創る名無しに見る名無し<><>2014/07/25(金) 22:53:06.59 ID:h7uHfyVj.net<> 男「登山してたら変なもの見っけた」
卵「......」
男「にしてもデカい卵だな、俺よりデカいんじゃないか?」
ポツポツポツ
男「うわっ雨降ってきたよ...どっかに野宿できそうなところは...」キョロキョロ
洞穴発見
男「お、こりゃついてるな。よしさっそく...」チラッ
卵「......」
男「...重そうだなぁ」 <>男「なんだこれ?」卵「......」 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/07/25(金) 22:58:54.34 ID:s8qN1Xpd.net<> >>1
二次創作総合スレ
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1282482997/
他に行き場所の無い作品を投稿するスレ4
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1322313024/
【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^)
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1280803360/

創作発表板はVIPと違い、放っておいてもスレが落ちません
新ジャンルなど台詞系の単発スレを立てるときは、
そのスレを>>1000か容量いっぱいまで投下する心づもりで

単発SSなら↓の板おすすめ

SS速報VIP
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/index.html <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/25(金) 23:27:34.27 ID:h7uHfyVj.net<> 男「ふんぐおおおおおおおお...!」

ドスン

男「ふ〜日頃の成果だなこりゃ、よく頑張った俺」
卵「......」
男「しかし一体何の卵だ?こんだけ大きいと産むやつも限られてくると思うんだが...」

グゥ〜

男「腹減ったな...そういやもう昼時か」
男「持ってきた食料をってあれどこいった?」
男「うわっリュック破けてるじゃん!?」
男「まずいな、この豪雨は当分やみそうにないし下山にも大分時間がかかる」
男「加えてここは県境の山だから人が来る可能性もない、やべえ詰んだ...」
男「今ある持ち物っていっても」ガサゴソ

ライター、タオル、水2本、地図、
虫除けスプレー、ステッキ、ライト、

男「他はどっかに落としただろうな、水だけでも残ってたことに喜べばいいのか...」
男「食いものはマジでどうしよう、塩飴すら無いからな...」
男「せめて生き物かなんかいれば...」
卵「......」
男「...まあ道は覚えてるし」シュボッ <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/25(金) 23:54:45.03 ID:h7uHfyVj.net<> パチパチ

男「よくよく見たら間違えて世界地図持ってきてたわ、うっかりすぎる」
男「まあいいや、それより卵どう食おう?フライパンなんて無いしデカすぎて割れないし」
男「あ、卵に穴開けて熱した石にかけるとかいいかな?」
男「この洞穴もうちょい先があるっぽいしちょっと探してこよ」スタスタ


卵「...ピキッ」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 00:12:34.03 ID:baJs0lsZ.net<> 男「これでいいかな〜さて卵いただき...」
?「グルル」
男「えっ?」
?「クルル?」ノッシノッシ
男「えっ何うそ意味わからん」
?「ガルル...」スンスン

目と鼻の先の距離

男(うおーデケー食われる食われる!?)
?「...クーン」スリスリ
男「え、何?どしたの?」
?「クルル」スリスリ
男「もしかして親だと思われてんのかな?」
男(ちょい恐いけど試しに...)
男「よーしよしよしよしよしよしよし!」ワシャワシャ
?「♪」ゴロン
男「ふぅ、食い殺されはしないみたいだな」
男「にしても何だお前?恐竜みたいだな」
?「?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 00:20:41.45 ID:baJs0lsZ.net<> ザーッ

男「しかしどうすっかな〜飯無くなっちまったよ、外は雨弱らないし...」
?「ガウッ」スクッ
男「ん、どうした」

ダッダッダッダ

男「おいどこ行くってはえーなおい!?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 00:26:09.78 ID:baJs0lsZ.net<> 2時間後

男「あいつどこ行ったんだ?この雨の中動こうなんて...ああ見た目爬虫類だから気にしないのか」
?「グルルッ!」ドスドスドス
男「うおびっくりした!?脅かすなバカ!」
?「?」
男「まったくいったいどこ行って」
?「オエッ」ビチビチビチ
男「」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 00:32:30.56 ID:baJs0lsZ.net<> 男「おまっ何来て早々吐いてんの!?しかもくっさ!?」
?「ガウ?」
男「ガウ?じゃねーよめっちゃ魚吐きやがって生臭...魚?」
男「もしかして俺の為に?」
?「クルル」
男「......」スッ
男「よーしよしよしよしよしよしよしよし!」ワシャワシャ
?「クルル♪」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 00:44:03.85 ID:baJs0lsZ.net<> 魚丸焼き中

男「しかしさっきまで体の中にあったものを食べるのは抵抗あるな」
?「♪」ガツガツ
男「唯一の救いはそれを美味しく食ってくれてるところだな」
?「グルル♪」
男(それにしてもこいつはいったいなんなんだろうか?こんな生物見たことも聞いたこともないぞ?)
男(第一生みの親はどこ行ったんだ?捨てたにしては卵に傷一つ無いし...)
男「ま、明日には下山できるだろうしその後調べるか」
?「クル?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 01:05:01.74 ID:baJs0lsZ.net<> 翌日

男「ん、朝か」
?「スーッ...スーッ...」
男「おい起きろ、朝だぞ」
?「クルル...」

ヒュンッベチン!

男「いった!?この野郎しっぽではたきやがった...」ジンジン
男(どうやら夜行性みたいだな)
男「仕方ない、こいつは置いていくか」

チュンチュン

男「すっかり晴れてるな〜虫除けしとかないと」プシュー
男「さて、行「ガウッ」くかって時に起きやがって...」
?「クルル」
男「何だよ、寂しいとかいいたいのか?」
?「クゥン」
男「犬かお前は」ハァ
男(そういやコイツ昨日生まれたばっかだったな、そりゃ寂しがって当然か)
男(でも街中にこんなもん歩いてたらパニックになるしな〜どうしたもんか)
男(...待てよコイツ足速かったよな?)
男「よしいいだろう、ついてこい」
?「ガウッ!」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 01:14:03.53 ID:baJs0lsZ.net<> 男「ハイヨー風になれー!」
?「グワウッ!」ドスドスドス
男「いや〜こりゃいいわ、楽な上に速い。この分だと1、2時間は早く下山できるな」
男「それにこいつといれば野犬に会っても何とかなるから恐いものなしだしな」
男「ほ〜れ褒美だありがたく思え!」

魚ポイッ

?「ギャウ!」ジャンプ
男「ちょ急に跳ぶなぶッ!?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 01:24:00.07 ID:baJs0lsZ.net<> 男「なんとか着いた」ボロッ
?「クルル...」
男「そうめげるなって、よく考えれば全部俺が調子乗ってた時だけだから」
男「じゃあいいか?お前はあの洞穴に戻ってろ。戻ってきたらホイッスルを鳴らすからその時ここに来い。この音だぞ?」ピーッ
?「クルル」
男(ここに来る途中でわかったがこいつは大分頭がいい、おそらくこれで大体はわかっただろう)
男「またな、見つかるんじゃねーぞ」
?「ギャウ!」ドスドスドス...
男「さて、我が家に帰るか」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 01:52:55.68 ID:baJs0lsZ.net<> 男「たっだいま〜」
母「あらお帰りなさい、今回は早かったわね」
男「あのさぁ、帰りの遅い息子を心配するとかないわけ?」
母「だって男ったらいっつも何かしらやらかすじゃない、そのくせ心配してればひょっこり帰ってきて「ヤバかったな〜」で終わりじゃない」
男「無事に帰ってくるだけありがたく思ってくれよ」
母「お母さん男の為に4回も捜索願いだしたのよ?あれけっこう高いんだからね」
男「バイトして返したじゃん...」
母「お父さんなんかなんて言ったと思う?『男?死ぬわけねーだろあれが』だって」
男「俺って親父からどんな風に見られてんの!?軽く化け物扱いされてない!?」
母「お父さん言ってたわよ?男の就職先イラクとイスラエルどっちがいいかって」
男「紛争地帯じゃねえか!?嫌だよドンパチなんて死にたくない!」
母「男が死ぬわけないでしょそんなとこで」
男「母さんまで!?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:00:54.47 ID:baJs0lsZ.net<> 男「そのくらいは自分で決めるから!」
母「待って男ちゃん、サバンナはどう?」
男「いくかそんなとこ!?」

バタン

男「まったく揃いも揃って、あれでも生みの親か...」
男「っとそうだ、あいつのこと調べないと」

パソコンに電源を入れる

男「おそらくあれはまだ発見されてない種だ、となると動物だけじゃ出てこないよな」

キーワード検索:恐竜

男「とりあえずこれで探してみようか」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:15:24.22 ID:baJs0lsZ.net<> 1時間経過

男「ん〜見つからないな...」

2時間経過

男「これじゃない、これも違う、これは...似てるけど違う」

4時間経過

男「......」

5時間経過

男「.........」

8時間経過

男「................................................」
男「無理だァァァァァァァァァ!!」
男「恐竜UMA新種実験動物、こんだけ調べても出ないっておかしいだろ...」
母「男ーご飯よー」
男「はーい今いくー!」
男「飯食ってから再開するか」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:38:55.84 ID:baJs0lsZ.net<> 母「あそうそう、私たちちょっと遠出するから留守番よろしくね」
男「?なんかあったっけ」
母「ホラー明日は結婚記念日じゃない〜♪」
男「ああ」
母「それでちょっと北海道まで旅行してくるからね〜」
男「じゃあ暫く俺一人か...」
母「やましいことしちゃダメよ〜?」
男「相手もいないのに誰とするんだよ...」
母「幼馴染ちゃんとかいるじゃな〜い♪」
男「ブッ!?す、するわけないだろアイツとなんか!///」
母「照れちゃって〜もう高校生でしょ?」
男「照れてないっての、ったく」

では次のニュースです
日本が誇る不朽の名作、ハリウッドでついに日本上陸

男「ん?」

全世界興行収入No1を記録したこの映画は日本の誇る俳優が出演していて

母「あらなつかしいわね〜これ子供の頃に見に行ったわ〜」
男「...そういやこれは調べてなかったな」ガタッ
母「あら、もういいの?」
男「ごちそうさま!」タッタッタ
母「はいお粗末様、フフッ若いわね〜♪」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:39:36.27 ID:baJs0lsZ.net<> 母「あそうそう、私たちちょっと遠出するから留守番よろしくね」
男「?なんかあったっけ」
母「ホラー明日は結婚記念日じゃない〜♪」
男「ああ」
母「それでちょっと北海道まで旅行してくるからね〜」
男「じゃあ暫く俺一人か...」
母「やましいことしちゃダメよ〜?」
男「相手もいないのに誰とするんだよ...」
母「幼馴染ちゃんとかいるじゃな〜い♪」
男「ブッ!?す、するわけないだろアイツとなんか!///」
母「照れちゃって〜もう高校生でしょ?」
男「照れてないっての、ったく」

では次のニュースです
日本が誇る不朽の名作、ハリウッドでついに日本上陸

男「ん?」

全世界興行収入No1を記録したこの映画は日本の誇る俳優が出演していて

母「あらなつかしいわね〜これ子供の頃に見に行ったわ〜」
男「...そういやこれは調べてなかったな」ガタッ
母「あら、もういいの?」
男「ごちそうさま!」タッタッタ
母「はいお粗末様、フフッ若いわね〜♪」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:42:37.24 ID:baJs0lsZ.net<> 男「何でこれが思いつかなかったんだ、動物恐竜UMAじゃないときたら残るは...」

キーワード検索:怪獣

男「これしかないだろ」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/07/26(土) 02:48:44.63 ID:baJs0lsZ.net<> 連投しちゃった...スマソ

男「あった...」
男「姿形も同じ、特徴も一致してる」
男「にしても知らなかったな、有名な作品のはずなのに」
男「監督は...誰だこれ?ローランド・エメリッヒ?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/09/14(日) 10:10:52.89 ID:brAY9N0y.net<>  ひとしきりPCで検索して、映画に出てきた
怪獣に似ている以外、特に成果は無かったので電源を落とし、
ベッドに横になる。

男「けど、なんだってあんな怪獣の卵が山に捨てられていたんだろう」

 タマゴが自然に落ちているのは妙な気がする、
タマゴは無防備なものだ、普通は巣の中に大事に置いてあって
親の怪獣(?)が大切に暖めるものだろう。

 今まで地球上で発見されていない生物で、誰かが密輸で
日本に持ち込んだとしても、捨ててあるのはおかしいだろう。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:17:02.04 ID:brAY9N0y.net<> 男「化け物を飼っていて、タマゴを産んだから
  面倒を見切れなくなって山に捨てたとか?」

 それも変な話だ、大体有精卵が存在するという事は
親となる化け物が最低2匹(2頭か?)存在する事になる。

 まだ子供だとしても、人を乗せられる程の生物だ
そんなモノを2頭も隠し通して飼育できるものか。

男「考えていても仕方が無いか」

 とにかく、あの化け物がどこから来たかは後回し、
ああして懐いてくれている以上、愛着もあるので
どうにかして守ってはやりたい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:23:54.94 ID:brAY9N0y.net<> ?「キャァァァァ───────ッ!」

 突如、窓の外から女の悲鳴が聞こえて男は
ベッドから飛び起きる。
 どうやら、考えている間に眠ってしまったらしい。

 2階の自室から、窓を開けて外を見ると
見覚えのある怪獣と、隣に住む幼馴染の女の子の姿が見えた。

幼馴染「……ば…ば…化け物!!」

怪獣「……クルルル…♪」

男「げっ!あいつ、俺の臭いを辿って
  町まで下りてきたのか!」

 腰を抜かして地面に座り込んだ幼馴染と、その顔を嘗め回す
体長2メートルの翼を持った飛竜のような大蜥蜴。
 言うまでも無く、山で会った例の化け物だ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:29:10.23 ID:brAY9N0y.net<>  上着に袖を通しながら自分の失策に舌打ちをする、
考えてみればタマゴから孵ったばかりの子供なのだ。

 待っていろと言った所で、大人しく待っているはずもない。

 直ぐに寂しくなって親(俺の事)を探して歩き回るに
決まっている。

怪獣「……キャウウ!!」

男「ちょ!待っ………………。」

 家の外に出て、姿を見せるなり、
甘ったれた声で鳴きながら、俺に向かって突進してくる怪獣。

 懐かれるのは構わないが、体長2メートルの大型生物に
突進される方はたまったものではない。

 突進されて、壁に叩きつけられる俺を見て
幼馴染が更に甲高い悲鳴を上げるのが聞こえたような気がした。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:36:27.65 ID:brAY9N0y.net<> 幼馴染「……なっ…なっ
    なんなのよ!!アレ!!」

 ショッキングな出来事から立ち直った幼馴染が
男に詰より、怪獣を指さしながら叫ぶ。

 ─────どうしたものかなぁ。

 幸い奇跡的にも、学校の創立記念日で高校が休みだった
だけで平日なので、幼馴染以外には目撃されていなかったようだ。

 とにかく、この幼馴染を誤魔化せばまだなんとかなるかもしれない。

男「………えと、その、犬だ!!」

幼馴染「は?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:41:42.01 ID:brAY9N0y.net<> 男「犬だよ!犬、そう!これは犬だ」

幼馴染「は?」

男「俺、昔っからこう言う犬を飼いたくてさ
  母さんに頼んで買ってもらったんだ」

幼馴染「は????」

 幼馴染の目が点になる、だがここで勢いを
緩めてはダメだ、押し通す。

男「やっぱこーゆー、大型犬だよな
  なんていったっけ、ポメラニアン?」

怪獣「……ガウ♪ 」

男「ほら、ちゃんと『ワン』と鳴いているじゃないか」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 10:49:47.84 ID:brAY9N0y.net<>  しかし、当然誤魔化せるわけでもなく。

幼馴染「これのどこがポメなのよ!」

男「新種の………ポメラニアンだ!!」

幼馴染「全身鱗!背中から生えた大きな翼!
    生えそろった牙!おまけに角!
    こんな犬が居たら、犯罪よ!」

男「なんだとぅ!!
  ポメラニアンに翼が生えていて何が悪い!」

幼馴染「悪いわよ!可愛くないじゃない!」

男「ペットは格好良いものだ!」

幼馴染「可愛いものよ!」

男「そんな事誰が決めた!ちょっと変わった亜種なだけで
  これは犬だ!文句は言わせん!」

幼馴染「どう見てもドラゴンじゃない!
    しかも、飛竜!竜騎士とかが背中に乗って
    槍とか振り回す飛竜よ!」

男「……詳しいな、お前…。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 16:12:39.94 ID:brAY9N0y.net<> 幼馴染「…………で?アレは何?」

 とりあえず、家の玄関先で騒いでいるのもなんなので、
怪獣(改め飛竜)を庭に連れてきて、幼馴染の家に上げて
庭が見える居間に通し。

 麦茶を置いた所で、幼馴染がジト目で睨みつつ
追及して来る。

 どうやら、さっきの一連の騒ぎで落ち着きを取り戻したらしい。
この女の肝が据わっているのか、それとも女と言うものは
そう言う物なのか。

男「犬じゃ、ダメか?」

幼馴染「ダメよ、しっかり説明しなさい」

男「犬って事にしておいた方が
  面倒事に巻き込まれず、お前にとっても幸せだと思うんだけどな」

 ため息を付きつつ、説明する。
と言っても、説明する事自体は多くも無いのだが。

幼馴染「山で拾ったねぇ……。
    ウチの爺ちゃんも昔、山で犬を拾ったとか言って
    狸拾ってきた事あるけど」

男「やっぱ、その線で行くか」

幼馴染「そりゃ、もう良いから
    …………で、どうするのよ?」

男「飼うって線は難しいよな」

幼馴染「賢明な判断ね、生まれたばかりの子供で
    2メートルぐらいなら、大きくなったら20メートルぐらいに
    なるかしらね」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 16:23:44.56 ID:brAY9N0y.net<> 男「餌代だけで死ねるな、バイトでも増やすか」

幼馴染「………高校生程度のバイトでどうにかなると思えないけど」

男「サーカスにでも売るか」

幼馴染「何年前の発想よ」

男「じゃ、テレビにでも売り込むか」

幼馴染「………良いわねー、事務所通さないと
    税金引かれても、随分金になるらしいわよ」

男「現実的だなー、お前」

 当の化け物は投げてやったサッカーボールがいたく気に入ったらしく、
サッカーボールにじゃれ付いて遊んでいる。

幼馴染「あんたが現実逃避し過ぎなのよ」

男「そうか?」

幼馴染「やっぱ、本当の親に返してあげるべきじゃないのかな」

男「そうしてやりたい所だけどな」

 幼馴染は居間からサンダルを履いて庭に出て、
サッカーボールを取りあげて投げてやると、化け物は喜んで
サッカーボールに噛みつき。
見事に破裂させた。

幼馴染「そもそも、何者なのかしらね、この子」

男「わかってりゃ事態は解決している気がする」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 16:31:47.64 ID:brAY9N0y.net<> 幼馴染「そういや、おばさんは?」

男「さっき出て行った
北海道に旅行だとさ、良いタイミングだったな」

幼馴染「素晴らしく運が良いわね、君は」

男「どうせなら、芋(妹)も連れて行って欲しかったもんだ」

幼馴染「素晴らしく運が無いわね、君は」

男「黙れネトゲ廃人」

 学校に出かけている妹が帰って来るまでに、
この化け物には山に帰っていただかなくてはいけない。

 とはいえ、そろそろ夕方だ
この超ド級の田舎だとしても、化け物を連れて山に行ったら
さすがに人目についてしまうかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 19:54:40.37 ID:brAY9N0y.net<>  ため息をついて、庭に出て化け物に近寄る。
頭に軽く手を置いて撫でてやると、化け物はつぶらな瞳で
見つめて来る。

男「そんな訳で、芋が帰って来る前に山に帰ってくれると
  とっても面倒が無くて助かるんだけど」

竜「ガウ♪」

男「オマエ、山、ゴーホーム、分かる?」

竜「ガウ?」

幼馴染「余計判らないと思う」

 何とかこれ以上目撃者が増える前に何とかしたいと
思うのだが。

妹「だだいまー」

男「Oh、ジーザス」

 非情な現実に、神に祈りを捧げてみる
それで何も好転しなかったが。

幼馴染「あ、お邪魔してます」

妹「あれ?珍しい
  お姉がウチに来るなんてずいぶん久しぶ────」

 妹が今に入って来た所で、化け物を見てフリーズ

妹「キャァァァァ!!何それ!!」

男「……その………犬だ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 19:55:45.63 ID:brAY9N0y.net<> 妹「…………捨ててきなさい!!」

男「だって仕方が無いだろ!?ついて来ちゃったんだもん」

妹「まだ、生まれたばかりのサイズでこの大きさなんですよ
  あんな大きな犬、家じゃ面倒みきれません」

男「そんな事言ったって、可哀そうじゃないか」

妹「可哀想って、無責任に拾われる方がもっと可哀想です!
  保健所に連絡しますからね!」

男「ちょっと、待ってくれよ!芋!」

妹「芋言うな!」

幼馴染「はーい、二人ともー
    現実逃避しなーい。」

 変な方向に現実逃避を始めた二人を、幼馴染がおさめる。

妹「……はぁ……で?アレ、何?」

男「やっぱり、犬じゃダメなのか?」

妹「ダメ!、しっかり説明する!」

男「犬って事にしておいた方が
  面倒事に巻き込まれず、お前にとっても幸せだと思うんだけどな」

妹「ウチの庭に居る時点で、面倒事に巻き込まれないのは多分無理だと思うけど」

男「賢い芋を持って、お兄様は鼻が高いぞ
  ついでに、賢い我が芋なら、何も見なかった事にしてこのままスルーで
  部屋に帰る手段もあるけど」

妹「いーから、説明する!
  あと、芋言うな!馬鹿兄!」

 2度目の説明───何事も2度目だと、楽なものだ。
ちなみに、幼馴染は竜にバレーボールを投げて遊んでいた。(バレーボール部)

妹「全く馬鹿兄は、お姉まで巻き込んで」

男「むしろ、ノリノリで巻き込まれたのは幼馴染の方」

妹「良い訳しない!」

男「サーセン」

 叱責を適当に流す。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/14(日) 19:56:15.87 ID:brAY9N0y.net<> 男「まぁ、実際大丈夫だろうと思うけどな
  思ったよりも頭が良いみたいだし、ちゃんと説明すれば
  夜には山に帰ってくれると思う、多分」

妹「そうかなー」

男「タマゴから出て来たばかりなのに、自分で魚取ったりしたしな
  自力でなんとかしてくれるとは思う、多分」

竜「ガウ?」

男「次の3連休にでもまた、こいつの山にでも行って
  なんか手がかりが無いか、探してみるか」

妹&幼馴染『駄目!』

 幼馴染と妹の二人して声を揃えて反対してくる。

男「何でだよ」

幼馴染「この子以外の化け物が居たらどうするのよ」

男「いや、それを探しに行くんだろうが
  それに、慌てて帰って来たらキャンプ道具一式も
  置きっぱなしだし」

妹「お兄、食べられちゃうかもしれないよ」

男「大丈夫だって、多分」

妹「いや、根拠無いでしょ」

男「だってなぁ」

 人懐っこい竜を指さす男、バレーボールにじゃれ付く姿は
人に襲いかかってくるような凶暴な感じには全く見えない。

男「まぁ、万が一の為に保険も掛けておくって」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 00:28:11.41 ID:ji79CPzG.net<>  そして、次の休日────。

友「ぬぉッ!!な…なんじゃこりゃ!!!
  一体こいつなんなんだよ、相棒」

 人目に付きづらい早朝に、山に出発する為に
新たに呼んだ友人は姿を現した飛竜を見るなり
驚愕の表情を見せる。

 いかにも全身ミリタリーと言った感じの、
趣味な人、保険こと秘密兵器の友人その人だ。

幼馴染「おはよ、少し経っただけなのに
    また、一段と大きくなったわね」

 欠伸する口を手で隠しながら、隣の家
(と言ってもだいぶ離れても居るのだが)から幼馴染
がやって来る。

友「すっげー、竜だぜドラゴンじゃねーか
  どうしたんだよ、こいつ」

妹「うるさい馬鹿、お兄ぃどうしてこんなバカ呼んだのよ」

 友の事を良く思っていない妹は、騒ぐ友に蹴りを入れるが
友の興奮は収まらないようだ。

友「そうか、こいつか?
  こいつ殺るために、例のブツを持ってこさせたのか?」

男「ちげーよ、落ち着けって」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 00:28:37.72 ID:ji79CPzG.net<>  二人に知れるも三人に知れるも同じ事と思って呼んだ友人を
早くも後悔しかけていたが。

男「お前は保険だ」

幼馴染「化け物に襲われそうになったら、こいつを捨てて逃げるのよ」

妹「なるほど、納得」

友「するなっつーの、なんなんだよ
  その化け物ってのは」

 男は竜を拾った経緯とこれから山に向かう事、そしてもしかしたら
化け物に襲われるかもしれない事を友に告げる。

友「なんだよ、それ
  めちゃめちゃ楽しそうじゃねーか!」

幼馴染「いや、楽しそうってアンタ」

妹「馬鹿は気楽ね」

 映画やゲームに憧れては出てくる武器を作って、レギュレーション破って
サバイバルゲームに持ち込んでは対戦相手を何人も病院送りにし、
チームを何度も追い出されるどころか、
高校すら中退で追い出されたと言う筋金入りの武器マニア。

 マニアを過ぎて中古のハンヴィーまで買うと言った時はさすがに呆れたものだが。
(さすがに、軍用車を民間で買うのは無理だったらしく
ハンヴィーっぽい、ハマーH1だが)

 今回、山に行くに至ってこいつの武器を借りる代わりに巻き込むハメになった。
付き合いとしてはそこそこ長く、妙な所で意気投合して友には昔から
「相棒」と呼ばれている。

 ────何の相棒で何が気に入られたのか、長年の付き合いながら
良くわからないが、本人曰く『安心して背中を預けられる』らしい。

 一緒の山登りをしたりしたことは何度もあるが、背中を預けてもらうような真似をした覚えは
得に無いのだが────。

 ちなみに誘う時の文句としては。

男『熊以上のヤバい生き物が居るかもしれない所に行くから、武器貸してくれ』

 と言った所、二つ返事で同行を申し出てくれた。
こいつなら、幼馴染や妹と違って遠慮なく巻き込める。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 00:29:06.03 ID:ji79CPzG.net<> 友「てっきりフカシこいてんじゃねーかと思ったら、
  こりゃマジじゃねーか、相棒!」

男「それより、頼んだ物は持って来てくれたのか?」

友「任せとけよ、
  俺の最高傑作達を持って来たぜ」

 言うなり、車のトランクから出てくるのは武器の数々、
白と黄色のテープで如何にもヤバいと言ったようなカラーリングの
剣のような長さの武器、カラフルな小銃、ライフル、ゲーム見たような
サブマシンガン。

妹「なに?この玩具」

友「ばーか言っちゃいけねぇ、
  こいつはちゃんと撃てる銃だよ、本物の銃」

幼馴染「そんなもの一体どこで手に入れたのよ!」

友「家の工場と、3Dプリンターとか
  今時のネットは便利だよな」

男「このバトンみたいな剣はなんだよ」

友「そいつは、スタンブレード
  当り所が良ければ熊も気絶するぜ」

 以前本人が熊と戦った事があるとか言って、誰も信じなかったが
この様子なら本気で熊ぐらい追い払ったかもしれない。

幼馴染「思いっきり違法じゃない」

妹「私、馬鹿にはネットを触らせるべきじゃないって
  たまに思う」

 今回はおかげで助かった訳だが。
男はサバイバル用のキャンプ用品やテーブル、大型のテントなど
必要なものを車に積んでいく。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/09/15(月) 06:03:06.83 ID:ji79CPzG.net<>  一通りの準備を完了し、出発しようと乗り込むと
幼馴染と妹まで一緒に乗り込んでくる。

男「いや、待て
  なんでお前達まで来るんだよ」

幼馴染「え?まさか置いていくつもりだったの?」

妹「お兄と馬鹿の二人で行かせたら、
  何をしでかすか分からないじゃない」

 人間達が車に乗り込むと、竜は不思議そうに首をかしげる
人間は余裕で車に乗れるが、流石に子供とは言え全長4メートル(数日で
随分と成長した)になる竜ともなると乗るには無理が出てくる。

