鳴滝「その通りだ。ディケイドは全てを破壊する！」ﾊﾞﾝｯ

チノ「わかりましたから……」

ティッピー「やれやれ、変なのに捕まってしまったわい」

心ぴょんぴょんしてきた

リゼ「なあ、さっきからチノは何をやってるんだ？」

ココア「んー、なんだか変なお客さんに捕まっちゃったみたい」

リゼ「いるよなー、ああいうの。ホント困る」

ココア「あっ、チノちゃんが戻ってくるよ！」

ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

チノ「疲れました……」

リゼ「おうっ、おつかれ」

ココア「で、なんだったの？」

とりあえず千夜ちゃんがカチドキアームズになるまで予測できました

ぴょんぴょん！

なんだろうこの心が跳ねるような気持ち

ﾋｬｯﾊｰ

心ぴょんぴょんする

チノ「はあ……」

チノ「なんでもディケイドと言う人に気をつけろ、と……」

ココア「ディケイド？　変わった名前だね」

リゼ「気をつけるにしてもどんなやつなんだよ？」

チノ「なんでも世界の破壊者だとか……」

ココア「破壊者！？　物騒だね！？」

チノ「全身マゼンタだと言ってました」

リゼ「それは言われなくても気をつける！」

あぁ^～

大体わかった

ココア「マゼンタってピンクだよね？　可愛いかもー」

チノ「目が緑に光っていて……」

ココア「怖い！」

チノ「バーコードみたいなラインが全身に走っているそうです」

リゼ「そんな奴が来たらすぐにわかるわ！」

ﾁﾘｰﾝ

ココア「うわっ！　来たー！」ﾋﾞｸｯ

リゼ「普通のお客さんだろ！」

チノ「いらっしゃいませ」

士「夏みかーん！」

士「夏みかーん！　夏みかんどこいったー！」

チノ「……」

チノ「……なんだこの客」

心ぴょんぴょんる

ティッピー(やれやれ、また面倒なのが来おったわい……)

士「ん？　なんだこのモジャモジャ」

チノ「これですか？　これはティッピーです」

チノ「一応うさぎです」

士「うさぎ……」

チノ「あの……、それよりご注文は？」

士「夏みかんを……」

チノ「売っていません」

士「いや、そうじゃなくて夏みかんを探してるんだ」

チノ「八百屋さんに行ってください」

チノ「ここは喫茶店です」

士「いや、そうじゃなくて……」

士「まあいい。コーヒーでも貰おうか」

チノ「わかりました」

非売品です

士(しかし……)ｽﾞｽﾞｯ

士(この世界は一見平和そのものだぞ)ｽﾞｽﾞｽﾞｯ

士(コーヒーは美味いし、うさぎがそこらへんにいる)ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ

士(俺は一体何をすれば……)ｽﾞｯ

ココア「チノちゃん！　それよりもさっきの話の続きをしようよ」

チノ「話ってなんの話ですか？」

ココア「さっきの怪人の話だよ！」

士「！？」

リゼ「もういいだろ、その話は」

ココア「良くないよ！」

ココア(チノちゃんはね、今怖い話の練習をしているんだよ)ﾎﾞｿｯ

リゼ(そうだったのか！)

リゼ「そういうことだったら聞きたいな、怪人の話」

ココア「流石だね！　クリスティーナ！」

リゼ「今その名前で呼ぶな！」

チノ「……いいでしょう」

チノ「入りたてほやほやの怪人話です」

ティッピー(そりゃそうじゃろ)

チノ「なんでもその怪人は、全身緑色で目がマゼンタ色だそうです」

ココア「ええ！？　怖い！」

リゼ「なんかさっきと違ってないか！？」

チノ「なんでもいろんな街を回って破壊の限りを尽くしているそうです！」

ココア「更に怖い！」

ｶﾞﾀｯｸ!

ココア「！？」ﾋﾞｸｯ

チノ「！？」ﾋﾞｸｯ

リゼ「！？」ﾋﾞｸｯ

闘いの神ガタック（）

士「今の話……」

ココア「え？」

士「今の話は本当か！？」

チノ「本当かどうかはわかりませんが、そう言う噂が立っています」

リゼ(あのおっさんしか言ってないだろ)

リゼ(しかも色々間違えてるし)

士「そうか、大体わかった」

士(平和な世界だ。そいつを倒せばこの世界での役目は終わるだろう……)

士「それで、そいつはどこに出没するんだ？」

チノ「いえ、そこまではわかりません。ただ気をつけろと」

士「そうか。何かあったら教えてくれ！」ﾀﾞｯ

ﾁﾘｰﾝ

ﾊﾞﾀﾞﾝ!

チノ「行ってしまいました……」

チノ「なんだったんでしょう、あの人」

ココア「不思議な人だったねー」

リゼ「なんでもいいけど金払ってないだろ、あいつ」

ｱｯ!

