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    元スレ菫「体育倉庫に閉じ込められるおまじない……?」

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    1 :

    「ふぅ。部室の掃除なんて久しぶりにしたな」

    「にしても誰の本だこれ……おまじないの本、って……」

    「……」

    「ま、暇つぶしにはなるだろう」ペラ

    「……」

    「『思い浮かべた人と一緒に体育倉庫に閉じ込められるおまじない』……ふっ、まさかな」

    「……」

    (えっと、十円玉……)

    2 = 1 :

    (これを縦に並べて、心の中で呪文を唱える)

    (そして思い浮かべた人と……)

    「……」

    「……はぁ。一体何をやってるんだ私は」

    「こんなくだらない、神頼みにもならないことに時間を割くなんて」

    (……本当に、どうかしてる。彼女が私の隣の席になってからは特に……)

    「菫」

    「ひぁっ!?」

    「どうしたの? 変な声出して」

    「う、後ろからいきなり話しかけてくるな! いつ部屋に入って来た!?」

    3 = 1 :

    「さっき普通に入った。ぼーっとしてたのは菫だよ?」

    「そ、そうか……」

    「それ何の本? それに、十円玉なんか机に並べて……」

    「そ、そんなことより、部室に一体何の用だ? 今日は休みのはずだが」

    「部室に用事はない。菫を探しに来た」

    「私を?」

    「菫、体育祭の実行委員だったよね」

    「ああ、そうだが」

    「もうすぐ体育祭のリハーサルだから、グラウンドにテント出しといてって福与先生が言ってた」

    4 = 1 :

    「先生が?」

    「うん。菫HR終わったあとすぐにクラスから出て行っちゃったから、伝え損ねたって」

    「そうか……手間をかけさせてすまなかった。今すぐ体育倉庫に行って……」

    「た、体育倉庫!?」

    「? どうしたの菫?」

    「いや、なんでもない……」

    (ま、まさか、な……)

    「そういうことだから、よろしくね」

    5 :

    建て直しですか支援

    6 :

    再び書くのか
    支援

    7 = 1 :


    ――――――

    (……偶然、なのか……?)

    (もし本当におまじないが効いたとしたら、体育倉庫には……)

    「……いや、それこそあり得ない。彼女が体育倉庫に用があるなんて……」

    恒子「あ、弘世さん!」

    「っ!? ……ふ、福与先生?」

    恒子「いやー、探した探した。あ、もしかして宮永さんから話聞いてたりする?」

    「テントの件ですか?」

    恒子「それそれ。小道具係の松実さんにも手伝うように言ってるから、二人で頑張ってね」

    「ま、松実!?」

    恒子「うん。女の子が一人であんなクソ重いもん出せるわけないし」

    (ほ、本当におまじないの効果が……)

    8 :

    ゆきねぇのおまじない

    9 = 1 :

    恒子「ま、ぱぱっとやっちゃってちょうだいな!」

    恒子「あと、先に行った松実さん頑張ってると思うから、出来るだけ早く行ってあげて。そんじゃよろしくー」

    (……こ、こんなことがあり得るのか……?)

    ――――――

    「うぅ……重い……」

    (ほ、本当にいた……)

    「こんなの一人で動かせないよぉ……」

    (松実、宥……)

    「……」

    「あっ、弘世さん」

    「っ……お、遅れて申し訳ない。手伝いに来た」

    10 = 1 :

    「だ、大丈夫です。私もさっき来たばかりだから……」

    (……ま、まずい。ドキドキしてきた。二人きりってだけなのに、こんな……)

    「え、えっと、弘世さん……?」

    「す、すまない。少しぼーっとしていた。早く済ませてしまおう。そっち、持ち上げられそうか?」

    「うん、っと……ご、ごめんなさい、これが、限界です……」

    (全然上がってない……)

    「ほ、本当にごめんなさい! 私全然力なくて、運動も出来なくて……!」

    「そ、そんなにも卑屈になるな。こんな重いもの、普通の女の子は持ち上げられない」

    「でも弘世さんは……」

    11 = 1 :

    「私は、その……部活で鍛えられてるから」

    「麻雀部と……弓道部、ですか?」

    「ああ、弓を引くだけでも随分な力がいるから、計らずしも力はつく。だから私のような女の方が珍しいんだ。松実さんは何もおかしくない」

    「弘世さん……」

    「持ち上げられないなら、持ち方を変えよう。二人で同じ方向から力をかけて引っ張ればいい。こっちに来てここを持ってくれるか?」

    「は、はい。え、えっと、こうですか?」

    「っ……!」

    (ち、近い……一つの取っ手を二人で持ってるんだから、当たり前なんだろうけど……)

