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元スレP「覚醒美希は可愛いなぁ」
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春香「ぅえええっ!?」
千早(春香、さっきから驚いてばかりね)
真「やっぱり、ゲームやったんだ……」
美希「みんなもやってみる?」
伊織「あ、あんな物やるわけないでしょっ!」
亜美「ミキミキがオタピーに侵食された……」
伊織「アンタ分かってんの!?あんな物に影響されて、前のプロデューサーと同類よ!」
千早(春香、さっきから驚いてばかりね)
真「やっぱり、ゲームやったんだ……」
美希「みんなもやってみる?」
伊織「あ、あんな物やるわけないでしょっ!」
亜美「ミキミキがオタピーに侵食された……」
伊織「アンタ分かってんの!?あんな物に影響されて、前のプロデューサーと同類よ!」
美希「そっか、プロデューサーといっしょなんだ……」
伊織「そうよ!……って、なんで嬉しそうなのよっ!?」
美希「あはっ☆ そんなことないの。プロデューサーと同じなんて、やだなー♪」ニッコリ
三人「うぐっ……」
伊織(なによアレ!すごく嬉しそうじゃないっ!)
亜美(どういうことだってばよ?)
真(ボクに聞かれても分からないよ!)
伊織「と、とにかく、これ以上妙なマネしないでよねっ!」
亜美「(なんか、亜美達って悪役っぽくない?)」トコトコ
伊織「(うっさいわね!)」スタスタ
伊織「そうよ!……って、なんで嬉しそうなのよっ!?」
美希「あはっ☆ そんなことないの。プロデューサーと同じなんて、やだなー♪」ニッコリ
三人「うぐっ……」
伊織(なによアレ!すごく嬉しそうじゃないっ!)
亜美(どういうことだってばよ?)
真(ボクに聞かれても分からないよ!)
伊織「と、とにかく、これ以上妙なマネしないでよねっ!」
亜美「(なんか、亜美達って悪役っぽくない?)」トコトコ
伊織「(うっさいわね!)」スタスタ
数日後(ダンスレッスン)。
トレーナー「美希ちゃん、もうどんなジャンルのダンスも完璧ね」
美希「ありがとうなの」
伊織「あーあ、でも、仕事が一つもないんじゃ意味がないわよねぇ~」
真「髪切っちゃうから、今までの仕事もなくなっちゃうんだよー」
あずさ「美希ちゃん、ウィッグ着けてみない?」
雪歩「げ、ゲームもやめれば、仕事もきますぅ!」
亜美「そうだよ→、ミキミキ、オタクっぽいよ?」
美希「みんな……」
美希「心配してくれて、ありがとうなの」
全員「ぐっ……」
あずさ「(めげないわね、美希ちゃん)」
真「(もっとキツく言った方が良いのかな)」
雪歩「(こ、これ以上は無理だよぉ!)」
亜美「(どうする、いおりん。正直、今のミキミキには、いろいろ勝てる気がしないんだけど)」
伊織「(……だからでしょ。あんなに頑張ってるのに、評価されないなんて許さないんだから)」
美希「ねぇねぇ、先生! ミキね、今度選材写真を新しくするの!」
トレーナー「へぇー、それは楽しみね。できたら教えてね?」
美希「うんっ!」
全員「ぐっ……」
あずさ「(めげないわね、美希ちゃん)」
真「(もっとキツく言った方が良いのかな)」
雪歩「(こ、これ以上は無理だよぉ!)」
亜美「(どうする、いおりん。正直、今のミキミキには、いろいろ勝てる気がしないんだけど)」
伊織「(……だからでしょ。あんなに頑張ってるのに、評価されないなんて許さないんだから)」
美希「ねぇねぇ、先生! ミキね、今度選材写真を新しくするの!」
トレーナー「へぇー、それは楽しみね。できたら教えてね?」
美希「うんっ!」
事務所
春香「ミキのお仕事、全部なくなっちゃったね……」
千早「そうね、美希だけ担当プロデューサーも決まってないし」
響「う~、どうして律子は、ミキの担当をしてあげないんだ?」
貴音「律子嬢にも、何か思うところがあるのでしょう」
やよい「私達のプロデューサーはダメなんでしょうか?」
真美「いやぁ、人数的にも無理っしょ」
春香「そういえば、私達も美希と会ってないよね」
千早「意図的にスケジュールをずらしているんじゃないかしら」
春香「ミキのお仕事、全部なくなっちゃったね……」
千早「そうね、美希だけ担当プロデューサーも決まってないし」
響「う~、どうして律子は、ミキの担当をしてあげないんだ?」
貴音「律子嬢にも、何か思うところがあるのでしょう」
やよい「私達のプロデューサーはダメなんでしょうか?」
真美「いやぁ、人数的にも無理っしょ」
春香「そういえば、私達も美希と会ってないよね」
千早「意図的にスケジュールをずらしているんじゃないかしら」
やよい「え、どうしてですか?」
千早「多分、万が一にも私達の評価に影響が出ないようにという配慮だと思う」
貴音「高木殿も、美希の活動自粛に当たって随分と憂慮されていましたからね」
