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元スレあかり「ずっと贈りたかった言葉があるんだよ」
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>>139から続ける
◆
あかりちゃんは中学生の頃と変わらず優しかった。
勉強で忙しいはずなのに、あの夜からずっと私に電話を掛け続けてくれていた。
だから私は、結衣先輩からの電話を待っていたはずがいつのまにかあかりちゃんからの電話を
待つようになっていて。
それくらい、あかりちゃんの存在が私の中でまた大きく膨らみ始めていた。
中学生の頃とは違って、友達とはまた違う意味で。
失恋して寂しいときに優しくしてくれた人を好きになるとはよく聞くけど、だから
こんなふうにあかりちゃんの電話を待ってしまうようになったのは当然といっちゃ
当然なのかもしれない。
今までだって、結衣先輩からの電話後、必ず電話した相手のことを好きになったみたいに。
携帯が、小さく震えた。
私はろくに動かしもしていなかったシャーペンを放り出して、電話をとる。
あかり『もしもし、あかりだよー』
ちなつ「ん……」
あかりちゃんは中学生の頃と変わらず優しかった。
勉強で忙しいはずなのに、あの夜からずっと私に電話を掛け続けてくれていた。
だから私は、結衣先輩からの電話を待っていたはずがいつのまにかあかりちゃんからの電話を
待つようになっていて。
それくらい、あかりちゃんの存在が私の中でまた大きく膨らみ始めていた。
中学生の頃とは違って、友達とはまた違う意味で。
失恋して寂しいときに優しくしてくれた人を好きになるとはよく聞くけど、だから
こんなふうにあかりちゃんの電話を待ってしまうようになったのは当然といっちゃ
当然なのかもしれない。
今までだって、結衣先輩からの電話後、必ず電話した相手のことを好きになったみたいに。
携帯が、小さく震えた。
私はろくに動かしもしていなかったシャーペンを放り出して、電話をとる。
あかり『もしもし、あかりだよー』
ちなつ「ん……」
あかり『昨日はすぐに寝ちゃってごめんね』
ちなつ「ううん、私こそ、毎日電話してもらっちゃって」
そう言いながら、小さく欠伸を一つ。
あかりちゃんの声を聞いているとなんでか眠くなってしまう。
まるで子守唄みたいだと思う、あかりちゃんの話も、あかりちゃんの声も。
あかり『今日はちなつちゃんが眠そうだね』
ちなつ「うん、そうかも」
あかり『切る?』
ちなつ「えっ、いいよそんなの」
ここ最近、沈黙が出来ても久し振りにあかりちゃんと会った日のように
気まずくはならなくて、むしろその沈黙さえ心地いい。
こういうとき、私は必ず中学校の頃を思い出すようになっていた。
あの時も、私たちの間になにも音がなくたって平気で。
それくらい、私たちは仲が良かったんだと今になって思う。
ちなつ「ううん、私こそ、毎日電話してもらっちゃって」
そう言いながら、小さく欠伸を一つ。
あかりちゃんの声を聞いているとなんでか眠くなってしまう。
まるで子守唄みたいだと思う、あかりちゃんの話も、あかりちゃんの声も。
あかり『今日はちなつちゃんが眠そうだね』
ちなつ「うん、そうかも」
あかり『切る?』
ちなつ「えっ、いいよそんなの」
ここ最近、沈黙が出来ても久し振りにあかりちゃんと会った日のように
気まずくはならなくて、むしろその沈黙さえ心地いい。
こういうとき、私は必ず中学校の頃を思い出すようになっていた。
あの時も、私たちの間になにも音がなくたって平気で。
それくらい、私たちは仲が良かったんだと今になって思う。
だからこそ、あかりちゃんに対して感じているこの微妙な感情は、結衣先輩や