    「えっと、それじゃあ引っ張りますね」

    「あ、ああ。呼吸を合わせよう」


    「「いち、にの、さんっ!!」」

    12 :

    へのへのカッパ

    13 :

    リトライか
    支援

    14 :

    待ってた
    支援やな

    15 = 1 :


    ――――――

    「はぁ、はぁ、はぁ……重いです……」

    「出口付近までには持って来れたが……ここからもっと骨が折れそうだ……」

    「外に出て休憩しよう。ここは少し暗いし埃っぽい」

    「はぃ……わかりました……」ハァハァ

    (一緒に体育の授業を受けてて分かってはいたが、本当に体力が無いんだな……少し重いものを運んだけなのにふらふらだ)

    「……手を貸そうか?」

    「だ、大丈夫……私、そこまで貧弱じゃ……きゃっ!?」

    「っと……暗いから足下には気を付けて」

    「あ、ありがとうございます……」

    (……温かい。それに、とても良い匂いが……)

    16 = 1 :

    「あの……」

    「……え?」

    「も、もう大丈夫ですよ?」

    「っ! す、すまない!」

    (わ、私は一体なにを考えて……!)

    「え、えと、それじゃあ外に出ましょうか」

    「あ、ああ。そうだな」

    (……思った以上に重傷なのかもしれない)

    「それにしても……すごくたくさんの機具がありますよね」

    「もうすぐ文化祭だから、奥にしまってあった物を出入り口付近に置いてあるんだろう」

    (こんなにも高く積み上げて……何かの拍子に崩れたら一大事だぞ)

    17 :

    完結支援

    18 = 1 :

    「あっ」

    「どうした?」

    「マフラー奥の方に置き忘れてる……」

    (付けてないと思えば外していたのか……)

    「汚れそうだと思って外したままで……取ってきますね」

    「ああ。奥は暗いけど、一人で大丈夫か?」

    「はい、少しだけ待っててください」



    (……しかし、落ち着かないな……いつもとは違う空間に二人きりというだけで、こんなにも緊張するものなのか)

    (……いや、考えてみれば、彼女と話すときはいつだって緊張しているのかもしれない)

    (何がきっかけだったのか。分からないし身に覚えも無い。気付けば目で追っていて、彼女を意識していて―――)

    「きゃあっ!!」

    「!」

    19 = 1 :

    「どうした宥!? 何があった!?」

    「いたた……ご、ごめんなさい。その、つまずいちゃって……」

    「……はぁ。足下には気を付けろと言っただろ……」

    「ご、ごめんなさい……」

    「怪我はしてないか? どこかひねったとか」

    「ううん、大丈夫。本当に少しつまずいただけだから……」

    「そうか。マフラーは……見つかったみたいだな。ここは思った以上に危ない場所なのかもしれない。早く出よう」

    「うん、そうだね……」

    ――――-ゴゴゴゴゴゴゴ

    (……な、なんだこの音? しかもこれ、揺れてないか……?)

    (ま、まさか……)

    20 = 1 :

    「ひ、弘世さん……ここ、これって……」

    「地震だ! しかもだんだん大きくなってる!!」

    「きゃあ!? ひ、弘世さっ……」

    「こっちだ! 伏せろ宥!!」



    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――――



    「……止んだ、みたいだな」

    「うぅ……怖かったよぉ……」ガクガクブルブル

    「もう大丈夫……安心して……」ナデナデ

    「弘世さん……」

    (しかし大きかったな……震度5~6はあったんじゃないか?)

    (外の様子も気になる……とにかくここから出よう)

    21 :

    密かに続き書くの待ってたんだ
    支援

    22 = 1 :

    「松実さん、立てる? 早くここから出た方がいい」

    「ごめんなさい……あともう少しだけ、ぐすっ、このまま……」ギュウ

    「わ、分かった。急かしてすまない。落ち着くまで待つから、リラックスして」

    (こ、こんなにも強く抱きしめられて……む、胸が……)

