元スレ灼「エバーグリーンズサポ?」哩「ああ」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
全国大会団体戦終了後 東京の喫茶店
灼「白水さんに呼び出された」
灼「何の用だろ…。あ、この店だ」
カランカラン ラッシャーセー
哩「ああ、よう来た」
姫子「こんにちは」
灼「……どうも」
灼(白水さんと、大将の鶴田さん…だけど)
灼(…二人とも、なにあの服…?)
灼(新道寺の制服と違う緑のシャツ……ユニフォーム?)
2 :
貴重な灼ちゃんSS
3 = 1 :
灼「それで何の用ですか?」
哩「うん、その…。阿知賀は、いつ奈良に帰っと?」
灼「?」
哩「個人戦に誰も出らんって聞いたけん…もう東京に用のなか事なら、いつまでこっち居るつもりかと」
灼「……どういう意味ですか?負けたならさっさと帰れと?」ムッ
姫子「部長!そいな言い方せんと!そいぎケンカ売っとーごたる感じやなかですか!」ヒソヒソ
哩「えっ…そがんつもりじゃ…」
灼「…………」
姫子「あ、あの、だからね」
姫子「私ら、ハルちゃんの…、えっと、そちらの監督さんの、実業団リーグ時代の大ファンでね」
灼(…ハルちゃん?)ムムッ
姫子「もしよかったら…。帰る前に、一目でよかけん会わせてもらえたらと思って」
4 = 1 :
灼「それを、なぜ私に?」
哩「君が阿知賀の部長やろう?…それに」
灼「それに?」
哩「あん準決勝で気付くべきやったが…後でようやくわかった」
哩「君の打ち筋、ハルちゃんにそっくりやったね」
哩「そいも、相当昔の…高校の頃のハルちゃんに…」
哩「君も…相当なハルちゃんのファンなんじゃなかと…?」
灼(気安くハルちゃんハルちゃんって……)ムムム
6 = 1 :
灼「監督として尊敬はしていますが…。赤・土・先・生・のファンとか別にないです、そんなの」プイッ
哩「ただでとは言わん…お礼はするったい」
灼「お礼?」
哩「ハルちゃんのエバーグリーンズでの様子なんて、知らなかろ?」
灼「?」
哩「資料やグッズもたくさんあっけん…、当時の話、いろいろ聞かせたるよ」
灼「!」
7 :
ちょろたそ
8 = 1 :
哩「例えばこの試合ユニフォーム…」チラッ
灼(あ、やっぱその服なんだ…)
哩「試合会場だけで配っとったパンフレット… 応援グッズ…」
灼「!」
哩「サポーター会誌にしか載っとらん、当時の写真に牌譜にインタビュー…」
灼「!!」
哩「地元局でしか流れんやった、プレーオフのテレビ中継…」
灼「よくそんなもの東京に持って…」
姫子「阿知賀の監督がハルちゃんって聞いて…。急遽、寮に電話して送ってもろうてね」
哩「うん、今日のためにな」
灼「…………」
哩「興味あっとやろ?」
灼(うう…)
10 :
そしてトシさんとの濃厚な夜の映像…
11 = 1 :
灼(どうしよ…)
灼(正直、凄く見たい…)
灼(実業団リーグのハルちゃんなんて、玄に聞くまで存在すら知らなかったし…)
灼(そこから私が探せたものといえば、ネットにあった最後のプレーオフの話くらい…)
灼(それ以前の話はさっぱり…ましてや写真や牌譜なんて全然…)
灼(実業団リーグの紹介なんて、麻雀雑誌でも多くな…というか、あると分かってたらちゃんと買ってたし)
灼(…………)
灼(でも…)
灼(なんか、負けたくない…)
12 :
それはいいです
13 :
買収なんかに負けない!
