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    元スレ男「七つの癖で事件を解決する!」ホジホジ 幼馴染「汚いってば!」

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    1 :

    ホジホジ…

    少年「お、いい鼻くそ取れた!」ホジッ

    「やだ、きたないってば!」

    少年「ちっ、いちいちうるせーな」

    「舌打ちもだめ!」

    少年「…………」パキポキ カタカタ ボリボリ

    「骨ならすのもよくないし、貧乏ゆすりもみっともないし、フケ飛ばすのはばっちい!」

    少年「爪うめえ!」カジカジ

    「爪かじんないの!」

    少年「ちっ、分かったよ、ペンでも回すか……」クルクル…

    「ペン回し……はまだマシか」

    「でも、どの癖もみっともないよ! 大人になるまでに直さなきゃ!」

    少年「いーや、直さない!」

    少年「ぼくは将来、この七つの癖でお金を稼げる大人になってみせる!」

    「バカじゃないの!?」

    3 = 1 :

    ― 鼻ほじり ―



    < 七癖事務所 >

    「……というわけで、マジで開いちゃいました。七つの癖で色んな相談に乗る≪七癖事務所≫!」

    幼馴染「まさか本当に癖で商売を始めるとはね……」

    「最初は客なんか来なかったが、近頃は評判が評判を呼んで軌道に乗ってきた!」

    「これもお前が、助手、宣伝、経理、その他諸々こなしてくれてるおかげだ! ありがとう!」

    幼馴染「はぁ~……なんで私、こんなバカの助手になっちゃったんだろ……」

    「…………」ホジホジ…

    「お、いいの取れた。ほら、やるよ」

    幼馴染「いるわけないでしょ、バカ!」

    「じゃあどうしたらもらってくれるんだよ」

    幼馴染「その鼻くそが10万円ぐらいの価値があるなら、もらってやってもいいわよ」

    コンコン…

    「お、お客だ! ほら、接客接客!」

    幼馴染「はいはい」

    4 = 1 :

    「……宝石を盗まれた?」

    宝石商「はい、今度私が開く展示会の目玉≪真紅なるマグマ≫が盗まれてしまったんですぅ!」

    「すごい名前ですね……どういう宝石なんです?」

    宝石商「天然のルビーです」

    宝石商「大きさはさほどでもないのですが、極上の美しさを誇る赤色をしておりまして」

    宝石商「価格にすれば数千万は下らないという代物です」

    「数千万!」

    宝石商「あれを見たいという関係者は大勢いるのに、このままじゃ展示会を開けません」

    宝石商「私は今度の展示会に人生賭けてたのにぃぃぃぃぃ!」

    「なるほど。で、俺にどうしろと」

    宝石商「警察には届けられません」

    宝石商「≪真紅なるマグマ≫が展示できないと知られたら、私は業界の恥さらしですから」

    宝石商「だから内密に泥棒を捕まえて下さい!」

    「無理ですね」

    宝石商「は!?」

    5 = 1 :

    宝石商「無理ってどういうことだぁ!?」

    「泥棒捕まえるなんて無理ですよ。警察じゃないんだから」

    宝石商「そ、そんなぁ!?」

    宝石商「私はあなたの噂を聞きつけて、ワラをもつかむ気持ちでここに来たのに!」

    (ワラ扱いかよ)

    「ただし」

    宝石商「?」

    「俺の力なら、泥棒を捕まえることは無理でも、展示会を開催することはできますよ」

    宝石商「ど、どういうことです?」

    「その≪真紅なるマグマ≫の写真はありますか?」

    宝石商「もちろんありますが……これです」ピラッ

    「ふんふん、たしかにキレイだ」ホジホジ

    宝石商(鼻をほじり始めた……?)

    「ん~……」ホジホジ

    6 = 1 :

    「はい、どうぞ」ホジッ

    宝石商「……は?」

    「これを≪真紅なるマグマ≫の代わりにして下さい」

    宝石商「貴様、ふざけるなよ! こんなのただの鼻くそじゃないか――」

    宝石商「え!?」

    キラキラ…

    宝石商(なにこの鼻くそ!? ≪真紅なるマグマ≫そのものじゃないか!)