春香「そ、そんな………。小鳥さん、今のことについて何か知りませんか?」
小鳥「(はい、はい、前に言われた通りです。なので、そろそろかと……)」
響「ダメさー、電話中だぞぉ」
真美「もう!こんなときに、どこに電話掛けてるんだYO!」
貴音「何にせよ。今、プロデューサーと律子嬢と高木殿が、美希について話し合っています」
千早「それが終わるのを、待つしかないですね……」
千早「多分、万が一にも私達の評価に影響が出ないようにという配慮だと思う」
貴音「高木殿も、美希の活動自粛に当たって随分と憂慮されていましたからね」
春香「そ、そんな………。小鳥さん、今のことについて何か知りませんか?」
小鳥「(はい、はい、前に言われた通りです。なので、そろそろかと……)」
響「ダメさー、電話中だぞぉ」
真美「もう!こんなときに、どこに電話掛けてるんだYO!」
貴音「何にせよ。今、プロデューサーと律子嬢と高木殿が、美希について話し合っています」
千早「それが終わるのを、待つしかないですね……」
社長室。
社長「星井君について、君達の率直な意見を聞きたい」
赤羽根P「頑張っていると思います。今後、きっと結果もついて来るはずです」
律子「……ですが、ネット上には良くない噂も出回っています」
社長「ふむ」
律子「このままだと、765プロ全体のイメージに関わるかもしれません」
社長「律子君の意見について、君はどう考えるかね?」
赤羽根P「……確かに、少々良くない噂も立っているようです。しかし!」
社長「うむ、君の言いたいことは分かった。だが、現状、星井君を担当できる人材もいない」
社長「星井君について、君達の率直な意見を聞きたい」
赤羽根P「頑張っていると思います。今後、きっと結果もついて来るはずです」
律子「……ですが、ネット上には良くない噂も出回っています」
社長「ふむ」
律子「このままだと、765プロ全体のイメージに関わるかもしれません」
社長「律子君の意見について、君はどう考えるかね?」
赤羽根P「……確かに、少々良くない噂も立っているようです。しかし!」
社長「うむ、君の言いたいことは分かった。だが、現状、星井君を担当できる人材もいない」
コンコン、ガチャ。
小鳥「失礼します。社長、お電話なんですが……」
社長「む、分かった。君達、この話はまた後ほどしよう」
赤羽根P「……わかりました、失礼します」
律子「失礼します」
社長「音無君、電話は誰からかね?」
小鳥「……保留になってますので、よろしくお願いします」ペコリ
社長「ん?音無君?」
バタン。
社長「もしもし、お電話かわりました……」
小鳥「失礼します。社長、お電話なんですが……」
社長「む、分かった。君達、この話はまた後ほどしよう」
赤羽根P「……わかりました、失礼します」
律子「失礼します」
社長「音無君、電話は誰からかね?」
小鳥「……保留になってますので、よろしくお願いします」ペコリ
社長「ん?音無君?」
バタン。
社長「もしもし、お電話かわりました……」
翌日。
美希「おはようございますなの~」
小鳥「美希ちゃんおはよう。来て直ぐで悪いんだけど、社長室に行ってくれる?」
美希「え……?」
小鳥「大事な話があるんだって」
美希「あは……ミキ、お仕事もしてないし、クビになっちゃうのかな……」
小鳥「大丈夫」
美希「小鳥?」
小鳥「大丈夫だから、いってらっしゃい?」
美希「……うん」
美希「おはようございますなの~」
小鳥「美希ちゃんおはよう。来て直ぐで悪いんだけど、社長室に行ってくれる?」
美希「え……?」
小鳥「大事な話があるんだって」
美希「あは……ミキ、お仕事もしてないし、クビになっちゃうのかな……」
小鳥「大丈夫」
美希「小鳥?」
小鳥「大丈夫だから、いってらっしゃい?」
美希「……うん」
コンコン。
美希「えと……しつれいしますなの」
社長「やぁ、朝からすまないね」
美希「お話があるって聞いたの」
社長「うむ、ずばり言おう。星井君に仕事の依頼が来た」
美希「え……ほ、ほんと?」
社長「うむ、どうやら他のプロダクションのプロデューサーが、星井君を推薦してくれたようだ」
美希「ど、どうしてミキを?」
社長「……なんでも、一ファンとしてだそうだ。嬉しいことじゃないか」
美希「いち、ふぁん?」
美希「えと……しつれいしますなの」
社長「やぁ、朝からすまないね」
美希「お話があるって聞いたの」
社長「うむ、ずばり言おう。星井君に仕事の依頼が来た」
美希「え……ほ、ほんと?」
社長「うむ、どうやら他のプロダクションのプロデューサーが、星井君を推薦してくれたようだ」
美希「ど、どうしてミキを?」
社長「……なんでも、一ファンとしてだそうだ。嬉しいことじゃないか」
美希「いち、ふぁん?」
社長「頑張れそうかね?」
美希「…………」
美希(ねぇ、プロデューサー。ミキにできるかな?)
