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元スレあかり「あかりにとって、初恋はあなたでした」
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あかり「ご、ごめんね」
受験勉強をそっちのけでそろそろ新しいのに作り変えようとしていたから、
むしろ壊れてしまってよかった。
ちなつ「ううん、大丈夫。明日、新しいの作ってくるから」
私がそう言うと、あかりちゃんは少しだけ言い難そうに、「あのね、ちなつちゃん」
箱を手でぺしゃんこに潰したときだった。
ちなつ「……うん?」
あかり「あかりね、ごらく部の活動は、今日で最後にしようと思うの」
受験勉強をそっちのけでそろそろ新しいのに作り変えようとしていたから、
むしろ壊れてしまってよかった。
ちなつ「ううん、大丈夫。明日、新しいの作ってくるから」
私がそう言うと、あかりちゃんは少しだけ言い難そうに、「あのね、ちなつちゃん」
箱を手でぺしゃんこに潰したときだった。
ちなつ「……うん?」
あかり「あかりね、ごらく部の活動は、今日で最後にしようと思うの」
潰れた箱を、ゴミ箱へ投げ入れた。
その中にまだたくさんの紙切れが入っていたことに気付いたのは「どうして?」と
あかりちゃんに訊ねた頃だった。
あかり「……みんなもう、部活は引退しちゃってるし」
ちなつ「……うん」
あかり「あかりたちも、受験が近くなってきたでしょ?」
だから、今日でごらく部は最後にしよう。
あかりちゃんは言った。
そんなあかりちゃんの手に握られている紙切れには、「部室」と書かれていた。
その中にまだたくさんの紙切れが入っていたことに気付いたのは「どうして?」と
あかりちゃんに訊ねた頃だった。
あかり「……みんなもう、部活は引退しちゃってるし」
ちなつ「……うん」
あかり「あかりたちも、受験が近くなってきたでしょ?」
だから、今日でごらく部は最後にしよう。
あかりちゃんは言った。
そんなあかりちゃんの手に握られている紙切れには、「部室」と書かれていた。
最後の最後で部室なんて、私たちは茶道部のものだったはずのこの場所に
愛されているのかも知れない。
ちなつ「……そうだよね」
私は頷いて。
いつまでも、この空間にぬくぬくといられるわけじゃないのだ。
わかっていたはずなのに、いつのまにか忘れようとしてしまっていた。
部室とあかりちゃん。
そこから離れたくない。けれど私たちは、離れなきゃいけなくって。
ちなつ「あかりちゃんとは同じ高校に行けるんだし」
あかり「……えへへ」
そう言うと、あかりちゃんは曖昧に笑っただけだった。
愛されているのかも知れない。
ちなつ「……そうだよね」
私は頷いて。
いつまでも、この空間にぬくぬくといられるわけじゃないのだ。
わかっていたはずなのに、いつのまにか忘れようとしてしまっていた。
部室とあかりちゃん。
そこから離れたくない。けれど私たちは、離れなきゃいけなくって。
ちなつ「あかりちゃんとは同じ高校に行けるんだし」
あかり「……えへへ」
そう言うと、あかりちゃんは曖昧に笑っただけだった。
―――――
―――――
最後のお茶は、私が淹れた。
それを飲みながら、ぽつりぽつりと思い出話。
そんなことを話していながら、私はもう本当にごらく部はなくなっちゃうんだなあと
ぼんやり思った。
京子先輩が作ったごらく部。
そこで結衣先輩に出会って、普通の恋ではなくても確かに恋をして。
振られて傷付いて、だけどあかりちゃんと一緒にいることで私は友達でいられる存在が
ちゃんといることを知って安心した。
ちなつ「なんかいつもと変わんないね」
あかり「ほんとだぁ」
―――――
最後のお茶は、私が淹れた。
それを飲みながら、ぽつりぽつりと思い出話。
そんなことを話していながら、私はもう本当にごらく部はなくなっちゃうんだなあと
ぼんやり思った。
京子先輩が作ったごらく部。
そこで結衣先輩に出会って、普通の恋ではなくても確かに恋をして。
振られて傷付いて、だけどあかりちゃんと一緒にいることで私は友達でいられる存在が
ちゃんといることを知って安心した。
ちなつ「なんかいつもと変わんないね」
あかり「ほんとだぁ」
あかりちゃんの笑った顔を見ながら、私は突然、何もかもを言ってしまいたくなった。
私が女の子を好きなことや、結衣先輩に恋していたことを。
ごめんね、違う高校を受けることにしたの。
さっき、確かにそう言ったあかりちゃん。
遠くへ行ってしまいそうな気がしていたのが、本当に遠くへ行ってしまう。
そう思うと、私は今全てを言ってしまってもいいような気がした。
もうあかりちゃんの隣にはいられない。
それなら、自分から私の居場所を壊しちゃったほうがきっと楽なんだ。
ちなつ「……あかりちゃんって、初恋は何歳の頃だった?」