竜「ガウ?」

妹「お兄、シンディどうするの?」

 肝心の竜──芋がいつのまにかシンディと名付けた──を
置いていくつもりはない。

男「お前は飛んで付いて来てくれ」

竜「クェェェェエエエエェェェェ!!」

 大きく鳴くと、シンディは大きく翼をはためかせて風を巻き起こし、
風を地面に叩きつけて空へと飛び立つ。

友「すげぇ、飛びやがった!あの巨体で」

幼馴染「そりゃ、飛ぶでしょ
    飛竜だもん」

 そういえば、最初幼馴染が見た時も山から飛んでやって来たらしい、
男にとっては、実際飛ぶのを見るのは初めてでもあるが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:03:37.08 ID:ji79CPzG.net<>  行き先を告げると友が二つ返事でアクセルを踏み込む、
エンジン音と共に車が加速し、巨大な車が細い田舎道を入っていく。

 ややあって、車は田舎道を外れて森の中に入り、
終いには川の中まで入っていくが、オフロードの王様と呼ばれた車は
悪路…すでに道ですらないような道ですら、物ともせずに登って行く・・。

幼馴染「………………。」

妹「………………。」

 気持ち悪いと言いたげな不満な顔を見せる女子二人だが、自分からついて来たいと
言った以上、文句も言わずに黙っているようだ。

 帰りも同じ道を走る事になるんだと、言いかけたが
止めて上げるのも優しさだろうと、男は言葉を飲み込んだ。

 なにより、自分にとっても苦痛なわけで、口に出すと自分でも憂鬱になりそうだ。

友「ヒャッハー!!すげぇ!行け!行けぇ!」

 当のドライバーで車のオーナーは上機嫌なもので、
川やら湿地やら、草叢やらを通り抜ける拷問がどれだけ続いたか。
(それでも歩いて登るよりは遥かに楽ではあったが)

 しかし、以前雨宿りした洞窟の近くまで車で入って来れるとは思わなかった。

妹「…うぅぅううぅ………ごはぁ……。」

幼馴染「……あたし、日本ってどこまでも道が通っているものだと思っていたわ…。」

 グロッキーな様子で、車の外に出る女子二名、
それでも胃の中の物を吐かなかったのは、女としてのプライドなのか。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:05:24.86 ID:ji79CPzG.net<>  車から降りると、飛竜もここが目的地と認識したのか、
風を地面に叩きつけつつ着陸する。

友「さて、休むのは後だぜ
  まずはテントとタープを張っちまおう」

男「鬼だな、お前」

 とはいえ、寝床を確保しなければまた洞窟の中で寝るか
もしくは車の鉄板の上で寝る事になる。
 女子二名に仕事させる訳にもいかないし。

友「どこに張るんだ?」

男「洞窟の中が良いな、結構な広さがあるし
  雨風もしのげるし、湧水も出ている。
  それに、暫くはここに色々置きっぱなしにする予定だしな」

 大型のテントを担いで一人で登山する気は無かったが、
車で登って来たとなると話は別だ。
 それにシンディの件もあるし、どうせ家の倉庫に眠っていた
使っていないテントなので、置いて行っても問題はないだろう。

 置きっぱなしにするなら、雨風が入ってこない洞窟の中に
張って置くのが良いだろう。

 テントを張っても竜が入っても広さとしては全然余裕があり、
綺麗な洞窟だが、水がある以上は虫だって湧くはずだ。

 テントを張っておきさえすれば、ある程度虫が湧いてもまぁ
特に問題はないだろう。

 前回雨宿りした時は、不快極まりなかったが
今回は色々準備して来ているので、快適そのものな秘密基地といった感じだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:09:58.85 ID:ji79CPzG.net<> 友「この水、飲めるのか?」

男「飲める、けど下に溜まった水よりも
  壁から出ている水の方が綺麗で良いかもな」

友「良くこんな良い所見つけたな」

男「たまたまだよ、たまたま」

友「ここにテントとか資材置きっぱなしにするなら、
  俺もここを使わして貰って良いか?」

男「良いけど、この洞窟にアイツを置いていくつもりだからな
  出来れば他の人間には秘密にはしておきたいが」

 女子二名と一緒になって荷物を運んでいるシンディに視線を送りつつ
男が言うと、友は仕方が無いかと言わんばかりに肩をすくめる。

 テントを二つ(男と友でそれぞれ別々のテントを持ち込んでいたが、
広さに余裕があるため男女で分けることにした)とタープを張り。

 テーブルを設置した後に、まったり休んでいると
湧水の入ったコップを持ってきた幼馴染が男の隣の椅子に座る。

幼馴染「お疲れ様、ごめんね殆ど手伝わなくて」

男「テントとかはいいけどな、その分晩飯は期待させてもらうよ」

幼馴染「晩御飯と言ってもカレーなんだけど」

男「そりゃ、王道だろ
  キャンプに来てカレーを作らなくてどうする」

幼馴染「あたしとしてはカレーぐらいなら楽だしやらしてもらうけど、
  そういえば、馬鹿と妹ちゃんは?」

男「洞窟探索だとよ、ったく
  どこにそんな元気があるのやらだ」

幼馴染「珍しい組み合わせじゃない」

男「こんな広い洞窟に来ることはそうそう無いからな
  テンションが上がっているんだろ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:12:55.71 ID:ji79CPzG.net<> 幼馴染「アンタは行かないの?」

男「正直、友のせいで疲れた
  まぁ、歩いて登るよりは全然マシだけどな」

 よくもまぁ、こんな所に一人で来る気になるもんだと
幼馴染が失笑する。

男「今日はテント張って、色々持ち込むのが目的の半分だしな
  3連休で洞窟キャンプを楽しんで帰るさ」

幼馴染「あの子の両親を探すのはどうするのよ」

男「そりゃ、夏休みにでも気長にやるさ
  せめて、シンディがこの洞窟に居付いてくれればそれで───。」

 言葉半ばに男の顔が真剣なモノに代わる、
同時に眠っていたシンディが顔を上げて洞窟の奥に視線を向ける。

幼馴染「?」

男「────幼馴染、急いで洞窟の奥から友を呼んできてくれ
  それと良いと言うまで、妹と二人で奥に隠れていろ」

幼馴染「どうしたの?」

男「判らない、けど何か嫌な予感がする」

 根拠の無い嫌な予感、虫の知らせと言うか直感と言うか、
大概何か悪い事が起こると思ったら、的中する。

 なんか、嫌ーな感じの気配と言うか、殺気。

 ただならぬ様子に怪訝な表情を浮かべたまま
洞窟の奥に行こうとした幼馴染に男は友の作った、
怪しいライフルを渡す。

幼馴染「え?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:15:35.41 ID:ji79CPzG.net<> 男「…撃ち方なんぞ判らないだろうけど…
  ………念のため…だ」

 そこまで深刻なものだと予想していなかったのだろう、
驚いた表情を浮かべた後、青い顔をしてライフルを手に取ると
そのまま洞窟の奥へと消えてゆく。

 ややあって、幼馴染と入れ替わるように
友が洞窟の奥からやって来る。

友「相棒、幼馴染が顔面蒼白にしてライフルを持って
  洞窟の奥に来たぞ、何かあったのか?」

男「嫌な『予感』がする、しかも凄くだ」

友「マジかよ、勘弁してくれよ
  相棒の『予感』はロクな事がおきねーんだから」

男「………銃の使い方を教えてくれ」

友「素人がこんな命中精度の悪い銃を
  いきなりぶっ放して当たるかよ、こっちにしろ」

 友が男の手から銃を取り上げると、代わりに例のスタンソードを
渡してくる。

友「スイッチを入れた状態で、刃の部分を当てるだけで高圧電流が流れる、
  当てるのは一瞬で良い、ずっと当ててるとあっという間に
  バッテリーが切れるからな」

友「一回放電するとで大体3%から5%ぐらい使う、手元のゲージに注意しろよ
  それと、間違っても刃を自分で触るな
  一発で意識が吹っ飛ぶから」

友「あと、水にも気を付けろ
  今は降っていないけど雨が降ったらスイッチで
  すぐに電源を切れ感電する」

男「わかった」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:19:50.08 ID:ji79CPzG.net<>  一通りの説明を聞いて洞窟の外に出る。
濃厚な気配…『敵意』が向けられる、縄張りを荒らしたのが
気に入らないのだろうか。

 以前にも山歩きをした時に、獣の縄張りに踏み入った時に
『敵意』を向けられた事は何度かある。

 言われてみれば、この洞窟に踏み入った時に違和感を感じた。

 洞窟の中は、普通に考えれば岩だらけで
幾ら分厚いシートを敷いたからと言っても、あんな綺麗に平坦には
ならないはず。

 それに水のある洞窟には虫が居て、それを狙う蛇が居て、それして
蝙蝠が居るはず、蝙蝠の糞を求めてまた虫が集まり蛇が集まり。

 しかし、この洞窟は綺麗過ぎる。

 蝙蝠の糞も無く、虫の死骸も無く。
棲家を整えるように────綺麗に掃除したかのように───。

 クケェェケケケケェェェェl!!!

 獣の咆哮と共に、一瞬の殺気。
反射的に振り返り様にスタンソードを振る、重たい手応えと共に、
まばゆい青白い閃光と一瞬のスパーク。

 雷のような激しい音とその光に襲いかかって来た咆哮の主が
照らし出される。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 06:29:48.21 ID:ji79CPzG.net<>  あ、しまった
時系列がおかしい、夜って事になっちまった。

経験足りないな。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/09/15(月) 16:10:50.09 ID:ji79CPzG.net<> 男「なんだ、アイツは…………。」

 大きさとしては、猿のような小柄な体躯だが
猿ではなかった、大きさとしては幼稚園児か小学生ぐらいか。
 ただ、一目で人間ではないと判別できる。

 特徴的なのは緑の皮膚に纏われたからだ、そして血走った赤い目
尖った鼻と耳が異形な存在だと語っている。

 手にした獲物は、木の枝を削って作った昆のようなものだった。

 三角帽にボロ布を纏っている当り、そこそこの知能は持っているように
見受けられる。

 そんな生物が十数体。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:11:36.55 ID:ji79CPzG.net<> 幼馴染「ゴブリン!」

男「ゴブリン、こいつが!?」

 ファンタジーなRPGではお馴染みの敵、勇者様やらそのお供の戦士やらは
夥しい数のこの敵に囲まれても、掠り傷一つ負う事も無く、
木端微塵に切り刻むものだが。

 現実にはそう簡単にもいかないようだ。

ゴブリンB「シギャァァ!!!」

ゴブリンC「ギャァァ!!!」

 甲高い奇声を上げて、ゴブリンが男に飛びかかってくる
素人で実戦経験なんぞもない男に、2体同時に相手なんぞ出来るはずもない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:12:25.65 ID:ji79CPzG.net<>  乾いた破裂音と共に、ゴブリンBがはじけ飛ぶ。

友「ヒュゥ!さすが俺!
  我ながらナイスなヘッドショット」

 どうやら、友がライフルで狙撃してくれたようだ
自画自賛する友の声にリアクションを返す暇も無く。

 男はバッティングの要領でスタンソードをぶん回し、
もう一体のゴブリンCを叩きのめす。

 刃が触れた瞬間に、先程と同じように電撃がスパークし──。

 感電して地に落ちたゴブリンCはまだ痙攣していたので、男は
ゴブリンの頭を思いっきりシュートして止めをさす。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:13:18.11 ID:ji79CPzG.net<>  仲間が3体程やられた様子を見て、残りのゴブリン達の憎悪が
高まったかのように見えた。

男(退いてくれるか?)

 と、期待してみるが。

ボスゴブリン「ケケェェェェェ!!!」

 連中の中で一際体の大きいゴブリンが命ずると、今度は一斉攻撃を
仕掛けるのか、残りのゴブリン達がゆっくりと包囲を狭めて来る。

 この一体だけが全身緑色の体ではなく、赤茶色の皮膚をしている。
体が一回り大きいのは筋肉のせいだろうか? <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:14:01.35 ID:ji79CPzG.net<>  全身に無数の傷があり、特に顔に大きな特徴的な傷を持つ、
手にした獲物は他のゴブリンが昆なのに対し、こいつだけが
大きな鉈を持っている。

 そいつが群れのボスで間違いはなさそうだ。

男「やべぇ…………」

 男が初の実戦経験で体の動きが硬いのを見抜かれたのかもしれない、
こちとら平和ボケした日本人で、猫どころかネズミ程度の哺乳類ですら
直接殺した事が無い普通の高校生、ば仕方が無い。

 なにより、そのボスが纏った実戦の空気が他の雑魚の非ではない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:34:49.69 ID:ji79CPzG.net<> 幼馴染「男!」

男「……さ、下がってろって!!」

幼馴染「そんなへっぴり腰で何を言っているのよ」

 幼馴染がもう一つのスタンソードを手に、男の横に並び立つ、
スタンソード自体は、アルミとカーボンで作られているせいか、
テニスラケットを僅かに重くした程度の重さしかない。

 男であっても、女であっても扱いには問題が無い。

 幼馴染か手近なゴブリンの一匹に間合いを詰めて、スタンソードを振り下ろす。

ゴブリンD「ゲギャァァ!!!」

 防戦一方だった相手がいきなり攻めてきたため、対処が遅れたゴブリンDは
雷の剣をまともに食らい、動かなくなる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:35:22.48 ID:ji79CPzG.net<> 男「……………度胸あるな、お前…。」

幼馴染「やらなきゃ、やられるんでしょう!
    腹くくりなさいよ、男でしょ!」

 こういう時は女の方が強いのか、それとも恐怖心が限界を振り切って
逆にハイな状態になったのか。

男「………わかったよ、ボスを殺る
  頭を潰すのがセオリーだろ!」

友「わかった、援護する
  突っ込め!相棒」

男(突っ込むのか) <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 16:36:16.06 ID:ji79CPzG.net<>  友の言葉にやや弱気になりかけた意識を再び奮い立たせる、
幼馴染に突っ込ませる訳にもいかない。
 本当に腹をくくるしかないようだ。

男「………くそったれがぁぁあああ!!!」

 我ながらチンピラのような叫びを上げながら、ボスに
向かって突撃する。

 戦意を奮い立たせるためには仕方が無いし、
こんな山の奥、どうせ誰も見てはいない。

 群れのボスのプライド故か、ボスはが一声吠えると
俺の獲物だから手を出すなと言わんばかりに
子分ゴブリンの前に出る。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 18:38:04.34 ID:ji79CPzG.net<> 男「………おんどりゃぁあああぁぁぁあああ!」

 フルスイングしたスタンソード(別に斬るわけでもないから、
力を入れる必要は無いと、振った後に気が付いた)を
軽快なフットワークで避けて、間合いを取る。

 間合いを取った後に、右手に持った鉈を男の頭に向かって
振り下ろす─────。

 フルスイングした後だから隙が大きく、回避はどう見ても
間に合わない。

 勝負あった───と、誰しもが思った。

男には幼馴染の悲鳴が、聞こえた気がする、

やられる瞬間がスローモーションに見えるというのは本当なんだなと、
ゴブリンの鉈を視界の端に捕えながら男は思った。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/15(月) 18:39:13.87 ID:ji79CPzG.net<> ------------------------------------------------------------------------
 ※:いい加減バイ猿食らいそうだから、今日はこの辺にしておこうかな。
------------------------------------------------------------------------

 しかし、乾いた破裂音と共に。
はじけ飛んだのはボスゴブリンの方だった。

ボスゴブリン「シギャァァァァアアア!!」

 右目を押さえて地面でのた打ち回るボスゴブリン、
その隙に男が倒れるボスゴブリンにスタンソードを突き付けるが
紙一重でボスゴブリンは飛び退き、離れる。

友「悪いけど」

 銃身から煙が出るライフルのスコープを除いたまま友が、
右目を押さえたままのボスゴブリンに冷たく言い放つ。

友「甘ぇよ、お前」

 命のやり取りをしている以上、正々堂々の勝負なんて
最初から誰もするつもりがない。

ボスゴブリン「シギャァァア!シギャァァア!!」

 悔しそうにボスゴブリンが叫ぶと、子分のゴブリンを引き連れて
その場から撤退して行く。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/09/16(火) 23:39:48.93 ID:L7iCgc23.net<>  ゴブリン達が撤退すると、緊張感が途切れたのか
幼馴染はスタンソードの電源を落とすと、その場にへたりこんでしまう。

妹「お姉!大丈夫!?」

幼馴染「あはははは……腰が抜けちゃった…」

友「おめぇら、怪我とかしてねぇな?」

幼馴染「うん…大丈夫、大丈夫」

 友は幼馴染からスタンソードを受け取ると、
軽くチェックして、正常に動作するか確認して、柄についていた
バッテリーのようなものを交換し、
ゴム製の鞘(そんなものがあったらしい)に収める。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:40:20.13 ID:L7iCgc23.net<> 友「なんだったんだよ、あいつら!」

男「化け物…かな」

 友から鞘に納めたスタンソードを受け取り、男は
代わりに今まで使っていた剣を渡しつつ、肩をすくめる。

 幼馴染は妹に連れられて、洞窟の奥へと戻っていく。
いつ、先ほどのゴブリンみたいな連中が襲ってくるか分からないから
鞘があっていつでも携帯出来るのは有り難い。

 友は渡したスタンソードを見て、怪訝な顔をする。

男「まさか、壊しちまったか?」

友「壊れたっつー訳でもねーけど、強く叩きすぎなんだよお前
  意外とデリケートなんだぜこいつ」

 先ほどと同じようにバッテリーを交換して、ゴム鞘に納める。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:41:13.86 ID:L7iCgc23.net<>  感電死しているゴブリン一匹にを友が覗き込み、ゴム鞘の先で突いてみる。

友「死んでるよな?」

男「みたいだな」

 うつ伏せに倒れていたので、男は仰向けにひっくり返す。
余程苦しかったのか、元々の悪魔みたいな表情もあって凄い顔をしている。

友「相棒、よく触れるな」

男「生きている奴に比べたらまだマシだって」

 とはいえ、獣臭いと言うか生臭いので抵抗はあるにはあるが、
服の中とか持ち物を漁っていると、友がゴブリンの死体を撮影したのか
背後から光が瞬く。

友「これって、すげぇスクープだな、
  ダチのブン屋に垂れこんでも良いよな?」

男「垂れ込もうにも、そもそもここって携帯の電波届くのか?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:41:45.54 ID:L7iCgc23.net<> 友「こいつの死骸でも持ち帰るか」

男「荷台に積んだら、あいつら嫌がるだろうな」

友「我慢してもらうさ、俺達テレビに出て
  スターになれるぜ?」

男「お前の怪しい武器についても、警察にいう事になるぞ」

友「ンなの、大事の前の小事だって」

 銃刀法違反って、小事か?
と思わなくもないが、本人が良いなら別に良いかと、男は思い直す。

友「ん?それ……なんだ?」

男「何がだ」

友「二の腕辺りに何か書いてあるぜ?
  そいつは、アルファベットか?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:42:48.40 ID:L7iCgc23.net<>  男はゴブリンの服の袖を巻くってみると
ゴシック体で書かれた刺青のようなものが、露わになる。
 たまたま、アルファベットと数字になった風でも無く、
意味が文字の配列だと一目でわかった。

男「………SN/GOB-01052
  SNって事は、シリアルナンバーって事か?」

 読み上げると、友はさらに写真を何枚か撮る。

友「シリアルナンバーって事は製造番号か
  誰かが作って管理しているのか?この化け物を」

 誰かに作られた生物という事か?
確かに、この日本───いや、世界中を探しても
こんな妙な生き物は今まで発見された事も無い。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:45:24.36 ID:L7iCgc23.net<> 男「遺伝子操作だの、何だので作られた…………?
  誰が、何のために?」

友「生物兵器とか、
  何かの実験施設から逃げ出してきたとかか?」

 いやいや、素人にやられるこんな弱い生物兵器なんてあるはずもない、
大体、日本の山の中に生物兵器が居るのも妙な話だ。

 それに、この辺りはGoogleMapで一通り見た事があるけども
道路から大きく離れている、普通の山だ。

 生物兵器なんかを作るプラントとか、あるはずもない。
もしくは、GoogleMapで公開している衛星写真がGC加工した衛星写真なのかもしれない。

 北朝鮮の写真ですら乗せた、あのGoogleが??
まさか、それすら根回し出来る存在がバックについているとか?

男「『嫌な予感』がするな、ブン屋の垂れ込みとか
  警察に連絡とか、慎重にした方が良いかもしれない」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:45:58.48 ID:L7iCgc23.net<> 友「おいおい、よしてくれよ
  もう送信しちまったよ」

男「電波が届くのか?ここ」

友「あ…いや、ダメだな
  エラーになった」

妹「お兄、こんな所さっさと逃げよう…────うぇ」

 幼馴染をテントに連れて行った妹が戻って来るなり、
ゴブリンの死骸を見て、顔を歪める。

 普通なら見るな!とか言って、顔を背けさせる所だが
もう、ばっちり見てしまったようなので、仕方が無い。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/09/16(火) 23:46:25.33 ID:L7iCgc23.net<> 妹「うわぁ…なに、これ
  ……グロ…」

 意外と耐性があるらしい、
さすが、現代っ子。

友「そうしたいのは山々だけどな、
  今からだと夜になっちまうよ」

男「危ないから、洞窟に戻って居ろって」

妹「そりゃ、お兄ぃ達もだよ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 07:37:02.97 ID:iILrKr2G.net<> いいね、このじわじわ日常から外れてく怪獣映画っぽい感じ <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/06(月) 16:56:48.65 ID:Oakvi80T.net<>  陽が落ちると、町の明かりも喧噪が一欠片も無い山は
闇夜と静寂に包まれる。

 例のゴブリン達が火を怖がるのかは疑問ではあるが、
場所は既に知られている上に、曇り空で月明かりも出ていない以上
視界が悪いほうが問題だ。

 それに、火があるとなんとなく安心する。

洞窟の入り口付近でたき火を起こし、二人一組+シンディが交代で
見張りに立つ事にした。

 最初に友と男の二人組、次に幼馴染と妹の二人組で交代する。
本当は男女ペアの二人組で交代するのがバランスが良いと言ったのだが。

妹・幼馴染『アイツと二人っきりで居るのは嫌!』

 との事らしい。
全く、それなら何でキャンプに来たのやら。

友「なんなんだろうな、アイツら」

男「アイツらって例のゴブリンの事か」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 16:57:54.27 ID:Oakvi80T.net<> 友「それだけじゃねぇ
  その竜っコロもだ」

 友の視線の先には、丸まって寝ているシンディの姿がある
こいつもこいつで火を怖がるような感じではなく、
それどころか安心して熟睡しているように見えるのだが
耳(エラ?)が小刻みに動いている当り、こう見てちゃんと警戒している
らしい。

男「それを調べる為に山に来たつもりだったんだけどな
  こりゃ、もうそれどころじゃ無いな」

友「ああ、こんな所は
  朝イチでとっととトンズラしようぜ」

男「ああ、そう…………」

 ───ギャアャァァァァァァァ!!!── <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 16:59:19.41 ID:Oakvi80T.net<>  友に応えようとした男の声を遮るように、誰かの悲鳴が
闇夜に響く。
 続いて…乾いたような炸裂音が連続して聞こえる。

友「…────銃声だぜ!」

男「誰か居るのか!?交戦中か!」

友「…どうする!?相棒」

男「どうするもクソも、この場を離れる訳にはいかねーし
  この夜の中を銃で戦う奴を相手にできないだろうが」

?『…………Shit!! 』

 ────英語──?
中退した友はともかく、英語の成績があまり良くない男にも
その後に続く言葉の意味は分からなかったが
緊迫した感じなのは読み取れた。

 やがて爆発音やら銃声が聞こえた後に、再び静かになる。

友「………………」

男「………………」

 それ以降、銃声や悲鳴が聞こえる事はなく
ただ虫の声しか聞こえなかった。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 18:20:47.24 ID:Oakvi80T.net<> 妹「さっさと起きなさい!この馬鹿兄!」

男「ぐふっ!」

 恐怖の夜が明けて朝、人間寝る気になれば意外と寝れるらしい
外はすでに夜が明けて朝となり、交代して見張っていた芋の怒りの
エルボーを鳩尾にくらって、男の目は一瞬で覚めた。

幼馴染「あ、やっと起きたおはよう」

男「…………んー…」

 たった一晩で酷い顔となった幼馴染に迎えられつつ、寝袋から
這いずりだして、ぼーっとする頭を2,3度振る。
 幼馴染に貰ったカップを手に取り、水を飲むと爽やかな山の
朝の空気を吸って、清々しい気分になる。

男「新しい、朝が来た!!」

妹「ほんっっっと、憎ったらしいぐらいに爽やかね、馬鹿兄!!
  こっちは銃撃戦が聞こえたとか、悲鳴が聞こえたとか言われて
  恐怖の夜を過ごしたというのに」

男「ひどい言われようだな、
  こっちはその悲鳴と銃声をナマで聞いたんだが」

友「………それで、よくガースカ寝れるもんだな相棒」

男「寝る時、寝れるときには寝る
  それが俺のポリシーなんでな」

 もそもそとテントの奥から、寝袋がもう一つ出てくる
こちらは一睡もできなかったのか、目の下に隈が出来ている。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 18:21:49.46 ID:Oakvi80T.net<> 幼馴染「そんなんで帰りの運転大丈夫なの?」

友「………助手席だったら寝ちまうが、運転席なら
  まぁ大丈夫だろうがな、あれ?朝飯あるのか?」

 意外・・とばかりに目を丸くする友、なんのかんのいいながら
幼馴染と妹の二人には朝ごはんを作る余裕があったようだ。

幼馴染「なんもせずに大人しくしているの怖くて、
    体動かしていないと落ち着かないのよ」

男「助かるな、昨日の夜はなんも食ってなかったから
  腹が減って仕方がない」

 男がそのまま食べようとした所で、妹に手を叩かれる。

男「いって、なにしやがるんだ芋」

幼馴染「煩い!芋言うな!
    食事の前にはちゃんと手を洗う!!こんな所だからこそ
    手に何が付いているか解らないでしょ!はい、石鹸!!」

 几帳面な性格のせいか、態々石鹸まで持ってきていたらしい <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 18:23:24.18 ID:Oakvi80T.net<>  食事を終えて後片付けをし、一通り落ち着いたところで
椅子に座った面々を見回して男は言う。
 テーブルの上の食器は片づけられて、その上には一枚の地図と
GPSの測定器が乗っている。

男「さて、
  ここで皆さんに二つの選択肢があります」

妹「選択もなんも、さっさと逃げるだけじゃない
  もう帰ろうよ、こんな所」

友「…………まぁ、昨日のアレが無ければ
  その一択だけだったんだけどな」

幼馴染「昨日の銃撃──あたしは聞いていないけど──の
    あった場所を確認しに行くって事?」

男「その通り、昨日の戦闘で怪我をした人が
  もしかしたら倒れているかもしない
  人道的立場から助けに行くべき────これは友の提案です。」

 縁もゆかりもなく銃を持って山をうろつくような人が相手ではあれど
悲鳴を上げたりもしていたし、怪我して動けない状態かもしれない。

友「そーゆーこった、怪我して動けない奴が居としたら
  俺達が助けれたのに、助けなかったせいで死んだとしたら
  寝ざめが悪いだろ?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 18:26:43.78 ID:Oakvi80T.net<> 妹「きっと、無線とかで助けを呼んで
  さっさと逃げ出しちゃったりしているよ
  銃を持っていて英語とか、米国の軍人さんとかじゃないの?」

幼馴染「けど、ヘリの音とか
   そのあとの銃声とか私達は全然聞いていないけど」

友「だろ?」

 普通に考えれば人道的な立場から様子を見に行くのが正しいかもしれない
が─────。

幼馴染「まだその戦っていたモンスター…
  化け物がいるかもしれない、本物の銃を持っている人達が悲鳴を上げるような
  相手を、こんな玩具を持った私達がなんとかできるとも思えないけど」

友「玩具とは失礼な奴だな!
  その玩具に命を救われたのは誰だと────」

男「まぁまぁ、落ち着けって」

 憤慨する友をとりあえず宥める。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/06(月) 18:28:25.34 ID:Oakvi80T.net<> -----------------------------------------------
例によって、バイ猿食らう前にこの辺にしておきますかねー。
-----------------------------------------------

友「マジもんの戦場の後なんて、日本に住んでいたら見る機会が無いから
  俺は是非とも見に行きたいけどね」

幼馴染「本音が出たわね」

妹「で、その悲鳴と銃声が聞こえた位置も
  正確にわかるの?」

友「ぐ」

妹「はい、議論終了ー
  反対多数により否決されましたー」

友「待てよ、妹と幼馴染で反対2票だろうが
  まだ男の票が」

男「ちなみに、俺も逃げるに一票な」

友「この裏切者ー!!」

幼馴染「アンタいい加減にしなさいよね、
    私達の命もかかっているのよ、誰か死んだり怪我したりしたら
    アンタ責任取れるわけ?」

友「いででででで……ピアス引っ張るんじゃねーよ…」

 幼馴染が友の耳のピアスを思いっきり引っ張り、力づくで黙らせる
昔から何度となく見て来た光景だ。

 やられた事は無いが、かなり痛たそうに見える。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/07(火) 23:19:03.14 ID:40SmXhk/.net<>  やや不満そうな顔をしている友だが、さすがに幼馴染や友人の命を危険に晒すのは
抵抗があるらしく、大人しく撤収準備を手伝っていた。

 と言っても、テントやテーブルキャンプ用品等を撤収する時間も惜しいため、
最低限必要なものを持っていくだけだが。

 水と食料、そして友の作った怪しい武器と地図、それらを持って車に戻れば
後はここまでで来た道をそのまま帰るだけ。
 洞窟の穴から車まではそう遠い訳でもない。

 麓に着いたらその場ですぐ警察と各種国内外マスコミに写真とGPS座標を送り付けるつもりだ、
シンディの件もあるので海外サーバを経由した上で匿名で送ろうと言う事になった。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:20:08.48 ID:40SmXhk/.net<>  先頭にスタンソードを持った男が立ちその次に幼馴染、真ん中に妹で殿は銃を持った友
慎重に洞穴から出て、200メートル程先に止めてある車へと向かう、
洞穴は崖の上にあり、岩場があるため車を少し遠くに止めなければならなかった。

妹「シンディ!!」

 続いて飛竜(シンディ)が大空に舞い上がり、警戒するように上空を旋回飛行する。
洞穴を出て警戒しながら言葉少なにゆっくりと車へと距離を詰めていく。

男「前方向、クリア!」

友「左方向、クリアだ!」

幼馴染「右方向、クリアよ!」

 車の周りに展開して、武器を構えつつ辺りを見回す。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:21:30.17 ID:40SmXhk/.net<> 妹「わーかったから、後ろ開けてよ」

友「ちぇ!覚めた奴だな
  ほれ」

 友が車のリアハッチを開けて、荷物を下ろすために装備を車に立てかけた時────。

 ──キシェェェェェェエエエエエエェェ!!!

