元スレやよい「うっつー!」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
51 :
やよい「……プロデューサー」
P「お、やよい。目が覚めたか」
やよい「ごめんなさい」
やよい「私、プロデューサーにたくさん迷惑をかけました」
P「謝ることなんて、やよいは何一つしてないよ」
やよい「でも、すっごく悪いことしちゃった気がして」
P「俺はプロデューサーだぞ?アイドルに頼られるのが仕事だ」
やよい「……そういう言葉のひとつひとつが、とっても嬉しいかなーって」
P「やよい……」
52 = 51 :
やよい「プロデューサー。お願いがあります」
やよい「私、当分の間、アイドルの活動を……お休みしたいです」
やよい「お仕事が、アイドルが嫌いになったわけじゃありません」
やよい「でも自分でわかったんです」
やよい「今の私は、駄目だって」
やよい「もう一度、皆に元気を与えられるぞ、って思える日が来たら……」
やよい「そのときはまた、この事務所で……」
P(やよいはそこまで言うと、とうとう涙を抑えきれなくなってしまったようだった)
P(この日は結局、俺の車でやよいを家まで送った)
P(玄関では高槻家が総出で待っていて、俺とやよいを暖かく出迎えてくれた)
P(しかるべき治療、家族や自分自身との対話を通した精神状態の改善。そして活動復帰)
P(そういった明るい未来が、そのとき俺には見えたんだ)
P(やよいが765プロに来ることは、もうなかった)
53 :
斬新だな
54 = 51 :
数週間後
『765プロ高槻やよい 活動休止の真相!?』
『貧乏アイドル、その家庭環境』
『高槻やよい 活動当時のギャラ』
小鳥「……予想はしてましたけどね」
P「ええ。各誌にあることないこと書かれてますね……」
P「決定的なネタはまだ掴まれてないみたいですが……時間の問題かもしれません」
小鳥「プロデューサーさん、落ち着いてください」
P「え……落ち着いてないように見えます?」
小鳥「……シャーペン。折れてます」
P「……」
P「ともかく、やよいのところに連絡してみようと思います」
小鳥「そうですね。先週電話したときはわりと元気そうでしたよね?」
P「今もそうだといいんですが……」ピッポッパ
56 = 51 :
ツー ツー ツー
P「繋がらない……。なんとなくですけど、嫌な予感がします」
小鳥「プロデューサーさん」
P「え。なんでしょう」
小鳥「パパラッチには、気をつけてくださいね」
P「……ありがとうございます!行ってきます!」ダダッ
小鳥「……」
小鳥「やよいちゃん……」
57 = 51 :
P(結論から言うと、高槻家には誰もいなかった)
P(書置きが一枚と、見覚えのある財布……べろちょがちゃぶ台の上に置かれているだけ)
P(書置きの内容は端的なもので)
P(順調に癒えつつあったやよいの心がマスコミらの報道によって再びダメージを負ったことや)
P(静かな土地で暮らすことへのちょっとした期待とそれ以上の大きな不安について)
P(あくまで簡潔に記されているだけだった)
P(俺は少し泣いた)
P(泣いた目をこすってべろちょを探ると、中から1000円札が出てきた)
P(お札のふちや透かしの部分の空白には)
P(「ごめんなさい」という小さな字がびっしり敷き詰められていた)
P(俺は、「ああ」とうめき声のようなものを出して、また泣いた)
58 = 51 :
じゃあ完
べろちょじゃない、べろちょろだ
59 :
切なすぎ泣いた
俺が死ぬ気で働いて高槻家に毎日ご飯食わせてやるからやよいには元気でいてほしい
60 :
おつ
もう気安く天使なんて呼んじゃダメだな……
64 :
マスコミは止めをさしたのが自分たちだとは思いもしないんだろうなぁ
65 = 44 :
起きると終わってた
66 :
今日からまた仕事だってのに陰鬱な気分になったじゃねえか…
67 = 44 :
P(あれから1ヶ月と数週間)
P(やよいのことで処理しなければならないことは多々とあったので、すぐにとは行かなかったが、一段落したので)
P(まとまった休みをもらった。社長や音無さん曰く、ひどい顔つきだったらしい)
P(だからといって特にすることはなく、こんな俺から仕事を取ると、あとに残るのはくたびれたスーツと疲労した心だけだった)
68 = 44 :
P(幸いなのは、やよいの件で765プロが内部崩壊しなかったことだろうか)
P(みんないい子たちで、やよいのぶんも頑張ろうとしてくれている)
P(どこかでテレビを見たやよいが笑顔になれるように、と)
P(そんなみんなの強さが、活力が羨ましく思う)
P(かつての俺も、そうだったのだろうか?)
