元スレ和「え? どの学年が一番強いかですか?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
151 = 1 :
哩(向こうの捨て牌を見る限りは……萬子の染め手が濃厚……中は松実宥が今さっき切った一枚しか見えとらん。仮に、中のツモ切りが、既に三枚抱えての槓子落としやったとしたら……混一中で満貫。
中でカンせんかったのも……裏ドラば期待せんとダマで通すつもりやったから……ってことならつじつまも合う……やけど……)
哩(新子の裏をかいて直撃を取ったこと……それに新子の鳴きを封じとることもあるけん……思っとる以上に松実宥は駆け引きに長けとる……素直に萬子染めやと捉えるんは危険かもしらん……)
哩(染め手やないとしたら……567の三色も考えられっとね……そいたら危なかとこは唯一赤くない六索……ばってん……六索はもう純カラ……なら三色は三色でも同刻……?
いや……五筒が三枚見えとる……七萬は松実宥自身が切っとうし……三色同刻もなかね。やったら……赤絡みのタンピン……萬子染めと見せかけての……四・七筒待ちか五・八筒待ち辺りが本命やろか。
中が場に一枚しか見えとらんのが不気味やが……さっきの松実宥の中切りは単に手に中がなかったけんツモ切った……と考えられなくもなか……)
哩(となると……この浮いた一索……松実宥が中ば持っとれば……或いは単騎待ちもありえるとこやけど……中ば持っとらんかったら断ヤオと絡められない一索待ちはほぼありえん……あるとしても萬子一通確定とかそげん感じやろ。
ただ……松実宥は序盤に手から九筒の対子を落としとる……雀頭を落としてまでわざわざ一索単騎にするのはさすがに回り過ぎと……普通に良形でツモを狙えばよか。
たとえ直撃狙いでヤオ九牌待ちにするとしても……もし私が松実宥なら……九筒対子を落とさず一索とシャンポンにすっとね……)
152 = 1 :
哩(これで……大体ありえる可能性は当たっとうやろ……一索待ちは現状最もありえなさそうなとこや。
それに……過去の松実宥の牌譜ば見ても……七索・三筒・七筒とくっつけられる九索・一筒・九筒は残すことが多かばってん……一索は傍の二・三・四索が赤くないけん必ず浮く……松実宥にとっては赤くても使いにくか牌……序盤に捨てることも少なくなか……。
ここはやはりタンピンば濃厚……一索は……通るとね……!!)
哩「……通らば……リーチと……!」タンッ
哩、長考の末、一索切りリーチッ!!
しかし……北九州でも屈指の打ち手・新道寺部長・白水哩は、一つだけ読み落としをしていた……!!
松実宥――阿知賀の赤牌使い――その麗しき真っ赤な羽を……!!
宥「通りません……ロンです」パラララ
手牌とともに開かれる――荘厳なる真紅の羽……!!
哩(な……ん……やと……!!? これは……これを門前で作れるやつがおるんか……!!!)
憧(出た……! これは……部活でも滅多に拝めない宥姉の超必殺……!! 緑一色と対を成す……言わば赤一色……!!)
宥「混一中対々三暗刻赤一……24000は……24600です」
宥手牌:115[5]577799中中中:ロン1:ドラ②
哩(べ……紅孔雀……!!? そげなん考慮できんわ……!!!)
153 = 88 :
なげーwwww
154 = 145 :
宥ねぇ哩さん相手に上をいくんか
155 = 1 :
哩、痛恨ッ!!
しかし、無論、この程度で参る哩ではないッ!!
哩(いや……見た目の美しさに惑わされたらいけん……いくら古役の役満とはいえ……実際の点数は親倍……ツモり四暗刻やったことを思えば……傷は浅かったほうとね……)
哩、苦笑。
哩(まさか……全国でも見せんかったそげん大技を持っとったとは……完全に私の読み負けと……これは痛かね……やけど……痛かことも苦しかことも……私にとってはむしろ……望むところ……!!)
哩、ドMッ!!
哩(礼を言わんといけんな……松実宥……今の一撃で目ば覚めた……そうや……この場におるんはインターハイの決勝に上り詰めた打ち手……姫子のことだけ考えてて勝てる相手やなかとね……そいたら……こっちも覚悟ば決めっとよ……!!)
宥(あ……なんか新道寺の人がすごく活き活きし始めた……これは気をつけないと……すぐにひっくり返される……かも……)
哩(私にも私の意地ばあるけん……姫子には悪か思っとうけど……優先順位は変更や……何よりもまず……この場でトップに立つ……!!! 北九州の力……見せてやっとよ……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
哩、本格始動ッ!!