シンディが大きく鳴くと同時に、男は友を突き飛ばした
根拠の無い予感、身の危険を感じたものの何が起こるかは予測はできなかった
しかし、友を狙うような何かの気配が──殺気が巻き起こったのは感じた。

友「ちょ!うぉわ!?」

妹「きゃぁあああ!!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:22:23.29 ID:40SmXhk/.net<>  友と近くに居た妹もついでに倒れこむ、一瞬の後茂みの中から放たれた
何かが友の頭があった辺りを通り過ぎ、やがて地面に突き刺さる。
 粗末なつくりだが間違いようの無いもの、石の鏃を持った矢だ。

幼馴染「車の後ろに隠れて!」

 幼馴染がスタンソードを抜刀し、友が転げるように銃を拾って
茂みに向けて何発か発砲する。
 しかし手ごたえが無い、転げた荷物を手早く車に放り込み
リアハッチを力任せに閉じる。

 同時に雨のような矢が車に降り注ぎ、頑丈な車体が幸いにもそれらをはじく。

男「車だ!中に乗り込め!」

幼馴染「鍵!!早く鍵を開けて」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:23:41.76 ID:40SmXhk/.net<> 友「わーってんよ、慌てさせるな!!」

 パニックになりながらも、友は鍵を取り出し助手席から滑り込んで
後部座席のロックを開ける、次いで妹が後部座席のドアを開けて乗り込んだ所で
茂みから得物を手にしたゴブリンの群れが一斉に飛びかかってくる。

男「わあーっ!団体サマのお着きだぁ」

幼馴染「まさか、あのゴブリン達
  逃げ出す時を狙っていたとでも言うの!?」

 さらに幼馴染が荷物を車の中に手早く放り込む
こりゃ、俺が乗り込む時間はないなぁ、と思ったところで
空から火の玉が降り注いで、ゴブリン一団の中心に着弾する。

妹「シンディ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:25:14.30 ID:40SmXhk/.net<> 友「アイツ、火を吐けたのか!?」

 高度を下げたシンディが火炎のブレスをゴブリンに吐きかけたらしい
ゴブリン達の焦げる嫌な臭いが辺りに漂い、上空からの攻撃にゴブリン達は混乱する。

ボスゴブリン「クキャクアキャァァァァ!!!」

 逃がすなと言わんばかりに片目のボスゴブリンが吠えると、一度は怯んだ
ゴブリン達が再び大挙して襲ってくる。
 どうやら、この車が乗り物という事を察していてこれに乗って逃げるつもりだと
勘付いているらしい。

 完全に囲まれてしまって車に乗り込むタイミングがつかめない。
幼馴染と男はスタンソードを抜刀して、手近なゴブリン達を数匹屠る。

男「タマとったらぁぁぁぁああああ」

幼馴染「いい加減、諦めなさいっての!!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:26:32.59 ID:40SmXhk/.net<>  上空からシンディがブレスを吐いてくれるおかげで大群に囲まれながらも
なんとか戦えているが、長くは持ちそうにない。

 シンディの炎を掻い潜って近づいてきたゴブリンを一閃し、剣がスパーク
ゴブリン達は悲鳴を上げて転げ回る。

ゴブリン「ピギャ!!」

ゴブリン「ギギャ!!」

 そんなやりとりがどれ程続いたか。

 防戦一方ながらもなんとか堪えるものの、こちとら戦闘の素人だから
いかに軽いスタンソードを振り回していると言えども、息が上がってくる。

 さらにシンディもまだ子供だ、連続して火炎のブレスを吹き付けるにも
限界があるらしい、現にブレスの勢いが弱まっていく。

 おまけにスタンソードを連続使用しているために、手元の電力ゲージが
すでに3割を下回っている。
 電力低下を報せる赤いLEDランプと、警告の電子音が鳴る。

男「……………やっべぇ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/07(火) 23:33:25.00 ID:40SmXhk/.net<>  さすがに男を焦りと恐怖が包む、頼りにしている武器が使い物にならなくなったら
あっという間に殺されるだろう、今までも恐怖を感じていたが、それに
比じゃない恐怖で手が止まりかける。

幼馴染「…………いやぁぁあああぁぁぁ………。」

 幼馴染も同様のようで、恐怖から錯乱しかける。
せめて、数秒───数秒車に乗り込む時間が稼げれば。

友「おい!芋!
  お前が運転しろ!!」

妹「運転なんてした事ないよ」

友「こいつはオートマだ、ドライブにぶち込んでサイドブレーキを下して
  アクセルを踏み込めば走り出す、ハンドルを切れば曲がる
  ブレーキを踏めば止まる」

妹「できないよ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/08(水) 00:14:11.77 ID:1EV4wKz5.net<>  妹に車の鍵を手渡して無茶ぶりをする友に妹は拒否する。

 しかし弱音を吐く妹に友は使えそうな銃を手に取り、マガジンを装填しながら
さらに怒鳴りつける。

友「るっせぇ!出来るか出来ないかじゃねー!!
  やれってんだよ!!唯一手が空いているのは
  おめーしか居ねーんだっての!」

 唯一手が空いていると言われて、さすがに妹は
覚悟を決めたようだ。

妹「どうなっても、知らないよ!!」

友「合図をしたら出せ!」

 天井のハッチを開けて体を外に出し、両の手に例の3Dプリンタで作ったと言う
怪しい銃(サブマシンガン)を持ち、ゴブリン達に向かって斉射する。

友「ぬうぉおおおおぉぉぉおおぉ!りゃぁぁぁぁ」

 友の雄叫びと同時に両手の銃から弾丸が吐き出され、高速で飛んできた弾丸が
ゴブリン達に降り注ぎ─────。

 ゴブリン達は悲鳴を上げて逃げ惑う。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/08(水) 00:14:57.75 ID:1EV4wKz5.net<>  さらに妹がエンジンのキーを捻ってセルモーターを回し、車のエンジンに火が入る
威嚇する為に車のホーンを鳴らしまくると、車と言う物を良く知らない
ゴブリン達に動揺が走る。

男「今だ!!先に乗れ!!」

幼馴染「男も早く!!」

 僅かに出来た隙で生き残るためラストチャンス、
スタンソードの電源を落として、幼馴染が車に乗り込み、瞬時に男が幼馴染に続く。

 逃がすまじ───と、狂気の表情を浮かべたゴブリンが幼馴染の足を掴む。

幼馴染「……ひぃっ!!」

 物凄い力で車から引きずり出そうとするゴブリン、男が瞬時にゴブリンの顔にむかって
蹴りを入れる。

男「野郎!!野郎!」

幼馴染「……このっ!このっ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/08(水) 00:15:52.34 ID:1EV4wKz5.net<>  幼馴染も続いてゴブリンの顔を何度も蹴りつけ、車の外に放り出して
ドアを閉じる。

友「今だっっ!出せ!!!」

妹「みんな、捕まって!!」

 友が天井のハッチを閉じると同時に、妹がアクセルを踏み込む
巨大なタイヤが空転して土埃を巻き上げ、猛烈な勢いでゴブリンを巻き込みながら
後ろに下がる。

ゴブリン「シギャアアアアアアアァァァ!!」

ゴブリン「ギギャ!!ギギャ!!ギギャ!!」

 その場に居た全員が、まさか車がいきなり後ろに下がると予想していなかったようで、
ゴブリン達は成す術も無く巻き込まれる。

 前に進むと思っていたのか、車の背後に集まっていたゴブリン達がクッション(?)に
なったおかげで、幸いにも岩場にそのまま激突せずに済んだ。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/08(水) 00:19:02.26 ID:1EV4wKz5.net<> ------------------------------------------------------------------------
この辺で一区切り付いたので、今日はここまで

あと、亀だけど
>>62
サンクス
------------------------------------------------------------------------

友「バックギア!それはバックギアだ!」

 友が叫び、男が手を伸ばしてバックギアをドライブに入れ直す。

男「もう一回だ、行け!!芋!!」

妹「うわぁぁああぁぁぁ!!芋って言うなぁぁぁぁぁぁ!!」

 今度は前に向かって再びゴブリン達を弾き飛ばしながら車が
猛烈な勢いで走り出す、
ゴブリン達が追撃しようと追いかけてきたり、矢を放つが
頑丈な車体は石の矢じり如きではびくともせず、すぐにゴブリン達の悲鳴が
遠ざかってゆく。

 しかし、しっかりお決まりのツッコミを入れている辺り、
妹も意外と余裕があるのかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/11(土) 13:52:38.60 ID:jR3k0y36.net<>  妹の怪しい運転でどれ程逃げただろうか、ゴブリン達の
姿が見えなくなった所で車を動かしたまま友が運転を交代する。

 幼馴染と妹の二人は抱き合ったまま号泣し、ややあって落ち着いたらしい。

妹「あたし、絶対車の免許取らない」

友「そう言うなって、結構筋が良いかもしれねぇぞ?」

妹「冗談じゃないわよ!!」

 どうやら車の運転がトラウマになりかけているらしい、
とは言え、田舎に住んで居る以上は車の運転からは逃れられないのだが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 13:53:28.89 ID:jR3k0y36.net<>  妹の怪しい運転でどれ程逃げただろうか、ゴブリン達の
姿が見えなくなった所で車を動かしたまま友が運転を交代する。

 幼馴染と妹の二人は抱き合ったまま号泣し、ややあって落ち着いたらしい。

妹「あたし、絶対車の免許取らない」

友「そう言うなって、結構筋が良いかもしれねぇぞ?」

妹「冗談じゃないわよ!!」

 どうやら車の運転がトラウマになりかけているらしい、
とは言え、田舎に住んで居る以上は車の運転からは逃れられないのだが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 13:54:21.02 ID:jR3k0y36.net<>  男は助手席から車の外の景色をなんとなしに眺める、良く見知った植物が生えた
良く見知った森、先ほどまで異形の怪物達に襲われていたのが嘘のようだ。
 このまま麓まで帰れば、平穏な生活が帰って来るだろう。

幼馴染「なんだったのかしら、あのゴブリン達」

妹「なんだって良いわよ、もう思い出したくも無い」

友「さすがに俺も、こんな経験は一度で充分だ
  ─────なんだかんだで楽しかったのは認めるがね」

 強がりでも何でもなく、本心で言っているかのような友の台詞に
3人ともあきれ返る。

男「なぁ」

 ややあって、男が話を切り出す。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 13:55:09.39 ID:jR3k0y36.net<> 男「今回の件、誰にも言わない方が良いと思う」

幼馴染「どういう事?」

 幼馴染と妹が首をかしげる、そりゃ家から近い訳でもないが山の奥に
こんな化け物が棲みついているとしたら、警察やら山岳警備やら然るべき筋に
報告するべきだと言うのは考えるまでも無くわかる。

 テレビや新聞に第一発見者として載ると言う問題だけではない、
山に入り込む民間人に対しても警告すべき大事件なのだ。

 が、男は例のゴブリンの二の腕に刻まれた数字とアルファベットのような
シリアルナンバーが記されていた事を告げると、幼馴染も妹も不安げな表情を浮かべる。

男「あのゴブリン達を誰かが管理したとしていたら
  もしも、あいつらが何者かによって作り出されたとしたら」

友「こんな大がかりな事を仕出かす奴がバックに居るかもしれないって事だろ
  憶測だけどでも、辻褄は──────っ!!」

 突然友が車を原則させる、なんだろうと言った感じで疑問の表情を浮かべる
幼馴染と妹、友の見る視線の先を追うと。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 13:58:15.53 ID:jR3k0y36.net<>  何者かが車の進行方向上で倒れていた。

幼馴染「──────ッ!!!!」

妹「キャァァアアアァァァ!!!」

 妹の悲鳴、幼馴染は声も出せない程驚いているようだ。
何者かが生きているか否かは車を降りて調べるまでも無かった、
上半身と下半身が二つに引き裂かれて生きていられる人間は居ないだろう。

友「……マジ…かよ…」

 友の顔が蒼白になる、このまま逃げ出したい所ではあるが車の進行方向上に
亡骸があるため、車をそのまま走らせる事もできない。
 かといって、引き返したらゴブリン達の餌食だ。

男「………………………………。」

 突然現れた死体にその場の4人はどうしたものかと困り果てる、
男も死体を見た事は無い訳では無い、何年も前に病死した祖父の亡骸を
見た事がある。

 しかし、目の前のそれはそんな綺麗なものではなかった。

 パニックになりそうな感情をなんとか抑える。

男(…………おちつけ、おちつけ俺……
  人間は死んだらああいうものが残るんだ、いま警戒すべきは
  あいつを殺した化け物が近くにいるか、居ないかという事だけだ)

 頭の中で無理矢理意識を冷却する、何があっても冷静に考える頭が無いといけない、
昔読んだラノベの主人公の師匠辺りが言っていたようなありがちな台詞だ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 13:59:06.29 ID:jR3k0y36.net<> 男「………様子を見て来る。」

幼馴染「ちょっと!?」

妹「や、止めようよ」

男「そうは言っても、このまま踏んづけていく訳にもいかないだろうが。」

 男は車の扉を開けて外に出る、風に流されて来たのはむせ返るような
血の臭い、死臭とでも言うのだろうか。

男「…………うぐっ…」

 吐き気がこみあげてくるのを我慢して、車の扉を閉める、
中にいる連中にこんな臭いを嗅がせたくはなかったからだ。

 念のため腰からスタンソードを抜き、電源を入れようとした所で
バッテリーを交換していなかった事に気が付く。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 14:06:28.69 ID:jR3k0y36.net<> 友「……ほれ、手元のバッテリーの近くのソケットにこいつを繋げ。」

 同じく車から降りてきた友が男にケーブルのプラグを渡す。
言われるがままにソケットにケーブルを繋ぐと電力不足を示すゲージに
充電中のアイコンが点灯する。

男「大人しく車の中で待ってろって」

友「馬鹿言え、相棒一人で行かせられるかよ。」

幼馴染「私も行く」

妹「ちょっと!一人だけ置いて行かないでよ!」

 結局、全員が武器を手に車から降りてくる
車の中の方が安全だろうに、大人しくしていればいいものを。

 と思うものの、一方で良い友人を持ったものだなと心の中で感謝もする。

 車にいつでも乗り込めるようドアを開けっ放しにしたまま
死体にゆっくりと近寄る。

幼馴染「ひぃっ!」

 生きている間に真っ二つに引き裂かれたのだろうか、
壮絶な死を遂げた死体は苦悶の表情を浮かべている。
 年齢は20代か30代と言った所だろうか、日本人ではなく外国人
より正確には。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 14:08:32.92 ID:jR3k0y36.net<> 友「軍人みてぇだな。」

 被害者の服には「UNITED STATES ARMY」と書かれていた、
それを示すかのように鍛え抜かれた丸太のようなぶっとい腕をしている、
死体の手にはアサルトライフルが握られている。

 黒人の男性、死体は一人だけで仲間の死体とかは特に見受けられない。

男「酷いもんだな」

友「全くだ、生きたまま体が真っ二つなんて、酷い死に方だぜ
  こうはなりたくねぇもんだ」

幼馴染「友っ!」

友「悪い」

 幼馴染の叱責に友が軽く謝罪する。

男「昨日、英語で叫んでいたのはこいつなのかな?」

友「多分な、見てみろよ
  アサルトライフルの安全装置が外されている、死ぬ直前まで
  何かと戦っていたんだろうよ」

 体を触ってみると完全に冷え切っている、死後硬直とかは判らないが
死んでから随分時間が経っているようだ。

妹「さ、触らないでよ…お兄ぃ」

 地面に血が染み込んでおり、その表面が乾いている事からも
彼の命を奪った奴は近くには居ないのだろう。

男「随分前に殺されたのは間違いないな
  やっぱ、昨夜の悲鳴はこの人か」

 友が携帯で写真を撮って、GPS座標を記録する。

 とりあえず、死体の目だけでも閉じてやると、幼馴染が
スカートのポケットからハンカチを出して、顔の上に広げてあげる。
そこでひとまずの落ち着きを取り戻したようだ。

 手を合わせて、軽く黙祷。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/11(土) 23:06:30.67 ID:jR3k0y36.net<> >>19の名前を繋げようとしたらローランド・エメリッヒ氏って、
実在人物だったとは………

 なんか、どっかで聞いた事がある名前だなーと思ったら
なるほどな、ゴジラだったのか…繋げたかったのは。

 調査不足だったなぁ、こりゃ参った。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/12(日) 07:31:20.04 ID:aNd9Pafg.net<> 一同『アーメン』

 ─────で、対応が合っているか分からないけど、
いくらなんでも南無阿弥陀仏ではないだろう
傍目にはややシュールに見えるのかもしれないが、本人達は
至って真面目だ。

男「悪ぃな」

 軽く謝罪して男は死体のズボンや所持していた
バックパックから持ち物を漁る。

 身元ぐらいは調べてやりたいし───本来は死体も持ち帰るべき
だろうけど、そこまではしてやれない。
 せめて荷物ぐらいは持って行ってあげよう。

 財布から軍の身分証を引き抜き名前を確認する。
同時に友もバックパックの中から何か手がかりが無いか探す。

男「スティーブン、でいいのかな?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:32:17.39 ID:aNd9Pafg.net<> 友「あー、ダメだな
  ロックがかかってら」

 同じくして、故スティーブン氏の荷物からタブレット端末を
取り出して、ロック解除しようとした友がパスワードに当たって
諦める。

妹「貸して、お兄ぃ
  スティーブンさんの誕生日、免許証に書いてあるでしょ?いつ?」

男「12月18日だな」

 妹が友から端末を受け取り(死体から直接拝借しないのはOKらしい)
端末に1218と入れるが、外れだったようだ。

妹「次、社会保障番号は?SSNとか書いてある奴
  それの下4桁」

男「8836」

 妹が8836と入力すると、携帯端末のロックはあっさりと解除される。

友「それでいいのか、スティーブン氏。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:32:54.70 ID:aNd9Pafg.net<>  ともあれ、妹が端末を軽く操作すると英語の書類が表示される、
最初にゴブリン達の写真、次に同じように化け物達の写真が続いていく。

幼馴染「ゴブリン、オーガ、トロル、オーク、ミノタウロス………」

 次々映し出されていく写真に幼馴染が名前を呼んでいく、
どれもこれもファンタジーなRPGに出てくる魔物の名前ばかりだ。

 やがて、なにやら施設を外から撮影したような写真が続き、
最後に初老の白人男性の写真がプロフィールと共に映し出される。

妹「Roland=Emmerich…誰?」

男「こいつって、あのネットで出てきた
  映画監督って奴か?」

友「エメリッヒ監督じゃねーか」

幼馴染「映画監督?知っているの?あんた
    つか、映画なんて見ているの?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:34:21.84 ID:aNd9Pafg.net<> 友「見ちゃ悪いのかよ
  知らねーかな、"デイ・アフター・トゥモロー"とか
  "インデペンデンス・デイ"とか」

男「ああ、それなら知っている」

 以前映画館で見た事があるような気がする、
テレビでもやっていたはずだ。

 宇宙の外から侵略者がやってきて、アメリカ人が世界中を
率いて、何故だかアメリカの独立記念日に人類が反旗を翻して
技術で遥かに劣るエイリアン達の駆逐に成功する。

 アカデミー賞だか何だかを取った、全米が泣いたりしたような
そんな映画だったはずだ。

男「で、その映画監督がどうしたって?」

妹「さぁ?」

 良くわからんけど、このファンタジーな魔物達に何か
関連した人物であるのは間違いないようだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:35:11.63 ID:aNd9Pafg.net<> 友「エメリッヒ監督、怪獣映画も手を出していたな」

幼馴染「怪獣映画?」

友「聞いた事あるだろ、ゴジラ
  そいつは、"残念"な映画賞だかを取ったんだとよ」

男「その残念映画を撮影するために、化け物を作り出した
  ───────無理がありそうだな。」

友「あれだ、スティーブン氏がたまたまエメリッヒ監督の
  ファンで、たまたま写真が混じっただけかもしれねーだろ」

妹「ンな、アホな」

 なんにせよ、全ては憶測でしかない
そのエメリッヒ監督とやらは恐らくアメリカだろうし、
一般人が簡単にアポを取れる相手とも思えない。

 それよりどうするかは。

男「この仏さんをどうするかだよなぁ」

妹「うぅ…、考えないようにしたかったのに」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:35:38.62 ID:aNd9Pafg.net<>  どうするも、こうするも
道の端に避けておくか、スティーブン氏をお持ち帰りするかの
二択しかない訳だが。

友「ん?、なんだ?こいつは」

 友がスティーブン氏の鞄から筒のようなものを取り出す
長さ20か30センチ程度の金属製の筒で、手元にスイッチのようなものが付いている

 握って振りやすいやすいように手で持つ柄の部分には
ゴム製のグリップが備え付けられており、全体は軽量のアルミだかカーボンだかで
出来ているように見受けられる。

友「ライトセイバー!!」

 これまた昔から有名なSF映画で出てくるような主人公の武器っぽい形状。

 友が正面に構えたまま、手元のスイッチを入れる。
空気を震わす振動音が武器から鳴り、1メートルだか1.5メートルだかの
光りの刃が空間に生成され─────────。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:36:08.09 ID:aNd9Pafg.net<> 男「なんも起きないな」

 ─────なかった。

友「ちぇ、音だけの玩具かよ
  やっぱ、スティーブン氏は軍人じゃなくて、
  ただの映画ファンなんじゃねーの?」

 失望した感じでスイッチを切って、友が男にライトセイバー(?)を放り投げる、
どうでも良いが、故人の物を雑に扱わないで欲しい。

男「財布の中には軍の身分証っぽいのも入っているんだけどな
  それに、この日本で実銃を持っているのも変な話だし」

 男は友から受け取った音だけライトサーベルをひっくり返してさらに調べる
アルミの柄に英単語が削り込んで記されている。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/12(日) 07:37:39.88 ID:aNd9Pafg.net<> -----------------------------------------------
とりあえず、これで8投かな?
-----------------------------------------------

男「────APOPTOSIS───
  アポトーシス?で、いいのか?」

幼馴染「どこかで聞いたような単語ね」

 再びスイッチを入れてみると、空気を震わせるような音が
ライトサーベル(?)から発せられる。

妹「ちょっと待って、なんか透明な剣?みたいなのが
  出ている。」

 妹に指摘されて良く見てみると、柄の先から光が妙に
屈折し、剣の形を生成している。

 なんとなしに、男が近くの木に剣を振り下ろす。
何も抵抗が無く剣が木の幹を通過し────────。

 そして、何も起きなかった。

男「???」

 恐る恐る、指で透明な刃に触れてみるも何の抵抗もなく
ただ、指先がピリピリした感じがするだけだった。

男「??????」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/10/16(木) 06:38:57.15 ID:kiSQbV6/.net<> 友「もう一本、あるな
  後は本物の武器とかレーションとか水とかか」

 男が首をかしげていると、友は遠慮なく氏の遺品を
漁りまくる。

幼馴染「まるでハゲタカかジャッカルね」

友「るせー、本物の武器を見る機会なんて
  そうそう、ねーし良いだろうが」

 バックパックにも氏の血が付着しているんだけど、
もう友は気にしていないようだ。
 流石と言うかなんというか。

 キシェエエエエエエエ!!!

 空から警戒していたシンディの鳴き声。
全員が慌てて辺りを警戒する。

 ふと、草叢を掻き分ける音がする、風の音かと思ったが
同時に重いものが移動するような足音がする。
 スティーブン氏の死体や遺品に気を取られていたものの、
警戒を緩めたつもりはなかった。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/16(木) 06:40:27.00 ID:kiSQbV6/.net<>  しかし、それでも油断をしていたようだ
車で大分ゴブリン達から離れて逃げ切ったと思った、
そうそう追いつく事はできないと。

幼馴染「早く!車に乗って!」

 全員が武器を手に車まで走って戻ろうとする、
しかし、それを行動に移そうとする一瞬前。

魔物「ゴウァアアアアァァァァ!!!」

 姿を現したのは5メートル程の巨人だった、
赤黒い血に染まった槍斧─ハルバードとか言ったか?を手にした巨大な人間、
ただし、その上半身は茶色い牛だったが。

幼馴染「…………ミノタウロス!?」

 幼馴染が魔物の名前を告げる、ゴブリンと違って
ゲームでは主人公達が、戦いに慣れたころに出てくるような
相手だ。

 ゴブリン達と異なり、幸い牛人間はその一体だけだが
二階建ての家程の巨体は脅威だ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/16(木) 07:04:50.08 ID:kiSQbV6/.net<>  今すぐ走って車に乗り込むべきだ、が…恐怖で
体が金縛りにあった。

 今すぐ全速力で逃げ出すべき…なのだが、今は
逃げ出さなかった事が幸いした。

 ミノタウロスは獲物を見定めるように、様子を見ている
背中を向けて逃げ出したら、野生の本能が働いて
逃げ出した奴を全力で追いかけてきただろう。

 空からシンディの吐いた火の玉が落下してくるものの、
ミノタウロスは大きく吠えると、手にした得物を一閃すると
炎の玉は裂かれて散った。

男「…ははは…こいつは、やべぇのが出た…。」

 足が恐怖で震えている、あの大斧でこの軍人さんを
引き裂いたのだろうか?