    「これを展示して下さい。絶対バレませんから」

    宝石商「これ……どうやったんです? どうやって作ったんです!?」

    「鼻ほじりを極めたらできるようになったんです。宝石のニセモノ作るのは初めてですけど」

    宝石商「へえ~」



    幼馴染(どんなことでも極めるってのはすごいことだと思うけど、こいつのだけは認めたくない)

    7 :

    すげえ

    8 = 1 :

    宝石商「ありがとうございます! これで恥をかかずに済みます!」

    「いえいえ、俺の鼻くそが役に立ってくれそうで嬉しいです」

    幼馴染「あのー」

    宝石商「はい?」

    「なんだ、助手風情が仕事に口を挟むんじゃない」

    幼馴染「…………」ギロッ

    「ひっ!」

    幼馴染「≪真紅なるマグマ≫展示の件を、新聞などで大々的に宣伝した方がいいと思いますよ」

    宝石商「それはもちろんやってますよ」

    幼馴染「いえいえ、今やってるのよりずーっと派手に。展示会は盛り上がりが肝心ですから」

    宝石商「そうですね、そうさせていただきます!」

    9 = 1 :

    当日――

    < 展示会会場 >

    宝石商「≪真紅なるマグマ≫の警備、しっかり頼むぞ!」

    警備員「はっ!」ビシッ



    「俺の鼻くそがガラス箱に入れられて、警備までつけられて……光栄だなぁ」ウットリ…

    幼馴染「あんた、間違ってもあれが鼻くそだっていうんじゃないわよ」

    「分かってるよ」

    「あ~……でもバラしたい! どうやってこの感情を鎮めよう!」

    幼馴染「お得意の貧乏ゆすりでもしてれば?」

    「そうする」カタカタカタ

    幼馴染(うっさい……)

    10 = 1 :

    ワイワイ… ガヤガヤ…

    宝石商「皆さま、どうぞご覧になって下さい!」

    「これが≪真紅なるマグマ≫ですか!」 「素晴らしい!」 「実物は違いますな~」

    ザワザワ… ガヤガヤ…



    宝石商「おかげさまで大盛況ですよ、ありがとうございます!」

    「いやいや、なんのなんの」

    宝石商「宝石のプロフェッショナルが誰も見抜けないとは、あなたの鼻くそは素晴らしい!」

    「てへへ……」

    宝石商「あとは“本物”が見つかればいいんですがねえ……」

    幼馴染「もしかしたら、見つけられるかもしれませんよ」

    宝石商「え?」

    11 = 1 :

    展示会が終わり――

    宝石商(ふう……展示会はひとまずしのげたか)

    警備員「≪真紅なるマグマ≫は、私が金庫まで戻しておきましょう」

    宝石商「ああ、よろしく頼むよ」

    警備員「…………」ニヤッ


    幼馴染「ちょっと待った」


    警備員「え」

    宝石商「え」

    「え」

    13 :

    おもろい

    14 = 1 :

    幼馴染「あんた、≪真紅なるマグマ≫を盗んだ泥棒でしょ?」

    警備員「!?」ギクッ

    幼馴染「ああやって派手に宣伝すれば、『俺が盗んだのはニセモノだったのか』って思ってくれて」

    幼馴染「もう一回盗みに来てくれると踏んでたのよね~」

    警備員「な、なんのことだか」

    幼馴染「だったら持ち物全部出してみなさいよ。どうせ盗み用の道具とか持ってんでしょ」

    警備員「ぐ……!」

    幼馴染「いっとくけど、この展示品の方がニセモノだから。まんまとかかったわね」

    警備員「ちくしょう……! どけっ!」タタタッ ドンッ

    「うぎゃ!」ドサッ

    幼馴染「観念なさい!」ガシッ

    ドザァッ!