憧:81700(-9100) 尭:119300(-5300) 哩:73200(-26000) 宥:125800(40400)
156 :
追い付いた支援
憩ちゃんが大活躍でよかった
そして宥姉つぇぇ
157 = 1 :
@実況室
すばら「部長おおおおおおおおおおお!!!!?」
純「そう取り乱すなよ煌ちゃん、あんなん誰だって読めねえって。松実宥の手牌が索子に染まってたパターンがまず珍しいし、その上唯一の萬子をぎりぎりまで手に抱えて迷彩を張ってたんだからな。
どう見たって萬子の染め手か、ありえてタンピン……99パーセントの人間がそう考えるだろ」
菫「それに、今の一撃で白水選手の目の色が変わりましたね。やっとこの場に集中し始めたというか……なんにせよ、ここからは白水選手も黙っていないでしょう」
初瀬「しかし、さすがに親倍は重たいのではないでしょうか……?」
菫「まだ勝負は東二局です。結果は見えていませんよ。清澄の片岡選手のように起家でリードしてそのまま逃げ切るタイプもいれば、ラス親で追い上げるのを好むタイプもいます。
インターハイを見る限り、白水選手は多少のビハインドという手枷足枷があったほうがより燃え上がるタイプのようですから、逆転は十分可能でしょう」
すばら「果たして白水部長の反撃はあるのでしょうか!? あってほしいっ!! 東二局は三本場に突入ですっ!!」
純(随分と白水寄りの実況だなオイ……)
158 = 1 :
@対局室
東二局三本場・親:宥
哩(三本場まで行きよると……リザベーションは使いにくか。そいけん……この場は縛りもなんもなか普通の麻雀……)タンッ
哩(縛りがあったほうが興奮するけん……私は好いとうが……成績的には……普通に打ったほうが安定しとるし勝ちやすか……)タンッ
哩(姫子にだけは……私がリザベーションば使っとるかどうかわかる。使ってもおらんところで……純粋な麻雀の技術と経験で……競り負けるような打ち方しとったら……姫子に笑われっとね……)タンッ
哩(やけん……この場は絶対に負けられん……見とれ……松実宥……親倍なんぞすぐにひっくり返したるけんな……!)タンッ
十巡目
哩「ツモ。メンタンピン三色ツモ……3000・6000は3300・6300」パラララ
宥(綺麗な和了り……確か……新道寺の白水さんは自ら手を縛るような打ち方をするときがあって……次の半荘……同じ局でそれの倍の飜数で鶴田さんが和了ることが多いっていう話だったけど……ここはなんの縛りもなく打ったって見ていいのかな……。
私の手も悪くなかったけど……普通に打った白水さんはそんなのお構いなし……この人……縛りがなかったらどれだけ強いんだろう……)
憧(ヤバイヤバイヤバイ……!! 順調に削られてる……!! た……立て直さないと……!!)
尭深(……)
憧:78400(-12400) 尭:116000(-8600) 哩:86100(-13100) 宥:119500(34100)
159 = 12 :
> 哩、ドMッ!!
おいwww
160 = 1 :
東三局・親:憧
憧(親……もう渋谷尭深がどうこうとか言ってらんない……! マイナスのままオーラスに突入したらそれこそ取り返しがつかなくなる……けど……宥姉が捨て牌を絞ってくるせいでさっきから全然チーができない……!)タンッ
尭深()タンッ
哩「チー」タンッ
憧(鳴いた……!? 白水哩……何を狙ってんの……?)
宥()タンッ
憧(な……鳴けない! 鳴きたい! ってか泣きたいっ!!)タンッ
尭深()タンッ
哩「……ツモ。断ヤオ……300・500」パラララ
憧(安っ!! 人のこと言えないけど安っ……!! さっきハネ満和了ってたのと本当に同じ人……!? わっけわかんないって!)
哩(リザベーション・ワン……クリア……!!)ゴッ
憧:77900(-12900) 尭:115700(-8900) 哩:87200(-12000) 宥:119200(33800)
161 = 150 :
いいまわしがアカギとかのそれっぽいな・・・
162 = 1 :
@特別観戦室
姫子(部長……! ありがとうございますっ!! 二飜キー……ゲット!! これで宮永照の連荘ば止めますっ!)
穏乃「ああああ憧の親番がああああああ!!!」
かおりん「し、穏乃ちゃん、落ち着こう……? え、えっと、ほら、宥さんが憧ちゃんの分まで稼いでるから……阿知賀全体はプラスだよ?」
穏乃「はっ! 確かに……! じゃあ……いいのか……? よしっ! 憧の分まで頑張って、宥さんっ!!」
姫子(いやいや……それはおかしかよ……)
照「……」ガタッ
姫子(え……? チャンピオンなんでいきなり立ち上がっとん?)