    「あうぅぅぅ……」

    (こんなときにまで何を考えてるんだ……落ち着くのは私の方じゃないか……」

    ――――――

    「……ありがとうございます、弘世さん。ぐずっ、もう、大丈夫です……」

    「ほ、本当に大丈夫か? 腰が抜けて立てないんだろう? 無理はしない方が」

    「このままここに居たら、弘世さんまで危険な目に遭います……だから、私のことは置いといて弘世さんだけでも外に……」

    「何を言ってるんだ!?」

    「ひっ」

    「松実さんをここに置いて行くくらいなら死んだ方がマシだ! 二度とそんなことは言わないでくれ!」

    24 = 1 :

    「ご、ごめんなさい……」

    「まだ余震の危険もある。ますます一人にするわけにはいかない。立てないなら私が松実さんを背負うから、とにかく二人で外に出よう」

    「ぐずっ、はい……わかりました……」

    「手を首に回して? そう、それで体を私の背中に預けて。しっかり掴まっててくれ」

    (弘世さんの背中……体はすごく細いのにしっかりしてて……)

    (安心する……あったかい……)

    「……さっきは、その、怒鳴ったりして悪かった。ただ、弱気なことも自分を蔑ろにすることも言わないで欲しい」

    「私にとって松実さんは……」

    「えっ……?」

    「も、もうすぐ出入り口だ」

    25 = 8 :

    こーこ先生か

    26 :

    続ききた!
    支援

    28 = 1 :

    「あっ……扉が……」

    (……出入り口付近にうず高く詰まれていた機具が崩れ落ち、扉を塞いでいた)

    「……あれだけの揺れだ。普通に考えてこうならない方がおかしい」

    「私たち……閉じ込められて……」

    (これもあのおまじないの効力だと言うのか……クソっ)

    (なんて馬鹿なことをしてしまったんだ……私のせいで、松実さんを危険な状況に……)

    「弘世さん、どうしよう……このままじゃ私たち……」

    「……落ち着いて、松実さん。私たちがここに来たことは照や福与先生が知ってる」

    「私たちが校内に居ないことに気付けば、すぐにでも助けに来てくれるはず」

    「だから、それまでは比較的安全な場所で助けを待とう」

    29 = 13 :

    しえん

    30 = 1 :

    「うん、そうだよね……みんな、助けに来てくれるよね……」

    「ああ。だからそれまでは……私が松実さんを絶対に守るから」

    「……うん。ありがとう……」

    (私、また誰かに助けられてばっかり……)

    「とりあえず、さっきの場所まで戻るからしっかり掴まってて」

    ―――――――

    「降ろすぞ」

    「うん……」

    「とりあえず、ここなら余震が来ても物が降ってくることもないし、安全だろう」

    (どうしよう、弘世さんから離れたせいで……寒い……)

    31 :

    なあ…あったかいことしようや…

    32 = 1 :

    「松実さん?」

    「あの、私……知ってのとおりすごく寒がりで……」フルフル

    「さ、寒いのか? この場所が?」

    (確かに今は秋の中旬で、少し前までに比べれば気温は下がって来てはいるが……)

    「うぅぅ……」

    「す、少し待ってて。何か羽織れるようなものを探してくる」

    「あっ……ま、待って!」



    「一人に……しないでください……」ウルウル

    「っ……!?」ドキン

    34 = 1 :

    「す、すまない……でも、ここを動かないことには何も……」

    「私、我慢します……弘世さんがいなくなるくらいなら、寒いままでいいです……」ブルブル

    (あんなにも顔を白くして、体を震わせて……)

    「……」

    「弘世さん……?」

    「その、何も無いよりはマシだと思う。上からこれを着てみてくれ」

    (弘世さんの……ブレザー……)

    「で、でもそれじゃあ弘世さんが……!」

    「バカ言え。冬山に遭難したんじゃないんだぞ……常人は上を脱いでも涼しいくらいだ」

    「あっ……そ、そうですよね」

    「それでも寒いようならまた何か考える。とりあえずはそれで我慢してくれ」

    「ありがとうございます……」

    36 :

    おおちょくちょく加筆されてる

    37 = 1 :

    (弘世さんのブレザー……)

    「あったかい……」

    (……とりあえずは大丈夫、なのか……?)

