元スレ皇帝「あー……反乱でも起きねえかな」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
1 :
皇帝「本日の政務はここまでだな」
宰相「鮮やかな仕事ぶりでございました」
皇帝「今日も帝国は平和であった」
宰相「これも全て、陛下のご人徳によるものでございます」
皇帝「しかし、こう平和だとついこんなことを考えてしまうな」
宰相「というと?」
皇帝「あー……反乱でも起きねえかな」
宰相「さっきの人徳云々は無かったことにして下さい」
2 :
いいネタだな
3 :
宰相って別に側近じゃないんだけど
無教養が書いたの?
4 :
>>3
ウザ
5 :
そうだよ
6 = 1 :
宰相「なに考えてんですか! 反乱起きねえかななんて!」
皇帝「ほら、帝国といえば反乱じゃん?」
宰相「そんな連想しませんよ!」
皇帝「実は、最近読んだ小説で面白いのがあって」
宰相「は? 小説?」
皇帝「これなんだけど」
宰相「タイトル……『立ち上がる戦士』。なんですかこれ?」
皇帝「今すげえ流行ってる小説だよ。ベストセラーになってる」
宰相「どんな内容なんです?」
皇帝「悪政を行う大帝国を倒すために、勇敢な若者が立ち上がるという内容だ」
宰相「そんなんがベストセラーになっちゃってるんですか!」
7 = 3 :
あと敬語が全くなってないよ
添削しようか?
9 = 1 :
皇帝「これがホント面白くてさぁ……。ページめくる手が止まらなくて……」
宰相「はぁ」
皇帝「反乱という行為に強い憧れを抱くようになったのだ!」
宰相「抱かんで下さい」
宰相「それにしても、帝国に反乱を起こす小説なんて……。作者を呼び出して、思想のチェックを……」
皇帝「あー、無理だと思うよ」
宰相「なんでです?」
皇帝「俺も勲章を与えたくて、出版社に問い合わせたんだけど、出版社も作者のことはほとんど知らないみたい」
宰相「なんですかそれ。怪しいなぁ」
10 = 1 :
皇后「どうなさいました?」
宰相「皇后様! 皇帝陛下が反乱に憧れてまして……」
皇帝「うむ」
皇后「まあ……」
皇帝「反乱はロマン! 妃もそう思うだろう?」
皇后「ええ、思いますとも」
宰相「同意しないで下さい! 止めて下さいよ!」
皇后「まあまあ、陛下は最終的には国のためになる判断をなさると信じておりますから」
宰相「出発点が反乱起これだと、どう足掻いても無理なような気がしますが」
皇后「すぐ自分の中のブームも収まりますよ。見守ってあげましょう」
宰相「皇后様がそうおっしゃるのであれば……」
11 :
おもしろい
12 = 1 :
……
皇帝「今日は穏やかな気候だな」
宰相「ええ、暖かすぎず寒すぎず、心地よい陽気です。市民たちの笑い声が聞こえてくるようですね」
皇帝「反乱勃発にはもってこいだな」
宰相「そうですね。ってええ!?」
皇帝「というわけで、今日は一日反乱デーにしたいと思う」
宰相「嫌なデーですねえ」
13 = 8 :
わくわく
14 = 1 :
皇帝「さて宰相よ、反乱というのは誰が起こすものだと思う?」
宰相「そうですねえ……。例えば、食うに困った農民が反乱を起こすというのは聞いたことがあります」
宰相「飢えるぐらいなら暴れる、ということでしょうな。ですが我が国の食糧事情は……」
皇帝「農民か……よし、決めた! 農民に頼みに行こう!」
宰相「陛下が農民に頼み事とは……いったい?」
皇帝「反乱起こしてって」
宰相「は!?」
15 = 2 :
すき
16 = 1 :
―農場―
農民「……」ザクッザクッ
皇帝「おお、やってるな」
農民「見慣れねえあんちゃんだな。なんだべか?」
宰相「……この方は皇帝陛下だ!」
農民「えっ……ははーっ!」ガバッ
皇帝(だいぶ気持ちいいな)
農民「皇帝陛下っていうと、もっと威厳のある方かと思って……」
皇帝(だいぶ傷つくな)
農民「それで、そんなお偉いさんがオラになんの用ですだ?」
皇帝「うん……ちょっと反乱起こしてみない?」
農民「へっ?」
宰相(マジで頼んじゃったよ、この人……)
17 = 1 :
農民「反乱……ですか?」
皇帝「うん、ほら……不満とかあるでしょ? その熱き思いを発散してみないか!」