穏乃「ん、宮永さんのお姉さん……どうかしました?」
照「……いや……なんでもあるけど……なんでもない……」スッ
かおりん「そうなんですかぁ……びっくりしました。…………って、あれ?」
穏乃「え? 妹尾さんまで? どうかしたんですか?」
かおりん「あ……いや、なんでもあるけど、なんでもないの。ちょっと……渋谷さんが……」
穏乃「渋谷尭深さんがどうかしたんですか?」
かおりん「ううん……たいしたことじゃないんだけど……」
163 = 1 :
かおりん(渋谷さん……あんなにずっと大事そうに持ってたお茶を……脇に置いちゃった……? どうして……? もしかして……さっきの……あれと関係あるの……?)
――回想、数十分前、会場某所――
かおりん「どどどどどうしましょう! 今頃になって緊張してきました! 私……まだ役もちゃんと覚えてないのに……こんなすごい人ばっかりの対局に混じっていいんでしょうかっ!?」
尭深「……大丈夫……たぶん……」
かおりん「ほ、本当にそう思いますか……?」
尭深「……」サッ
かおりん「ああ! 目を逸らしましたねっ!」
尭深「……妹尾さんは……妹尾さんらしく打てば……いいと思う……」
かおりん「え……? 私らしく、ですか?」
尭深「……」コクッ
164 = 145 :
役満コンビがおそろしかとね
165 = 1 :
かおりん「私らしく……。そういえば……最初に天江さんが言ってましたね。最後まで自分の麻雀をすること……楽しんだ者勝ち……って」
尭深「……」コクッ
かおりん「んー……わかりましたっ! 私……頑張りますっ! できることはあんまりありませんが……自分らしく楽しみたいと思いますっ!!」
尭深「……」コクッ
かおりん「じゃあ……渋谷さんも、渋谷さんらしく頑張ってくださいねっ!」
尭深「………………」
かおりん「ん、どうしたんですか? そんなにお茶見て……茶柱でも立ってるんですか?」
尭深「…………なんでも…………あるけど……ない…………」
かおりん「ほえ? そうですか? まあ……とにかくお互い頑張りましょうねっ!」
尭深「……」コクッ
――――――
かおりん(渋谷さん……よくわかりませんが……私は応援してますよっ! 頑張ってくださいっ……!!)
166 :
全員に見せ場作るのが分かり切ってて盛り上がりに欠けるな
167 = 88 :
>>166
泉にはなかっただろ!好い加減にしろ!!
168 = 1 :
@実況室
すばら「みなさん見ましたかああああ!!? これが新道寺・白水哩部長ですっ!! 親倍直撃もなんのその!! 即座に立て直してきましたあああ!!! すばらっ!!」
純「一発目のハネ満はあれとして、なんだ今のゴミ手は……親を流すにしても安過ぎんだろ……」
初瀬「何か、一飜でもいいから確実に和了っておきたかった……って感じの和了りでしたね。ちょっとオカルトの気配がします」
菫「……!」ガタッ
すばら「ひ、弘世さん? いきなり立ち上がってどうしました……?」
菫「あ……。いや……なんでもあるのですが……なんでもないというか」
純「なんでもあるなら話してくれよ、それが解説だろ」
菫「まあ……確かにそうですね」
初瀬「何か、白水選手の和了りで気になることでもあったんですか?」
菫「いや、白水選手は関係ありません。うちの……渋谷のことです」
純「あの眼鏡ちゃんがどうかしたのか?」
菫「渋谷が……お茶を手放したんです」
すばら「えっと……別に常に持っているわけではないですよね……?」
菫「それはそうなんですが……なんというか……ちょっと昔話をしてもいいですか?」
169 = 150 :
なんだ、なにがあるんだ?
170 = 1 :
菫「渋谷は……今年から白糸台のレギュラーになりました。元々力のある選手ではあったんですが……去年の今頃はまだ……他の一年生同様……二軍と三軍の間を行ったり来たりしていました……」
――回想・一年前春・白糸台高校麻雀部――
菫「えー……では、今日は親善対局ということで、上級生二人のところに、新入生が二人という形式で打ってもらいます。各自、好きなように卓についてもらって構いません。
時間が許す限り、色々な人と打ってほしいです。今日の結果が順位戦に反映されるということはありません。お互いまだ顔も名前もあやふやですから、挨拶程度のものとして気軽に楽しんで打ちましょう。では、始めます」
ガヤガヤ
菫(ふー……とは言ったものの、いきなり私らの卓に入ってくる一年生はいないと思うが……なんたって……)
照()ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
菫「おい、照。顔が殺し屋みたいになってるぞ。緊張しているのはわかるが、マスコミ相手のときみたいにニコヤカにできんのか。新入生が寄り付かん」
照「……知……知らない子いっぱい……初めての後輩……笑顔は……無理……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
菫(やれやれ……困ったもんだ。…………ん?)
