元スレ偽勇者「ククク……勇者どもの手柄をかっさらってやるぜ」

みんなの評価 : ★
1 :
─ 城下町 ─
ザワザワ…… ガヤガヤ……
町民A「聞いたかよ! ついに勇者様たちが魔王討伐の旅に出るらしいぜ!」
町民B「ああ、聞いた聞いた! 今、王様に謁見してるんだってな!」
町民A「勇者様なら、絶対魔王を倒してくれるぜ!」
町民B「なんたって、かつて魔王を封じた“勇者”の血をひく人だもんな!」
偽勇者「…………」
偽勇者(……ようやくか)
偽勇者(この時を待ってたんだ!)
偽勇者「ククク……勇者どもの手柄をかっさらってやるぜ」
3 = 1 :
まもなく、勇者たちの出発式が盛大に行われた。
ワアァァァァァ……!
「頼むぞぉっ!」 「しっかりなっ!」 「頑張ってえっ!」
勇者「皆さん、行ってきます!」
戦士「俺の剣技で、必ず魔王を倒してくるぜ!」
魔法使い「ボクの魔法なら、魔王なんてチョチョイのチョイさ」
僧侶「私がこの三人を死なせはしません!」
偽勇者(この四人が、勇者パーティーか)
偽勇者(悪いが、お前たちには俺の踏み台になってもらうぜぇ……)
4 = 1 :
─ 村 ─
偽勇者(まずは、近くの村に立ち寄った、か……)
村人「お願いします、たびたび村を襲う魔獣をやっつけて下さい!」
勇者「分かりました!」
戦士「俺たちに任せとけ!」
魔法使い「この程度のことなら、ボクだけでも十分だよ」
僧侶「村のために頑張りましょう!」
偽勇者(よし……こいつらが弱らせた魔獣を、俺がブッ倒して手柄にするとするか)
偽勇者(こういうコツコツとした積み重ねが大事だからな)
5 :
見てみる
6 :
弱らせたのに放置はしないだろ
7 = 1 :
─ 村の近く ─
魔獣「ガルルル……!」ザッ…
勇者「お前が村を襲う魔獣か! いざ勝負!」チャキッ
戦士「十秒で片付けてやるぜ!」スラッ…
魔法使い「やれやれ、つまらなそうな相手だ」
僧侶「回復はお任せを!」
偽勇者(なんだ、大したモンスターじゃねえな)
偽勇者(これじゃ弱らせる前に終わっちまうだろうな……)
偽勇者(ま、お手並み拝見といくか)
8 = 1 :
魔獣「ガルァ!」バッ
バシィッ!
勇者「ぐはぁっ!」ドサッ
偽勇者(え?)
化け物「ガルルァ!」
ドゴォッ!
戦士「ぐええっ!」ドサッ…
偽勇者(お前が十秒でやられてるじゃねえか!)
魔法使い「──いたっ!」ガリッ…
魔法使い「呪文唱えようとしたら、舌噛んじゃった……回復して!」
僧侶「あわわ、どうしましょ、どうしましょ~!」
偽勇者(魔法使いも、紅一点の僧侶も役立たずかよ!)
偽勇者(なんなんだ、こいつら!?)
9 :
ほうほう
10 :
こんな北の果てにもちゃんと勇者サマがいるから安心しろいっ!
ニセもんだけどなぁ!!
11 = 5 :
おや、勇者のようすが…?
12 = 1 :
勇者「くそ~っ!」ブンブン
戦士「まだまだァ!」ブンブン
キンッ! ギンッ!
魔獣「ガルルァ!」
偽勇者(あのモンスターの胴体は頑丈だ! あんな剣さばきじゃとても斬れねえ!)
偽勇者(頭を狙えよ、頭を!)
魔法使い「痛いよ……舌が痛いよ……!」シクシク…
僧侶「わ、私、どうしたらいいんでしょ……!」オロオロ…
偽勇者(後方支援のこいつらはこいつらで、パニックになっちまってるし……)
偽勇者(前線はどうしても頭に血が上るんだから、お前らは冷静じゃなきゃダメだろ!)
偽勇者(ああもう、しょうがねえなぁ!)
