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    元スレ男「サラリーマンとは、闘い也!」

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    みんなの評価 : ★★
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    1 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:00:28.55 ID:1OuKcuB10 (+125,+30,-93)
    < 自宅 >

    ジリリリリ……!

    「起床ッ!」バッ



    起床とは、闘い也!

    布団をすみやかに脱出し、目覚めから0.15秒未満で直立すべし!

    夢への未練、目覚めから0.25秒未満で断ち切るべし!

    辛く険しい現(うつつ)と、向き合わねばならぬのだから……。



    「完全覚醒ッ!」キリッ
    2 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:05:25.43 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-111)
    「洗顔ッ!」



    洗顔とは、闘い也!

    妻が用意せし熱く煮えたぎった湯の摂氏、限界突破の800℃!

    これを躊躇なく顔面に浴びせられる漢でなくば、サラリーマンは務まらない!



    バシャッ! バシャッ! バシャッ!

    「適温ッ!」
    3 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:10:05.72 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-257)
    「ヒゲを剃りましょうね、あなた」チャキッ

    「頼むよ」



    ヒゲ剃りとは、闘い也!

    エプロン姿の新妻が持ちし、金剛石をも断ち切る名刀『愛妻』!

    これを秒速500kmを超える速度で振り回し、ヒゲを剃るのである!

    むろん、妻の手元が僅かでも狂わば、男の首が飛ぶことスペースシャトルの如し!

    サラリーマンとは常に死と隣り合わせである!

    たとえ不慮の事故で命失おうとも、一片の悔いなし!



    ヒュバババババッ!

    「ヒゲ剃り完了」チン…

    「剃り残し、無しッ!」ツルツルッ
    5 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:16:31.85 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-126)
    「いただきます」

    「バターを塗ったトーストと玉露は、よく合いますのよ」

    「ありがとう」




    朝食とは、安らぎ也!

    朝のニュースを眺めながらの、ブレックファストとティータイム!

    会社という戦場に旅立つ前の、ほんの一時の至福である!

    焼け石に水、と嘲笑(わら)う者があるかもしれない。

    だが、笑いたいものには笑わせておけばよい!

    笑う門には、福が来るのだから……。
    6 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:21:37.68 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-144)
    「行ってきます」ザッ

    「行ってらっしゃい」



    出勤とは、闘い也!

    夫婦の別れに涙はいらぬ!

    夫の外出を見届けた妻は、即座に白装束となり液体窒素を体に浴びせるのである!

    これすなわち、祈願!

    我が身を凍結する代わり、夫を生還させよという自己犠牲的発想!

    夫の身を案ずる余り、誰に命じられたわけでもなく身についた習慣である!



    ザバァァァ……!

    「あなた……どうかご無事で」
    7 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:22:17.47 ID:mJEAx+yw0 (+19,+29,-1)
    男の仕事はやせ我慢
    8 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:26:25.56 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-126)
    < 電車 >

    ガタンゴトン……

    満員電車とは、闘い也!

    座席、壁際、手すり、つり革、乗客同士の寄りかかり!

    生き馬の目を抜くようなポジションの奪い合い!

    コーナーキックを待ち受ける、プロサッカー選手に匹敵する攻防!



    中年(さて降りるか……)スッ…

    (チャンス!)ダダダッ

    (ポジション、ゲット!)スチャッ



    座れはせずとも!

    男はドアの両側、通称“寄りかかれるスペース”をゲット!

    本日、絶好調!
    9 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:30:26.19 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-62)
    しかし──

    満員電車には恐ろしい罠(トラップ)が存在する!



    子高生「きゃあ~!」

    子高生「この人、痴漢ですぅ! お尻をさわってきました~!」

    「!」

    (痴漢など、私はやっていない……!)

    子高生「…………」ニヤッ



    男は見た!

    女子高生のデーモン笑み! 犯罪! 冤罪! 万歳!
    10 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:36:37.75 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-250)
    ザワザワ…… ドヨドヨ……

    絶体絶命!

    痴漢冤罪の罠にかからば、懲戒免職、家庭崩壊、実刑判決は免れない!

    もはや男は、蜘蛛の巣に捕らわれた哀れな蝶々!



