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    元スレインデックス「好きだよ、あくせられーた」一方通行「…はァ?」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×9
    タグ : - 1000レス到達 + - とある魔術の禁書目録 + - インデックス + - 一方禁書 + - 一方通行 + - 佐天 + - 化物語 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 :

    これだから親から罵られ世間から見下されても人生はやめられないんだよなぁ

    しかも風斬通行とか天使同盟しかしらんからすげー楽しみ

    52 = 1 :

    風斬「あ…う…」

     どうしようと風斬が混乱する間に打ち止めとインデックスがとてとてと傍まで歩み寄ってきた。
     今さら走り出して姿を消すのはあまりに不自然すぎる。

    インデックス「ひょうか今この箱から出てきたよね? これなーに?」

    ミサカ「これは俗にプリクラと呼ばれる機械ですね。このメーカー製のものは正式にはプリントシール機と呼称しなくてはなりませんが、とミサカはプチトリビアを披露します」

    打ち止め「え~! やりたいやりた~い! ってミサカはミサカははしゃいでみたり!」

    風斬「で、でも……」

    打ち止め「え~やろうよやろうよ~ってミサカはミサカはおねだりしてみる!」

    風斬「あ…」

     打ち止めは風斬の手を取って、キラキラした目で風斬の顔を見上げている。
     指一本でも触れれば殺す――風斬の脳裏に一方通行の言葉が蘇る。

     ―――だけど、風斬は打ち止めの小さな手を振り解くことが出来なかった。
     初めての友達を手放すことが出来なかった。

    風斬「うん……撮ろう。私も、撮りたい」

     そんな様子を、陰から観察していた一方通行は。

    一方通行「……チッ」

     苛立たしげに舌を鳴らして――だけど、それだけだった。

    53 = 1 :

    ミサカ「それじゃあ早速やりましょうか、とミサカはカーテンをくぐります」

    風斬「あ、そこは…!」

    インデックス「あー! カナミンの衣装があるんだよ! これ着てみたいかも!!」

    打ち止め「ん? どうしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみるけど、何か変なことあった?」

    風斬「え、あれ?」

     すたすたと筐体の中に入った三人に続いて、風斬も中を覗き込む。

    風斬(……もうどっかいっちゃったのかな)

     先程自分を脅かした白い怪物が消えていることに、風斬はほっと胸を撫で下ろす。
     しかし、この場で風斬以上に胸を撫で下ろしている人物が実はいた。
     言うまでもなく、一方通行である。

    一方通行(アッッッブねェェェえええええ!!!!)

     そう、一方通行は実はまだ現在進行形で筐体の中にいた。
     視覚情報とはつまるところ光の反射である。一方通行は光の反射方向を操り、自らを透明人間と化しているのだ。
     とはいえ、周囲の景色と同化する様に光の反射角を操るには複雑な演算が必要だ。
     一方通行がこれまでの争いの中でこのセルフ光学迷彩を使わなかったのも、出来るかどうかわからなかったからだ。
     学園都市第一位のLEVEL5、一方通行。
     とんだ所で火事場の馬鹿力を発揮したものである。
     しかし、彼の地獄はここから始まる。
     忘れてはならない。
     彼が今居るここは、コスプレ用のプリクラなのだ。

    54 = 25 :

    流石は主人公、オープンスケベだけでなくラッキースケベも完備か

    55 = 1 :

    ミサカ「さてさてどれに着替えましょうか、とミサカは衣装を物色します」ゴソゴソ

    打ち止め「うわぁ…すごいこの衣装。服っていうかもう紐だよね、ってミサカはミサカは絶句してみたり」

    インデックス「それはカナミンの敵で出てくる女幹部の服なんだよ!」

    風斬「……これ……着るの……?」

    ミサカ「あらためて見るとすごいボリュームですね。真剣にうらやましいんですが、とミサカは思わず手を伸ばします」モニュモニュ

    風斬「ひゃう!?」

    ミサカ「感度も良好……だと……?」モミモミモミモミ

    風斬「や…は…! ん…やめ……!」

    打ち止め「うーん、ミサカもそろそろブラジャーつけてみようかな、ってミサカはミサカは思い悩んでみたり」

    インデックス「らすとおーだーはまだいらないでしょ」

    打ち止め「あなたがいう!? ってミサカはミサカは憤慨してみる!!」

    インデックス「ど、どーゆー意味かな!?」


    一方通行(おおおォォォォォおおおおおお!!!!!!)