P(今の俺には、なにも、ない)
69 :
やべえこれ 感染力強すぎ
70 :
ほっしゅほしゅ
71 :
重い
72 = 44 :
P(長く電車に揺られ、目指す先は祖母の家だった)
P(とんでもないど田舎で電車は一日、朝と夜に1本。バスは2時間に1本しかない)
P(まだ子供の頃、夏休みなんかによく親に連れられてきたものだ)
P(自然と、人のあたたかさにあふれているような場所だった)
P(だからだろうか、もう祖母のいない祖母の家を目指しているのは)
73 = 69 :
これ Pからまた別の誰かに感染するんじゃね
74 = 71 :
鬱は風邪と同じってのがやっと実感できる
75 = 66 :
Pも鬱になりかけてる…
76 = 44 :
P(電車が目的地に止まった時、俺の他に乗客はいなかった)
P(大人、一人が通るには少々狭い改札を抜け)
P(駅というにはちっぽけで小さな建物をでて、土地を踏みしめた時)
P(懐かしい、土と木々の匂いが鼻腔をくすぐった)
P(俺の頬を一筋、なにかが流れた)
P(俺は、泣いていた)
77 = 44 :
P(祖母の家を目指して歩く)
P(この地を歩けば、よみがえるのは10歳もいかない頃の記憶)
P(泥だらけになりながら、全く価値の無い石を集めたり、土を掘り起こしたりした)
P(虫や魚を捕まえ、親と祖母に自慢もした)
P(祖母の家を目指して歩けば歩くほど、記憶は鮮明になり)
P(まるでここには、幼い頃の俺が存在し、過ごしているかのように錯覚した)
78 = 44 :
P(子供の頃、疲れなど気にせずこの一本道を駆け抜けた)
P(大人になった今、疲れきった心でこの一本道を歩いている)
P(子供の頃、虫取り網を片手に虫を追いかけた)
P(大人になった今、カバンを片手に思い出を追いかけている)
P(子供の頃、100円を握りしめ、駄菓子屋に走った)
P(大人になった今、余計な金銭を持ち歩き、駄菓子屋を通り過ぎた)
79 = 44 :
P(俺は……ここで)
P(俺はここで、全てを終わらせようとしている)
P(俺の色あせていても、懐かしく、大切な記憶がたくさんある、ここで)
P(俺は、最高の親不孝をしようとしている)
P(そんな俺にも、この地はやさしく微笑んでくれているような気がした)
P(そう、思いたかった)
80 = 69 :
おいやめろ
81 = 44 :
P(いつからだろうか、もういない子のことばかりを考えているのは)
P(いつからだろうか、もういない子の影ばかりを追いかけているのは)
P(いつからだろうか、もういない子のそばにいたいと思ったのは)
P(いつからだろうか、もういない子のそばに行こうと思ったのは)
P(いつからだろうか、こんなにも、弱くなってしまったのは……)
82 = 44 :
P(バスで片道1時間はかかる道を、俺は3時間かけて歩いた)
P(不思議と疲れはない)
P(それは、俺がすでに疲れきっているからだろうか?)
P(すでに足の感覚はなく、心の感覚もない)
P(いつの間にか、目の前には思い出の詰まった祖母の家があった)
83 = 44 :
P「ただいま、おばあちゃん」
P(不思議と、そんなことを口にしていた)
P(この瞬間だけは、昔の幼い自分に戻ったような気がした)
P(また、頬を何かが流れた)
84 = 44 :
P(鉢植えの下から鍵を取り出し、家の中に入る)
P(ホコリと古い畳の懐かしいにおいがした)
P(それは、自分を子供の頃に帰すには十分すぎるものだった)
P(ここに来るまでは落ち着いていた心が、感情のダムが決壊する)
85 :
アカン
86 = 44 :
P「ごめん、ごめんな……」
P「俺が、しっかりしないから」
P「俺が、俺が……」
P「ああああぁぁぁぁぁああああーーーーーーーー………」
87 = 44 :
P(それは後悔)
P(それは懺悔)
P(それは逃避)
P(それは言い訳)
P(それは裏切り)
P(それは解放)
88 = 85 :
P君!病室に戻ろう!
89 = 44 :
P(泣け叫んだあと)
P(疲れた心は、壊れた心は、なぜか穏やかだった)
P(もう迷いはない)
P(俺はーーーーーーー……)
人いないかもだが、とりあえず多数決で
やよいと再会
できるか、できないか
下3つくらいで
93 :
バスが通ってるのにとんでもないど田舎とかなめてんのか
94 :
よし
95 = 44 :
P(思い切ってからは早かった)
P(家を徹底的に掃除することにした)
P(幼い頃、そして今の恩返しだ)
P(柱に刻まれている幾つもの跡)
P(裏にあるくみ取り式のトイレ)
P(子供の頃つくった秘密基地の材料)
P(ここには、思い出と優しさが詰まっていた)
96 = 44 :
P(掃除が終わったとき、外は暗かった)
P(そこにあるのは静寂)
P(夏ならば蝉の声でも聞こえたのだろう)
P(自分以外、この世にはいないのではないのかとすら錯覚する)
P(いや、ひょっとするとそうなのかもしれない)
97 = 44 :
P(朝、清々しい)
P(こんな気持は久方ぶりだ)
P(それは、再会の予感)
P(もってきたカバンから真新しいスーツを取り出す)
P(ここに来る前に買ったものだ)
98 = 44 :
P(スーツに袖を通すと、新品特有のゴワゴワした感じがある)
P(はじめてスーツを着た時、親は泣いていた)
P(祖母には、ついぞ見せることがかなわなかった)
P「みていますか、おばあちゃん。そして、ごめんなさい」
99 = 44 :
P(俺は、ネクタイをしっかりと締め、その上から荒縄も締めた)
P(机の上に立ち、柱にしっかりと括りつける)
P(そこには汚い字で)
「Pさんじょうっ!」
P(と書かれていた)
P(幼い自分が、祖母に抱えられ刻んだものだ)
100 :
朝っぱらからなんつーものを…
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