尭深「…………」ジー
菫「君は……えっと、渋谷……尭深さんだったか。どうした、ここに入りたいのか?」
尭深「……」コクッ
菫「そうか。今後もよろしくな。私は二年の弘世菫、こっちは……知ってると思うが、同じく二年の宮永照だ」
照「よ……よろ……よろしく……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
尭深「…………」ジー
171 = 1 :
菫(へえ……この子は無愛想モードの照を見ても物怖じしないのか。今年……照に憧れて入部してきた新入生は数多くいたが……照の営業スマイルしか知らなかった彼女たちは……みんな初日の親睦会のときにその幻想を打ち砕かれていた……。
もちろん照は緊張していただけで……実際はそんなに恐いやつじゃないとじきにみんな気付くだろうが……今はまだ……こないだまで中学生だった一年生たちには恐ろしく映るはず……この子……外見は大人しそうな感じだが……肝は据わっているようだな……)
菫「じゃあ、もう一人呼んでさっさと始めるとしようか。えっと……あ、そこのボーイッシュな君っ! そう……君だ! えっと……亦野誠子さんだな。せっかくだから一局どうかな?」
誠子「(うわっ……宮永先輩と弘世先輩の卓に呼ばれた……! 恐っ!!)……お……お手柔らかにお願いします……!」
――――――
親善対局・東四局五本場・親:照
照「ツモ……12500オール……」パラララ
菫「ははっ……照の八連荘で全員仲良くトビ終了だな……」
誠子(えげつねー……)
尭深(………………)
172 = 1 :
菫(バカかお前はああああ!!? これは親善対局だぞ!! 手加減というものを知らんのかあああ!!?)コソッ
照(ごごごごごめんっ!!!!)コソッ
菫「え……えっとだな。まあ、トップは照だが、二位は東一局で照に3900を当てた渋谷さんだ。おめでとう。亦野さんは席順が悪かったな……500点ほど私に届かなかった。うん、でも、二人とも直撃もなく、よく健闘したと思う」
シーン
菫(おいいいいいっ!! どうすんだこの空気! お前からもなんか声かけろ!!)コソッ
照「う……え……えっと……あの……ま、亦野さん!」
誠子「は、はいいいい!!!」
照「亦野さんは……その……たまにいっぱい鳴いてみると……いいことがある……かも……」
誠子「あ、ありがとうございますっ!!」
照「そ……それから渋谷さん……」
尭深「…………」
照「渋谷さんは……もっと……じっくり落ち着いて打つと……最後にいいことが…………って……渋谷さん……?」
尭深「…………」ジワッ
照(な……泣かせちゃったああああ!!)
173 = 150 :
人見知りてるてる可愛い
174 = 1 :
菫「お、おい……渋谷さん……大丈夫か……?」
尭深「………………ありがとうございました」ペコッダッ
誠子「あっ……と、出ていっちゃいましたね。えっーと……私ちょっと様子見てきます。先輩方は……親善対局を続けてください」
菫「そ、そうか……すまないな」
誠子「いえ。同じ一年生ですし、任せてください。ご指導ありがとうございました。ではっ!」ダッ
照「……菫……どうしよう……私……後輩を泣かせてしまった……」ズーン
菫「ま、まあ……泣かせる程度で済んでよかったと思えよ。去年お前が一体何人の高校生雀士を再起不能にしてきたと思ってんだ……」
照「うううう……」
菫(しかし……泣いたとき一瞬見せた悔しそうな顔……それに……あの東一局での打ち回し……渋谷尭深……彼女……まさか照に勝つつもりでこの卓についたのか?