     一方通行、全身全霊を以ってその場を逃走。
     別にガキ共の裸を見たって何も感じはしないが、それでもここに居続けては自分の中の何かが終わると、彼の魂は全力で訴えていた。

    56 = 25 :

    アクセラちゃんは、もう魔術でしかイケない体なの?(´;ω;`)

    57 = 51 :

    ちゃんと目に焼きつけろよ!
    常識の通じねえ奴だ

    58 = 1 :

     わいわいきゃっきゃとはしゃぎ声が聞こえるプリクラを遠目に眺めながら、一方通行は自動販売機で購入したブラックコーヒーを口に運ぶ。

    一方通行「ったく、何て無様だ……学園都市第一位が聞いて呆れるぜ」

     手近なベンチに腰掛けて、一方通行は苛立たしげに髪を掻き毟る。
     その時、彼のポケットの中で携帯電話が鳴った。
     取り出し、相手を確認して一方通行の口元がにやりと歪む。
     それはまさに、学園都市第一位にふさわしい不敵な笑みだった。

    一方通行「よォやくかよ。待たせやがって」

     三人の少女達とじゃれついて、無為に時を過ごしていたわけではない。
     彼はただ、この連絡を待っていた。
     一方通行の持つ携帯電話の着信画面には。


     かつて一方通行を完膚なきまでに叩き伏せた、『幻想殺し』の少年の名が表示されていた。

    59 = 1 :

    一方通行「状況を確認するぜ」

     時は夜。場所は一方通行たちが暮らす部屋。
     そこに集まった面々の顔を一方通行は見回す。

    一方通行「俺達はこの学園都市に反撃する。この俺にちょっかいかけてきやがったクソ共を殲滅する。俺の機嫌を損ねたらどうなるかってのを連中に教育してやる必要があるからだ」

    一方通行「だが連中はクソらしく手段を選ばねェ。人質とったりも平気でやりやがる。だから俺達は先ンじて手を打っとかなきゃなンねェワケだが」

     一方通行はそこである一人の少年に目を向けた。
     黒いツンツン頭のLEVEL0――『幻想殺し』の上条当麻である。

    一方通行「その辺についてはテメエが何とかするっつゥ話だったよなァ?」

    上条「おう。上条さんにお任せあれだ。連絡つくまでに手間取ったけど、事情を話したら快く手を貸してくれるって言ってくれたぜ」

     上条はそう言って彼の隣に座る面々を手で示した。

    上条「紹介するぜ。神裂、ステイル……言わなくてもわかるだろうけど、御坂美琴だ」

     上条の紹介を受け、『聖人』神裂火織は頭を下げ。
     炎を操る天才魔術師、ステイル=マグヌスは口元に挟んだタバコを揺らし。
     学園都市第三位のLEVEL5、『超電磁砲(レールガン)』御坂美琴は憮然としたまま顔をそらした。

    上条「俺達がいない間はこいつらがインデックス達を守ってくれる。皆頼りになる奴等だ。安心しろ!」

     何やら自信満々の上条とは対照的に、一方通行はものすごく微妙な顔をした。

    60 = 1 :

     まあ、『超電磁砲』についてはわかる。
     一人で軍隊を相手取ることが出来るのがLEVEL5という存在だ。
     戦力としては申し分ないだろう。
     だが、残りの二人はなんだ?
     いや、素性はわからないが、上条当麻がこういう局面で頼るのだ。そこそこ腕が立つのは間違いあるまい。
     なのに、なんかこう、なんだろう。
     この二人から立ち上る獣のような香りは。
     もっと言えば犬のような臭いは。
     はっきりと言っちゃうとかませ犬の臭いがそこはかとなく漂っている気がする。

    一方通行「オイ、コイツらで本当に大丈夫か?」

    神裂「なッ!? し、失礼な!! 確かに私達は以前あなたにあっさりと不覚を取りましたが、それは相手があなただったからであって! 決して私達が弱いということでは!!」

    一方通行「あン?」キョトン

    神裂「そ、存在自体を忘却されている!?」ガーン!