私が女の子を好きなことや、結衣先輩に恋していたことを。
ごめんね、違う高校を受けることにしたの。
さっき、確かにそう言ったあかりちゃん。
遠くへ行ってしまいそうな気がしていたのが、本当に遠くへ行ってしまう。
そう思うと、私は今全てを言ってしまってもいいような気がした。
もうあかりちゃんの隣にはいられない。
それなら、自分から私の居場所を壊しちゃったほうがきっと楽なんだ。
ちなつ「……あかりちゃんって、初恋は何歳の頃だった?」
最近くっせぇ内容のSSばっかだったからな
肥溜めの中にも良いのが眠ってるからやめられない
肥溜めの中にも良いのが眠ってるからやめられない
>>168
ズボンを穿こうな
ズボンを穿こうな
あかり「え?」
突然の問い掛けに、あかりちゃんがきょとんと私を見た。
熱いお茶で、私は乾いた喉を潤した。それでもまだ足りない気がして、
私は何度も何度もお茶を流し込む。
中々、次の言葉が出てきてくれなかった。
卒業したって、絶対に会えなくなるわけじゃない。
結衣先輩が本気で好きだったと知ったら、あかりちゃんはなんて思うだろう。
きっと、気持ち悪いって思うはずだ。
ちなつ「私の、初恋はね」
私の初恋は。
結衣先輩で――
突然の問い掛けに、あかりちゃんがきょとんと私を見た。
熱いお茶で、私は乾いた喉を潤した。それでもまだ足りない気がして、
私は何度も何度もお茶を流し込む。
中々、次の言葉が出てきてくれなかった。
卒業したって、絶対に会えなくなるわけじゃない。
結衣先輩が本気で好きだったと知ったら、あかりちゃんはなんて思うだろう。
きっと、気持ち悪いって思うはずだ。
ちなつ「私の、初恋はね」
私の初恋は。
結衣先輩で――
ちなつ「……ごめん、やっぱりなんでもないよ」
嫌われたくない。
あかりちゃんには、たとえずっと隣にいられなくたって、もう会えなくたって、
嫌われたくはなかった。
あかり「……そっかぁ」
ちなつ「……ごめんね」
私には、あかりちゃんの隣が心地よすぎて。
あかりちゃんになら何でも話せるはずなのに、これだけはどうしても無理だった。
嘘を吐くわけでもないのに、言えなかった。
ちなつ「あかりちゃん、卒業したって、ずっと友達でいてくれるよね」
だから、代わりに私は言った。
あかりちゃんは何も言わずに、さっきみたいに曖昧に笑っただけだった。
嫌われたくない。
あかりちゃんには、たとえずっと隣にいられなくたって、もう会えなくたって、
嫌われたくはなかった。
あかり「……そっかぁ」
ちなつ「……ごめんね」
私には、あかりちゃんの隣が心地よすぎて。
あかりちゃんになら何でも話せるはずなのに、これだけはどうしても無理だった。
嘘を吐くわけでもないのに、言えなかった。
ちなつ「あかりちゃん、卒業したって、ずっと友達でいてくれるよね」
だから、代わりに私は言った。
あかりちゃんは何も言わずに、さっきみたいに曖昧に笑っただけだった。
◆
ごらく部はなくなった。
冬休みに入り、三学期になって。そこからはもう、ごらく部は私自身の好きについてや、
そんなことすら考えている余裕がなくなり、学校も受験一色になった。
考えずにいられることは楽だった。
だけど、誰かにドキドキしてしまうたび、私はすぐに自分が変なことを思い出して
嫌になった。
その度に、私はあかりちゃんを思い出した。友達の、あかりちゃんを。
ごらく部はなくなった。
冬休みに入り、三学期になって。そこからはもう、ごらく部は私自身の好きについてや、
そんなことすら考えている余裕がなくなり、学校も受験一色になった。
考えずにいられることは楽だった。
だけど、誰かにドキドキしてしまうたび、私はすぐに自分が変なことを思い出して
嫌になった。
その度に、私はあかりちゃんを思い出した。友達の、あかりちゃんを。
あかりちゃんとは時々、廊下ですれ違う程度だった。
お互いの教室がだいぶ離れているから行き来することなんて滅多にないし、あったとしても
あかりちゃんと顔を合わすことはまったくなかった。
自分の気持ちのブレーキの掛け方がわからなくなる。
あかりちゃんがいたことで、私は他の女の子に対しておかしな気持ちを抱かずに
すんでいたのに、今の私はブレーキの掛け方がわからない。
時々、部室を覗いた。
もちろんあかりちゃんがいるわけはなかった。あかりちゃんは私よりずっと
難しい学校を受験するのだ。こんなところにいるのなら、家で勉強しているに
決まっている。
そうは思っても、あかりちゃんに会いたくて仕方がなかった。
どうしてかはわからないけれど、きっと私の中のわがままで。
あかりちゃんの傍で、どうでもいいことを話したくて仕方がなかった。
お互いの教室がだいぶ離れているから行き来することなんて滅多にないし、あったとしても
あかりちゃんと顔を合わすことはまったくなかった。
自分の気持ちのブレーキの掛け方がわからなくなる。