他の女の子に対して感じていた気持ちとは違うものなんじゃないかとも思って、
わからなくなって。
恋ってなんだっけ。
そんなことを、考える。
たとえば卒業式の日、結衣先輩のことを忘れられずにいた私が結衣先輩を忘れていたら。
あかりちゃんのことを好きになったのかなとか。あのときのキスを、受け入れられたのかなとか。
今、あの日と同じことをあかりちゃんにあの日と同じことをされたら、私はどうするんだろう――とか。
ただ、結衣先輩のことを思い出さないでいられると、自信を持っては言えないと思う。
だからこの気持ちが本物なのかどうかわからずに。
あかり『あ、そうだちなつちゃん』
ちなつ「え?」
どれくらい、お互い黙り込んでいたのだろう。
突然、あかりちゃんが電話の向こうで思い出したように声を上げた。
他の女の子に対して感じていた気持ちとは違うものなんじゃないかとも思って、
わからなくなって。
恋ってなんだっけ。
そんなことを、考える。
たとえば卒業式の日、結衣先輩のことを忘れられずにいた私が結衣先輩を忘れていたら。
あかりちゃんのことを好きになったのかなとか。あのときのキスを、受け入れられたのかなとか。
今、あの日と同じことをあかりちゃんにあの日と同じことをされたら、私はどうするんだろう――とか。
ただ、結衣先輩のことを思い出さないでいられると、自信を持っては言えないと思う。
だからこの気持ちが本物なのかどうかわからずに。
あかり『あ、そうだちなつちゃん』
ちなつ「え?」
どれくらい、お互い黙り込んでいたのだろう。
突然、あかりちゃんが電話の向こうで思い出したように声を上げた。
ちなつ「どうしたの?」
あかり『明日、土曜日だよね』
ちなつ「あ……そういえばそうだね」
私はあかりちゃんに言われてそっとカレンダーに目を向ける。
そういえば、あかりちゃんと約束していた日は明日。
本当は先週の土曜日だったのに、あかりちゃんが行けないと今週に変わったのだ。
もしかしてまた来れなくなったのかなと身構えたものの、その後に聞こえたあかりちゃんの
楽しそうな声になんだと力を抜いた。
あかり『久し振りにちなつちゃんのお茶が飲めちゃうよぉ』
ちなつ「最終的にあかりちゃんが淹れるんでしょー」
あかり『あ、そっか。頑張って覚えちゃうよ!』
ちなつ「うん……」
頷いたものの、そういえば、と思う。
あかりちゃんが家に来るのは私にお茶を習いに来るからで、その理由はあかりちゃんが
もうすぐ遠くへ行ってしまうからだ。しばらくずっと、電波だけだとしてもあかりちゃんの
近くにいたから、そのことを忘れてしまっていた。
あかり『明日、土曜日だよね』
ちなつ「あ……そういえばそうだね」
私はあかりちゃんに言われてそっとカレンダーに目を向ける。
そういえば、あかりちゃんと約束していた日は明日。
本当は先週の土曜日だったのに、あかりちゃんが行けないと今週に変わったのだ。
もしかしてまた来れなくなったのかなと身構えたものの、その後に聞こえたあかりちゃんの
楽しそうな声になんだと力を抜いた。
あかり『久し振りにちなつちゃんのお茶が飲めちゃうよぉ』
ちなつ「最終的にあかりちゃんが淹れるんでしょー」
あかり『あ、そっか。頑張って覚えちゃうよ!』
ちなつ「うん……」
頷いたものの、そういえば、と思う。
あかりちゃんが家に来るのは私にお茶を習いに来るからで、その理由はあかりちゃんが
もうすぐ遠くへ行ってしまうからだ。しばらくずっと、電波だけだとしてもあかりちゃんの
近くにいたから、そのことを忘れてしまっていた。
あかり『明日楽しみにしてるね』
私の考えていることなんてきっと何も知らずに、えへへとあかりちゃんが笑った。
これで今日は切るつもりらしい。