    ステイル「……まぁ、しょうがないかもしれないね。僕達は彼の前であまり印象的な活躍が出来たとは言い難いから」フゥ…

    一方通行「……」ポリポリ

    上条「なんだ? お前らなんかやりあったことあんのか?」

    一方通行「……らしいなァ」

    61 = 1 :

    一方通行「妹達(シスターズ)はどうなってる?」

    ミサカ「言われたとおり、学園都市に残っていた個体に関してはあの『冥土帰し』のいる病院に集合させています、とミサカは報告します」

    打ち止め「世界中に散らばってる個体についても、何か異変があれば即座にミサカが把握できるよ、ってミサカはミサカは補足してみる」

    一方通行「状況に変化があれば即座に俺に知らせろ。おい、『オリジナル』」

    美琴「……私には御坂美琴って名前があるんだけど」

    一方通行「……御坂」

    美琴「なによ?」
    ミサカ「なんでしょう?」

    一方通行(……メンドクセェ)

    一方通行「……」

    一方通行「……………………美琴」

    美琴「んな! 何でアンタに下の名前呼び捨てにされなきゃなんないのよ!! まだコイツにすらそんな呼ばれ方されたことないのに!!」

    上条「えぇ!? 何でそこで上条さんの名前が出てくるんでせう!?」

    一方通行「メンドくせェェェェえええええええええええ!!!!!!!!」

    62 = 1 :

     結局『超電磁砲(レールガン)』に落ち着きました。
     あと、上条さんも御坂とミサカが被るから美琴って呼ぶ事にしたそーです。
     そしたら美琴が顔を真っ赤にしてなんやかんやあったけどめんどくせーから省略。

    一方通行「『超電磁砲』、頼ンでたモンは持ってきたか」

    美琴「ん」パサッ

    上条「ありゃ。なんだよ、一方通行からも美琴に声かけてたのか?」

    一方通行「護衛とは別件でな。学園都市内に点在する研究施設を探ってもらった」

    上条「それをまとめたのが美琴が持ってきたこのプリントってわけか」

    一方通行「そォいうこった。……クックック。あるねあるねェ、明らかに真っ当じゃねェ領域の研究やってるトコが」パラパラパラ…

    美琴「調べてる間吐き気をこらえるのが大変だったわよ」

    一方通行「しかしまァよく調べたモンだ。養護施設に擬態してるようなトコまでしっかり拾ってンじゃねェか」

    美琴「こういうのが得意な友達がいたのよ……悪いこと手伝わせちゃったわ。後でいっぱいお礼しなくっちゃ」

    63 :

    まあオリジナル呼ばわりは無いよね

    64 = 1 :

    上条「それで、このリストを何に使うんだ?」

    一方通行「ちったァ自分で頭使え。学園都市を潰すっつっても、まさか街ごと消滅させるわけにもいかねェだろうが」

    上条「でも、このリストだけじゃ俺達の敵を特定することはできないだろ」

    一方通行「そォでもねェさ。この前の襲撃で、『奴等』はこの学園都市の第二位と第四位のLEVEL5を動員してきた」

    一方通行「この学園都市の頂点に君臨するLEVEL5を顎で使えるような人物……そンな奴がゴロゴロいるはずはねェ」

    上条「確かに、そんな権限を持つ奴なんて、学園都市のお偉いさんでもほんの一握りだろうな」

    一方通行「だから、この施設の中でより深く闇に潜ってる所から手当たり次第潰していく。十中八九は俺にちょっかい出してきた馬鹿に繋がってるだろォさ」

    上条「もし、襲撃した施設が何の関係もない所だったら?」

    一方通行「そりゃご愁傷様だ。目ェつけられるよォな研究やってンのが悪ィ」

    上条「はは、まるで悪党だな俺達」

    一方通行「ハ、他の何だと思ってたンだオマエ」

    65 = 1 :

     第十学区内にある研究施設、『神永(かみなが)』医療技術研究センター。
     心臓や肺、その他内蔵機能、果ては脳髄に至るまで機械で代用できないか研究する施設である。
     研究内容としては、至極真っ当な印象を受ける。
     ――『置き去り(チャイルドエラー)』と呼ばれる、身寄りの無い子供たちを人体実験に利用しているという一点を除けば。

    一方通行「潰すぞ」

    上条「あぁ」

     一方通行の背中から黒い翼が噴き出す。
     上条当麻の右手から『竜王の顎(ドラゴン・ストライク)』が発現する。
     まるで、二人の感情の昂ぶりを表しているように。
     侵入者を告げるサイレンが鳴り響く。
     研究所内を黒服の男達が駆け回る。
     だがしかし。

     全ての機械兵器を反射し、無力化する一方通行を前にして。
     全ての異能を喰らい、無と帰す上条当麻を前にして。

     暗部組織の守護を受けていたことなど一片の意味もなく、神永医療技術研究センターは文字通り『壊滅』した。

    66 = 1 :

     第七学区内、通称『窓のないビル』。
     その最深部で、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーは培養液の中に逆さまに浮かびながら、部下からの報告を聞いていた。

    「現在、一方通行及び幻想殺しの襲撃によって壊滅した施設は六つ……その全てが我々の管理していた施設です。連中、どうやって把握しているのか我々に繋がる研究施設をピンポイントで襲撃してきています」