    (先手を取られた──ならばッ!)

    「ああ、私を痴漢をした」

    子高生「え?」

    「さわったばかりではない」

    「私はこの可憐な少女を──押し倒し、接吻し、なぶり、犯したッ!」

    子高生「!?」



    女子高生の言いがかりを“先の先”とするならば──

    男はあえて冤罪を受け入れることで“後の先”を取ったのである!

    これすなわち、カウンター! 威力は倍増され、敵に返還される!
    11 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:41:25.18 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-225)
    子高生(この人、私のウソをあえて全部受け止めてくれた……!)ドキン…

    子高生「ごめんなさいっ! 全部、ウソなんですっ!」

    子高生「なんか最近ムシャクシャしてて、つい──」

    「気にするな。過ちを悔いる心、それだけで私は嬉しい」



    男の度量にて、不良女子高生の凍てついた心は春の雪解け水が如く溶解した。

    この女子高生、この事件を機に自らの半生を猛省し、

    後にノーベル平和賞を受賞することになるが──それはまた別の話。



    子高生「本当にあなたの女になったらダメですか?」

    「悪いが、私には愛する妻がいる」

    パチパチ……! パチパチ……!

    拍手喝采である。

    満員電車では皆が敵同士、だからとて祝福の心を忘れたわけではない。
    12 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:45:39.96 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-98)
    (む、あの座席が空いたッ!)キリッ

    (初速1,200m/sで動けば、あの座席に座れるッ!)ダッ

    シュザッ!

    「!」

    エリート「…………」ニコッ

    (先に座られた……! 速いッ……!)

    エリート「残念、この座席はボクのものです」

    エリート「でも……どうしても座りたければ、ボクの膝の上に座ってかまいませんよ」



    タッチの差で座席に奪われた男を見上げながら見下ろす、エリートの露骨な挑発である。

    だが男はあえて──



    「座らせてもらう」スッ…
    13 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:49:30.77 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-186)
    直後、尻全体に鋭利な痛みが走った!

    自らの尻を確認するや否や、目に飛び込んできたのは無数の画鋲!



    「貴様ッ! いつの間に膝の上に画鋲を……ッ!」

    エリート「最初からですよ」

    エリート「しかし、ボクの挑発に乗り、冷静さを失っていたアナタは気づかなかった」

    エリート「社会人にあるまじき、注意力散漫だ……」

    エリート「先ほど女子高生を手玉に取った実力を見込んで、試してみたんですが──」

    エリート「どうやら期待外れだったらしい。ガッカリだ」

    「あ……あ、あ……」



    ガーン!

    男の目に涙を浮かばせたるは、尻の痛みでなく心の痛み!



        完    全    敗    北    !    !    !
    14 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:55:40.35 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-136)
    < 駅 >

    キヨスクとは、闘い也!

    目的駅についた男、まっすぐ会社には向かわずキヨスクへ直行!

    理由はもちろん、完全敗北を喫した我が身を奮い立たせるため──



    おばちゃん「いらっしゃいませ」

    「棚にある栄養ドリンクを──全部ッ!」

    おばちゃん「あいよッ!」



    宇宙最強の栄養素と名高いタウリンが、男の打ちひしがれた心を復活させる!

    これぞモーニングドーピング!

    サラリーマンにとって、ドーピングは反則ではない。日常である!
    15 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 20:59:31.98 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-169)
    < 会社 >

    「おはようございます」

    同僚「よう」

    OL「おはよう!」

    係長「おはよう」

    課長「うむ、おはよう」

    「……しかし、私はキヨスクに寄ったせいで始業時間には間に合ったとはいえ」

    「いつもの出勤時刻より五分ほど、遅れてしまいました」

    「よって、私に対して『おはよう』は相応しくないのです」

    「やり直しを要求させていただくッ!」



    挨拶とは、闘い也!

    漫然と決まり文句を交わす習慣にあらず!

    自分に相応しくないとあらば、断じて拒否せねばならない!
    16 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:03:29.14 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-135)
    同僚「おおそう! 待ちくたびれたぜ」

    OL「おおそう!」

    係長「おおそう」

    課長「うむ、おおそう」



    男の心意気を飲み込んだ課の仲間4名!