それじゃあまた明日。そう言い掛けたのがわかって、私は「あかりちゃん」と呼び止めた。
あかり『なあに?』
ちなつ「えっと……あかりちゃん、私たちね」
あかり『うん』
なにも言えなくて言葉に詰まった私を、あかりちゃんは辛抱強く待ってくれた。
私たちね。友達だよね。
言おうとして、言えなかった。私が言いたくなかったわけじゃない。きっと、そう言ってしまえば
楽になれると思った。だけど、あかりちゃんに否定されたりしたら、そう思うと言えなかった。
ちなつ「……やっぱいいや」
あかり『……そっか』
ちなつ「ごめんね」
あかり『ううん』
ちなつ「……おやすみ」
あかり『……うん、おやすみ、ちなつちゃん』
私の考えていることなんてきっと何も知らずに、えへへとあかりちゃんが笑った。
これで今日は切るつもりらしい。
それじゃあまた明日。そう言い掛けたのがわかって、私は「あかりちゃん」と呼び止めた。
あかり『なあに?』
ちなつ「えっと……あかりちゃん、私たちね」
あかり『うん』
なにも言えなくて言葉に詰まった私を、あかりちゃんは辛抱強く待ってくれた。
私たちね。友達だよね。
言おうとして、言えなかった。私が言いたくなかったわけじゃない。きっと、そう言ってしまえば
楽になれると思った。だけど、あかりちゃんに否定されたりしたら、そう思うと言えなかった。
ちなつ「……やっぱいいや」
あかり『……そっか』
ちなつ「ごめんね」
あかり『ううん』
ちなつ「……おやすみ」
あかり『……うん、おやすみ、ちなつちゃん』
―――――
―――――
翌日の土曜日、天気は微妙な曇り空。
それでも学校の無い土曜日はすっきりと目が覚めた。
ずっと土曜日に学校がなかった中学時代を過ごしていたから、この三年で慣れてしまったとはいえ
休日であるはずの朝の早起きは辛い。なのに休みになると自然と目が覚めてしまうのは不思議。
ともこ「ちなつ、お姉ちゃん出かけてくるね」
すっきり目覚めたついでに、部屋の掃除でもしようかとごそごそしていると
お姉ちゃんがなんだかご機嫌に私の部屋を覗いてきた。
今年で24歳になるお姉ちゃんは、大学も無事卒業して今は小さな印刷会社に勤めている。
ちなつ「今日休みなの?」
ともこ「ふふっ、そうなの」
ちなつ「デート?」
―――――
翌日の土曜日、天気は微妙な曇り空。
それでも学校の無い土曜日はすっきりと目が覚めた。
ずっと土曜日に学校がなかった中学時代を過ごしていたから、この三年で慣れてしまったとはいえ
休日であるはずの朝の早起きは辛い。なのに休みになると自然と目が覚めてしまうのは不思議。
ともこ「ちなつ、お姉ちゃん出かけてくるね」
すっきり目覚めたついでに、部屋の掃除でもしようかとごそごそしていると
お姉ちゃんがなんだかご機嫌に私の部屋を覗いてきた。
今年で24歳になるお姉ちゃんは、大学も無事卒業して今は小さな印刷会社に勤めている。
ちなつ「今日休みなの?」
ともこ「ふふっ、そうなの」
ちなつ「デート?」
「えっ」と今にも家を飛び出していきそうだったお姉ちゃんがかあっと赤くなって
固まってしまった。
どうやらそのとおりらしい。
ちなつ「ふーん、そっか」
ともこ「えっ、あの、その……」
お姉ちゃん、いつまで経っても初心なんだよね。
休みの日なのにこんな早くに家を出て、しかもいつもより可愛い格好してご機嫌なんて、
誰がどう見たってデート以外考えられない。
ともこ「……うん、そう、なるのかも」
お姉ちゃんが恥ずかしそうにこくんと頷いた。
まあ、まだ認めるようになっただけマシかなあ。
ちなつ「頑張ってね」
ともこ「も、もちろんよ!」
ちなつ「そんなに気負わなくてもいいよ、お姉ちゃん可愛いし」
