元スレ大男「ガハハ、抱きしめてやるぜぇ!!!」妻「ダメ……壊れちゃう」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 :
52 = 1 :
ある日――
― 町の広場 ―
町長の呼びかけで、住民が集められる。
町長「諸君、仕事や祭りの準備で忙しい中、集まってもらってありがとう」
町長「私も町長として、年に一度の祭りを心から楽しみにしている」
町長「しかしながら、近年は国内で盗賊や山賊による被害が相次いでおり……」
町長「町や村が壊滅的な被害を受ける事例も増えている」
町長「こういった状況を鑑み、我が町でもこのたび国立の警備隊を雇うことになった」
町長「それでは挨拶をどうぞ」
警備隊長「はい」
53 :
タケコプター
54 = 1 :
制服を着た警備隊員がずらりと並ぶ。
警備隊長「皆さん、はじめまして」
警備隊長「このたびは王国から派遣されるという形で、この町の警備を任されることとなりました」
警備隊長「こちらは副隊長です。物静かですが、頼れるのでどうぞよろしく」
副隊長「…………」ズンッ
妻「あの副隊長さん、あなたぐらい大きいわね」
大男「おいおい……まさか乗り換える気じゃ」
妻「バカなこと言わないで」
55 = 1 :
警備隊長「町で行われる祭り、我々も楽しみにしております」
警備隊長「皆様が安心して祭りを楽しめるよう、町の安全をしっかり守っていきたいと思ってますので」
警備隊長「どうぞよろしくお願いします」
パチパチパチパチパチ…
町長「警備隊の皆さんには、空き施設を利用して作った詰所に駐屯してもらうこととなる」
ワイワイ… ガヤガヤ…
「へぇ~、こりゃ頼もしいぜ!」 「町長もなかなかやるじゃん」 「制服がかっこいい!」
すると――
「ちょーっと、待った!!!」
56 = 53 :
プレイバック
57 = 1 :
町長「お前は……チンピラ!?」
警備隊長「君は?」
チンピラ「俺はよォ……よそ者っつうのが大嫌いなんだよ」
子分「ア、アニキ……」
チンピラ「この町はてめえらなんかいなくても、十分守れるぜぇ!」
チンピラ「てめえらみたいな頼りない連中はお断りだ! とっとと帰りやがれぇ!」
警備隊長「頼りない? ……なら試してみるといい」
チンピラ「おもしれえ……鼻血ブーにしてやらぁ!」
ブオンッ!
渾身の拳はあっさりかわされる。
チンピラ「あらっ?」
59 = 1 :
ガシッ!
チンピラ「ぐっ……!」ドザッ
腕を取られ、押さえ込まれる。
警備隊長「私の腕は分かってもらえたかな?」
チンピラ「……とてもよく」
子分「アニキィ……」
ザワザワ…
妻「……できるわね、彼」
大男「ああ、こりゃ頼もしい奴らが来てくれたってもんだ!」
60 = 9 :
妻かわいい
62 = 1 :
― 森 ―
大男「今日もはりきって働くか! ダンスのお立ち台には丸太がたくさん必要だしな!」
木こり「うん!」
順調に木を切っていき――
メキメキ… ズシン…
大男「よぉし、こんなとこにしとくか!」
木こり「…………」
大男「ん? どうした?」
63 = 1 :
木こり「あ、いや……なーんか違和感を覚えてさ」
木こり「なんだろ……この感覚」
大男「どういう感覚だ?」
木こり「分からないけど……なにか妙な気分なんだ……。いつもとは違う森にいるような……」
大男「この森で異変が起こってるってことか?」
木こり「うーん……」
木こり「きっと気のせいだろう! 木こりなだけに! アッハッハ!」
大男「ならいいんだけどよ」
64 :
大男が吉田沙保里に見えた
65 :
大男と木こりのセリフ逆だろ
66 = 1 :
― 町 ―
妻「あら商人さん、こんにちは」
商人「こんにちは!」
妻「肩はどう?」
商人「おかげさまで、肩が軽くて軽くて。両肩だけ、雲の上にあるような感覚ですよ!」グルグル
妻「想像すると怖いものがあるわね」
商人「今度の祭りでは、商人一同でド派手なマーケットを開きますから、期待してて下さい!」
妻「ええ、いっぱいお買い物するわ」
67 = 1 :
警備隊も町内を巡回している。
隊員A「荷物を家まで運んであげようか?」
老婆「ありがとうねえ……」
隊員B「この町で、裏道みたいなのはあるかな? 悪者が逃げ込みそうな……」
子供「んーとねー」
妻(彼らもよくやってくれてるわね)