ミノ「ヴォァアアアアアアァァァァァ!!!」

 再び大きく吠えて威嚇すると、足で地面を蹴って
物凄い速度で突進する。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/16(木) 07:09:20.69 ID:kiSQbV6/.net<> 妹「ひぃっ!」

 妹が小さく悲鳴を上げるも、ミノタウロスの標的は
車だったらしい、停めてあった車をあっさりと突き飛ばすと
車はあっさりとひっくり返る。

 どうやら、いつでも逃げられるようにエンジンを掛けっぱなしに
していたため、生き物とでも認識したのだろうか。

ミノ「ヴォァアアアアアアァァァァァ!!!」

 まるで得物の内臓を食らうかのように、ミノタウロスは
車の底から部品を剥ぎ取って、放り投げていく。

友「…………俺のハマーを一撃かよ…」

男「…逃げるぞ!!、奴が車に気を取られている隙に!!」

幼馴染「でも!荷物が!!」

男「…そんな場合じゃねーだろ!!」

 ひっくり返された車が断末魔の叫びのようにクラクションが鳴る、
車の配線が漏電したのかもしれない、それを受けてか
ミノタウロスの車に対する攻撃がさらに激しいものになる。

男「…奴が車に気を取られている隙に、逃げるんだよ!」

 車から伸びていた、充電ケーブルのソケットを引き抜き。

 男はスティーブンのバックパックとアサルトライフルを拾って
森に向けて走り出す。
 車に持ち物を取りに戻れない以上
死人の持ち物とか言っている場合ではない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/10/17(金) 22:51:34.42 ID:TwOU3u4J.net<> 300も届かないかもなこりゃ、
のんびりやるか。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 07:20:26.36 ID:VFpM4riF.net<>  ミノタウロスは車が生き物ではないと知ると、興味を無くし
次に男達の方に向き直る。

 ハルバードを手に地面を蹴って一番弱いであろう
妹を獲物と見定めたようだ。

妹「ひぃ!!」

 恐怖に竦んで動かなくなる妹、地面を蹴って走り出す
ミノタウロスに空から大きな影が襲いかかる。

シンディ「キシェェエエエエエェェェ!!」

 威嚇の声と共に竜の爪がミノタウロスの頭を鷲掴みにし、
喉笛を噛み千切ろうとするが──────。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/01(土) 07:22:46.81 ID:VFpM4riF.net<> ミノ「ブモォオオオオオォォオッッッ!!!」

 ミノタウロスの方が実戦経験が豊富なのか、上半身ごと
大きく体を振り、鷲掴みにしていた飛龍もろとも近場の大木に
頭を叩きつける。

シンディ「ピギ!?」

 ミノタウロスから振り落とされた飛龍に、ミノタウロスの
手にしたハルバードが襲いかかる。

男「くそっだらぁぁああああああぁ!!」

 まるでチンピラのような声をあげつつ、男は手にしていた
アサルトライフルのトリガーを引く!

 安全装置が外されたままだったためか、アサルトライフルが
物凄い勢いで弾丸の雨を吐き出す。

ミノ「ブモォオッ!!!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 07:23:46.85 ID:VFpM4riF.net<>  しかし、人間にとっては致命傷を与える弾丸も
ミノタウロスにとっては石を当てているようなものなのだろう。

 それでも痛いのかミノタウロスの憎悪が男に向き、
その隙に飛竜は地面に翼を叩きつけてなんとか、空へと退避する。
 
男「かかって来いや!このボケが!」

 もうやけくそだが、吠えてみた所で本当に正面から
突進されたら、あっという間に昇天してしまうだろう。

 弾丸を吐き出しつくしたアサルトライフルを捨てて、
男は森の中に逃げ出す。

友「相棒!!!」

幼馴染「男!!」

 友と幼馴染の声が聞こえるが、言葉を返す暇も無い
とにかく、逃げる──────。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 07:25:36.52 ID:VFpM4riF.net<>  森の中なら巨体のミノタウロスは上手く動けないだろうと言う打算もある。
対してこちらはミノタウロスよりも小柄で、山歩きに慣れた人間だ。

ミノ「ブモォォォォォォォォオッ!!!」

 天に向かって吠え、鼻息を大きく吹き出し
地面を蹴って男に向かって猛突進してくる。

男「うぉっ!?速ぇ!!?」

 巨大な体躯だから遅いと思っていたが、予想していたよりも
素早い動きで男は焦る、が…足を止めている暇は無い。

 予定通りに森の中に逃げ込むと、野生生物(?)の性が残っているのか、
逃げる男の背中を追って、他の獲物に目もくれず追いかけて来る。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 08:15:16.56 ID:VFpM4riF.net<>  森の中に入ると、大木が邪魔してミノタウロスの速度が目に見えて落ちる
それでも、必死に追いかけて来るわけだが。

 咄嗟に手を出して怒りの矛先を自分に向けてみたが、ここからどうしたものか
考えが全く浮かばない。

男「げっ!?」

 突如視界が開けて、森を抜けてしまう。
抜けた先は15メートルぐらいの崖の上で、下に川が流れている。

 慌てて森に引き返そうとするも。

ミノ「ブフゥウウウウウゥゥゥゥ!!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 08:20:04.16 ID:VFpM4riF.net<>  追って来たミノタウロスに森への入り口は完全に閉ざされてしまう。
どの道、いつかは体力が尽きるからいつまでも逃げ回ってもいられないだろうが、

男「は…はははは…怒っている?
  お前怒っているよな?やっぱり」

 言葉は通じないだろうが、相当に怒っているのは見て取れる。
映画とかだと、川に飛び込んで逃げたりとか
突進して来た所を間一髪で躱して崖に落としたりとかするんだろうが
現実はそう簡単にはいかないようだ。

 飛び降りようものなら、川底の岩に頭でもぶつけて最悪死ぬだろうし、
良くて骨折と言った所だろう、さらにミノタウロスも崖を警戒しているのか
無暗に突進してくるような事はしない。

男「こりゃ、詰んだなぁ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/01(土) 08:52:24.13 ID:VFpM4riF.net<>  天を仰いで諦めの言葉を吐く、ハウルバードを手に一歩づつ
ゆっくりと歩み寄ってくる。

男「こう言う場面って
  都合よく、誰か助けに来るもんだろ!!」

 などと、都合の良い展開を期待してみるも、こんな山奥では
誰も助けてなんてくれないだろう。

 そもそも、友人や妹達から遠ざけるためにこいつの気を引いたのだ
男を心配してノコノコとやって来るような事は無い───と、信じたい。

ミノ「ヴォァァァアアアアァ!!」

 ミノタウロスが武器を振り回し、男は崖に向かって身を放り出す、
どの道ミノタウロスに生きて食われるぐらいなら、崖から飛び降りて
即死した方がまだマシだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/04(火) 19:44:44.60 ID:4GvsqYrF.net<> 頑張れー!! <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/07(金) 23:44:20.30 ID:jtIv7diX.net<> >>112
ありがと、亀進行だけど頑張ってみるよ
-----------------------------------------------

男「南無三だ!こん畜生め!!」

 しかし、黙って死ぬつもりもない
腰のポーチからフック付ロープを取り出し、崖から張り出した
枝に投げつける。

 山歩き用のアイテムで、鎖とか何も手がかりが無い崖を
上り下りするために持ち歩いている道具だ。

 幸運にも枝に引っかかり勢い付けた体重が両腕にかかる。

男「ぐぁ!!」

 両腕に荷重がかかりロープをつかむ形で崖に中吊りになると、
両肩の骨が軋み悲鳴を上げる
しかし、ここで離すと崖から岩場に真っ逆さまだ。

 なんとか堪えて崖の上を見ると、ミノタウロスが悔しそうに
吠えているのが見えた。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/07(金) 23:45:09.38 ID:jtIv7diX.net<>  牛人間の両腕はともかく、足は蹄だから急斜面の崖を降りてくる事は
出来ないらしい。

男「ざまぁ、みやがれ
  今日の晩飯はヨソをあたりな!」

 降りてきた側の川沿いはずっと崖になっているようで、
迂回しても簡単には降りられない、飛び降りて来るかとおもったが
どうやらその様子は無く、悔しそうに一声鳴くと
どこかへともなく去って行った。

男「って、あいつ!
  妹達の所にもどらねーだろうな!?」

 不安になるが仕方が無い、上手く車から荷物を出して
逃げ切ってくれている事を祈るしか無い。

 友と幼馴染ならなんとかしてしてくれるだろう、と思いたい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/07(金) 23:46:16.50 ID:jtIv7diX.net<>  一方その頃──残された仲間達──。

妹「お兄!」

幼馴染「早く!助けに行かないと!」

友「馬鹿言え、死にに行くようなもんだろうが」

 スタンソードを手に、森へと消えた男を追いかけようとする
幼馴染を友が止める、しかし何もしないで大人しくしていろと
言われても、大人しくなんてしていられる訳でもない。

幼馴染「だからって、見捨てる気!?」

友「じゃー、あんな化け物相手にして
  お前に何が出来るってェんだ!!」

妹「それなら、どうしろって言うのよ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/07(金) 23:47:53.88 ID:jtIv7diX.net<> 友「相棒は馬鹿じゃない、相棒が死ぬ気で作ってくれたこの時間を
  1秒でも無駄するんじゃねーっての、さっさと荷物を車から
  引き摺り出すんだよ!」

 言うなり、腹を見せて倒れている車から
使えそうな荷物を引きずり出す友。

 車を失ってしまった以上、荷物を運ぶ手段が無い
それに、男がさっきの化け物を撒いて逃げたとしたら
男を見失った化け物が再び戻って来るかもしれない。

幼馴染「妹ちゃん、男も心配だけど
  今は急いでここを離れないと」

妹「………う…うん……」

 不安気な表情を見せながらもパニックにならず、
持って行く荷物の整理を手伝う妹。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/07(金) 23:49:27.05 ID:jtIv7diX.net<>  とはいえ、どこに逃げたモノだろうか────と、幼馴染は思う
例のキャンプした洞窟に逃げ込むのが良いと思うが、随分
車に乗って移動してしまった上に、ゴブリン達に巣窟を通らないと
たどり着けない。

幼馴染「それで、どこに逃げるのよ?」

友「わかんねー………けど
  とりあえず、GPSを頼りに麓までいくしかねーな
  ……………ほれ、お前が地図担当。」

 友が車のダッシュボードに備え付けてあった取り外し式のGPSと
紙の地図を妹に放り投げつつ言う。

 後は言葉少なく黙々と荷物の振り分けを行っていく。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/07(金) 23:50:41.65 ID:jtIv7diX.net<>  水や食料、武器を優先に3人で持てる分だけの荷物を割り当て、
4つのザックに取り纏める。

友「なんだ?相棒の分をここに置いといてやるのか?」

幼馴染「違うわよ、シンディ!!」

シンディ「クエ?」

 大人しくしていた飛竜の名を呼ぶと、飛竜の足にザックの一つを
括りつけた後、鼻先に男の着ていたシャツを近づける。

幼馴染「男に届けてあげて」

友「なるほどね、けどコイツ
  鼻が利くんかねー」

 竜の鼻が良いか悪いかなんて聞いた事ないが、少なくとも
人よりは充てになるだろうと思う…多分。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:13:35.40 ID:oHvcJbxh.net<> 妹「………待って!」

 頭を軽く撫でて、飛べ!と合図しようとした所で、妹が静止する。
荷物を振り分けていた間にスティーブン氏のタブレットと、紙の地図と
GPSで調べものをしていたようだが。

妹「地図上だと山の奥だけど
  ここ…、建物があるみたい」

 妹がスティーブンのタブレットに表示させたのはオフラインでもつかる地図アプリで
地図上に何やらアイコンがマークしてある。
 アイコンには写真が添付されており、結構大掛かりな工場のような施設だ。

幼馴染「どういう事なの?
  そんな工場があるなんて、見た事も聞いた事も無いわよ」

友「わかんね、けど…多分
  この化け物達と関係があると見て良いだろうな」

 どの道、このまま歩いていけば麓にたどり着く前に
夜になってしまうだろう。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:14:57.52 ID:oHvcJbxh.net<> 幼馴染「ここに逃げれば、助けて───………。」

友「………──貰えるなんて、
  甘ぇ考えは持っていないだろうな?まさか」

 そう…、これだけの規模の工場を隠し通す連中が居る場所だ
機密保持とかいって殺されてしまう可能性もある。

妹「でも、ここから麓まで、一番近い所でも20キロぐらいあるし
  化け物が居るだろうし、帰れる自信はないよ
  この施設までなら、そんなに遠く無い」

幼馴染「このままだったら、夜になるわね
  それに、男とも合流しないと。」

 それに、無理に夜間に歩き回るとどうなるのか
スティーブン氏の亡骸を見たら一目瞭然だろう。
 戦闘のプロですら、この様なのだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:15:36.85 ID:oHvcJbxh.net<> 友「…………わーったよ………、どのみち
  それしか選択の余地は無いだろうし」
 
 話が纏まった所で赤ペンで紙の地図に文字を書き込み、
シンディに括りつけられたザックに紙の地図を仕舞い込む。
 頭を軽く叩いてやると、人の言う事は理解できるのか
一声鳴いて空へと舞いあがる。

 飛竜を見送ってザックを背負い歩き出す、
立て続けに色々ありすぎて倒れそうだが、スティーブン氏の
亡骸が視界に入り、幼馴染は頭を軽く振る。

友「安全な所が見つかったら
  休憩取りたい所だけどな」

幼馴染「安全な所って、どこよ」

 苦笑しつつ、返すが…自分でも随分、体力的にも
精神的にも参っているなーと、自覚する。

 しかし…、今は山歩きに長けた男と逸れてしまった上に
弱音を吐いている場合ではないと言うのも理解しているつもりだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:16:16.94 ID:oHvcJbxh.net<>  完全に破壊された車を背にして、森の中を歩きだす
道を外れて(道と行っても、来るときに強引に車で走った跡程度だが)

 スティーブン氏のタブレットが示す施設の位置へと向かう。
疲れが溜まっているのだろうか、誰もが一言も喋らず黙々と
30分程歩いたところで、友がボソリと言い出す。

友「これで、地図通りに山があるだけだったらウケるな」

幼馴染「嫌な事を言わないでよ」

友「森に住む化け物達が全部作り物とか、ロボットか何かでよ
  カメラがあって、俺達を撮ってさ
  最後にボードをもったテレビスタッフとカメラマンが出てくる訳よ」

幼馴染「あったわねー、昔にそんな番組」

妹「………お姉、幾つよ」

 幼馴染の言葉に妹が苦笑する。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/08(土) 09:17:48.11 ID:oHvcJbxh.net<>  そして、顔を思いっきり平手で叩き、乾いた音が森に響いた。

幼馴染「甘えないで、優しい言葉でも掛けて欲しいの?」

 友はいきなり横から顔を叩かれた事に茫然とし、泣きだしかけていた
妹もいきなりの出来事に驚いていた。

幼馴染「アンタの心が折れるのは勝手よ
    でも、それに私達を巻き込まないで」

 部活の試合の時でも、一度気持ちが折れてしまったら
そう簡単には立て直す事は出来ない。

 去年のバレーボールの全国大会
後から思い返せば、気持ちが折れなければ勝てる試合だったが
一人の気持ちが折れたせいで、チーム全員に伝播し
格下の相手に負けてしまう場面があった。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:19:02.59 ID:oHvcJbxh.net<>  バレーボールの試合程度なら、悔しい思いをするぐらいで済む。

 しかし今、全員の気持ちが折れてしまったら
そんな中、また化け物に襲われでもしたら自分だけではない
他の二人もスティーブン氏のように、殺されてしまうだろう。

友「………………容赦、ねぇなぁ…。
  今のは優しい言葉を投げてくれるか、
  キスでもしてくれる流れだろうがよ」

幼馴染「ないわー。」

妹「友キモイ。」

友「本当、容赦ねぇ奴らだな」

 それで元気が出たのか、友は苦笑しつつ荷物を背負い直して
再び歩き出す。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:23:02.08 ID:oHvcJbxh.net<> -----------------------------------------------
げ、痛恨のミス
>>122>>123の間にコレ

上げたら直せないのが痛い所。
-----------------------------------------------
友「で、極めつけに
  スティーブンさんとか、相棒とかと生きて再会よ
  泣き崩れた所で、『嘘でしたー』ってな、悪趣味な番組」

幼馴染「そう…ね、だったら良いわね」

妹「………でも、あの遺体は本物だった
  戦った化け物達も」

 妹がボソリと言うと、先頭を歩いていた友が足を止める
そのまま友か拳を震わせ、近くの木の幹に叩きつける。

友「…………あぁ、わかってんよ
  全部マジなんだって!」

友「さっきの軍人のおっさんはマジで死んでて
  相棒は行方不明なんだって!
  でもよ!そう思わないとやってらんねーじゃねーか!」

 一番強いと思っていた友の心が折れた瞬間だった、そのまま友は
喚きながらも木の幹に拳を何度もたたきつける。

友「なんで、なんだって俺は
  こんな所に来ちまったんだよ!クソが!!」

 そんな空気が妹や幼馴染を包もうとした所で。
幼馴染は友の顔を両手で優しく両手で包んで振り向かせる。

幼馴染「…………友…。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/08(土) 09:26:41.60 ID:oHvcJbxh.net<> 嗚呼、凡ミス。
へこむわー <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/13(木) 02:09:36.71 ID:QipOasc6.net<>  どれぐらい森の中を歩いただろうか、慣れない山歩きと
緊張の連続で疲労はピークだ。

 さらにいつ化け物に襲われるか分からない極限状況、
おまけに朝から何も食べていないと来たもんだ。

 不平不満の一つでも口にしたい所だが、余計な事を言って
余計な事態を招いて時間を食って夜にでもなったら目も当てられない。

 妹がタブレットとGPSから目的地を確認する。

妹「あと、少し…座標的には直線距離で5分と言った所─────。」

 ────プギィィィィィイイイィィイイ!!

 嬉しいニュースを告げようとした瞬間に、森の奥から
豚の鳴き声のような声が聞こえる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:10:33.26 ID:QipOasc6.net<> 友「近いな」

幼馴染「みたいね」

 運良くここまで魔物に襲われなかったものの、いつかは魔物に
遭遇するだろうと覚悟を決めていた。

 友が銃を取り出し、幼馴染が鞘からスタンソードを抜き放つ、
いつも頼りにしているシンディの索敵能力や、男の直感は
今は頼りにする事は出来ない。

妹「野生のイノシシとか…かな?」

友「だと良いけどな」

幼馴染「野生のイノシシに襲われるだけでも
  随分大事なんだけどね」

 しかし、野生のイノシシ…もしかしたら熊ですら
徘徊している魔物に比べたらまだマシなのかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:11:11.00 ID:QipOasc6.net<>  たった一日…、いや一泊二日か?
それだけしか経っていないのに、我ながら逞しくなったものだと
幼馴染は苦笑する。

友「野生のイノシシなんかじゃなかったようだぜ」

 豚は豚でも斧を持った豚人間、
ゴブリンやミノタウロスに続くファンタジー作品の代名詞。

幼馴染「………オーク」

妹「後ろにも!!」

 どうやら、いつの間にかオーク経ちに囲まれていたらしい
確認出来るだけで5体。

 逃げ道はすっかり塞がれてしまっている。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:11:58.19 ID:QipOasc6.net<> 友「あーあ、いままで散々牛やら豚やら食って来たけど
  まさか、豚に食われる日が来るとはね」

幼馴染「そんな事を言っている場合じゃないでしょ
    なんとか逃げないと」

友「そりゃ難しい注文だなっ!」

 不意打ちで友がオークの一体に向かってライフルで狙撃し、
ものの見事に眉間にヘッドショットを決めて仕留める。

幼馴染「お見事!後4体もよろしく」

友「まぐれ当りだ!出来るかっ!」

 割と真面目に言ったつもりだが、即座に否定されてしまう、
あっさりと仲間がやられた事に激怒したオークの内一体が
斧を片手に間合いを詰めて来る。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:13:42.99 ID:QipOasc6.net<> オークB「ぷぎぃいいいいぃいぃ!!」

幼馴染「このっ!!!」

友「待て馬鹿!」

 すかさず幼馴染がスタンソードを振り、反射的に振り下ろしてきた
斧を受け止めようとする。

 友が静止をかけようとしたが、そうでもしなければ
斧が幼馴染を襲っていただろう。

 斧とスタンソードが交差すると、激しい電撃が斧を伝って
オークに襲いかかる。

オークB「ぷぎゃっ!!」

 悲鳴を上げると斧を取り落として距離を取るオーク、
狙ったわけでもないがとりあえずはこれで武器を持っている
オークが3体と丸腰のオークが一体となった。

 しかし、無茶した代償として
スタンソードの刀身が折れてしまったが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:14:55.19 ID:QipOasc6.net<> 友「なんつー事しやがる!
  デリケートだっつっただろーが!」

幼馴染「次からは丈夫に作りなさいよ!
    きゃっ!?」

 友に叱責に幼馴染が返答した所で、他オークが振るった
斧が頭を掠める。

友「芋!暫く頼む
  幼馴染、折れたスタンソードを寄越せ!」

妹「うぇっ!?」

 友に言われるままに幼馴染は折れたスタンソードを
放り投げ、妹は手にしていた銃を乱射して
幼馴染を襲っていたオークを追い払おうとする。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/13(木) 02:16:56.87 ID:QipOasc6.net<> ---------------------------------------------------------
 平日だし、今日はこの辺で。
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 友は折れたスタンソードの刀身のレバーを外して刀身を外し
素早く予備の刀身と交換する。

友「幼馴染…受け取───────。」

 振り向きざまに幼馴染にスタンソードを渡そうとした
友の目に飛び込んできたのは、武器を失ったオークBが
幼馴染の頭を殴り飛ばす場面だった。

妹「お姉っ!!!」

 悲鳴も無く頭から血を吹きだして倒れる幼馴染に
妹がヒステリックな悲鳴を上げる。

 車に撥ねられたかのように激しく吹き飛ばされ、幼馴染は
全く動かなくなる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 10:03:35.56 ID:M/u5L4AX.net<>  さらに追撃して止めを刺そうとするオーク─。

友「離れろってんだよ!!」

 しかし、そうはさせないとオークに向けて
友はサブマシンガンを乱射する。

妹「お姉っ!!しっかりして!お姉っ!!」

友「くそったれが!!」

 友は両手に手をした銃の弾丸をばら撒いて
必死にオークを追い払おうとする。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 10:04:01.40 ID:M/u5L4AX.net<> オークA「ぎゃっ!!ぎゃっ!!ぎゃっ!!」

 運よく…本当に運よく
銃弾の一発がオークの左目を打ち抜く。

友「止血しろ!!芋!!」

妹「止まらない!血が止まらないの!!」

 辺りに血の臭いが充満する、血の臭いで
オーク達がさらに興奮する。

幼馴染「…………いいから
  …わたしを……捨てて……逃げなさい。」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/22(土) 10:05:09.32 ID:M/u5L4AX.net<>  辛うじて意識を取り戻す幼馴染、この状況下では
自分は助からないものだと理解はしていた、

 仮に、この場でオーク達を追い払っても
麓の病院まで下手すれば何日も掛かるだろう。

妹「できないよ!」

幼馴染「………このままでは、皆死ぬわ
  はやく………………」

 そこで幼馴染の意識が暗転した。

 ─────死ぬって、こういう事なのかな?─。

 暗転する意識の中幼馴染はそんな事を考えた。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 10:31:45.03 ID:M/u5L4AX.net<>  目を開けると白い部屋があった、白いベッドに白いドア
白い天井に白いカーテン。

 おまけに自分は白い服を着せられていて寝かされていた。
これでもかと言わんばかりの統一された白。
 ただ白ではないのは自分だけだった。

 先ほどまで居た森の外ではなく、音の無い白く何もない部屋。

 そっと頭に手を添えるとオーク達にカチ割られた頭の傷が
綺麗さっぱり無くなっていた。

 どれだけ綺麗に処置したとしても、頭の傷を跡も残さず
消す事は出来ないだろう。

幼馴染「私、死んだのかな?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 10:32:30.53 ID:M/u5L4AX.net<>  なんとなく、そんな事を思う。
人間死んだらタンパク質の塊になるだけで、天国も地獄も無く
意識は無に消えるだけだと思っていたのだが。

幼馴染「意外…ちゃんと足がある」

 足はあるし、ちゃんと力が入る
体を起こしてみようとした所で、何かに引っ張られる。

幼馴染「…………?」

 体から出ていたコードが邪魔で起き上がれなかったようだ
着せられた白い服をまくってみると、透明な電極のようなものが
体中に貼りつけられていた。

 なんとなく、不快だったのでそのシールを剥がすと
無音だった部屋に電子の警告音が鳴り響く、
どうやらこれは勝手に剥がしてはいけない類のものだったらしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 10:33:57.71 ID:M/u5L4AX.net<> ---------------------------------------
とりあえず、少し振りだけどもこの辺で
---------------------------------------

幼馴染「病室、なのかな」

 うるさい電子音に幼馴染の意識は完全に覚醒していく、
どうやら天国のような類ではないらしい。
 誰かが自分を助けてくれたようだ。

妹「お姉っ!大丈夫!?
  生きている!?どこも怪我が無い?頭おかしくない?」

 扉が開け放たれて妹が部屋に飛び込んでくる、
今まで着ていたボロボロの服ではなく、某有名な新世紀ロボットアニメの
パイロットスーツのような、ボディラインがくっきり出る赤いスーツを
来ていた。

幼馴染「何?そのコスプレ」

 泣きじゃくる妹に幼馴染は苦笑する、妹の着ていたコスプレ衣装の前に
訪ね忘れていたが、それよりも先に聞かなければいけない事がある。

幼馴染「ここって、一体どこ?」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/22(土) 11:00:16.07 ID:u2dXZ2Ju.net<> 乙 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/11/28(金) 02:10:27.80 ID:/KINkFx0.net<> ---------------------------------------
>>140 ありー、でも不定期投稿でごめんよぅ。
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妹「ここは、私達の目指していた工場施設の中なの」

幼馴染「電気、通っているのね
    という事は当然人が居て…その人達に助けられたって事か」

妹「うん、お姉が気を失ったあの後──────。」

 妹曰く
幼馴染が失血しすぎて気を失ったあの後、オーク達に全滅させられそうに
なった時にこの施設の人達が助けに来てくれたらしい。

 オーク達を難なく討伐し、瀕死の幼馴染を連れて施設に入り
治療を施してくれたとの事。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:11:25.00 ID:/KINkFx0.net<> 妹「あれから、丸2日も過ぎたわ。」

幼馴染「2日も!?」

 怪我の状態から2日で完治したのは異常に早い速度だが、
2日も気を失っていたとは。

幼馴染「友は?あの後無事だったの?」

妹「………うん、まぁ、私達は平気。」

 そう…私達『は』だ…
つまりは、男はまだ合流出来ていないという事だろう。

幼馴染(じゃぁ…やっぱり男は………。)

 口に出しかけて言葉を飲み込む、だが妹は幼馴染が言おうとした事を
察してしまったらしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:12:04.36 ID:/KINkFx0.net<> 妹「…………お兄……。」

幼馴染「だ、大丈夫よ!男なら
    ほら、おばさんが以前4回も捜索依頼だしても
    ひょっこり帰って来たとか言っていた事あったし!」

 ※ >>13参照。

妹「でも!こんな化け物だらけのところに一人でなんて!」

 実際、そうは言っても不安ではあるが。

幼馴染「とにかく、今は私達の事よ
    なんなの?そのエグイコスプレ、ボディライン出まくりじゃない」

妹「う、結構恥ずかしいの我慢しているんだよ」

幼馴染「妹ちゃん『ゼルシウス』って知っている?」

妹「好きでこんな恰好しているんじゃないよぅ」

 話題逸らし成功。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:12:50.73 ID:/KINkFx0.net<>  2日の寝ていたらしいのでややフラフラするが、
気合いを入れて立ち上がる。

友「よう、気が付いたみてーだな」

 ノックもせずに病室のドアを開けて友が覗き込んでくる。
友も妹と同じようなボディスーツを着用しており──。

幼馴染「アンタ…意外と腹が少し出ているのね」

友「ほっといてくれっつーの!!」


 ともあれ、無事ではあったみたいで何よりだ。

友「ったく、お前、第一声がそれかよ!!
  相棒と同じでしぶといねー、お前さんも」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:13:37.97 ID:/KINkFx0.net<> 幼馴染「それを言うと、アンタもね
   で、話を戻すと私達はこの工場の人達に助けてもらった訳ね」