    アレイスター「驚くには値しまい。この学園都市の暗部はほぼ全てが『ここ』に繋がっているのだ。逆に外す方が難しい」

    「それはそうですが……このままでは遠からずこのビルへの侵入を許してしまう可能性があります。連中の人脈の中にはテレポーターもいるようですし」

    アレイスター「ふむ、確かにそれは少しだけ煩わしい。『一方通行』と『幻想殺し』が規定のレベルに達した以上、後はこちらの準備が整うまで彼らには大人しくしていてもらいたいのだが」

    「いかがいたしますか?」

    アレイスター「『垣根帝督』と『麦野沈利』はどうなっている?」

    「今しばらくは時間がかかるかと」

    アレイスター「虚数学区を制御するための『回路』の最終調整にも時間がいるな……あと少し時を稼ぐ必要があるか……ふむ……」




    アレイスター「『グループ』を使おう。土御門元春をここに呼んでくれ」

    67 = 1 :

    「仕事だ」

     キャンピングカーの中で、金髪にサングラスにアロハシャツという風体の少年が口を開く。

    「今度はかなり厄介な仕事だぜ」

    「おやおや、『グループ』に厄介じゃない仕事が回ってきたことなんてありましたかね?」

     答えたのはパリッとしたスーツに身を包んだ少年だった。
     柔和な笑みを浮かべたその顔は、非常に整ったものであるといえる。

    「いいからさっさと内容を言いなさいよ。回りくどいわね」

    「今度のターゲットは『一方通行』だ」

    「げっ」

     仕事の内容を端的に告げた金髪の少年に対し、露骨に顔をしかめる少女。
     胸の部分にまいたサラシ、肩にかけただけの上着、丈の非常に短いスカートと、かなり露出度の高い格好をしている。

    「冗談じゃないわ。イヤよ私。アイツ相手が女だろうが躊躇なく顔面殴ってくるわよ絶対。何でかわからないけど確信できるわ」

    「何を今更。顔に傷を負ったことなんて一度や二度じゃないだろう」

    「ふんっ」

     金髪サングラスのオールラウンダー、土御門元春。
     アステカの魔術師、海原光貴(エツァリ)。
     『座標移動(ムーブポイント)』を操る大能力者(LEVEL4)、結標淡希。
     この三人が学園都市の暗部組織『グループ』を構成するメンバーだ。

    69 = 1 :

    結標「で? あの一方通行をどうしようというの?」

    土御門「心配するな。始末しろってわけじゃない。丁重におもてなししてやれだとさ」

    海原「やれやれ。おもてなしといっても、相手がアレでは我々だけではどうにも人手不足な気がしますがねえ」

    土御門「そこら辺は人材を都合してもらった。『アイテム』を使う」

    結標「『アイテム』? 第四位が率いていた?」

    土御門「あぁ。第四位が行方不明になって現在活動を休止していたらしいがな。構成員の能力を聞いたが、今回の任務にはかなり有用だ。使わない手はない」

    海原「それなら第二位の率いていた『スクール』も使えばどうです?」

    土御門「もちろんそれも考えたが駄目だった。一人使えそうな能力の女がいたが、精神をやられちまってる。一体何を見れば人間あれだけ壊れることが出来るのか、見当もつかんよ」

    結標「あの化け物を相手取るにはいくら人がいても足りないというのに……任務成功の確率はどれくらいだと読んでいるの?」

    土御門「まあ、100%だろうな」

    結標「!?」

    海原「!?」

    土御門「アレイスターから素敵なプレゼントをもらった。最高に胸糞が悪くなるヤツをな」

     土御門の合図とともに、キャンピングカーのドアが開く。
     そこに乗り込んできたのは―――

    70 = 51 :

    ま、まさか!

    71 = 1 :

     第十二学区――学園都市で最も神学系の学校を集めている学区。
     宗教を科学的な面から学び取ろうという試みが多くなされているこの学区にも“真っ当でない”研究所は存在した。
     その研究所を襲撃している現在、矢面に立っているのは上条当麻だった。
     研究所を襲撃するに当たって、全く予定外のことが起こったからである。
     魔術師の存在だ。
     確かにここはオカルトを科学で解明しようという研究をしている場所だ。魔術師がそこに関わっていてもおかしくはないのかもしれない。
     一般的には。
     ここが科学の総本山、学園都市でなかったならば。

    上条(前に都市内に魔術師が侵入した時は極秘裏に排除を行っていたってのに……学園都市の暗部は、魔術と深い関わりがあるのか?)