部内では……もう私しかいないと思っていたが……まさか……新入生で照を本気で倒そうと思ってるやつがいたとはな……驚愕だ……)
――――――
菫「去年と一昨年……親善対局で照に真っ向から挑んだのは……渋谷と大星の二人だけでした。当然……二人は照にトバされましたが……それからの行動には大きく差があります。
大星はそれ以来照とぐんと仲良くなりました。けれど……渋谷はそうではなかった。渋谷がそれから照と再戦したのは……去年の秋季大会のあと……冬の全体合宿のことです」
175 = 145 :
大天使尭深ちゃんを泣かせたてるてる許すまじ
176 = 1 :
――回想・八ヶ月前冬・白糸台高校麻雀部――――
菫「秋季大会はお疲れ様でした。私たち白糸台は……結果として連覇を達成したわけですが、他校との差はそれほど開いていないと私は思います。来年度のインターハイに向けて……ますます部内での切磋琢磨が必要となるでしょう。
レギュラーメンバーの入れ替えもありえます。各自、気を引き締めてこの合宿に臨んでください。以上」
ガヤガヤ
照「菫……今日は紅白戦だっけ……?」
菫「そうだ。一軍と二軍でそれぞれA~Dチームに分かれて……計八チームでリーグ戦をする。お前はAチームのリーダーで、オーダーは試験的に先鋒になったからな。私はBチームの大将……今日は負けんぞ」
照「うん……わかった。えっと……最初の相手は……」
菫「お前らは一軍Dと二軍B・Cとだな……えっと……各チームの先鋒はっと……」
照「あ……この子……」
菫「おお、渋谷尭深か……懐かしいな。あの親善対局以来か。一軍に上がってきたことはなかったが……二、三軍で揉まれて着実に力をつけてきたようだな。今日は二軍Bのリーダーで先鋒になっている」
177 = 156 :
たかみーを泣かすなんて……
しかし涙目のたかみーもエエな
179 = 1 :
照「牌譜……ある?」
菫「ああ……あるぞ。私は合宿の前に目を通したが、打ち方にかなり性格が出ているな」ペラッ
照「渋谷さん……オーラスで……手牌が不要牌だらけになることがない? もしくは……九種九牌が多かったりしない?」
菫「はあ……なんだそれ……? えっと……ああ……本当だ。なんだこれ……渋谷のオーラス和了率が異常に低いな……それに……九種九牌も確かに普通よりは少々多い気もする……。もしかして……これは渋谷尭深の能力に関係があるのか……?」
照「うん……親善対局のときから変わってなければ……たぶん。でも……その結果を見る限りでは……やっぱり自覚はないんだ……。今日対局が終わったら……話してみる……。
二軍チームのリーダーを任されるくらい渋谷さんの地力が上がった今なら……きっと……すごい武器になってくれると思う……」
菫「へえ。ま、能力は置いておくとしても、今日の対局がどうなるのか……結果が楽しみだな」
照「うん……私も……楽しみ」
菫「また泣かせるなよ?」
照「保障は出来ない」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
180 = 1 :
――合宿・夜・一軍宿舎――
菫「悪いな、渋谷、夜遅くに。疲れてないか?」
尭深「…………」フルフル
照「お茶……淹れたから……飲んで……落ち着くよ」
尭深「…………」コクッ
菫「もう照から聞いてると思うが……お前の力を一度試してみたい」
尭深「…………」コクッ
照「言った通りに……打ってみて」
尭深「…………」コクッ
誠子「あの……それで、私はなんのために呼ばれたんでしょうか?」
菫「面子が足りなくてな」
誠子「ですよねー」
181 = 1 :
菫「とりあえず、対局の大まかな流れは照が調整する……渋谷は照に言われた通りに打ってほしい。私と亦野は……まあ人数合わせだ。お喋りでもしながら遊び感覚で打とう」
誠子「遊びですか……遊びくらいは……弘世先輩に勝ちたいもんですね」
菫「ほう……させると思うか……?」
誠子(何が遊び感覚ですか……弘世先輩……目が完全に本気じゃないですか……!)
照「じゃあ……始めよう」
尭深「…………」ズズッ
――――――
183 = 1 :
誠子「三巡目で……大三元……字一色!!!? なにこれ……夢……!? 信じられない……気持ち悪いくらいすごいな……尭深!!!」
菫「なるほど……本物のようだな」
照「ただ……実戦で使えるようになるには……もう少し慣れが必要。渋谷さん……」
尭深「…………」
照「この力は……渋谷さんが元々持っていた力で……私にはそれが見えたから……こうやって教えることができたんだけど……」
尭深「…………」
照「この力を使うとなると……渋谷さんは今までの打ち方を少し変えないといけなくなる。私は……渋谷さんの力を見抜けても……渋谷さんの気持ちまで見えるわけじゃない。
牌譜見たし……今日戦って感じたけど……渋谷さんは今の打ち方が好きそうだから……もし嫌なら……今日のことは忘れていい。
渋谷さんの今の打ち方でも……このまま頑張れば……きっと三年生になる頃にはレギュラーになれると思うし……渋谷さんなりの力の使い方だって見つかるかもしれない……」
尭深「…………」
照「ただ……もし来年のインターハイに出たいのなら……この力を最大限に活かす打ち方をこれから鍛えていかないと間に合わない。どうする……渋谷さん……?