宰相(なんでスポーツマンのノリなんだ)
農民「不満? ないですだ!」
皇帝「ないの!? 嘘つけぇ!」
農民「本当ですだ!」
皇帝「えっ……」
農民「このところは豊作続きですし、陛下のやった治水事業のおかげで不作の時も助かって……」
皇帝「ど、どうも」
農民「感謝してこそすれ、反乱なんて起こす気ありませんだ!」
皇帝「照れるな……」
宰相(まあ、なんだかんだこの人、やることはやってたからな……)
18 = 1 :
農民「よかったら、これどうです?」
皇帝「イモ……」
宰相「陛下、そんなもの食べては……」
皇帝「いただきます」ポリッ
皇帝「……ほう! 素朴な味でいける!」
農民「いいイモはそのまま食っても美味い! もちろん料理すればもっと美味いですけど」
皇帝「なるほどなぁ~」
農民「これもお上がちゃんとしてくれてるからだべ。ありがたいことですだ」
皇帝「こちらこそ、いいものを食べさせてもらった。これからもいい野菜を作ってくれ!」
19 = 1 :
皇帝「う~む、農民に反乱させる作戦は失敗か」モグモグ
宰相「イモ食べながら歩かないで下さい。下品ですよ」
皇帝「宰相、農民の他に反乱を起こす勢力といえばなんだ?」
宰相「宗教でしょうか」
皇帝「ほう?」
宰相「宗教団体は自分たちの神を信仰してますからね。それこそ陛下よりも優先して」
宰相「なのでそれを大義名分に、自分たちこそが天下を取るべきなのだと反乱を企てるケースもあるそうです」
皇帝「なるほどな……よし、国内最大の宗教団体のトップに会いに行ってみるか」
皇帝「≪皇帝vs神≫の頂上決戦だ!」
宰相「どことなくB級臭がする対戦カードですね」
20 = 1 :
―宗教施設―
宰相「彼が宗教団体のトップです」
教主「これはこれは皇帝陛下、我が教団へようこそ」
皇帝「うむ」
教主「何か御用ですか? それともまさか入信?」
皇帝「あ、いや……反乱を起こしてくれないかな、と思って」
教主「反乱?」
宰相(農民の時も思ったけど、もうちょっと頼み方ってものがさぁ)
21 :
しえん
22 = 1 :
教主「帝国に反乱ですって? そんなことしませんよ」
皇帝「なぜだ。お前たちは神を信仰してるんだろう? 上に立ちたいと思わないのか」
教主「信仰してるといっても、我らの宗教は伝統的に“信仰はするけど頼り切りにならないようにしよう”スタイルなんで」
皇帝「ほう」
教主「お布施も求めてはいますが、適度にするよう言ってありますしね」
教主「お祈りの時間なんかほら……ほぼお菓子食べる時間ですし。見て下さい、あそこ。もはやサロンですよ」
マジデー… アハハー… ビスケットタベル?
皇帝「ゆっるいなぁ」
宰相「この緩さが国内最大の宗教になった一因かもしれませんね」
皇帝「勉強や筋トレもあんまり厳格にすると続かんしな」
23 = 1 :
教主「それに……」
皇帝「?」
教主「ぶっちゃけ神なんていませんしねー!」
教主「長い間教主やってますけど、神のお告げなんて一回も聞いたことありませんよ!」
教主「ゆるくやってないと、やってらんないっすよ! こんなの!」
皇帝「うわぁ……」
宰相「ぶっちゃけちゃいましたねえ……」
25 = 1 :
教主「もしホントにいるんなら、今すぐ私を罰してみろ~ってなもんです! ワハハハハッ!」
ピシャァンッ! バリバリッ!
皇帝「うわっ!」
宰相「ひっ!」
教主「あ、あがが……」プスプス…
ドサッ
皇帝「いたみたいだな」
宰相「そうですね」
皇帝「死んではいないようだな」ツンツン
宰相「我々は去るとしましょうか」
皇帝「神様、これからも我が帝国をよろしく!」
26 = 1 :
皇帝「農民も反乱しない、宗教も反乱しないとは、我が国はたるんでる!」
宰相「たるんでるの使い方間違ってます」
皇帝「となると、他に反乱するのは誰だ!?」
宰相「異民族……でしょうか」
皇帝「そういえば我が国にも、異民族を併合した歴史があるな」
宰相「そういった人々が独立をしようと立ち上がる事例はあります」
皇帝「よし、次のターゲットは異民族だ!」
28 :
ほう
29 = 1 :
―集落―
皇帝「やあ、どうも」
頭領「おぬしは……」
皇帝「この国の皇帝だ」
頭領「皇帝……」
皇帝(この目つき、期待できる!)