    警備員「ぐはぁ!」

    &宝石商「おお~……」パチパチパチパチパチ

    15 = 1 :

    < 七癖事務所 >

    宝石商「ありがとうございました……!」

    宝石商「展示会を開かせてもらっただけでなく、泥棒を退治して本物を取り戻して下さって……」

    「いえいえ」

    宝石商「ところで……」

    「はい?」

    宝石商「あなたが作った≪真紅なるマグマ≫を500万円で売って下さいませんか!」

    「500万!? ……あんなもんどうする気です?」

    宝石商「私はあの後全てを公表したのですが、あのニセモノが鼻くそだと知ると」

    宝石商「『鼻くそでいいから欲しい』『鼻くそだからこそ欲しい』という方がいっぱい出てきましてね」

    「えええ……」

    宝石商「我々の業界は変わり者が多いですから」

    16 = 1 :

    「うーん……」

    宝石商「お願いします!」

    「いくらなんでも、鼻くそをそんな大金で売れませんよ。お断りします」

    「それと、あれを二度と作るつもりもありません」

    「俺にもホジラーとしてのプライドがあるんでね」

    宝石商「そうですか……残念です」

    宝石商「しかし気が変わったら、いつでも私にお声掛けください!」

    「はい……」

    「…………」

    18 = 1 :

    「おーい」ニヤニヤ

    幼馴染「なに?」

    「聞いてたよな? この鼻くそ、500万だってよ」

    「たしかお前、価値があるならもらってもいいっていってたよな?」

    幼馴染「…………」

    「ほら、やるよ! 受け取ってくれよ!」

    「ほらほら! さぁ! エンゲージリングの代わりだぁ! ほらぁ! 俺の鼻くそ! 受け取れ!」

    幼馴染「いらないっての!」

    バチンッ!

    「ぐほっ!」





    おわり

    19 :

    感動した

    20 :

    続けてもいいのよ

    21 = 1 :

    ― 舌打ち ―



    < 七癖事務所 >

    「いやぁ~、まさか今をときめく女性アイドルにお越し頂けるとは……」カタカタカタ

    「緊張して、貧乏ゆすりが……アハハ」カタカタカタ

    アイドル「どうも……」

    「いや、やっぱり実物は違いますねえ~。特に胸が……」ジロジロ…

    「あの、よかったら握手……」

    幼馴染「こいつとは絶対握手しないで下さいね。いっつも鼻ほじってますから」

    アイドル「は、はい」

    (ちっ、こいつ、余計なことを……!)

    (いくら俺だって鼻ほじった手で握手求めたりしねえよ!)

    幼馴染「ふんっ」プイッ

    22 = 1 :

    「ところで、依頼の内容は?」

    マネージャー「ここからは私が話しましょう」ビシッ

    (いかにも敏腕マネージャーって感じの男だ)

    マネージャー「彼女が今、スキャンダルを抱えてるのはご存じですね?」

    「ええ、週刊誌で読みました。なんでも若手俳優と熱愛のウワサがあるとか……」

    「あの俳優は若いのにしっかりしてるし、相手としては釣り合うかな……なんて」

    アイドル「私、あの人とはなんでもないんです!」

    アイドル「私はあんなしっかりした人はタイプじゃないですから!」

    「そうなんですか、よかったぁ~」

    マネージャー「ほとぼりが冷めるまで、一度私物を持ってどこかに身を隠させたいんですが」

    マネージャー「噂を聞きつけたマスコミの記者が彼女の部屋の前で張ってましてね」

    マネージャー「帰るに帰れないんですよ」

    マネージャー「そこで、あなたにはマスコミを追い払って欲しいんです」

    「分かりました。すぐさまとりかかりましょう」

    23 = 1 :

    < マンション >

    「お~……いるいる」

    「記事のネタを狙ってるハイエナ記者がわんさかと」


    ワイワイ… ザワザワ…

    「絶対スクープをつかんでやる!」 「いや、ウチがいただく!」 「何日でも張り込んでやるぜ」


    アイドル「前より増えてる……」

    マネージャー「まったく……困ったものだ」

    幼馴染「まるで、砂糖に群がるアリみたい」

    「まあ任せといて下さい。あっという間に奴らを追い払ってみせますよ」パキポキ…

    24 = 1 :

    「あの~……」

    ザワッ…

    「ん?」 「誰だい君は?」 「どこの記者?」


    チッ チッ チッ チッ チッ チッ


    ドヨドヨ…

    「なんだこの音?」 「チッチッチッて……」 「時計の音?」


    「皆さん、落ち着いてよく聞いて下さい」

    「この近くに時限爆弾が仕掛けられています」



    ドヨッ……!?