    即座に『おはよう』を『おおそう』に切り替える、チーター以上の瞬発力!

    男の目に、またもうっすらと涙が光る……。



    (みんな……ありがとう……)キラッ…
    17 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:07:49.04 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-139)
    電話取りとは、闘い也!

    電話のベルが鳴ってからでは遅すぎる!

    先方が電話をかけてきた瞬間では遅すぎる!

    真のサラリーマンたる者、先方が電話をしてくるのを見切って、

    こちらから電話をかけねばならない!

    先手必勝の精神が、予知能力の如き直感を生むのである!



    「お電話ありがとうございます」

    『おお、今まさに君に電話をかけようとしていたところだよ』

    『やられたよ……完敗だ!』ニィッ

    (勝利ッ!)
    18 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:12:25.73 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-94)
    デスクワークとは、闘い也!

    男のパソコンの実力たるや──

    ワード二段! エクセル四段! パワーポイント六級!

    すなわち、2×4×6=四十八!

    これはかの忠臣蔵の赤穂浪士四十七名をも上回る、驚異的数値である!

    なお──



    (ここでエンターキーを押すッ!)

    「はっ!」

    メキィッ!



    男はエンターキーだけは、肘(エルボー)で押すという

    非常に厳しい制約を課している! 壊したキーボードの数、実に数千!
    19 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:16:57.67 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-127)
    (この書類、10部ほどコピーするか)ダダダッ

    同僚「この資料、コピーしねえと!」ダダダッ

    「!」

    同僚「俺の方が0.18秒、コピー機に着くのが早かった」

    同僚「だが──お前だって急いでるんだろ? 俺に勝てたら先にコピーしていいぜ」

    「望むところッ!」



    コピー取りとは、闘い也!

    己とコピー機の一対一(タイマン)を邪魔する者あらば、

    命を奪う覚悟、奪われる覚悟を以って、駆逐すべし!

    譲り合いなどあってはならぬ!

    コピー機とは、真の強者にのみ心を開いてくれるのだから……。
    20 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:21:43.16 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-209)
    同僚「お前相手に手加減はできない……使わせてもらうぜ、ネクタイを」シュルッ…

    「本気のようだな」



    ネクタイとは正装にあらず、武装也!

    鞭の如く扱い打撃! 手錠の如く扱い緊縛! 縄の如く扱い絞殺!

    たった一本のネクタイで、かのように多彩な攻撃が可能である!

    まして同僚はネクタイ術に関しては、右に出る者なし!

    男の額に、じんわりと冷や汗が浮かぶ!



    同僚「そうらッ!」ヒュバッ

    バチィィッ!

    「ぬう……ッ!」



    蛇のように動くネクタイ! 男の皮膚が弾け飛ぶ!
    21 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:26:28.34 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-153)
    同僚「よっと」ヒュッ

    ガシッ……!

    (右腕を絡め取られた!)

    同僚「ネクタイ一本釣りッ!」ブオンッ

    ドガッシャァンッ!



    ネクタイで絡め取った男を投げ飛ばし、そのままコピー機に叩きつける残虐技!

    しかし、大ダメージにもかかわらず、男は反撃の狼煙を上げようとしていた!



    「ぐふっ……。ならば私も使わせてもらおう、ネクタイを!」

    同僚「!」

    同僚(コイツの戦闘術は素手専門だったはずだが──)

    同僚「おもしれえ! やってみなッ!」
    22 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:30:54.45 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-248)
    「今私が締めているこのネクタイは──」

    「去年、私の誕生日に、妻が買ってくれたものなのだ」

    「妻よ……私は勝つッ! 勝ってコピーを完遂するッ!」ゴゴゴ…

    同僚(ネクタイを通じて奥さんからの愛を受け取り、パワーアップッ!)

    同僚(これもまた立派なネクタイ術じゃねーか! さすがだぜ!)

    同僚「俺、この会社に入ってよかった! お前みたいな好敵手に出会え──」

    ボゴォッ!

    同僚「た」



    一撃!

    吹き飛ばされた同僚の体はコピー機と激突し、コピー機を跡形もなく粉砕した!