私は……あの春の親善対局で……渋谷さんが真っ先に私たちの卓に来てくれたこと……嬉しかった。だから……卒業までに……菫と、亦野さんと……渋谷さんと……全国を勝ち抜いてみたいって思う。どう……かな……?」
尭深「……少し……考えさせてください……」
184 = 145 :
今明かされる尭深のハーベストタイム誕生秘話
185 = 1 :
――四ヵ月後・春・白糸台――
菫「えー……では、毎年恒例の親善対局を始めます。一年生は好きなように卓に入ってください。この結果は順位戦には反映されませんので、お互いをよく知るチャンスだと思って、色々な人と打ってください。では、始めます」
ガヤガヤ
菫「さて……今年は誰が最初にここに来るのかな……っと」
照(一年生……知らない子……笑顔……笑顔作らないと……)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
菫「……お前はまったく成長してないな、照……」
淡「あの……っ! ここ、いいですか……!?」
菫「おお……君は……大星淡さんか。私は三年の弘世菫。よろしくな。それでこっちが……」
淡「宮永照先輩ですよねっ! 知ってますよ……テレビ、見てましたから!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
菫(おっ……これはまた……生意気そうなのが入ってきたな……)
照「よ……よろしく」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
186 = 1 :
――――――
淡「ま……負けた……!! 私の……七星が……!!!」ウルウル
菫(こいつ……想像以上の化け物だったな……この世代のインターミドルというと原村和が有名だが……これほどの化け物がなぜ結果を残せなかった……?)
照「大星さん……毎回……高い手を狙い過ぎ……読まれやすい……気をつけて」
淡「うう……わかりました……」ウルウル
ワーワーキャーキャー
淡「ん……なんですか、あっちの卓が騒がしいみたいですけど?」
菫「ああ……あっちも今終わったか……たぶん役満和了で騒いでるんだろう。親善対局で先輩が役満を和了るなんて、まずないことだからな。ったく……あいつもあいつで手加減を知らんようだ」
淡「へえ……役満ですか!? さっきの七星が決まってれば私のほうが先に和了ってたのにー! でも……面白そう……っ! 私……次はあっちに行ってきます! えっと……お茶持ってる方と短髪の二年生の卓ですよね?」
菫「そうだ。お茶のほうが渋谷尭深、短髪が亦野誠子。どちらも二年の有力株だからな。打っておいて損はないと思う」
淡「わっかりました!! ありがとうございますっ!!」ペコッダッ
菫「やれやれ……今年も今年で楽しませてくれる」
照「渋谷さん……いい感じに仕上がってきたね」
菫「そうだな。このペースなら、インターハイに間に合うだろう。その頃にはあの大星って一年も使い物になってるかもしれない。ま、今見た感じだと荒削りもいいところ……亦野と渋谷には敵わんだろうがな」
照「うん……インターハイ……楽しみ」
188 :
支援
怜かわいい
189 = 147 :
たかみーで画像検索した
出て来たのは、アルフィーの高見沢だた
190 = 145 :
尭深でせなあかん
192 = 1 :
菫「というわけで……渋谷とお茶は、切っても切れない関係にあるわけです」
純「いや、今の話の中でお茶はちらっとしか出てこなかっただろ。というか……あいつの役満ってやっぱ能力だったのか。バカに多いと思ってたぜ……」
初瀬「お茶を置いたということは……渋谷さんはその……今の打ち方になる前の打ち方に戻ったということでいいんでしょうか?」
純「初瀬ちゃんの物分りの良さはもうオカルトの領域だな」
菫「初瀬さんの言う通りだと、私は思います。確か……二年選抜の今日の目標は『自分の麻雀を貫くこと』だったはず。渋谷の今の麻雀は……私たちが大会で勝つために強制して矯正したものです。本来の渋谷の麻雀ではありません」
初瀬「けれど……渋谷さんの役満スタイルは……あの宮永照さんのアドバイスで……インターハイで勝ち抜くために身に着けたものなんですよね? 昔の打ち方がどうだったのかはわからないのですが……それはインターハイで見せた打ち方より強いものなのですか?」
菫「強い弱いは……微妙なところです。要は相性の問題ですから。渋谷の役満スタイルだって決して弱くはありません。しかし、こと今の面子が相手だと、それがうまく機能しない可能性があります。
松実宥選手が中を固めてしまうこと、新子選手が場を早く回してしまう可能性があること、白水選手が暴れ出したときに役満以外で対抗できる手段がなくなってしまうこと……など。
それらを総合して……渋谷なりに、どちらのスタイルで打ったほうがいいかを考え……そして、渋谷は以前の打ち方でこの場を戦うことを選んだのでしょう」
初瀬「なるほど……相性ですか……打ち筋を複数持っている選手というのは珍しいですよね」
純「つーか……あの眼鏡ちゃんの本来のスタイルってのはどんな感じなんだ? それなりに強いのか?」
菫「照をして三年生になれば白糸台のレギュラーになれると言わしめたくらいの強さではあります。白糸台でレギュラーを取ることがいかに難しいかを考えていただければ……その強さは推して測れるでしょうが……まあ……見ていればすぐわかりますよ」
193 = 147 :
さるさん?