68 = 1 :
……
……
ヒュゥゥゥゥ…
町に一人の剣士が現れた。
黒剣士「…………」ザッザッ…
町民A「な、なんだあいつ……?」
町民B「全身黒ずくめで……不気味な野郎だぜ」
69 = 1 :
― 酒場 ―
看板娘「い、いらっしゃいませ」
黒剣士「…………」
子分「うわっ……ヤバそうなのが来たっすね。こういうの久々っす!」
チンピラ「黒ずくめの剣士……あいつは……!」
子分「知ってるんすか?」
チンピラ「よその町の情報通から、聞いたことがある」
チンピラ「ヤツは昔、通称≪死神部隊≫っつう国王直属の汚れ仕事ばかり請け負う部隊を率いてたらしい」
子分「汚れ仕事って? ドブ掃除っすか?」
チンピラ「ちげえよ! 暗殺だとか、破壊工作だとか、そういうやつだよ」
子分「ひえ~、おっそろしい!」
70 = 1 :
チンピラ「だが、これからの世に血なまぐさい連中は不要だってんで、その部隊は解体された」
チンピラ「ようするに、お払い箱にされたわけだ。ところがだ」
子分「ところが?」
チンピラ「あの黒い剣士は、血の臭いや人殺しのスリルを忘れられず……今も各地をさまよってやがるんだ」
チンピラ「奴が来るところには、必ず災いが起こるっていうぜ」
子分「マジっすか……! だとしたら、この町もヤベェじゃないすか!」
チンピラ「ああ……ヤツはなんか企んでるはずだ」
看板娘「ご、ご注文は?」
黒剣士「…………」
黒剣士「……ミルク」
看板娘「へ? あ……ミルクですか?」
黒剣士「ああ……頼む」
71 = 40 :
結構登場人物が増えたな
72 = 1 :
チンピラ「おいおいお~い! 酒場でふざけた注文してんじゃねえよ!」ガタッ
子分「ちょっ、アニキ! ヤバイっすよ!」
黒剣士「……ん」
チンピラ「あんたのことは知ってるぜ。昔ヤバイ仕事してたってな」
チンピラ「だけどミルク頼むなんざ、どうやら噂に尾ヒレがついた、とんだお魚野郎だったようだな!」
チンピラ「お魚さんだから、酒場は酒飲む場所ってことも知らねえのか?」
黒剣士「…………」
チンピラ「酒の飲み方知らねえんなら、俺がムリヤリ流し込んでやろうか、あ?」ガシッ
乱暴に胸ぐらを掴む。
73 = 1 :
チャキッ…
チンピラ「え」
喉元に、切っ先が突きつけられる。
黒剣士「喉に穴開けて、そこから酒を流し込んでやろうか?」
チンピラ「…………」ゾクッ…
チンピラ「す、すみませんでした……」
すごすご引き下がるチンピラ。
チンピラ「ありゃあ、俺らの手に負える奴じゃねえ……」
子分「アニキィ……これで三連敗っすよ」
チンピラ「うるせえ!」
74 = 1 :
酒場の外では――
ドヨドヨ… ヒソヒソ…
町民「あ、大男さん!」
大男「みんな集まってどうした? なんかあったのか?」
町民「今、酒場に不気味な剣士が来てて……みんな怖がってんだよ」
大男「不気味な剣士……?」
妻「気になるわね」
町民「あっ、出てきたぞ!」
ドヨドヨ…
黒剣士「…………」ザッ
75 = 1 :
黒剣士「……ん」
大男「…………!」
妻「…………ッ」
黒剣士「はじめまして」
大男「お、おう」
黒剣士「お前たちも武器を持ってるようだな。お前は斧か」
大男「ああ……これでも木こりなんでな」
黒剣士「酒場でケンカを売られて、少々気が立ってるんだ。相手してもらおうか」チャキッ
大男「……来やがれッ!」
黒剣士の一閃に、斧で応戦する。
キィンッ!
76 = 40 :
あげ
77 = 1 :
大男「だりゃっ!」ブオンッ
ガキンッ!
黒剣士「…………ッ!」ブワッ
斧を受け止めた黒剣士が、体ごと飛ばされる。
黒剣士「パワーは凄まじい……だが」ダッ
ギンッ! キンッ! ――ギィン!
大男「うおおっ……!(はええ!)」
黒剣士「力でぶつからず、こうやって技と速さで攻め立てれば――」
79 = 1 :
――ピタッ!
大男の顔面に刃が寸止めされる。
黒剣士「……こうなる」
大男「うぐ……!」
ドヨドヨ…
「マジかよ!」 「大男さんが!」 「メチャクチャ強え……!」
妻「…………」
80 :
期待を込めてage
82 = 1 :
妻「次は……私ね」
黒剣士「来い」
ヒュババババッ
両手から針を投げつけるが――
黒剣士(針は……二十本か)
ビュオッ!
一振りで斬り払われる。
妻「…………ッ」
84 = 1 :
妻「まだよ」
ヒュバババババッ
ビュオッ!