13 = 1 :
「勇者と戦士、頭だけを集中して狙え! あと剣を握る時はあまり力むな!」
勇者&戦士「!」ビクッ
勇者「はいっ!」チャキッ
戦士「お、おうっ!」ギュッ…
「魔法使い! 舌噛んだって死にはしねえ! 我慢して、小声で魔法を唱えろ!」
魔法使い「う、うん!」グスッ…
「僧侶! まずは落ちついて深呼吸しろ! お前が落ちつかなきゃ全滅するぞ!」
僧侶「分かりました!」スゥ…ハァ…
勇者「でりゃあああっ!」ブンッ
戦士「どりゃあああっ!」ブンッ
魔法使い「赤き火よ、敵を燃やせ!」ボッ…
ザシュッ! ズバァッ! ボワァッ!
魔獣「グギャアァァ……!」ドサッ
偽勇者(ふう、どうにか倒したようだな……)
14 = 5 :
ナイスアシスト
15 = 1 :
勇者「さっきの声……いったいだれだったんだろう?」
戦士「なんにせよ、あの声がなければヤバかったぜ」
魔法使い「ボクも舌噛んだら、血がいっぱい出て死んじゃうと思ってたから……」
僧侶「あの声のおかげで、私も冷静になれましたわ……」ホッ…
偽勇者(オイオイ、マジかよ……)
偽勇者(こいつらについていって、こいつらが魔王を倒すところまできたら)
偽勇者(こいつら四人と魔王の両方を始末して、俺が丸ごと手柄をいただく計画……)
偽勇者(なんだか不安になってきたぞ)
偽勇者(いや、今日はたまたまこいつらの調子が悪かっただけだ、うん)
16 :
天の声さんじゃないですか
17 = 1 :
─ 村 ─
村人「ありがとうございました……!」
村人「おかげで村が救われました! この包帯と薬草を持っていって下さい!」
勇者「助かります!」
勇者「ですが、また村に魔物や魔獣が現れるかもしれないので」
勇者「村の警備を怠らないようにして下さい」
村人「はい!」
偽勇者(ったく、俺だったらもっといいもんよこせって文句つけるがな)
偽勇者(人のいいヤツだ……)
18 = 1 :
─ 迷いの森 ─
勇者「険しい道だな……。みんな足元に注意して──」
戦士「おう」
魔法使い「いたっ!」ドデッ
魔法使い「っつぅ~……足をすりむいちゃった」
僧侶「今、回復を……」スッ…
偽勇者(バカか!?)
偽勇者(あんなケガでいちいち回復してたら、すぐ魔力切れを起こすだろうが!)
偽勇者(ったく……まるでなっちゃいねえな)イライラ…
19 = 1 :
「僧侶!」
僧侶「へっ!?」ビクッ
「回復魔法なんか使うな!」
「さっきの村でもらった包帯や薬草を使えばいいだろ!」
「そんなケガで魔法を使ってたら、肝心なところで息切れしちまうぞ!」
勇者「この声は、村で俺たちを助けてくれた……!」
戦士「魔法を使うなっていってるぜ?」
僧侶「どうしましょう?」オロオロ…
勇者「ここは……声のいうとおり、魔力を温存しよう」
勇者「僧侶の回復魔法は切り札のようなものだからね」
僧侶「分かりました……では、私が包帯を巻きますわ!」
魔法使い「魔法でも包帯でもいいから早くしてぇ……」ズキズキ…
20 :
僧侶が紅一点ということは
やたら可愛らしい魔法使いはショタっ子か!?
21 = 1 :
僧侶「傷口に薬草を塗り込みましたが……」
僧侶「包帯の巻き方はこんな感じでいいのでしょうか?」グルグル…
勇者「いいんじゃないか?」
戦士「そんなもんだろ」
魔法使い「なんだか、すごく足が締めつけられてるんだけど……」
偽勇者(なんだ、あのメチャクチャな巻き方は!? ふざけてんのか!?)
偽勇者(あんな巻き方じゃ、傷はおかしくなるし、血管は傷めるし、ろくなことねえぞ!)
偽勇者(あぁ~もう!)ダッ
22 = 5 :
そらキレるわな
23 = 1 :
偽勇者「貸せ!」バッ
僧侶「きゃっ!?」
戦士「だれだてめえ!?」チャキッ
勇者「待った! あなたの声は──」
偽勇者「いいか、包帯の巻き方はな……こうしてこうしてこうするんだ」グルグル…
僧侶「なるほど……!」
戦士「すげえ、さっきと全然ちがうぜ!」
魔法使い「わっ、すごく足を動かしやすい!」クイクイッ
勇者「あ、あの……ぜひお名前を!」
偽勇者「名乗るほどのもんじゃねえよ、じゃあな!」ダッ
勇者「行ってしまった……」
24 :
ちょっと気になったんだけど勇者とか魔法使いって元ネタって何?