↓
14 :
姫子かわいいい
15 = 1 :
哩「ほーれほれー、こんなん持っとらんやろ?ふっふーん」
灼「…ぐぬぬ」
姫子「…あの部長、あんまり煽ったりせんと…」ヒソヒソ
哩「?」
後ろの席
美子「あれ…調子乗りすぎやなかと?」ヒソヒソ
仁美「こげん自慢できる相手、いままでおらんやったけんね…」ヒソヒソ
煌「せっかくの、お仲間が増えるかもしれない機会!すばらな猛アピールです!」ヒソヒソ
17 = 1 :
哩「うっふっふ~、見たかろ~? 無理せんでよかよ~」
灼「………………」
哩「あっそうそう、このユニフォームは直筆サイン入りの限定版で~」
灼「………………」
哩「こっちのグッズはもう入手不可能やし~」
灼「………………」
姫子「…あの…部長…」オロオロ
灼「………………」
ぶちっ
姫子「ぶち?」
18 = 1 :
灼「……のネクタイ」
哩「?」
灼「このネクタイ!ハルちゃんがインターハイでしてたやつ!!」
哩「!」
灼「インターハイの後にもらって!10年ずっと大事にしてた!!」
哩「!!」
灼「毎日部活で麻雀指導してくれるし!私を信頼して部長にしてくれた!!」
哩「!!!」
灼「ホテルでも一緒の部屋に泊まってる!毎晩私が寝るまでそばにいてくれる!!」
哩「うっ…うぐぅ~」
美子「あれ…こっちも割とまずかね?」ヒソヒソ
仁美「そろそろ止めに入っか…」ヒソヒソ
煌「すばら!」ヒソヒソ
19 :
まいるたそポンコツたそ
20 = 2 :
可愛い
21 = 10 :
驚異のポンコツ率
22 :
エースはポンコツになる風潮
23 = 1 :
灼「あ、あと今日着てるのは…前にハルちゃんからもらったクマさんの…」ヌギヌギ
煌「ストーップ!それ以上いけない!」
灼「!?」
哩「花田…」
美子「はいはい、両方とも落ち着いてね」
灼「…新道寺の皆さん…。みんな同じ緑のユニフォーム…」
仁美「女の子が人前で服脱いだらいかんよ」
灼「……すみません、取り乱しました」
美子「まったく…、部長もなんばしよっとね?煽りに来たんじゃなかろーもん?」
哩「う…ごめん」
24 = 13 :
ナンパしよう?
25 = 1 :
美子「驚かせてごめんね、鷺森さん」
仁美「うちの部長も本当に、悪気はなかとよ」
煌「そうです!ただひとえに、みんなで赤土さんにお会いしたいと思いまして!」
灼「…みんなで?」
姫子「そう!」
煌「私達みんな!」
全員「エバーグリーンズサポーター!」
哩「うむ!せーのっ」
煌「とーもにー走れー」
美子「たーたかーえハルーエー」
仁美「勝ー利ー目指しー」
姫子「緑ーのー勇ー者ー!」
全員「VAMOS!」シャキーン
灼「あ、あの、ここ喫茶店…」
26 = 1 :
―応援歌10曲くらい熱唱中―
煌「今日もーひとつーになってー!」
哩「追い求めろー、オレら!と!」
美子「九州ー、福岡のmahjongを!」
仁美「ゆけHAーRUーEー!」
哩「イェーイ!」パシン
姫子「イェーイ!」パシン
煌「イェーイ!」パシン
ピシガシグッグッ
灼「……帰っていいですか」
煌「ああっ!お待ちくださいませ!」
姫子「まずは話だけでも!ね?」
27 = 7 :
あらたそ~
28 = 13 :
~そたらあ
29 = 1 :
灼(……結局話を聞くことになった)
哩「安心してよかよ、悪い話はせん」
煌「ところでエバーグリーンズについては、どの程度ご存知で?」
灼「去年の末に消滅した、実業団リーグのチーム…というくらいしか」
煌「そう…消滅してしまいました…」
哩「せっかく何年もかけて…盛り上がってきて…」
姫子「あと一歩で、プロチームになれるはずやった……」
灼「……それは初耳……」
(※このSSでの話です)
30 = 1 :
哩「チーム自体はそのつもり…。あとはもう、プロリーグ参入ライセンスば取るだけやった」
灼「ライセンス?」
姫子「チームの経営状況とか成績とか、色々審査があってね」
哩「サッカーのJFLみたいなもん…。チームの意向と実績次第で、実業団チームからでも昇格できっとよ」
煌「成績は問題ありませんでした…。プレーオフ出場、それが昇格条件になっていたのです」
姫子「問題は…経営面…」
哩「親会社が…傾きさえしなければ…」グスン
灼「…それはちょっと聞いたことある…」
31 = 1 :
哩「親会社の傾いた理由は知っとーと?」
灼「社運をかけた新商品が失敗したとか、噂では…。でも詳しくは知らないです…」
美子「そう、新商品ね…」
仁美「それも、エバーグリーンズに乗っかろうとして作った関連製品たちが、軒並みな…」
灼「…一体何を」
煌「いろいろとあったんですが…、いくつかこちらに」スッ
灼「大きなバッグ…」