     とにかく、相手が魔術だというのなら上条の出番だった。
     その理由は彼の『幻想殺し』は対魔術においてこそその本領を発揮できる――からではない。
     もちろんその理由もあるがそれだけではない。
     最も大きな理由は――相手の操る魔術に触れてからの一方通行の変調にあった。

    一方通行「が…ァ…!」

    上条「おい! 大丈夫か一方通行!!」

    一方通行(ク…ソが……なンなンだこの頭痛は……!)ズキズキズキズキ

    72 = 1 :

     魔術師の放った炎が一方通行に迫る。
     別にそれはいい。こんな炎は一方通行に危害を加えない。
     炎は一方通行が常時展開している『反射』の膜に触れ、明後日の方向に飛んでいく。
     これがおかしい。
     一方通行の『反射』は力の向き(ベクトル)の反転によって起こる現象だ。
     本来であれば放たれた方向そのままに返っていかなくてはおかしいのだ。
     それだけではない。
     非常に抽象的な表現になってしまうが、魔術で創られた炎は反射膜に触れてから反射されるまでに、少し一方通行側に“食い込んで”くるのだ。
     危害は加えない。しかしそれが薄気味悪い。
     だから一方通行は能力を使って炎の持つ性質を解析し、その原因を探ろうとした。
     ―――瞬間、猛烈な頭痛が彼を襲ったのである。

    一方通行(クソが! 一体どうなってやがる!? 『未知のベクトル』を解析してパターンに組み込むだけだろォが!!)

    一方通行(なのに出来ねェ! この“脳みそ削られた”みてェな意識のもやは何だ!?)

    一方通行(難問前にして頭痛がしますゥ~、だ!? 馬鹿が!! テメエは学園都市最高の脳みそ持ってるってだけが取り柄だろォが!!)

    上条「落ち着け一方通行!! ここは俺に任せて休んでろ!!」

     上条の右手から顕現した『竜王の顎』が一方通行に迫っていた氷の刃を喰らい潰す。
     上条はそのまま右手を払う。
     呼応するように『竜王の顎』はその身を振るい、新たな魔術の詠唱を始めていた魔術師達を薙ぎ払った。

    73 = 1 :

     一方通行はガシガシと頭を掻き――ふぅ、とため息をついた。
     そして、今までしゃにむに取り組んでいた魔術の解析をすっぱりと諦める。
     途端に、一方通行を苦しめていた頭痛があっさりとひいた。

    一方通行(もォいい。癪に障るが放っておく。こンなモンに拘泥している暇はねェ)

     とりあえず跳ね返すことは出来るのだ。ならばそれでいい。
     これから研究所内に突入する。
     銃を持った兵士もいるだろう。
     ここから先は一方通行の力が絶対に必要なのだ。

    一方通行「大はしゃぎご苦労サンだったな三下ァ。選手交代だ。後はノンビリ茶ァでも飲ンでろ」

    上条「了解だ。でも、なるべく殺すなよ」

    一方通行「知らねェよ。俺は敵意を反射するだけだ。敵がさっさと戦意喪失するよォなヘタレばっかであることを祈っときな」

     一方通行が施設の中に消えてから、きっかり五分後。
     外に飛び出し、上条のことなど目もくれずその場を去っていく職員達の必死の逃走も落ち着いた頃。
     施設の中から噴出した黒い『何か』が建物全体を切り裂いて。
     この夜、魔道研究所は地図からその姿を消した。

    74 = 1 :

     月明かりの下、瓦礫の山と化した研究所から一方通行が姿を現す。

    上条「どうだった?」

    一方通行「あァ、ここもだ。開発された技術はいくつかのクッションを挟ンじゃいるが、最終的にはある場所に集約されてやがる」

    上条「『窓のないビル』…か……」

    一方通行「確定だな」

    上条「俺達の敵は……本当の本当に学園都市のトップだったってわけか」

    一方通行「わかりやすい話で結構なこった。あそこを攻めるにはテレポーターがいるな。心当たりはあるか?」

    上条「あるにはある……けど、あまり巻き込みたくはないなぁ」

     と、二人がそんな会話をしていると。
     倒壊したこの研究所に向けて、車のライトが近づいてくるのが見えた。

    上条「ん? 何だ? お迎えか?」

    一方通行「あン? 手配した覚えはねェぞ?」

     近づいてくる。暗くて色はわかりにくいが、多分赤色のオープンカーだ。
     乗っているのは―――前に二人、後ろに一人で三人、か。顔まではわからない。
     二人から少し離れた所で車は止まって、後部座席にいた一人が車から降りてきた。