友「あぁ、まぁなぁ…
  その件について、お前さんが目覚めたら連れて来てくれって
  ここのボスに言われていたんだわ」

 歯切れが悪い感じで友が言う、ここで友や妹にその理由を聞いても良いが
どうやらそのボスに聞いた方が早そうだ。

幼馴染「そうね、悪いけどそのボスさんに都合が空いているか聞いてくれないかな
    助けてくれたお礼も言わなければいけないし。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:21:27.40 ID:/KINkFx0.net<>  妹にここの施設のボスに話を通してもらい、難なく
都合の取りつけをしてもらう。

 こんな山奥で化け物を研究している(と推定される)相手では
あるものの、意外と友や妹は自由に出歩くことが許されているらしい。

 妹に連れられてそのボスの部屋へと案内してもらう幼馴染、
その途中で例のスーツを着込んだ人達が何人もすれ違っていた。

 男女比は半々のようだが、40越えたおばさんや初老の男性も
例外なくスーツを着ているのは見ていて若干痛々しい感じではあったが。

 ここに居る人達はもう既に気にしていないようだった。

幼馴染「みんなスタイルいいなぁ、うわぁ、腹筋割れている」

妹「お姉………。」

 思わず口に出してしまい、妹がやや呆れたかのように苦笑する。
ややあって、通路の先にある部屋が目的地なのか、扉の前で妹が足を止める。

 扉を軽くノックし。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:22:26.25 ID:/KINkFx0.net<> 妹「妹です、幼馴染を連れてきました。」

?「───入りたまえ。」

 扉の奥からいかにもエラそうな態度のエラそうな声が
聞こえると妹は扉を開けて、幼馴染に部屋の中に入るように
視線で合図する。

妹「失礼します。」

幼馴染「し、失礼しまぁす」

 いやに丁寧な妹の態度に怪訝に思いながらも、部屋の中に
足を踏み入れると、ドラマとかで良く見る社長さんのような偉い
人の部屋がそこに広がっていた。

 もしくは、身近なイメージの所で。

幼馴染「校長室…みたいな感じね。」

 つまるところが、執務室。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/11/28(金) 02:32:21.38 ID:/KINkFx0.net<> -----------------------------------------------------------
とりあえず、これで8投なはずなのでこの辺で。
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 窓を背にした机に先ほどの返事の主と思わしき、初老の男性が
座っており、幼馴染をじっくり観察するような目で見ていた。

 ただ、部屋に似つかわしい社長さんやら校長先生のようなスーツ姿ではなく、
妹と同じような新世紀ロボットアニメのパイロットスーツのようなものを
着こんでいたが。

 それも数秒の事で、目の前の男は直前までやっていたであろう
事務作業に戻る。

ボス「ふむ、キミが話に聞いていた幼馴染君か
  すまないね、少し待ってもらえるかな」

幼馴染「いえ、お忙しい所申し訳ございません。」

 どうやって話を聞きだしたモノかと考える時間が出来た
とりあえずは、手が止まった所で助けてもらった礼から切り出すべき、という結論を出す。

 ややあって、ボスの手が止まり話を聞く体勢になる。

ボス「悪かったな、待たせたね
   改めて、私がこの『組織』のボスだ」

幼馴染「幼馴染です、危ない所を助けて頂いて有難うございました。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/01(月) 01:34:52.67 ID:PcUpBc+T.net<> ボス「まず、君達の身柄についてだが
   我々が責任をもって預からせてもらおう。
   これは、君の命を助ける事と引き換えに
   友君と妹君に合意を得た事だ」

友「悪ぃ…おめぇの命を助けるには
  ここの連中の提案を受けるしか無かった」

 申し訳なさげに友が言う。
なるほど、当然親切心から命を助けてくれた訳では
無いらしい。

ボス「当時に君達にはある程度の自由を保障しよう
   この施設の中なら自由に歩き回ってもらって構わない」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/01(月) 01:36:02.10 ID:PcUpBc+T.net<> 幼馴染「けど、家に帰してくれるわけではないし、
   家族に連絡を取らせてはくれないんですよね?」

ボス「それはしばらくは我慢して欲しいかな、
   ただその時が来れば、無事に家に帰すと約束しよう。」

 その時とやらが何を言っているのかわからないが、
ひとまずは身の安全は保障してくれるのならば
良しとするべきなのかもしれない。

 どの道、化け物がうろつく森の中へ勝手に入り込んで
麓まで無事に帰れるとも思っていない。

幼馴染「けど、こんな化け物がウロウロしている森の中で
    貴方達は何をしているんですか?」

ボス「それは興味本位での質問かね?」

幼馴染「……それは………。」

 そう言われれば
自らが知る必要の無い事なのかもしれない、この連中が何をしていようが
自分達を無事に返してくれればそれで良い訳だし

 不必要な事を知ってしまったら帰してくれる約束もどうなるか
判った物ではない。

ボス「まぁ、構わんがね、くだらぬ雑務も飽きてきた頃だ
   友君と妹君も来たまえ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/01(月) 01:37:03.92 ID:PcUpBc+T.net<>  ボスに連れられて部屋を出て通路を歩いていく、
言われるがままに黙ってついて来る幼馴染達を横目で確認しつつ
言葉を口にする。

 その内容は幼馴染達が思いもよらない内容だった。

ボス「君達はこの地球と言う惑星がどれ程の奇跡の上に
   なりっていているか、理解しているかね?」

幼馴染「奇跡って?」

妹「太陽からの距離、地球を包む磁場と重力
  生命を育むのに都合の良い水、海と大地の割合、
  塩分濃度、その潮の満ち引きを作り出す月と言う衛星
  これだけの好条件の奇跡が揃っていると言う事ですか?」

友「…おめぇ、よくそんな事知っているな」

 意外にも妹がすらすらと答えると、友が驚いたように口を挟む。

妹「たまたまネットで見ただけだよ」

 妹の答えにボスは足を止めて少し意外そうな表情をした後に
再び歩みを進める。

ボス「では、それに加え
   我々人類がこの世界で繁栄し、文明を築きあげるのに
   どれ程の奇跡の上に成り立っているのかと思うかね?」

妹「人間の天敵は人間以外が存在しなかった事、
  そして人間だけが、火や道具を使うような独自な進化を遂げた事、
  巨大な肉食獣である恐竜が絶滅した事……かな?」

ボス「そう、他にも色々あるが、
   我々が文明を築き上げた事は、数多くの奇跡と微妙なバランスの上に
   成り立っていると考えて良い」

幼馴染「けど、それは人間がこの世界で生きる為に
   最適化してきた事もあるんじゃないですか?
   気温とかも寒かったらそれに適応したと思いますが」

 実際、今よりもやや寒い気温の星だったとしたら寒い環境に適応して
進化しただろうし、暑い星だったらそういう環境適応しただろう。

 それでも限度はあるが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/01(月) 01:38:09.69 ID:PcUpBc+T.net<> ボス「そういう面もあるだろうがね、これだけの好条件
   ただの偶然で揃うと思うかね?」

友「そりゃ、宇宙は広いですし
  無数の銀河や無数の星系があれば、たまたま都合の良い星が
  一つか二つぐらいはあるんじゃないですかい?」

ボス「確かに…そういう事もあるだろう…
   では、たまたまこの地球上と同じような生命を持った
   星がどこかに転がっていると思うかね?」

一同『え?』

ボス「たとえば、そうだな
   外に居るゴブリンやオークなんかは、どう考えても
   この地球上の生命ではありえない…、しかし
   この地球上で実際に活動出来ているし、地球型の生命と
   類似点が多数存在する」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/01(月) 01:39:49.54 ID:PcUpBc+T.net<> 妹「確かに、目鼻口の数…それに道具を使う事
  さらに手の指の本数まで、一致するものは一致していましたけど」

 まさか、外に居る魔物達は他の星から来たとでも
言うつもりなのだろうか?

 口には出さずにそんな事を考えていると、ボスはそんな幼馴染の表情を
読み取ったのか、苦笑した表情を見せる。

ボス「外に居る魔物はこの地球で生まれたものばかりだよ」

幼馴染「は、はぁ?」

ボス「少し話が跳んだな…話を戻そう…
   この世界に住まう数百万種の生物の中で、猿だけが
   人間に進化した」

幼馴染「ダーウィンの進化論ね」

ボス「一番有力とされる論だな、他にも宗教的な話もあるが
   ひとまず除外させてもらおう」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/12/01(月) 01:46:47.94 ID:PcUpBc+T.net<> ----------------------------------------------------------------
 とりあえず、今日はこの辺で、
また、書き溜めておかないと。
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妹「けど、実際そういう化石や骨が世界各地で見つかっていますけど」

友「ある所にゃ、博物館とかにも置いてありますぜ?」

ボス「さて、猿から人に進化する過程で
   見つかっていない繋がり、ミッシングリンクが
   あるのは知っているかね?」

 聞いた事はある気がする、進化の過程で見つからない繋がり
それをミッシングリンクと言うとか。

 それが見つからない限り、猿から人への進化の繋がりは
証明されないと聞いた事がある。

 ボスは重々しい巨大な金属の扉の前で足を止め、
ドアの横にある電子コンソールに長い桁数のパスキーを入力していく。

 どうやら話の合間に目的地へと到着したらしい。

ボス「それが見つからない理由、そしてこの地球でのみ
   多数の偶然が重なる理由…………。」

 電子コンソールが認証されて扉が重々しい音を立てて開く、
扉の中から光が差し込み、眩しさに目を細める、
 ややあって目が順応し部屋の中の様子が見えてくる。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2014/12/08(月) 23:07:19.41 ID:E3WAvCaL.net<>  部屋の中で目を引いたのは巨大なガラス管の羅列だった、
ガラス管の中には液体が満たされており、液体の中に浮かんでいたのは
様々な魔物達の亡骸だった。

 見覚えのあるものから、全く見た事の無い異形の怪物まで
様々な種類が苦悶の表情を浮かべて絶命していた。

友「うっ………。」

 思わず吐きそうな友のうめき声に、ボスは苦笑しつつも
こんな所で吐かないでくれよと言い放つ。

妹「お姉、あれ…。」

 羅列したガラス管達に囲まれるようにして、一つの巨大なガラス管が
さも特別扱いされるかのように置かれていた。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:08:11.11 ID:E3WAvCaL.net<>  頭からは二対の巨大な捻じれた角が生えており、背中からは巨大な
ドラゴンのような漆黒の翼が生えている。

 体躯は巨大で十数メートル程だろうか、全身に膨れ上がった筋肉を
身にまとい、口は大きく開き牙がのぞいている。

ボス「魔王、と我々は呼んでいる」

幼馴染「………魔王。」

ボス「安心したまえ、こいつはもう死んでいる
   培養液に漬けられていて、細胞組織は生かされているがね」

 ボスの言うとおり、魔王なるこの巨大な骸は体中に無数の傷が
付けられており、特に致命的なのは額に深く突き刺されている
金色の長い剣だ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:08:53.81 ID:E3WAvCaL.net<> 妹「魔王って、あの魔王?」

 RPGゲームで出てくるラスボスか、中ボス的な存在
ラストダンジョンの玉座でふんぞり返っていて、雑魚モンスターに
勇者やら英雄やらの主人公の相手をさせるのが仕事だ。

友「こんな奴、いったい何処に居たんだよ。」

ボス「察しが付いているのではないかね?
  こことは異なる世界『異世界』だ」

幼馴染「………そんな。」

 ────馬鹿な。

 と言う言葉を幼馴染は飲み込んだ、実際に目の前に証拠がある上に
こんな巨大な化け物の作り物を作って自分達を騙す意味もメリットも
何もない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:10:47.24 ID:E3WAvCaL.net<> ボス「こいつは『異世界』では人間に対する脅威だった、
   なにせ無尽蔵に魔物を作り出し、こいつ自身の戦闘力も
   計り知れない、一撃で島をも吹き飛ばす魔術さえ軽々と行使する」

ボス「作りの中ではよくある話でね、
   魔王の脅威にさらされた『異世界』の人間達が
   我々に協力を要請して来た」


ボス「彼らの戦争に協力する事を条件に
   我々はこの『魔王』の亡骸を頂くことにした、彼らも
   喜んで『魔王』を引き渡してくれたよ」

幼馴染「………そして、その『魔王』の死体を使って
    あの化け物達を作り出す実験をしていた…って事ね。」

 その『魔王』から作り出した魔物達を使って、
この山奥で何かをしていた。

妹「けど、何のために。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:22:17.65 ID:E3WAvCaL.net<> ボス「そこで最初の話に戻る、この世界は都合の良い事象に
   恵まれすぎている…とな。」

ボス「そう、我々の住むこの世界は、『異世界』の連中に作り出された世界
   万一魔物達に人類が絶滅させられた時の為の、
   『異世界』のバックアップシステムなのだよ。」

友「そんな馬鹿な」

ボス「厳密には『異世界』に住む人々から遥か昔の
   古代人達の仕業らしいがね。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:23:44.37 ID:E3WAvCaL.net<>  ボス曰く…
『異世界』に住む古代人達が万一に『魔王』に負けた時に備えて
驚異から逃れる為の移住の地、いわゆるノアの箱舟を作り出した。

 ───中略──。

 なんだかんだで古代人達の最後の戦いにより『魔王』を倒すまでもなく、
封印する事に成功したので逃げる必要が無くなったし平和になったので、
移住は取りやめました。

 ───さらに中略──。

 古代人達の技術が平和ボケし過ぎて失われた頃に、魔王が復活したので
さぁ大変、別世界から救世主を呼ぼうと言う話になって、ここのボスが呼ばれ
思惑はどうあれ、魔王が倒されて『異世界』の人達に再び平和が戻りました
めでたし、めでたし…という事らしい。

 らしいのだが…。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/08(月) 23:24:39.22 ID:E3WAvCaL.net<> ----------------------------------------------------------------------
なんか、自分でやってて無駄に話が難しくなって来た
上手く回せるかな、と言った所で今日はここまで。
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幼馴染「答えになっていないわね、
    回りくどい事はもうたくさんだわ、私達に何をさせたいのか
    聞いているのよ。」

ボス「我々は異世界からの侵攻に備えている、
   君達に協力をお願いしたい。
   自らの力だけで、強化スーツも無しに魔物と戦い続ける事が出来るほどの
   素晴らしい素質を持った君達にな」

友「この魔物の研究も、そのためだって言うのかよ」

ボス「魔王を失ったとは言え、その眷属である魔物達の脅威はまだ異世界で続いている
   その魔物達を確実にコントロールできるようになりさえすれば、
   『異世界』の平和が保障されると同時に、我々の世界に侵攻する理由もまた無くなる」

妹「その代りに、秘密を知った私達を家まで送り届けてくれると?」

ボス「約束しよう…、それに口止め料と言う訳でもないが
   協力してくれれば心ばかりの謝礼も用意させてもらおう」

 ボスから提示された金額は、学生である身分を差し引いても
有り余るぐらいのとんでもな金額だった。

友「ま…マジかよ…、桁数が億まで言ってやがるぜ」

ボス「どうかな、我々に協力してくれるかな?」

幼馴染「もう一つだけ、私達からもお願いがあるわ。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2014/12/30(火) 07:07:45.26 ID:saf4KwUj.net<> あー・・一時期スレが無くなっていたから
整頓されたかとおもって、書き溜めてたテキスト消してもうたわ。

まぁ、いいか。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/02/11(水) 21:24:42.81 ID:fdHKXIVk.net<> 続き待ってる <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/11(水) 22:56:33.55 ID:SZ82WNSB.net<> どんまい
この板ではよくあること <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/12(木) 14:34:02.18 ID:FrxZFrDq.net<> あなたもネットで告発しませんか?

ビッ苦カメラ札幌店 佐藤伸弦 暴行事件 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/02/17(火) 00:41:00.58 ID:T/gnVSc3.net<> ----------------------------------------------------------------------
>>163 >>164
サンクス

続きが消滅してしまったし、投げるつもりだったけど
別視点で書き直してみるわ。
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 ─────2日前────ミノタウロスから逃げ切った男。

男「腹へった。」

 ミノタウロスのタゲを取って、なんとか幼馴染や妹達から
引き離す事には成功した、幸いな事ながらも自分の命も何とか無事だ。

 しかし、なんせ突発的だった事だから
残念な事ながら、手持ちの装備は非常に少ない。
 いつも身に着けている山歩きツールがあったのは不幸中の幸いだが。

 ふと、自生していた食べられそうな山菜を手に取ってみる。
細い棒のような先に捻じれたような新芽みたいなものが付いている特徴のある山菜。

男「ぜんまい…かぁ、さすがにコイツはナマでは食えないよなぁ」

 ちなみにその近くにワラビもあったりしたのだが、同じ事。
しかし、この空腹はいかんともしがたい。

 あくが強い山菜の代名詞だが…この際、飢え死にするよりはマシかもしれない。👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 00:43:02.16 ID:T/gnVSc3.net<> ───などと、考えていると。

?「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃ!」

 親鳥に助けを求めるかのような雛の鳴き声、良いよなぁ
雛は親鳥が勝手にご飯を持って来てくれて。

 かといって、ミミズやら芋虫やらは食いたくないけども。

男「ん?」

 しかし、鳥ってものは木の上に巣を作っているはずだが、
何故か地面から聞こえた気がする。

男「巣から落ちた…のか?」

 不運な事だが、それは良くあると言えばよくある事
しかし、人が雛を戻してやっても、人の匂いがついてしまい
親鳥は巣を放棄してしまう事もあるとか何とか聞いた事がある気もする。

 形は大きさは鶏のヒヨコのような感じに見える、ただし色は緑の蛍光色だったりしたが。

男「動物性蛋白質だけど、あの色はなんか嫌だな
  食う所なさそうだしなぁ、あん?」

 その僅かな動物性蛋白質を求めて、雛の背後から大き目のヤマカガシ(毒蛇)が
迫ってくる。

雛「ぴぃぃ!?」

 身に降りかかる危険に気が付いたのか、雛は泣き止むがヤマカガシは
既に攻撃体勢に入っていた、

 咄嗟にヤマカガシを捕えるべく、近くに落ちていた棒を拾い上げる男。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 00:45:43.61 ID:T/gnVSc3.net<>  別に雛を助けるつもりがあった訳でもない。
毒蛇ではあるものの、ヤマカガシは鳥の雛よりは食べられそうだと思っただけだった。

 雛を食べている隙にヤマカガシを棒で抑えつけて頭を切り捨てる

────つもりだったが。

雛「ぴぃぃぃぃ!!」

 一瞬の赤い閃光、閃光が収まった瞬間に、ヤマカガシが石の彫像になっていた。

男「こいつ、モンスターの雛なのか!?」

 モンスターで、相手を石にする奴は有名どころでメデューサ、コカトリス
バジリスクと言った所だろうか。
 その中で鳥形のモンスターはコカトリスかバジリスクだった気がする。

 当の本人(鳥)は攻撃を放った反動で死んだのか、ピクリとも動かない。

男「鳥は鳥…だよな、食えるのかな
  でも、さすがに未知の生物は食いたくないよなぁ
  あーあ…折角の動物性蛋白質を石にしちまいやがってからに」

 棒の先でヤマカガシを突いてみるも、どこからどう見ても石の蛇像だ
綺麗な蛇の形の石だから、売れるかもしれない…などとも思ってみる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 00:46:31.67 ID:T/gnVSc3.net<>  まじまじと、石蛇を観察していると…蛇が僅かに動いた気がした。

男「うぉ!?動いた」

 僅かに動きを見せた後は、全身の灰色が元の蛇の色に戻り
蛇は何事も無かったかのように死んでいる雛を捕食しようとする。

男「おっと!」

 男は手にした棒でヤマカガシを取り押さえ、腰から抜き放ったナイフで
一気に止めを刺す。

男「悪いな、食われるのはお前の方なんだ
  美味しく食べてやるから勘弁してくれな」

 蛇が動きを止めた事を確認し、毒のある頭に気を付けながら
上顎と下顎を持ち、一気に蛇の体の皮を内蔵諸共綺麗に剥ぎ取る。

 川の水で洗い流して、木の棒に差して軽く干してみる、
などと、やっていると。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 00:47:22.69 ID:T/gnVSc3.net<> 雛「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃ!」

男「あー…もぉ、生きていたのかよ!
  うるせぇなぁ」

 どうやら、死んでいたのではなく単に気絶していただけらしく
再び雛が大騒ぎし始める。

 とは言え、雛相手に癇癪を起すのも大人げないし、
すぐに戻るとはいえ、石にされたらたまった物ではないので、
先ほど引っぺがしたヤマカガシの内臓を与えてみる。

雛「ぴぃ♪」

 満足気に一声鳴くと、バジリスク(orコカトリス)の雛は
満足げに蛇の内臓にかぶりつく。

男「こうしてみると、魔物なんだなお前
  そいつはいらないからやるけど、ウチには大食らいがすでに
  居るから面倒みてやれないからな、強く生きろよ」

 人の言葉を理解できているのやら、出来ていないのやら。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 00:48:04.44 ID:T/gnVSc3.net<> ----------------------------------------------------------------------
とりあえず、今日はこの辺で。
----------------------------------------------------------------------

 雛が蛇の内臓を食べている所を見ていると腹が減って来たので
まだ、乾いていないが蛇の肉を軽くあぶって、食べる事にする。

 ライターで火を起こして、蛇の肉を炙ると香ばしい臭いが
辺りに漂い始める。

雛「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃ!」

男「お前…さっき内臓食っただろうが
  これは俺のだっての」

 美味しそうな匂いにつられて、雛が再び騒ぎ始めるが
こっちも腹を減っているので心を鬼にして食べる事にする。

 結局、つぶらな瞳で訴えかけられたので、
尻尾の一部と、蛇の頭を軽くあぶって与える事になったが。

 ちなみに、味は結構美味しかった、
塩ぐらいあれば文句無かったが。👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 02:03:49.96 ID:CMULDXbt.net<> おかえり! <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/17(火) 19:29:34.08 ID:EYtQwCYy.net<> 諦めかけてたが再開ありがとー!
頑張って続きを書いてくれ <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/02/18(水) 01:10:56.44 ID:AwnQE+xQ.net<> ----------------------------------------------------------------------
>>172 >>173
コメありがとう、色々あるから相変わらず不定期にはなるけども。
----------------------------------------------------------------------

 エネルギーが頭に回って来た所で、自分がどうするべきか考えを纏めてみる
目的はただ一つ。

 仲間達となんとか合流して、山から生きて脱出する事。

ファンタジーな化け物が出てくるこの山で一体何が起こっているのか、
非常に気になるが、謎の究明は義務でもなんでもない、ただの好奇心なだけ。

 この際当初の目的であったシンディをこの山に帰す云々はもうどうでも良くなって来た
とは言わないが、優先順位の低い話だ。

男「まずは、あいつらと何とかして合流しないと」

 自分の位置は山のどこに居るのかもわからない、言わば遭難したような状態だ、
つまりは、連中に自分を探し出して貰わなければいけない。

男「………火事でも起こしてみるか」

雛「ぴぃ?」👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:12:18.38 ID:AwnQE+xQ.net<>  火事は言い過ぎだとしても、狼煙を上げれば仲間達からも見えるかもしれないし
上手くすれば、助けを呼ぶ事が出来るかもしれない。

 幸いにして、手元にライターはある。

 狼煙を上げるなら、高台に移動しなければいけない。

男「考えるより、まずは実践せよ…だな」

 荷物(然程荷物がある訳でもないが)を纏めて、腰を上げる
とにかくどこかの高台を探すべく歩き始める─────と。

雛「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

男「………………何だよ…」

 置いて行かれたはなるものかと、雛が大騒ぎし始める
どうやら、懐かれてしまったらしい。

男「…あのな?俺は人間な訳よ
  いろんな小説とかゲームとかだと、お前は魔物で人間襲う立場な訳よ?
  言わば敵同士よ?わかるか?」

雛「ぴぃ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:13:49.38 ID:AwnQE+xQ.net<> 男「俺とお前とは同じ蛇を食った者同士って縁があるから、お前は殺さん訳だけど
  お前だって、大きくなったら他の魔物みたいに人間襲うわけだろ?」

 つぶらな瞳で見られるが、生き物は無責任に飼ってはいけないものである、
だからこそ、最初にシンディを山へ帰すためにここに来た訳で。


男「よし、分かったな、じゃあな」

雛「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 魔物の雛の攻撃、特技:つぶらな瞳。

 ……………う"。

 こうかはばつぐんだ!

男「あーもー!そんな目で人を見るなよ
  分かった!分かったよ!俺の負けだよ」

 実際、自分の仲間と別れて一人な訳で
話し相手は欲しかったのかもしれない(相手は話せないが)

 雛をとりあえず肩の上に乗せて、魔物に警戒しながら高台を目指して歩き出す。

男「俺がこの山に居る時だけだからな、
  ここから帰る時には、いくらなんでも置いていくからな!」

雛「ぴぃ!」

 バジリスクだかコカトリスだかの雛は一先ずは言葉に反応して元気に鳴く、
本当…わかっているんだか。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:15:04.01 ID:AwnQE+xQ.net<>  ともあれ、この妙な同行人をいつまでも『雛』だの『お前』だの呼ぶのも何なので
とりあえず暫定で『バジ子』と呼ぶ事にした。

 バジリスクだから…バジ子。
もしかしたら、実はコカトリスかもしれないけど、その時はその時。

男「よし、お前の名前は今日からバジ子だ」

バジ子「ぴぃー…。」

 バジ子は微妙に嫌そうな表情(ヒヨコなんだけど)で返事を返す。
どうやら、とても気に入ってくれたらしい。

男「しかし、シンディもバジ子も
  魔物ってのは人の言葉を理解できる程頭良いもんなのかね」

 それにもう一つ、タマゴから孵ったシンディは当然としてだが、
このバジ子にもゴブリンと同じような、謎のシリアルナンバーは刻まれていない。

 追い回してきたミノタウロスには二の腕にシリアルナンバーらしきものが
記されていたように見受けられたが。

男「…管理されている魔物と、監理しきれていない魔物が存在するって事か?」

 大体、こんな魔物を作り出す連中が居ると仮定して(自然発生ではあるまい)
作り出した魔物は檻に入れるか、何かするかして管理するだろう。

 そうなっていない理由は二つ、何か事故でもあって管理していた魔物が逃亡したか
あるいはあえて放し飼いにしているか。

男「…おっと!」

バジ子「ぴぃ?」

 男が足を止めると、バジ子が首をかしげて男を見上げて来る
静かにするようにと目線でバジ子を注意する。

 足を止めて木を背にして、進もうとしていた方向を覗き見る、
気配を消して待つ事数秒、巨体が歩く足音が遠くから響いてくる。

 全身青い肌の筋肉質の巨人、頭の上に大きな単眼の瞳が光を放ち、頭には一本角
手には地獄の鬼が持つかのような巨大な錆びた金棒が握られている。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:15:56.82 ID:AwnQE+xQ.net<>  身長は6メートルだか、7メートルぐらいはあるかもしれない、
息を立てず、声を上げないままじっと隠れていると、
幸いにして巨人は男には気が付かずにそのまま足音を立てつつ去ってくれる。

男「おっかねぇ、おっかねぇ
  サイクロップスだか、オーガだかって所か
  あんなのに見つかったら命がいくつあっても足りないな」

 ゲームで言えばラストダンジョンやら、その手前やらで出てくるような
敵だろう、こっちは普通の学生だと言うのにあんなの相手にできるはずもない。

 なんて言ったら、幼馴染辺りが『普通の学生が蛇を裂いて炙って食べる訳無いでしょ』
とか返してくるだろうが。

 漫画とかで良くあるパターンだと、小枝を踏んづけてサイクロップスに気が付かれて
逃げ回るパターンになるだろうが、山歩きには慣れているのでそんなヘマはしない。

 しかし、男以外の三人は山歩きスキルを身に着けている訳でもない

 一応は武器に精通している友が居るから大丈夫だとは思うが、先ほどみたいな巨大な化け物に
遭遇したら、怪しいものだ。

男「あいつら、無事だと良いんだけどな」

 弱気を口に出しかけた所で頭を振って追い出す、
ふと…自分に影が差している事に気が付く、これは木の陰ではなく、後ろに大きなものが
立っているかのような影。

 ゆっくりと、振り向いてみると。

ミノ「ブフー…」

男「よ…よぉ…また会ったな」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:16:55.81 ID:AwnQE+xQ.net<>  忘れもしない牛人間、しかもご丁寧にさっき逃げ切った奴と同じ奴だ
向かう先のサイクロップスに気を取られて、背後のミノタウロスに気が付いていなかったらしい。

 しかも、先ほどおちょくったのが効いていると見えて
随分と怒っていらっしゃるご様子。

ミノ「…ヴォァァアアアアアアァァァァ!!!」

 ミノタウロスの咆哮と同時に手にしたハルバードを一閃する、
間一髪で男は飛び退くと、先ほどまで男が隠れていた大木を一撃で薙ぎ払う。

男「バジ子…頼みがあるんだが
  さっき蛇にやったあのビーム、アイツに撃ってくれないか?」

バジ子「ぴぃいいぃい!ぴぃいいぃい!」

 無理と言わんばかりに首を横に振るバジ子、やはり言葉は通じているらしい。

男「無理でも何でも、やってくれって!
  俺が喰われたら漏れなくお前も食われるんだぞ!」

バジ子「ぴ…ぴぃい。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:17:52.62 ID:AwnQE+xQ.net<>  仕方なしに覚悟を決めてくれるバジ子、どうやら運命共同体だと
認識してくれたらしい、意外に話の分かる奴だ。

男「隙を見つけたら合図する、いいな!」

 ハルバードをぶん回しながら突進してくるミノタウロスから
必死に逃げながら隙を伺う。

 枯れ葉が積もった森の中、必死に逃げ惑うと
ミノタウロスが足を取られたのか僅かにバランスを崩す。

男「今だ!!バジ子ビーム!!」

バジ子「ぴぃいいいいいぃいっ!」

 合図(?)すると、ポケットから顔を出したバジ子が赤い閃光を放つ
赤い粒子がミノタウロスを包み、一瞬動きが止まった

 ─────ような気がしたが
石になる事は無くただそれだけだった。

 同時にポケットの中のバジ子が力尽きて気絶する。

ミノ「…ヴォァァアアアアアアァァァァ!!!」

男「ああっ!やっぱり無理か!
  おい、こらバジ子!もう一発だ!寝てるんじゃねーよ!」

 期待しなかった訳ではないが所詮は雛である、
一瞬でも動きを止めてくれただけ頑張ってくれた方かもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/18(水) 01:19:11.22 ID:AwnQE+xQ.net<> ----------------------------------------------------------------------
とりあえず、これで8投のはずなので
今日はこの辺で。
----------------------------------------------------------------------

 ミノタウロスとは若干距離が開いたものの、逃げ切ったなどとは
到底言えない距離だ、牛人間のミノタウロスの足で難なく詰められてしまう。

男「えぇい!仕方が無い
  リスキーだが、プランBだ!」

 走りながら足元に落ちていた拳大の石を拾う、ただ出鱈目にミノタウロスから
逃げていた訳では無い、一応考えがあっての事だ。

 走る進行方向の先に目標物を発見し、遠慮なく拾った石を投げつける。
幸いにも石は目標物の後頭部に直撃する。

 人間、必死になればなんとかなるものだ。

サイクロップス「ヌガ!?」

 後頭部に石の直撃を受けて振り向いたサイクロップスに
ミノタウロスを指さしつつ一言。

 ─────必殺!!