煌「よろしければ阿知賀の皆さんにもと、グッズや製品もいろいろ送っていただきました!」
灼「用意いいですね…」
哩「まずはこれ、公式ドリンクの自社製青汁『エバーグリーン汁』」
灼(あ、これダメなやつだ)
34 :
エバーグリーンって書いてあったから釣りスレかと思ったら違った
35 = 1 :
哩「こいが全然売れんやってな…。何が悪かったんか」
灼「…失礼ですけど、物凄くまずいとか…?」
姫子「味はなんてことない、普通の青汁とよ。普通にまずい」
灼「……まずいんだ」
仁美「もっと味が何とかなれば…私らも喜んで買ったが…」
美子「こればっかりは、さすがにね」
煌「それでも部長は毎朝、エバーグリーンズのためって言って泣きながら飲んでました!すばらです!」
哩「おかげで健康には自信あっとよ」キリッ
灼「……そっすか」
36 = 1 :
哩「食品部門ではこれ、ご当地グルメ『エバーグリーン明太子』」
灼「もう名前だけで嫌な予感が… まさか」
仁美「…そのまさか」
哩「唐辛子の代わりに青汁で漬け込んだ、緑色の明太子ぞ」
灼「…おえっぷ」
美子「試合会場で観戦しながら食べられる、ファストフード的アイテムのつもりが…」
哩「こいもまあ…、さっぱり売れんやったとよ」
灼「当然だと思…」
煌「ご賞味いただければよかったのですが…。なまものですから箱だけで申し訳ありません」
灼「…お気遣いなく」
哩「味もさることながら、緑色の明太子って外見どう見てもイモムs」
灼「言わないでください分かりますから」
37 = 10 :
まさかタラも自分の子供を緑色にされるとは思わなかっただろうなあ
38 = 1 :
哩「そいから一番の原因が…これ」スッ
灼「…化粧品?ですか?」
哩「業界初、わかめ由来の天然色素ば配合した緑色のヘアカラー『フォーエバーグリーン』たい」
灼「わ、わかめ…?」
哩「こいが、びっっくりするほど売れんやったと…」
灼(そりゃ、わかめじゃ……って、)
灼「…まさか、白水さんの髪って」
哩「こいは地毛ぞ」
灼「…はあ」
39 = 22 :
なんでそんな一部の人にしか需要無さそうなものに社運賭けちゃったの?
41 = 1 :
哩「そいが、そいが悔しかとよ…」
灼「?」
哩「私の地毛が緑でなければ…いくらでも買って染めることもできたばってん…」
哩「同じ色やったばっかりに…私が買っても意味が無い…」
灼(いや、そのりくつはおかし……)
哩「売れんやった責任、感じよったい…」
灼「別に同じ色でも…。同じ色の人こそ使えばいいっていうか…」
哩「?」
灼「たとえば将来、白髪染めに使うとか…」
哩「!!!」
灼(「それだ!」ていう顔をされた)
42 :
そろそろ玄ちゃーだして
43 = 7 :
44 = 13 :
玄「おもちがないから行かない」
45 = 1 :
姫子「…でもね、緑ってだけならたぶん、ここまで売れんこともなかっとよ」
灼「?」
煌「ええ、原因は別に…。色のことよりわかめ成分から出る磯の香りが、まーそれはそれは不評でございまして」
灼「えっ」
姫子「ほら、嗅いでみる?」スッ
灼「くさっ!何これ!?」
姫子「あまりの臭いに時間が飛んだような感じがするって、一部のマニアにはウケとったんやけどね」
哩「よければ、鷺森も使わんか?生産終了してしまったけん、ここにある分しかなかばってんが」
灼「いえ、遠慮します」
哩「……そうか」ショボン
灼(…親会社の人たちって、バカなのかな?)
46 :
たぶんワンマン社長が暴走したんだろうな。
47 :
ウィ!ラィ!エッヴァグリ!フォエバーハピネスメイカッドリム!
48 = 22 :
青汁で出汁を取ったとんこつラーメンがないなんて…
49 = 1 :
姫子「会社の方は「絶対売れる!」と自信満々やった様子ばってん…、結果は経営難で廃部の道」
煌「まあ、会社側の問題は我々が言っても仕方ないところですけどね」
煌「しかし、プロリーグに向けて支える気持ちは、皆さんとても盛り上がっておりました」
煌「有志が自主的に集まったりチームに働きかけたりして、色々と準備もしてたんですよ!」
哩「うん。例えば…クラブチームの定番、マスコットキャラのデザインとかな」
灼「マスコット?」
煌「企画段階で終わってしまったので、イラストしかございませんが…はいこちら」スッ
哩「こいが第一候補やった、アライグマのエバー君」
灼(あ、かわい…)
姫子「マスコットと一緒に応援したり記念撮影したり、プリントTシャツやぬいぐるみを売ったり…」
灼「楽しそう」
50 :
これデフォルメされてれば普通にかわいいと思う
みんなの評価 : ☆
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