ともこ「そんなことないわよ!そういうちなつだって、気負わなくてもいいでしょ?」
固まってしまった。
どうやらそのとおりらしい。
ちなつ「ふーん、そっか」
ともこ「えっ、あの、その……」
お姉ちゃん、いつまで経っても初心なんだよね。
休みの日なのにこんな早くに家を出て、しかもいつもより可愛い格好してご機嫌なんて、
誰がどう見たってデート以外考えられない。
ともこ「……うん、そう、なるのかも」
お姉ちゃんが恥ずかしそうにこくんと頷いた。
まあ、まだ認めるようになっただけマシかなあ。
ちなつ「頑張ってね」
ともこ「も、もちろんよ!」
ちなつ「そんなに気負わなくてもいいよ、お姉ちゃん可愛いし」
ともこ「そんなことないわよ!そういうちなつだって、気負わなくてもいいでしょ?」
ぽこんと頭をはたかれた。
髪についていた埃がぱらぱらと落ちていく。
ちなつ「あ……」
ともこ「今日は誰が来るの?また新しい子?」
ちなつ「……あかりちゃん」
ともこ「えっ」
お姉ちゃんがまた驚いたように固まってしまった。
何かあったらすぐカチンコチンになっちゃうんだから。こういうところが少し、
あかりちゃんに似てる気がする。
ちなつ「うん、あかりちゃんなんだよね……」
私ははあと大きく息を吐いて、今度は自分を落ち着かせるために呟いた。
あかりちゃんなのになあ。
髪についていた埃がぱらぱらと落ちていく。
ちなつ「あ……」
ともこ「今日は誰が来るの?また新しい子?」
ちなつ「……あかりちゃん」
ともこ「えっ」
お姉ちゃんがまた驚いたように固まってしまった。
何かあったらすぐカチンコチンになっちゃうんだから。こういうところが少し、
あかりちゃんに似てる気がする。
ちなつ「うん、あかりちゃんなんだよね……」
私ははあと大きく息を吐いて、今度は自分を落ち着かせるために呟いた。
あかりちゃんなのになあ。
いつまでも固まっているお姉ちゃんを玄関に追いやりながら、気負ってるわけじゃないと
自分に言い聞かせた。
けれど実際気負ってるのは誤魔化せない。
友達でいたい。
でも好きかもしれない。
矛盾した気持ち。
ちなつ「ほら、お姉ちゃんは行かなきゃいけないでしょ、デート」
ようやく我に返って「ご挨拶しなきゃ!」とかわけのわからないことをぶつくさと言っている
お姉ちゃんを送り出し、ようやく一人。
ふと時計を見ると、あかりちゃんが来るまであと数十分だった。
自分に言い聞かせた。
けれど実際気負ってるのは誤魔化せない。
友達でいたい。
でも好きかもしれない。
矛盾した気持ち。
ちなつ「ほら、お姉ちゃんは行かなきゃいけないでしょ、デート」
ようやく我に返って「ご挨拶しなきゃ!」とかわけのわからないことをぶつくさと言っている
お姉ちゃんを送り出し、ようやく一人。
ふと時計を見ると、あかりちゃんが来るまであと数十分だった。
それから掃除しているはずだったのに逆によけいに散らかっている部屋をなんとか
片付けて、約二十分。
着替えたり髪を梳かしたりでもう二十分。いつもどおりの髪型にセットし終えたちょうど
そのとき、呑気なチャイムの音がした。
ちなつ「……」
ぴくっと鏡の中の自分が震えたことに気付いたけど、無視。
私は一度だけすっと大きく息を吸い込むと、玄関に駆けていった。
――――― ――
片付けて、約二十分。
着替えたり髪を梳かしたりでもう二十分。いつもどおりの髪型にセットし終えたちょうど
そのとき、呑気なチャイムの音がした。
ちなつ「……」
ぴくっと鏡の中の自分が震えたことに気付いたけど、無視。
私は一度だけすっと大きく息を吸い込むと、玄関に駆けていった。
――――― ――
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