男「アイツがやりました」👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:25:41.31 ID:nbvNxJRv.net<>  サイクロップスの瞳に殺意の光が灯る

サイクロップス「グォァアアアアアアァァァァ!!」

 金棒を振り回して激しく雄叫びを上げ、自らより一回りか
二回り大きいサイクロップスの怒りの咆哮に、ミノタウロスはたじろぐ。

 巨大な体躯のサイクロップスだから、石一つ投げられたぐらいでは怒らないかもしれないと
思ったが、そんな事は無かったらしい。

 まぁ、後頭部に直撃して鈍い音がしたから

ミノタウロス「ブモォオオオオォッ!!!」

 一瞬たじろいだのもミノタウロスも負けじと威嚇し返す、サイクロップス VS ミノタウロスの
怪獣対決の流れになるかと思いきや。

 サイクロップスがじっと男を見る。

サイクロップス「グオ?」

 どうやら『お前がやったのか?』と言っているらしい、
言葉は全く分からないけど、なんとなくそんな空気を感じた。

男「いや、違うって…そっちの牛人間の仕業だって」

 男の言葉が通じているのか、ミノタウロスが首を振りながらサイクロップスに応える。

ミノタウロス「ブモモモモモモ!」

 ミノタウロスの言葉(?)にサイクロップスがほんの一瞬だけ悩む素振りを見せる
しかし、答えは直ぐに出たようだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:26:22.90 ID:nbvNxJRv.net<> サイクロップス「グォァアアアアアアァァァァ!!」

 考える事を早々に放棄したサイクロップスが金棒を振り回して手当たり次第に暴れ出す、
どうやら、考えるのが面倒になったのかどっちもぶっ飛ばす気になったらしい、
ジャイアンか!このモンスターは。

人の言葉を理解するように思えて、その実見た目通りの脳筋らしく賢さが低いようだ。

 プランB、失敗。

 棍棒振り回して暴れまわるサイクロップスを尻目に男とついでにミノタウロスも
一目散に逃げ出す。

 森の茂みを掻き分け、木を盾にしながら男は逃げ回り、
やがて森が開けた広場に出てしまう。

 広場は崖の下となっており、目の前にはほぼ垂直に切り取った崖が立ちふさがっている
今度は崖の上ではなく崖の下、前回のようにフック付ロープを投げて飛び降りる訳にもいかない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:26:55.97 ID:nbvNxJRv.net<>  時間を掛けてクライミングすれば登れるかもしれないが、のんびり登っている所を
ミノタウロスのハルルバードで串刺しにされるか、サイクロップスの棍棒で叩き落されるかの
どちらかの未来しか見えない。

男「ジーザス!!
  また、このパターンかよ!?」

 神に祈ってみるも、特に状況が改善される訳でも無かった。

サイクロップス「グオ!」

ミノタウロス「ブモ!」

 今度は二体の大型の魔物に完全に逃げ道が塞がれてしまっている、
胸ポケットの中のバジ子に隙を作ってもらって逃げようにも、バジ子は未だに気絶中。

どうやら、今度こそ覚悟を決めなくてはいけないらしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:27:31.58 ID:nbvNxJRv.net<>  久々に腰からスタンソードを引き抜きスイッチを投入する、低い振動音と共に
スタンソードが起動し、インジケータに記されたバッテリー残量は50%を示す。

 ゴブリンを相手にする時とは違って相手は大型の魔物だ、
熊でも気絶するとか友は言っていたが、象を一撃で昏倒させるぐらいでないと
勝てる気がしない。

 人間、素手で勝てる相手は中型の犬が精々だとどこかで聞いた事がある気がする、
いくら武器があると言っても、隙を付いて逃げ出す事すら難しいだろう。

 いつだか見た、スティーブン氏の胴体が二分された亡骸が脳裏にフラッシュバックする。

男「苦しんで死ぬよりゃ、即死っぽかったから
  そこだけは救いかね」

 勝てない相手であっても弱気になってはいけない、飲まれてしまえば例え格下の相手であっても
勝つ事は出来なくなる、相手が格上ならなおさらだ。

 ハッタリを利かせて、ヤケにならず常に状況を冷静に判断し、どんな相手であっても
勝てると自分に言い聞かせる─────山歩きの原点たる、祖父の教えだった。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:28:59.16 ID:nbvNxJRv.net<> 男「でもさぁ、爺ちゃん…物事にゃ限度ってモノがあると思うなぁ」

 目の前のミノタウロスとサイクロップスを他人事のように眺めつつ、ため息を付く
いくらなんでも祖父はこんな化け物は相手にした事は無いと思う。

 もっとも、戦争に行っただの熊を倒した事があるだのは言っていたが。
───覚悟、完了。

男「さぁ…かかって来いやぁ!!」

ミノタウロス「ブモォォオオオォォ!」

 ハウルバードをに構え、ミノタウロスが先に突進してくる
スタンソードで狙うは頭、頭に直接高圧電流を流せば上手くすれば
気絶してくれるかもしれない。

 相手は所詮は獣、型もフォームもあったもんではない…。
だからこそ、先ほどからミノタウロスやらサイクロップスの攻撃を躱して
なんとか逃げ切れている。

男「ゴルアァァァアアアアァァァァ!!!」

 男は己を鼓舞しつつ雄叫びを上げ、冷静にミノタウロスの攻撃の軌道を読もうとするが
視界の端でサイクロップスの振り上げられた金棒が見えた気がした。

男(あー………こりゃ…死んだな。)

 さすがに二体同時は捌ききれないと、男の瞳に諦め色が浮かび上がる
人間、事故に遭う時にスローモーションに見える事があると、どこかで聞いた事がある。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:29:32.11 ID:nbvNxJRv.net<> しかし、次に男を襲った衝撃は正面のハウルバードの一撃でもなく、
また、サイクロップスの金棒でも無く、背後からのものだった。

 風を切り裂くような音が聞こえたかと思ったら、激しい衝撃に突き飛ばされるような感覚

男「うぉあぁぁああああぁぁ!?」

 男は自分に何が起こったのか理解できなかった、何かに突き飛ばされたと思ったら
全身を襲う浮遊感。

 突然に景色がスライドし、男は数十メートル上空にはじき飛ばされた。
次の瞬間に我に返ると眼下にはに広い森が広がり、目の前に山々が見える。

?「クェェェェエエエエエェェ!!」

 肩を何者かの爪に捕まれて、自分は空を飛んでいるのだと自覚する。
見覚えのある体の色、そして翼を羽ばたかせる音と鳴き声。

 顔を上げて自分を捕えた者を確認すると、やはり見知ったドラゴンの姿が。

男「シンディ!」

シンディ「クェェェェ!」

 見知ったドラゴンの名を呼ぶと、満足気に一声鳴く、
どうやら、ずっと男を探してくれていたらしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:30:04.84 ID:nbvNxJRv.net<> 男「助かった!
  美味しいタイミングで助けてくれやがって」

 先ほどまで居た所を見下ろすと、男を連れ去らわれたミノタウロスとサイクロップスは
今度は互いに争っているらしい、全く…やり合うつもりだったのなら
最初から互いにやり合って欲しいものだ。

 だが、もう男にとっては関係ない事
それよりもどこか安全な所に下ろしてもらう事が先決だ。

 このまま麓の自宅まで帰って助けを呼ぶべきか、一瞬迷うが
皆を置いて自分だけ先に帰る訳にもいかない。

シンディ「クェェ……」

 突如、男を掴んだまま飛んでいたシンディがバランスを崩しかける

男「おわっ!?」

 墜落する程でも無かったが、ふらふらと左右によろめくように飛行し高度が徐々に落ちて来ている
相当疲れているのかもしれない、随分無理をして男を探してくれていたのだろうか?

 そうなると、麓まで飛んでもらう案は難しいだろう。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/21(土) 18:31:02.85 ID:nbvNxJRv.net<> 男「シンディあそこだ!
  昨日の洞窟!」

 視界の端に昨日キャンプした洞窟を見つけ、シンディに降りるように促す。

 徐々に高度を落としながらも、なんとか洞窟の上空にたどり着き

男「うがぁぁああああぁっ!」

半ば墜落するかのように全身を地面にこすり付けながら、
二人と一匹は洞窟の入り口に着地する。

男「痛ひ。」

 が、幸いにも体は擦り傷で済んだようだ。

シンディ「クェェエエ……」

 こちらも、体に目立った傷は無い…、
飛竜が最大の武器である翼を骨折したりでもしたら目も当てられない。

 力なく洞窟へと歩みを進めて洞窟の中央で座り込む。

男「アイツら、色々もたせてくれていたのか。」

 シンディの足に括りつけられたバックパック(こんなのが括りつけられていたから
疲れが出たのかもしれない)を取り外すと、丸くなって寝息を立て始める。

男「ありがとうよ、助かった」

 ボロボロになっているが、まだ何とか使えそうなバックパックの中を
確認し、洞窟の中に残してあるテントや諸々の資材の中から使えそうなものを
並べていく。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/02/28(土) 09:42:39.00 ID:TWn9r5QK.net<>  幸いと言うべきかなんというべきか、今朝は脱出最優先で最低限の物だけ持ち出して
出たから食料をはじめとして色々と残されても居る。

 特に洞窟の中には湧水もあるし、少し歩くが魚を捕まえる事も出来る。

 が、それを逆に言えば

 妹や幼馴染達に与えられた持ち物が少ないと言う事にもなる、こうしてシンディに
持ち物を持たせてくれたからには、若干の余裕があるとは思うが。

 車を失ってしまったために、持ち歩けるものも限られてしまう。

男「何とか、合流してこの洞窟に来れれば良いが」

 そんな不安を何度感じた事か。

 しかし…今から外に出て探しに行くのは自殺行為だ、洞窟から見る外の景色は
既に日が落ち始め、薄暗くなって来ている。

 昼でも凶暴な魔物に遭遇する訳だから、夜になったらどうなるか分かった物ではない、
夜行性のさらに凶暴な魔物に襲われるかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:43:21.95 ID:TWn9r5QK.net<> 男「ん?」

 バックパックの外ポケットに入れられた紙の地図を取り出し、そこに付け加えられた文字を
見つける。

 見覚えのある汚い癖字、どう考えても妹が書いた文字だった
それによると、スティーブン氏の端末に記載された座標と画像によると
その座標には何らかの施設・建築物が存在するらしい。

 車を失い麓まで自力で降りる事はほぼ不可能であるため、その施設に
退避するらしい。

 無事にたどり着けたか分からないが、こうなったら皆を信じて自分のなるべく早く
合流するのが最善だろう。

男「何をするにせよ…もう動けない
  体力を……回復させないと…。」

 一日中魔物から逃げ回ったり戦ったりしたのだ、緊張感もあって体も精神も
疲労が溜まっている…。

 男はバジ子をシンディの上に置くと、洞窟の中に放置されていたテントの入り口を開けて潜り込む。
火を焚いて置くべきかとも考えたが、そんな体力の余裕もなく…潜り込むや否や猛烈な睡魔が
襲いかかってくる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:44:08.51 ID:TWn9r5QK.net<>  翌朝、男はテントの外から聞こえる雨音で目を覚ました。
時間にして8時、昨日最後に時計を見たのは20時だったはずだから、12時間丸々寝ていたことになる。

 我ながら随分と疲れが溜まっていたらしい。

 テントから顔を出すと案の定、洞窟の外は激しい豪雨が降り注いでいた
この洞窟の作り上、洞窟の中に雨水が流れ込んで来る事は無いようだが、この雨では外に出る事は出来ない。

 何より男の手元にある主武器は友の作ったスタンソードなのだ、
雨の中で振り回したら自分自身が即感電する事間違いなしだ。

バジ子「ぴぃ?」

男「よぅ、バジ子。」

 バジリスクの雛ことバジ子に朝の挨拶をし、体の状態を軽く確認する
怪我は若干あるが、許容範囲内…しかし。

 昨日一日魔物から逃げ回っていた事もあってか、酷い筋肉痛だ。

男「どのみち、この雨じゃ外で何も出来ないだろうけどな」

 ふと、視界の端で昨日から丸く蹲ったままの飛竜ことシンディが目に入る。
夜行性だろうから寝ているのだろうか?

 僅かに顔を上げて男を見て再び丸くなる、どうやら動くのも億劫なようだ、
それに、元々青色の体をしていたのだが。昨日に比べて体が
白っぽくなっているような感じがする。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:44:52.92 ID:TWn9r5QK.net<> 男「………シンディ?」

 どうにも、昨日から様子がおかしい。
まさか、病気だろうか?
しかし病気だからと言ってどうする事も出来ない。

 まず、男は獣医でも無ければ応急手当程度の知識しかない、
次にここは山奥なので医者は居ない、最後にこの世界中のどの獣医だとしても
竜の面倒を見た事ある医者は居ないだろうと思う。

 病気だとして、どんな生き物だとしても共通の対処方法は
おそらく栄養を付ける事だと思う、体力が無ければ免疫力が低下するし
病気は悪化するだけだろう。

男「………食えるか?」

 外は豪雨で出る事すらできず、食料を探しにも行けないので、
男は手元の食料から缶詰を開けて、シンディの口元も運んでみる。

 魚の缶詰なのだが、食欲が無いのか、軽く匂いを嗅いだだけで
再び丸くなって動かなくなる。

男「参ったな」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:45:27.20 ID:TWn9r5QK.net<>  しかし、これ以上はどうしようもないので、一先ず缶詰は自分の朝飯にして
様子を見る事にする。

 持ち物を整理整頓して、そして早々にやる事が無くなったので
仕方なしに友が置いて行った荷物の中から、ポータブルDVDプレイヤーを
再生する。

 雨だとやれることが少ない、どの道…筋肉痛が酷くて動けないが。

男「戦争モノかよ…」

 よくあるマッチョなアメリカンな上半身裸の白人が、マシンガンを乱射しながら
一人で基地を潜入・襲撃して、仲間を助ける。
良くあると言えばよくある展開。

男「フィクションの中は気楽なものだな」

 特に映画を見る訳でもなく、ただ音が無いのが寂しいだけでプレイヤーを動かしつつ
荷物に挟まれていた地図を広げる。

 今居る洞窟から妹が付けた印まで線を引き、地形からルートを引くと大体8キロ程度の
距離となる。

 シンディが空を飛べれば一瞬でたどり着ける距離ではあるが、あの様だ
上手く雨をやり過ごしてくれてれば良いのだが。

 ────あるいは、魔物に喰われてしまっているのかもしれない。

 ふと頭をよぎったその考えを男は即座に否定した。

男「…せめて、雨止めよ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:45:50.83 ID:TWn9r5QK.net<>  そして、さらに翌日…仲間達と別れてから二回目の朝、
男はテントから外に出ると、昨日のスコールから一転、晴れ渡った空が広がっていた。

 しかし、シンディの状態は思わしくなく
うっすら白みがかっていた体は完全に白く染まっていた。

男「死んでいない…よな?」

 体の表面を触るとまるで卵の殻のように硬くなっており、その体の表面は
熱帯びていた。
 つまりは、死んではいないだろう…と思う…が。

男「竜って、温血生物なのか?」

バジ子「?」

 ふとした疑問を口にするが、バジ子以外は誰も答えるものは居なかった
掛けっぱなしにしてあった、DVDプレイヤーはバッテリーが尽きて既に止まっている。

 昨日一日体を休めたおかげで、随分と体力と気力が回復している、
筋肉痛は依然として酷いままだったが、気にしている場合ではない。

 男は友が洞窟に残した怪しいライフルを手に取り、弾倉に赤くマークされた
弾丸を装填する。

 弾丸に書かれた文字は『信号弾』、万が一に備えて友はこの洞窟に
ライフルと信号弾だけ残しておいたらしい。

バジ子「ぴぃ?」

男「顔…ひっこめておけよ、バジ子」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 09:46:19.19 ID:TWn9r5QK.net<>  雛に一言告げると洞窟から外に出て、地図で記された方向の空に向けて
狙いを付ける。

 狙うのが空なので、銃の腕も必要とはしないだろう。

男「応えてくれよ」

 祈りを託して、男がライフルのトリガーを引くと
予想にしなかった轟音と衝撃が男の肩を襲いかかる。

バジ子「ぴぎゃ!?」

男「…くっ…。」

 ライフルの射撃音が山にこだまを残しつつ、ライフルから撃った弾丸が
一条の赤い煙の尾を引きつつ、笛の音のような音を立てながら空を切り裂いていく。

 風は然程強くは無いが、暫く待つと赤い煙の線が上空の風にかき消されて
消えてゆく。

 時計で5分程経過するのを待ってから、次弾を装填し
同じ方向に狙いを付ける。

 そんな作業を3回程繰り返し、初弾を発射してから30分程待ってみるも
特に反応は無かった。

男「…………ダメか。」

 弾丸は後6発残っていたが、ここで全てを使い切るのは得策ではないと思い、
ポケットの中に放り込む。

 弾丸の扱いとしては正しく無いような気もするが、気にしてはいられない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 10:51:22.38 ID:TWn9r5QK.net<>  さて…

男「………腹減った。」

 一応缶詰がいくつか手元にあるが、保存食は温存すべきだと思う、
先にも言ったとおりこの盗掘は湧水が湧いているので水の心配は無い。

 生水だから大量に飲んだらイカンけど。

男「まるで、ロビンソンクルーソーだな」

 15少年漂流記でも良いが、今は自分一人だから
ロビンソンクルーソーな気がする。

 どうでも良い事を考えながら、山歩きの小道具の中から
ナイフと釣り道具セットを取り出す。

男「ちょっと、待っていてな」

 洞窟の中で丸くなっているシンディに声を掛けつつ、バジ子を
胸ポケットに放り込んで警戒しながら洞窟から外に出る。

 無論、スタンソードも忘れずに持っていく。

 シンディを残す事が不安は不安だけと、ここ二日程魔物の襲撃が
無かったので、大丈夫だろう────と、思いたい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 20:43:21.66 ID:TWn9r5QK.net<>  ともあれ、外は危険だがいつまでも引きこもっている訳でも行かないし、
何より昨日休んでいて思ったのだが、何かしていないと余計な事ばかり思いついて
気が滅入ってくる。

男「それに、引きこもって助けを期待しても期待できねーしな」

バジ子「ぴぃ?」

 …開き直り…ともいう、少しは成長したって事だろうか。

 食料を確保すべく近くの泉まで森を歩いていると、直立歩行した犬人間のような
魔物を見つける、確か…。

男「コボルト…って奴か?」

 相手は視認できる範囲内で3体、体長は1.5メートル程度でどこから手に入れたのか
あるいは自分で作ったのか、土木工事で使うマトックのようなものを担いでいる。

 昔読んだラノベとかだと、あの連中がモンスターの住んで居るダンジョンを手入れしたり
作ったりしていたとかあったが、そんな事は無いだろう。

 ゴブリンと同じく、勇者にスライスされるのがお役目ともいえる、序盤中の序盤の敵
先日のサイクロップスやらミノタウロスやらに比べれば、可愛い相手にすら見えてくるが
それでも、一般人の男にとっては脅威であるのは間違いない。

 3体ぐらいもしかしたら、勝てなくは無いかもしれないが、
見つかって、仲間でも呼ばれたら厄介だ…。

 余計なトラブルを起こす事もないだろうと、男はコボルト達に気づかれないように
迂回して泉へと向かう。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 20:43:34.60 ID:TWn9r5QK.net<>  ややあって、清流の流れる音が聞こえ泉に到着する、
周りが崖になっており、滝が落ちた下が泉となっている。

 岩場に隠れつつ水を覗いてみると、どうやら魚は居るらしい…が。

男「渓流釣りって、超上級者じゃなかったかな」

 正直言って自信が無いが、とりあえず自分用の魚だけ確保すれば良いから
数は気にしなくてよい。

 適当な竹で作った竿に岩をひっくり返して捕まえた虫を付けた釣り針と糸を
装着して、水面に垂らす。

 ───────待つ事、1時間。

男「よし、止めよう」

 自分に釣りのセンスが無い事は良くわかった…、
素人が渓流釣りなんぞやって釣れる訳が無い事は良ーくわかった。

 分かったのだが、食料はどうにかして確保しなければいけない
水面下に見える魚に馬鹿にされているような気がしてならない。

 木の棒で突くか、はたまた潜って捕まえるか。

 どちらも現実的な策ではない気がする。

男「……仕方が無い…諦めるか…。」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 20:43:45.77 ID:TWn9r5QK.net<> 男「あ。」

 ふと、自分の腰に備え付けられていたスタンソードが目に留まる
そういえば、以前ネットで車のバッテリーを水中に放り投げて魚を取る方法が
あるとか聞いた事がある。

 さすがに車のバッテリーは無し、硫酸が封入された鉛バッテリーを
こんな綺麗な清流に放り込むのは迷惑極まりない話だが、幸いにして
スタンブレードがここにある。

 水に放り込んだら一発でぶっ壊れそうだし、大事な武器でもあるから
失う訳にはいかないが…。

 男はスタンブレードを抜き放ち、剣先を僅かに水面に付ける。
スイッチを入れると、青白い閃光が程走り…予想以上の閃光に男は慌てて
スタンブレードのスイッチを切る。

男「…………おほー!大漁、大漁!」

 ややあって、ショックで気絶した魚達が水面に浮かびあがり
男は釣竿を使って魚達を手繰り寄せていく。

男「全部で…あー、16匹か!
  すげぇ、期待以上の成果じゃねぇか」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 20:43:56.95 ID:TWn9r5QK.net<>  上機嫌で魚を陸に上げて袋に詰め込んでいく男、
ふと心配になってスタンブレードを見てみるも、とりあえずは
壊れている様子は無いようだ。

 ただ、今ので随分電力を消費してしまったが。
一応…友が荷物に入れてくれたのか予備バッテリーが二つ程あるので、
一先ずは気にしないでおく。

 ちなみに、電気漁は違法らしいが、大事の前の小事である。
友に至っては既に、銃刀法すら違反していると思うし。

 ちなみに、16匹中の4匹が手足の生えた謎の生物だったりする。
大きさは大体10センチから15センチ程度、
口の中にピラニアのような牙がびっしりと生えそろっており、明らかに
魔物だ。

男「これ…食えるのかな
  サハギン…の子供??」

 不安にはなるが、とりあえず魚類は魚類?だし、死んではいるので
持ち帰る事にした。
 まぁ、シンディかバジ子辺りが食べるだろう…と思う。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 20:44:10.81 ID:TWn9r5QK.net<> ?『食べないでぇぇ、食べないでくださぁぁぁい
  私…美味しくないですよぅううう』

?「クケケケケケェェェェェ!!」

 荷物を手早くまとめて洞窟に帰ろうとする男に、突然素っ頓狂な女の
悲鳴が聞こえる。

 草木を掻き分けて走る音…、その後ろからも聞こえる声は明らかに人間ではなく
魔物の声だった。

 逃げる方の女の声は英語なので、半分は意味が分からなかったが
前半は食べないでくれと言っているようだった。

男「こっちだ!来い!!」

 助けるか否か、一瞬迷ったが見過ごす訳にも行かないので
男は声を上げる。

 ややあって男の声に気が付いたらしい声の主は、草木を掻き分けながら
男の方に向かってくる。

?『助けてぇぇ…、助けてくださぁあぃ!』

 ややあって草叢から出てきた女は、いつぞやのスティーブン氏と同じような
軍の服を来た白人の女の子だった。

 歳の頃は男と同じぐらいの高校生ぐらいの年齢、
ジャケットに記された文字は、これまたいつぞやの
スティーブン氏とおなじく「UNITED STATES ARMY」の文字が。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 23:56:56.21 ID:TWn9r5QK.net<> 男「……って、アンタ軍人かい!」

 思わず突っ込みを入れる、軍人が素人に助けを求めないで欲しい、
首を突っ込んだのは自分でもあるが。

 ともあれ、のんびりしている余裕はないようで
軍人女の後を追って、一体のゴブリンが茂みから飛び出してくる。

 手には大鉈を持った赤い一際大きな体躯をした片目のゴブリン、
何度か遭遇した因縁のある、あのボスゴブリンのようだ。

男「よう、また会ったな」

ボスゴブリン「クケケケケケェェェェェ!!」

 男の姿を視認するなり、ボスゴブリンは驚いた表情を一瞬浮かべるも
直後に憎悪でその表情が歪められる。

 幸いにしてこのボスゴブリン以外のゴブリンは見当たらないようだ。

男「あれ?おめぇ…仲間いねぇみてぇだな
  もしかして、見捨てられたんか?」

ボスゴブリン「ガギャギャギャギャアアアア!!!」

 言葉が通じるのか通じないのか、しかし男に馬鹿にされている
空気は伝わったのか、ゴブリンは悔しそうに地団太を踏む。

軍人女『なんだか知らないけど
    更に激おこプンプン丸ですぅぅぅ!』

 そんなボスゴブリンの迫力に圧されたのか、軍人女は男の
背中に隠れる、英語だったから意味はさっぱり分からないが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/02/28(土) 23:58:56.01 ID:TWn9r5QK.net<> ----------------------------------------------------------------------
とりあえず、この辺で
ストックはあるにはあるけども、読み返すので。
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男「…アンタも平然と民間人を盾にするんな。」