――美希には才能がある。本気になれば、ゲームの覚醒美希みたいになれるんだ。
ふふっ、でも、ミキはゲームの中のミキじゃないよ?
――やる前から否定してたら、できるもんもできないぞ?
うん、本当にそうだね。
――頑張ってな美希。
ミキ、がんばるよ。
社長「もし、無理そうだと思うなら……」
美希「ううん、やります……やらせてくださいなの!」
美希「…………」
美希(ねぇ、プロデューサー。ミキにできるかな?)
――美希には才能がある。本気になれば、ゲームの覚醒美希みたいになれるんだ。
ふふっ、でも、ミキはゲームの中のミキじゃないよ?
――やる前から否定してたら、できるもんもできないぞ?
うん、本当にそうだね。
――頑張ってな美希。
ミキ、がんばるよ。
社長「もし、無理そうだと思うなら……」
美希「ううん、やります……やらせてくださいなの!」
本番。
スタッフ「765プロさん、スタンバイお願いしまーす」
美希「はいなのっ!」
赤羽根P「本当に大丈夫なのか? 二曲続けてこんなダンサブルな選曲で……」
美希「うん、他の出演者さんは必ずスローな曲を入れてるから、その分アピールできるって思うな」
赤羽根P「いや、そうじゃなくてだなぁ」
美希「大丈夫なの、今の美希は『覚醒美希』だから、あはっ☆」
スタッフ「765プロさん、本番お願いしまーす!」
赤羽根P「よし、頑張って来い!」
美希「うん、行ってくるの!」ダッ
――
―
~数ヵ月後。
『ベストビューティー・アワード』『ダイナマイト中学生・アワード』
『IA大賞 - MVP』『シャイニングアイドル賞ビジュアル部門』
『ジュエリーベストドレッサー賞』『女性が選ぶ、女の敵タレント№1』
……。
赤羽根P「すごいな、プロデューサーの机がトロフィーで一杯だ」
小鳥「美希ちゃんが『机の上トロフィーで一杯にするの!』って、頑張りましたから」
赤羽根P「ははっ、本当にやってのけるところが美希らしいです」
小鳥「うふふ」
赤羽根P「……プロデューサーは、美希の才能を見抜いてたんですかね」
小鳥「ええ、たぶん」
赤羽根P「じゃあ、美希や皆にゲームを勧めていたのも?」
小鳥「うーん、どうでしょう? 本人は『ゲームでもやってヤル気出さないかな~』って言ってましたけど」
赤羽根P「そ、そんな軽い気持ちだったんですか……」
小鳥「ええ。でも、本当のところは本人にしか分からないですけどね」
ガチャ。
亜美「ただいまー」
伊織「今やってる歌番組に美希が出てるでしょ!」
あずさ「あらあら、伊織ちゃんたら」
小鳥「うーん、どうでしょう? 本人は『ゲームでもやってヤル気出さないかな~』って言ってましたけど」
赤羽根P「そ、そんな軽い気持ちだったんですか……」
小鳥「ええ。でも、本当のところは本人にしか分からないですけどね」
ガチャ。
亜美「ただいまー」
伊織「今やってる歌番組に美希が出てるでしょ!」
あずさ「あらあら、伊織ちゃんたら」
千早「お疲れ様です」
貴音「ただいま戻りました」
春香「プロデューサーさん、お疲れ様です!」
赤羽根P「お、皆帰ってきたな」
響「美希が出てる番組見るさー」
やよい「うっうー!」
雪歩「楽しみですぅ」
真「真美、テレビつけてよ」
真美「おっけ→!」ポチ
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
貴音「ただいま戻りました」
春香「プロデューサーさん、お疲れ様です!」