    同僚「……ん、だから、な……」ガクッ

    「最後まで台詞を言い切るその執念! さすが我が同期ッ!」
    23 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:35:35.44 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-173)
    同僚「しっかし、コピー機ぶっ壊しちまったな」

    「仕方あるまい。私が弁償しよう」

    同僚「いや、俺が先に勝負ふっかけたんだ。俺が弁償するよ」



    すると、コピー機になにやら異変!

    二人の漢の熱気を浴び、このまま壊れてなどいられぬと──

    機械にあるまじき掟破りの自己再生!

    メキメキ……!



    コピー機『我、再臨す!』

    コピー機『さあ書類を乗せろ。どんな書類でもコピーしてやろう!』

    同僚「死の淵からよみがえったことで、自我まで芽生えてやがる!」

    「うむむ、このコピー機こそコピー機の中のコピー機ッ!」
    24 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:36:10.41 ID:AJJcVLFh0 (-8,+6,+1)
    つまんね
    25 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:37:12.04 ID:Bd0ALmDeO (+34,+29,-1)
    とんでもないスレを開いてしまった
    26 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:41:31.88 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-253)
    企画書とは、闘い也!

    小脳大脳を捻り上げ、絞り出した、己の創意工夫(アイディア)!

    いざ、課長に提出!



    課長「ふむ……」ピラッ…

    「いかがでしょう、課長?」

    課長「企画自体はよろしい……」

    課長「あとは──君の企画に対する“熱意”を示すだけだ。来たまえ」

    「応ッ!」



    相手は上司、しかも同僚との死闘のダメージも残る!

    だが、相手が社長であろうとも奥歯をもぎ取れるのが、真のサラリーマン!

    だが、装甲車にハネられても戦うことができるのが、真のサラリーマン!

    男は真のサラリーマンであった……!
    27 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:45:41.88 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-283)
    課長はシャチハタ使い!

    両手に持った時価数百円のシャチハタによる高速突きで、精密に急所を狙う!

    ひとたび急所に押印されれば、落命は必至!



    バババババッ!

    課長「さあさあ、どうしたのかね?」バババッ

    課長「避けてばかりでは、企画は通らんぞ」バババッ

    (速いッ!)

    (会社帰りのバッティングセンターで銃弾をバットで打ち返す鍛錬を繰り返し──)

    (鍛えに鍛え上げた我が動体視力!)

    (にもかかわらず、課長の突きを完全に見切れないッ! 反撃のスキがないッ!)

    課長「打つ手なしか。君には失望させられたよ……ガッカリだ」バババッ

    「!」
    28 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:47:55.51 ID:xEsS5IHvP (+19,+29,+0)
    食の軍師っぽいけどつまんねーな
    29 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:48:28.40 ID:0SzwR3WJO (+6,+16,+0)
    見てる
    30 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:49:31.16 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-194)
    エリート≪どうやら期待外れだったらしい。ガッカリだ≫

    今朝の完全敗北、フラッシュバック!

    あの痛みが、あの屈辱が、あの不甲斐なさが、男の後退した心と体に火を灯す!



    「見くびらないで下さい、課長!」ダッ

    課長「無策で突っ込むか」

    課長「無策には、無情で答えるのみ」



    メキィッ……!

    課長のシャチハタが、男の額にクリティカルヒット!

    ひび割れる頭蓋骨!

    しかし、割れた男の頭に浮かぶは、勝利の二文字!
    31 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:52:42.26 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-121)
    「取ったァッ!」ガシッ

    課長(これは──関節技!?)



    関節技(サブミッション)──腕ひしぎ逆十字!

    頭と引き換えに、右腕をゲットだぜ!



    課長「参った、ギブアップだ!」パンパンッ

    「折るッ!」グンッ

    ボギィッ……!



    課長の右腕、あらぬ方向にヘアピンカーブ!