    25 = 1 :

    チッ チッ チッ チッ チッ チッ

    「この音は、カウントの音なんです。もうすぐ爆発しますよ」


    「な、なんだってぇ!?」 「逃げろぉ!」 「ひいぃぃぃっ!」 「押すなバカ!」


    「あ、振動で爆発するタイプだから走っちゃダメ! 歩いて避難して下さいね~!」



    「これでよし、と」

    幼馴染「……やるじゃん」

    マネージャー「素晴らしい! 記者たちに怪我をさせることなく追い払うとは!」

    アイドル「だけど、あの音はなんなんですか?」

    「ああ、あれは舌打ちですよ」

    「こうやってね」チッ チッ チッ チッ チッ

    アイドル「すごい……」

    幼馴染「あまり感心しないでね。図に乗るから」

    26 = 1 :

    < アイドルの部屋 >

    「お~……これがアイドルちゃんの部屋か」

    「いかにも女の子って感じの部屋で、誰かさんの殺風景な部屋とは大違いだ」

    幼馴染「悪かったわね」

    アイドル「おかげで久しぶりに帰ってくることができました」

    マネージャー「さあ、大切な品物だけ持って、すぐに退散しよう」

    アイドル「はい!」

    「…………?」


    チッ チッ チッ チッ チッ チッ


    「なんか聞こえないか? チッチッチッて」

    幼馴染「全然聞こえないけど。空耳じゃないの?」

    「いや、舌打ちを極めたせいか、俺はチッチッチッて音には敏感なんだよ」

    幼馴染「意味が分からない」

    28 = 1 :

    幼馴染「ちょっと! 何やってんの!? 人の部屋を……!」

    「ここから聞こえる……」ガサゴソ…

    「わあっ!」


    チッ チッ チッ チッ チッ チッ


    「なんだこりゃ……? きたねえ字の手紙と……時計のついた変な機械が置いてある」


    ≪ファンを裏切ったビッチに死の制裁を≫


    幼馴染「……これ、爆弾じゃない」

    「マジで!? まさか、本当に爆弾があるだなんて……」

    幼馴染「どっかのバカなファンが記者より早くここに来て、これを仕掛けたんでしょうね」

    「ピッキングしたってことか……ちっ、とんでもねえな」

    幼馴染「時計を見る限り、爆発まで時間がないわ!」

    29 = 1 :

    マネージャー「ひいいいっ! もうダメだ! オシマイだべ~!」

    「!?」ギョッ

    マネージャー「死ぬ前におっかあに一目会いたかっただよ~!」

    アイドル「私がついてるわ!」ギュッ…

    マネージャー「ううう……ありがとう。情けないマネージャーでホントすまね」

    アイドル「ううん、あなたはそれでいいのよ」

    (この子の好みのタイプがどういうのか分かったような気がする)

    「で、どうしよう!?」

    幼馴染「この大きさなら、この部屋ぐらい軽く吹き飛ばせるわね」

    幼馴染「逃がしてなかったら、さっきのマスコミたちも危なかったわ」

    「なら俺たちも逃げないと!」

    幼馴染「どのくらいの爆発になるか分からないのに、そういうわけにもいかないでしょ」

    幼馴染「ハサミある?」

    「鼻毛切るやつなら」

    幼馴染「……それでいいや。貸して」

    30 :

    なかなか面白いな

    31 = 1 :

    「お前、何する気だよ!?」

    幼馴染「決まってんでしょ、爆弾解除よ」

    「決まってるって……お前、やったことあんのかよ!?」

    幼馴染「ないけど、やるしかないでしょ。もう時間ないんだし」

    「ハサミでコード切るのは危ないって! 今時の爆弾解除は液体窒素で凍らすらしいし!」

    幼馴染「液体窒素なんかないでしょうが。それともあんた、鼻から液体窒素出せるの?」

    「30分ぐらいかければ……」

    幼馴染「出せるの!?」

    幼馴染「いずれにせよ、あと数十秒で爆発しちゃう。あんたは二人を連れて逃げて」

    「ふん、お前を置いて……逃げるわけないだろ?」カタカタカタカタカタ

    幼馴染「震えてるけど」

    「これは貧乏ゆすりだ!」カタカタカタカタカタ

    32 :

    どんな鼻やねん

    33 = 1 :