赤羽根P「お、皆帰ってきたな」
響「美希が出てる番組見るさー」
やよい「うっうー!」
雪歩「楽しみですぅ」
真「真美、テレビつけてよ」
真美「おっけ→!」ポチ
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
生放送歌番組(楽屋)。
律子「うわぁ……大物アーティストばかりじゃない」ゴクリ…
美希「あはっ、律子…さん、出演者リスト見て緊張してるの?」
律子「あんたも少しは……って、美希ももう大物タレントか」
美希「ふふっ、ミキが緊張を解してあげるの。ほれほれ~」ツンツン
律子「んぁっ、ちょっ、どこ触って……んんっ!」ビクンッ
美希「あははっ、やわらかいの~♪」
コンコン。
スタッフ『星井美希さん!ステージへの移動をお願いします!』
美希「はぁい! じゃ、ミキ行ってくるね!」タッタッタッ
律子「うわぁ……大物アーティストばかりじゃない」ゴクリ…
美希「あはっ、律子…さん、出演者リスト見て緊張してるの?」
律子「あんたも少しは……って、美希ももう大物タレントか」
美希「ふふっ、ミキが緊張を解してあげるの。ほれほれ~」ツンツン
律子「んぁっ、ちょっ、どこ触って……んんっ!」ビクンッ
美希「あははっ、やわらかいの~♪」
コンコン。
スタッフ『星井美希さん!ステージへの移動をお願いします!』
美希「はぁい! じゃ、ミキ行ってくるね!」タッタッタッ
ガチャ、バタン。
律子「はぁ、はぁ、美希の奴……」
律子(というか、軽くあしらわれちゃって、これじゃあどっちが……)
テレビ
『では続きまして、星井美希さん!特設ステージからでーす!』
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
律子「ハハ、すごい歓声……」
律子(まったく、一人でここまでやられたら、こっちの立つ瀬がないじゃない)
律子「……だから、あの子の担当だけはごめんなのよ」
律子「はぁ、はぁ、美希の奴……」
律子(というか、軽くあしらわれちゃって、これじゃあどっちが……)
テレビ
『では続きまして、星井美希さん!特設ステージからでーす!』
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
律子「ハハ、すごい歓声……」
律子(まったく、一人でここまでやられたら、こっちの立つ瀬がないじゃない)
律子「……だから、あの子の担当だけはごめんなのよ」
ステージ。
「みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!」
轟く歓声、会場全体がうねり、まるで嵐の海のようだった。
(ねぇ、プロデューサー。ミキは、あなたの目指した形に近づけてますか?)
その問いに返答はない。記憶の中のプロデューサーはその答えを言っていない。
(……ちょっとでも近づけてたら、嬉しいな)
前に、プロデューサーの移籍先を突き止め手紙を送ったことがある。
謝罪、お礼、近況、会いたいこと……色々なことを書き綴った。
けれど、返ってきたのは企業としての事務的な返答だった。
「みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!」
轟く歓声、会場全体がうねり、まるで嵐の海のようだった。
(ねぇ、プロデューサー。ミキは、あなたの目指した形に近づけてますか?)