あかりちゃんがいたことで、私は他の女の子に対しておかしな気持ちを抱かずに
すんでいたのに、今の私はブレーキの掛け方がわからない。
時々、部室を覗いた。
もちろんあかりちゃんがいるわけはなかった。あかりちゃんは私よりずっと
難しい学校を受験するのだ。こんなところにいるのなら、家で勉強しているに
決まっている。
そうは思っても、あかりちゃんに会いたくて仕方がなかった。
どうしてかはわからないけれど、きっと私の中のわがままで。
あかりちゃんの傍で、どうでもいいことを話したくて仕方がなかった。
それから、受験が終わって。
私はぎりぎりで第一志望の高校に合格していた。
あかりちゃんからも、一通だけ「合格したよ」とメールが届いていた。
それでも、結局私たちはあまり話せないままだった。
卒業式の練習だったりで顔を合わすことは多くなったのに、クラスも違うせいで
話すことなんてできなくて。
きっと、部室が私たちを繋ぎ止めてくれていたのだろう。
クラスが離れてしまえば、自然と離れていってしまう。
ごらく部がなくなったことで、私の居場所ももしかしたらなくなったも同然なのかも
しれない。
私はぎりぎりで第一志望の高校に合格していた。
あかりちゃんからも、一通だけ「合格したよ」とメールが届いていた。
それでも、結局私たちはあまり話せないままだった。
卒業式の練習だったりで顔を合わすことは多くなったのに、クラスも違うせいで
話すことなんてできなくて。
きっと、部室が私たちを繋ぎ止めてくれていたのだろう。
クラスが離れてしまえば、自然と離れていってしまう。
ごらく部がなくなったことで、私の居場所ももしかしたらなくなったも同然なのかも
しれない。
―――――
―――――
「吉川ちなつ」
名前を呼ばれて、私ははっと腰を上げた。
卒業式の日だった。
私は出来るだけ大きな声で返事をした。
卒業証書をもらって、席へ帰る途中、私は去年結衣先輩を探したときと同じような
気持ちで、あかりちゃんを探した。あかりちゃんは私より先に証書をもらって、
きちんと背筋を伸ばして前を見据えていた。
ちなつ「……」
その姿を見て、少しだけ寂しくなった。
―――――
「吉川ちなつ」
名前を呼ばれて、私ははっと腰を上げた。
卒業式の日だった。
私は出来るだけ大きな声で返事をした。
卒業証書をもらって、席へ帰る途中、私は去年結衣先輩を探したときと同じような
気持ちで、あかりちゃんを探した。あかりちゃんは私より先に証書をもらって、
きちんと背筋を伸ばして前を見据えていた。
ちなつ「……」
その姿を見て、少しだけ寂しくなった。
卒業式が終わってホームルームも終わると、私は誰よりも先に教室を
飛び出した。
あかりちゃんの教室を覗きかけて、すぐに別のところに思い至った。
根拠もなく、私は部室へ向かっていた。
あかりちゃんに会って、自分が何を伝えようとしているのかわからなかった。
けれど会わなきゃいけない気がした。
会って、それで。
ちなつ「あかりちゃん!」
部室の扉を、思い切り開けて私はほとんど叫ぶようにあかりちゃんの名前を呼んだ。
息を切らしたまま。
だけど、あかりちゃんはいなかった。やっぱり、いなかった。
飛び出した。
あかりちゃんの教室を覗きかけて、すぐに別のところに思い至った。
根拠もなく、私は部室へ向かっていた。
あかりちゃんに会って、自分が何を伝えようとしているのかわからなかった。
けれど会わなきゃいけない気がした。
会って、それで。
ちなつ「あかりちゃん!」
部室の扉を、思い切り開けて私はほとんど叫ぶようにあかりちゃんの名前を呼んだ。
息を切らしたまま。
だけど、あかりちゃんはいなかった。やっぱり、いなかった。
その代わり、あかりちゃんが「きもちいー」と笑っていたテーブルの上に
白い何かが置いてあった。
中に入って、確かめる。
『ちなつちゃんへ』
確かに、あかりちゃんの字。
手紙だった。
それだけで、「ずっと友達でいてくれるよね」と言ったときのあかりちゃんの
沈黙の意味がわかった気がした。
私は綺麗に封を切ることすらもどかしくて、封筒をびりびりに破いて中の紙を引き抜いた。
『あかりにとって、初恋はあなたでした』
書いてあったのは、それだけ。
たった、その一行だけだった。
白い何かが置いてあった。
中に入って、確かめる。
『ちなつちゃんへ』
確かに、あかりちゃんの字。
手紙だった。
それだけで、「ずっと友達でいてくれるよね」と言ったときのあかりちゃんの
沈黙の意味がわかった気がした。
私は綺麗に封を切ることすらもどかしくて、封筒をびりびりに破いて中の紙を引き抜いた。
『あかりにとって、初恋はあなたでした』
書いてあったのは、それだけ。
たった、その一行だけだった。
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