 ため息をつきつつ、男は手にしていた釣竿を横に振るう
重りの付いた糸は風切音を立てて宙を舞い、ゴブリンの頭に当たるかとおもったが

 さすがにゴブリンはそんなものに当たる程間抜けではないようで身をかわす。

ボスゴブリン「ギャ!?」

 しかし重りは躱せたようだが、その直後の毛バリが引っかかったようで
釣竿に重い手応えが返って来る。

男「…っしゃー!!釣ったどー!!」

ボスゴブリン「ギャギギギギギギギギギ!?」

 返しのついた釣り針はボスゴブリンの頬に深く食い込み
男が泉の方に引っ張っていくと、ボスゴブリンは大きな水音を立てて
岩場から水面に転落する。

 すげぇ、痛そうだが…この程度でどうにかなる相手だとも思っていない、
直ぐに水面から上がって来るだろう。

男「…ほら、今の内にとっとと逃げるぞ
  分かるか?エスケープだ」

軍人女『は…はいい!』

 軍人女の手を引いて荷物を捨てて逃げようとするが…、
ボスゴブリンはいつまでたっても陸に上がってこない。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/01(日) 06:33:01.72 ID:aQ+kUgnQ.net<> 男「もしかして…泳げないのか?」

 疑問を口に出すが泳げない訳ではないらしい、ゴブリンは手足をばたつかせながら
悲鳴を上げつつ水面から上がってくる。

 男は釣竿を引いてもう一度水に落としてやろうと思ったが…。

ボスゴブリン「ギャギャァァアアアアァァ!!!」

 ボスゴブリンは悲鳴を上げつつ、手にしていた鉈を取り落として
釣り針を引っ付けたまま、森の中へと消えていく。

 ちなみに…ゴブリンの尻と後ろ足に、例のサハギンの子供が噛みついていたのを
男は見逃さなかった。

男「あー…潜って捕ろうとしなくてよかったぁ」

 ボスゴブリンの取り落としていった大鉈を拾い上げつつ、しみじみと思う。
潜って魚を捕まえようとしていたら、あのボスゴブリンと同じく魚(サハギン?)に
尻を齧られていただろう。

軍人女『あ…あのぅ…、助かりました有難うございます
    私、あのまま食べられちゃうかとおもいましたぁぁぁぁ』 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/01(日) 06:33:25.69 ID:aQ+kUgnQ.net<> 男「…………………。」

軍人女『で、ですね…
    ぶしつけな質問なんですけど、貴方どなたでしょうか?
    ここで何されている方なんですか?』

男「……………………………………。」

軍人女『……………………………………。』

男「……………………………………。」

軍人女『………………………えっと………。』

男「……………………………………。」

軍人女『……もしかして、英語わかりません?』

 上目使いに見て来る軍人女がちょっと可愛い、
可愛いのだが…それよりも先に言ってやりたい事がある。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/01(日) 06:34:04.57 ID:aQ+kUgnQ.net<> 男「やっかましい、何を言っているかさっぱりわからんっちゅーんじゃ!」

軍人女『……ひぃ!!』

 突然爆発した男の言葉に軍人女がたじろぐ、
イチ高校生の言葉に軍人が圧されないで欲しい気もしないでもないが。
 男はさらに言葉を続ける。

男「いいか!外人!よく聞け!外人
  ここは日本だ!日本!
  ジャポンで!ジャパンだ!」

軍人女『…は、はい。』

男「いっつもいっつも『英語ぐらい普通、どこの世界でも通用しますよねー』と言わんばかりに
  平然と英語で話してきやがって!」

軍人女『ひぃ…すみません、すみません
   英語使ってすみません。』

 軍人女がさらになにか言っているようだが、
男には一切言葉は通用しなかった。

 さすがに、ソーリーとか言っているのは一応分かるには分かるのだが。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/01(日) 06:34:52.74 ID:aQ+kUgnQ.net<> ----------------------------------------------------------------------
とりあえず、ストックが無くなったので、この辺で
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男「その癖こっちが外国に行って母国語を使ったら
  『英語も使えないなら国から出るな』っぽいような事言いやがる!
  そっちこそ、少しは日本語覚える努力してから日本に来いっちゅーんじゃ!」

軍人女「喋れますぅ!日本語喋れますから、落ち着いてください」

男「普通に日本語喋れてんじゃねーか!!!おー??」

軍人女「ひぃぃぃぃぃ…すみません、すみません
   日本語喋れてすみません。」

 どうやら素晴らしい国際的コミュニケーション能力で、
国境を越えた信頼関係を築き上げる事が出来たようだ、

 彼女が怯えた小動物のような瞳で男を見ているが、きっと気のせいだろう。

軍人女「で、あのあの…
   助けてもらってありがとうございます」

 どうでも良いけど、軍服と台詞のギャップが凄い。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/01(日) 21:24:03.13 ID:frij0I8L.net<> 乙 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/03/08(日) 13:08:43.39 ID:52fFIyoG.net<> ----------------------------------------------------------------------
>>210
ども、ペースダウンですんません。
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 いかにも軍人っぽい森林を意識した色の迷彩服を着用しており、
胸と背中が分厚く見えるのは防弾チョッキでも着ているからだろうか

 型式は分からないが背中にアサルトライフルをぶら下げて、腰には
馬鹿デカイ拳銃を2丁着用している。

 こちらはゲームに出てくる有名な拳銃なので名前は知っている。
S&W M500ともう一つはデザートイーグルだ。

 しかし…デザートイーグルはともかくM500なんて趣味な武器
現場に持ち歩くだろうか。

 歳の頃は男や幼馴染と同じぐらい、大体高校生程度と言った所だろうか
日本人は童顔だと言うし、外国人の見た目は外見のそれ以上だと言うから
年下なのかもしれないが、よくわからない。

軍人女「あ…あのあの、今度は日本語ですよね?
    言葉…ちゃんと通じていますよね?」

 不安気に瞳を潤ませながら覗き見る軍服少女を見つつ
さらに男は考える。

 さて…どうしたものか……。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:09:07.21 ID:52fFIyoG.net<>  暫く思慮した挙句に、男の導き出した結論は。
軍服少女の頭の撫でつつ男は優しい声を掛けて上げる事にした。

男「怪我は無かったか?お嬢ちゃん
  さっきは怒鳴ったりして大人げなかったな」

軍人女「え?」

 豹変した男の様子に今度は軍服女…いや軍服少女が絶句する
心なしかプライドを傷つけられたような、そんな表情をしている。

男「で、君は一人なのかな?
  お友達とかどこかに隠れているのかな?」

軍人女「あ…あのあの…ちょっと待ってください
    さっきから今までの間に、貴方の中でどういう結論になったのか
    教えて欲しいんですけど」

男「ん?友達とサバイバルゲームをしに遊びに来ていて
  化け物騒動に巻き込まれた、可哀想な軍服少女A」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:09:42.67 ID:52fFIyoG.net<> 男「怖かったよなー、友達があんな目にあって
  心配しなくては良いなんて言えないけど、とりあえずはもう大丈夫だからなー」

軍人女「ちょっと待ってください!頭ぽんぽんしないで下さい!
    なんか妹を見る兄のような生暖かい目で見ないでください!」

 軍服少女は服の下から何やら認識票のようなものを取り出し、憤慨しつつ男に突きだす。

軍人女「ほら!ここ見てください!
    この階級って書いてある所」

男「うん、英語読めない」

軍人女「『少佐』って書いてあるんですっ!!」

男「少佐かー、ガンダムで言うと
  マリュー・ラミアス艦長とかだったかな、艦長だと結構偉いなー」

軍人女「…………なんか例えが少し引っかかりますけど」

 男の台詞にやや首を傾げるが、少佐と言う階級がどれ程のものなのか
男が理解したと思ってくれたらしい。

軍人女「そうなんです、こう見えて私は『少佐』さんなんです
    会社で言うと部長さんぐらいなんです」

 誇らしげに胸を張る軍人女。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:10:22.19 ID:52fFIyoG.net<> 男「んじゃ、俺はブライト・ノア大佐で───」

軍人女「わかっていませんっ!」

 軍人女の表情がコロコロ変わる、
うん…和む。

男「わかっているって、少佐殿」

軍人女『…これだから、平和ボケした日本人って奴は』

 何やら英語でぶつぶつ言っていたようだが
男には分からない

男「で、少佐ちゃんは
  なんだってゴブリンに追われていたんだ?」

軍人女「えっとー……、その…
  草叢でちょっと…油断していた時に不意を突かれまして」

 下をうつむきつつ人差し指をつんつんさせながら
ブツブツと言う軍人女。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:11:07.03 ID:52fFIyoG.net<> 男「……つまり、草叢でウンコしようとしていた時に
  ゴブリンに見つかったんだな」

軍人女「せっかく人が言葉を濁そうとしたのに
   ダイレクトに言わないでくださいっ!」

男「よくズボンを上げる暇があったもんだなー
  さすがに、ケツ出している時に頭を割られて死にたくはないよなー」

軍人女「デリカシーってものは無いんですか!?」

男「なんだと!?俺は空気の読めるデリカシーがある男って
  ご近所で評判なんだぞ?」

 クソ田舎だからご近所と言える程家が近いのは幼馴染の家ぐらいしかないが
友の家は結構距離あるし。

軍人女「もういいです、それよりも貴方
    こんな所で何をしているんですか?」

男「………何ってなぁ…」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:11:29.58 ID:52fFIyoG.net<>  軍人女の問いに男は顎に手を当てて少々思慮する、
川のせせらぎと心地よい風が流れる事数秒。

男「…ダチとキャンプに来たら、化け物に襲われて散り散りになって
  どうやって合流しようとしたものか、途方に暮れている真っ最中?」

軍人女「何で疑問形なんですか」

男「ちなみに、俺は普通の高校生だから、アンタの期待している回答は
  用意できないからな
  民間人な、民間人。」

軍人女「……………民間人が、こんな所に?」

男「君だって民間人じゃないか
  サバゲーしている間にお友達と逸れたんだろ?」

軍人女「違いますっ!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:11:52.00 ID:52fFIyoG.net<>  まぁ、冗談はさておき…。
少佐はともかく、本物の軍人であるのは間違いない。

 そもそも、スティーブン氏の持っていたアサルトライフルは
ちゃんと実弾が装填された本物だった訳で。

男「けどアメリカ軍がなんだってこんな日本の片田舎に
  やっぱ、この化け物絡みって訳か?」

軍人女「そ…それは…
  …………ですね…えーと。」

 男が問いただすと軍人女は答えに詰まるのかもごもごと口ごもる。

男「まぁ、言えないだろうな
  守秘義務ってのは、やっぱりあるだろうしなぁ」

軍人女「は…はい
  そうなんですよ、これバラすと減俸されちゃうんですよ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/08(日) 13:13:45.64 ID:52fFIyoG.net<> ----------------------------------------------------------------------
話が全然進んでいない気がする、
とりあえず、この辺で。
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 いや…任務内容を民間人にリークして減俸で済むのか?
詳しくは知らないけど、軍法会議モノだと思うのだが。

男「そうか、んじゃ任務頑張ってくれ
  俺は帰るから」

軍人女「わわわわわわ…待ってください
  待ってくださいよぅ…、話します…話しますからぁ
  一人は嫌なんですぅ、食料が尽きて蛙さんとか焼いて食べたり
  雨の日に木の洞の中で寂しさを紛らわす為に一人歌いながら夜を過ごすのは嫌なんですぅ」

 軍人女を置いて本気で洞窟に戻ろうとする男に
軍人女は涙目で必死に引き止める。

男「アメリカ軍って…こんなボンクレを少佐にするほど
  人材不足なのか?」

軍人女「うぅ…ボンクレは酷いです
  自覚していますけど」

 自覚しているんかい。

軍人女「でもでも…あの
  ちゃんと試験パスしたんですよ!?しかも主席で」

男「あー…居るよなぁ…
  勉強できる馬鹿って。」 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/14(土) 09:26:54.42 ID:8L4k/k+Q.net<> いかん、話が支離滅裂になって来た
UPしようと思ったけど読み返し。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/03/15(日) 13:48:41.45 ID:RWrYesS7.net<> ----------------------------------------------------------------------
 矛盾が出たら、ごめんねー
もう出ているかもしれんけど、ごめんねー。
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軍人女「ほえー…蛹みたいですね」

男「蛹?
  病気じゃなくて?」

 泉から洞窟に戻り、白くなって動かなくなったシンディを
見るなり少佐殿が告げた言葉はそれだった。

軍人女「もしくは、ドラゴン?だと
    爬虫類だから脱皮って事でしょうかね、この子死んではいないですよ?」

男「それで、どれぐらいこのままの状態が続くんだ?」

軍人女「それはなんとも、なんせ未知の生物ですからねー
    一週間かー、一カ月かー、体の大きさからして一日って事はないでしょうけども」

 ボンクレとは言えプロの視点(?)から
そう断定してくれれば、一先ずは安心と言った所だろうか。

 男は湧水を沸かしてインスタントのコーヒーをカップに淹れる、
携帯用のコンロの燃料とコーヒーは貴重品ではあるが。

男「随分詳しいな」

軍人女「それはまぁ、そういう部署でしたからー
    鉄砲撃つだけがウチの仕事じゃないんですよ
    ………おほー!!文明開化の香りがするぅー」

 コーヒーの入ったカップを渡してやると
少佐殿は嬉々としてコーヒーカップに口を付ける。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:49:08.46 ID:RWrYesS7.net<> 軍人女「にしても、素敵なアジトですね
    水もありますしー、テントもありますしー」

男「アジトって、お前」

 確かに、隠れ家には違いないが。

男「んで?
  そろそろ本題に入らせてもらおうか」

軍人女「ここで何が起きているか、ですか?
  聞かない方が貴方の為だと思うんですけどね」

男「ここまで関わって置いて
  今更な気もするんだが」

 今更だが普通の生活に戻れるのだろうか不安にはなる、
戻りたいとは思うし、戻れないにせよ妹や友人達だけでも
元の生活に戻れたら、とは思う。

軍人女「それもそうですけどね、まぁ平たく言うと
  生物の研究と言った所でしょうかね?」

男「研究?この山奥でか?」

軍人女「山奥の方が都合が良いんですよ、
    秘密裏に研究する必要がありますからね。」

 そこで言葉を切って、軍人女はコーヒーを一口すする。

男「秘密裏に研究って、あの化け物達の事か
  やっぱり」

軍人女「どちらかと言えば、あの化け物を生み出す親玉の事ですね
  あの魔物は魔王って存在が生み出しているみたいなんです。」

男「……………魔王様ねぇ」

 訝しげな表情で男が口を挟むが、軍人女は気にした感じでもなく
そのまま言葉を続ける。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:49:36.72 ID:RWrYesS7.net<>  ──ただ、軍人女の話をそのまま話すと、非常に長くなるので、要約すると──。

 1.異世界には昔から魔王と言う驚異が存在するらしい。

 2.地球はその異世界人の古代人達が、移住先として用意したシェルターのようなもので
   用意したものらしい。

 3.しかし、そこに移住する事は魔法を捨てる事になるため
   魔法文明を捨てられなかった異世界人は異世界に留まり、
   一部の人間がこの地球に移り住んだらしい。

 4.やがて、魔王は一度封印されて平和が訪れ、
   そして長らく地球世界の事は忘れ去られてしまったとか何とか。

 5.長い時を経て、魔王が再び復活…
   すっかり平和ボケした異世界人が魔王に滅ぼされるのは時間の問題だったらしい。

 6.異世界人は魔王を相手にするより、魔法は扱えなくて不便だが
   複製世界の地球に移住した方が楽だと思ったらしい。

 7.しかし、万一の移住先として用意されたこの地球は
   魔法が使えないにも関わらず、魔法技術以上の科学技術が発達していたらしい。

 9.地球に移住する訳にも行かず、寧ろ地球から技術供与を受けて
   異世界の魔王の討伐に成功した………らしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:50:08.69 ID:RWrYesS7.net<> 男「与太話も良い所だけど、
  それなら解決しているって事じゃねーか
  魔王様とやらや倒したんだろ?」

軍人女「それだけならめでたし、めでたしだったんですけどね
    寧ろその後が問題だったみたいなんですぅ」

 ──再び話が長くなるので、要約すると──。

 1.現実世界から異世界へと向かった勇者(暫定的な呼び名)が科学技術と魔法技術を駆使して
   魔王を封印し一先ずの平和が訪れた。

 2.現実世界の勇者は魔王討伐の報酬として、魔王の死体を
   研究材料として持ち帰って来た。

 3.すると、範囲は限定的ではあるもののこの世界で魔法を使えるようになり
   魔王の死体から魔物を作り出す研究も進み、これまた限定的ではあるもののコントロールも可能となった。

    つまるところ、自由に生物を進化・変化させる魔王の能力は魔法を扱える画期的な発見どころか
   医療………果ては不老長寿の研究にすらつながる可能性があったらしい。

 4.新たな技術…魔法技術の研究が進めば、文明は大きく変わるが
   あまりに画期的すぎる研究となったため、現在の科学文明に大きく影響を及ばさないよう
   秘密裏に研究がつづけられた。

 5.しかし、完全にコントロールされていると思いきや
   事故が発生し、魔物達が暴走を始めた。
   管理施設のゲートを破壊し逃走、山に魔物が散るも…魔法が使える効果範囲。
   つまりは、魔王の亡骸からは大きく離れることは無かったらしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:50:38.74 ID:RWrYesS7.net<> 男「つまりは、シリアルナンバーが記された魔物ってのは
  その『施設』から脱走した魔物って事か?」

軍人女「そう…なりますね
   脱出している魔物達が勝手な増殖・多様化をしている例もあるみたいですが
   基本的にはそうみたいです」

男「で?お宅ら軍人は
  その研究を奪い取るのが目的って訳か?」

軍人女「奪い取る…と言うよりは、私達は
   情報収集のスパイみたいな感じだったんですけどね。」

 少佐って、スパイ活動もするのか?良くわからんけども
……ん?

 ふと、男は軍人女の言った内容を脳内で咀嚼する。

男「つまりは、死体魔王の影響下にしか魔物が居ないって事だよな」

軍人女「そういう事になりますー。」

男「魔物が出るって事は、ここは魔王の影響下にある範囲内で
  俺は魔法を使えるって事なのか?」

 男の台詞に軍人女は腰の拳銃を抜いて、弾倉を外し
装填されている弾丸を取り出す。

 つまりは、弾丸が装填されていないただのお飾り拳銃だ。

軍人女「これ、撃てますか?」

男「撃てるも何も、今弾丸を取り出したばかりじゃねーか」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:50:56.99 ID:RWrYesS7.net<>  手渡された拳銃を男が手に取ると、ずっしりとした重みが帰って来る
大型拳銃な事もあって随分と重い。

軍人女「撃ってみて下さ──────
    ちょっと、弾丸が装填されていなくてもこっちには向けないでください!
    あと、引き金に指をかけないで、指は伸ばしておくんです
    これだから平和ボケした素人は」

男「しゃーねーだろうが、銃なんて持った事もねーんだから」

 言われるままに手にした銃を洞窟の外に向けて引き金を引くが
当然、何も起きなかった。

 弾丸が抜かれているから当然だ。

 男はそのまま拳銃を軍人女に返すと、拳銃を受け取った軍人女も同様に
洞窟の外に拳銃を向ける。

 引き金を引くと…爆音が炸裂し、洞窟内に銃声が反響する。

 テレビドラマとかで聞く花火が炸裂したような弾ける事ではなく、
雷のような爆音、さらに洞窟の中という音が響きやすい中で炸裂したから
溜まった物ではない。

軍人女「────────────。」

男「────────────。」

 軍人女もこの結果は予想していなかったらしく、頭がくらくらしているらしい。
ややあって、耳鳴りが収まり。

軍人女「いやー、
    洞窟の中って、凄い音が反響するんですね。」

男「アホか!鼓膜が破れると思ったわ!」

 とりあえず、ツッコミを入れる………がそれよりも。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:51:33.80 ID:RWrYesS7.net<> 男「今のが『魔法』って事か?」

軍人女「まぁ…そういう事になります」

男「便利っちゃー、便利なんかね
  銃弾の数を心配せずに無限に撃てる訳だし」

軍人女「無限でもないですし、リボルバーとかじゃないと銃が壊れかけますし
  それに集中しながら撃たないといけないんで、隙が大きいんです
  ライフルとかなら相性が良いんでしょうけど」

男「魔法ってのはもっと長い念仏を唱えて発動させるもんだと思ったけどなー
  うんたらかんたらメラゾーマ!!みたいな感じで」

軍人女「そう言うのもありますよ、呪文をちゃんと勉強すれば
   そっちの方が上手く発動できるらしいです
   つか、いきなり火炎系の最強呪文ですか」

男「だよな!?
  イオナズンとかメラゾーマとかだよな!?
  最強は」

軍人女「全くです、何なんですか最近は
   メラガイアーとかイオグランデとか
   バギムーチョなんて意味が分かりません、カラムーチョですか!」

 意気投合した所でコーヒーカップを合わせて乾杯する、
ドラクエは海外では人気がイマイチとか聞いた事があるが、結構話が通じる子らしい。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/15(日) 13:53:02.98 ID:RWrYesS7.net<> ----------------------------------------------------------------------
 ひとまず、8投げ
後のストックはもう一度読み返し。

続ければ続けるほど難しくなるんね
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 でも話がそれ掛けたので、それは置いて置くとして。

男「どっちにせよ、俺にゃ魔法とやらは使えないって訳か」

軍人女「そんな事ないですよ?秘密はコレです」

 袖をまくりあげて軍人女は銀のブレスレットを見せる、
あまり趣味が良いとおも思えない銀のブレスレットに、何かを表示するディスプレイが付いて
良くわからない宝石のような、ガラスのようなものも付いている。

軍人女「『魔導器』って呼ばれているものでして
    これがあると、魔王の影響下だと魔法が使えるみたいです」

男「くれ」

軍人女「ダメですっ!これ一つしか無いですし
    私の生命線なんですから」

 腕を隠して男と距離を取る軍人女、
冗談で言ってみただけだが、そんな過剰反応しなくても。

男「傷を治したり、死人とかも生き返るのか?」

軍人女「修練を積めば、傷は治せるんでしょうけど
    私には無理ですねー」

 しかしまぁ、大凡の事情は良くわかったけど、
ここまで民間人に話ても良い話なんかねー。

 一通りの事情を聞いた所で晩飯(例の魚を丸焼きにしてみた)にして
これからどうするかは明日改めて話し合う事にして、今日はもう休む事にした。

 随分長い事話してくれていたから、平気だと思っていたが軍人女は随分衰弱しているようで
テントに入るなり、寝息が聞こえてくる。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/16(月) 11:48:57.58 ID:inskJtyq.net<> 乙です
いつも楽しみにしてます <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/03/22(日) 11:28:43.33 ID:UfO0onJ2.net<> ----------------------------------------------------------------------------------------
>>227
ありがとう、でも素人丸出しでごめんよぅ。
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 とりえず男が見張りに立つ事にして、昨日は余裕が無かったものの
今日は魚を焼いたままその火を焚火にしていた。

 これでもう何度目の夜を過ごす事になったのだろうか、
いい加減この状況にも慣れて来たし、おかげで筋肉痛もほぼ回復した。

 が…妹や友と別れて何度目の夜だろうか、
昼に撃ってみた信号弾の反応は無かった。

 シンディの足に括りつけられた地図には向かう先が記されてはいたが、
生存確率は絶望的なのかもしれない。
 
 最大限にポジティブに考えるならば
友人達は魔物を研究している『施設』に向かった訳だから、そこでその『施設』の人達に
保護されているかもしれない。

男「コンタクトしてみるのが、妥当か?」

 少なくとも、それで友人達が無事かどうかは判明するだろう
『施設』の連中が知らないと言えば、考えたくは無いけど無事では居ないだろう。

 だが『施設』のスパイでそこから逃げ出してきたっぽい、軍人女は捕まるかもしれない
というか、自分も捕まって口封じで殺される可能性も高い。

男「手詰まりか?」 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:30:19.73 ID:UfO0onJ2.net<>  いや…むしろ。

男「『施設』の連中は俺達に気が付いている上で泳がせている。」

 そう…考えるのが妥当な気がする。

 幾らなんでも、信号弾には気が付くだろう
施設から逃げ出した魔物達は恐らく24時間監視されているはず。

男「─────────いや、
  それ以前に俺達が山に入り込んだ時点で、『施設』は気が付いているんじゃないか?」

 仮定に仮定を重ねた推論だが、軍人女の与太話を信じるならば
国家レベルどころか世界レベルでの重要施設だ、なんせ科学技術に相当する魔法技術の
発明・研究だ。

男「キャンプにノコノコやって来た、たった4人の民間人の学生なんぞ、
  立ち入り禁止とか言って追い返すか、知られたら口封じに殺すのが普通な気がする。」

軍人女「随分簡単に口封じとか、殺すとか言うんですねー」

男「お?」

 洞窟の中から聞こえた声に振り向くと、男の上着を羽織った軍人女が立っていた、
さっきまで疲れ切って寝ていると思ったのだが。

男「悪い、起こしちまったか?」

軍人女「いえいえ、お気遣いなくー
  民間人に見張りをさせて、プロのお姉さんが寝ている訳にはいきませんからー」

 軍人女の上から下までをじっくりと観察し、ため息を吐く。
どうみてもコスプレの軍服を着た、小学生か良い所で中学生の姿にしか見えない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:32:15.18 ID:UfO0onJ2.net<> 男「プロのお姉さんねぇ」

 男が半眼のまま呻くと、割とショックな表情をする軍人女。

軍人女「あ、なんですかその目は
   こうみえてエリートさんなんですよー?出世街道まっしぐらなんですよ?
   この年で少佐って凄いんですよー」

 どうやらそこそこコンプレックスらしい。

男「うん…なんか凄いかどうかもよく分からないけど
  今時点だと肩書きなんて、多分クソの訳にも立たないからな」

 片付けてあった折りたたみ椅子を取り出し、焚火の前に出すと
軍人女はサンクスと言いつつ男に並んで座る。

軍人女「実際やると思うんですよね、死人に口無しですからー
   でもそれをやらない理由、いえ…逆に言えば
   それをやれない理由があると思うんです」

男「やれない理由」

軍人女「おそらく、貴方達にだけある何か
    心当たり無いですかねー?」

 軍人女の言葉に男は更に深く思慮する、
迷い込んだ人を口封じして機密を守る、俺達を殺せない理由。

男(いや、そもそも。)

 迷い込んだ人は脱出が目的だったり、ハイキングが目的だったり
山菜取りが目的だったり、はたまた狩猟が目的だったり、
まぁ大体そんな所が動機だったりするだろう。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:33:15.77 ID:UfO0onJ2.net<>  では、自分達がここに来る動機は何だったか。

 ハイキングが目的の半分だった、しかしそれは恐らく他の連中と同じ事、
それだけなら追い返されたり、口封じに殺されたりしただろう

 ────────もう半分の目的は何だったか?
シンディを親に返す、もしくはこの森に返すののが当初の目的だった。

男(シンディが目的だった?いや違う)

 脳内で出した結論を男は即座に脳内で否定する、
それだけなら、男達を拘束してシンディ…卵から孵った竜を奪い取るなり
何なりのアクションがあっただろう。

 『施設』の連中が静観する理由、現状維持で静観しなければいけない理由。

 あと一つのピースを探して考え込む男。

 しかし、そんな男の思考を阻害するかのように、突如大地が揺れ
体が揺さぶられた。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:33:55.74 ID:UfO0onJ2.net<> 軍人女「ひゃぁああああぁぁぁぁぁぁ!?」

男「うぉおおおぉおおぉおおぉ!?」

 重低音の地響きと世界を揺るがすかのような大地の震動、
視界が上下に激しく揺れ、洞窟の脇にある崖からパラパラと崖下へと
石が落ちてくる。

軍人女「…じ…じじじじ…地震ですか!?」

男「ここここ…こいつは、デカイぞ!?」

軍人女「…は…早く、洞窟へ」

男「馬鹿野郎!!」

 地震に慣れていないのか軍人女は慌てて洞窟の中へと逃げ出そうとするが、
男はその軍人女の手を取って手繰り寄せ、抱き寄せて頭を守る姿勢を取る。

 岩場に囲まれた頑丈そうな洞窟だから一見安全そうにも見えなくもないが、
万一に地震で落盤してしまったら確実にアウトだ。

 外は外で落石の危険もあるが、焚火をしている洞窟前の広場は若干広くなっている
洞窟の中に戻るよりはまだ安全そうな気がする…と思う。

 ややあって地震が収まると、若干高台になっている洞窟入り口から見下ろせる
眼下の森林の一部に、大きく引き裂かれた闇の谷がぽっかりと口を開けていた。

 まるで、日本を引き延ばそうとしたら千切れましたと言わんばかりの深い闇の谷
しかし、その深いと思われる谷の底からは溶岩や火山ガスが噴き出す訳でもなく、
奥底まで闇の口が広がっているだけに見えた。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:35:26.57 ID:UfO0onJ2.net<>  森の中に谷が形成されると、激しい揺れが収まる
考えるまでもなく、あの谷を形成する為に激しい地震が起こっていたのだろう。

軍人女「何々!?何ですか!アレは」

男「わかんね、ありゃぁ一体?」

 疑問を口にしようとした男に答えるかのように、いくつもの魔物や
人影がその谷から飛び出してくる。

 谷底の奥からドラゴンに跨った甲冑の騎士達、それに続くは
背中に翼を生やしたローブを纏って杖を握った魔法使い風の人、
竜が持った巨大なバスケットのような籠から飛び出したのは
自らの身長より大きい斧を抱えた、ずんぐりした体形の人間だった。

 そんな、剣と魔法の世界の冒険者達っぽいような連中が何人も
谷底から現れ、大地へと降り立ってゆく。

 遠目にしか判らないが、数にして精々が十数人ぐらいではないだろうか?