    75 = 63 :

    眠れん

    76 = 1 :

     心臓が止まったのではないかという程の衝撃を、一方通行は覚えた。

     その人物は白いピッタリした戦闘用の衣類に身を包んでいた。

     元々は恐らく雪原用の戦闘服なのだろう。

     夜の闇の中で、『ソイツ』の纏う白色は眩しすぎた。

     まるで、私を見てと言わんばかりだ。

     『ソイツ』は女だった。体格からの第一印象としては、高校生ぐらいの少女に見える。

     その顔に、肩まで伸びた茶色い髪に、ビリビリと『ソイツ』の周りで飛び散る火花に、一方通行は見覚えがありすぎた。

     そしてそれはきっと、隣りで固まっている幻想殺しの少年にしたって同じなのだろう。

     『ソイツ』は――御坂美琴が成長したらこうなるんだろうなと思わせるような風貌をした『ソイツ』は。

     ぎゃはっ、と、およそ御坂美琴にも『妹達』にも似つかわしくない笑みを浮かべ、言った。


    「こんばんは。いい夜だね、第一位。それと幻想殺しのヒーローさん。
     自己紹介の必要はあるかな? あは、その顔を見る限りでは必要なさそうだけど、一応自己紹介しておくね。
     ミサカは『妹達(シスターズ)』とは別系統で生み出されたミサカ。本来生まれる必要のなかったイレギュラーなミサカ。
     差し詰め『番外個体(ミサカワースト)』ってところかな?
     感激してね第一位。ミサカのこの魅力的な体は、全部全部あなたを弄ぶためだけに用意されたものなんだからさ」

    77 = 1 :

    うーむ ちっと眠る めんご

    78 = 29 :

    ミサワきたところでもう限界・・・
    俺はもう寝るからあと頑張ってくれ

    80 = 63 :


    おやすみ

    82 :

    寝る前保守

    83 = 23 :

    ほす

    85 = 3 :

    エツァリはどんな経緯で暗部に落ちたのか

    86 :

    さて、回収のお仕事ですな

    87 = 23 :

    そろそろ寝るかな保守

    88 :

    変態の人といい一方禁書の人といい最近のVIP始まってるなオイ

    90 = 1 :

     一方通行も上条も反応を返せない。
     目の前の状況に理解がまったく追いつかない。
     スタスタと『番外個体』を名乗った少女が歩み寄ってきた。

    番外個体「えっとぉ~、ミサカ今からあなたを思いっきりぶん殴りま~す。『反射』されちゃったら手首がグチャッってなっちゃうけど~命令だからしょうがないみたいな~?」

     おどけるように言いながら拳を振りかぶる番外個体。
     グシャ、と鈍い音がして、一方通行の顔に拳が叩きこまれた。
     吹き飛んだ一方通行の体が無様に地面に転がる。

    番外個体「ぎゃはは! 本当に『反射』しなかったよ!! 何考えてんの!? 何考えてんのぉぉぉぉおおおお!? すっげぇ! ミサカ全然理解できなぁ~~い!!」ゲラゲラゲラ!

    上条「おい! お前ッ!!」

    番外個体「おっと、ミサカに触るのはやめてよね幻想殺しのヒーローさん。あなたに触られたらミサカ死んじゃうんだから」

    上条「な…!?」

    一方通行「にィ…!?」

     口元から零れる血を拭い、一方通行は身を起こす。

    番外個体「ハッタリじゃないよ」

     驚愕し、目を見開く一方通行と上条に対して、番外個体はにやにやと笑いながらトントンと後頭部を指でつついてみせた。

    番外個体「ミサカのここには『セレクター』っていう自爆装置が埋め込まれている」

    92 = 1 :

    番外個体「『セレクター』の起爆条件は4つ」

    番外個体「ひとつ。『幻想殺し』がミサカの体に触れること」

    番外個体「ふたつ。ミサカが何らかの大きなダメージを負って瀕死の状態になること」

    番外個体「みっつ。学園都市第一位、一方通行が『窓のないビル』内部に侵入すること」

    番外個体「そして最後のひとつはぁ~」

     バウン! と番外個体の足元が爆裂し、その体が宙を舞った。
     くるりと空中で縦に一回転し、乗ってきたオープンカーの後部座席に着地する。

    番外個体「ミサカと一方通行の第一次接触の後、両者の間の距離が1200m以上離れること」

    一方通行「なにッ…!?」

     エンジンがかかる。赤いオープンカーが発車の準備を整える。

    番外個体「さあ、始めようよ第一位。一から十まで仕組まれたくっだらねえ茶番劇だけどさ。あなたとミサカでならそこそこ楽しく踊れると思うんだよね」

     オープンカーが煙を吐いて走り出す。
     50m、100m、200m―――二人の距離がどんどん広がっていく。

    番外個体「捕まえてみてよ、王子様!!」

    一方通行「ふ、ざけンなコラァァァァあああああああああ!!!!!!」

    93 = 1 :