    幼馴染「ふむふむ、どれどれ」

    幼馴染「なるほどね。この配線なら、こことこことここを切れば……」

    「ひっ!」

    パチンッ パチンッ パチンッ


    シーン…


    「あっ、音が消えた!」

    幼馴染「ふぅ~、解除できたみたい」

    「お前、すげえな!」

    「だけど、犯人を捕まえないと根本的な解決にはならないな」

    幼馴染「爆弾作りのスキルがある熱狂的ファンなんてそうそういないだろうし」

    幼馴染「指紋もバッチリ残してるっぽいし……ま、すぐ捕まるでしょ」

    34 = 1 :

    マネージャー「お見苦しいところをお見せしました……ありがとうございます。謝礼は後日」

    アイドル「ありがとうございました! 爆弾に立ち向かう姿、とてもかっこよかったです!」

    幼馴染「いえいえ、大したことはしてませんわ」

    幼馴染「もしまた何かありましたら≪七癖事務所≫へどうぞ」


    「…………」

    「依頼を受けたのは俺なのに、結局あいつが主役になってるじゃねえか……ちっ」





    おわり

    35 = 1 :

    ― 貧乏ゆすり ―



    老人「待ってくれ! お金はたしかに返したのに!」

    大富豪「たしかに返済していただきました。借金を踏み倒す輩も多い中、見上げたお方だ」

    大富豪「しかし、期日を過ぎてからの返済だったというのも事実です」

    老人「ほんの半日足らずじゃろうが!」

    老人「しかもわしはちゃんと期日に返しに行ったのに」

    老人「あんたが居留守を使って、受け取らなかったんじゃろうが!」

    大富豪「居留守なんて使ってませんよ。本当に留守だったんです」

    老人「見え透いたウソを……!」

    大富豪「とにかく、このあなたの≪家宝≫は、約束通り私が頂きましょう」

    老人「返してくれぇぇぇ……」

    36 = 1 :

    < 七癖事務所 >

    「家宝を取り戻してほしい?」

    老人「そうなんじゃ!」

    老人「あの大富豪は、ああやって金を貸した者に抵当として家宝や名品珍品を差し出させ」

    老人「あとになって難癖をつけ、たとえ金を完済してもそれを奪ってしまうんじゃ!」

    老人「そうすれば、ほとんど身銭を切らずに貴重な品を集めることができる……」

    老人「まったくとんでもないコレクターじゃよ!」

    「そうやって、他人の大切なものを奪うのを楽しんでるんでしょうねえ」

    「ちなみにあなたの家宝って、どんなものなんです?」

    老人「世にも珍しい……≪しゃべる人形≫じゃ!」ドヤッ

    (うさんくせー……)ホジホジ

    幼馴染(うさん臭い……)

    37 :

    あたまおかしい(褒め言葉)

    38 = 1 :

    老人「あれがなくなったら、わしはご先祖様に申し訳が立たぬ!」

    老人「どうか……引き受けて下され!」

    「分かりました」

    「必ずや家宝を取り戻してみせましょう!」パキポキ…

    老人「おおっ、ありがとう!」



    「…………」

    幼馴染「…………」

    「というわけで、さっそく大富豪について調査してくれ!」

    幼馴染「はいはい」

    39 = 1 :

    < 大富豪の豪邸 >

    大富豪「おおっ、我が家の名品珍品をぜひ見たいと?」

    大富豪「かまわんよ! 私は君たちのようなお客が来るのをいつも楽しみにしておるのだ!」

    「いやぁ~、楽しみだなぁ~!」

    幼馴染「ありがとうございます!」



    (調査によると、こいつは品物を集めるだけじゃなく、見せびらかすのも大好きだという)

    (だから俺たちは≪宝物マニア≫だなんて即興の身分を偽って、訪ねてみたが……)

    (どうやら幼馴染の調査通りだな)

    40 = 1 :

    大富豪「これは、≪象牙で作った入れ歯≫だ」

    「おぉ」

    大富豪「こちらは≪穴のないシャンプーハット≫……珍しいだろう?」

    「へえ」

    大富豪「これは世界一つまらない≪クソゲームウォッチ≫。私もプレイしたが一分で飽きたよ!」

    「ほぉ~」

    「……どれも素晴らしいですね!」

    大富豪「そうだろう、そうだろう」

    (なにが素晴らしいのか分からねえ)