 先頭の甲冑の人間が剣を掲げると、続く兵達が雄叫びを上げてそれに続く。

男「攻め込んできた?」

 そう、表現するのが妥当だろうか? <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:36:14.87 ID:UfO0onJ2.net<>  敵か味方かは判らない、判断材料が無い以上は見つからず静観するのがベストだろう、
幸いにして今夜は満月なので割と距離がある連中を視認する事が出来る。

男「ファンタジー…だなぁ」

軍人女「魔物達と戦う見たいです」

 谷から出現したファンタジーな兵士達に森から飛び出した魔物達の群れが襲いかかる、
巨大な棍棒を持った見覚えのあるサイクロップスや、これまた巨大な体躯をしたトロールと言った所か?
上半身が端正な顔をした人間で下半身が馬の弓を持った馬人間も居る。

軍人女「わー…結構イケメンですー」

男「下半身が馬でもええんかい」

 思わず反射的に軍人女にツッコミを返す男。

 それはさておき、サイクロップスが振り下ろした棍棒を、
兵士が素早いステップで躱して剣を抜き放ちサイクロップスの瞳に突き立てる。

 まるで淀みが無い完全に戦い慣れた動作、まるで魔物と戦うのが当たり前と言わんばかりの
日常を過ごしてきたのだろうか。

 たった一つの瞳を失って手当たり次第に棍棒を振り回して暴れるサイクロップス、
しかしそんな闇雲な攻撃が当たる訳でもなく。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/22(日) 11:36:55.50 ID:UfO0onJ2.net<>  そしてローブを纏った人間がこれまた当然とばかりに杖を掲げると
杖の先から電撃が程走り、激しい雷撃がサイクロップスに直撃する。

男「どう見ても魔物と戦い慣れている感じだな」

軍人女「人間の動作じゃないですー」

男「ん?」

軍人女「雷の攻撃はどう見ても『魔法』ですし、
    最初の人が一撃を躱した動作もどう見ても人間の筋肉量で出来る動作じゃないです」

軍人女「力の強さは筋肉の量と密度によって決まります
    どれだけ鍛えても人間は象の力を越える事は出来ません」

 軍人女の言葉に応えるかのように、戦場では数メートルのトロールが持った武器を
細い剣で受け止めている女の騎士が見えた。

 馬鹿デカイ木の棒を細いレイピアのような武器で受け止め、
さらにその細いレイピアを素早く突き出して、トロールの全身を穴だらけにしていく。

 続く大斧をもった、低身長の男が斧を横に一閃するとトロールの体を真っ二つに引き裂く。

男「派手だなぁ」

軍人女「まるで、重戦車ですねー」

 自分なら生き残る為に逃げ回る、それでも逃げ切れな場合は武器でもなんでも使って
逃げ切る隙を作り出す、どうしても逃げ切れない場合は仕方が無いから戦うと言った感じだ。

 しかし、兵士達の戦いはまるで逃げる事を意識していない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/23(月) 00:30:53.41 ID:JbYecKoT.net<> 男「そりゃ、俺もゲームの中じゃ
  逃げるコマンドは最後の選択肢だけどさぁ」

 今までこそこそと逃げ回っていたのがアホらしくなるような戦いっぷりだ
ややあってたった数十秒で魔物群れを軽く屠った冒険者達。

 その中の一人がこちらを見た気がした。

男「やべぇ、こっちを見た!?」

軍人女「火を消してください!!」

男「わかってんよ!!」

 軍人女に言われる間もなく、焚火に向かって男は水をぶっかける
本来はキャンプ場では水ではなく砂を掛けて火を消すのがマナーなのだが
そんな余裕はない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/23(月) 00:32:16.23 ID:JbYecKoT.net<>  どうやら。

男「気づかれたようだ」

軍人女「逃げないと」

 遅いと思うなぁ

 男は軍人女の言葉に内心で返答して、スタンソードを抜き放つ。

 敵か味方かは一切分からない、念のために準備はしておくべきだろう

元々装着してあったバッテリーは残り15%なので、新しいバッテリーを装着しなす。

 軍人女は馬鹿でかい拳銃をホルスターから抜き放つ、
最初に出現した男────恐らくリーダー格なのだろうか──が、これまた人間を越えた
速度で大地を蹴って男の方に向かって走り出す。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/23(月) 00:32:47.84 ID:JbYecKoT.net<>  リーダーに続いて、仲間達もそれに続こうとした所で。

 突如……轟音に続いて光の矢、とでも言うようなものがその仲間達の一団を貫いた、
貫いた一撃は一団の中央に着弾し、炸裂した後に大地に小さ目のクレーターを作り出す。

軍人女「レールガン!?」

男「なんだと!?」

 これまたゲームの中で聞いた事がある、確か物体に電力を流して超高速で射出するとか言う
電磁加速砲とかって、こちらはSFな兵器だ。

 思わぬ一撃にファンタジーな兵士達はその場で散開し、電磁加速砲の第二射が再び轟音と共に
発射される。

男「SF対ファンタジーかよ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/23(月) 00:34:01.55 ID:JbYecKoT.net<> ----------------------------------------------------------------------------------------
8投で納まりきらなかったけど、今日はこの辺で。
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軍人女「おそらく、こっちは『施設』の方の人間です」

 タングステンの高速弾は今度は大地にすら当たる事なく、虚空を貫き闇へと消えていく、
しかし、この派手な武器の発射元はファンタジー兵達に知られてしまったようだ。

 リーダー格の男が何やら叫ぶと(何を言っているのか全く聞き取れなかったが)、
ロッドを持った兵が光の玉を射出元に向けて発射する。

 しかし、これは攻撃目的ではなかったらしく空中に光の玉が展開すると
まるで小さな太陽が弾けるかのように辺り一帯を照らしだす。

 灯りに照らし出されたのは、これまた5人の人間で
一人が巨大な大砲を持っているのが見て取れる。

 恐らくこれが件の電磁射出砲だろう。

 まるで某有名な新世紀ロボットアニメのパイロットスーツのような、
ボディラインがくっきり出るスーツを着用し、両手両足にはプロテクターのような
アタッチメントが装着されている。

 男が3人と女が二人、明るく照らし出されているものの顔はフルフェイスのような
マスクが装着されており、判別する事は出来ない。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:37:01.71 ID:aqsRxLJP.net<> 軍人女「数では『施設』の人間の方が劣勢ですね、
    それに、後ろの3人は動きが鈍いですー
    明らかに戦闘慣れしていないです」

 前に出た男2人の動きは洗練されたものだ、兵達の放った
火炎の矢を最低限の動きで躱し、その内の一人が手にした
人の身の丈程ある長刀でファンタジー兵の一人を一刀両断した。

 文字通りに一刀両断、頭から綺麗に左右に真っ二つとまでは
言わなかったが、首から胴まで袈裟懸けに一撃で両断し
物言わぬ二つの屍となった兵の一人は血飛沫をまき散らしながら
大地に転がる。

男「なんだよ…それ…。」

 男と軍人女の居る位置は戦闘区域から大きく離れていたが
それでも、先程の魔法灯りのお蔭で良く見えた。

 軍人女が戦闘慣れしていないと指摘した
後ろ3人は間近で見たその現実離れした惨状に
パニックになっているようだ。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:38:37.36 ID:aqsRxLJP.net<> 軍人女「あーあ、足が止まっちゃってますよ
    あれじゃ、格好の的ですねー」

 当然それを見逃すファンタジー兵ではなく、3人に向けて魔法を放つ
雷と炎と氷の三種の魔法が降り注ぎ、殺された仲間に対する怒りなのだろうが
激しい魔法の嵐が荒れ狂う────しかし。

男「無傷?」

軍人女「か、どうかは分かりませんけどね
    どうやら、あの妙なスーツには対魔法効果があるみたいですね
    それに、さっきの攻撃を見るに力の増幅効果もあるようです」

 荒れ狂う魔法の中から飛び出した一人の女が、剣を抜刀し
魔法発動時に隙が出来るのか、魔術師風のローブを着た人間に剣を一閃する。

 一閃された剣はまるで粘土でも斬るかのように易々とローブ人間の首を
跳ね飛ばし首を失った人間から大量の血液が吹き上がる。

男「まるで、虐殺だ」

軍人女「対人戦の戦いと言う物は、
   殺しよりも怪我させる事を重視させます」

 男の言葉を聞きとがめたのか、軍人女が言葉を続ける。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:39:41.78 ID:aqsRxLJP.net<> 軍人女「前線にて銃弾一発が一人の怪我人を生み出した場合、
    それを救助する兵2人と合わせて、3人の戦力をその場から損失させる事が出来ます」

軍人女「それに、怪我を直すまでの病院のコスト、リハビリまで視野に入れると
    遥かに敵の損失は大きいでしょう」

 基本拳銃は殺す為の武器ではなく、相手を怪我させる武器だと聞いた事がある
気がする。

 無論、軍人女が持つような馬鹿でかい拳銃は例外だろうが。

軍人女「殺したというよりも、怪我をさせたというだけなら
    こちらの兵のメンタリティも傷がつきませんでしょうしね
    しかし────。」

 目の前で起きている戦いは、殺しの為の戦いだ
いや、そもそも。

男「あの、妙なスーツは
  人と戦う用の装備じゃないんじゃないのか?
  化け物と戦う為の装備だから、オーバーキルになるんじゃないか?」

軍人女「そう、かもしれませんね
  あんな素人臭い動きで、戦う事ができるんですから。」

 目の前の戦いはリアルな映画を見ているような感覚だ、
今では化け物から逃げ出す戦いだった、だがここからは
人との戦いに巻き込まれるという事だろうか。

 ふと…背後から物音がして、軍人女と男が振り向く。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:41:02.54 ID:aqsRxLJP.net<> 男「なっ!」

軍人女「何々!?なんですか!?」

 遠目に観戦モードで見入っていたため、周りの警戒が疎かになっていたようだ、
背後には魔法で飛んできたのだろうか、白い鎧を纏って巨大な戦斧を持ったファンタジーな
戦士が立っていた。

 歳の頃は30台中盤から後半と言った所だろうか、鎧の下は筋肉質の体躯が隠れているのだろう。

 あの巨大な魔物を倒した連中の一人だ、素人の男やボンクラ軍人の軍人女では
成す術も無いだろう。

 好意は無さそうだが、敵意と言う訳でもない様子だ、
明らかに戦い慣れをしていないであろう相手を見て、どうしようか判断に困っていると言った所か。

戦士「お前達、あの仮面連中の仲間か?」

男「仮面連中?ああ、あそこのスーツ連中の事か
  連中が俺達の事をどう思っているか分からんが、俺達は連中なんぞしらん
  …………と言ったら、アンタは納得してくれるのか?」

 とりあえず、言葉が通じる相手のようだ
言葉が通じれば戦いは回避できるかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:41:50.08 ID:aqsRxLJP.net<> 男「ついでに、戦争の経験した事の無い平和ボケした世界に住んで居る
  民間人だ…………と言ったらアンタは満足してくれるのか?」

戦士「戦争が起きて人が死んでいる現状を目の当たりにして
   それでいて、その腰に剣をぶら下げていてふざけた事を言うなと
   こう応えるだろうな、俺はっ!!!」

 突如身をよじり、戦士が戦斧を振り回すと闇夜に火花がまき散らされる、
金属同士が激突する激しい音、刃を止めたものの戦斧の勢いを止めきれなかったのか
闇夜から飛び出した何者かは数メートル弾き飛ばされる。

戦士「おいおい、もう追いついてきやがったのかよ
   下の連中を放っておいてこっちに来るとはな」

???「退け…この人に手を出すなら容赦はしない」

 先程まで戦っていたスーツ女の一人が戦士に向かって警告を発する。

男「───────まさか。」

 聞き覚えのある声だった、昔から何度も聞いた声。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/03/30(月) 23:43:30.61 ID:aqsRxLJP.net<> 男「まさか、お前。」

 フルフェイスメットの下からの声だが、聞き間違える筈も無い
認めてしまうと

男「お前…幼馴染…か!?」

???「………………………。」

 帰って来たの沈黙の返答、しかし男はもう確信していた。
後ろのレールガンを持った男は恐らくは友、その隣に居る小柄な女は
妹、そして…先ほど人間を斬殺したのは幼馴染だと。

男「答えろ!お前は………いや
  お前達はそんなの着て何をしてんだ!!」

戦士「ピーチクうるせぇな、小僧
  ガキの出番じゃねーっつの」

男「うるせぇ!テメェこそ黙って居ろ!オッサン!
  お前の幕じゃねーよ!」

 恐らく目の前の戦士も、妙な戦闘スーツを着た3人よりも
自分は弱いだろう、本気を出すまでも無く男を一撃で殺す力を
持ち合わせているのは先ほどの戦闘で見て取れた。

 だが、頭に血が上ってそんな思考はどこかに行っていた。

男「答えろよ!
  芋!幼馴染!友!」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/03/30(月) 23:46:21.06 ID:aqsRxLJP.net<> ----------------------------------------------------------------------------------------
今日はこの辺で。
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友「越えちゃいけねーラインってのあるよな?
  俺達は…いや殆どの日本人はそのラインを越えない向う側で
  平和に暮らしていたんだけどな」

 言葉と同時にメットの下から現れた顔は、やはり予想通り
友の顔だった。

友「俺達はそのラインを越えちまった…………それだけだ
  だけど相棒、アンタはまだ戻れるギリギリラインの向こう側だ」

幼馴染「だから、私達が
  代わりに全部終わらせるから、手を引いて
  この山もシンディも魔物も私達の事も全部忘れて向うにもどって頂戴」

 友に続いて顔を表したのは幼馴染だった。

 全部忘れて、元の生活に戻れという事だろう、
だが、そんな事は出来るはずもない。 👀 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/14(火) 19:00:23.27 ID:McFpxKiY.net<> 更新してくれー <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/16(木) 00:54:51.46 ID:Jzx9nhuF.net<> 申し訳ないとは思うのですが、4月から少々立て込んでおりまして。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/16(木) 08:51:01.89 ID:PQ+Yy93w.net<> >>248
待ってるよ <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:02:12.88 ID:7AXoGTiR.net<> 戦士「おいおい、こっちもガキじゃねーか
   この世界ってのは、ガキが人を殺すのかよ」

 マスクの下から現れた顔を見て戦士が何か言うが無視。

男「それで、俺にどうしろって言うんだ」

幼馴染「大人しく捕まって頂戴、
    抵抗しなければ、痛い目に合う事もないわ」

男「捕まる・・ね、
別に逃げるつもりの無いけど、
俺が捕まったらどう言う扱いになるんだ?」

友「家に帰してくれる、らしいぜ?
  もっとも、ここ一カ月ぐらいの記憶と引き換えらしいけどな」

 記憶を奪われるのか、それで平穏無事な生活に戻れるなら悪くはない
悪くは無いのだが。

男「だが、さっきの
  『俺達が肩代わりする』ってのは何だ」

幼馴染「そのままの通りよ、返してもらえるのは男
   貴方一人だけよ」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:02:45.98 ID:7AXoGTiR.net<> 妹「私達はここに残るわ」

男「何故だ」

友「そういう約束だからだ」

男「顔も知らない連中とお前達が勝手にした約束を信じて
  全て忘れて、友人や家族を置いて自分一人だけ帰れと?
  そんな事を俺が了解するとでも思うか?」

幼馴染「いいえ、思わないわねっ!」

 言葉と同時に幼馴染が地を蹴って飛び出し、
幼馴染の重い蹴撃が男に襲いかかる。

 躱せたのは幼馴染の動きに素人臭さが残っていたからか、
男の背後の樹木に幼馴染の足跡が刻まれる。

男「いきなりなんて事しやがる!
  殺す気か!?」

幼馴染「わ、私だって
   怪我させたくないから我儘言わないで、
   大人しく捕まって頂戴!」

男「普通に死ぬわ!こんなもん」

 初撃の威力に自分でもビビったのか、男の言葉に
幼馴染の攻撃に精彩さが欠けてゆく。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:03:05.69 ID:7AXoGTiR.net<>  幼馴染の着ているスーツは、先程の戦いを見る限り
自らの筋力を増大させると同時に、敵からの攻撃を防ぐ効果があると
見受けられる。

 電気・炎・氷の魔法の直撃を受けても無傷だったりする事から
防御性能の非常に高いと思われる。

男「なんなんだよ!その無敵スーツ!
  チートじゃねぇか!!」

幼馴染「そうよ、使い慣れていないんだから
  抵抗すると本気で怪我するわよ」

男「生身の人間相手にンなもん持ち出すなよ!」

 唯一の弱点は扱う人間が素人だと言った所か、
そうでなかったら、最初の一撃で気絶させられてジエンドだっただろう。

男「そうかよ!そっちがそのつもりだったら」

幼馴染「ちょっと!
  やり合うつもり!?」

男「先に殴り掛かって来たのはお前だろうが!」

幼馴染「聞き分けが無いからよ」

男「肩代わりするだ?人殺しだ?
  そんな玩具一つで何でも出来ると思い込んでいるのが気に入らねー!」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:03:53.46 ID:7AXoGTiR.net<> 幼馴染「何を!!」

 幼馴染の拳の威力を逃がしつつ、男は幼馴染の足を払いのけ
その場に引き摺り倒す。

幼馴染「きゃ!?」

男「弱点一つ目、どんな凄い装備でも
  扱っている人間が素人で知り合いだから、武器が使える訳でもなく
  付け入る隙が幾らでもある
  最も、俺も素人だけどな」

 けど、こちらも有効な攻撃手段を持たない訳だから、
引き摺り倒した後に捕縛する事も出来ないが。

戦士「ほう?
   で、そこからどうするんだよ、小僧」

男「背中にファスナーとかあったら、引き摺り出してやるんだけどなぁ
  ────────うぉ!?」

 戦士の関心したかのような声に男はどうしたものかと思案するが
とりあえず、力では逃げられないように関節を曲げて捕縛の体勢を────。

妹「お姉っ!」

 幼馴染が引き摺り倒されたのを見て、業を煮やしたのだろうか
今度は妹が襲いかかってくる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:04:27.61 ID:7AXoGTiR.net<>  繰り出された妹の手が男を掴もうとする、
躱す以外に男には選択肢が残されていないと思ったのだろう。

 ───────だが、そこに隙がある。

男「チェストォォオオオオオォ!!」

 繰り出された腕を取り、勢いをそのままに相手を背中の上に乗せ
相手の威力を殺さずに放り投げる。

妹「きゃぁぁぁああああぁぁ!」

幼馴染「妹ちゃん!?」

 悲鳴と同時に一本背負いで
放り投げられた妹が崖下に落下してゆく。

男「弱点二つ目、幾ら力を増大しても
  体重そのものが変わる訳でもない」

友「実の妹相手に容赦ねーなぁ、相棒」

男「余裕が全く無いからな、まぁ死にはしないだろ
  その無敵スーツがあるんだから」

 流石に友は迂闊に素手で飛び込むような事はしない、
距離を取ってレールガンを男に向ける。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:05:30.43 ID:7AXoGTiR.net<>  幾らなんでも生身の人間相手にそんなものをぶっ放したりは
しないだろうと男は一瞬思ったが、根拠も無く男はその場を飛び退く。

 同時に男の立っていた位置を轟音と共に光の矢が貫く。

男「ちょっ!お前!
  マジで撃ちやがったな!?」

友「避けると思ったんだよ」

幼馴染「ちょっと!友!?」

 これには幼馴染も予想外だったのか、自由になった彼女が
友に抗議の声を上げる。

友「怪我もさせずに相棒を捕縛しようなんて考えが
  甘ぇんだよ」

幼馴染「わかったわよ!」

 レールガンで粉々に吹き飛ばすよりも、多少の怪我をさせてでも
捕縛した方がマシだと割り切ったのだろうか。

 精彩さを取り戻した幼馴染は手刀を振り下ろそうとするも
突如鳴り響いた炸裂音と共に、幼馴染は横に吹き飛ばされる。 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/04/25(土) 10:06:14.54 ID:7AXoGTiR.net<>  先日に一度聞いた事のある音、─────銃声だ。

男「軍人女!!」

 衝撃に跳ね飛ばされた幼馴染は地面を数回転がり、
何事も無かったかのように立ち上がる。

幼馴染「邪魔しないで」

軍人女「凄いですねー、50AE弾を受けても衝撃を逃がし切るんですか
    でも悪いですけど、その人を渡す訳にはいかないんですよ」

 幼馴染が武器を取り出し、友がレールガンを構える、
しかし軍人女は男の頭に銃口を押し付ける。

軍人女「おっとー、動かないでくださいねー
    貴方達が人殺しに手を染めてまで守りたかったお友達の頭が
    粉々になっちゃいますよー?」

幼馴染「男っ!!」

戦士「モテモテだな、小僧」

 心配する妹の声に、のんびり状況を楽しむかのような戦士の声が投げかけられる。

男「ああ、友人達に襲いかかれるわ
  さっきまで寝食を共にしていた仲間に銃口突き付けられるわ
  最悪な気分この上ねーよ」

 やけくそになりつつも戦士に返答を返す。
銃口を頭に突きつけられれば普通なら恐怖に身がすくんで声も出せない所なのだろうが
ここ連日の騒ぎで耐性がついたのかもしれない。 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/04/25(土) 10:16:16.68 ID:7AXoGTiR.net<> 軍人女「ここで男さんが連れて行かれるとですねー
    私も一緒に捕まってどうにかされちゃうわけですよー」

軍人女「でも、貴方達のその無敵スーツは私の武器ではどうにもなりませんからー
    だから、男さんには悪いけど人質になってもらうのですよー」

友「だが、ここで男の頭を吹っ飛ばしたら
  アンタはもっと酷い目にあうぜ?」

軍人女「でもでもー、
    どの道私はじり貧ですからー、このまま一緒に捕まったら
    多分明日には冷たい死体になって、森の外に投げ捨てられちゃいますから」

友「ちっ!」

軍人女「男さんには借りがありますから、私は悪いようにするつもりはないですけどねー
    それでも自分の命には代えられないんですよ、だから退いて貰えませんかね」

戦士「おっと、そっちはそれで話が付くのかもしれねぇけど
   俺の方の話がまだあるんだがな」

 傍観を決め込んでいた戦士が武器を構え、戦闘態勢を取る。

戦士「そこの小僧のおかげで、その変な服───無敵スーツだったか?
   なんとなく攻略法が見えてきた所でな」

戦士「俺の部下を殺してくれたんだ
   タダで返す訳にはいかねぇなぁ」

友「アンタ相手に俺達も遠慮する必要なんて無いんだがな
  一対三で勝てるとでも思っているのか?」

戦士「正面からやったらな、だがしかし──────。」

 戦士は銃を突きつけられている男の向かって戦斧を振り下ろす、
振り下ろされた斧は男の頭をカチ割る事無く、幼馴染の小手で受け止められる。

 咄嗟に男を庇った幼馴染に戦士はニヤリと口に笑みを浮かべる。

戦士「そこの小僧を庇いながら戦うってハンデがお前達にはあるだろ?」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/16(木) 13:21:33.14 ID:T+bjsxT3.net<> ファミリーマート店員 「輸送費用は知りませんからね」 <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/07/20(月) 19:58:57.78 ID:sa/LI33x.net<> 消えたんだ <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/21(火) 04:59:59.06 ID:sZfJ3SiZ.net<> 戦士「うーんこの」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/21(火) 23:26:37.18 ID:BeI8jX5d.net<> 男「俺達の戦いはこれからだ」

ご愛読ありがとうございました>>1先生の次回作にご期待ください <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/22(水) 00:55:50.58 ID:MIQM/UwJ.net<> エビでもアサリでもクリアしている <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2015/07/26(日) 00:28:50.03 ID:o/Givg11.net<> 治療費ってどうやねん? <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/28(火) 08:17:57.82 ID:GoDPs6Km.net<> 「今のところ、部分的には言い分さえ通れば将来、
両サイドからの援助と急展開な幻想的かつ前評判の高い、
割り込まさない未成熟さのある抗生物質の少ない、
モデルチェンジされた物使用しているから」 <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/07/29(水) 10:48:47.47 ID:HEyhPkqY.net<> エビフライがたべたくなった <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/10/07(水) 20:41:03.64 ID:yXKdbB2n.net<> ゆでた海老にマヨネーズ <> 創る名無しに見る名無し<><>2015/10/14(水) 12:32:02.45 ID:TbjHKGTj.net<> たてこみすぎだろぉぉおおおおおおお <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2017/07/10(月) 04:51:03.87 ID:ugHrL6M5.net<> ☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、☆
@ 公的年金と生活保護を段階的に廃止して、満18歳以上の日本人に、
ベーシックインカムの導入は必須です。月額約60000円位ならば、廃止すれば
財源的には可能です。ベーシックインカム、でぜひググってみてください。
A 人工子宮は、既に完成しています。独身でも自分の赤ちゃんが欲しい方々へ。
人工子宮、でぜひググってみてください。日本のために、お願い致します。☆☆ <> 創る名無しに見る名無し<><>2017/12/27(水) 10:22:26.68 ID:C1Z7QFDy.net<> 家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

VS1RS0D4LY <> 創る名無しに見る名無し<><>2018/05/21(月) 08:46:00.78 ID:tRZnwP6O.net<> 知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

LDGPB <> 創る名無しに見る名無し<><>2018/05/23(水) 19:32:44.61 ID:BaHpdoh4.net<> 驚愕の事実拡散

【創価学会の魔の正体は、米国が仕掛けてるAI(人工知能)】

CIA(米国のクソ諜報、スパイ)が、日本統治に利用してる宗教団体が創価

パトカーの付きまとい、咳払い、くしゃみ、芝刈機音、ドアバン、ヘリの飛行音、子供の奇声、これら全て、米国が仕掛けてるAIが、人を操ってやってる。救急車のノイズキャンペーンに至っては、サイレンで嫌がらせにする為だけに、重篤な病人を作り出す冷徹さ

集スト(ギャングストーカー、ガスライティング、コインテルプロ、自殺強要ストーキング)以外にも、病気、痛み、かゆみ、湿疹かぶれ、臭い、自殺、殺人、事故、火災、台風、地震等、この世の災い全て、クソダニ米国の腐れAIが、波動(周波数)を悪用して作り出したもの

創価の活動家は、頻繁に病気や事故に遭う。災難が続くと、信者は仏にすがって、学会活動や選挙活動に精を出すようになるから、クソAlが定期的に科学技術で災いを与える。モチベーションを上げさせる為の、起爆剤みたいなもん

真実は下

http://bbs1.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=pr02&mode=view&no=46

https://shinkamigo.wordpress.com <> 創る名無しに見る名無し<>sage<>2018/06/03(日) 17:25:47.29 ID:CwkbyvNH.net<> あ <> 創る名無しに見る名無し<><>2018/07/03(火) 18:27:25.57 ID:f1dClnnX.net<> WIU <> 創る名無しに見る名無し<><>2018/10/17(水) 20:00:25.08 ID:ZU7x6aHX.net<> 中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

WKO <> 創る名無しに見る名無し<><>2022/05/18(水) 16:16:04.68 ID:U2/nV/Bm.net<> https://i.imgur.com/nYsMRNz.jpg
https://i.imgur.com/9ob66Ue.jpg
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