194 = 1 :
@対局室
東四局・親:尭深
宥(ん……なんか変な感じする……なんだろう……)タンッ
憧(おかしいわね……おかしい……渋谷尭深が何か変……)タンッ
憧(ここまで……第一打は白南白發北北だったはず……なのに……ここでいきなり一索切り……? 手に字牌がなかったってこと……? 狙いを大三元or字一色から混老頭とかに切り替えたってこと……? よくわかんない……)タンッ
宥「……リーチです」スチャ
憧(宥姉……飛ばしてるね……!!)タンッ
尭深「……リーチ」スチャ
哩(打ち合いやね……まあ……まだ七巡目……焦る必要はなか……)タンッ
憧(渋谷尭深が追っかけ……!? あれ……そんなパターンあったっけ……?
確かに……渋谷尭深は自分が親のときは連荘を狙いに来てたけど……その場合は鳴いて速攻って感じだった……リーチをかければ自分が宥に振り込んで親が流れる確率が高くなっちゃうのに……どうして?
役がなかったからとか……そんな単純な理由ならいいんだけど……)
宥(うう……冷たい牌……中以外の字牌は苦手……)タンッ
尭深「ロン……リーチ一発……4800」パラララ
尭深手牌:111234②③④南南北北:ロン北:ドラ二・⑤
宥「え……? あ……はい……」チャ
195 = 1 :
憧(はあ……!? 何その待ち……!!? 南・北の……シャンポン……? だって……あんた……そんな打ち方一回もしたことなかったでしょ……!!)
宥(あれ……この子って確か……北も南も前局までに第一打で捨ててるよね……? どうして今回は第一打に捨てなかったんだろう。まさかその後のツモで対子を重ねたの? この序盤に……?
いや……ちょっとおかしい……この北と南は……たぶん……少なくとも三枚くらいは最初からあったんじゃないかな……でも……じゃあなんで第一打で切らなかったの……? せっかくオーラスで字一色を和了るチャンスが広がったのに……)
哩(ん……渋谷尭深の打ち方が……インターハイのときと違う……? まあ……親で連荘ばしたってことはオーラスの役満にまた一つ近付いた……ってことでよかよね……?
わからん……連荘狙いにしては……さすがにその待ちで追っかけは訝しい……なんぞ……私らの知らん顔があっとね……?)
