…………」
大臣(やってみて気付くけど、やはり仕事が多い)
大臣(そりゃ、大臣の仕事だって多いが…………王の仕事は、責任が余りに重い)
大臣(…………息抜きをしたがる気持ちも、少し分かるな…………)
大臣「…………」
大臣「………………もう少し、労って接してみようか」
大臣「…………」
モゾッ
大臣「…………ふぁぁ」
大臣(もう、寝よう。明日に備えるのだ)
…………………………
大臣「ぐー……ぐー……」
ガチャッ
ロマリア王「…………」
大臣「ぐー……ぐー……」
ロマリア王「…………」
ソローリソローリ
モゾッ
大臣「むぅぅ…………ぐー……」
ロマリア王「…………」
ペラッ
ロマリア王「…………………………“お馬さんと、白ヤギさん”」
ロマリア王「“昔むかーし、あるところに、お馬さんと白ヤギさんがいました”」
ロマリア王「“お馬さんはある日、白ヤギをたずねてきました”」
ロマリア王「…………」ペラッ
ロマリア王「“「まぁ、今日は何の用ですか。」白ヤギさんはお馬さんに聴きました”」
ロマリア王「“「やぁ白ヤギさん。僕と一緒にあそびませんか。」お馬さんはいいました”」
ロマリア王「“「出てってよォ!!!!」”」
ロマリア王「…………」ペラッ
ロマリア王「“白ヤギさんは、ひっしにていこうしたのですが、お馬さんの馬力には勝てません”」
ロマリア王「“あっさり家のなかへ、連れ込まれてしまいました”」
ロマリア王「…………」ペラッ
ロマリア王「“「私達…………終わったはずじゃない!!」白ヤギさんは、おおきなこえで言いました”」
ロマリア王「“「それは、白ヤギさんが勝手にそう思ってるだけでは?」お馬さんは白ヤギさんに詰め寄ります”」
ロマリア王「…………」ペラッ
ロマリア王「“「とにかく、出てって!!人を呼ぶわよ!」白ヤギさんは、ドアへと逃げようとします”」
ロマリア王「“しかし、お馬さんの速さには勝てない”」
ロマリア王「…………」ペラッ
ロマリア王「“「どこへ行こうというのかね」。お馬さんは、白ヤギを無理やり組み伏せます”」
ロマリア王「“「いやぁっ!!」白ヤギの抵抗は、無駄に終わり、お馬さんは白ヤギさんを求め始めました”」
ロマリア王「“「君のここは……僕を拒否していないようだが?」お馬さんの蹄が、白ヤギさんの花弁をなぞる”」
ロマリア王「“その蹄の動きから生まれる快感に、白ヤギさんは体を震わせた”」
ロマリア王「“そう。あの時、あの夜のように――――”」
ロマリア王「“「あぁっ……駄目……私達、種族が違うのよ……。」白ヤギさんは、お馬さんの蹄に合わせて、体を捩じらせ、目を深く閉じる”」
ロマリア王「“その甘美な美しい声を聴きながらも、お馬さんは行為を続ける。「種族が違うのなら、僕らの愛で、それを乗り越えれば良い」”」
ロマリア王「“「あぁ……お馬……さん……いやぁっ」お馬さんは、その蹄に伝わる水気を感じ取っていた。「…………抱いて…………!!」もう白ヤギさんには抵抗する術も理由も存在しなかった。”」
ロマリア王「“「…………一緒に……遺伝子を、組み替えよう」そして、お馬さんは、いきり立った自身のその馬の様な馬並みのお馬さんを―――――……”」
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」ガッバァァァァ!!!!
ロマリア王「あ、起きた」
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ロマリア王「どうじゃ、ワシの作った絵本は。アハハハハハ」
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ブンッ!!
ロマリア王「うわぁっ!!!!やべっ!!コイツマジギレしてる!!!!」
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ブンブン!!!!
ロマリア王「いやぁ、絵本って本当にいいものですね☆それではさようなら!!」タッタッタッタ……
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
大臣「ワアアアアア!!!!」
大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
…………
……
…
・
―――――そして私は三日三晩気が狂いました
勇者「大臣さん…………」ポロポロ
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