    男の勝利である!
    32 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:55:54.59 ID:Bd0ALmDeO (+33,+28,-1)
    なんて世界なんだ・・・
    33 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 21:58:32.31 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-270)
    課長「……よくやった」プラーン…

    課長「もし私のギブアップで、折るのを躊躇していたら企画は通さなかった」

    課長「君の熱意、受け取ったよ。この企画書はあとで部長に上げよう」ニッ

    「課長」

    「課長の右腕……音を立てて骨を外しただけで、折ってはいませんッ!」

    課長「フッ……どうやら、今日のところは私の完敗のようだな」

    キーン…… コーン…… カーン…… コーン……



    係長「課長、昼ごはんにしましょう」ガタッ

    課長「うむ」

    OL「あたし、友達と食べてこようっと」ガタッ

    同僚「俺は外で食ってくるけど、お前は?」ガタッ

    「私には愛妻弁当がある」
    34 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:02:45.06 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-122)
    昼休み──

    (妻よ……)

    (君の作ってくれた弁当で、午後への活力を養わせてもらうよ)

    「いただきます」ペコッ



    弁当とは、愛の結晶也!

    わずか20cm四方の箱から漂う、溢れんばかりの妻の愛!

    蓋を開ける前からすでに男の全身は紅潮し、完熟トマトにも似た様相!

    いざ、開封!



    「…………」パカッ

    (中身が──)

    (無いッ!)
    35 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:05:01.39 ID:Bd0ALmDeO (+29,+29,-13)
    係長か!
    36 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:07:37.15 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-98)
    箱の中には手紙が一枚あるのみ!

    果たして事件の真相とは!?



    『申し訳ございません、あなた』

    『本日のお弁当、我ながらあまりに出来がよかったので』

    『自分で全部食べてしまいました』

    『かくなる上は、いかなる処罰をも受ける所存です』



    この手紙を読み、男の脳裏に芽生えた感情──

    哀ではない! 楽でもない! ましてや怒などでは断じてない!

    圧倒的、喜!
    37 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:10:25.34 ID:Bd0ALmDeO (-26,-26,-3)
    マゾか!
    38 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:12:56.67 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-138)
    思わず自分で食べてしまうほどの料理を作り上げた妻への祝福!

    わざわざ手紙で事情を説明する妻に対しての感服!

    そしてなにより、申し訳なさそうに台所でつまみ食いをする妻を想像するだけで──

    こんな台詞が飛び出てしまう!



    「最高じゃないか……!」



    男の胃袋は満たされていた……。

    もはや、フルマラソンを百回完走しても使いきれないほどのカロリーが、

    男の肉体に充填されていた!

    ついでに頭蓋骨も完治!

    これで午後も戦える!
    39 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:18:27.01 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-147)
    午後開始!

    係長「じゃあぼくと出かけようか。今日こそ契約を取ろう」

    「はい、同行させていただきます」



    外回りとは、闘い也!

    本日回る企業は二社!

    一社目は『中小企業』!

    中堅ながら堅実な経営で地盤を固める会社である!

    そしてクライマックスを飾る二社目は──『一流企業』!

    日本有数の大企業であり、この企業にとってみれば男の会社などノミの如し!

    だからこそ、燃える!
    40 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:23:32.88 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-174)
    < 営業車格納庫 >

    「エンジントラブルッ!?」キュルルル…



    運転とは、闘い也!

    車は機械、故障は付き物!

    いくらキーを回しても、車は沈黙! シカト! 完全無視!

    このままでは中小企業との商談時刻に間に合わぬ確率、実に120%!

    どうする、サラリーマン!?



    「私が……車を持ち上げて運びますッ!」

    係長「よくいった」ニコッ

    係長「もし電車で行きましょう、タクシーで行きましょう、などといいだしたら」

    係長「ぼくは君を軽蔑し、社内に置いていくところだった」
    41 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:28:27.04 ID:Bd0ALmDeO (+27,+27,-1)
    かなわない・・・
    42 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:28:30.26 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-270)
    重さ1.5トンの営業車を担ぎ、中小企業への道を急ぐ二人の漢!

    二人の足の速さ、およそ時速400km! 東京大阪間を一時間で駆け抜ける速度!



    係長「たまには車に乗るのではなく、車を乗せるってのもいいもんだろう?」

    「はい」

    係長「おっと、そこの十字路を右だ」

    「はい」

    (係長……温和ではあるが、同僚や課長にも劣らぬ、真のサムライッ!)