どのSSでも登場するから、ひょっとして既存のゲームかなんかなのかなーって・・・
それとも完全にオリキャラ想像でいいのかな?
25 = 1 :
勇者「あの後すぐ、巨大植物のモンスターが出てきたけど……」
勇者「僧侶の魔力を温存してたおかげで、どうにか乗り越えられた……」
戦士「あのアドバイスがなかったら、回復が間に合わず全滅してたかもな」
魔法使い「ボクの足も、あの人のおかげですっかりよくなったしね」
僧侶「名前さえ教えてくれませんでしたが、あの人はいったい……」
偽勇者(あの程度の食人植物に手こずりやがって……情けねえ)
偽勇者(俺がかげながら援護してなきゃ、全員食われてたぜ)
偽勇者(しかも、植物モンスターは根を壊さないと復活するっての……)
偽勇者(ま、根は俺が壊してやったけどな)
偽勇者(これも全て、俺が最後に手柄を奪うためだ!)
26 = 1 :
─ 洞窟 ─
暗闇の中を進む勇者パーティー。
フッ……
勇者「しまった! たいまつの炎が消えてしまった!」
戦士「げえっ! 暗くてなにも見えねえよ!」
魔法使い「ボクも火を出そうにも、もう魔力が……!」ボシュッ…
僧侶「ど、ど、ど、どうしましょう! く、暗いのは怖いです、苦手です!」
ドタバタ……
偽勇者(暗闇で一番やっちゃいけないのは、パニックになることだ!)
偽勇者(ただでさえ目が利かないんだからな!)
偽勇者(なんでこいつら、そんなことも知らないんだよ!)イライラ…
27 = 5 :
アフターケアも万全か…
28 :
これは面白い
29 = 10 :
>>24
一応ドラクエ3がこういう系の原点だろうな
30 = 1 :
偽勇者「こっちだ! 俺についてこい!」ボッ…
勇者「あっ、あなたは!? 村や森で俺たちを助けてくれた……」
戦士「アンタ、たいまつ持ってたのか……おかげで洞窟を楽に歩けるぜ!」
偽勇者「いや、これは消す」ジュッ…
魔法使い「な、なんでさ!?」
僧侶「そうですよ! この暗闇じゃ、たいまつは必須です!」
偽勇者「お前らが暗闇に慣れるためだ!」
偽勇者「いいか、暗闇では絶対パニックになるな!」
偽勇者「落ちついて、空気の流れや気配を肌で感じ取るんだ!」
偽勇者「そうすりゃ、そのうち外と同じように動けるようになる! 分かったか!」
勇者「は……はいっ!」
31 :
しかしこの偽勇者
ストーカーである
32 = 5 :
ニセがピッコロさんで再生される
33 = 1 :
ようやく洞窟を抜けた勇者たち。
魔法使い「やったぁ~! やっと洞窟を抜けられたぁ~!」
僧侶「これで暗闇とはお別れですね……だいぶ慣れましたけど」
戦士「太陽がまぶしいぜ……」
偽勇者「少しずつ慣らしていけよ。目がやられちまうぞ」
勇者「あ、あの……ありがとうございました」
偽勇者「あ? 気にすんな。じゃあな」ダッ
勇者「あっ……」
勇者(何者なんだろう……。彼も冒険者だろうけど、俺とは大違いだ……)
勇者「さて、もう少し歩けば“東の王国”だ」
勇者「城に着いたら事情を説明して、魔王討伐に力を貸してもらおう!」
34 = 1 :
─ 東の王国 城 ─
東国王「ふ~む……おぬしらの魔王討伐に協力、か……」
東国王「どう思うかね、大臣」
東大臣「我が国はまだ魔王軍に侵略されておりません」
東大臣「また、侵略されても問題ありません」
東大臣「彼らが勝手にやっていることです。手助けの必要はないでしょう」
東国王「うむ、余もそう思っていた。我が国は魔王など恐れぬ」
勇者「しかし……! 魔王軍は神出鬼没です! 現に他の国では──」
東国王「もう下がりたまえ。余は忙しいのだ」
東大臣「…………」ニヤッ
偽勇者(こっそりついてきたが……あの大臣、犬歯が妙に長くねえか……?)