黒剣士「針の狙いは正確無比……だが、パワーがない」
黒剣士「これではいくら投げても、私の急所に刺さることはないな」
妻「くっ……」
子分「アニキ見て下せえ! デコボコ夫婦ですら子供扱いっすよ!」
チンピラ「じゃあ、俺が負けるのもしょうがないってことだよね」
子分「情けなすぎるっすよ、アニキィ!」
85 = 1 :
ピピーッ! タタタッ…
隊員A「コラーッ、なにをやっている!」
隊員B「やめないかーっ!」
巡回していた警備隊が駆けつける。
ザワザワ…
警備隊長「この騒ぎはいったい?」
大男「あ、いや……騒ぎってほどのもんじゃないけどよ……」
妻「ごめんなさい」
警備隊長「そちらの剣士さん、よろしければお話を聞きたいのですが」
黒剣士「…………」
86 = 40 :
期待あげ
87 = 1 :
黒剣士「この町に宿はあるか?」
町民「あ、あっちに……」
黒剣士「そうか」ザッザッザッ
立ち去っていく黒剣士。
警備隊長「あ、待ちたまえ! ……まったく」
ザワザワ… ドヨドヨ…
妻「大丈夫?」
大男「ああ、ケガはねえさ」
大男「それにしても……嵐が来る予感がしてきたな」
妻「うん、この町で何か起こるかもしれない」
89 = 1 :
数日後――
― 広場 ―
ワイワイ… ガヤガヤ…
大男「おぉ~、だいぶ出来上がってきたな!」
大工「ああ、あんたらがいい材木用意してくれてるおかげだよ」
大男「へへへ、いいお立ち台を作ってくれよ! 俺が思い切り踊っても壊れねえくらいのな!」
大工「任せときなって!」
トンテンカン…
祭りの主役となる、お立ち台が出来上がっていく。
90 = 1 :
― 診療所 ―
妻「肩と腰がだいぶ悪いわね」
中年「やっぱり……いつまでも若くないなぁ」
妻「…………」
プスッ プスッ プスッ
中年「き、きくぅぅぅ~! きくぅぅぅぅぅぅぅん! たまらぁぁぁぁぁん!」
妻(私としたことが……ちょっと強く刺してしまったわ)
妻(動揺してる……)
92 = 1 :
……
― 家 ―
大男「今日あたり……来るんじゃねえか?」
妻「うん、そんな予感がする」
コンコン…
ノックの音。
妻「……来たわ」
大男「俺が開けるぜ」
93 = 80 :
見てるぞ
94 = 1 :
ドアを開くと――
黒剣士「…………」
大男「やっぱり……」
妻「来ると思ってたわ」
大男「お久しぶりです……隊長」
妻「上がって下さい」
黒剣士「失礼する」
95 = 40 :
やっぱりな
少し話が見えてきた
96 = 80 :
ご隠居様だったか
97 = 1 :
妻「お飲み物は?」
黒剣士「ミルク」
大男「相変わらず、酒は飲まないんすね」
黒剣士「アルコールは思考力・判断力・身体能力を低下させ、致命的な事態を招きかねないのでな」
大男「ガハハ、隊長らしい答えだ!」
大男「――にしても、≪死神部隊≫が解散してから、何年経ったか……」
黒剣士「その呼び方は好きじゃないが……陛下の『自由にしてくれ』というお達しを受け、我らは解散」
黒剣士「メンバーは皆それぞれ、今では普通人として生きている」
黒剣士「部隊があった頃は、部下たちにおよそ人間らしい生活をさせることはできなかったが」
黒剣士「お前たちのように、平和に暮らしてる姿を見ると、私も嬉しいよ」
99 = 1 :
妻「ミルクです」
黒剣士「ありがとう」ゴクッ
大男「酒は飲まずいっつもミルクでしたよね」
黒剣士「うむ……王国の研究でもミルクは栄養面で優れており、特に骨を丈夫にする成分が豊富だと分かってきた」
黒剣士「クリーミィな飲み心地は精神に癒やしを与え、リラックスさせる効能を持ち、さらに……」
大男「あ、もう語らなくていいです!」
黒剣士「そうか、残念だ」
妻「隊長はミルクを語ると、すぐ早口になるわね」
100 :
まさかのミルクオタク
みんなの評価 :
類似してるかもしれないスレッド
- 姉「へーえ、こんなのやってたんだ」 弟「……ごめん」 (327) - [43%] - 2012/8/26 5:45 ★
- シンジ「ぶすぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」レイ「…そう」 (327) - [43%] - 2012/11/16 3:45 ★
- 美琴「アハハ、はいこれ。アタシの奢りよ」上条「…すまん」 (837) - [43%] - 2010/10/20 21:15 ★★★×4
- ラウラ「なっ、なんだこのすがたは!?」一夏「………カワイイ///」 (945) - [42%] - 2011/4/7 6:01 ★★★
- 女「ブサメンくんちょーおもしろいー!」ブサメン「今度遊ぼうよ!」 (212) - [42%] - 2013/9/14 11:00 ○
- 男「エルフが売ってる」エルフ「買いなさい」ダークエルフ「買え」 (207) - [41%] - 2012/7/8 14:00 ★★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について