    一方通行「三下ァ!! テメエは部屋に戻れ!!」

    上条「そんなわけにもいくか!! 一人であいつらを追うのは危険すぎるだろ!! 一体どんな罠を仕掛けているか……」

    一方通行「馬鹿が! ちったァ脳みそ使え! 奴等が走り去ってンのは俺の部屋がある方角と真逆だ!!」

    一方通行「俺達をこうやって部屋から遠ざけよォとする意図は何だ!? そンなモンひとつしかねェだろォが!!」

    上条「なッ…!?」

     その意味を理解する。
     危機感と怒りで、上条と一方通行の感情が爆発する。

    上条「おおおぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」

    一方通行「おおおォォォォォおおおおおおおお!!!!!!」

     全速で駆け出す。二人、真逆の方向へ。

    一方通行(クソ、クソ、クソ! クソッたれが!!)

     吹きすさぶ風をその背中に集中させ、己の体を射出する翼へと変えながら、一方通行は歯噛みする。

    一方通行(クソ共のクソッぷりを甘く見てた!! 作りやがった、また作りやがった!! 俺の足を止めるためだけに!! 俺への嫌がらせのためだけに!!)

     彼の心中を代弁するように、彼の背中で空気が爆発する。
     一方通行の体が射出された。四本の竜巻が一方通行の背中に接続され、進む方向を安定させる。
     視線の先では、番外個体が赤いオープンカーの後部座席で立ち上がり、にやにやと笑いながらこちらを見ている。

     益体もない追いかけっこが始まった。

    94 :

    前回までの話のタイトルってなんだろう
    凄く気になる

    95 = 1 :

    一方通行(馬鹿がッ!! 五秒で追いついてやらァッ!!)

     咆哮と共に、一方通行は己の体をさらに加速させる。
     あっという間に番外個体の乗るオープンカーとの距離が詰まった。
     たった三秒でオープンカーに追いついた一方通行が悠然とトランク部分に降り立つ。

    番外個体「げげっ、さすがにこんなに早く追いつかれるなんて予想外なんだけど」

    一方通行「舐めンな。伊達に最強名乗ってるワケじゃねェ」

    番外個体「カックイー。ミサカじゅんじゅんきちゃう。でも何事も早すぎる男ってのは嫌われちゃうよーん?」

    一方通行「求められる以上に口を開く女は論外だ。歯ァ全部へし折って俺好みのおしゃぶり上手なツラにしてやろォか?」

    番外個体「きゃ~、こわ~い。助けて絹旗さ~ん」

     おどけたように助手席に向かって声をかける番外個体。
     ここまで近づいたことで、一方通行にも残りの二人の姿が確認できた。
     助手席にいたのは女で、運転席にいたのは男。
     セーターのような生地のワンピースを身に纏った少女。
     パリッとしたスーツに身を包んだ、非常に整った顔立ちをした少年。

    「まったく、基本的に私の出番は無いって話だったのに、もう破綻しちゃってます。超杜撰なプランですね。これだから頭が金色の奴の仕事ってのは超信用なりません」

     その助手席にいた少女が。
     番外個体に絹旗と呼ばれた少女が、のそりと立ち上がった。

    96 = 88 :

    きぬはたさいあいちゃん!

    97 = 1 :

     学園都市暗部組織『アイテム』の構成員、『窒素装甲(オフェンスアーマー)』の絹旗最愛。
     ゆっくりと後部座席に移った絹旗は、次いでその手をぐっと腰元に引き寄せる。
     まるで力士が張り手を繰り出すような格好だ。

    一方通行(図に乗りやがって馬鹿が!! 勝手に自滅してろ!!)

     一方通行は問題なく『反射』の膜を展開させる。
     それで絹旗の存在は意識から切った。
     彼の目に入っているのは、変わらずにやつく番外個体ただ一人。

    一方通行(まずはこのガキの確保を最優先だ! これ以上クソ共の思惑に踊らされてたまっかよ!!)