偽勇者(……揺さぶってみるか)
36 :
しえん
おもしろい
37 = 9 :
ゴクリ…
38 = 1 :
「ヘイ、勇者たち! まだ斬らねえのかい!?」
勇者「へ?」
「城内で人間に化けてる魔物を、謁見中に斬り殺すって手はずだったろ!?」
「モタモタしてんなよ!」
戦士(この声はあの人だが……なんの話だ!?)
東大臣「ちいっ……」シュウウ…
勇者「!?」
魔物「まさかバレていたとはなァ……!」シュウウ…
正体を明かす大臣。
東国王「大臣っ!?」
魔物「スキを突いて勇者たちを暗殺し、その後ゆっくり国を乗っ取る予定だったが……」
魔物「さすがは勇者といったところか!」
勇者(ま、まさか大臣が魔物だったなんて……!)
魔物「まぁいい……。まずは勇者、お前から死ねいっ!」シュバッ
39 = 28 :
手柄譲ってる件
目標は魔王だし良いのか…
40 :
面白い
しえ
41 = 5 :
安定の大臣
42 = 1 :
キンッ!
魔物「むっ!?」
勇者(俺だって、あの人のようになりたくて特訓してるんだ!)
勇者(力をほどよく抜いて、剣を振るうっ!)
ズバァッ! ザクッ! ザンッ!
魔物「ぐ、はァ……!」ドサッ…
勇者「ふう……なんとか倒せた……」
勇者(あの人がいなかったら……俺たちはみんな殺されてただろう……)
勇者「王様、これでも魔王は恐ろしくない、といえますか?」
東国王「い、いや……余が甘かった。まさか大臣が魔物だったとは……」
東国王「我が国も、全力を挙げて君たちをバックアップさせてもらうよ」
勇者「ありがとうございます!」
43 = 1 :
─ 宿屋 ─
戦士「いやぁ~、こんな豪華な宿まで用意してもらえて」フカフカ…
戦士「きわどい場面も多いが、旅は絶好調だな!」
勇者「ああ……」
魔法使い「大臣が魔物だったと知って、王様もとたんに態度を変えたからね」
僧侶「でも、本当に危ないところでした」
勇者「うん……」
勇者「ところで、いつも危ないところで俺たちにアドバイスしてくれるあの人は」
勇者「いったい何者なんだろう?」
44 :
でろりんスレとは珍しい
45 :
ドラクエ3のやりこみ勇者一人旅の奴だな偽勇者。
46 :
偽勇者だけでいいんじゃね?
47 :
偽勇者かっけえ!
48 = 1 :
戦士「俺は最初、勇者の血筋が流れる人間だと思ってたけどよ」
戦士「お前の親戚ってわけでもないんだろ?」
勇者「うん、ちがう。あんな人、見たこともないよ」
僧侶「じゃあ、いったい……」
魔法使い「もしかして、ずっと昔からやってきたかつての勇者、だったりして」
戦士「ああ~……たしかに。あの落ちつき具合は、ベテランって感じだもんな」
僧侶「ロマンがある話ですね」
勇者「勇者……か」
勇者(あの人が何者であれ、実力でいえばあの人こそが勇者に相応しい)
勇者(でもどうして、表舞台に出てこようとしないんだろうか)
勇者(なにか、表舞台に出られない理由があるんだろうか……)
49 = 1 :
東の王国でも、勇者たちは大人気となった。
ワアァァァァァ……!
東国王「たった数日間滞在しただけで、今や余をもしのぐ人気だ」
東国王「これが勇者殿の持つ人徳というものであろうな」
勇者「いえ、そんなことは……」
東国王「いや……余もおぬしをすっかり気に入ってしまっておる」
東国王「大臣に化けていた魔物を倒してくれたこととは関係なく、な」
東国王「おぬしほど誠実な若者はそうはおらぬ」
勇者「そこまでおっしゃっていただけて、光栄です」
東国王「この国を出れば、すぐ“剣の王国”だ」
東国王「世界でもっとも剣術の栄えた国……きっと魔王討伐の役に立つ情報もあろう」
東国王「ぜひ立ち寄ってみるといい」
勇者「はいっ!」
50 = 5 :
不穏な空気…
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