    「はぁぁ……」

    (しかし、彼女の体質は未だに信じられない……今朝も真冬でもしないような防寒具を着ていたし……)

    (そういえば、始めて彼女と出会ったときも驚かされたな……)

    「懐かしい……」

    「えっ?」

    「あ、いや。その……異様に寒がってる松実を見て、始めて会ったときのことを思い出してな……」

    「始めて会ったときのこと……?」

    38 = 1 :

    「今から1年前くらいの入学式の日だったかな……まだ春先なのにセーターにマフラー、手袋を付けているクラスメイトがいて……それは呆然とさせられたものだ」

    「私、いつもそうなんです。周囲の環境が変わるたびにみんなに注目されて……入学式の日とかは特に……」

    「担任になった福与先生に質問攻めにあって、あたふたしていたのも印象深いな」

    (まあ、あの人の性格の濃さも相まってだが……)

    「あの時は大変でした……緊張して全然喋れなくて……」

    「あんなマシンガントークを受けててまともに受け答え出来る人もそういないよ」クスクス

    「ふふ、そうですよね」

    41 = 1 :

    「……私は、弘世さんに始めて話しかけられた時のことが印象に残ってます」

    「始めて話しかけられた時のこと?」

    「教室の中で防寒具を付けるなんてマナー違反だ。今すぐ取れ、って……」

    「あ、あぁ……あの時のことか……」

    「すごく厳しい口調で注意されて……ふふ、少し怖かったのを覚えてます」

    「ご、ゴーグルにマスクまで付けて来られたら黙って見過ごせるわけがないだろ……」

    「でも私、ああやって注意されたのは始めてでしたから……」

    (小動物のような挙動で涙目になった彼女を責め立てる私は、端から見れば悪役だったな……)

    42 = 36 :

    43 = 1 :

    「そのあと、弘世さんは……」

    「……なかなか指示に従わない松実さんに腹が立って、無理やり防寒具を取ろうとした……」

    「ふふ、あの時はすごく騒ぎになりましたよね。喧嘩だ事件だって……」

    「今でもよく覚えてるし、忘れるわけも無い。あの照に羽交い締めにされるまで止まらなかったくらいだから、よっぽど我を失っていたんだろうな……」

    (思い出すだけで恥ずかしくなる……どうして私はあそこまで……)

    「でも、そのあとはちゃんと仲直り出来ましたよね」

    「学校長直々の許可書を持って来られたからな……最初から事情を説明してくれればよかったものを……」

    「詰め寄られることなんて普段なかったし、ほとんど初対面だったから……上手く話せなくて……」

    「あの時は随分と恥をかいたよ」

    44 = 13 :

    しえん

    45 = 1 :

    「でも私、いけないことをちゃんと注意出来る弘世さんがすごいと思いました」

    「私が弘世さんの立場なら、絶対に……」

    「実際はいけないことじゃなかったんだから結局は私の早とちりだ。冷静に事情を聞き出そうとしなかったのも悪い。改めて、あの時はすまなかった」

    「そ、そんな、とんでもないです……むしろ謝るのは私の方で……」

    「ふふ、今さら昔のことを掘り返すこともない。今ではこうやって仲良く……」

    「「……」」

    「わ、私たちって、普段あんまりお話しませんよね」

    「た、確かに」

    (いつも目で追うだけで、話しかけようなんて……)

    47 = 1 :

    「弘世さんは普段、宮永さんや園城寺さんたちと一緒にいますもんね……」

    「松実さんも、クラスでは姉帯や岩戸、それに妹さんたちと……」

    「「……」」

    「……こ、これを機に互いのことをもっと知れるといいですね」

    「そ、そうだな」


    ――――――――


    (……閉じ込められてから1時間は経ったか……?)

    (未だに助けが来る様子はない。あんなにも大きな地震があったというのに、あまりにも静かすぎやしないか……?)

    「……松実さん、携帯は持ってたりしないか?」

    「ごめんなさい。すぐ戻れると思って、教室に置いたままで……」

    「私も鞄ごと部室だ。期待はしてなかったが、助けを呼ぶのは無理そうだな……」

    50 = 1 :

    (さて、どうしたものか……)

    「私たち、いつまでこのままなんでしょう」

    「結構時間は経ってるのに、まだ誰も来ない……」

    (……何か理由を付けてポジティブに考えたいものだが、どれだけ推測しても……)

    「もしかしたら、ずっとこのまま……」

    「それはあり得ない。明日は体育祭のリハーサルがあるから、この倉庫は絶対に使うことになる」

    「今日中に出られるかは分からないが……明日までには絶対に出られるよ。それは断言できる」

    「そ、そうですよね。ごめんなさい、暗いこと考えちゃって……」

    「この状況じゃ不安になるのも仕方ない。ただ、気持ちを後ろ向きに持っても何も出来ないことには変わらない」


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