尭深「……一本……場……」ゴゴゴゴッ
憧:77900(-12900) 尭:121500(-3100) 哩:87200(-12000) 宥:113400(28000)
196 = 150 :
>>192菫「というわけで……渋谷とお茶は、切っても切れない関係にあるわけです」
純さんの言うとおり一番最後のお茶のほうが渋谷尭深ってところしかお茶の話出てない
197 = 1 :
東四局一本場・親:尭深
憧(今回も……渋谷尭深の第一打は数牌の九筒……ヤオ九牌ではあるけど……三巡目に手出しで北を切ってる……配牌からあったっぽい感じだけど……なんでそっちを先に切らなかったの……? 全然わかんない……不気味過ぎッ!!)タンッ
九巡目
尭深「リーチ……」スチャ
哩(またリーチか……厄介とね……)タンッ
宥(ん……二連続……親リー……)タンッ
憧(宥姉はノータイムでツモ切りの現物……幸い私も浮き牌が現物だから……一発は避けられるけど……)タンッ
尭深(……)タンッ
哩(ん……阿知賀の二人が渋谷ば警戒しとる……? そいたら……渋谷の様子が変わっとう思ったんは私の勘違いやなかとね……なら……ここは一旦様子見やな……)タンッ
宥(んー……これはちょっと……恐いかな……)タンッ
憧(宥姉はまた現物……今度は手出しってことは……ベタオリコースって感じね。まあ……さっきの親倍の貯金があるから……宥姉はそれでいいのかもしれないけど……私はマイナス……和了れるチャンスはなるべく掴みたい……)ツモッ
憧、山牌を掴んだ瞬間、指先にぬるりとした悪寒が走る。
憧(ここで……白を引いたか……)
憧、溜息。
198 = 1 :
憧(渋谷尭深のリーチ……さっきの南・北シャンポンが狙ったものなら……ここで……新道寺の部長が一巡目に切った……その一枚しか見えてない白は……ちょっと危険過ぎるような気がする。
でも……どんな和了り方をしようと……渋谷尭深は第一打だけをコントロールすればオーラスの役満チャンスが広がる……特に……白を最初から持っていたなら……絶対に切るはずでしょ。
だって……もうこれまでの局で渋谷尭深は白を二枚切ってる……あと一枚でオーラスに白が三枚揃うのに……そのチャンスを自分から捨てたとは思えない……)
憧(大体……字牌待ち自体はけっこうあることで……さっきのだって役がなかったからたまたまあんな形になっただけなのかもしれない。居所がわからない字牌は何も白だけじゃない。
というか……もし仮に字牌待ちを狙っているんだとしても……それだったら……最初に白を切って……三巡目に捨てた北あたりを単騎にするのが渋谷の能力的には普通でしょ……?
白があったのなら第一打で切らなければ不条理……自ら役満を捨ててるようなもの。もちろん……あとから白をツモったって可能性も……十分あるけどさ……)
憧(そりゃ……親リーは恐いけど……毎回毎回恐がってオリても……それって局数が増えるだけで結局のところ渋谷尭深の有利に場が進むことに違いはない……ここは……勝負……!!)
憧、無理を承知の、白切りッ!!
しかし――不用意に出したその手は……狡猾な罠に嵌るッ!!
尭深「ロン……リーチ一通……7700は8000」
尭深手牌:123456789②③④白:ロン白:ドラ八・南
憧「なあ……っ!!?」ガタッ
199 = 1 :
宥(あ……危なかったー……)
憧(マジで白単騎……!!? 一通が揃ってんのに……連荘狙いでダマで通すでもなく……待ちの多い平和まで捨てて……わざわざ字牌単騎でリーチって……!!?
いや……ありえないことじゃないけどさ……ありえないことじゃないけど……私の知ってる渋谷尭深ではありえない……!!! 渋谷尭深……これじゃ……まるで別人じゃん……!!)
哩(字牌単騎……清澄・竹井久の悪待ちとはまた少し違う感じやろか……巡目が進めばどうしても浮きよる他家の字牌に狙いを定めた……出和了り重視の超攻撃型……大人しか外見に似合わん加虐趣味な打ち方やね。
しかも……この場に合わせて急ごしらえでプレイスタイルば変えてきたんとも違う……ずっと以前から訓練を積んできたような手慣れた感じがすっとよ……これは……面白かね……!)
尭深「……二本……場……」ゴゴゴゴゴゴッ
憧:69900(-20900) 尭:129500(4900) 哩:87200(-12000) 宥:113400(28000)
200 = 1 :
@実況室
すばら「渋谷選手の連荘で二年選抜がトップに返り咲きましたっ!! 目を見張るような活躍ですっ!!! 渋谷選手、まるで人が変わったような打ち方をしていますっ!!」
純「あの眼鏡ちゃん……顔に似合わずえぐい待ちで和了りやがる……」
初瀬「え……? でも、字牌単騎自体は……出和了り重視のスタイルであればわりとよくあることですよね?」
菫「いや……渋谷のあれはただの字牌単騎ではありません。確かに字牌待ちはわりとあることですが……渋谷のあれはもう一段ほど狡猾です」
初瀬「えっと……どのあたりが?」
純「渋谷の第一打は、九筒だったな。一枚しかない北や白を捨てずに、数牌から落として……さらに、白水が一巡目に白を切ったのを見て……三巡目に北を捨てて白を手に残した」
初瀬「悪いほうの待ちを狙った……清澄の竹井選手みたいな感じでしょうか?」
菫「いや……渋谷は別に悪い待ちを選んだわけじゃありません。出和了りを狙える待ちを選んだだけです」
すばら「えっと……白水部長の白に……誰も鳴かなかったことが、ポイントですか?」
純「その通り。煌ちゃん、すばらだぜ」
すばら(口癖盗られましたっ!)
みんなの評価 : ★★
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