あ

士(全身緑色でマゼンタの目をした怪人……)

士(まったく心当たりがないが……まあ、大ショッカーの手下だろうが)

士(なんにしても見つけないことには話が進まないな)

士(片っ端から聞いて回るか……)

士「おっ、呼び子がいるじゃないか」

士「おいお前」

シャロ「はい！　フルール・ド・ラパンをよろしくおねがいします！」ﾁﾗｼﾋﾟｯ

士「ああ、どうも」

士「ってそうじゃない！　訪ねたいことがあるんだがいいか？」

シャロ「はあ……、なんでしょう？」

士「ここらへんで怪しいヤツを見なかったか？」

シャロ(おもちゃのカメラをぶら下げた男が一番怪しい！)

シャロ「あっ、そういえばさっきいかにも怪しそうなおじさんを見ました」

士「何！？　それは本当か？」

シャロ「はい、なんでももうすぐ怪人が街に来るって……」

士(そいつに話を聞くのが一番早そうだな……)

士「それで、そいつはどこへ？」

シャロ「あっちの方へ行きましたけど」

士「そうか、ありがとうな」ﾀﾞｯ!

シャロ「なんだったんだろあの人……」

マヤ「なー、昼間言ってたあれ見たー？」

メグ「えー見てないよー」

マヤ「なんかさー、怪人がかっこいいんだよ」

マヤ「こう全身緑でさー、目がピンクに光るの！」

メグ「なんだか怖いよー」

マヤ「そうかー？　かっこいいと思うけどなー」

士(子供たちもあんな噂をしているのか)

士(やはり噂は真実のようだな！　急がなくては！)ﾀﾞｯ


メグ「マヤちゃんってホントにヒーロー好きだよねー」

マヤ「将来は宇宙刑事になるんだー」

士「しっかし、走り回ったら腹が減ったな」

士(飯屋……飯屋……、飯屋はないか……？)

士「おっ」

士(甘……兎……庵……か。まあここでいいだろ……)

ﾁﾘｰﾝ

チヤ「いらっしゃいませー」

士「おう、抹茶でも貰おうか」

士(いい店だな……)

チヤ「気に入ってくれて嬉しいわ」

士「！？　ああ……」

チヤ「和菓子しか出せないけれど、ゆっくりしていってね」

チヤ「お品書き、ここに置いておくわね」

士(行ってしまった……)

士「まあ、ゆっくり選ぶか」

士「……」

士(なんだこの品書き……)

■甘味
　A New Hero. A New Legend…………970円

　目覚めろ、その魂……………………1170円

　戦わなければ生き残れない!………940円

　疾走する本能…………………………930円

　運命の切札をつかみ取れ!…………790円

■お食事
　ぼくたちには、ヒーローがいる……820円

　天の道を往き、総てを司る!………770円

　時を超えて 俺、参上!………………690円

　覚醒! 運命の鎖を解き放て!!………620円

■グッズ
　全てを破壊し、全てを繋げ!…………800円

指南書はよ

士「おーい！　注文いいかー！？」

チヤ「はーい！」

士「この『A New Hero. A New Legend』というのを貰おう」

チヤ「わかりましたー」

――――
――――――――
――――――――――――

チヤ「ご注文の『A New Hero. A New Legend』お待ち致しましたー」

士(大した名前の割にただの四色団子じゃないか)ﾓｸﾞﾓｸﾞ

士「まあ……うまいが……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

チヤ「気に入ってくれて嬉しいわ」

士「しかし、これ色はどうにかならないのか、青は気持ち悪いぞ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

チヤ「赤は炎、青は流水、緑は疾風、紫は地割れを表してるの！」

チヤ「まだまだあるのよ？　隠しメニューにはライジングバージョンがあって……」

士「いっいや、もういい！　それより……」

士「それよりちょっと聞きたいんだが……」

チヤ「なあに？　名前の由来？」

士「違う！」

士「最近怪人がどうとかいう噂を耳にしたんだが……」

チヤ「ああ、それね」

チヤ「さっききた変なお客さんがそんなようなこと言っていたわ」

士「何！？」

チヤ「なんでも顔がシマシマの怪人だって言ってたわね～」

士「シマシマなのか……」

士「それで、名前は……」

チヤ「『全てを破壊し、全てを繋げ』とか言ってたわ！」

士「それはメニュー名だ！」

海東は何を盗むんだろ

ﾊﾞｧﾝ!