その問いに返答はない。記憶の中のプロデューサーはその答えを言っていない。
(……ちょっとでも近づけてたら、嬉しいな)
前に、プロデューサーの移籍先を突き止め手紙を送ったことがある。
謝罪、お礼、近況、会いたいこと……色々なことを書き綴った。
けれど、返ってきたのは企業としての事務的な返答だった。
『拝啓
貴社、益々のご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、貴社ご所属タレント様より頂戴しましたお手紙、
当方としましても、大変光栄なお話ではございますが、
やはり、所属を別にするタレントとプロデューサーが、
業務外で会うことは、対外的な印象上、難しい事と存じます。
ご要望に応えられず、誠に申し訳ございません。
末筆ながら、貴社の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
敬具』
(あははっ、あのお返事はあんまりなの~)
曲が始まり、客席も熱を上げていく。
(プロデューサー、ごめんなさい。ありがとう。ミキは元気だよ。それと、会いたいです)
伝えたい言葉を込めて、彼女は輝き続ける。
彼が夢見たトップアイドルとして――。
epilogue
某プロダクション本社(プロデューサー執務室)
大型のテレビ画面には、今やトップアイドルとなった元担当アイドルの姿があった。
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
「覚醒美希は可愛いなぁ」
「何それ、前の彼女引きずってるみたいで、イタイよ?」
と、現担当アイドルによる容赦ない言葉が飛んでくる。
「ぐっ……ったく、可愛くないぞ」
ちくりと反撃に出ると、冷めた瞳に睨め付けられてしまった。
「い、いや、まぁ、ファンの前で可愛ければ良いんだけどさ……」
しどろもどろの呟きは見事にスルーされ、人の隣で退屈そうにその長い髪を弄んでいる
某プロダクション本社(プロデューサー執務室)
大型のテレビ画面には、今やトップアイドルとなった元担当アイドルの姿があった。
『みんなぁー!今日はたくさん楽しんで行ってほしいのー!!』
「覚醒美希は可愛いなぁ」
「何それ、前の彼女引きずってるみたいで、イタイよ?」
と、現担当アイドルによる容赦ない言葉が飛んでくる。
「ぐっ……ったく、可愛くないぞ」
ちくりと反撃に出ると、冷めた瞳に睨め付けられてしまった。
「い、いや、まぁ、ファンの前で可愛ければ良いんだけどさ……」
しどろもどろの呟きは見事にスルーされ、人の隣で退屈そうにその長い髪を弄んでいる
「ところでさ」
「何?」
「なんか用かい?」
この時間は、特になんの予定もなかったはずだ。
「……今度のイベントの衣装、どうしようかと思って」
「ああ、好きに決めていいぞ?」
「………」ジトー
「じょ、冗談だよ……うーん、そうだな~。あ、その制服で出てみるとか!」
「……本気で言ってる?」
「うん、なんか名案な気がしてきた。前々からその制服姿は可愛いと思ってたんだ」
「何?」
「なんか用かい?」
この時間は、特になんの予定もなかったはずだ。
「……今度のイベントの衣装、どうしようかと思って」
「ああ、好きに決めていいぞ?」
「………」ジトー
「じょ、冗談だよ……うーん、そうだな~。あ、その制服で出てみるとか!」
「……本気で言ってる?」
「うん、なんか名案な気がしてきた。前々からその制服姿は可愛いと思ってたんだ」
「………」
「あ、もちろん、嫌なら良いんだぞ? ファン会員向けのライブだし、自由に……」
「これで出る」
無愛想に呟いて、彼女は音もなく立ち上がり、足早にドアの方へ。
「あのさ、プロデューサー。今度のライブも、ちゃんと横で見ててよね」
「? あたりまえだろ?」
「ん」
背を向けたまま、小さく頷いて、彼女は部屋を出て行った。
「あ、もちろん、嫌なら良いんだぞ? ファン会員向けのライブだし、自由に……」
「これで出る」
無愛想に呟いて、彼女は音もなく立ち上がり、足早にドアの方へ。
「あのさ、プロデューサー。今度のライブも、ちゃんと横で見ててよね」
「? あたりまえだろ?」
「ん」
背を向けたまま、小さく頷いて、彼女は部屋を出て行った。
閉めたドアに背中を預ける。
頭を傾け、ドアに耳を寄せる格好になると、微かにあの人の声が聞こえてきた。
『ほんと、立派になったよなぁ~』
まるで、おじいちゃんみたいな物言い。
正直、あの人にとって『星井美希』が何なのか、私には量りかねる。
「当たり前か、自分のことだって分からないのに……」
でも、あの人の目が。
「今度のライブ、頑張ろう」
自分だけに向いていないのは、なんだかすごく嫌だから。
(前の子のことなんて、直ぐに忘れさせてあげるから)
END
頭を傾け、ドアに耳を寄せる格好になると、微かにあの人の声が聞こえてきた。
『ほんと、立派になったよなぁ~』
まるで、おじいちゃんみたいな物言い。
正直、あの人にとって『星井美希』が何なのか、私には量りかねる。
「当たり前か、自分のことだって分からないのに……」
でも、あの人の目が。
「今度のライブ、頑張ろう」
自分だけに向いていないのは、なんだかすごく嫌だから。
(前の子のことなんて、直ぐに忘れさせてあげるから)
END
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