    大富豪「この人形は≪しゃべる人形≫だ。最近、入手したのだよ」

    人形『…………』

    (これがあのじいさんの家宝か……)

    「可愛らしい女の子の日本人形ですけど、なにかしゃべったんですか?」

    大富豪「いや、それがさっぱりでな。機械が入ってるわけでもないし」

    (やっぱり眉唾物か)

    41 = 1 :

    「本日は誠にありがとうございました!」

    幼馴染「有意義な一日になりましたわ」

    大富豪「いやいや、喜んでもらえて嬉しいよ」

    「しかし、よくもまあこれだけ貴重な品を集められたものですね。まるで博物館だ」

    「絶対に譲らないって人も多かったでしょうに」

    大富豪「そこは誠意だよ、君。誠意を見せれば、どんな貴重な品物だって手放してくれるのさ」

    (ちっ、よくいうよ……)

    (じゃ、そろそろ始めるか。じいさんの家宝を取り戻してやらないと)

    「ところで……私もぜひお見せしたい品物がありましてね」

    大富豪「ほう、なにかね?」

    42 :

    クソゲームウォッチちょっと欲しい

    43 = 1 :

    「これ……なにかご存じですか」ホジッ

    大富豪「なんだね? その小さな装置のようなものは……」

    幼馴染(今、鼻で作ったわね……)

    「これ、小型の≪地震発生装置≫なんです」

    大富豪「なんだって……!?」

    「正確には振動発生装置とでもいうべきでしょうが……」

    「これを、お宅のあちこちに取り付けさせていただきました」ニヤッ

    大富豪「ウソをつけ! そ、そんなものあるわけが……」

    「あるわけがない。と、あなたは言い切ることができない」

    「なぜなら、あなた自身がそんな“あるわけがないもの”を集めてきたわけですから」

    大富豪「ぐ……!」

    「これを、私の体にくっつけてみましょう」ピトッ

    「そして――」

    44 = 1 :

    「震度3」カタカタカタ

    大富豪「!?」

    「震度5」ガタガタガタ

    大富豪「な……!?」

    「震度6」ガタガタガタガタ

    大富豪「わわっ!」

    「震度7」ガタガタガタガタガタガタ

    大富豪「うわあああぁぁぁぁぁ!」

    45 = 12 :

    脚力どうなってんだ

    46 = 1 :

    「これが屋敷中至るところに仕掛けてあり、私はいつでもそれを作動させられる」

    「私のいいたいこと、もうお分かりですね?」

    大富豪「なにが望みだ……金か?」

    「金ではありません」

    大富豪「地位か? 名誉か?」

    「違います」

    大富豪「私の体か!?」

    (なわけねーだろ!)

    (ここであのじいさんの宝だけ取り戻すのは不自然だな)

    「あなたが手に入れた“お宝”のうち、理不尽な手段で手に入れたものだけ……」

    「全部返してもらいましょうか」

    大富豪「そ、それは……」

    「…………」ガタガタガタガタガタ

    大富豪「わ、分かった! 返す! 返すからぁぁぁぁぁ!」

    47 :

    炭酸抜きコーラのSS書いてた人かな
    面白い

    48 :

    これぞSSってくらいキレイにまとまってて面白い

    49 = 1 :

    ゴチャッ…

    「これで全部か」

    「わけ分からんガラクタをいっぱい押しつけられたような気分だ」

    幼馴染「どうすんの、これ?」

    「お前に任せる。持ち主を捜し出して、返却してくれ」

    幼馴染「“してくれ”……?」

    「丸投げして大変申し訳ありませんが、返してあげて下さい……!」

    幼馴染「はいはい」

    50 = 1 :

    < 七癖事務所 >

    老人「おおっ、ありがとう! 君たちに依頼してよかった!」

    人形『…………』

    「この程度の依頼は“朝の爪かじり前”ですよ」カジカジ

    幼馴染「汚いからやめて!」

    幼馴染「ちなみにこの人形、どういう時にしゃべるんです?」

    老人「誰かがギャグや冗談をいうと、それを評価してくれるんじゃよ」

    (うさんくせー……)

    幼馴染(うさん臭い……)


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