     一方通行は番外個体へと手を伸ばす。

    番外個体「手を差し伸べて、王子様気分も結構だけどさ」

     そんな一方通行を嘲笑うような調子で番外個体は口を開く。

    番外個体「どんなに優れた外科技術をもってしても、ミサカの中の『セレクター』を取り出すことは出来ないよ。そう、たとえあの『冥土帰し』の腕でもね」

    一方通行「なにィ…?」

    番外個体「バイバイ滑稽な王子様。次に追いつくのは何秒かかるかな~?」

     番外個体はひらひらと手を振った。
     完全に意識から外していた絹旗がその手を一方通行に突き出し――

     ――瞬間、鳩尾をハンマーでぶっ叩かれた様な衝撃が一方通行を襲った。

    98 = 1 :

    一方通行「ぶッ…がッ……!?」

     訳もわからず吹き飛ばされ、後ろを走っていた大型のワゴン車に衝突する。
     ビシリ、と真っ白な罅がフロントガラスを覆った。

    運転手「はぁ!? なぁ!?」

     あまりにも突然の状況に混乱するワゴン車の運転手。
     しかし一方通行に答える余裕はない。

    一方通行(クソ…! 何だ…!? ヤロォは何をしてきやがった!?)ゴフ…!

     『反射』は間違いなく機能している。
     車に突っ込んだダメージはまるで無いのがその証左だ
     ならば何故先程の攻撃は通ったのか。

    絹旗「体表から数センチの範囲内でなら、空気中の窒素を自由自在に操れるのが私の能力、『窒素装甲』」

    絹旗「その私の能力で一方通行の体表面付近の窒素を思い切り引き寄せる」

    絹旗「結果、“引き寄せる力のベクトル”を“自動的に反転させてしまう”一方通行は勝手に衝撃を自分の体側に引き込んで自滅する」

    絹旗「こんな超トンデモ理論が本当に第一位に通用するとは超驚きですね」

    海原「土御門には通用する確信があったようです。過去に同様の方法で一方通行の『反射』を打ち破った『前例』がいたそうですから」

    絹旗「通用する保証もないのにこんな超あやふやな理論であの怪物に立ち向かった奴がいたんですか? そいつは超イカレてますね」

    99 = 1 :

    運転手「おいなんだよ! なんなんだよぉ!! アンタ一体誰なんだよぉ!!」

    一方通行「学園都市第一位のLEVEL5っていやァわかるか?」

    運転手「な…? は…? あ、あく、アクセラ…レータ……?」

    一方通行「おゥ、お利口さンで何よりだ。体に教える手間が省ける」

    運転手「は、う…! 何で…? 何で何で…!?」

    一方通行「前の車を追え。ブレーキを踏ンだら殺す。勝手にハンドルを切っても殺す」

    運転手「つっても、ガラスが罅だらけで前なんて見えねぇよお!!」

     ボンネットに腰かける形になっている一方通行が拳をフロントガラスに叩き付けた。
     パァン、という甲高い音を立てて、フロントガラスが粉々に砕け散る。

    一方通行「これで見通しも風通しもバッチリだ。だろ?」

    運転手「あひゃふはははは!! 何だコレ!? 何でこんなことになってんだ!? ちくしょお、ちくしょおぉぉおおおおお!!!!」

     半狂乱になりながらハンドルを握る運転手。
     そんな運転手に一方通行は少しだけ哀れむような視線を向けた。

     ―――迂闊にも、番外個体から目を外してしまった。

    100 = 1 :

     パキン、と何かが一方通行の腕に触れた。
     ダメージは無い。反射は問題なく機能している。
     機能してしまっている。

    一方通行「……あァ?」

     一方通行の目には、崩れ落ちる番外個体の姿が映っていた。
     その右肩に刺さっている鉄釘は一体なんだろう?

    番外個体「いったぁい……」

     ぽたぽたと血を流しながら、番外個体は一方通行を見る。
     非難するような目で。蔑むような目で。

    番外個体「痛い痛い。本当に痛いよ。あなたに一万回殺された『妹達』もこんな痛みを感じてたのかな?」

     共にその身は疾走する車上。
     届くはずの無い声が、やけに鮮明に聞こえてくる。

    番外個体「意味がないと知りつつも、攻撃は反射されるだけだってわかってても」

    番外個体「それでもミサカはあなたを命令通り攻撃しなきゃならないんだよねぇ。あっは。番外なんて銘打たれといて、結局ミサカも他のミサカと一緒なんじゃん。嬉しくなっちゃうね」

     番外個体の手から鉄釘が発射される。
     御坂美琴(オリジナル)の『超電磁砲』には及ばぬまでも、十分な殺傷力をもった一撃が音速を超えて一方通行に迫る。

     『反射』は発動しない。
     ぶづり、と一方通行の右肩に鉄釘が埋まった。


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