ココア「チヤちゃん！　大変だよー！」

チヤ「どうしたのー？　急に」

ココア「おおおおおおかあさんが！」

チヤ「お？」

ココア「チノちゃんのお母さんが帰ってきたんだよー！」

チヤ「あら～、復縁でもしたの？」

ココア「復活したんだよ！」

士「！？」

僕もココアちゃんをファイナルフォームライドしたいです

士「それは本当か！」

ココア「さっきの変なお客さん！？」

士「死者が生き返ったというのか！」

ココア「そうなんだよー！　すごい奇跡だよね！」

チノ「隣りの馬小屋ならともかく、関係ないところで死者復活が起きるなんて……」

ココア「チヤちゃんってたまにひどいこと言うよね……」ﾊﾊｯ…

チヤ「とりあえず行ってみるわ」

士「お、おい」

ココア「なあに？　お客さん」

チヤ「あら、今は私のお客さんよ？」

ココア「そうでしたー」ﾃﾍｯ

士「……」

士「俺もついて行っていいか？」

ココア「いいけどなんで？」

士「それは……」

チヤ「いいじゃない、生き返った人なんて珍しいもの」

チヤ「見てみたいのもわかるわ」

ココア「チノちゃんのお母さんは見世物じゃないよー！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

士「そうじゃない！　もしかしたらそのチノとか言う奴が危ない！」

ココア「な、なんだってー！」

チヤ「まあ！　それは大変だわ！」

チヤ「ニンニク持っていかなくちゃ……」

士「この世界の怪人はニンニクで倒せるのか！」

～ラビットハウス～

リゼ「しかし本当にチノのお母さんなのか？」

チノ「お母さんです！　この人はお母さんです！」

チノ「お母さん……お母さん……」ｽﾘｽﾘ

チノ「ずっと会いたかったよぉ……」ｸﾞｯ

チノ母「お母さんも……会いたかったわ……」

チノ母「チノ……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

リゼ「……」

リゼ(タカヒロさんは今出かけていていない……)

リゼ(……)

リゼ(……死者が生き返るはずなんてないのに)

リゼ「チノ……」

チノ「お母さん……お母さん……」

リゼ「今日は……もう店を締めよう……」

チノ「……」

リゼ「お前も今日はそうしていたいだろう……」

リゼ「……」

リゼ「服、着替えてくるな……」

チノ「……」

ココア「たっだいまー！」ﾊﾞｧｰﾝ!

チヤ「お邪魔するわねー」

士「……」

リゼ「おう、お帰り……」

ココア「あれ？　なんでリゼちゃん私服？」

リゼ「あ、ああ……」

リゼ「今日はもう店を締めようと思ってな……」ﾁﾗｯ

ココア「そうかー。チノちゃんもああしていたいだろうしねー」ﾁﾗｯ

リゼ「ああ、そういうことだから」

リゼ「じゃあな……」

ココア「バイバーイ！」

リゼ(……)

リゼ(なんだったんだ？　あのニンニクをぶら下げた奴は？)

士「おい、ホットココア」

ココア「ん？　なんでフルネーム？」

士「お前の苗字はホットなのか！？」

士「……いや、そうじゃなく……」ﾁﾗｯ

士「アレは本当に母親なのか？」

ココア「んー、わかんない。チノちゃんのお母さん初めて見たし」

士「なんだお前ら、姉妹じゃなかったのか？」

ココア「ええ！？　そう見えた！？」

チヤ「そんなこと言ってる場合！？」

士「おい、そこの女！」

チノ母「……」

士「おい！　聞いているのか！」

チノ母「……今は……今はチノとの時間を過ごさせてください……」

チノ母「お願いします……」

士「……」

士「……チッ」

士「ホットココア」

ココア「なあに？」

士「俺はもう帰る」

士「何か困ったことがあったら言いに来い」

ココア「？　よくわからないけどわかったよ！　任せといて！」

士「頼んだぞ」

チヤ「そういうことなら私もお暇しようかしら」

ココア「えー、来たばっかりじゃん」

チヤ「でもなんだか……いてもいい雰囲気じゃないわ……」ﾁﾗｯ

ｵｶｱｻﾝ……ｵｶｱｻﾝ……
ｱｲﾀｶｯﾀﾖｫ……
ﾁﾉ……ｵｶｱｻﾝﾓﾖ……

ココア「……そうかもね」

ココア「でも……また来てくれるよね！？」

チヤ「……」

チヤ「当たり前じゃない！」ﾆｺｯ

士「……」ﾃｸﾃｸ

ﾏｯﾃｰ

士「……」ﾃｸﾃｸ

ﾑｼｼﾅｲﾃﾞｰ

士「……」ﾃｸﾃｸ

チヤ「まってー」

士「何か用か、和菓子」

チヤ「和菓子！？」

ちやたそ～

チヤ「あなた、何者なの？」ﾃｸﾃｸ

士「それはまだ答えられない」ﾃｸﾃｸ

チヤ「あなた、名前はなんなの？」ﾃｸﾃｸ

士「門矢士……」ﾃｸﾃｸ

チヤ「どこに住んでるの？」ﾃｸﾃｸ

士「ここだ」ﾋﾟﾀｯ

チヤ「ここ？」

チヤ(ここって……)

チヤ(……シャロちゃん家……よね？)