頭領「太古の昔、我ら民族を併合した偉大なる帝国のお方がなんの用で?」ギロリ
宰相(うわ、めっちゃ怒ってるじゃん。護衛を連れてくるべきだった)
皇帝「独立とか……興味ないかなと思って」
頭領「独立?」
皇帝「うむ。どうだ、ここらで反乱を起こして、自分たちの国を作ってみないか?」
皇帝「悪しき帝国の支配から脱し、新たな楽園を建国するのだ!」
宰相(なんで演説口調なんだよ)
30 = 21 :
普通なら弾圧する為の罠だとか思われるな
31 :
最初に皇帝って名乗らなきゃいいのになwww
32 = 1 :
頭領「独立なんてとんでもない!」
皇帝「え……」
頭領「帝国に併合されたおかげで我らは文明化できたという歴史もあるし」
頭領「自治は保たれているし、虐げられてるようなこともない」
頭領「そんな偉大なる帝国から独立する理由など、まるでありませんな!」
皇帝「なんだと……!?」
宰相(さっきの本音だったのかよ!)
頭領「それに……」
皇帝「それに?」
頭領「我らのモットーは先祖代々『入るなら大きな傘』なもので!」
皇帝「なんて奴らだ……」
宰相「生き残る上で賢い選択かもしれませんけどね」
33 = 1 :
頭領「よかったら、食事でもしていきます?」
皇帝「そうね。宰相もどうだ?」
宰相「では、お言葉に甘えて」
頭領「さっそく、獣の肉をぶつ切りにして焼いたやつを……」
宰相(うおっ、なんて野蛮な……。宮廷の食事とは大違いだ。陛下の口に合わないんじゃ……)
皇帝「いただきまーす!」ムシャムシャ
頭領「いい食いっぷりですな!」
皇帝「ほう、いけるな。焼き加減が均等でないのがいい味出してる」
宰相「あなたも適応力すごいですね」
34 = 1 :
―宮殿―
皇帝「あー……疲れた」
宰相「一日であちこち動き回りましたからね……」
皇帝「こんだけ動いたのに、反乱の一つも起こせないなんて、自分が情けないよ」
宰相「そんなあなたに一日中付き合った私も、自分が情けないです」
皇帝「他に反乱を起こす勢力はないか? だいぶ疲れたし、できれば身近で」
宰相「となると、軍ではないでしょうか」
宰相「軍部がクーデターを起こし、国がひっくり返ったという事例は多数ございます」
皇帝「軍の最高責任者といえば司令官だな。司令官を呼べ!」
宰相「あまり気が進まないですけど……」
皇帝「早くするのだ! 上官に逆らう気か!」
宰相「イエッサー!」
皇帝(案外ノリノリじゃないか? こいつ)
35 :
ふむ
36 :
いいぞ
37 = 1 :
司令官「お呼びでしょうか、陛下!」ビシッ
皇帝「忙しいところすまんな」
司令官「いえ! 陛下の命令は最優先であります!」
皇帝「じゃあさ、反乱起こしてみない?」
司令官「はい?」
皇帝「数十万の軍勢を預かる司令官なら、多少の野心はあるだろう? その野心、爆発させてみないか?」
皇帝「きっと盛り上がると……」
司令官「……」
38 = 1 :
司令官「死にます!!!」
皇帝「ちょっ!?」
司令官「今のご命令、私に謀反の心ありとお疑いになったから発せられたのでしょう!? でしたら死にます!」
皇帝「お、おい!」
司令官「陛下から疑われたなら、死んだ方がマシです!」
皇帝「なにも死ぬことは……」
司令官「そうですね、私が死んでも何も解決しませんね」
皇帝「だ、だろ!? だから剣を納めて……」
39 = 1 :
司令官「我が一族も滅ぼします!」
皇帝「えええええ!?」
宰相「セルフ一族誅滅!?」
司令官「では今すぐ取り掛かりますので。急がねば」
皇帝「バカやめろ! お前の奥さんにはお世話になってるし、息子さんも有望な騎士だし……」
司令官「このような時に情は挟めません」
皇帝「違う! ジョークだ、ほんのジョークなんだ!」