    係長「照れるじゃないか、サムライだなんて」

    「心を読まないで下さい」

    係長「ごめん」



    サラリーマンの中には、ごくまれに心を読める人間がいるという!

    係長もその一人!

    一説によると、本の読みすぎで心を読めるようになったとか……。
    43 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:31:57.98 ID:0SzwR3WJO (+29,+29,-18)
    係長でこれならもっと上の人はさぞ恐ろしいことだろう
    44 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:33:32.86 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-180)
    < 中小企業 >

    ズシンッ……!

    駐車場に車を置き、いざ出陣!



    「この会社……こんなところに池なんてありましたっけ?」

    係長「いや……ぼくの記憶ではなかったはずだけど」

    中小社長「それは私の涙ですよ」

    「なんですってッ!?」



    すかさず男が池の水を舐める! まさしく涙の味!

    男の敏感な舌は、さっぱりした塩味に隠れた、ある感情を見逃さなかった!



    「この涙は……感動の味がいたします」

    係長「さすが、体液ソムリエの資格を持っているだけのことはあるね」
    45 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:36:32.84 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-127)
    中小社長「感動したのは……あなたたちに対してです」

    「我々に!?」

    中小社長「私はプライベートではドライブが趣味でして、車の声を聞く能力があります」

    中小社長「あなたたちの営業車はこういっています」

    中小社長「故障して走れないボクを、見捨てず運んでくれてありがとう、と」

    「ああっ……!」グスッ

    係長「ううっ……!」グスッ

    中小社長「例の件ですが、あなたたちのおっしゃる条件で契約しましょう!」

    「ありがとうございますッ!」



        契    約    完    了    !    !    !
    46 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:39:27.94 ID:Bd0ALmDeO (+34,+29,-4)
    車を動かして人の心を動かしたか
    47 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:41:02.95 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-202)
    ブロロロロ……!

    係長「契約できたし、車も治してもらったし、よかったよかった」

    「ええ」

    係長「しかし……次の『一流企業』はこううまくはいかないだろう」

    係長「ちゃんと遺書は書いてきたかい?」

    「不要」

    「むろん死する覚悟はありますが、むざむざ死ぬつもりはありませんから」

    係長「いい答えだ」ニコッ



    二人は知っている!

    『一流企業』の恐ろしさを!

    中途半端なサラリーマンではたとえ命を百個持ち込もうとも、

    受付嬢に会うだけで全てを使いきってしまうと……。
    48 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:44:55.96 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-230)
    ブロロロロ…… キキィッ!

    「なんですか、あの真っ黒なビルは?」



    男の瞳に映り込んできたのは、信じがたき光景!

    漆黒に塗り潰されたビルの中で、幽鬼のように痩せ衰えた社員たちが

    まるで生気の感じられない目で労働、労働、また労働! 労働地獄絵図!




    係長「ああ、あのビルは……『ブラック企業』だ」

    係長「彼らは社畜といって、365日24時間休みなく働かせ続けられるのさ」

    係長「むろん、給料なしでね」

    「……そんなことが許されるんですか!?」

    係長「許せはしないが……こうして堂々と経営しているのが許されてる証拠だ」

    係長「政府や警察に多額の賄賂を贈っているんだろう」

    「ゆ、許せない……! 私は許すことができませんッ!」
    49 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:46:57.81 ID:Bd0ALmDeO (+11,+11,+0)
    きたか・・・
    50 : 以下、名無しにか - 2013/07/25(木) 22:48:46.61 ID:1OuKcuB10 (+95,+30,-189)
    寄り道とは、闘い也!

    男は激怒した!

    同情心からではない!

    彼にとってサラリーマンとは誇り高きもの! 人生そのもの! 歩むべき道である!

    そのサラリーマンに家畜未満の待遇を与え侮辱するブラック企業の行いが、

    男には我慢ならなかったのだ!

    堪忍袋の緒、完全切断!

    プッチーン!



    「係長、私は行きます! 行かせて下さい!」

    係長「やれやれ寄り道してる時間などないというのに──」

    係長「いいだろう、行ってきなさい!」

    「感謝ッ!」
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