司令官「なんだ、冗談でしたか。ハハハ、面白い試みですな」
皇帝「……」ホッ
宰相「だから気が進まなかったんですよ……」
41 = 1 :
皇帝「うーむ、あと反乱を起こす勢力というと誰だ?」
宰相「あと思いつくのは……親族ですね」
皇帝「俺の場合、弟か」
宰相「はい、王位を奪おうと王の弟などが反乱を起こすケースがあります」
皇帝「皇位を巡る兄弟対決……なかなかワクワクするものがあるな。少年心がくすぐられる」
宰相「皇帝になる前に済ましとけって話ですけどね」
皇帝「よし、弟に会いに行こう」
42 = 1 :
―大図書館―
皇帝(弟はいつもここで本を読んでいるはず……)
皇帝「おーい」
弟「なんだい、兄上」
皇帝「お前は実に優れた弟だ。頭脳も政治力も申し分ない」
弟「どうしたんだい、いきなり。褒めたって何も出ないよ」
皇帝「だから……反乱起こさない?」
弟「すごいセリフが出てきたね」
43 = 1 :
皇帝「我が国は世界有数の大国だし、その頂点といえばこの世の栄華を極めたも同然だ」
皇帝「どうだ、お前も反乱を起こし、頂点を目指してみないか!」
弟「結構だよ」
皇帝「あっさりだな! なんで!?」
弟「たしかにボクは兄上より優れてるかもしれない。頭脳も、政治力も、気品も、ルックスも」
皇帝「ルックスはちょっと傷つく……」
弟「だけどボク……あまり重い責任負いたくないから」
弟「皇帝の弟として、気楽な生活してる方が性に合うんだよねー」
皇帝「この現代っ子め!」
44 = 1 :
弟「それに……」
皇帝「それに?」
弟「ボクの方が能力が優れてるとしても、それでもやっぱり皇帝に向いてるのは兄上なんだよ」
皇帝「え、どゆこと?」
弟「さぁて、読書の続き続きと。今日中にこの本読み終わりたいんだ」
皇帝「……」
弟「あ、そうそう。反乱なんて言い出したのはどうせ『立ち上がる戦士』の影響だろ?」
皇帝「!」ギクッ
皇帝(モロバレじゃん……恥ずかしいっ!)
45 :
さて作者は誰だ
46 = 1 :
皇帝「弟もダメだった……」
宰相「陛下と違い、賢明な殿下で何よりでした」
皇帝「他に反乱を起こさせる方法は……」
宰相「まだ諦めてないんですか!?」
皇帝「当然だろう! 何かアイディアを出せ!」
宰相「でしたら……こればかりは勧めるべきではないと思いましたが……最後の手段があります」
皇帝「お?」
宰相「悪政したらどうでしょう?」
宰相「部下を粛清しまくり、税金を上げまくり、贅沢しまくり、庶民を虐げまくれば、絶対反乱が起きますよ」
皇帝「……」
48 :
そりゃね
49 = 1 :
皇帝「そういうのはちょっと……」
宰相「はぁ」
皇帝「俺としてはその、がっつり善政をやりつつ、みんな幸せなのに反乱が起きちゃう……って感じの」
皇帝「程々に盛り上がって鎮圧される誰も傷つかない反乱、みたいなのが起きて欲しいんだよ」
宰相「ほう」
皇帝「だから、何とかそういう反乱が起こるようにしてもらいたい。頼む、宰相!」
宰相「……」
宰相「出来るかボケェ!!!」
50 = 1 :
宰相「善政されてて、みんな満足してるのに、反乱起こすバカなんかいるかぁ!」
皇帝「ひっ!」
宰相「誰も傷つかない反乱!? んなもんあるかぁ!」
皇帝「あわわ……」
宰相「そんな反乱起こせるアイディアが私にあったら……とっくに私が皇位を簒奪しとるわぁ!」
皇帝「えええええ!?」
宰相「いっそここで簒奪したろかぁ!!!」
皇帝「お、落ち着いて……ね? 俺が悪かったから……」
宰相「このっ! このっ! このっ!」
ボカッ! ボカッ! ボカッ!
皇帝「や、やめてくれえ……! 宰相が反乱するぅぅぅぅぅ……!」
みんなの評価 : ○
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